知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050885
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20230404BHJP
E03C 1/284 20060101ALI20230404BHJP
【ＦＩ】
E03D11/02 Z
E03C1/284
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2021161230
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】ＴＯＴＯ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】土谷 匠
(72)【発明者】
【氏名】村山 知里
【テーマコード（参考）】
2D039
2D061
【Ｆターム（参考）】
2D039AA02
2D039AC03
2D039AD02
2D039AD04
2D061DA10
2D061DD03
(57)【要約】
【課題】排水トラップ部の屈曲部から傾斜部に流入した汚物を含む洗浄水を垂下部にスムーズに誘導することができ、汚物の詰まりを抑制させることができる水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明による水洗大便器１は、ボウル部６と、排水トラップ部８と、を有し、この排水トラップ部は、屈曲部３０と、前方傾斜部３２と、後方傾斜部３４と、垂下部３６と、前方傾斜部と垂下部とを第１曲面Ｃ１により接合する第１接合部３８と、後方傾斜部と垂下部とを第２曲面Ｃ２により接合する第２接合部４０と、を備えており、第２接合部の下端４０ａから上端４０ｂまでの上下方向の全体部分は、第１接合部の下端３８ａから上端３０ｂまでの上下方向の高さ位置の範囲内に位置し、かつ、第１接合部の上端は、第２接合部の上端よりも高い位置に設定されている。
【選択図】図３
【解決手段】本発明による水洗大便器１は、ボウル部６と、排水トラップ部８と、を有し、この排水トラップ部は、屈曲部３０と、前方傾斜部３２と、後方傾斜部３４と、垂下部３６と、前方傾斜部と垂下部とを第１曲面Ｃ１により接合する第１接合部３８と、後方傾斜部と垂下部とを第２曲面Ｃ２により接合する第２接合部４０と、を備えており、第２接合部の下端４０ａから上端４０ｂまでの上下方向の全体部分は、第１接合部の下端３８ａから上端３０ｂまでの上下方向の高さ位置の範囲内に位置し、かつ、第１接合部の上端は、第２接合部の上端よりも高い位置に設定されている。
【選択図】図３
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水により洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状のボウル部と、
上記ボウル部の下方に接続された入口を備え、上記ボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部と、を有し、
上記排水トラップ部は、その入口から後方且つ下方に向かって下降した後、さらに、後方且つ上方に向かって上昇するように延びる屈曲部と、
この屈曲部の下流端から後方且つ下方に向かって傾斜する前方傾斜部と、この前方傾斜部に対して後方に対向するように設けられた後方傾斜部と、
上記前方傾斜部及び上記後方傾斜部のそれぞれの下流側で垂下する垂下部と、
上記前方傾斜部と上記垂下部とを第１曲面により接合する第１接合部と、
上記後方傾斜部と上記垂下部とを第２曲面により接合する第２接合部と、を備えており、
上記第２接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分は、上記第１接合部の下端から上端までの上下方向の高さ位置の範囲内に位置し、かつ、上記第１接合部の上端は、上記第２接合部の上端よりも高い位置に設定されていることを特徴とする水洗大便器。
ボウル形状のボウル部と、
上記ボウル部の下方に接続された入口を備え、上記ボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部と、を有し、
上記排水トラップ部は、その入口から後方且つ下方に向かって下降した後、さらに、後方且つ上方に向かって上昇するように延びる屈曲部と、
この屈曲部の下流端から後方且つ下方に向かって傾斜する前方傾斜部と、この前方傾斜部に対して後方に対向するように設けられた後方傾斜部と、
上記前方傾斜部及び上記後方傾斜部のそれぞれの下流側で垂下する垂下部と、
上記前方傾斜部と上記垂下部とを第１曲面により接合する第１接合部と、
上記後方傾斜部と上記垂下部とを第２曲面により接合する第２接合部と、を備えており、
上記第２接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分は、上記第１接合部の下端から上端までの上下方向の高さ位置の範囲内に位置し、かつ、上記第１接合部の上端は、上記第２接合部の上端よりも高い位置に設定されていることを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
