(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051027
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】順送り金型装置および積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 43/09 20060101AFI20230404BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20230404BHJP
B30B 13/00 20060101ALI20230404BHJP
B21D 43/04 20060101ALI20230404BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B21D43/09 Z
H02K15/02 E
B30B13/00 B
B21D43/04 B
B21D28/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161455
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 尚
【テーマコード(参考)】
4E090
5H615
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090EB01
4E090EC04
4E090FA02
4E090HA04
5H615AA01
5H615PP01
5H615SS03
5H615SS05
(57)【要約】
【課題】金型装置内で金属板がバタつくことを抑制すること。
【解決手段】順送り金型装置は、上型および下型と、リフタと、押圧部材と、を備える。上型および下型は、所定の方向に順送りされる帯状の金属板をプレス加工する。リフタは、下型に設けられ、金属板が順送りされる際に金属板を持ち上げる。押圧部材は、上型に設けられ、リフタが金属板を持ち上げる際に金属板を上方から押圧する。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に順送りされる帯状の金属板をプレス加工する上型および下型と、
前記下型に設けられ、前記金属板が順送りされる際に前記金属板を持ち上げるリフタと、
前記上型に設けられ、前記リフタが前記金属板を持ち上げる際に前記金属板を上方から押圧する押圧部材と、
を備える順送り金型装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記金属板の幅方向の中央部を押圧する
請求項1に記載の順送り金型装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記リフタと対向する位置に設けられる
請求項1または2に記載の順送り金型装置。
【請求項4】
前記上型に設けられ、前記金属板を位置決めするパイロットピン、
をさらに備え、
前記押圧部材の先端部は、前記パイロットピンの先端部よりも上方に位置する
請求項1~3のいずれか一つに記載の順送り金型装置。
【請求項5】
前記金属板の両方の縁部を支持しつつ前記金属板が順送りされる方向に沿って前記金属板を案内するガイド、
をさらに備え、
前記ガイドは、断面視で略コの字形状を有する
請求項1~4のいずれか一つに記載の順送り金型装置。
【請求項6】
所定の方向に順送りされる帯状の金属板を上型および下型でプレス加工する工程と、
前記金属板を順送りする際に前記下型に設けられるリフタで前記金属板を持ち上げる工程と、
前記リフタで前記金属板を持ち上げる際に、前記上型に設けられる押圧部材で前記金属板を上方から押圧する工程と、
を含む積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
前記リフタにより前記金属板が持ち上げられた後、前記押圧部材を前記金属板から離間する工程、をさらに含む
請求項6に記載の積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、順送り金型装置および積層鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、モータのステータやロータを構成する積層鉄心は、帯状の金属板を金型装置に順送りし、金属板の送り方向に沿って並んで位置する加工ステーションで順次打ち抜き加工を行って所望形状の鉄心片を形成し、得られた鉄心片を積層することで製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、この積層鉄心の製造工程では、幅広の金属板から鉄心片を順次打ち抜き形成するほど、金属板の剛性は徐々に低下する。そのため、上記の従来技術では、下流側の加工ステーションに行くにしたがって金属板が上下にバタつき易くなることから、かかるバタつきによって金属板が金型装置内で引っ掛かり易くなる。これにより、順送り移動量の不足や金属板の変形などの不具合が生じる恐れがある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、金型装置内で金属板がバタつくことを抑制することができる順送り金型装置および積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る順送り金型装置は、上型および下型と、リフタと、押圧部材と、を備える。上型および下型は、所定の方向に順送りされる帯状の金属板をプレス加工する。リフタは、前記下型に設けられ、前記金属板が順送りされる際に前記金属板を持ち上げる。押圧部材は、前記上型に設けられ、前記リフタが前記金属板を持ち上げる際に前記金属板を上方から押圧する。
