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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050965
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】水素製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/04 20060101AFI20230404BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C01B3/04 A
B01J35/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161361
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏昌
(72)【発明者】
【氏名】籔内 真
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直人
(72)【発明者】
【氏名】古田 太
(72)【発明者】
【氏名】早川 純
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BB04B
4G169BC12A
4G169BC22A
4G169BC25A
4G169BC31A
4G169BC32A
4G169BC35A
4G169BC40A
4G169BC42A
4G169BC44A
4G169BC50A
4G169BC56A
4G169BC71A
4G169BD02A
4G169BD08A
4G169HA01
4G169HB01
4G169HF01
(57)【要約】
【課題】水素製造装置において、太陽光の紫外光から可視光鵜を含み赤外光までの広い範囲の波長成分を高効率に活用することにより、トータルの光活用効率を従来よりも高める。
【解決手段】光触媒を有し、水から水素を生成する水素製造装置において、太陽光を波長分離する波長分離部と、この波長分離部にて分離された赤外光を可視光に変換する赤外光変換部と、波長分離部にて分離された紫外光を可視光に変換する紫外光変換部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を有し、水から水素を生成する水素製造装置において、
太陽光を波長分離する波長分離部と、
前記波長分離部にて分離された赤外光を可視光に変換する赤外光変換部と、
前記波長分離部にて分離された紫外光を可視光に変換する紫外光変換部と、
を有することを特徴とする水素製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の水素製造装置であって、
前記波長分離部は、前記太陽光のうち赤外光を透過し、可視光と紫外光とを反射することを特徴とする水素製造装置。
【請求項3】
請求項2記載の水素製造装置であって、
前記紫外光変換部は、前記波長分離部で反射された前記可視光と前記紫外光のうち前記可視光を反射して前記紫外光を可視光に波長変換して出射させることを特徴とする水素製造装置。
【請求項4】
請求項2記載の水素製造装置であって、
前記紫外光変換部は、前記波長分離部で反射された前記可視光と前記紫外光との波長を分離して出射させることを特徴とする水素製造装置。
【請求項5】
請求項1記載の水素製造装置であって、
前記波長分離部は前記太陽光の波長を赤外光と可視光と紫外光とに分離することを特徴とする水素製造装置。
【請求項6】
光を照射することにより水から水素ガスを生成する光触媒と、
内部に水を流すパイプと、
太陽光を波長分離する波長分離部と、
前記波長分離部で太陽光を波長分離して得られた可視光を前記光触媒に集光して照射する第1の光学系と、
前記波長分離部で太陽光を波長分離して得られた紫外光を可視光に変換して前記光触媒に集光して照射する第2の光学系と、
前記波長分離部で太陽光を波長分離して得られた赤外光を可視光に変換して前記光触媒に集光して照射する第3の光学系と
を有することを特徴とする水素製造装置。
【請求項7】
請求項6記載の水素製造装置であって、
内部に水を流す第1のパイプと内部に水を流す第2のパイプを更に有し、前記光触媒の一部には水素ガス用の助触媒が形成されており、前記光触媒の他の部分には酸素ガス用の助触媒が形成されており、前記水素ガス用の助触媒が形成された側の前記光触媒は前記第1のパイプの内部に配置され、前記酸素ガス用の助触媒が形成された側の前記光触媒は前記第2のパイプの内部に配置されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項8】
請求項6記載の水素製造装置であって、
前記光触媒は前記パイプの内部に配置されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項9】
請求項8記載の水素製造装置であって、
前記パイプの内部に配置された前記光触媒の一部には水素ガス用の助触媒が形成されており、前記光触媒の他の部分には酸素ガス用の助触媒が形成されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項10】
