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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023050985
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】原料容器用バルブユニット
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230404BHJP
   C23C 16/448 20060101ALI20230404BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F16K27/00 B
C23C16/448
H01L21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161394
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】501417929
【氏名又は名称】株式会社キッツエスシーティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 久修
【テーマコード(参考)】
3H051
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
3H051BB02
3H051BB03
3H051CC01
3H051CC14
3H051CC15
3H051CC17
3H051FF01
3H051FF15
4K030AA18
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030LA15
5F045AA06
5F045AA15
5F045BB08
5F045EE04
5F045EE14
(57)【要約】
【課題】デッドボリュームを少なくしてパージ処理の迅速化を達成し、しかも、コンパクト性と小型化を図ると共に、作業性の向上にも寄与した原料容器用バルブユニットを提供すること。
【解決手段】原料容器1上部に設けた原料容器用バルブユニットであり、ユニット本体3は、キャリアガス送給用配管4、原料供給用配管5、バイパス配管6、送給用バルブ7、供給用バルブ8、パージ用バイパスバルブ9を含んでいる。バイパス配管6の連設位置は、少なくとも送給用バルブ7と供給用バルブ8の流路方向の幅径の範囲に設けると共に、バイパスバルブ9のバイパス配管6の方向の幅径が送給用バルブ7と供給用バルブ8に接触して干渉する状態に近接した距離であり、バイパスバルブ9は、送給用バルブ7と供給用バルブ8に無接触状態で干渉しない程度に原料供給用配管5方向に向けて傾斜状態で装着されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料容器の上部に設けたバルブユニットであり、ユニット本体は、キャリアガス送給用配管に設けた送給用バルブと、原料供給用配管に設けた供給用バルブと、前記送給用バルブと前記供給用バルブとの間に設けたバイパス配管とこのバイパス配管に設けられたパージ用バイパスバルブとを含み、前記バイパス配管の連設位置は、少なくとも前記送給用バルブと前記供給用バルブの流路方向の幅径の範囲に設けると共に、前記バイパス配管の間隔距離は、前記バイパスバルブを装着する際に、前記バイパスバルブのバイパス配管の方向の幅径が前記送給用バルブと前記供給用バルブに接触して干渉する状態に近接した距離であり、前記バイパスバルブは、前記送給用バルブと前記供給用バルブに無接触状態で干渉しない程度に前記バイパス配管に前記原料供給用配管方向に向けて傾斜状態で装着されていることを特徴とする原料容器用バルブユニット。
【請求項2】
前記ユニット本体の各バルブは、そのボデー底面を同一方向に向け、かつ当該ボデー底面を同一平面上に配置した請求項1に記載の原料容器用バルブユニット。
【請求項3】
前記バイパスバルブの傾斜方向は、前記原料供給用配管の供給方向に向けて前記送給用バルブと前記送給用バルブの上方空間領域に傾斜状態に配置した請求項1又は請求項2に記載の原料容器用バルブユニット。