【0007】
また、実施形態の一態様に係る積層鉄心の製造方法は、プレス加工する工程と、持ち上げる工程と、押圧する工程と、を含む。プレス加工する工程は、所定の方向に順送りされる帯状の金属板を上型および下型でプレス加工する。持ち上げる工程は、前記金属板を順送りする際に前記下型に設けられるリフタで前記金属板を持ち上げる。押圧する工程は、前記リフタで前記金属板を持ち上げる際に、前記上型に設けられる押圧部材で前記金属板を上方から押圧する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、金型装置内で金属板がバタつくことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る積層鉄心の製造装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る積層鉄心の一例を示す斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態に係るプレス加工装置によって打ち抜き加工が施される電磁鋼板の一例を示す平面図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態に係る下型の一例を示す平面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係るリフタの一例を示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係るガイドの一例を示す断面図である。
【
図5A】
図5Aは、実施形態に係る上型の一例を示す平面図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態に係る押圧部材の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るプレス加工装置が実行する各製造工程の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、実施形態に係る積層鉄心の製造工程の一例を説明するための図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態に係る積層鉄心の製造工程の一例を説明するための図である。
【
図8A】
図8Aは、実施形態に係る積層鉄心の製造工程の一例を説明するための図である。
【
図8B】
図8Bは、実施形態に係る積層鉄心の製造工程の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る積層鉄心の製造工程の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する順送り金型装置および積層鉄心の製造方法について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0011】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
たとえば、モータのステータやロータを構成する積層鉄心は、帯状の金属板を金型装置に順送りし、金属板の送り方向に沿って並んで位置する加工ステーションで順次打ち抜き加工を行って所望形状の鉄心片を形成し、得られた鉄心片を積層することで製造される。
【0013】
その際、打ち抜き途中の金属板の一部が順送り中に垂れ下がり、金型装置の下型と干渉することを抑制するため、かかる下型に設けられるリフタによって金属板を下型から持ち上げた後に順送りする技術が知られている。
【0014】
一方で、この積層鉄心の製造工程では、幅広の金属板から鉄心片を順次打ち抜き形成するほど、金属板の剛性は徐々に低下する。そのため、上記の従来技術では、下流側の加工ステーションに行くにしたがって金属板が上下にバタつき易くなることから、かかるバタつきによって金属板が金型装置内で引っ掛かり易くなる。
【0015】
このバタつきは、たとえば、リフタによって金属板を下型から持ち上げる際に顕著に発生する。そして、金属板が金型装置内で引っ掛かることにより、順送り移動量の不足や金属板の変形などの不具合が生じる恐れがある。特に積層鉄心の原材料に用いられる金属板は、モータの高効率化に対するニーズに応じて更なる薄板化が進んでおり、バタつきが発生しやすい。
【0016】
そこで、上記の問題点を克服し、金型装置内で金属板がバタつくことを抑制することができる技術の実現が期待されている。
【0017】
<製造装置>
最初に、実施形態に係る積層鉄心の製造装置100について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る積層鉄心の製造装置100の一例を示す概略図である。実施形態に係る製造装置100は、帯状の電磁鋼板MSから鉄心片の積層体を製造するように構成される。
【0018】