請求項8記載の水素製造装置であって、
前記パイプの内部に配置された前記光触媒の一部には水素ガス用の助触媒が形成され、前記パイプの内部で前記光触媒と離れた位置に対向電極が配置され、前記パイプの内部において前記光触媒と前記対向電極との間はイオン交換膜で仕切られていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項11】
可視光を照射することにより水の中で水素ガスを生成する光触媒と、
太陽光に含まれる可視光と前記太陽光の前記可視光以外の光から生成した可視光とを前記光触媒に照射する光照射部と、
前記光照射部から前記太陽光に含まれる可視光と前記生成した可視光とが照射された前記光触媒で発生した水素ガスを前記水から分離する水・ガス分離機構部と
を備えることを特徴とする水素製造装置。
【請求項12】
請求項11記載の水素製造装置であって、
前記光照射部は、
波長分離部で前期太陽光を波長分離して得られた可視光を前記光触媒に集光して照射する第1の光学系と、
前記波長分離部で前記太陽光を波長分離して得られた紫外光を紫外光変換部で可視光に変換して前記光触媒に集光して照射する第2の光学系と、
前記波長分離部で前記太陽光を波長分離して得られた赤外光を赤外光変換部で可視光に変換して前記光触媒に集光して照射する第3の光学系と
を有することを特徴とする水素製造装置。
【請求項13】
請求項12記載の水素製造装置であって、
内部に水を流す第1のパイプと内部に水を流す第2のパイプを更に有し、前記光触媒の一部には水素ガス用の助触媒が形成され、前記光触媒の他の部分には酸素ガス用の助触媒が形成されており、前記水素ガス用の助触媒が形成された側の前記光触媒は前記第1のパイプの内部に配置され、前記酸素ガス用の助触媒が形成された側の前記光触媒は前記第2のパイプの内部に配置されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項14】
請求項12記載の水素製造装置であって、
内部に水を流すパイプを更に有し、前記光触媒は前記パイプの内部に配置され、前記パイプの内部に配置された前記光触媒の一部には水素ガス用の助触媒が形成されており、前記光触媒の他の部分には酸素ガス用の助触媒が形成されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項15】
請求項12記載の水素製造装置であって、
内部に水を流すパイプを更に有し、前記光触媒は前記パイプの内部に配置され、前記パイプの内部に配置された前記光触媒の一部には水素ガス用の助触媒が形成され、前記パイプの内部で前記光触媒と離れた位置に対向電極が配置され、前記パイプの内部において前記光触媒と前記対向電極との間はイオン交換膜で仕切られていることを特徴とする水素製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を光で分解して水素ガスを製造する水素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒に代表される太陽光により水を分解し、高効率に水素を生成する技術は、CO2排出を伴わない安価で蓄積可能なエネルギーキャリア生産技術として、水素発電や脱化石燃料を実現する水素自動車などの環境社会インフラ実現にむけた、再生可能エネルギー事業、環境事業としての応用が期待されている。
【0003】
また、太陽光の高効率活用技術が発展すれば、環境影響の大きい化学物質を分解する光触媒を適用することにより、有用材料の生産などに応用できることから、物質生成システムなど周辺産業への広がりも期待される。
【0004】
太陽光により水を分解して水素を生成することに関する技術として、特許文献1には、水の完全分解反応に関して高い活性を有する接合型Zスキーム触媒、及びこのような触媒
を利用する水素の製造方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-180245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽光により水を分解して水素を生成する場合に必要とされる太陽光エネルギーの高効率利用技術として、光触媒反応が活性となる照射光の周波数領域を、従来の紫外光領域で活性となる材料(NaTaO3:280nm、TiO2:400nm近辺)から、より太陽光スペクトルの光強度の強い可視光領域に活性領域を持つ材料(400~700nm)の開発が進められている。
【0007】
しかし、太陽光のスペクトルは、紫外光のみならず、赤外光にも大きく広がっており、これらのエネルギーは活用されていない。さらに、1000nm以上の赤外光は水の分解に必要とされる1.23V未満のエネルギーなため、そのままでは水分解には利用できない。このように、光触媒を有する水素製造装置では、光活用効率を向上させることができていなかった。
【0008】