【請求項4】
前記ユニット本体の各バルブは、アクチュエータを有するバルブであり、前記供給用バルブと前記送給用バルブ及び前記バイパスバルブの幅径とは、前記アクチュエータの幅径である請求項1乃至3の何れか1項に記載の原料容器用バルブユニット。
【請求項5】
前記バイパスバルブの傾斜角度は、30°~60°である請求項1に記載の原料容器用バルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料容器用バルブユニットに関し、特に、半導体製造の成膜用原料を収納した原料容器に適用される原料容器用バルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ALD(Atomic Layer Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の半導体製造プロセスにおいて、成膜処理を行うための成膜用原料(以下、前駆体と称することがある)を収容する原料容器が知られている。
また、成膜用原料を格納した原料用容器には、複数のバルブやパイプで構成したバルブユニットが取付けられている。
【0003】
この種のバルブユニットとしては、例えば、特許文献1の図10の原料容器用バルブユニットが知られている。原料容器にはキャリアガス導入パイプと原料供給用パイプが接続され、キャリアガス導入パイプの途中には、ガス導入の供給を制御するバルブ(キャリアガス導入バルブ)を設け、キャリアガス導入パイプからHe、N等の不活性なキャリアガスを送り込んで原料容器内部を加圧し、原料容器内に収納されている液体材料あるいは固体材料をガス化して、原料供給用パイプを介して半導体製造装置に前駆体ガスを供給している。
【0004】
原料供給用パイプの途中には、半導体製造装置への成膜用原料の供給を制御するバルブ(原料供給バルブ)を設け、また、このバルブの2次側(半導体製造装置側)では原料供給バルブや半導体製造装置への供給ラインにパージガスを導入するパージパイプ(バイパス管)を分岐させている。
原料供給用パイプから分岐したパージパイプの途中には、通常は閉止され、パージ処理時にはパージガスを導入するために解放されるパージバルブ(バイパスバルブ)を設けている。原料切替時や原料容器タンクの交換時などの際に、このパージバルブを定期的に開き、パイプ内やバルブの流路内などを窒素ガス等の不活性なパージガスでクリーニングするパージ処理が行われる。
【0005】
キャリアガス導入パイプ、原料供給用パイプ及びパージパイプの下流側には、コネクタなどが取り付けられており、キャリアガス導入パイプ及び原料供給用パイプを原料容器に接続したまま、半導体製造装置への供給ライン等から原料容器を分離することができるようになっている。
【0006】
また、他例として特許文献2の原料容器用バルブユニットがある。特許文献2の原料容器用バルブユニットは、バイパス管のバイパスバルブを他のバルブに対して垂直に取付け、原料供給バルブ、キャリアガス導入バルブ、バイパスバルブのアクチュエータが接触しないように構成している。
【0007】
また、原料容器用バルブユニットには、例えば、特許文献3のブロックバルブも知られている。このブロックバルブは、マニホールドブロック内に流路を形成して、流路を集約すると共に、マニホールドブロックの表面に各種バルブを実装している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2005-535112号公報
【特許文献2】特開2016-208026号公報
【特許文献3】特開2004-63833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の原料容器用バルブユニットでは、原料供給用パイプに設けた原料供給バルブの上部でパージパイプを分岐させる必要があるため、バルブ(キャリアガス導入バルブ、原料供給バルブ)とパージバルブが上下方向に積み重ねられた構成となり、原料容器用バルブユニット全体が大きくなる。
また、分岐管や管路(パイプ)が長くなってしまい、この分岐管や管路(パイプ)に成膜用原料などが滞留するデッドボリューム(滞留領域)が増えてしまい、このデッドボリュームに残留している成膜用原料の除去に時間を要し、パージ処理に要する時間が長くなる問題がある。