上記後方傾斜部は、側面断面視において、その水平面に対する傾斜角度が上記前方傾斜部における傾斜角度よりも大きくなるように設定されている請求項１記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記垂下部は、上記第１接合部及び上記第２接合部に接合される垂下入口を備えており、この垂下入口は、平面断面視において、その流路断面の前後方向の中心軸線よりも前方側の流路断面積が、上記中心軸線よりも後方側の流路断面積よりも大きくなるように設定されている請求項１又は２に記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に係り、特に、洗浄水により洗浄されて汚物を排出する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗浄水により洗浄されて汚物を排出する水洗大便器として、例えば、特許文献１に記載されているように、便器本体のボウル部の下方に接続されてボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部を有するものが知られている。
この排水トラップ部は、ボウル部に接続された入口部から後方且つ下方に向かって下降した後、さらに、後方且つ上方に向かって上昇するように延びる屈曲部と、この屈曲部の下流端から後方且つ下方に向かって傾斜する傾斜部と、この傾斜部の下端から下方に延びる垂下部と、を備えている。
これらにより、便器本体のボウル部内の洗浄水及び汚物は、排水トラップ部の入口部から排水トラップ部の屈曲部内に排出されるようになっている。その後、洗浄水と共に排水トラップ部の屈曲部を通過した汚物は、その下流側の排水トラップ部の傾斜部を通過した後、排水トラップ部の垂下部から外部へと排出されるようになっている。
また、上述した特許文献１に記載されている従来の水洗大便器においては、排水トラップ部の傾斜部が、屈曲部の後方側の上端部から後方に向かって下り傾斜した後に、垂下部の前方側の上端部に接合されているため、傾斜部に沿って流下した洗浄水が主として垂下部の前方側からに流入するようになっている。
さらに、排水トラップ部内における垂下部の後方側でかつ垂下部よりも上方側の領域においても流路が形成されており、この流路に流れ込んだ洗浄水が、垂下部の後方側からも流入することができるような構造にもなっている。
この排水トラップ部は、ボウル部に接続された入口部から後方且つ下方に向かって下降した後、さらに、後方且つ上方に向かって上昇するように延びる屈曲部と、この屈曲部の下流端から後方且つ下方に向かって傾斜する傾斜部と、この傾斜部の下端から下方に延びる垂下部と、を備えている。
これらにより、便器本体のボウル部内の洗浄水及び汚物は、排水トラップ部の入口部から排水トラップ部の屈曲部内に排出されるようになっている。その後、洗浄水と共に排水トラップ部の屈曲部を通過した汚物は、その下流側の排水トラップ部の傾斜部を通過した後、排水トラップ部の垂下部から外部へと排出されるようになっている。
また、上述した特許文献１に記載されている従来の水洗大便器においては、排水トラップ部の傾斜部が、屈曲部の後方側の上端部から後方に向かって下り傾斜した後に、垂下部の前方側の上端部に接合されているため、傾斜部に沿って流下した洗浄水が主として垂下部の前方側からに流入するようになっている。
さらに、排水トラップ部内における垂下部の後方側でかつ垂下部よりも上方側の領域においても流路が形成されており、この流路に流れ込んだ洗浄水が、垂下部の後方側からも流入することができるような構造にもなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０２０－１８０４７０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献１に記載されている従来の水洗大便器では、排水トラップ部内における垂下部の後方側でかつ垂下部よりも上方側の流路において、特に、溜水面よりも後方側かつ上方側の流路内の壁面等に対して洗浄水が回り難い。
これにより、垂下部よりも後方側かつ上方側の流路内の壁面において、付着したが汚物が取り残されたり、さらには、汚物の詰まりが生じたりする恐れがあるという問題がある。
また、排水トラップ部の傾斜部や垂下部において、汚物が排出しきれずに滞留してしますと、排水トラップ部内で異臭が発生し、この異臭が、便器洗浄時等において、ボウル部側に逆流する恐れもあるという問題がある。
したがって、排水トラップ部の屈曲部から傾斜部に流入した汚物を含む洗浄水について、いかに垂下部にスムーズに誘導し、汚物の詰まりを抑制させるかが、近年要請されている課題となっている。
これにより、垂下部よりも後方側かつ上方側の流路内の壁面において、付着したが汚物が取り残されたり、さらには、汚物の詰まりが生じたりする恐れがあるという問題がある。
また、排水トラップ部の傾斜部や垂下部において、汚物が排出しきれずに滞留してしますと、排水トラップ部内で異臭が発生し、この異臭が、便器洗浄時等において、ボウル部側に逆流する恐れもあるという問題がある。
したがって、排水トラップ部の屈曲部から傾斜部に流入した汚物を含む洗浄水について、いかに垂下部にスムーズに誘導し、汚物の詰まりを抑制させるかが、近年要請されている課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、排水トラップ部の屈曲部から傾斜部に流入した汚物を含む洗浄水を垂下部にスムーズに誘導することができ、汚物の詰まりを抑制させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、洗浄水により洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、ボウル形状のボウル部と、上記ボウル部の下方に接続された入口を備え、上記ボウル部内の汚物を排出する排水トラップ部と、を有し、上記排水トラップ部は、その入口から後方且つ下方に向かって下降した後、さらに、後方且つ上方に向かって上昇するように延びる屈曲部と、この屈曲部の下流端から後方且つ下方に向かって傾斜する前方傾斜部と、この前方傾斜部に対して後方に対向するように設けられた後方傾斜部と、上記前方傾斜部及び上記後方傾斜部のそれぞれの下流側で垂下する垂下部と、上記前方傾斜部と上記垂下部とを第１曲面により接合する第１接合部と、上記後方傾斜部と上記垂下部とを第２曲面により接合する第２接合部と、を備えており、上記第２接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分は、上記第１接合部の下端から上端までの上下方向の高さ位置の範囲内に位置し、かつ、上記第１接合部の上端は、上記第２接合部の上端よりも高い位置に設定されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、ボウル部内の洗浄水及び汚物は、排水トラップ部の入口から排水トラップ部の屈曲部内に排出される。