特許文献1においても、太陽光の紫外光から赤外光に亘る広い波長領域の光を有効に利用することについては触れられていない。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、太陽光の紫外光から可視光を含み赤外光までの広い範囲の波長成分を高効率に活用し、トータルの光活用効率を従来よりも高めた水素製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、光触媒を有し、水から水素を生成する水素製造装置を、太陽光を波長分離する波長分離部と、この波長分離部にて分離された赤外光を可視光に変換する赤外光変換部と、波長分離部にて分離された紫外光を可視光に変換する紫外光変換部とを備えて構成した。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明では、水素製造装置を、光を照射することにより水から水素ガスを生成する光触媒と、内部に水を流すパイプと、太陽光を波長分離する波長分離部と、この波長分離部で太陽光を波長分離して得られた可視光を光触媒に集光して照射する第1の光学系と、波長分離部で太陽光を波長分離して得られた紫外光を可視光に変換して光触媒に集光して照射する第2の光学系と、波長分離部で太陽光を波長分離して得られた赤外光を可視光に変換して光触媒に集光して照射する第3の光学系とを備えて構成した。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために、本発明では、水素製造装置を、可視光を照射することにより水の中で水素ガスを生成する光触媒と、太陽光に含まれる可視光と太陽光の可視光以外の光から生成した可視光とを光触媒に照射する光照射部と、光照射部から太陽光に含まれる可視光と生成した可視光とが照射された光触媒で発生した水素ガスを水から分離する水・ガス分離機構部とを備えて構成した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、太陽光の紫外光から可視光を含み赤外光までの広い範囲の波長成分を高効率に活用してトータルの光活用効率を従来よりも高めた水素製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1に係る水素製造装置の平面図である。
図2図1のA-A´断面矢視図である。
図3図2のB部を拡大した斜視図である。
図4図2のC部を拡大した斜視図である。
図5】本発明の実施例2に係る水素製造装置の平面図である。
図6】実施例2に係る水素製造装置において、実施例1の図4のC部の詳細に相当する斜視図である。
図7】実施例2の変形例において図6に対応する斜視図である。
図8】本発明の実施例3に係る水素製造装置の平面図である。
図9図8のE-E´断面矢視図である。
図10図9のF部を拡大した斜視図である。
図11】実施例3の変形例2に係る水素製造装置の平面図である。
図12】本発明の実施例4に係る水素製造装置の平面図である。
図13図12のH-H´断面矢視図である。
図14図13のI部を拡大した斜視図である。
図15】本発明の実施例5に係る水素製造装置の平面図である。
図16図15のJ-J´断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、太陽光の波長スペクトルを効率よく光触媒の活性範囲に変換して光触媒上に集光する光学系と各種機能とを融合させるときの課題を解決する構成を採用することにより、水から水素を効率よく分離精製可能にした水素製造装置に関するものである。
【0016】
すなわち、本発明では、水素製造装置において、太陽光のエネルギレベルがピークになる可視光領域(波長:400nm~700nm)に活性領域を持つ光触媒(例えば、TiO2、 LaTiO2、 TaON、Y2Ti2O5S2、RhドープしたSrTiO3、ZnRh2O4, Sm2Ti2O2S5、CuAgZnSnS4など)を用いて、太陽光のうち紫外光領域の波長成分の光と、赤外光領域の波長成分の光とをそれぞれ波長変換して可視光領域の波長を有する光に変換して太陽光からの可視光と一緒に前記光触媒に照射することにより、水から水素を効率よく分離精製可能にしたものである。
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は原則として省略する。
【0018】
ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【実施例0019】
本発明の第1の実施例に係る水素製造装置について、図1乃至4を用いて説明する。
図1には、第1の実施例に係る水素製造装置10の全体構成に係る平面図を示し、図1におけるA―A´断面の矢視図を図2に示す。
【0020】
図1及び図2に示した構成において、101はレンズA、201は反射鏡、301は波長分離フィルタ、401は赤外光変換部、402はレンズB、501は紫外光変換部、601は光触媒、602は助触媒(水素用)、603は助触媒(酸素用)、604は基板、701は水素ガス生成側のパイプ、702は酸素ガス生成側のパイプ、703は水と水素ガス又は酸素ガスとを分離する水・ガス分離機構部である。
【0021】
本実施例に係る水素製造装置10は、図1に示した中央の線M-M´に対して左右の部分で対称な構成になっている。以下の説明では、図1及び図2の主に左側の構成について説明するが、右側の構成についても同様である。
【0022】