なお、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向、X軸正方向を電磁鋼板MSの順送り方向、Y軸を電磁鋼板MSの幅方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0019】
図1に示すように、製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120と、プレス加工装置130と、コントローラCtr(制御部)とを備える。プレス加工装置130は、順送り金型装置の一例である。
【0020】
アンコイラー110は、コイル材111を回転自在に保持するように構成される。コイル材111は、電磁鋼板MSがコイル状(渦巻状)に巻回されたものである。電磁鋼板MSは、金属板の一例である。
【0021】
送出装置120は、電磁鋼板MSを上下から挟み込む一対のローラ121、122を含む。一対のローラ121、122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転および停止し、電磁鋼板MSをプレス加工装置130に向けて間欠的に順次送り出す(以下、「順送り」とも呼称する。)ように構成されている。すなわち、一対のローラ121、122は、電磁鋼板MSを搬送するための搬送手段としての機能を有する。
【0022】
プレス加工装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作するように構成される。プレス加工装置130は、たとえば、複数のパンチ(図示せず)を動作させて、送出装置120によって送り出される電磁鋼板MSに順次プレス加工(たとえば、打ち抜き加工や半抜き加工など)を施す。
【0023】
これにより、プレス加工装置130は、複数の打抜部材W(
図2参照)を形成するように構成される。また、プレス加工装置130は、打ち抜き加工によって得られた複数の打抜部材Wを順次積層して積層体を形成するように構成されていてもよい。
【0024】
プレス加工装置130は、下型140と、上型150と、プレス機160とを含む。下型140は、順送りされる電磁鋼板MSの下方に位置し、かかる電磁鋼板MSを下方から支持する。上型150は、順送りされる電磁鋼板MSの上方に位置し、上下動することにより電磁鋼板MSをプレス加工する。下型140および上型150の詳細については後述する。
【0025】
プレス機160は、上型150の上方に位置する。プレス機160のピストンは、上型150に設けられる複数のパンチを保持するパンチホルダ(図示せず)に接続されており、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。プレス機160が動作すると、そのピストンが伸縮して、上型150が全体的に上下動する。
【0026】
コントローラCtrは、たとえば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラムまたはオペレータからの操作入力などに基づいて、送出装置120およびプレス加工装置130を動作させるための指示信号を生成するように構成されている。コントローラCtrは、送出装置120およびプレス加工装置130にこの指示信号をそれぞれ送信するように構成されている。
【0027】
<積層鉄心>
つづいて、実施形態に係る積層鉄心1の構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、実施形態に係る積層鉄心1の一例を示す斜視図である。積層鉄心1は、たとえば、固定子積層鉄心であり、固定子(ステータ)の一部である。
【0028】
なお、固定子は、積層鉄心1に巻線が取り付けられたものである。この固定子に回転子(ロータ)が組み合わされることによって、モータが構成される。
【0029】
図2に示すように、積層鉄心1は、円筒形状を呈している。すなわち、積層鉄心1の中央部分には、中心軸Axに沿って延びる貫通孔1a(中心孔)が設けられている。貫通孔1a内には、回転子が配置可能である。
【0030】
積層鉄心1は、複数の打抜部材Wが積み重ねられた積層体である。打抜部材Wは、帯状の電磁鋼板MS(
図1参照)が所定形状に打ち抜かれた板状体である。
【0031】
なお、実施形態に係る積層鉄心1は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。この「転積」とは、打抜部材W同士の角度を相対的にずらしつつ、複数の打抜部材Wを積層することをいう。転積は、主に積層鉄心1の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
【0032】
積層鉄心1は、ヨーク部2と、複数のティース部3と、複数のカシメ部4とを含む。ヨーク部2は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。ヨーク部2の径方向における幅、内径、外径および厚さはそれぞれ、モータの用途および性能に応じて種々の大きさに設定し得る。
【0033】
各ティース部3は、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向かうようにヨーク部2の径方向に沿って延びている。すなわち、各ティース部3は、ヨーク部2の内縁から中心軸Ax側に向けて突出している。
【0034】
たとえば、
