(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050968
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】粉末食品組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230404BHJP
【FI】
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161365
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野村 雅之
(72)【発明者】
【氏名】稲場 由美
(72)【発明者】
【氏名】行武 孝晃
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB08
4B018LE03
4B018MD08
4B018MD20
4B018MD28
4B018MD29
4B018MD32
4B018MD50
4B018MD58
4B018ME14
(57)【要約】
【課題】米糠とタンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させる。
【解決手段】油分が2質量%を超える米糠と、タンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物であって、さらに、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分が2質量%を超える米糠と、タンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物であって、
さらに、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有することを特徴とする粉末食品組成物。
【請求項2】
前記タンパク質粉末が、ホエイ、玄米タンパク質、及び大豆タンパク質の少なくともいずれか一種を含有する請求項1に記載の粉末食品組成物。
【請求項3】
前記単糖類が、グルコース、フルクトース、及びガラクトースの少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の粉末食品組成物。
【請求項4】
前記二糖類が、ラクトース、マルトース、スクロース、及びトレハロースの少なくとも一種を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末食品組成物。
【請求項5】
前記糖アルコールが、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、及びソルビトールの少なくとも一種を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の粉末食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、米糠を含有した粉末食品組成物が知られている。
特許文献1には、大豆粉末と、澱粉粉末と、米糠粉末と、茶葉粉末と、カルシウム粉末とが配合された粉末食品組成物としての健康食品について記載されている。この健康食品を水に混合し、沸騰させた後、摂取することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、粉末食品組成物として米糠に加えて大豆粉末等のタンパク質粉末を用いた場合、米糠単独の場合よりも水に対する分散性が低下しやすくなる傾向がある。そのため、粉末食品組成物を水に分散させる際に、より長い時間を要するという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための粉末食品組成物は、油分が2質量%を超える米糠と、タンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物であって、さらに、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有することを要旨とする。
【0006】
上記粉末食品組成物について、前記タンパク質粉末が、ホエイ、玄米タンパク質、及び大豆タンパク質の少なくともいずれか一種を含有することが好ましい。
上記粉末食品組成物について、前記単糖類が、グルコース、フルクトース、及びガラクトースの少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0007】
上記粉末食品組成物について、前記二糖類が、ラクトース、マルトース、スクロース、及びトレハロースの少なくとも一種を含有することが好ましい。
上記粉末食品組成物について、前記糖アルコールが、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、及びソルビトールの少なくとも一種を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、米糠とタンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る粉末食品組成物を具体化した実施形態について説明する。
本実施形態の粉末食品組成物は、油分が2質量%を超える米糠と、タンパク質粉末とを含有する。さらに、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有する。
【0010】
上記粉末食品組成物が、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有することにより、米糠とタンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【0011】