【0010】
半導体製造プロセスでは原料切替ごとにパージ処理も実施されるので、パージ処理に時間がかかると、原料供給を停止することになり、半導体製造装置の稼働効率が低下してしまう。
特に、ALD法では、短時間でバルブの開閉制御が繰り返されパージ処理の回数も増加するため、迅速なパージ処理が求められる。さらに、バルブユニットのバルブ開閉回数が増加し、部品の劣化や損傷による部品交換などのメンテナンス回数が増えるから、半導体製造装置にはメンテナンス時などの作業性も求められる。
【0011】
特許文献2の原料容器用バルブユニットでは、バイパスバルブを他のバルブに対して垂直に取付けているから、バイパスバルブのアクチュエータの幅径が両側の配管距離より大きい場合には、バイパスバルブを取付けできない問題も生じる。
また、バイパスバルブが上向きの手動弁の場合、ハンドル操作が難しいことがある。このため、メンテナンス作業時などにハンドル操作が煩わしいと作業性を損なうため、作業時間が長くなり、半導体製造装置の稼働効率が低下してしまう。
また、バイパスバルブを垂直に取付けているから、作業台などにバルブユニットを安定して置くことができず、バルブユニットの組立てや分解などの作業が困難になることがある。
【0012】
また、特許文献3の原料容器用ブロックバルブは、ブロック体の内部に流路を形成するから配管部材を削減し、コンパクト化しやすいが、専用部品によりマニホールドブロックと一体化した継手部を形成するから、専用部品が多くなり、コスト高になりやすい。
専用部品が多くなると、作業者のメンテナンス作業が煩雑になるばかりか、仮に組立てや分解の際に一部の専用部品を紛失や破損した場合には、ブロックバルブを使用することができない問題も生じる。
さらに、特許文献3の原料容器用ブロックバルブは、マニホールドブロックの表面側と裏面側の両面にバルブを実装しているので、メンテナンス作業の際には反対側にあるバルブが邪魔になるので、作業性を損なう。
【0013】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、デッドボリュームを少なくしてパージ処理の迅速化を達成し、しかも、コンパクト性と小型化を図ると共に、作業性の向上にも寄与した原料容器用バルブユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、原料容器の上部に設けたバルブユニットであり、ユニット本体は、キャリアガス送給用配管に設けた送給用バルブと、原料供給用配管に設けた供給用バルブと、送給用バルブと供給用バルブとの間に設けたバイパス配管とこのバイパス配管に設けられたパージ用バイパスバルブとを含み、バイパス配管の連設位置は、少なくとも送給用バルブと供給用バルブの流路方向の幅径の範囲に設けると共に、バイパス配管の間隔距離は、バイパスバルブを装着する際に、バイパスバルブのバイパス配管の方向の幅径が送給用バルブと供給用バルブに接触して干渉する状態に近接した距離であり、バイパスバルブは、送給用バルブと供給用バルブに無接触状態で干渉しない程度にバイパス配管に原料供給用配管方向に向けて傾斜状態で装着されている原料容器用バルブユニットである。
【0015】
請求項2に係る発明は、ユニット本体の各バルブは、そのボデー底面を同一方向に向け、かつ当該ボデー底面を同一平面上に配置した原料容器用バルブユニットである。
【0016】
請求項3に係る発明は、バイパスバルブの傾斜方向は、原料供給用配管の供給方向に向けて送給用バルブと送給用バルブの上方空間領域に傾斜状態に配置した原料容器用バルブユニットである。
【0017】
請求項4に係る発明は、ユニット本体の各バルブは、アクチュエータを有するバルブであり、供給用バルブと送給用バルブ及びバイパスバルブの幅径とは、アクチュエータの幅径である原料容器用バルブユニットである。
【0018】