図2の例では、12個のティース部3がヨーク部2に一体的に形成されている。各ティース部3は、ヨーク部2の周方向において、略等間隔で並んでいる。隣り合うティース部3の間には、巻線(図示せず)を配置するための空間として機能するスロット5が画定されている。
【0035】
カシメ部4は、ヨーク部2に設けられていてもよいし、各ティース部3に設けられていてもよいし、ヨーク部2および各ティース部3の双方に設けられていてもよい。高さ方向において隣接する打抜部材W同士は、カシメ部4によって締結されている。
【0036】
具体的には、カシメ部4は、積層鉄心1の最下層以外をなす打抜部材Wに形成されたカシメ(図示せず)と、積層鉄心1の最下層をなす打抜部材Wに形成された貫通孔(図示せず)とを含む。
【0037】
カシメの凸部は、隣り合う他のカシメの凹部または貫通孔と接合される。貫通孔は、積層鉄心1を連続して製造する際、すでに製造された積層鉄心1に対し、続いて形成された打抜部材Wがカシメによって締結されるのを防ぐ機能を有する。
【0038】
なお、実施形態に係る積層鉄心1において、複数の打抜部材W同士は、カシメ部4に代えて、種々の公知の方法にて締結されてもよい。たとえば、複数の打抜部材W同士が、接着剤または樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。
【0039】
あるいは、打抜部材Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の打抜部材Wを締結して積層体を得た後、仮カシメをこの積層体から除去することによって、積層鉄心1を得てもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の打抜部材Wを一時的に一体化させるのに使用され、かつ製品(積層鉄心1または固定子)を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
【0040】
<プレス加工装置>
つづいて、実施形態に係るプレス加工装置130の詳細について、
図3A~
図5Bを参照しながら説明する。
図3Aは、実施形態に係るプレス加工装置130によって打ち抜き加工が施される電磁鋼板MSの一例を示す平面図である。
【0041】
なお、以下の
図3A、
図3Bおよび
図5Aでは、理解を容易にするため、打ち抜き加工の最後の部分に対応する電磁鋼板MS(
図3A)、下型140(
図3B)および上型150(
図5A)について示す。
【0042】
また、
図3Aにおいて黒塗りで示す部位は、ステーションSa、Sbに到達するまでに打ち抜き加工が施されている部位である。すなわち、実施形態に係る電磁鋼板MSは、
図3Aに示すように、打ち抜き加工が行われるステーションSaに到達する際に、貫通孔1a(
図2参照)以外の各部が打ち抜かれている。
【0043】
電磁鋼板MSには、図示しない上流側のステーションにおいて、両方の縁部にパイロット孔Hが打ち抜き加工で形成される。かかるパイロット孔Hは、プレス加工装置130に設けられる各ステーションにおいて、パンチによる電磁鋼板MSの打ち抜き加工に際して電磁鋼板MSをパイロットピン152(
図5A参照)により位置決めするために形成される。
【0044】
そして、プレス加工装置130(
図1参照)は、ステーションSaにおいて、貫通孔1aに対応する部位Sa1を打ち抜く。なお、
図3Aにおいて、ドット状のハッチングが施されている部位は、ステーションSa、Sbにおいて打ち抜き加工が施される部位である。
【0045】
次に、所定の方向Dに沿ってステーションSaからステーションSbに順送りされた電磁鋼板MSに対して、プレス加工装置130は、打抜部材Wの全体に対応する部位Sb1を打ち抜く。これにより、プレス加工装置130において、1枚の打抜部材Wが形成される。
【0046】
図3Bは、実施形態に係る下型140の一例を示す平面図である。
図3Bに示すように、実施形態に係る下型140は、ダイプレート141と、パイロット孔142と、リフタ143と、ガイド144とを有する。また、下型140には、ステーションSaにダイ孔Sa2が形成され、ステーションSbにダイ孔Sb2が形成される。
【0047】
ダイプレート141は、上型150に設けられる複数のパンチとともに、打抜部材Wを成形する機能を有する。かかるダイプレート141は、たとえば、ベース(図示せず)およびダイホルダ145(
図4A参照)に支持される。
【0048】
パイロット孔142は、鉛直方向に沿って延びるように設けられ、たとえばダイプレート141に形成される。パイロット孔142は、パンチによる電磁鋼板MSの打ち抜き加工に際して、電磁鋼板MSをパイロットピン152(
図5A参照)により位置決めするための基準となる孔である。
【0049】
リフタ143は、電磁鋼板MSを順送りする際に、かかる電磁鋼板MSをダイプレート141の上面141a(
図4A参照)から持ち上げる。リフタ143は、下型140において電磁鋼板MSが通過する位置に複数設けられる。リフタ143の配置は特に限定されないが、本開示では、少なくとも電磁鋼板MSの幅方向の中央部が通過する位置に設けられる。
【0050】
図4Aは、実施形態に係るリフタ143の一例を示す断面図である。
図4Aに示すように、リフタ143は、ピン部143aと、弾性部材143bとを有する。
【0051】
そして、リフタ143は、上型150(
図1参照)の下降によって電磁鋼板MSに対する打ち抜き加工が行われる際には、弾性部材143bが下方に収縮することで、ピン部143aの先端部がダイプレート141の上面141aと略面一になることができる。