その後、洗浄水と共に排水トラップ部の屈曲部を通過した汚物は、その下流側の排水トラップ部の前方傾斜部及び後方傾斜部を通過した後、排水トラップ部の垂下部から外部へと排出される。
また、排水トラップ部の屈曲部を通過した洗浄水及び汚物が排水トラップ部の前方傾斜部及び後方傾斜部を通過する際には、前方傾斜部と垂下部とを第１曲面により接合する第１接合部の上端が、後方傾斜部と垂下部とを第２曲面により接合する第２接合部の上端よりも高い位置に設定されている。これにより、前方傾斜部及び後方傾斜部を通過する洗浄水及び汚物について、前方側（前方傾斜部の第１接合部の第１曲面側）の流域から、後方側（後方傾斜部側）の流域よりも優先的に下方の垂下部に誘導することができる。
これらの結果、汚物が後方傾斜部側に誘導され難くなり、前方側（前方傾斜部の第１接合部の第１曲面側）の流域から下方の垂下部に誘導されるため、汚物が排水トラップ部の屈曲部よりも下流側の流路内で詰まることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、ボウル部内の洗浄水及び汚物は、排水トラップ部の入口から排水トラップ部の屈曲部内に排出される。その後、洗浄水と共に排水トラップ部の屈曲部を通過した汚物は、その下流側の排水トラップ部の前方傾斜部及び後方傾斜部を通過した後、排水トラップ部の垂下部から外部へと排出される。
また、排水トラップ部の屈曲部を通過した洗浄水及び汚物が排水トラップ部の前方傾斜部及び後方傾斜部を通過する際には、前方傾斜部と垂下部とを第１曲面により接合する第１接合部の上端が、後方傾斜部と垂下部とを第２曲面により接合する第２接合部の上端よりも高い位置に設定されている。これにより、前方傾斜部及び後方傾斜部を通過する洗浄水及び汚物について、前方側（前方傾斜部の第１接合部の第１曲面側）の流域から、後方側（後方傾斜部側）の流域よりも優先的に下方の垂下部に誘導することができる。
これらの結果、汚物が後方傾斜部側に誘導され難くなり、前方側（前方傾斜部の第１接合部の第１曲面側）の流域から下方の垂下部に誘導されるため、汚物が排水トラップ部の屈曲部よりも下流側の流路内で詰まることを抑制することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記後方傾斜部は、側面断面視において、その水平面に対する傾斜角度が上記前方傾斜部における傾斜角度よりも大きくなるように設定されている。
このように構成された本発明においては、後方傾斜部の側面断面視における水平面に対する傾斜角度が前方傾斜部における傾斜角度よりも大きくなるように設定されているため、前方傾斜部及び後方傾斜部を通過する洗浄水及び汚物について、前方側（前方傾斜部の第１接合部の第１曲面側）の流域で早期に垂下部に誘導することができる。
また、前方傾斜部の傾斜角度よりも大きい傾斜角度の後方傾斜部により、洗浄水に対して強力な押し込み力を与えることができるため、後方側からも強力な押し込み力を有する洗浄水が汚物を下方の垂下部に確実に押し込むことができる。
このように構成された本発明においては、後方傾斜部の側面断面視における水平面に対する傾斜角度が前方傾斜部における傾斜角度よりも大きくなるように設定されているため、前方傾斜部及び後方傾斜部を通過する洗浄水及び汚物について、前方側（前方傾斜部の第１接合部の第１曲面側）の流域で早期に垂下部に誘導することができる。
また、前方傾斜部の傾斜角度よりも大きい傾斜角度の後方傾斜部により、洗浄水に対して強力な押し込み力を与えることができるため、後方側からも強力な押し込み力を有する洗浄水が汚物を下方の垂下部に確実に押し込むことができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記垂下部は、上記第１接合部及び上記第２接合部に接合される垂下入口を備えており、この垂下入口は、平面断面視において、その流路断面の前後方向の中心軸線よりも前方側の流路断面積が、上記中心軸線よりも後方側の流路断面積よりも大きくなるように設定されている。
このように構成された本発明においては、垂下入口の平面断面視において、その流路断面の前後方向の中心軸線よりも前方側の流路断面積が、後方側の流路断面積よりも大きくなるように設定されているため、垂下部の上流側の汚物が垂下入口から垂下部内に流入する際には、前方側の流域で早期に汚物を垂下部に誘導することができる。
このように構成された本発明においては、垂下入口の平面断面視において、その流路断面の前後方向の中心軸線よりも前方側の流路断面積が、後方側の流路断面積よりも大きくなるように設定されているため、垂下部の上流側の汚物が垂下入口から垂下部内に流入する際には、前方側の流域で早期に汚物を垂下部に誘導することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水洗大便器によれば、排水トラップ部の屈曲部から傾斜部に流入した汚物を含む洗浄水を垂下部にスムーズに誘導することができ、汚物の詰まりを抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図１～図４を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、図１は、本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図である。また、図２は、図１のＩＩ－ＩＩ線に沿った側面断面図である。