請求項5に係る発明は、バイパスバルブの傾斜角度は、30°~60°である原料容器用バルブユニットである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によると、バイパス配管にバイパスバルブを装着する際に、バイパスバルブの幅径が送給用バルブと供給用バルブに接触して干渉する状態に近接した距離であっても、バイパス配管にバイパスバルブを装着することができるから、バイパス配管を短くすることができ、配管内のデッドボリューム(滞留領域)を少なくしてパージ処理時間を短縮できる。
【0020】
半導体製造プロセスでは原料切替ごとにパージ処理も実施されるので、迅速なパージ処理により、半導体製造装置の稼働効率が向上する。特に、ALD法では、短時間でバルブの開閉制御が繰り返されるので、パージ処理の回数が増加しても、パージ処理時間が長くなるのを抑制できるため好適である。
【0021】
また、バイパスバルブが、送給用バルブと供給用バルブに無接触状態で干渉しない程度にバイパス配管に傾斜状態で装着されているから、ユニット本体の高さや幅を削減して原料容器用バルブユニット全体を小型化、コンパクト化することができる。
このため、原料容器用バルブユニットを半導体製造装置に取付ける際に、設置スペースを削減でき、かつ、装置全体の大型化を抑制できる。また、複数の原料容器が集約して配置される場合には、メンテナンス時などに一定の作業スペースを確保できる。
【0022】
請求項2に係る発明によると、ユニット本体の各バルブは、そのボデー底面を同一方向に向け、かつ当該ボデー底面を同一平面上に配置しているから、原料容器用バルブユニットを平面な作業台などに載置できる。
このため、組立て、分解などの作業時に、各バルブがガタつくのを防止して安定した状態で、位置決めなどの作業が容易になり作業性の向上を図ることができる。
【0023】
請求項3に係る発明によると、原料容器用バルブユニットは、バイパスバルブの傾斜方向は、原料供給用配管の供給方向に向けて送給用バルブと送給用バルブの上方空間領域に傾斜状態に配置しているから、ユニット本体の原料供給用配管とキャリアガス送給用配管との間の空間領域の無駄を減らすことができる。
【0024】
請求項4に係る発明によると、送給用バルブ、供給用バルブ及びバイパスバルブのアクチュエータが干渉しないように、無接触状態で近接させて各バルブを連設しているから、ユニット本体の高さ及び幅を削減することができ、原料容器用バルブユニット全体を小型化、コンパクト化することができる。
【0025】
請求項5に係る発明によると、バルブユニットの組立てや分解などの作業性を考慮して傾斜角度を所定の範囲にしているから、バルブユニットのコンパクト性と小型化を図ると共に、作業性の向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る原料容器用バルブユニットの一例を示したフロー概略図である。
図2】本発明に係る原料容器用バルブユニットの正面図である。
図3】本発明に係る原料容器用バルブユニットの側面図である。
図4】本発明に係る原料容器用バルブユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る原料容器用バルブユニットの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る原料容器用バルブユニットの一例を示したフロー概略図を示し、図2は、原料容器用バルブユニットの正面図、図3は、原料容器用バルブユニットの側面図、図4は、原料容器用バルブユニットの斜視図を示している。
【0028】
図1に示すように、原料容器用バルブユニット(以下、バルブユニットと称する場合がある)は、原料容器1の上部に取付けられる。原料容器1は、ALD法やCVD法等の半導体製造プロセスにおいて、成膜処理を行うための成膜用原料を収容している。成膜用原料は、液体又は固体で原料容器1内に収容されており、キャリアガスによって、半導体製造装置の原料供給ラインに成膜用原料(前駆体)が供給される。
【0029】
ユニット本体3は、キャリアガス送給用配管4に設けた送給用バルブ7と、原料供給用配管5に設けた供給用バルブ8と、バイパス配管6に設けられたパージ用バイパスバルブ9とを含んで構成される。