【0052】
これにより、打ち抜き加工の際に、電磁鋼板MSをダイプレート141の上面141aに対して押し当てることができる。
【0053】
一方で、電磁鋼板MSが順送りされる際には、弾性部材143bが上方に伸長することで、ピン部143aがダイプレート141の上面141aから離間した状態で電磁鋼板MSを支持することができる。
【0054】
これにより、打ち抜き途中の電磁鋼板MSの一部が順送り中に垂れ下がり、下型140と干渉することを抑制することができる。
【0055】
また、ピン部143aの先端部には、順送りの方向Dとは反対側にテーパ部143a1が設けられる。かかるテーパ部143a1がピン部143aに設けられることにより、電磁鋼板MSが順送りされる際に、電磁鋼板MSがピン部143aに引っ掛かることを抑制することができる。なお、リフタ143の構成は
図4Aの例に限定されるものではない。
【0056】
図3Bの説明に戻る。ガイド144は、順送りされる電磁鋼板MSの両方の縁部に近接して設けられ、電磁鋼板MSが順送りされる際にY軸方向にズレることを規制する機能を有する。すなわち、ガイド144は、電磁鋼板MSの両方の縁部を支持しつつ、電磁鋼板MSの順送りの方向Dに沿ってかかる電磁鋼板MSを案内する。
【0057】
図4Bは、実施形態に係るガイド144の一例を示す断面図である。
図4Bに示すように、ガイド144は、規制部144aと、昇降部144bと、弾性部材144c(
図7A参照)とを有する。また、規制部144aは、第1規制部144a1および第2規制部144a2を有する。
【0058】
第1規制部144a1は、電磁鋼板MSにおける縁部の側方に近接して位置し、かかる電磁鋼板MSがY軸方向にズレることを規制する。第1規制部144a1は、電磁鋼板MSにおける縁部の上方に近接して位置し、かかる電磁鋼板MSの縁部が鉛直方向に過度に上昇することを規制する。
【0059】
昇降部144bは、上型150(
図1参照)の下降によって電磁鋼板MSに対する打ち抜き加工が行われる際には、弾性部材144cが下方に収縮することで、先端部がダイプレート141の上面141aと略面一になることができる。
【0060】
これにより、打ち抜き加工の際に、電磁鋼板MSをダイプレート141の上面141aに対して押し当てることができる。
【0061】
一方で、電磁鋼板MSが順送りされる際には、弾性部材144cが上方に伸長することで、昇降部144bがダイプレート141の上面141aから離間した状態で電磁鋼板MSを支持することができる。
【0062】
これにより、打ち抜き途中の電磁鋼板MSの一部が順送り中に垂れ下がり、下型140と干渉することを抑制することができる。このように、実施形態では、ガイド144の昇降部144bが、リフタ143のピン部143aと連動して上下動する。
【0063】
図3Bの説明に戻る。ダイ孔Sa2、Sb2は、鉛直方向に沿って延びるように設けられ、たとえばダイプレート141およびダイホルダ145に形成される。ダイ孔Sa2、Sb2は、上型150に設けられるパンチSa3、Sb3(
図5A参照)にそれぞれ対応する位置に設けられる。ダイ孔Sa2、Sb2では、パンチSa3、Sb3により電磁鋼板MSから打ち抜かれた鉄心片(たとえば、打抜部材Wなど)が通過する。
【0064】
図5Aは、実施形態に係る上型150の一例を示す平面図であり、上型150を下方から見た図である。なお、
図5Aには、対応する下型140のガイド144についても図示している。
【0065】
図5Aに示すように、実施形態に係る上型150は、ストリッパ151と、パイロットピン152と、押圧部材153とを有する。また、上型150には、ステーションSaにパンチSa3が設けられ、ステーションSbにパンチSb3が設けられる。
【0066】
ストリッパ151は、上型150に設けられる複数のパンチで電磁鋼板MSを打ち抜く際に、電磁鋼板MSをダイプレート141(
図3B)との間で挟持する機能と、打ち抜き加工後にパンチに食いついた電磁鋼板MSをパンチから取り除く機能とを有する。
【0067】
ストリッパ151は、たとえば、かかるストリッパ151の上方に位置するパンチホルダ(図示せず)に対して、上下動できるように支持される。
【0068】
パイロットピン152は、電磁鋼板MSを打ち抜き加工する際に、電磁鋼板MSに形成されるパイロット孔Hに挿通することで、電磁鋼板MSを所望の位置に位置決めする。パイロットピン152は、たとえば、ストリッパ151の上方に位置するパンチホルダに支持される。
【0069】
押圧部材153は、電磁鋼板MSをリフタ143で持ち上げる際に、かかる電磁鋼板MSを上方から押圧する。押圧部材153は、たとえばピン形状であり、上型150において電磁鋼板MSが通過する位置に複数設けられる。押圧部材153の配置は特に限定されないが、本開示では、たとえば、下型140に設けられる複数のリフタ143とそれぞれ対向する位置に設けられる。なお、押圧部材153は、ピン形状に限られない。
【0070】
図5Bは、実施形態に係る押圧部材153の一例を示す断面図である。
図5Bに示すように、押圧部材153は、ピン部153aと、弾性部材153bとを有する。
【0071】
そして、押圧部材153は、上型150の下降によって電磁鋼板MSに対する打ち抜き加工が行われる際には、弾性部材153bが上方に収縮することで、ピン部153aの先端部153a1がストリッパ151の下面151aと略面一になることができる。