図１及び図２に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器１は、陶器製の便器本体２を備えている。
この便器本体２は、上流側から下流側に向かって、導水路４と、ボウル形状のボウル部６と、このボウル部６の下方に入口８ａが接続された排水トラップ部８（詳細は後述する）とを備えている。
これにより、本発明の一実施形態による水洗大便器１については、サイホン作用を利用してボウル部６内の汚物を吸い込んで排水トラップ部８から一気に外部に排出する、いわゆる、「サイホン式の水洗大便器」となっている。
なお、本発明の一実施形態による水洗大便器１については、サイホン式の水洗大便器の形態に限られず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、「洗い落し式の水洗大便器」の形態についても適用可能である。
まず、図１は、本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図である。また、図２は、図１のＩＩ－ＩＩ線に沿った側面断面図である。
図１及び図２に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器１は、陶器製の便器本体２を備えている。
この便器本体２は、上流側から下流側に向かって、導水路４と、ボウル形状のボウル部６と、このボウル部６の下方に入口８ａが接続された排水トラップ部８（詳細は後述する）とを備えている。
これにより、本発明の一実施形態による水洗大便器１については、サイホン作用を利用してボウル部６内の汚物を吸い込んで排水トラップ部８から一気に外部に排出する、いわゆる、「サイホン式の水洗大便器」となっている。
なお、本発明の一実施形態による水洗大便器１については、サイホン式の水洗大便器の形態に限られず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、「洗い落し式の水洗大便器」の形態についても適用可能である。
【0012】
また、図１及び図２に示す本実施形態の水洗大便器１では、その便器本体２の上面において、便座（図示せず）及び便蓋（図示せず）等が設けられているが、従来の水洗大便器の構造と同様であるため、具体的な説明については省略する。
さらに、便器本体２の上面における便座（図示せず）及び便蓋（図示せず）の後方側には、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部（図示せず）や便器本体２への給水機能に関与する給水系機能部等の機能部（図示せず）等が設けられていてもよいが、これらについても、従来の水洗大便器の構造と同様であるため、具体的な説明については省略する。
さらに、便器本体２の上面における便座（図示せず）及び便蓋（図示せず）の後方側には、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部（図示せず）や便器本体２への給水機能に関与する給水系機能部等の機能部（図示せず）等が設けられていてもよいが、これらについても、従来の水洗大便器の構造と同様であるため、具体的な説明については省略する。
【0013】
つぎに、図１に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器１は、便器洗浄に使用される洗浄水を貯水して便器本体２へ給水する洗浄水源である重力給水式の貯水タンク１０を備えている。
ここで、本実施形態では、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源としては、上述した重力給水式の貯水タンク１０のようなタンク式の形態に限定されず、他の形態でも適用可能である。すなわち、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源として、水道水の給水圧を直接利用した水道直圧式の形態やフラッシュバルブ式の形態であってもよいし、或いは、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給する形態であってもよい。
ここで、本実施形態では、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源としては、上述した重力給水式の貯水タンク１０のようなタンク式の形態に限定されず、他の形態でも適用可能である。すなわち、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源として、水道水の給水圧を直接利用した水道直圧式の形態やフラッシュバルブ式の形態であってもよいし、或いは、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給する形態であってもよい。
【0014】
つぎに、図１に示す本発明の一実施形態による水洗大便器１においては、便器本体２のボウル部６の平面視において、このボウル部６の左右中央に設けられた壺部１２に対し、前後方向に二等分するように水平左右方向に延びる中心軸線を符号「Ｘ」で示す。
また、図１に示す便器本体２のボウル部６の平面視において、このボウル部６を左右方向に二等分するように水平前後方向に延びる中心軸線を符号「Ｙ」で示している。