ユニット本体3は、キャリアガス送給用ライン2aにキャリアガス送給配管4を設け、原料供給用ライン2bに原料供給用配管5を設けている。ユニット本体3には、キャリアガス送給用配管4と原料供給用配管5を分岐するバイパス配管6を設けている。
【0030】
キャリアガス送給用配管4には、送給用バルブ7と開閉弁10を設け、一端側は継手部材12を介して原料容器1の上部に接続しており、他端側は、継手部材11を介してキャリアガスを供給するための配管など(図示しない)に接続している。
継手部材11、継手部材12は、ワンタッチ式の継手部材などにより構成することで、バルブユニットと原料容器の接続や解除が容易になる。
【0031】
送給用バルブ7は、キャリアガス送用配管4の原料容器1側に設けられており、エアー駆動式のアクチュエータ本体7aを搭載した自動弁である。
送給用バルブ7は、図示しない制御装置などによりアクチュエータ本体7aへのエアー供給が制御されて、キャリアガスを原料容器1に送給するために送給用バルブ7が開閉制御される。
【0032】
ここで、アクチュエータ本体を搭載した自動弁でバルブユニットを構成する場合、アクチュエータ本体の幅径が大きくなり、バルブユニットの設置スペースが大きくなる問題が生じるが、後述する手段により設置スペースを削減している。
【0033】
キャリアガス送給用配管4に設けられた開閉弁10は、手動弁であり、キャリアガスの供給やメンテナンス作業時、容器交換時などに開閉される。
【0034】
原料供給用配管5には、供給用バルブ8と開閉弁13を設け、一端側は継手部材15を介して原料容器1に接続しており、他端側は、継手部材14を介して半導体製造装置の原料供給ラインの配管など(図示しない)に接続している。
継手部材14、継手部材15は、ワンタッチ式の継手部材などにより構成することで、バルブユニットと原料容器の接続や解除が容易になる。
【0035】
供給用バルブ8は、原料供給用配管5の原料容器1側に設けられており、エアー駆動式のアクチュエータ本体8aを搭載した自動弁である。
供給用バルブ8は、図示しない制御装置によりアクチュエータ本体8aへのエアー供給が制御されて、図示しない半導体製造装置の原料供給ラインに前駆体を供給するために供給用バルブ8が開閉制御される。
【0036】
原料供給用配管5に設けられた開閉弁13は、手動弁であり、成膜用原料(前駆体)を半導体プロセスの供給ラインへの供給時、メンテナンス作業時、容器交換時などに開閉される。
【0037】
バイパス配管6は、送給用バルブ7と供給用バルブ8の間に設けられており、このバイパス配管6には、パージ用バイパスバルブ9を設けている。バイパスバルブ9は、原料供給用配管5の原料供給方向に向けて所定の角度でバイパス配管6に傾斜した状態で装着している。
【0038】
バイパスバルブ9は、エアー駆動式のアクチュエータ本体9aを搭載した自動弁であり、図示しない制御装置によりアクチュエータ本体9aへのエアー供給を制御して、パージ処理のためにバイパスバルブ9が開閉制御される。
パージ処理時は、送給用バルブ7及び供給用バルブ8を弁閉に制御して、バイパスバルブ9を弁開するように制御して配管内やバルブ流路内をパージガスによってパージ処理される。
また、バイパスバルブ9は、半導体製造装置への前駆体の原料供給時には弁閉するように制御される。
【0039】
ここで、ユニット本体3の各配管に設けた送給用バルブ7、供給用バルブ8及びバイパスバルブ9は、アクチュエータ本体を搭載した自動弁となっている。特に、アクチュエータ本体を搭載した自動弁の場合は、送給用バルブ7の幅径と供給用バルブ8の幅径とが大きくなりバイパスバルブ9の設置にスペースをとってしまう。
そこで、本例では、バイパスバルブ9を所定の角度で傾斜させた状態でバイパス配管6に装着して、バイパスバルブ9の設置スペースを抑制している。
【0040】
図2に示すように、バイパス配管6の連設位置は、少なくとも送給用バルブ7と供給用バルブ8の流路方向の幅径(本例では、アクチュエータ本体7a及び8aの直径)の範囲に設けると共に、バイパス配管6の間隔距離(本例では、送給用バルブと供給用バルブの間に接続する際のバイパス配管の長さ)は、バイパスバルブ9を装着する際に、バイパスバルブ9のアクチュエータ本体9aが送給用バルブ7と供給用バルブ8に接触して干渉する状態に近接した距離となっている。
