(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051055
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20230404BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/17 207
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161500
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小林 武司
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC11
2C056EC23
2C056EC31
2C056EC35
2C056EC54
2C056FA10
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB10
2C056JC23
2C056JC25
(57)【要約】
【課題】コンタミネーションの発生を抑制できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置10は、液体を吐出するノズル34を有し、第1方向に移動可能であるカートリッジ24と、第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能なメンテナンスステーション26とを備え、メンテナンスステーション26は、ノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材36aと、ワイパ部材36aを支持する支持部材38とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有し、第1方向に移動可能である吐出部と、
前記第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、前記ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な受け部とを備え、
前記受け部は、前記ノズルに付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材と、前記ワイパ部材を支持する支持部材とを有する、
液体吐出装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記ワイパ部材を前記第1方向と直交しかつ前記第2方向と直交する第3方向に移動可能に支持し、
前記ワイパ部材を前記支持部材に対して前記第3方向に移動させる移動機構をさらに備える、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記ワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための凹部と、前記ワイパ部材によって拭き取られた液体を前記凹部に導く流路を形成する流路形成部とを有する、
請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記受け部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記取付部材は、前記支持部材に代えて、前記ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な部材が着脱可能に取り付けられることが可能である、
請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有し、第1方向に移動可能である吐出部と、前記第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、前記ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な受け部とを備え、前記受け部は、前記ノズルに付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材と、前記ワイパ部材を支持する支持部材とを有し、
前記吐出部を前記第1方向に移動させ、前記吐出部を前記ワイパ部材によって前記ノズルに付着している液体を拭き取ることが可能な位置に位置させる第1ステップと、
前記受け部を前記第2方向に移動させ、前記位置に位置している前記吐出部の前記ノズルに付着している液体を拭き取る第2ステップとを含み、
前記第2ステップにおける前記受け部を前記第2方向に移動させる速度は、前記第1ステップにおける前記吐出部を前記第1方向に移動させる速度よりも遅い、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出装置、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を吐出する液体吐出装置が知られている。たとえば、液体吐出装置の一例として、特許文献1には、吐出面を有する液体吐出ヘッドと、ワイパを吐出面と直交する方向に移動させるワイパ移動機構を有するワイパユニットと、ワイパが吐出面に接触しつつ吐出面に沿った払拭方向に移動するようにワイパユニットを移動させるユニット移動機構とを備える液体吐出記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の液体吐出記録装置では、ワイパユニットによって拭き取られた液体が他の液体と混ざり合う恐れがあり、コンタミネーションが発生する恐れがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、コンタミネーションの発生を抑制できる液体吐出装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有し、第1方向に移動可能である吐出部と、前記第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、前記ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な受け部とを備え、前記受け部は、前記ノズルに付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材と、前記ワイパ部材を支持する支持部材とを有する。
【0007】
本態様によれば、第2方向に移動可能な受け部がワイパ部材を有しているので、受け部を第2方向に移動させることによってノズルに付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。