以下、粉末食品組成物を構成する各成分について説明する。
<米糠>
上記米糠としては特に制限されず、油分が2質量%を超える公知の米糠を使用することができる。公知の米糠としては、例えば玄米の果皮、種皮、外胚乳、澱粉層等、玄米を精白して白米を製造する際に副生するものを使用することができる。
【0012】
米糠は、一般に油分を20質量%程度含有しているため、リパーゼによる油の加水分解と酸化が急速に進む虞がある。そのため、精白後のできるだけ早い時期にリパーゼ失活処理を施すことが好ましい。リパーゼ失活処理は、特に制限されないが、例えば米糠を70~130℃で加熱処理することにより行われる。加熱処理には、例えばクッキング装置、乾式エクストルーダー、湿式エクストルーダー、水蒸気処理装置等を用いることができる。
【0013】
上記米糠の油分は、5質量%以上19質量%以下であることが好ましく、9質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
米糠の油分が上記数値範囲であると、米糠の栄養成分を好適に保持しつつ、粉末食品組成物をより長期間保存することが可能になる。
【0014】
米糠の油分は、米糠を公知の方法で脱脂することによって調整することができる。油分が19質量%以下の米糠を脱脂米糠ともいうものとする。脱脂米糠としては、予めリパーゼ失活処理が施された市販の脱脂米糠を用いてもよい。
【0015】
米糠の粒度分布は、特に制限されないが、粒径35μm以下の粒子の割合が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0016】
米糠が上記の粒度分布を有することにより、米糠を水に分散させやすくなる。また、粉末飲料として用いた際に、口当たりを良好にすることができる。
米糠の粒度分布の測定方法は特に制限されず、公知の測定方法を採用することができる。米糠の粒度分布の測定方法については後述する。
【0017】
<タンパク質粉末>
タンパク質粉末としては、特に制限されず、公知のタンパク質粉末を使用することができる。公知のタンパク質粉末は、動物性タンパク質であってもよいし、植物性タンパク質であってもよい。
【0018】
動物性タンパク質としては、例えばホエイ、カゼイン等を挙げることができる。
植物性タンパク質としては、例えば玄米タンパク質、大豆タンパク質、えんどう豆タンパク質(ピープロテインともいう。)、麻の実タンパク質(ヘンププロテインともいう。)、小麦タンパク質等が挙げられる。
【0019】
これらの中でも、タンパク質粉末が、ホエイ、玄米タンパク質、及び大豆タンパク質の少なくともいずれか一種を含有することが好ましい。ホエイ、玄米タンパク質、及び大豆タンパク質の少なくともいずれか一種を含有することにより、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有させた際の水への分散性がより好適に向上する。
【0020】
タンパク質粉末の粒度分布は、特に制限されないが、D50が1μm以上55μm以下で、D90が1μm以上125μm以下であることが好ましい。タンパク質粉末は、D50が1.5μm以上40μm以下で、D90が8μm以上110μm以下であることがより好ましい。タンパク質粉末は、D50が2μm以上32μm以下で、D90が15μm以上100μm以下であることがさらにより好ましい。
【0021】
なお、D50は、粒子の50%がこれより大きく、粒子の50%がこれより小さい粒径を意味するものとする。別名メディアン径と呼ばれる。D90は、これ以下の粒子の比率が90%である粒径を意味するものとする。
【0022】
タンパク質粉末の粒度分布の測定方法としては、例えば株式会社島津製作所社製のナノ粒子径分布測定装置(SALD-7500)を用いて測定することができる。具体的な測定方法については後述する。
【0023】
上記タンパク質粉末は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
<単糖類、二糖類、及び糖アルコール>
(単糖類)
単糖類としては、特に制限されず、公知の単糖類を用いることができる。公知の単糖類としては、例えばリボース、デオキシリボース等の五炭糖、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の六炭糖等が挙げられる。これらの中でも、グルコース、フルクトース、又はガラクトースであることが好ましい。グルコース、フルクトース、又はガラクトースであることにより、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【0024】
上記単糖類は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(二糖類)
二糖類としては、特に制限されず、公知の二糖類を用いることができる。公知の二糖類としては、例えばラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラクツロース、セロビオース等が挙げられる。これらの中でも、ラクトース、マルトース、スクロース、又はトレハロースであることが好ましい。ラクトース、マルトース、スクロース、又はトレハロースであることにより、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【0025】
上記二糖類は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(糖アルコール)
糖アルコールとしては、特に制限されず、公知の糖アルコールを用いることができる。公知の糖アルコールとしては、例えばエリスリトール、グリセリン、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。これらの中でもエリスリトール、マルチトール、キシリトール、又はソルビトールであることが好ましい。エリスリトール、マルチトール、キシリトール、又はソルビトールであることにより、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【0026】