さらに、図１に示す便器本体２のボウル部６の平面視において、各中心軸線Ｘ，Ｙの互いの交点を平面視のボウル部６の中心Ｏとし、この中心Ｏを通る鉛直方向に延びる中心軸線を図１及び図２に符号「Ｚ」で示している。
また、図１に示すように、水洗大便器１の前後左右の方向については、「前」、「後」、「左」、「右」でそれぞれ示している。
また、図１に示す便器本体２のボウル部６の平面視において、このボウル部６を左右方向に二等分するように水平前後方向に延びる中心軸線を符号「Ｙ」で示している。
さらに、図１に示す便器本体２のボウル部６の平面視において、各中心軸線Ｘ，Ｙの互いの交点を平面視のボウル部６の中心Ｏとし、この中心Ｏを通る鉛直方向に延びる中心軸線を図１及び図２に符号「Ｚ」で示している。
また、図１に示すように、水洗大便器１の前後左右の方向については、「前」、「後」、「左」、「右」でそれぞれ示している。
【0015】
さらに、図１及び図２に示すように、本実施形態の水洗大便器１においては、ボウル部６内の領域について、中心軸線Ｘよりも前方側の領域を「ボウル部６の前方領域Ｆ」と定義する。また、このボウル部６の前方領域Ｆにおいて、ボウル部６の水平前後方向の中心軸線Ｙに対して左側領域Ｌ、右側領域Ｒのそれぞれを「ボウル部６の左前方領域ＬＦ」、「ボウル部６の右前方領域ＲＦ」と定義する。
同様に、ボウル部６内の領域について、中心軸線Ｘよりも後方側の領域を「ボウル部６の後方領域Ｂ」と定義する。また、このボウル部６の後方領域Ｂにおいて、ボウル部６の水平前後方向の中心軸線Ｙに対して左側領域Ｌ、右側領域Ｒのそれぞれを「ボウル部６の左後方領域ＬＢ」、「ボウル部６の右後方領域ＲＢ」と定義する。
同様に、ボウル部６内の領域について、中心軸線Ｘよりも後方側の領域を「ボウル部６の後方領域Ｂ」と定義する。また、このボウル部６の後方領域Ｂにおいて、ボウル部６の水平前後方向の中心軸線Ｙに対して左側領域Ｌ、右側領域Ｒのそれぞれを「ボウル部６の左後方領域ＬＢ」、「ボウル部６の右後方領域ＲＢ」と定義する。
【0016】
つぎに、図１に示すように、便器本体２の上流側に位置する導水路４は、ボウル部６の後方側に形成され、貯水タンク１０から供給された洗浄水をボウル部６に導くようになっている。
また、図１及び図２に示すように、便器本体２の導水路４の下流側に位置するボウル部６は、下方から上方に向かって、詳細は後述する壺部１２、汚物受け面１４、棚部１６、及び、リム部１８を備えている。
さらに、ボウル部６の左後方領域ＬＢのリム部１８の前方側には、第１リム吐水口２０が設けられており、ボウル部６の右後方領域ＲＢのリム部１８の後方側には、第２リム吐水口２２が設けられている。
また、図１及び図２に示すように、便器本体２の導水路４の下流側に位置するボウル部６は、下方から上方に向かって、詳細は後述する壺部１２、汚物受け面１４、棚部１６、及び、リム部１８を備えている。
さらに、ボウル部６の左後方領域ＬＢのリム部１８の前方側には、第１リム吐水口２０が設けられており、ボウル部６の右後方領域ＲＢのリム部１８の後方側には、第２リム吐水口２２が設けられている。
【0017】
つぎに、図１及び図２に示すように、導水路４は、共通導水路２４と、第１リム導水路２６と、第２リム導水路２８とを備えている。
まず、共通導水路２４は、貯水タンク１０に接続される後方の入口４ａから前方のボウル部６の背面側近傍まで延びるようにボウル部６の後方側の便器本体２の内部に形成されている。
また、第１リム導水路２６は、ボウル部６の背面側近傍で共通導水路２４からボウル部６の左側方に分岐した後、ボウル部６の外周面を迂回しながら前方側の第１リム吐水口２０まで延びるようにボウル部６の左後方領域ＬＢのリム部１８の内部に形成されている。
これにより、共通導水路２４から第１リム導水路２６に供給された洗浄水は、第１リム吐水口２０からその前方側の棚部１６に向けて第１リム吐水として前方へ吐水された後、ボウル部６内の左前方領域ＬＦから右前方領域ＲＦを経て右後方領域ＲＢへと旋回する旋回流を形成するようになっている。
まず、共通導水路２４は、貯水タンク１０に接続される後方の入口４ａから前方のボウル部６の背面側近傍まで延びるようにボウル部６の後方側の便器本体２の内部に形成されている。
また、第１リム導水路２６は、ボウル部６の背面側近傍で共通導水路２４からボウル部６の左側方に分岐した後、ボウル部６の外周面を迂回しながら前方側の第１リム吐水口２０まで延びるようにボウル部６の左後方領域ＬＢのリム部１８の内部に形成されている。
これにより、共通導水路２４から第１リム導水路２６に供給された洗浄水は、第１リム吐水口２０からその前方側の棚部１６に向けて第１リム吐水として前方へ吐水された後、ボウル部６内の左前方領域ＬＦから右前方領域ＲＦを経て右後方領域ＲＢへと旋回する旋回流を形成するようになっている。
【0018】
さらに、第２リム導水路２８は、ボウル部６の背面側近傍で共通導水路２４からボウル部６の右側方に分岐した後、便器本体２の右側方部付近で左側方の第２リム吐水口２２に向けて屈曲（Ｕターン）し、第２リム吐水口２２まで延びるようにボウル部６の右後方領域ＲＢのリム部１８の後方側の内部に形成されている。
これにより、共通導水路２４から第２リム導水路２８に供給された洗浄水は、第２リム吐水口２２からその後方側の棚部１６に向けて第２リム吐水として後方へ吐水された後、ボウル部６内の右後方領域ＲＢから左後方領域ＬＢを経て左前方領域ＬＦ領域へと旋回した後、この左前方領域ＬＦ領域から壺部１２内の前方領域に流入するようになっている。
また、第２リム吐水口２２から吐水された第２リム吐水の一部は、ボウル部６の壺部１２よりも後方領域の汚物受け面１４から壺部１２内の後方領域に流入するようにもなっている。