【0008】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記支持部材は、前記ワイパ部材を前記第1方向と直交しかつ前記第2方向と直交する第3方向に移動可能に支持し、前記ワイパ部材を前記支持部材に対して前記第3方向に移動させる移動機構をさらに備えるように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、ワイパ部材を第3方向に移動させることによって、ノズルに付着している液体を容易に拭き取ることができる。
【0010】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記支持部材は、前記ワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための凹部と、前記ワイパ部材によって拭き取られた液体を前記凹部に導く流路を形成する流路形成部とを有するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、ワイパ部材によって拭き取られた液体を容易に凹部に導くことができるので、ワイパ部材によって拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことをさらに抑制でき、コンタミネーションの発生をさらに抑制できる。
【0012】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記受け部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材を有するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、支持部材を取付部材から取り外すことによって、ワイパ部材によって拭き取られた液体を適切に処理できる。たとえば、支持部材を取付部材から取り外して容易に水洗いすることができるので、コンタミネーションの発生をさらに抑制できる。
【0014】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記取付部材は、前記支持部材に代えて、前記ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な部材が着脱可能に取り付けられることが可能であるように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、ワイパ部材による液体の拭き取りが不要な場合等には、支持部材に代えて、ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な部材を取り付けて使用することができる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制御方法は、液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有し、第1方向に移動可能である吐出部と、前記第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、前記ノズルから空吐出される液体を受けることが可能な受け部とを備え、前記受け部は、前記ノズルに付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材と、前記ワイパ部材を支持する支持部材とを有し、前記吐出部を前記第1方向に移動させ、前記吐出部を前記ワイパ部材によって前記ノズルに付着している液体を拭き取ることが可能な位置に位置させる第1ステップと、前記受け部を前記第2方向に移動させ、前記位置に位置している前記吐出部の前記ノズルに付着している液体を拭き取る第2ステップとを含み、前記第2ステップにおける前記受け部を前記第2方向に移動させる速度は、前記第1ステップにおける前記吐出部を前記第1方向に移動させる速度よりも遅い。
【0017】
本態様によれば、第2方向に移動可能な受け部がワイパ部材を有しているので、受け部を第2方向に移動させることによってノズルに付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。また、第2ステップにおける受け部を第2方向に移動させる速度は、第1ステップにおける吐出部を第1方向に移動させる速度よりも遅いので、吐出部をより早く上記位置に位置させることができるとともに、ワイパ部材で拭き取られた液体が飛び散ることを抑制できる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。
【0018】
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える液体吐出装置として実現することができるだけでなく、液体吐出装置に含まれる特徴的な処理部が実行する処理をステップとする制御方法として実現することができる。また、液体吐出装置に含まれる特徴的な処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは制御方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係る液体吐出装置等によれば、コンタミネーションの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る液体吐出装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるキャリッジ駆動部等を省略した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の液体吐出装置のカートリッジ等を示す模式図である。
【
図5】
図5は、
図1の液体吐出装置のカートリッジおよびメンテナンスステーション等を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図5のVII-VII線における断面図である。
【
図8】
図8は、
図1の液体吐出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図1の液体吐出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、ノズルに付着した液体を拭き取る際のメンテナンスステーションの動きを示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。
【
図13】
図13は、実施の形態4に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。
【
図14】
図14は、実施の形態5に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図は、必ずしも各寸法または各寸法比等を厳密に図示したものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る液体吐出装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の液体吐出装置10の内部構造を示す斜視図である。
