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  • 特開-切断工具用定規 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005101
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】切断工具用定規
(51)【国際特許分類】
   B27B 9/04 20060101AFI20230111BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20230111BHJP
   B27G 19/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B27B9/04
B26D7/01 C
B27G19/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106810
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】521281461
【氏名又は名称】太田 航
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】太田 航
【テーマコード(参考)】
3C021
【Fターム(参考)】
3C021BB07
(57)【要約】
【課題】切断工具を用いた切断作業の作業性を向上させること。
【解決手段】本発明では、被切断物(3)の切断時に切断工具(2)をガイドするための切断工具用定規(1)において、切断工具(2)をガイドするためのガイド体(4)に、被切断物(3)に吸着させるための吸着体(6(移動式の吸着具18))を移動可能に設けることにした。また、前記ガイド体(4)に、吸引具を連結するための吸引パイプ(15)を設け、吸引パイプ(15)と吸着体(6(固定式の吸着具16,17及び移動式の吸着具18))とを連通させて吸引具で吸引することによって吸着体(6(固定式の吸着具16,17及び移動式の吸着具18))を被切断物(3)に吸着させるとともに、吸着体(6(移動式の吸着具18))を吸引パイプ(15(中央側吸引パイプ21))に沿って移動可能とすることにした。さらに、前記ガイド体(4)に、切断工具(2)の定盤をスライドさせるためのスライド体(5(スライド板13,14))を設けることにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物の切断時に切断工具をガイドするための切断工具用定規において、
切断工具をガイドするためのガイド体に、被切断物に吸着させるための吸着体を移動可能に設けたことを特徴とする切断工具用定規。
【請求項2】
前記ガイド体に、吸引具を連結するための吸引パイプを設け、吸引パイプと吸着体とを連通させて吸引具で吸引することによって吸着体を被切断物に吸着させるとともに、吸着体を吸引パイプに沿って移動可能としたことを特徴とする請求項1に記載の切断工具用定規。
【請求項3】
前記ガイド体に、切断工具の定盤をスライドさせるためのスライド体を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切断工具用定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断物の切断時に切断工具をガイドするための切断工具用定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
丸鋸等の切断工具を用いて建材等の被切断物を所望の形状に切断する際には、切断工具をガイドするためのガイド機能を有する切断工具用定規が用いられている。
【0003】
そして、切断時には、作業者が一方の手で切断工具用定規を被切断物に押し当てながら、他方の手で切断工具の定盤を切断工具用定規に沿って移動させていた。
【0004】
しかしながら、切断時に切断工具用定規が動いてしまうと、被切断物を所望の形状に切断することができなかった。
【0005】
そのため、特許文献1に開示されているように、被切断物に吸着させるための吸着体を設けた切断工具用定規が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60-26802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1に開示されている切断工具用定規では、ウッドデッキ等のように間に隙間がある被切断物の場合に、隙間から空気が漏れ出てしまい、吸着体によって良好に吸着させることができず、作業時に切断工具用定規がずれてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、被切断物の切断時に切断工具をガイドするための切断工具用定規において、切断工具をガイドするためのガイド体に、被切断物に吸着させるための吸着体を移動可能に設けることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記ガイド体に、吸引具を連結するための吸引パイプを設け、吸引パイプと吸着体とを連通させて吸引具で吸引することによって吸着体を被切断物に吸着させるとともに、吸着体を吸引パイプに沿って移動可能とすることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記ガイド体に、切断工具の定盤をスライドさせるためのスライド体を設けることにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、被切断物の切断時に切断工具をガイドするための切断工具用定規において、切断工具をガイドするためのガイド体に、被切断物に吸着させるための吸着体を移動可能に設けることにしているために、吸着体を切断作業状況等に応じて適宜移動させることによって、被切断物に吸着体を良好に吸着させることができるので、切断作業時に切断工具用定規が不用意にずれ動いてしまうのを防止することができ、切断工具を用いた切断作業の作業性を向上させることができる。