【0072】
これにより、打ち抜き加工の際に、電磁鋼板MSをストリッパ151の下面151aに対して押し当てることができる。
【0073】
一方で、電磁鋼板MSを順送りする際に上型150が上方に退避する際には、弾性部材153bが下方に伸長することで、ピン部153aがストリッパ151の下面151aから離間した状態で電磁鋼板MSを下方に押圧することができる。なお、押圧部材153の構成は
図5Bの例に限定されるものではない。
【0074】
図5Aの説明に戻る。パンチSa3、Sb3は、ステーションSa、Sbに位置する電磁鋼板MSに対して、所定の位置に打ち抜き加工を施す機能を有する。パンチSa3、Sb3は、ダイ孔Sa2、Sb2よりもわずかに小さい寸法を有し、かかるダイ孔Sa2、Sb2を挿通可能な位置に設けられる。パンチSa3、Sb3は、たとえば、ストリッパ151の上方に位置するパンチホルダに支持される。
【0075】
<製造工程>
つづいて、実施形態に係るプレス加工装置130での積層鉄心1の製造工程について、
図6~
図8Bを参照しながら説明する。
図6は、実施形態に係るプレス加工装置130が実行する各製造工程の手順の一例を示すフローチャートであり、
図7A~
図8Bは、実施形態に係る積層鉄心1の製造工程の一例を説明するための図である。
【0076】
図6に示すように、コントローラCtr(
図1参照)は、まず、送出装置120(
図1参照)などを制御して、電磁鋼板MS(
図1参照)をプレス加工装置130(
図1参照)内に方向D(
図1参照)に沿って順送りする(ステップS101)。
【0077】
次に、コントローラCtrは、プレス加工装置130を制御して、上型150を下降させて上型150と下型140とで電磁鋼板MSを挟持し、電磁鋼板MSにプレス加工を施す(ステップS102)。
【0078】
具体的には、
図7Aに示すように、電磁鋼板MSに対して打ち抜き加工などのプレス加工を行う際には、下型140のダイプレート141と上型150のストリッパ151とで、電磁鋼板MSが挟持される。
【0079】
すなわち、電磁鋼板MSを打ち抜き加工する際には、電磁鋼板MSの下面がダイプレート141の上面141aに接するとともに、電磁鋼板MSの上面がストリッパ151の下面151aに接する。
【0080】
またこの際、ダイプレート141の上面141aと、リフタ143におけるピン部143aの先端部およびガイド144における昇降部144bの先端部とが略面一となる。さらにこの際、ストリッパ151の下面151aと、押圧部材153におけるピン部153aの先端部153a1(
図5B参照)とが略面一となる。
【0081】
そして、プレス加工装置130では、電磁鋼板MSが打ち抜き加工された後、かかる電磁鋼板MSを順送りするために、電磁鋼板MSがダイプレート141とストリッパ151とで挟持される状態を解除する必要がある。
【0082】
そこで、
図6に示すように、ステップS102の処理の後、コントローラCtrは、プレス加工装置130を制御して、上型150を上昇させてリフタ143等を動作させることにより、電磁鋼板MSを下型140から持ち上げる(ステップS103)。
【0083】
具体的には、
図7Bに示すように、コントローラCtr(
図1参照)は、プレス機160(
図1参照)を動作させて、上型150を徐々に上方に移動させる。
【0084】
すると、弾性部材143bの弾性力によって、リフタ143は電磁鋼板MSを持ち上げ始め、電磁鋼板MSをダイプレート141の上面141aから離間させる。また同様に、弾性部材144cの弾性力によって、ガイド144の昇降部144bは電磁鋼板MSを持ち上げ始め、電磁鋼板MSをダイプレート141の上面141aから離間させる。
【0085】
なお、リフタ143等で電磁鋼板MSを持ち上げ始めた時点では、
図7Bに示すように、電磁鋼板MSとストリッパ151の下面151aとは接している。なぜなら、押圧部材153における弾性部材153bの弾性力が、リフタ143における弾性部材143bの弾性力よりも小さく設定されているからである。
【0086】
そして、コントローラCtrは、
図8Aに示すように、プレス機160をさらに動作させて、上型150をさらに上方に移動させる。すると、リフタ143とガイド144の昇降部144bとは、弾性部材143b、144cの弾性力によって、電磁鋼板MSを順送りするための所定の上昇位置(規制部144aの第2規制部144a2に当接するまでの位置)まで持ち上げる。また、この時点において、電磁鋼板MSとストリッパ151の下面151aとが離間する。
【0087】
また、ここまで説明した
図6におけるステップS103の処理と平行して、コントローラCtrは、上型150を上昇させて押圧部材153を上型150から突出させることにより、電磁鋼板MSを上方から押圧する(ステップS104)。
【0088】
具体的には、
図8Aに示すように、リフタ143等で電磁鋼板MSを所定の上昇位置まで持ち上げるまでの間、上型150に設けられる押圧部材153によって、電磁鋼板MSを上方から押圧する。
【0089】
これにより、所定の上昇位置まで持ち上げられることで電磁鋼板MSにおいて上向きに生じる慣性力によって、かかる電磁鋼板MSが上側にバタつくことを抑制することができる。すなわち、実施形態では、上型150に押圧部材153が設けられることによって、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことを抑制することができる。