図3は、
図2におけるキャリッジ駆動部20等を省略した状態を示す斜視図である。具体的には、
図3は、
図2におけるキャリッジ駆動部20、キャリッジ22、およびカートリッジ24を省略した状態を示す斜視図である。
図1から
図3を参照して、液体吐出装置10の全体構成について説明する。
【0023】
図1から
図3に示すように、液体吐出装置10は、液体を吐出する装置であり、筐体12と、トレイ支持部14と、トレイ16と、ウェルプレート18と、キャリッジ駆動部20と、キャリッジ22と、カートリッジ24と、メンテナンスステーション26と、メンテナンスステーション駆動部28とを備えている。本実施の形態では、液体吐出装置10は、液体を分注する液体分注装置であり、液体は、薬液である。なお、たとえば、液体吐出装置10は、印刷装置であってもよく、液体は、インクであってもよい。
【0024】
なお、以下の説明では、キャリッジ22が移動する方向を第1方向とし、メンテナンスステーション26が移動する方向を第2方向とし、第1方向と直交しかつ第2方向と直交する方向を第3方向として説明する。本実施の形態では、第2方向は、第1方向と直交している。第1方向は、
図1等におけるX軸で示す方向であり、第2方向は、
図1等におけるY軸で示す方向であり、第3方向は、
図1等におけるZ軸で示す方向である。
【0025】
筐体12は、トレイ支持部14、キャリッジ駆動部20、キャリッジ22、カートリッジ24、メンテナンスステーション26、およびメンテナンスステーション駆動部28等を収容している。筐体12は、第2方向における一方側(Y軸方向のマイナス側)の側面において開口部30を有している。また、筐体12は、第2方向における他方側(Y軸方向のプラス側)の側面において開口部(図示せず)を有している。
【0026】
トレイ支持部14は、トレイ16を第2方向に摺動可能に支持している。トレイ16は、ウェルプレート18を着脱可能に支持している。ウェルプレート18は、それぞれがカートリッジ24から吐出された液体を貯留する複数のウェル32を有している。トレイ16を開口部30から第2方向の一方側に引き出した状態において、トレイ16に対してウェルプレート18を着脱できる。
【0027】
キャリッジ駆動部20は、キャリッジ22を第1方向に移動させる。たとえば、キャリッジ駆動部20は、モータおよび駆動軸等を有しており、モータおよび駆動軸等によってキャリッジ22を第1方向に移動させる。キャリッジ22は、カートリッジ24を着脱可能に収容している。
【0028】
カートリッジ24は、液体を吐出するノズル34(
図4を参照)を有し、第1方向に移動可能である吐出部の一例である。カートリッジ24は、複数のノズル34を有しており、複数のノズル34のそれぞれから吐出される液体を保持している。カートリッジ24は、キャリッジ22に収容された状態において、キャリッジ22とともに第1方向に移動可能である。複数のノズル34は、第3方向の一方側(Z軸方向のマイナス側)に液体を吐出する。
【0029】
メンテナンスステーション26は、第2方向に移動可能であり、ノズル34から空吐出された液体を受ける受け部の一例である。たとえば、空吐出とは、ノズル34が詰まることを抑制するための当該ノズル34からの液体の吐出である。たとえば、液体吐出装置10が液体分注装置である場合、空吐出は、液体の分注に寄与しない液体の吐出である。また、たとえば、液体吐出装置10が印刷装置である場合、空吐出は、印刷に寄与しない液体の吐出である。メンテナンスステーション26は、複数のワイパ部材36a~36cと、支持部材38と、取付部材40とを有している。
【0030】
複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、ノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能である。支持部材38は、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれを支持している。取付部材40は、支持部材38が着脱可能に取り付けられている部材である。メンテナンスステーション26の詳細については後述する。
【0031】
メンテナンスステーション駆動部28は、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させる。たとえば、メンテナンスステーション駆動部28は、モータおよび駆動軸42等を有しており、モータおよび駆動軸42等によってメンテナンスステーション26を第2方向に移動させる。
【0032】
また、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させる際はカートリッジ24を第1方向へ移動させるよりも低速にすることができるので、モータ等の駆動時の振動を抑え一定圧力で液体を拭き取ることができ、かつ、摩擦による発熱を低減することができる。これにより、ノズル34の表面にある液体の拭き取り漏れや飛び散り、加えて、熱による液体の変性を防ぐことができる。たとえば、駆動時のモータの振動を抑えるのであれば、メンテナンスステーション26の速度を2mm/s以下にするのが望ましい。
【0033】
以上、液体吐出装置10の全体構成について説明した。
【0034】
図4は、
図1の液体吐出装置10のカートリッジ24等を示す模式図である。具体的には、
図4は、カートリッジ24等を第3方向の他方側から見た模式図である。
図4を参照して、2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6について説明する。
【0035】
図4に示すように、カートリッジ24は、第3方向の一方側の面において、複数のノズル34を有している。複数のノズル34は、第1方向および第2方向に並んでいる。
【0036】
複数のノズル34は、2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6に分けられている。本実施の形態では、2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6は、複数の第1グループA1~A6と、複数の第2グループB1~B6と、複数の第3グループC1~C6とを含んでいる。
【0037】
2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6は、少なくとも第2方向に並んでいる。具体的には、複数の第1グループA1~A6は、第2方向に並んでいる。複数の第2グループB1~B6は、第2方向に並んでおり、第1方向において複数の第1グループA1~A6と並んでいる。複数の第3グループC1~C6は、第2方向に並んでおり、第1方向において複数の第1グループA1~A6および複数の第2グループB1~B6と並んでいる。複数の第3グループC1~C6は、複数の第2グループB1~B6に対して複数の第1グループA1~A6側とは反対側に位置している。