【0013】
特に、前記ガイド体に、吸引具を連結するための吸引パイプを設け、吸引パイプと吸着体とを連通させて吸引具で吸引することによって吸着体を被切断物に吸着させるとともに、吸着体を吸引パイプに沿って移動可能とすることにした場合には、吸着体の吸着及び移動させる構成を容易なものとすることができるので、移動可能な吸着体を備える切断工具用定規を安価に量産することができる。
【0014】
また、前記ガイド体に、切断工具の定盤をスライドさせるためのスライド体を設けた場合には、切断工具の定盤が被切断物の表面に直接接触することがなくなり、切断作業時に被切断物の表面を損傷させてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る切断工具用定規を示す平面図。
図2】同正面図(a)、右側面図(b)。
図3】同正面断面図(a)、底面図(b)。
図4】同部分拡大正面断面図(a)、部分拡大中央右側面断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る切断工具用定規の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1図4に示すように、切断工具用定規1は、切断工具2を用いて被切断物3を切断する時に切断工具2をガイドするために使用されるものであり、切断工具2をガイドするためのガイド体4に、切断工具2の定盤の底面をスライドさせるためのスライド体5と、被切断物3に吸着させるための吸着体6とを設けている。
【0018】
ガイド体4は、左右に直線状に伸延する垂直状の一対の側壁7,8の上端部間に水平状の上壁9を設けて、底部を開放させた略門型形状とし、右側端部に基端壁10を設けるとともに、左側端部に先端壁11を設けている。
【0019】
また、ガイド体4は、上壁9の中央上部に持ち手12を設けている。
【0020】
そして、切断作業時には、作業者が切断工具2の定盤の端部をガイド体4のいずれか一方の側壁7,8に当接させたまま切断工具2を移動させることによって、切断工具2がガイド体4によってガイドされて被切断物3を側壁7,8と同形状に切断することができる。
【0021】
なお、ここでは、ガイド体4の側壁7,8を直線状に伸延させた形状としているが、これに限られず、両方の側壁7,8又はいずれか一方の側壁7,8を所望する切断形状に適合する曲線形状や円弧形状などの形状としてもよい。
【0022】
スライド体5は、ガイド体4の側壁7,8の下端部それぞれに左右に伸延する横長矩形薄板状のスライド板13,14を設けている。
【0023】
ここでは、スライド板13,14の幅(ガイド体4からの張り出し量)を異ならせており、一方のスライド板13の幅(ガイド体4の側壁7からの張り出し量)を他方のスライド板14の幅(ガイド体4の側壁8からの張り出し量)よりも広くしている。
【0024】
これにより、作業現場の状況や作業者の利き腕などに応じて、切断工具2の定盤の左右いずれかの端部をガイド体4のいずれかの側壁7,8に当接させながら、いずれかのスライド板13,14の表面上で切断工具2の定盤の底面をスライドさせることによって、被切断物3を損傷させることなく円滑に切断することができる。
【0025】
吸着体6は、ガイド体4の基端壁10と先端壁11とに吸引具を連結するための吸引パイプ15を設け、ガイド体4の内側の基端部と先端部とに固定した吸着具16,17を設けるとともに、ガイド体4の内側の中央部に移動可能な吸着具18を設けている。
【0026】
なお、ここでは、両端部に固定式の吸着具16,17を設けるとともに中央部に移動式の吸着具18を設けているが、これに限られず、一端部に固定式の吸着具16を設けるとともに他端部に移動式の吸着具18を設けてもよく、また、複数の移動式の吸着具18を設けてもよく、さらには、全て移動式の吸着具18としてもよい。
【0027】
吸引パイプ15は、ガイド体4の基端壁10に水平に固定した基端側吸引パイプ19と、ガイド体4の先端壁11に水平に固定した先端側吸引パイプ20と、基端側吸引パイプ19と先端側吸引パイプ20に移動可能に挿入させた中央側吸引パイプ21とを連通連結した構成となっている。
【0028】
ここで、基端側吸引パイプ19は、基端部をガイド体4の基端壁10よりも張り出させるとともに、基端部に吸引具を連結するための連結部22を形成している。また、先端側吸引パイプ20は、先端部をガイド体4の先端壁11に当接させて固定することで、先端部を密閉状に閉塞している。さらに、中央側吸引パイプ21は、基端側吸引パイプ19及び先端側吸引パイプ20よりも小径にして、移動式の吸着具18を移動させた際に吸着具18が基端側吸引パイプ19の先端部又は先端側吸引パイプ20の基端側に当接することで吸着具18の移動が阻止され、これにより、吸着具18の移動範囲が規制されるようにしている。
【0029】