図1及び図2に示した構成において、レンズA:101は広い波長透過性を有する石英フレネルレンズである。ただし、レンズA:101は石英フレネルレンズに限らず、凸形レンズ、又は非線形局面を有するレンズなどで構成してもよい。レンズA:101に入射した太陽光は、レンズA:101よりも小さな表面積でレンズA:に対して傾いて設置されている反射鏡201の表面に集光される。
【0023】
反射鏡201は凹面鏡または非線形曲面で形成された反射鏡で、レンズA:101で集光された太陽光を反射して波長分離フィルタ301の表面に集光させる。波長分離フィルタ301は、赤外光を透過して、それよりも波長が短い可視光及び紫外光を反射する。
【0024】
波長分離フィルタ301を透過した赤外光は赤外光変換部401に入射する。赤外光変換部401は、赤外光が入射するとそれよりも波長が短い可視光を発する材料(例えば、Siなどからなる一辺の長さ約200ナノメートル、高さ500ナノメートル程度の四角形ナノピラーを400ナノメートル間隔で多数平面上に並列配置させたフォトニック結晶体の表面や、直径500ナノメートル程度の円形ナノホールを同様に敷き詰めたもの、あるいは、これに電圧印加することで半導体の性質を変え、反射光の波長を調整しうる構造を備えたフォトニック結晶体の表面、又は赤外光照射で可視光を発する蛍光剤(光アップコンバージョン材料)など)を基材上に形成した構成で形成されている。すなわち、赤外光が入射することにより、赤外光変換部401からは可視光が発生する。
【0025】
なお、赤外光変換部401において、入射した赤外光から可視光を発生させるために赤外光変換部401を加熱する必要がある場合には、赤外光変換部401を内部に加熱手段を備えた構成とすればよい。
【0026】
赤外光が入射した赤外光変換部401で発生した可視光は、レンズB:402に入射する。図2で点線Bで囲んだ領域を拡大した図を、図3に示す。波長分離フィルタ301を透過した赤外光は赤外光変換部401に入射し、赤外光変換部401で発生した可視光は、レンズB:402に入射して、光触媒601とその両端部に形成された助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603の表面に集光される。
【0027】
赤外光変換部401は、波長分離フィルタ301を透過した赤外光をより多く入射させるとともに、発生した可視光をより多くレンズB:402に入射させるために、波長分離フィルタ301及びレンズB:402に対して傾いて設置されている。
【0028】
一方、波長分離フィルタ301に入射した太陽光のうち波長分離フィルタ301を透過しなかった可視光及び紫外光は、波長分離フィルタ301で反射されて紫外光変換部501に入射する。紫外光変換部501は基材の表面に、紫外光照射で蛍光(可視光)を発する蛍光剤が塗布されている。
【0029】
紫外光変換部501に入射した可視光及び紫外光のうち可視光は、紫外光変換部501の表面で反射して光路が変換され、紫外光変換部501により光触媒601とその両端部に形成された助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603の表面に集光される。一方、紫外光が紫外光変換部501に入射することにより紫外光変換部501の基材の表面に塗布された蛍光剤から蛍光(可視光)が発生し、その一部は光触媒601とその両端部に形成された助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603の表面に集光される。
【0030】
図2において点線Cで囲んだ光触媒601を含む部分の詳細を、図4に示す。光触媒601とその一方の端部に形成された助触媒(水素用)602及び他方の端部に形成された助触媒(酸素用)603は、基板604の上に形成されている。光触媒601の助触媒(水素用)602が形成されている側の端部は、基板604と一緒に、内部を水が流れる水素ガス生成側のパイプ701の中に入っている。一方、光触媒601の助触媒(酸素用)603が形成されている側の端部は、基板604と一緒に、内部を水が流れる酸素ガス生成側のパイプ702の中に入っている。この状態で、助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603との間には、電位差が生じる。
【0031】
光触媒601及び基板604と水素ガス生成側のパイプ701及び酸素ガス生成側のパイプ702の間には、水素ガス生成側のパイプ701又は酸素ガス生成側のパイプ702の中を流れる水が外部に漏れないようにするために、図示していないシール部材でシールされている。
【0032】
助触媒は光触媒との組み合わせで材料が決定される。例えば、ドープされたSrTiO3では、酸素を発生する陽極側にIrO3、BiVO4、CoO、やCoOOHなどを用い、水素を発生する陰極側は光触媒材料そのものでよい。また、WO3では陽極側にPO3、陰極側はWO3を用いる。また、TaONは陽極側にNiO、陰極側はWO3を担持したTaONを用いる。LaTiONでは陽極にLaTiO2、陰極にはPt担持したLaTiO2、Y2Ti2O2S5では陽極側にIrO2、陰極側にRhまたはCr2O3被覆した上に形成したRhを用いる。等が挙げられており、ここに記載した以外にも、適切な組み合わせを選定し用いるものとする。