【0038】
たとえば、複数の第1グループA1~A6、複数の第2グループB1~B6、および複数の第3グループC1~C6は、相互に異なる種類の液体を吐出するグループである。具体的には、たとえば、複数の第1グループA1~A6、複数の第2グループB1~B6、および複数の第3グループC1~C6は、相互に異なる薬剤を吐出するグループである。なお、たとえば、液体吐出装置10が印刷装置である場合、複数の第1グループA1~A6、複数の第2グループB1~B6、および複数の第3グループC1~C6は、相互に異なる色のインクを吐出するグループである。具体的には、たとえば、複数の第1グループA1~A6は、シアンのインクを吐出するグループであり、複数の第2グループB1~B6は、マゼンタのインクを吐出するグループであり、複数の第3グループC1~C6は、イエローのインクを吐出するグループである。このように、相互に異なる種類の液体を吐出する複数のノズル34が、第1方向に並んでいる。
【0039】
2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6のそれぞれには、複数のノズル34のうち1つ以上のノズル34が属している。つまり、複数の第1グループA1~A6のそれぞれ、複数の第2グループB1~B6のそれぞれ、および複数の第3グループC1~C6のそれぞれには、複数のノズル34のうち1つ以上のノズル34が属している。
【0040】
以上、2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6について説明した。
【0041】
図5は、
図1の液体吐出装置10のカートリッジ24およびメンテナンスステーション26等を示す模式図である。具体的には、
図5は、カートリッジ24およびメンテナンスステーション26等を第3方向の他方側から見た模式図である。
図6は、
図5のVI-VI線における断面図である。
図7は、
図5のVII-VII線における断面図である。なお、
図5では、複数のノズル34の図示を省略している。
図5から
図7を参照して、メンテナンスステーション26等について説明する。
【0042】
図5から
図7に示すように、複数のワイパ部材36a~36cは、第1方向に並んでいる。複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、第3方向における他方側に露出している。複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、支持部材38よりも第3方向の他方側に突出している。
【0043】
複数のワイパ部材36a~36cは、第1方向に並びかつそれぞれに1つ以上のノズル34が属している複数のグループに対応して設けられている。本実施の形態では、ワイパ部材36aは、第1グループA1~A6に対応して設けられ、ワイパ部材36bは、第2グループB1~B6に対応して設けられ、ワイパ部材36cは、第3グループC1~C6に対応して設けられている。複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、複数のグループのうち当該ワイパ部材に対応するグループに属する1つ以上のノズル34に付着している液体を拭き取る。
【0044】
複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、第2方向に移動することによって、ノズル34に付着している液体を拭き取る。本実施の形態では、ワイパ部材36aは、第2方向に移動することによって、複数の第1グループA1~A6に属する複数のノズル34のそれぞれに付着している液体を拭き取る。ワイパ部材36bは、第2方向に移動することによって、複数の第2グループB1~B6に属する複数のノズル34のそれぞれに付着している液体を拭き取る。ワイパ部材36cは、第2方向に移動することによって、複数の第3グループC1~C6に属する複数のノズル34のそれぞれに付着している液体を拭き取る。
【0045】
支持部材38は、複数の凹部44a~44cと、複数の支持孔46a~46cと、収容凹部48とを有している。
【0046】
複数の凹部44a~44cは、第1方向に並んでいる。複数の凹部44a~44cのそれぞれは、第3方向における他方側に開口している。複数の凹部44a~44cは、複数のワイパ部材36a~36cに対応して設けられており、複数の凹部44a~44cのそれぞれは、複数のワイパ部材36a~36cのうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための凹部である。つまり、複数の凹部44a~44cのそれぞれは、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれによって拭き取られた液体を貯留する。
【0047】
本実施の形態では、凹部44aは、ワイパ部材36aに対応し、第2方向におけるワイパ部材36aの一方側に設けられており、ワイパ部材36aによって拭き取られた液体が流れ込み、当該液体を貯留する。また、凹部44bは、ワイパ部材36bに対応し、第2方向におけるワイパ部材36bの一方側に設けられており、ワイパ部材36bによって拭き取られた液体が流れ込み、当該液体を貯留する。また、凹部44cは、ワイパ部材36cに対応し、第2方向におけるワイパ部材36cの一方側に設けられており、ワイパ部材36cによって拭き取られた液体が流れ込み、当該液体を貯留する。
【0048】
また、凹部44aは、複数の第1グループA1~A6に属する複数のノズル34のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部44bは、複数の第2グループB1~B6に属する複数のノズル34のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部44cは、複数の第3グループC1~C6に属する複数のノズル34のそれぞれから空吐出された液体を受ける。
【0049】
複数の支持孔46a~46cのそれぞれは、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれを支持するための孔である。具体的には、支持孔46aにワイパ部材36aが挿通されることによって、支持部材38は、ワイパ部材36aを第3方向に移動可能に支持している。また、支持孔46bにワイパ部材36bが挿通されることによって、支持部材38は、ワイパ部材36bを第3方向に移動可能に支持している。また、支持孔46cにワイパ部材36cが挿通されることによって、支持部材38は、ワイパ部材36cを第3方向に移動可能に支持している。
【0050】
収容凹部48は、複数のワイパ部材36a~36cを第3方向に移動させる移動機構54を構成する可動板60等を収容している。収容凹部48は、第3方向における一方側に開口している。