なお、本実施形態では、ボウル部６の棚部１６が汚物受け面１４の外縁とリム部１８の下端との間に設けられている形態について説明するが、必ずしも棚部１６が設けられる必要はなく、この棚部１６を省略し、第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２のそれぞれから吐水される第１リム吐水及び第２リム吐水が、棚部１６を経由せずに汚物受け面１４の上縁部に直接的に吐水されても良い。
これにより、共通導水路２４から第２リム導水路２８に供給された洗浄水は、第２リム吐水口２２からその後方側の棚部１６に向けて第２リム吐水として後方へ吐水された後、ボウル部６内の右後方領域ＲＢから左後方領域ＬＢを経て左前方領域ＬＦ領域へと旋回した後、この左前方領域ＬＦ領域から壺部１２内の前方領域に流入するようになっている。
また、第２リム吐水口２２から吐水された第２リム吐水の一部は、ボウル部６の壺部１２よりも後方領域の汚物受け面１４から壺部１２内の後方領域に流入するようにもなっている。
なお、本実施形態では、ボウル部６の棚部１６が汚物受け面１４の外縁とリム部１８の下端との間に設けられている形態について説明するが、必ずしも棚部１６が設けられる必要はなく、この棚部１６を省略し、第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２のそれぞれから吐水される第１リム吐水及び第２リム吐水が、棚部１６を経由せずに汚物受け面１４の上縁部に直接的に吐水されても良い。
【0019】
つぎに、図１～図４を参照して、排水トラップ部８及びその下流側部分の詳細について説明する。
図３は、図２に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の側面断面図において、便器本体の排水トラップ部の下流端部分を拡大した拡大側面断面図である。また、図４は、図２のＩＶ－ＩＶ線に沿った断面図である。
まず、図２に示すように、排水トラップ部８は、その上流側（入口８ａ側）から下流側に向かって、屈曲部３０、前方傾斜部３２、後方傾斜部３４、及び、垂下部３６をそれぞれ備えている。
図３は、図２に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の側面断面図において、便器本体の排水トラップ部の下流端部分を拡大した拡大側面断面図である。また、図４は、図２のＩＶ－ＩＶ線に沿った断面図である。
まず、図２に示すように、排水トラップ部８は、その上流側（入口８ａ側）から下流側に向かって、屈曲部３０、前方傾斜部３２、後方傾斜部３４、及び、垂下部３６をそれぞれ備えている。
【0020】
図２に示すように、排水トラップ部８の屈曲部３０は、排水トラップ部８の入口８ａから後方且つ下方に向かって最下端部３０ａまで下降した後、さらに、この最下端部３０ａから後方且つ上方に向かって上昇するように延びている。
つぎに、図２及び図３に示すように、排水トラップ部８の前方傾斜部３２は、屈曲部３０の下流端（後端３０ｂ）から後方且つ下方に向かって傾斜するように形成されている。
また、図２及び図３に示すように、排水トラップ部８の後方傾斜部３４は、前方傾斜部３２に対して後方に対向するように設けられている。
さらに、図２及び図３に示すように、排水トラップ部８の垂下部３６は、前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４のそれぞれの下端よりも下方に配置され、下方に垂下する管路を形成している。
つぎに、図２及び図３に示すように、排水トラップ部８の前方傾斜部３２は、屈曲部３０の下流端（後端３０ｂ）から後方且つ下方に向かって傾斜するように形成されている。
また、図２及び図３に示すように、排水トラップ部８の後方傾斜部３４は、前方傾斜部３２に対して後方に対向するように設けられている。
さらに、図２及び図３に示すように、排水トラップ部８の垂下部３６は、前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４のそれぞれの下端よりも下方に配置され、下方に垂下する管路を形成している。
【0021】
また、図３に示すように、排水トラップ部８は、さらに、前方傾斜部３２と垂下部３６とを曲率を有する面（第１曲面Ｃ１）により接合する第１接合部３８と、後方傾斜部３４と垂下部３６とを曲率を有する面（第２曲面Ｃ２）により接合する第２接合部４０と、を備えている。
さらに、図３に示すように、第２接合部４０の下端４０ａから上端４０ｂまでの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲Ｈ１は、第１接合部３８の下端３８ａから上端３８ｂまでの上下方向の高さ位置の範囲Ｈ２内に位置し、かつ、第１接合部３８の上端３８ｂは、第２接合部４０の上端４０ｂよりも高い位置に設定されている。
さらに、図３に示すように、第２接合部４０の下端４０ａから上端４０ｂまでの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲Ｈ１は、第１接合部３８の下端３８ａから上端３８ｂまでの上下方向の高さ位置の範囲Ｈ２内に位置し、かつ、第１接合部３８の上端３８ｂは、第２接合部４０の上端４０ｂよりも高い位置に設定されている。
【0022】
ここで、図３の側面断面視において、第１接合部３８の下端３８ａと上端３８ｂとの間の区間の第１曲面Ｃ１の曲率は、第１接合部３８の上端３８ｂよりも上方の前方傾斜部３２の内壁面３２ａの曲率よりも大きく設定されている。
また、図３の側面断面視において、第１接合部３８の第１曲面Ｃ１の曲率は、第１接合部３８の下端３８ａよりも下方の垂下部３６の内壁面３６ａの曲率よりも大きく設定されている。