すなわち、バイパス配管6の間隔距離は、送給用バルブ7のアクチュエータ本体7aと供給用バルブ8のアクチュエータ本体8aが近接した状態であって、バイパス配管6のバイパスバルブ9のアクチュエータ本体9aを送給用バルブ7のアクチュエータ本体7aと供給用バルブ8のアクチュエータ本体8aと同一方向(アクチュエータ本体の高さ方向と同一の方向)に向けて取付けようとすると、各バルブのアクチュエータ本体が接触する程度に近接した距離となっている。
【0041】
従来の原料容器用バルブユニットでは、各バルブのアクチュエータ本体が接触しないように、十分に離した状態でバイパス配管にバイパスバルブを装着している。このため、アクチュエータ本体の大きさによっては、バイパス配管も十分に離して設置する必要がある。
【0042】
しかし、本例では、バイパス配管6にバイパスバルブ9を装着する際に、バイパスバルブ9のバイパス配管6の方向のアクチュエータの幅径9cが送給用バルブ7のアクチュエータの幅径7cと供給用バルブ8のアクチュエータの幅径8cに干渉する状態に近接させて、バイパスバルブ9を所定の角度で傾斜させることにより、バイパスバルブ9のアクチュエータ9aが送給用バルブ7のアクチュエータ7aと供給用バルブ8のアクチュエータ8aに無接触状態で干渉しないようにバイパス配管6に装着している。
【0043】
このため、バイパス配管6は、バイパス配管6に装着するバイパスバルブ9が送給用バルブ7と供給用バルブ8に干渉するような連接位置まで近接させることにより、バイパス配管6の間隔距離を短くできる。
よって、バイパス配管6の間隔距離を短くできるので、ユニット本体3の配管内のデッドボリューム(滞留領域)を少なくしてパージ処理時間を短縮できる。
【0044】
半導体製造プロセスでは原料切替ごとにパージ処理も実施されるので、迅速なパージ処理により、半導体製造装置の稼働効率の向上に寄与する。特に、ALD法では、短時間でバルブの開閉制御が繰り返されるので、パージ処理の回数が増加しても、パージ処理時間が長くなるのを抑制できるため好適である。
【0045】
また、バイパス配管6の間隔距離を短くすることができるから、ユニット本体3の幅を削減してコンパクト化することができ、原料容器1に設置する際の設置面積を削減して、バルブユニットを原料容器1に取付けても装置全体が大きくなるのを抑制することができる。
【0046】
バイパスバルブ9のアクチュエータ9aの傾斜方向は、原料供給用ライン2bの原料供給用配管5の原料供給方向に向けて送給用バルブ7と送給用バルブ7の上方空間領域に傾斜状態に配置しているから、キャリアガス送給用配管4と原料供給用配管5との間の空間領域の無駄を少なくして、ユニット本体3が高さ方向に突出するのを抑制し、バルブユニットをコンパクト化することができる。
よって、バイパスバルブが傾斜していない従来の原料容器用バルブユニットと比較しても、空間領域の無駄が少なく、装置全体が大きくなるのを抑制することができる。
【0047】
また、バルブユニットを半導体製造装置に取付ける際に、設置スペースを削減でき、かつ、装置全体の大型化を抑制できるから、特に、複数の原料容器が集約して配置される場合には、メンテナンス時などに一定の作業スペースを確保できる。
【0048】
なお、バイパスバルブ9のアクチュエータ9aの傾斜方向は、原料容器側に傾斜させてもよい。バルブユニットの継手部材や配管部材などの隙間の空間を活用して、空間領域の無駄を抑制できればいずれの方向でもあってもよい。
【0049】
バイパスバルブ9の傾斜角度は、バルブユニットの組立てや分解などの作業性を考慮して所定の範囲にしている。このため、コンパクト化の際に各バルブが接触する問題を解消しながら、メンテナンスや容器取替えなどの際の作業性を損なうことがなく、コンパクト性と作業性を両立させることができる。
【0050】
バイパスバルブ9のアクチュエータ本体9aの傾斜する角度θは、30°~60°の範囲であれば、各バルブのアクチュエータ本体が干渉しないため好ましい。組立て作業性も考慮すれば、35°~55°がより好ましい。なお、本例のバイパスバルブ9のアクチュエータ本体9aは、約40°で傾斜している。
【0051】