上記糖アルコールは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
粉末食品組成物中の単糖類、二糖類、及び糖アルコールの粒度は特に制限されない。一般に市販されている程度の粒度を有する単糖類、二糖類、及び糖アルコールを用いることができる。以下では、単糖類、二糖類、及び糖アルコールを、単に糖類ともいう。
【0027】
粉末食品組成物中の米糠、タンパク質粉末、及び糖類の含有割合は、特に制限されないが、米糠を10質量%以上70質量%以下、タンパク質粉末を1質量%以上85質量%以下、糖類を2質量%以上80質量%以下含有することが好ましい。
【0028】
また、米糠を20質量%以上55質量%以下、タンパク質粉末を5質量%以上25質量%以下、糖類を20質量%以上60質量%以下含有することがより好ましい。
米糠、タンパク質粉末、及び糖類の含有割合が上記数値範囲であることにより、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させつつ、米糠の有する栄養素を好適に摂取することが可能になる。また、タンパク質を好適に摂取することも可能になる。
【0029】
粉末食品組成物の形態としては特に制限されず、例えば粉末状、フレーク状、顆粒状等が挙げられる。ここで、「粉末」とは、粒径が5mm以下の粉状の形態を意味するものとする。そのため、上記フレーク状や顆粒状の形態であっても、粒径が5mm以下であるものは粉末に含まれるものとする。すなわち、本発明の粉末食品組成物は、各成分の粒子が粉末状のまま混合された態様に限定されず、各成分の粒子がフレーク状や顆粒状に成形された態様を含むものとする。言い換えれば、粉末食品組成物には、フレーク状や顆粒状の形態も含まれるものとする。
【0030】
粉末食品組成物がフレーク状や顆粒状であることにより、各成分の混合状態を維持しやすくなる。また、粉末食品組成物の取り扱い性が向上する。
なお、フレーク状や顆粒状等に成形する際には、適宜、公知のバインダー等を使用してもよい。
【0031】
本実施形態の粉末食品組成物の用途としては、特に制限されず、一般食品や保健機能食品、特別用途食品等に使用することができる。また、保健機能食品としては、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等に使用することができる。
【0032】
粉末食品組成物の具体的な用途としては、例えば粉末飲料、粉末スープ等が挙げられる。
粉末飲料としては、例えば青汁飲料、茶系飲料、スポーツ飲料、美容飲料、果汁飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、清涼飲料等に使用することができる。
【0033】
また、粉末食品組成物を、タブレット菓子、ゼリー類、スナック類、焼き菓子、揚げ菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、グミ等の菓子類、スープ類、めん類、米飯類、シリアル等の原料に使用してもよい。
【0034】
粉末食品組成物は、本実施形態の成分以外に、食品に許容される添加物を含有していてもよい。これら添加物の含有量は、特に制限されず、本実施形態に及ぼす影響として許容される範囲内において含有させることができる。
【0035】
本実施形態の粉末食品組成物の作用について説明する。
一般に、水の表面張力は、水に含まれる不純物の含有量に応じて低下する。水に単糖類、二糖類、又は糖アルコールを溶解させると、水の表面張力を低下させることができる。単糖類、二糖類、又は糖アルコールは、澱粉等の多糖類に比べて分子の大きさが相対的に小さいため、より素早く水に溶解させることができる。そのため、粉末食品組成物が単糖類、二糖類、又は糖アルコールを含有すると、澱粉等の多糖類を含有する態様に比べて、より素早く水の表面張力を低下させることができる。
【0036】
本実施形態の粉末食品組成物の効果について説明する。
(1)油分が2質量%を超える米糠と、タンパク質粉末とを含有する粉末食品組成物であって、さらに、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有する。
【0037】
粉末食品組成物が、単糖類、二糖類、及び糖アルコールの少なくともいずれか一種を含有することにより、水の表面張力を素早く低下させることができる。水の表面張力を素早く低下させることにより、分散対象物を素早く水に分散させることができる。したがって、米糠とタンパク質粉末を含有する粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。粉末食品組成物を粉末飲料等に使用した際に、使用者がストレスを感じることなく、スムーズに水に分散させることが可能になる。
【0038】
(2)タンパク質粉末が、ホエイ、玄米タンパク質、及び大豆タンパク質の少なくともいずれか一種を含有する。したがって、粉末食品組成物の水への分散性がより好適に向上する。
【0039】
(3)単糖類が、グルコース、フルクトース、及びガラクトースの少なくとも一種を含有する。したがって、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
(4)二糖類が、ラクトース、マルトース、スクロース、及びトレハロースの少なくとも一種を含有する。したがって、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【0040】