同様に、図３の側面断面視において、第２接合部４０の下端４０ａと上端４０ｂとの間の区間の第２曲面Ｃ２の曲率は、第２接合部４０の上端４０ｂよりも上方の後方傾斜部３４の内壁面３４ａの曲率よりも大きく設定されている。
また、図３の側面断面視において、第２接合部４０の第２曲面Ｃ２の曲率は、第２接合部４０の下端４０ａよりも下方の垂下部３６の内壁面３６ａの曲率よりも大きく設定されている。
さらに、図３の側面断面視において、第１接合部３８の第１曲面Ｃ１の曲率は、第２接合部４０の第２曲面Ｃ２の曲率よりも大きく設定されている。
また、図３の側面断面視において、第１接合部３８の第１曲面Ｃ１の曲率は、第１接合部３８の下端３８ａよりも下方の垂下部３６の内壁面３６ａの曲率よりも大きく設定されている。
同様に、図３の側面断面視において、第２接合部４０の下端４０ａと上端４０ｂとの間の区間の第２曲面Ｃ２の曲率は、第２接合部４０の上端４０ｂよりも上方の後方傾斜部３４の内壁面３４ａの曲率よりも大きく設定されている。
また、図３の側面断面視において、第２接合部４０の第２曲面Ｃ２の曲率は、第２接合部４０の下端４０ａよりも下方の垂下部３６の内壁面３６ａの曲率よりも大きく設定されている。
さらに、図３の側面断面視において、第１接合部３８の第１曲面Ｃ１の曲率は、第２接合部４０の第２曲面Ｃ２の曲率よりも大きく設定されている。
【0023】
つぎに、図３に示すように、後方傾斜部３４は、側面断面視において、その水平面に対する内壁面３４ａの傾斜角度αが前方傾斜部３２の内壁面３２ａの傾斜角度βよりも大きくなるように設定されている（α＞β）。
また、図４に示すように、垂下部３６は、第１接合部３８及び第２接合部４０に接合される垂下入口３６ｂを備えている。この垂下入口３６ｂは、図４の平面断面視において、その流路断面Ｓ０の前後方向の中心軸線Ｏ１よりも前方側の流路断面積Ａ１が、中心軸線Ｏ１よりも後方側の流路断面積Ａ２よりも大きくなるように設定されている（Ａ１＞Ａ２）。
また、図４に示すように、垂下部３６は、第１接合部３８及び第２接合部４０に接合される垂下入口３６ｂを備えている。この垂下入口３６ｂは、図４の平面断面視において、その流路断面Ｓ０の前後方向の中心軸線Ｏ１よりも前方側の流路断面積Ａ１が、中心軸線Ｏ１よりも後方側の流路断面積Ａ２よりも大きくなるように設定されている（Ａ１＞Ａ２）。
【0024】
上述した本発明の一実施形態による水洗大便器１によれば、便器本体２のボウル部６内の洗浄水及び汚物は、排水トラップ部８の入口８ａから排水トラップ部８の屈曲部３０内に排出される。
その後、洗浄水と共に排水トラップ部８の屈曲部３０を通過した汚物は、その下流側の排水トラップ部８の前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４を通過した後、排水トラップ部８の垂下部３６から排水ソケット（図示せず）を介して水洗大便器１の外部の排水管（図示せず）へと排出される。
また、排水トラップ部８の屈曲部３０を通過した洗浄水及び汚物Ｗが、排水トラップ部８の前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４を通過する際には、第２接合部４０の下端４０ａから上端４０ｂまでの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲Ｈ１が、第１接合部３８の下端３８ａから上端３８ｂまでの上下方向の高さ位置の範囲Ｈ２内に位置し、かつ、第１接合部３８の上端３８ｂが、第２接合部４０の上端４０ｂよりも高い位置に設定されている。
これにより、前方傾斜部３２及び後方傾斜部を通過する洗浄水及び汚物Ｗについて、前方側（前方傾斜部３２の第１接合部３８の第１曲面Ｃ１側）の流域から、後方側（後方傾斜部３４側）の流域よりも優先的に下方の垂下部３６に誘導することができる。
これらの結果、汚物が後方傾斜部３４側に誘導され難くなり、前方側（前方傾斜部３２の第１接合部３８の第１曲面Ｃ１側）の流域から下方の垂下部３６に誘導されるため、汚物が排水トラップ部８の屈曲部３０よりも下流側の流路内で詰まることを抑制することができる。
その後、洗浄水と共に排水トラップ部８の屈曲部３０を通過した汚物は、その下流側の排水トラップ部８の前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４を通過した後、排水トラップ部８の垂下部３６から排水ソケット（図示せず）を介して水洗大便器１の外部の排水管（図示せず）へと排出される。
また、排水トラップ部８の屈曲部３０を通過した洗浄水及び汚物Ｗが、排水トラップ部８の前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４を通過する際には、第２接合部４０の下端４０ａから上端４０ｂまでの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲Ｈ１が、第１接合部３８の下端３８ａから上端３８ｂまでの上下方向の高さ位置の範囲Ｈ２内に位置し、かつ、第１接合部３８の上端３８ｂが、第２接合部４０の上端４０ｂよりも高い位置に設定されている。
これにより、前方傾斜部３２及び後方傾斜部を通過する洗浄水及び汚物Ｗについて、前方側（前方傾斜部３２の第１接合部３８の第１曲面Ｃ１側）の流域から、後方側（後方傾斜部３４側）の流域よりも優先的に下方の垂下部３６に誘導することができる。
これらの結果、汚物が後方傾斜部３４側に誘導され難くなり、前方側（前方傾斜部３２の第１接合部３８の第１曲面Ｃ１側）の流域から下方の垂下部３６に誘導されるため、汚物が排水トラップ部８の屈曲部３０よりも下流側の流路内で詰まることを抑制することができる。
【0025】
また、本実施形態による水洗大便器１によれば、図３に示すように、後方傾斜部３４の側面断面視における水平面に対する傾斜角度αが、前方傾斜部３２における傾斜角度βよりも大きくなるように設定されている。