【0051】
取付部材40は、支持部材38が着脱可能に取り付けられている。取付部材40は、磁石(図示せず)を有し、支持部材38は、当該磁石と引き合う磁石(図示せず)を有し、これらの磁石が相互に引き合うことによって、取付部材40と支持部材38とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材40は、爪部(図示せず)を有し、支持部材38は、当該爪部と着脱可能に係り合う溝部(図示せず)を有し、当該爪部と当該溝部とが係り合うことによって、取付部材40と支持部材38とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材40は、凸部(図示せず)を有し、支持部材38は、当該凸部と着脱可能に嵌まり合う凹部(図示せず)を有し、当該凸部と当該凹部とが嵌まり合うことによって、取付部材40と支持部材38とが着脱可能に取り付けられる。取付部材40は、摺動孔50と、支持孔52とを有している。
【0052】
摺動孔50は、駆動軸42が摺動可能に挿通される孔である。これによって、メンテナンスステーション26は、駆動軸42に沿って第2方向に移動可能となっている。本実施の形態では、第2方向から見たとき、摺動孔50は、略逆T字状である。
【0053】
支持孔52は、移動機構54を構成するカム棒58を支持するための孔である。具体的には、支持孔52にカム棒58が挿通されることによって、取付部材40は、カム棒58を第3方向に移動可能に支持している。
【0054】
液体吐出装置10は、移動機構54をさらに備えている。移動機構54は、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれを第3方向に移動させる機構である。移動機構54は、突出部56と、カム棒58と、可動板60と、バネ62とを有している。
【0055】
突出部56は、駆動軸42に設けられており、第3方向の他方側に突出している。突出部56は、第1斜面部64と、平坦部66と、第2斜面部68とを有している。第1斜面部64は、第2方向の一方側に向かうにつれて第3方向の他方側に位置するように、傾斜している。平坦部66は、第1方向に平行でありかつ第2方向に平行である平面である。第2斜面部68は、第2方向の一方側に向かうにつれて第3方向の一方側に位置するように、傾斜している。
【0056】
カム棒58は、上述したように、支持孔52に挿通され、取付部材40に第3方向に移動可能に支持されている。第3方向におけるカム棒58の一方側の端部は、駆動軸42に接している。
【0057】
可動板60は、第3方向におけるカム棒58の他方側の端部に取り付けられている。たとえば、可動板60は、接着剤等によって、第3方向におけるカム棒58の他方側の端部に取り付けられている。
【0058】
バネ62は、第3方向に伸縮可能であり、可動板60と収容凹部48の底面との間に設けられており、可動板60を支持部材38に対して第3方向の一方側に付勢している。
【0059】
以上、メンテナンスステーション26等について説明した。
【0060】
図8は、
図1の液体吐出装置10の機能構成を示すブロック図である。
図8を参照して、液体吐出装置10の機能構成について説明する。
【0061】
図8に示すように、液体吐出装置10は、制御部70をさらに備えている。
【0062】
制御部70は、カートリッジ24およびメンテナンスステーション26のそれぞれを制御する。制御部70は、キャリッジ制御部72と、メンテナンスステーション制御部74とを備えている。たとえば、制御部70は、プロセッサ等によって実現される。
【0063】
キャリッジ制御部72は、キャリッジ駆動部20を制御することによって、キャリッジ22の移動を制御する。たとえば、キャリッジ制御部72は、複数のノズル34のいずれかから液体を空吐出させる場合、キャリッジ駆動部20を制御し、キャリッジ22をメンテナンス領域まで移動させる。たとえば、キャリッジ制御部72は、エンコーダ等によって検出されたキャリッジ22の位置情報に基づいて、キャリッジ22の位置を制御する。
【0064】
メンテナンスステーション制御部74は、メンテナンスステーション駆動部28を制御することによって、メンテナンスステーション26の移動を制御する。たとえば、メンテナンスステーション制御部74は、複数のノズル34のいずれかから液体を空吐出させる場合、メンテナンスステーション駆動部28を制御し、複数の第1グループA1~A6の下方に凹部44aが位置し、複数の第2グループB1~B6の下方に凹部44bが位置し、複数の第3グループC1~C6の下方に凹部44cが位置するように、メンテナンスステーション26を移動させる。たとえば、メンテナンスステーション制御部74は、エンコーダ等によって検出されたメンテナンスステーション26の位置情報に基づいて、メンテナンスステーション26の位置を制御する。
【0065】
以上、液体吐出装置10の機能構成について説明した。
【0066】
図9は、
図1の液体吐出装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図10は、ノズル34に付着した液体を拭き取る際のメンテナンスステーション26の動きを示す断面図である。
図9および
図10を参照して、液体吐出装置10の動作の一例について説明する。
【0067】
図9に示すように、まず、制御部70は、カートリッジ24をメンテナンス位置に移動させる(第1ステップ)(ステップS1)。具体的には、制御部70は、カートリッジ24を第1方向に移動させ、カートリッジ24をメンテナンス位置に位置させる。本実施の形態では、メンテナンス位置は、複数のワイパ部材36a~36cによって複数のノズル34のそれぞれに付着している液体を拭き取ることが可能な位置である。具体的には、本実施の形態では、メンテナンス位置は、ワイパ部材36aによって複数の第1グループA1~A6のそれぞれに属するノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能であり、かつワイパ部材36bによって複数の第2グループB1~B6のそれぞれに属するノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能であり、かつワイパ部材36cによって複数の第3グループC1~C6のそれぞれに属するノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能な位置である。たとえば、制御部70は、第1方向において、複数の第1グループA1~A6の位置と凹部44aの位置とが揃い、複数の第2グループB1~B6の位置と凹部44bの位置とが揃い、複数の第3グループC1~C6の位置と凹部44cの位置とが揃う位置に、カートリッジ24を移動させる。
【0068】