(5)糖アルコールが、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、及びソルビトールの少なくとも一種を含有する。したがって、粉末食品組成物の水への分散性を好適に向上させることができる。
【0041】
(6)米糠の粒度分布が、粒径35μm以下の粒子の割合が90%以上である。したがって、米糠を水に分散させやすくなる。また、粉末食品組成物を粉末飲料として用いた際に、口当たりをより良好にすることができる。
【0042】
(7)粉末食品組成物が顆粒状である。したがって、各成分の混合状態を維持しやすくなる。また、粉末食品組成物の取り扱い性が向上する。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・本実施形態の粉末食品組成物の用途は、食品に限定されない。例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品としても使用することができる。
・本実施形態において、粉末食品組成物を分散させるのは水に限定されない。例えばアルコール等、水以外の液体に分散させてもよい。
【実施例0044】
以下、本発明の構成、及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
表1に示す実施例1~26、及び、比較例1、2の粉末食品組成物を常法に従って各成分を混合することによって製造した。
【0045】
【表1】
表1に記載するA-1、a-1、B-1~B-4、C-1~C-11の各成分の詳細は以下のとおりである。
【0046】
表1に記載する米糠の粒径35μm以下の粒子の割合、及び油分について、表2の「粒径35μm以下の粒子の割合(%)」欄、「油分(質量%)」欄にそれぞれ示す。
【0047】
【表2】
上記米糠の粒径35μm以下の粒子の割合の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布計((株)セイシン企業社製、LMS-3000)を用いて、分散媒としてイソプロピルアルコールを使用し、レーザー回折・散乱法により測定した。
【0048】
また、上記米糠の油分の量の測定方法としては、特に制限されないが、例えば、日本油化学会制定の基準油脂分析試験法に準拠した油分測定法によって測定することができる。
表1に記載するタンパク質粉末の種類、分類、及び粒度分布について、表3の「タンパク質粉末の種類」欄、「分類」欄、「D50(μm)」欄、「D90(μm)」欄にそれぞれ示す。
【0049】
【表3】
タンパク質粉末は、市販のタンパク質粉末を用いた。市販のタンパク質粉末は、タンパク質の含有量が略90質量%以上の精製品であってもよい。もしくは、タンパク質粉末として販売されているものの、若干量のその他成分を含有するものであってもよい。その他成分も含めたタンパク質粉末の質量を、タンパク質粉末の含有量とした。
【0050】
B-1の大豆タンパク質は、タンパク質の含有量が90質量%以上の精製品を用いた。B-2の玄米タンパク質は、タンパク質の含有量が75質量%以上のものを用いた。B-3のえんどう豆タンパク質は、タンパク質の含有量が84質量%以上のものを用いた。B-4のホエイは、タンパク質の含有量が96質量%以上のものを用いた。
【0051】
タンパク質粉末の粒度分布は、以下の方法で測定した。
まず、各タンパク質粉末2gを、38gの水に分散させて、タンパク質粉末の濃度が5質量%である分散液とした。この分散液を、少しずつ分散槽に添加した。株式会社島津製作所社製のナノ粒子径分布測定装置(SALD-7500)を用いて、サンプルの粒度分布を測定した。なお、屈折率は、1.70~0.20iの標準屈折率用を選択した。
【0052】
表1に記載する糖類の種類、及び分類について、表4の「糖類の種類」欄、「分類」欄にそれぞれ示す。
【0053】
【表4】
なお、上記糖類は、ナカライテスク株式会社製試薬を使用した。
【0054】
(評価試験)
実施例1~26、及び、比較例1、2の粉末食品組成物について、水への分散性を評価した。分散性の評価方法、評価基準について以下に示す。
【0055】
(分散性)
200mLのガラスビーカーに、常温の蒸留水100mLを入れた。このガラスビーカーにφ8×30mmのスターラーバーを入れ、850rpmで撹拌した。
【0056】
撹拌状態の蒸留水に、各実施例、及び比較例の粉末食品組成物5gを一度に投下した。この際、撹拌渦の中央に投下した。粉末食品組成物が完全に分散するまでの時間である分散時間を計測した。なお、粉末食品組成物が完全に分散するまでの時間は、粉末食品組成物が水面から無くなるまでの時間とした。上記分散性の評価を各実施例、及び比較例の粉末食品組成物に対して6回実施し、その平均値を算出した。小数点以下は四捨五入した。
【0057】
比較として、各実施例、及び比較例の粉末食品組成物において、米糠のみの試料と、米糠とタンパク質粉末のみの試料を用意した。これらの試料についても、上記の分散性の評価を行った。
【0058】
米糠とタンパク質粉末のみの試料の分散時間(D)に対して、各実施例、及び比較例の分散時間(E)がどれくらい短縮されたのかを、下記の式から算出した。短縮された割合を短縮率とした。
【0059】
(短縮率)=((D-E)/D)×100
D:米糠とタンパク質粉末のみの試料の分散時間
E:各実施例、及び比較例の分散時間
以下の評価基準で分散性を評価した。
【0060】
・分散性の評価基準
◎◎(優れる):短縮率が40%以上である場合
◎(良好):短縮率が20%以上40%未満である場合
○(可):短縮率が3%以上20%未満である場合
×(不可):短縮率が3%未満である場合
表1の結果から、本発明によれば、粉末食品組成物の水への分散性が好適に向上していた。したがって、粉末食品組成物を粉末飲料等に使用した際に、使用者がストレスを感じることなく、スムーズに水に分散させることが可能になる。