ガイド体4の基端側に設けられた固定式の吸着具16は、ガイド体4の側壁7,8及び上壁9の内側に中空箱型状のケース23を固定した状態で設けており、ケース23に基端側吸引パイプ19を貫通させるとともに貫通部分を密閉している。基端側吸引パイプ19には、ケース23が貫通している部分に下向きの吸引孔24が設けられており、吸引孔24を介して基端側吸引パイプ19とケース23の中空部とを連通連結させている。また、ケース23の底面には、外周縁に可撓性を有するパッキン25が設けられ、パッキン25よりも内側に貫通状の吸着孔26が設けられている。これにより、被切断物3に吸着具16のパッキン25を密着させた状態で吸引具で吸引することで、被切断物3とパッキン25の内側との間の空気が吸着孔26及び吸引孔24を介して吸引され、被切断物3に吸着具16を吸着させることができる。
【0030】
同様に、ガイド体4の先端側に設けられた固定式の吸着具17は、ガイド体4の側壁7,8及び上壁9の内側に中空箱型状のケース27を固定した状態で設けており、ケース27に先端側吸引パイプ20を貫通させるとともに貫通部分を密閉している。先端側吸引パイプ20には、ケース27が貫通している部分に下向きの吸引孔28が設けられており、吸引孔28を介して先端側吸引パイプ20とケース27の中空部とを連通連結させている。また、ケース27の底面には、外周縁に可撓性を有するパッキン29が設けられ、パッキン29よりも内側に貫通状の吸着孔30が設けられている。これにより、被切断物3に吸着具17のパッキン29を密着させた状態で吸引具で吸引することで、被切断物3とパッキン29の内側との間の空気が吸着孔30及び吸引孔28を介して吸引され、被切断物3に吸着具17を吸着させることができる。
【0031】
一方、ガイド体4の中央側に設けられた移動式の吸着具18は、中空箱型状のケース31をガイド体4の側壁7,8及び上壁9の内側に沿って移動可能な状態で設けており、ケース31に中央側吸引パイプ21を貫通させるとともに貫通部分を密閉している。中央側吸引パイプ21には、ケース31が貫通している部分に下向きの吸引孔32が設けられており、吸引孔32を介して中央側吸引パイプ21とケース31の中空部とを連通連結させている。また、ケース31の底面には、外周縁に可撓性を有するパッキン33が設けられ、パッキン33よりも内側に貫通状の吸着孔34が設けられている。これにより、被切断物3に吸着具18のパッキン33を密着させた状態で吸引具で吸引することで、被切断物3とパッキン33の内側との間の空気が吸着孔34及び吸引孔32を介して吸引され、被切断物3に吸着具18を吸着させることができる。
【0032】
この吸着具18は、ガイド体4の側壁7,8及び上壁9の内側に沿って左右に移動させることができ、吸着具18のケース31が基端側吸引パイプ19の先端部又は先端側吸引パイプ20の基端側に当接することで吸着具18の移動が阻止されるようになっている。
【0033】
このように、吸着具18を移動させることによって、吸着具18で吸着する被切断物3の位置を容易に変更することができるとともに、固定式の吸着具16,17と移動式の吸着具18との間隔を容易に変更することができる。
【0034】
なお、ここでは、1本の吸引パイプ15に一体化される基端側吸引パイプ19と先端側吸引パイプ20と中央側吸引パイプ21それぞれに吸着具16,17,18を連通させているが、これに限られず、3本の独立する基端側吸引パイプ19と先端側吸引パイプ20と中央側吸引パイプ21それぞれに吸着具16,17,18を連通させてもよく、また、直管状の吸引パイプ15に限られず、可撓性を有する吸引パイプ15や蛇腹状の吸引パイプ15を用いてもよく、各吸着具16,17,18に複数本の吸引パイプ15を連通させてもよい。
【0035】
以上に説明したように、上記切断工具用定規1は、切断工具をガイドするためのガイド体4に、被切断物3に吸着させるための吸着体6(移動式の吸着具18)を移動可能に設けた構成となっている。
【0036】
そのため、上記構成の切断工具用定規1では、吸着体6(移動式の吸着具18)を切断作業状況等に応じて適宜移動させることによって、被切断物3に吸着体6(移動式の吸着具18)を良好に吸着させることができるので、切断作業時に切断工具用定規1が不用意にずれ動いてしまうのを防止することができ、切断工具2を用いた切断作業の作業性を向上させることができる。
【0037】
また、上記切断工具用定規1は、ガイド体4に、吸引具を連結するための吸引パイプ15を設け、吸引パイプ15と吸着体6(固定式の吸着具16,17及び移動式の吸着具18)とを連通させて吸引具で吸引することによって吸着体6(固定式の吸着具16,17及び移動式の吸着具18)を被切断物3に吸着させるとともに、吸着体6(移動式の吸着具18)を吸引パイプ15(中央側吸引パイプ21)に沿って移動可能とする構成となっている。
【0038】
そのため、上記構成の切断工具用定規1では、吸着体6の吸着及び移動させる構成を容易なものとすることができるので、移動可能な吸着体6(移動式の吸着具18)を備える切断工具用定規1を安価に量産することができる。
【0039】
さらに、上記切断工具用定規1は、ガイド体4に、切断工具2の定盤をスライドさせるためのスライド体5(スライド板13,14)を設けた構成となっている。
【0040】
そのため、上記構成の切断工具用定規1では、切断工具2の定盤が被切断物3の表面に直接接触することがなくなり、切断作業時に被切断物3の表面を損傷させてしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 切断工具用定規 2 切断工具
3 被切断物 4 ガイド体
5 スライド体 6 吸着体
7,8 側壁 9 上壁
10 基端壁 11 先端壁
12 持ち手 13,14 スライド板
15 吸引パイプ 16,17 吸着具
18 吸着具 19 基端側吸引パイプ
20 先端側吸引パイプ 21 中央側吸引パイプ
22 連結部 23,27,31 ケース
24,28,32 吸引孔 25,29,33 パッキン
26,30,34 吸着孔
図1
図2
図3
図4