次に、制御部70は、メンテナンスステーション26を移動させる(第2ステップ)(ステップS2)。具体的には、制御部70は、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させ、メンテナンス位置に位置しているカートリッジ24のノズル34に付着している液体を拭き取る。本実施の形態では、制御部70は、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させ、ワイパ部材36aによって複数の第1グループA1~A6のそれぞれに属するノズル34に付着している液体を拭き取り、ワイパ部材36bによって複数の第2グループB1~B6のそれぞれに属するノズル34に付着している液体を拭き取り、ワイパ部材36cによって複数の第3グループC1~C6のそれぞれに属するノズル34に付着している液体を拭き取る。たとえば、制御部70は、
図6に示す状態から第2方向の一方側にメンテナンスステーション26を移動させる。
【0069】
本実施の形態では、制御部70は、ノズル34に付着している液体を拭き取る際のメンテナンスステーション26の第2方向への移動速度を、カートリッジ24をメンテナンス位置に位置させる際のカートリッジ24の第1方向への移動速度よりも遅くする。つまり、本実施の形態では、第2ステップにおけるメンテナンスステーション26を第2方向に移動させる速度は、第1ステップにおけるカートリッジ24を第1方向に移動させる速度よりも遅い。これによって、カートリッジ24をより早くメンテナンス位置に位置させることができるとともに、拭き取られた液体が飛び散ること等を抑制できる。
【0070】
図6に示す状態から第2方向の一方側にメンテナンスステーション26が移動すると、
図10の(a)に示すように、カム棒58は、第2方向に移動しつつ、第1斜面部64に沿って第3方向の他方側にも移動する。これによって、可動板60が第3方向の他方側に移動し、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれが第3方向の他方側に移動する。
【0071】
図10の(a)に示す状態から第2方向の一方側にメンテナンスステーション26が移動すると、
図10の(b)に示すように、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれが、複数のノズル34が形成されているノズル面76と接触しながら第2方向に移動する。これによって、複数のノズル34のそれぞれに付着している液体が複数のワイパ部材36a~36cによって拭き取られる。
【0072】
図10の(b)に示す状態から第2方向の一方側にメンテナンスステーション26が移動すると、
図10の(c)に示すように、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれが、ノズル面76と接触しながら第2方向にさらに移動する。これによって、複数のノズル34のそれぞれに付着している液体が複数のワイパ部材36a~36cによってさらに拭き取られる。
【0073】
ワイパ部材36aによって拭き取られた液体は凹部44aに貯留され、ワイパ部材36bによって拭き取られた液体は凹部44bに貯留され、ワイパ部材36cによって拭き取られた液体は凹部44cに貯留される。
【0074】
以上、液体吐出装置10の動作の一例について説明した。
【0075】
上述したように、液体吐出装置10では、複数の第1グループA1~A6に属する複数のノズル34によって吐出される液体と、複数の第2ループB1~B6に属する複数のノズル34によって吐出される液体と、複数の第3グループC1~C6に属する複数のノズル34によって吐出される液体とが、別々のワイパ部材36a~36cによって拭き取られ、別々の凹部44a~44cに貯留される。したがって、これらの液体が混ざり合うことを抑制できるので、拭き取られた液体のコンタミネーションの発生を抑制できる。
【0076】
また、液体吐出装置10では、複雑な制御をすることなく、メンテナンスステーション26を移動させるだけで複数のワイパ部材36a~36cを一斉に第3方向に移動させることができるので、複数のノズル34のそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができる。
【0077】
以上、実施の形態1に係る液体吐出装置10について説明した。
【0078】
本実施の形態に係る液体吐出装置10は、液体を吐出するノズル34を有し、第1方向に移動可能であるカートリッジ24と、第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能なメンテナンスステーション26とを備え、メンテナンスステーション26は、ノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材36aと、ワイパ部材36aを支持する支持部材38とを有する。
【0079】
これによれば、第2方向に移動可能なメンテナンスステーション26がワイパ部材36aを有しているので、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させることによってノズル34に付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。
【0080】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10において、支持部材38は、ワイパ部材36aを第1方向と直交しかつ第2方向と直交する第3方向に移動可能に支持し、ワイパ部材36aを支持部材38に対して第3方向に移動させる移動機構54をさらに備える。
【0081】
これによれば、ワイパ部材36aを第3方向に移動させることによって、ノズル34に付着している液体を容易に拭き取ることができる。
【0082】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10において、メンテナンスステーション26は、支持部材38が着脱可能に取り付けられる取付部材40を有する。
【0083】
これによれば、支持部材38を取付部材40から取り外すことによって、ワイパ部材36aによって拭き取られた液体を適切に処理できる。たとえば、支持部材38を取付部材40から取り外して容易に水洗いすることができたり、あるいは、個々に液体を拭き取りコンタミネーションの発生をさらに抑制できたりする。
【0084】