【0033】
図4に示したような構成で、光触媒601とその両端部に形成された助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603は、レンズA:101に入射した太陽光のうち赤外光から変換されてレンズB:402で集光された可視光と、レンズA:101に入射した太陽光のうち紫外光変換部501で紫外光から変換された可視光と紫外光変換部501で反射された可視光が入射してこれらの可視光により照射される。
【0034】
これらの可視光が照射された光触媒601とその両端部に形成された助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603では、水素ガス生成側のパイプ701の内部において水が分解されて水素ガスが発生し、酸素ガス生成側のパイプ702の内部において水が分解されて酸素ガスが発生する。
【0035】
水素ガス生成側のパイプ701の内部で発生した水素ガスは、水と一緒に流れて水・ガス分離機構部703において水から水素ガスが分離され、水素ガスが回収される。一方、酸素ガス生成側のパイプ702の内部で発生した酸素ガスは、水と一緒に流れて水・ガス分離機構部703において水から酸素ガスが分離され、酸素ガスが回収される。
【0036】
水素発生電極側の電位はほとんどゼロであるが、触媒の種類によっては、水の電位よりも低いと反応が極端に遅くなるか止まってしまう場合があるため、0.5V未満の弱い外部電圧を付加する機構を設ける場合を含めるものとする。また、反応を促進するため、水は添加物により電解質溶液にしている場合も含むものとする。
【0037】
本実施例によれば、水素製造装置10に入射する太陽光のうち、そのままでは光触媒を活性化させることができず水素ガスの生成に寄与しない赤外光と紫外光の成分をそれぞれ可視光に変換して用いることにより、水素製造装置10における太陽光の利用効率を向上させることができるようになった。
【実施例0038】
本発明の第2の実施例を、図5及び図6を用いて説明する。
図5は、第2の実施例に係る水素製造装置20の全体構成を示す平面図である。本実施例に係る水素製造装置20の構成のうち、レンズA:101に入射した太陽光をレンズB:402を介して光触媒601に照射する光学系の構成、及びレンズA:101に入射した太陽光を紫外光変換部501を介して光触媒601に照射する光学系の構成は実施例1で説明した水素製造装置10の構成と同じであるので、説明を省略する。
【0039】
本実施例では、実施例1における図2の点線Cで囲んだ部分に相当する光触媒601を含む部分の構成が実施例1と異なる。図5のD-D´断面において図2の点線Cで囲んだ部分に相当する本実施例に係る光触媒601を含む部分の詳細を図6の斜視図に示す。
【0040】
実施例1においては、光触媒601の両側の水素ガス生成側のパイプ701と酸素ガス生成側のパイプ702とは互いに分離して配置されていた。これに対して、本実施例においては、水素ガス生成側のパイプ701-1と酸素ガス生成側のパイプ702-1とを中間部710で連結して、光触媒601全体を水の中に入れる構成となっている。
【0041】
このような構成とすることにより、水素ガス生成側のパイプ701-1の中を流れる水と酸素ガス生成側のパイプ702-1の中を流れる水とが互いに混じり合ってしまう。しかし本実施例では、中間部710とその下側の光触媒601との間隔を狭く設定することで、互いのパイプの中を流れる水が混じり合う量を少なくした。これにより水素ガス生成側のパイプ701-1の側に流れ込む酸素ガスの量及び酸素ガス生成側のパイプ702-1の側に流れ込む水素ガスの量を小さくすることができ、水・ガス分離機構部703で分離される水素ガス及び酸素ガスの収量の低減は、無視することができる程度に小さくすることができる。
【0042】
本実施例によれば、光触媒601全体を水の中に入る構成なので、実施例1の構成のような光触媒601と水素ガス生成側のパイプ701及び酸素ガス生成側のパイプ702との間の水漏れを防ぐような構成を必要としない分、構成を簡素化することができる。
【0043】
[変形例]
実施例2の変形例を図7に示す。図7に示した構成は、図6に示した構成に対して、酸素ガス生成側のパイプ702-2の側の構成、及び水素ガス生成側のパイプ701-2と酸素ガス生成側のパイプ702-2とを中間部710で連結する構成は同じであるが、水素ガス生成側のパイプ701-2の内部の構成が異なる。
【0044】
すなわち、本変形例においては、水素ガス生成側のパイプ701-2の内部において、図6の助触媒(水素用)602をなくして代わりにPtなどで形成された対向電極606を設け、対向電極606と光触媒601および基板604との間にイオン交換膜607を設置する構成とした。
【0045】
イオン交換膜607は、対イオンを透過する性質を有するものである。水素ガス生成側のパイプ701-2と酸素ガス生成側のパイプ702-2との間をこのイオン交換膜607で仕切ることにより、水素ガス生成側のパイプ701-2と酸素ガス生成側のパイプ702-2とにおいて、酸素と水素を分離して生成することができる。