【0090】
また、実施形態では、押圧部材153が、電磁鋼板MSの幅方向の中央部を押圧するとよい。このように、最もバタつきが生じやすい電磁鋼板MSの幅方向の中央部を押圧部材153で押圧することにより、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0091】
また、実施形態では、押圧部材153が、リフタ143と対向する位置に設けられるとよい。これにより、リフタ143によって上向きに勢いがつきやすい電磁鋼板MSにおけるリフタ143と接触する部位を、押圧部材153で直接押圧することができる。
【0092】
したがって、実施形態によれば、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0093】
なお、上記の実施形態では、複数の押圧部材153のうち少なくとも1つが電磁鋼板MSの幅方向の中央部を押圧する例について示したが、本開示はかかる例に限られず、すべての押圧部材153が電磁鋼板MSの幅方向の中央部以外の部位を押圧してもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、すべての押圧部材153がリフタ143と対向する位置に設けられる例について示したが、本開示はかかる例に限られず、一部もしくは全部の押圧部材153がリフタ143と対向しない位置に設けられてもよい。
【0095】
なおこの場合、押圧部材153は、リフタ143と近接する位置に設けられるとよい。これにより、リフタ143によって上向きに勢いがつきやすい電磁鋼板MSにおけるリフタ143と接触する部位の近傍を、押圧部材153で押圧することができるため、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0096】
図6の説明に戻る。ステップS103およびS104の処理が完了し、電磁鋼板MSが所定の上昇位置まで持ち上がった後、コントローラCtrは、プレス加工装置130を制御して、上型150を電磁鋼板MSから離間させる(ステップS105)。
【0097】
具体的には、
図8Bに示すように、コントローラCtrは、リフタ143等によって電磁鋼板MSを所定の上昇位置まで持ち上げた後も、プレス機160をさらに動作させて、上型150をさらに上方に移動させる。
【0098】
これにより、押圧部材153が電磁鋼板MSの上面から離間する。さらに、
図8Bには図示していないが、上型150に設けられるパイロットピン152(
図5A参照)も上昇して、電磁鋼板MSのパイロット孔H(
図3A参照)から抜ける。
【0099】
そのため、電磁鋼板MSは上型150に束縛されていない状態となることから、電磁鋼板MSの順送りが可能となる。そこで、コントローラCtrは、
図6に示すように、送出装置120などを動作させて、電磁鋼板MSを方向Dに沿って所定の距離だけ順送りする(ステップS106)。
【0100】
次に、コントローラCtrは、電磁鋼板MSのプレス加工工程が終了しているか否かを判定する(ステップS107)。そして、電磁鋼板MSのプレス加工工程が終了している場合(ステップS107,Yes)、一連の製造工程が完了する。一方で、電磁鋼板MSのプレス加工工程が終了していない場合(ステップS107,No)、ステップS102の処理に戻る。
【0101】
具体的には、コントローラCtrは、プレス機160を動作させて、上型150を下方に移動させる。これにより、パイロットピン152が電磁鋼板MSのパイロット孔Hに挿通され、電磁鋼板MSが所定の位置に位置決めされる。
【0102】
そして、コントローラCtrは、さらにプレス機160を動作させて、上型150を下方に移動させる。これにより、上型150のストリッパ151および押圧部材153が電磁鋼板MSに接触し、電磁鋼板MSが下型140のダイプレート141と上型150のストリッパ151とで挟持される。
【0103】
この状態で、コントローラCtrは、プレス機160を動作させて、上型150に設けられる複数のパンチによって電磁鋼板MSに打ち抜き加工を施す。そして、
図7Aに示した状態に戻る。
【0104】
なお、実施形態では、上型150において、押圧部材153の先端部153a1がパイロットピン152の先端部よりも上方に位置するとよい。これにより、パイロットピン152で電磁鋼板MSを位置決めする際に、電磁鋼板MSに押圧部材153が接触することを抑制することができる。
【0105】
そのため、パイロットピン152で電磁鋼板MSを位置決めする際に、押圧部材153によって電磁鋼板MSの水平方向への移動が規制されることを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、パイロットピン152による電磁鋼板MSの位置決めを円滑に実施することができる。
【0106】
<変形例>
つづいて、上述の実施形態に係るプレス加工装置130および積層鉄心1の製造工程の変形例について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、変形例に係る積層鉄心1の製造工程の一例を説明するための図である。
【0107】