本実施の形態に係る制御方法は、液体吐出装置10の制御方法であって、液体吐出装置10は、液体を吐出するノズル34を有し、第1方向に移動可能であるカートリッジ24と、第1方向と直交する第2方向に移動可能であり、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能なメンテナンスステーション26とを備え、メンテナンスステーション26は、ノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能なワイパ部材36aと、ワイパ部材36aを支持する支持部材38とを有し、カートリッジ24を第1方向に移動させ、カートリッジ24をワイパ部材36aによってノズル34に付着している液体を拭き取ることが可能なメンテナンス位置に位置させる第1ステップと、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させ、メンテナンス位置に位置しているカートリッジ24のノズル34に付着している液体を拭き取る第2ステップとを含み、第2ステップにおけるメンテナンスステーション26を第2方向に移動させる速度は、第1ステップにおけるカートリッジ24を第1方向に移動させる速度よりも遅い。
【0085】
これによれば、第2方向に移動可能なメンテナンスステーション26がワイパ部材36aを有しているので、メンテナンスステーション26を第2方向に移動させることによってノズル34に付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。また、第2ステップにおけるメンテナンスステーション26を第2方向に移動させる速度は、第1ステップにおけるカートリッジ24を第1方向に移動させる速度よりも遅いので、カートリッジ24をより早くメンテナンス位置に位置させることができるとともに、ワイパ部材36aで拭き取られた液体が飛び散ることを抑制できる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。
【0086】
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション80を示す模式図である。
図11の(b)は、
図11の(a)のXIb-XIb線における断面図である。
図11を参照して、実施の形態2に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション80について説明する。
【0087】
図11に示すように、実施の形態2に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション26とは異なるメンテナンスステーション80を備えている点において、実施の形態1に係る液体吐出装置10と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態1に係る液体吐出装置10との相違点を中心に説明する。
【0088】
メンテナンスステーション80は、複数のワイパ部材36a~36cとは異なる複数のワイパ部材82a~82cと、支持部材38とは異なる支持部材84とを有している点において、メンテナンスステーション26と主に異なっている。
【0089】
複数のワイパ部材82a~82cのそれぞれは、第3方向における他方側の端部が一方側の端部よりも細い点において、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれと主に異なっている。
【0090】
支持部材84は、複数の凹部44a~44cとは異なる複数の凹部86a~86cと、複数の流路形成部88a~88cとを有している点において、支持部材38と主に異なっている。
【0091】
複数の凹部86a~86cのそれぞれは、複数の凹部44a~44cのそれぞれよりもやや小さい点において、複数の凹部44a~44cと主に異なっている。
【0092】
複数の流路形成部88a~88cのそれぞれは、複数のワイパ部材82a~82cのそれぞれによって拭き取られた液体を複数の凹部86a~86cのそれぞれに導く流路を形成している。具体的には、流路形成部88aは、ワイパ部材82aによって拭き取られた液体を凹部86aに導く流路90aを形成している。また、流路形成部88bは、ワイパ部材82bによって拭き取られた液体を凹部86bに導く流路90bを形成している。また、流路形成部88cは、ワイパ部材82cによって拭き取られた液体を凹部86cに導く流路90cを形成している。
【0093】
ワイパ部材82aによって拭き取られた液体は、ワイパ部材82aが流路形成部88aに対して第3方向に移動することによって流路形成部88aによって拭き取られ、その後、流路90aに沿って流れて凹部86aに流れ込み、凹部86aに貯留される。ワイパ部材82bによって拭き取られた液体は、ワイパ部材82bが流路形成部88bに対して第3方向に移動することによって流路形成部88bによって拭き取られ、その後、流路90bに沿って流れて凹部86bに流れ込み、凹部86bに貯留される。ワイパ部材82cによって拭き取られた液体は、ワイパ部材82cが流路形成部88cに対して第3方向に移動することによって流路形成部88cによって拭き取られ、その後、流路90cに沿って流れて凹部86cに流れ込み、凹部86cに貯留される。
【0094】
以上、実施の形態2に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション80について説明した。
【0095】
本実施の形態に係る液体吐出装置において、支持部材84は、ワイパ部材82aによって拭き取られた液体を貯留するための凹部86aと、ワイパ部材82aによって拭き取られた液体を凹部86aに導く流路90aを形成する流路形成部88aとを有する。
【0096】
これによれば、ワイパ部材82aによって拭き取られた液体を容易に凹部86aに導くことができるので、ワイパ部材82aによって拭き取られた液体がその場に留まらないようにできるため他の液体と混ざり合うことをさらに抑制でき、コンタミネーションの発生をさらに抑制できる。
【0097】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション100を示す模式図である。
図12を参照して、実施の形態3に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション100について説明する。
【0098】
図12に示すように、実施の形態3に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション26に代えてメンテナンスステーション100を備えている点において、実施の形態1に係る液体吐出装置10と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態1に係る液体吐出装置10との相違点を中心に説明する。
【0099】
メンテナンスステーション100は、複数のワイパ部材36a~36cとは異なる複数のワイパ部材102a~102dと、支持部材38とは異なる支持部材104とを有している点において、メンテナンスステーション26と主に異なっている。
【0100】
ワイパ部材102aとワイパ部材102bとは、第1方向に並んでおり、ワイパ部材102cとワイパ部材102dとは、第1方向に並んでいる。ワイパ部材102aとワイパ部材102cとは、第2方向に並んでおり、ワイパ部材102bとワイパ部材102dとは、第1方向に並んでいる。