【0046】
本変形例によれば、実施例2で説明した効果に加えて、光触媒601の一方の端部の側(図7に示した構成では、酸素ガス生成側のパイプ702-2の側)だけに助触媒(図7の例では助触媒(酸素用)603)を形成すればよいので、図6に示したような光触媒601の両方の端部にそれぞれ光触媒を形成する構成と比べて作業工数が低減されて作り方が簡単になる。
【0047】
さらに、光触媒601と組み合わせる助触媒が図6の場合の2種類から1種類に減ることで、光触媒601と助触媒との材料の選択が容易になる。
【実施例0048】
本発明の第3の実施例を、図8乃至11を用いて説明する。
実施例1および2においては、波長分離フィルタ301で反射された可視光と紫外光を紫外光変換部501に入射させて、可視光を反射して紫外光を蛍光に変換する構成であった。これに対して、本実施例では、紫外光の波長変換を行わず、波長分離板を用いて波長に応じた回折光を発生させる構成とした。
【0049】
図8には、本実施例に係る水素製造装置30の平面図、図9には、図8におけるE-E´断面の矢視図を示す。
【0050】
本実施例に係る水素製造装置30の構成は、レンズA:101に入射して反射鏡201で反射された太陽光のうち、波長分離フィルタ301で分離された可視光から紫外光領域の波長を有する光の処理が実施例1及び2で説明した構成と異なる。
【0051】
一方、レンズA:101に入射して反射鏡201で反射された太陽光のうち、波長分離フィルタ301を透過した赤外光が入射した赤外光変換部401から発生した可視光がレンズB:402を介して光触媒601に照射する光学系の構成は、実施例1で説明した水素製造装置10の構成と同じであるので、説明を省略する。
【0052】
図9に示した構成において、波長分離フィルタ301で反射された可視光から紫外光領域の波長を有する光は回折角度で波長分離部(モノクロメータ)502に入射する。
【0053】
図9において点線Fで囲んだ部分の拡大図を図10に示す。波長分離フィルタ301で反射した可視光から紫外光領域の波長を有する光は、波長分離部(モノクロメータ)502に入射し、波長に応じた回折角度で波長分離部(モノクロメータ)502から出射して光触媒601-1の表面に入射する。ここで、波長分離部(モノクロメータ)502は、波長分離フィルタ301から入射した光により発生した回折光が光触媒601-1の表面の方向に進むように、波長分離フィルタ301と光触媒601-1の表面に対する角度が調整されている。
【0054】
波長分離部(モノクロメータ)502で発生した回折光は、波長に応じて波長分離部(モノクロメータ)502からの出射角度が変わり、図10の例では光触媒601-1の上側には比較的短い波長の光(紫外光)が入射し、光触媒601-1の下側には比較的長い波長の光(可視光)が入射する。
【0055】
ここで、光触媒601-1は、実施例1及び2で説明した光触媒601と同様に、可視光に対して感度を有する材料で形成されており、その一部には、図10の右側に拡大して表示したように、上側の比較的短い波長の光(紫外光)が入射する部分には紫外光を可視光に変換する材料で構成された波長変換層503が形成されている。波長変換層503に入射した紫外光は可視光に変換されて、波長変換層503の下の光触媒601-1に達する。一方、比較的長い波長の光(可視光)は、下側の可視光に対して感度を有する材料で形成されている部分に入射する。
【0056】
このように波長に応じて光触媒601-1に入射する位置が異なるように構成して、光触媒601-1の表面のうち紫外光が入射する部分に波長変換層503を形成することにより、レンズA:101に入射した太陽光のうち紫外光は波長変換をすることなく可視光と共に光触媒601-1に照射されるので、レンズA:101に入射した太陽光のうち光触媒601-1に照射される光量の低減を抑えることができる。
なお、図10の波長変換層503を形成した部分に、波長変換層503に替えて、紫外光感度光触媒の層を形成して、当該部分に入射した紫外光により直接光触媒反応を発生させるようにしてもよい。
【0057】
[変形例1]
実施例3の第1の変形例として、図10に示した光触媒601-1の波長変換層503を、紫外光に対して感度を有する材料に置き換えた例について説明する。
【0058】
図10の右側に拡大して表示した光触媒601-1の構成において、紫外光が入射する波長変換層503の部分を、紫外光に対して感度を有する材料で形成された光触媒に置き換えることにより、波長分離部(モノクロメータ)502で回折して光触媒601-1の上側の部分に入射した紫外光を波長変換することなくそのまま検出することができる。一方、下側の比較的長い波長の光(可視光)が入射する部分は、実施例3で説明した光触媒601と同様に、可視光に対して感度を有する材料で形成されている。
【0059】
このように、光触媒601-1の表面を、入射する光の波長に応じた感度を有する材料で構成することにより、レンズA:101に入射した太陽光のうち紫外光は波長変換をすることなく可視光と共に光触媒601-1に照射されるので、レンズA:101に入射した太陽光のうち光触媒601-1に照射される光量の低減を抑えることができる。
【0060】
[変形例2]