図9に示すように、変形例に係るプレス加工装置130では、ガイド144の構成が上述の実施形態と異なる。具体的には、変形例に係るガイド144は、昇降規制部144dと、弾性部材144cとを有する。
【0108】
昇降規制部144dは、断面視で略コの字形状を有する。そして、昇降規制部144dは、かかるコの字形状の内側で電磁鋼板MSの縁部を支持し、電磁鋼板MSがY軸方向および鉛直方向にズレることを規制する。
【0109】
また、昇降規制部144dは、弾性部材144cの弾性力によって昇降可能に構成される。なおガイド144は、上述の実施形態に記載された規制部144aを有さない。よって、昇降規制部144dは、弾性部材144cの弾性力の及ぶ位置まで上昇可能である。
【0110】
変形例では、昇降規制部144dが断面視で略コの字形状を有することにより、ガイド144は、電磁鋼板MSの下面を面接触で支持することができる。したがって、変形例によれば、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0111】
なお、
図9に示した変形例のプレス加工装置130において、積層鉄心1の製造工程は、
図6~
図8Bで説明した上述の実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、電磁鋼板MSを打ち抜き加工するプレス加工装置130について示したが、本開示はかかる例に限られない。たとえば、電磁鋼板MSを半抜き加工してもよいし、電磁鋼板MSとは異なる金属板を打ち抜き加工または半抜き加工してもよい。
【0113】
以上のように、実施形態に係る順送り金型装置(プレス加工装置130)は、上型150および下型140と、リフタ143と、押圧部材153と、を備える。上型150および下型140は、所定の方向Dに順送りされる帯状の金属板(電磁鋼板MS)をプレス加工する。リフタ143は、下型140に設けられ、金属板(電磁鋼板MS)が順送りされる際に金属板(電磁鋼板MS)を持ち上げる。押圧部材153は、上型150に設けられ、リフタ143が金属板(電磁鋼板MS)を持ち上げる際に金属板(電磁鋼板MS)を上方から押圧する。これにより、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことを抑制することができる。
【0114】
また、実施形態に係る順送り金型装置(プレス加工装置130)において、押圧部材153は、金属板(電磁鋼板MS)の幅方向の中央部を押圧する。これにより、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0115】
また、実施形態に係る順送り金型装置(プレス加工装置130)において、押圧部材153は、リフタ143と対向する位置に設けられる。これにより、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0116】
また、実施形態に係る順送り金型装置(プレス加工装置130)は、上型150に設けられ、金属板(電磁鋼板MS)を位置決めするパイロットピン152、をさらに備える。また、押圧部材153の先端部153a1は、パイロットピン152の先端部よりも上方に位置する。これにより、パイロットピン152による電磁鋼板MSの位置決めを円滑に実施することができる。
【0117】
また、実施形態に係る順送り金型装置(プレス加工装置130)は、金属板(電磁鋼板MS)の両方の縁部を支持しつつ金属板(電磁鋼板MS)が順送りされる方向Dに沿って金属板(電磁鋼板MS)を案内するガイド144、をさらに備える。また、ガイド144は、断面視で略コの字形状を有する。これにより、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことをさらに抑制することができる。
【0118】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法は、プレス加工する工程(ステップS102)と、持ち上げる工程(ステップS103)と、押圧する工程(ステップS104)と、を含む。プレス加工する工程(ステップS102)は、所定の方向Dに順送りされる帯状の金属板(電磁鋼板MS)を上型150および下型140でプレス加工する。持ち上げる工程(ステップS103)は、金属板(電磁鋼板MS)を順送りする際に下型140に設けられるリフタ143で金属板(電磁鋼板MS)を持ち上げる。押圧する工程(ステップS104)は、リフタ143で金属板(電磁鋼板MS)を持ち上げる際に、上型150に設けられる押圧部材153で金属板(電磁鋼板MS)を上方から押圧する。これにより、プレス加工装置130内で電磁鋼板MSがバタつくことを抑制することができる。
【0119】
また、実施形態に係る積層鉄心1の製造方法は、リフタ143により金属板(電磁鋼板MS)が持ち上げられた後、押圧部材153を金属板(電磁鋼板MS)から離間する工程(ステップS105)、をさらに含む。これにより、電磁鋼板MSの順送り工程を円滑に実施することができる。
【0120】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 積層鉄心
100 製造装置
130 プレス加工装置(順送り金型装置の一例)
140 下型
143 リフタ
150 上型
152 パイロットピン
153 押圧部材
153a1 先端部
D 方向
MS 電磁鋼板(金属板の一例)