これにより、前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４を通過する洗浄水及び汚物Ｗについて、前方側（前方傾斜部３２の第１接合部３８の第１曲面Ｃ１側）の流域で早期に垂下部３６に誘導することができる。
また、前方傾斜部３２の傾斜角度βよりも大きい傾斜角度αの後方傾斜部３４により、洗浄水に対して強力な押し込み力を与えることができるため、後方側からも強力な押し込み力を有する洗浄水が汚物を下方の垂下部３６に確実に押し込むことができる。
これにより、前方傾斜部３２及び後方傾斜部３４を通過する洗浄水及び汚物Ｗについて、前方側（前方傾斜部３２の第１接合部３８の第１曲面Ｃ１側）の流域で早期に垂下部３６に誘導することができる。
また、前方傾斜部３２の傾斜角度βよりも大きい傾斜角度αの後方傾斜部３４により、洗浄水に対して強力な押し込み力を与えることができるため、後方側からも強力な押し込み力を有する洗浄水が汚物を下方の垂下部３６に確実に押し込むことができる。
【0026】
さらに、本実施形態による水洗大便器１によれば、図４に示すように、垂下入口３６ｂの平面断面視において、その流路断面Ｓ０の前後方向の中心軸線Ｏ１よりも前方側の流路断面積Ａ１が、後方側の流路断面積Ａ２よりも大きくなるように設定されている。
これにより、垂下部３６の上流側の汚物が垂下入口３６ｂから垂下部３６内に流入する際には、前方側の流域で早期に汚物を垂下部３６に誘導することができる。
これにより、垂下部３６の上流側の汚物が垂下入口３６ｂから垂下部３６内に流入する際には、前方側の流域で早期に汚物を垂下部３６に誘導することができる。
【符号の説明】
【0027】
１ 水洗大便器
２ 便器本体
４ 導水路
４ａ 導水路の入口
６ ボウル部
８ 排水トラップ部
８ａ 排水トラップ部の入口
１０ 貯水タンク
１２ 壺部
１４ 汚物受け面
１４ａ 汚物受け面の下縁
１６ 棚部
１８ リム部
２０ 第１リム吐水口
２２ 第２リム吐水口
２４ 共通導水路
２６ 第１リム導水路
２８ 第２リム導水路
３０ 排水トラップ部の屈曲部
３０ａ 屈曲部の最下端部
３０ｂ 屈曲部の下流端、後端
３２ 排水トラップ部の前方傾斜部
３２ａ 前方傾斜部の内壁面
３４ 排水トラップ部の後方傾斜部
３４ａ 後方傾斜部の内壁面
３６ 排水トラップ部の垂下部
３６ａ 垂下部の内壁面
３６ｂ 垂下入口
３８ 第１接合部
３８ａ 第１接合部の下端
３８ｂ 第１接合部の上端
４０ 第２接合部
４０ａ 第２接合部の下端
４０ｂ 第２接合部の上端
Ａ１ 垂下入口の流路断面の前後方向の中心軸線よりも前方側の流路断面積
Ａ２ 垂下入口の流路断面の前後方向の中心軸線よりも後方側の流路断面積
Ｂ ボウル部の後方領域
Ｃ１ 第１曲面
Ｃ２ 第２曲面
Ｆ ボウル部の前方領域
Ｈ１ 第２接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲
Ｈ２ 第１接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲
Ｌ ボウル部の左側領域
ＬＢ ボウル部の左後方領域
ＬＦ ボウル部の左前方領域
Ｏ ボウル部の中心、壺部の前後方向の中心
Ｏ１ 垂下入口の流路断面の前後方向の中心軸線
Ｒ ボウル部の右側領域
ＲＢ ボウル部の右後方領域
ＲＦ ボウル部の右前方領域
Ｓ０ 垂下入口の流路断面
Ｗ 洗浄水及び汚物
Ｘ ボウル部の水平左右方向の中心軸線
Ｙ ボウル部の水平前後方向の中心軸線
Ｚ ボウル部の中心を通る鉛直方向の中心軸線
α 排水トラップ部の後方傾斜部の内壁面の傾斜角度
β 排水トラップ部の前方傾斜部の内壁面の傾斜角度
２ 便器本体
４ 導水路
４ａ 導水路の入口
６ ボウル部
８ 排水トラップ部
８ａ 排水トラップ部の入口
１０ 貯水タンク
１２ 壺部
１４ 汚物受け面
１４ａ 汚物受け面の下縁
１６ 棚部
１８ リム部
２０ 第１リム吐水口
２２ 第２リム吐水口
２４ 共通導水路
２６ 第１リム導水路
２８ 第２リム導水路
３０ 排水トラップ部の屈曲部
３０ａ 屈曲部の最下端部
３０ｂ 屈曲部の下流端、後端
３２ 排水トラップ部の前方傾斜部
３２ａ 前方傾斜部の内壁面
３４ 排水トラップ部の後方傾斜部
３４ａ 後方傾斜部の内壁面
３６ 排水トラップ部の垂下部
３６ａ 垂下部の内壁面
３６ｂ 垂下入口
３８ 第１接合部
３８ａ 第１接合部の下端
３８ｂ 第１接合部の上端
４０ 第２接合部
４０ａ 第２接合部の下端
４０ｂ 第２接合部の上端
Ａ１ 垂下入口の流路断面の前後方向の中心軸線よりも前方側の流路断面積
Ａ２ 垂下入口の流路断面の前後方向の中心軸線よりも後方側の流路断面積
Ｂ ボウル部の後方領域
Ｃ１ 第１曲面
Ｃ２ 第２曲面
Ｆ ボウル部の前方領域
Ｈ１ 第２接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲
Ｈ２ 第１接合部の下端から上端までの上下方向の全体部分の高さ位置の範囲
Ｌ ボウル部の左側領域
ＬＢ ボウル部の左後方領域
ＬＦ ボウル部の左前方領域
Ｏ ボウル部の中心、壺部の前後方向の中心
Ｏ１ 垂下入口の流路断面の前後方向の中心軸線
Ｒ ボウル部の右側領域
ＲＢ ボウル部の右後方領域
ＲＦ ボウル部の右前方領域
Ｓ０ 垂下入口の流路断面
Ｗ 洗浄水及び汚物
Ｘ ボウル部の水平左右方向の中心軸線
Ｙ ボウル部の水平前後方向の中心軸線
Ｚ ボウル部の中心を通る鉛直方向の中心軸線
α 排水トラップ部の後方傾斜部の内壁面の傾斜角度
β 排水トラップ部の前方傾斜部の内壁面の傾斜角度
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】