実施例3の第2の変形例として、本変形例に係る水素製造装置40の平面図を、図11に示す。
【0061】
本変形例に係る水素製造装置40は、図11のG-G´断面に対応する実施例3の図9における光触媒601-1及びその周辺の構成を、実施例2で図6を用いて説明したのと同様に、水素ガス生成側のパイプ701-1と酸素ガス生成側のパイプ702-1とを中間部710で連結して、光触媒601-1全体を水の中に入れる構成としたものである。
【0062】
本変形例によれば、光触媒601全体を水の中に入れる構成なので、実施例3の構成のような光触媒601-1と水素ガス生成側のパイプ701及び酸素ガス生成側のパイプ702との間の水漏れを防ぐための構成を必要としない分、構成を簡素化することができる。
【0063】
また、実施例2の変形例として図7を用いて説明したような構成としてもよい。
この図7に示したような構成とすることにより、図9に示したような光触媒601-1の両方の端部にそれぞれ助触媒602と603とを形成する構成と比べて作業工数が低減されて作り方が簡単になる。
【0064】
さらに、光触媒601-1と組み合わせる助触媒が図6の場合の2種類から図7に示したように1種類に減ることで、光触媒601-1と助触媒との材料の選択が容易になる。
【実施例0065】
本発明の第4の実施例を、図12図14を用いて説明する。
本実施例は、赤外光変換部401から出射した可視光を光ファイバを用いて光触媒601に照射するように構成した点において、実施例1乃至3で説明した構成と異なる。
【0066】
図12には、本実施例に係る水素製造装置50の平面図、図13には、図12におけるH-H´断面の矢視図を示す。
【0067】
図12及び図13に示した水素製造装置50の構成において、レンズA:101に入射して反射鏡201で反射された太陽光のうち、波長分離フィルタ301で分離された可視光から紫外光領域の波長を有する光を紫外光変換部501に入射させて紫外光変換部501から出射した可視光を光触媒601に照射する光学系の構成、及びレンズA:101に入射して反射鏡201で反射された太陽光のうち、波長分離フィルタ301を透過した赤外光を赤外光変換部401からレンズB:402に入射させるまでの光学系は実施例1で説明した水素製造装置10の構成と同じであるので、説明を省略する。
【0068】
本実施例に係る水素製造装置50は、図12に示すように、赤外光変換部401に対するレンズB:402の位置関係が実施例1乃至3の構成と異なり、レンズB:402を挟んで赤外光変換部401と反対側に光ファイバ404の先端部分403が配置されている。
【0069】
図13の断面図に示すように、本実施例に係る水素製造装置50では、レンズB:402と光触媒601との間に、光ファイバ404が配置されている。このような構成において、図13の点線Iで囲んだ部分を拡大して表示した図14に示すように、波長分離フィルタ301を透過して赤外光変換部401に入射した赤外光により赤外光変換部401で発生した可視光はレンズB:402に入射し、レンズB:402から出射した可視光は光ファイバ404の先端部分403に集光される。この先端部分403に集光された光は光ファイバ404を伝って反対側の端部から光触媒601の側に出射される。実際には、光ファイバ404は図13に示すように途中で分岐してもう一方の光触媒601の側にも出射するが、図14においては、その表示を省略している。
【0070】
本実施例によれば、光ファイバ404を用いて可視光を光触媒601に照射する構成とすることにより、レンズB:402と光触媒601との間の構造物の影響を受けることなく光路を設定することができ、赤外光変換部401で発生した可視光を確実に光触媒601に照射することができる。
【0071】
なお、本実施例においても、水素ガス生成側のパイプ701と酸素ガス生成側のパイプ702とを、実施例2で図6を用いて説明したような、水素ガス生成側のパイプ701-1と酸素ガス生成側のパイプ702-1とを中間部710で連結して、光触媒601全体を水の中に入る構成、又は実施例2の変形例で説明したように図7に示したような構成としてもよい。
【0072】
また、紫外光変換部501を、実施例3で説明したような波長分離部(モノクロメータ)502と置き換えて、図10で説明したような、光触媒601-1の一部に波長変換層503を形成した構成と組み合わせてもよい。
【実施例0073】
本発明の第5の実施例を、図15図16を用いて説明する。
図15は本実施例に係る水素製造装置60の平面図、図16図15におけるJ-J´断面の矢視図である。
【0074】
本実施例に係る水素製造装置60は、レンズA:101を用いている点で実施例1で説明した水素製造装置10と共通しているが、レンズA:101を出射した光の経路は、実施例1で説明した水素製造装置10と異なっている。
【0075】
本実施例に係る水素製造装置60は、波長分離機構(モノクロメータ型)202,レンズC(赤外光)302,レンズD(可視光)303、レンズE(紫外光)304、赤外光変換部401,集光鏡B:406,紫外光変換部504,集光鏡D:505,光触媒601,助触媒(水素用)602,助触媒(酸素用)603,基板604,水素ガス生成側のパイプ701、酸素ガス生成側のパイプ702とを備えている。