また、ユニット本体3の各バルブは、そのボデー底面を同一方向に向け、かつ当該ボデー底面を同一平面上に配置している。
よって、送給用バルブ7のボデー底面7b、供給用バルブ8のボデー底面8b、バイパスバルブ9のボデー底面9b、開閉弁10のボデー底面21、開閉弁13のボデー底面22を同一平面上に置くことができ、組立て、分解などの作業時や容器交換の際などに、バルブユニットを平面な作業台などに載置することができる。
【0052】
このため、各バルブがガタつくのを防止して安定させて、位置決めなどの作業がやりやすいので、精度よくバイパスバルブ9を所定の角度で傾斜させた状態で、バイパスバルブ9をキャリアガス送給用配管4と原料供給用配管5の間にバイパスバルブ9を連設することができ作業性の向上を図ることができる。
【0053】
例えば、バルブユニット組立工程では、作業台等の水平面に各バルブを置いた状態で、各バルブを接続することができる。
【0054】
本例では、バイパスバルブ9と他のバルブの配管部は溶接により接続しており、バイパスバルブ9を所望の傾斜角度で溶接する際に、水平な作業台を基準面20として利用でき、バイパスバルブ9を精度よく位置決めしてから、バイパスバルブ9と供給用バルブ8を溶接により接続することができる。
作業台等の水平面に置いてバルブが安定した状態で組立て作業ができるので、作業性が向上して、バイパスバルブ9の傾斜角度を高精度に調整しながら配管接続部を溶接することができる。
【0055】
ここで、ボデー底面から突出する部位があると水平面に置くことができなくなり、安定した組立作業や精度良い溶接ができないので、ボデー底面側には突出部位が無いのが好ましい。
図3に示す、ユニット本体3は、継手部材14の六角ナットの頂部が基準面20よりも突出しているが、回動可能な六角ナットの頂部をずらして突出部位が無い向きに調整可能であれば問題はない。なお、ユニット本体の構造上、回動できない部位などの突出が避けられない構造であっても、突出部位に届かない程度の小さい作業台を使用すれば安定した組立作業ができる。
【0056】
また、ナット頂部が基準面から突出しないようにするためには、(1)ナット外形を小さくする、(2)バルブボデーから突出している配管部の高さを変更する、(3)バルブボデーの高さを増やすなどにより、ユニット本体の六角ナットの頂部が基準面よりも突出しないようにすることができる。
【0057】
また、バルブユニットの各バルブを分解する際も、作業台などの平面基準面上にユニット本体3を載置してバルブが安定した状態で分解作業ができるから、メンテナンスの作業時にも作業性に優れる。
【0058】
このように、原料容器用バルブユニットを小型化してコンパクト性を図り、ユニット本体の組立て、分解などの作業時の作業性も向上させることができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【0060】
供給用バルブ、送給用バルブを三方弁により構成してもよい。送給用バルブと供給用バルブとの間に複数のバイパス配管を設けてもよく、バイパス配管には複数のバイパスバルブを配置した構成であってもよい。供給用バルブ、送給用バルブ、バイパスバルブを手動弁により構成してもよい。
また、容器交換やメンテナンス作業時に容器や配管内から原料が漏出するのを防止するための開閉弁を複数設けてもよい。本発明の実施形態は、マニホールドブロックに各バルブを実装したブロックバルブにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 原料容器
3 ユニット本体
4 キャリアガス送給用配管
5 原料供給用配管
6 バイパス配管
7 送給用バルブ
7a アクチュエータ(アクチュエータ本体)
7b ボデー底面(バルブボデーの底面)
7c 幅径(アクチュエータの幅径)
8 供給用バルブ
8a アクチュエータ(アクチュエータ本体)
8b ボデー底面(バルブボデーの底面)
8c 幅径(アクチュエータの幅径)
9 バイパスバルブ(パージ用バイパスバルブ)
9a アクチュエータ(アクチュエータ本体)
9b ボデー底面(バルブボデーの底面)
9c 幅径(アクチュエータの幅径)
図1
図2
図3
図4