【0076】
水素ガス生成側のパイプ701と酸素ガス生成側のパイプ702とは、図1で説明した実施例1の水素製造装置10と同様に、水・ガス分離機構部703に接続して、水素ガスと酸素ガスとが取り出される。
【0077】
図15図16に示した構成において、レンズA:101に入射した太陽光は、波長分離機構202に集光して照射される。波長分離機構202に集光して照射された太陽光は、波長分離機構202で波長に応じた角度で出射する。図16に示した構成においては、波長が長い赤外光はレンズC(赤外光)302の方向に出射し、可視光はレンズD(可視光)303の方向に出射し、紫外光はレンズE(紫外光)304の方向に出射する。
【0078】
レンズC(赤外光)302に入射した赤外光は、赤外光変換部401の方向に出射して収束され、赤外光変換部401に入射する。赤外光が入射することにより赤外光変換部401からは可視光が発生し、この発生した可視光は集光鏡B:406の方向に出射して集光鏡B:406により光触媒601の表面に集光して照射される。
【0079】
レンズD(可視光)303に入射した可視光は、光触媒601の方向に出射して収束され、光触媒601に入射する。
【0080】
レンズE(紫外光)304に入射した紫外光は、紫外光変換部504の方向に出射して収束され、紫外光変換部504に入射する。紫外光が入射することにより紫外光変換部504からは可視光が発生し、この発生した可視光は集光鏡D:505の方向に出射して集光鏡D:505により光触媒601の表面に集光して照射される。
【0081】
可視光が照射された光触媒601とその両端部に形成された助触媒(水素用)602と助触媒(酸素用)603では、水素ガス生成側のパイプ701の内部において水が分解されて水素ガスが発生し、酸素ガス生成側のパイプ702の内部において水が分解されて酸素ガスが発生する。
【0082】
水素ガス生成側のパイプ701の内部で発生した水素ガスは、水と一緒に流れて実施例1で図1を用いて説明した水・ガス分離機構部703において水から水素ガスが分離され、水素ガスが回収される。一方、酸素ガス生成側のパイプ702の内部で発生した酸素ガスは、水と一緒に流れて水・ガス分離機構部703において水から酸素ガスが分離され、酸素ガスが回収される。
【0083】
本実施例によれば、水素製造装置10に入射する太陽光のうち、光触媒を活性化させることができず水素ガスの生成に寄与しない赤外光と紫外光の成分をそれぞれ可視光に変換して用いることにより、水素製造装置10における太陽光の利用効率を向上させることができるようになった。
【0084】
なお、本実施例においても、水素ガス生成側のパイプ701と酸素ガス生成側のパイプ702とを、実施例2で図6を用いて説明したような、水素ガス生成側のパイプ701-1と酸素ガス生成側のパイプ702-1とを中間部710で連結して、光触媒601全体を水の中に入る構成、又は実施例2の変形例で説明したように図7に示したような構成としてもよい。
【0085】
また、紫外光変換部504を、実施例3で説明したような波長分離部(モノクロメータ)502と置き換えて、集光鏡D:505により光触媒601の表面の紫外光に感度を有する紫外光感度光触媒が塗布された領域に集光して照射し、図10で説明したような、光触媒601の一部に波長変換層503を形成した構成と組み合わせてもよい。
【0086】
また、紫外光変換部504に替えて紫外光を反射する反射鏡を用い、集光鏡D:505により光触媒601の表面の紫外光に感度を有する紫外光感度光触媒が塗布された領域に集光して照射する、実施例3の変形例1で説明したのと類似した構成としてもよい。
【0087】
なお、上記した実施例においては、水素ガス生成側のパイプ701又は701-1と酸素ガス生成側のパイプ702又は702-1の内部に水を流して水素ガスと酸素ガスを生成する例を説明したが、水に替えてアンモニア(NH3)と水を混合した液体を流してもよい。このような混合液を用いた場合、水・ガス分離機構部703において、水素ガスと窒素ガスを分離回収することができる。
【0088】
また、水に替えて水と二酸化炭素を混合した液体を流すことにより、水・ガス分離機構部703において、水素ガスが回収され、又液体としてギ酸を回収することができる。
【0089】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0090】
10、20,30,40,50、60 水素製造装置
101 レンズA
201 反射鏡
202 波長分離機構
301 波長分離フィルタ
302 レンズC(赤外光)
303 レンズD(可視光)
304 レンズE(紫外光)
401 赤外光変換部
402 レンズB
404 光ファイバ
406 集光鏡B
501、504 紫外光変換部
503 波長変換層
502 波長分離部(モノクロメータ)
505 集光鏡D
601 光触媒
602 助触媒(水素用)
603 助触媒(酸素用)
701、701-1 水素ガス生成側のパイプ
702、702-1 酸素ガス生成側のパイプ
703 水・ガス分離機構部
710 中間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16