【0101】
支持部材104は、複数の凹部44a~44cとは異なる複数の凹部106a~106dを有している点において、支持部材38と主に異なっている。
【0102】
凹部106aは、第2方向におけるワイパ部材102aの一方側に設けられており、凹部106bは、第2方向におけるワイパ部材102bの一方側に設けられている。凹部106cは、第2方向におけるワイパ部材102cの一方側に設けられており、凹部106dは、第2方向におけるワイパ部材102dの一方側に設けられている。
【0103】
ワイパ部材102aによって拭き取られた液体は凹部106aに貯留され、ワイパ部材102bによって拭き取られた液体は凹部106bに貯留される。ワイパ部材102cによって拭き取られた液体は凹部106cに貯留され、ワイパ部材102dによって拭き取られた液体は凹部106dに貯留される。
【0104】
たとえば、4つのグループに分けられている複数のノズルを有するカートリッジがキャリッジ22に装着された場合、メンテナンスステーション100を用いることによって、当該4つのグループのそれぞれに属するノズルに付着している液体を複数のワイパ部材102a~102dのそれぞれによって拭き取ることができる。
【0105】
以上、実施の形態3に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション100について説明した。
【0106】
(実施の形態4)
図13は、実施の形態4に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション110を示す模式図である。
図13を参照して、実施の形態4に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション110について説明する。
【0107】
図13に示すように、実施の形態4に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション26に代えてメンテナンスステーション110を備えている点において、実施の形態1に係る液体吐出装置10と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態1に係る液体吐出装置10との相違点を中心に説明する。
【0108】
メンテナンスステーション110は、支持部材38に代えて、ノズル34から空吐出された液体を受けることが可能な部材112が取付部材40に着脱可能に取り付けられることが可能である点において、メンテナンスステーション26と主に異なっている。つまり、取付部材40は、支持部材38に代えて、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能な部材112が着脱可能に取り付けられることが可能である。
【0109】
たとえば、取付部材40は、磁石(図示せず)を有し、部材112は、当該磁石と引き合う磁石(図示せず)を有し、これらの磁石が相互に引き合うことによって、取付部材40と部材112とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材40は、爪部(図示せず)を有し、部材112は、当該爪部と着脱可能に係り合う溝部(図示せず)を有し、当該爪部と当該溝部とが係り合うことによって、取付部材40と部材112とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材40は、凸部(図示せず)を有し、部材112は、当該凸部と着脱可能に嵌まり合う凹部(図示せず)を有し、当該凸部と当該凹部とが嵌まり合うことによって、取付部材40と部材112とが着脱可能に取り付けられる。
【0110】
部材112は、ノズル34に付着した液体を拭き取るワイパ部材を有しておらず、複数の凹部114a~114cを有している。たとえば、凹部114aは、複数の第1グループA1~A6に属する複数のノズル34のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部114bは、複数の第2グループB1~B6に属する複数のノズル34のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部114cは、複数の第3グループC1~C6に属する複数のノズル34のそれぞれから空吐出された液体を受ける。
【0111】
上述したように、実施の形態3に係る液体吐出装置では、複数のワイパ部材36a~36cによる液体の拭き取りが不要な場合等に、支持部材38に代えて部材112を取付部材40に取り付けることができる。
【0112】
以上、実施の形態4に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション110について説明した。
【0113】
本実施の形態に係る液体吐出装置において、取付部材40は、支持部材38に代えて、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能な部材112が着脱可能に取り付けられることが可能である。
【0114】
これによれば、ワイパ部材36aによる液体の拭き取りが不要な場合等には、支持部材38に代えて、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能な部材112を取り付けて使用することができる。
【0115】
(実施の形態5)
図14は、実施の形態5に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション120を示す模式図である。
図14を参照して、実施の形態5に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション120について説明する。
【0116】
図14に示すように、実施の形態5に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション26に代えてメンテナンスステーション120を備えている点において、実施の形態1に係る液体吐出装置10と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態1に係る液体吐出装置10との相違点を中心に説明する。
【0117】
メンテナンスステーション120は、支持部材38に代えて、ノズル34から空吐出された液体を受けることが可能な部材122が取付部材40に着脱可能に取り付けられることが可能である点において、メンテナンスステーション26と主に異なっている。つまり、取付部材40は、支持部材38に代えて、ノズル34から空吐出される液体を受けることが可能な部材122が着脱可能に取り付けられることが可能である。
【0118】
たとえば、取付部材40は、磁石(図示せず)を有し、部材122は、当該磁石と引き合う磁石(図示せず)を有し、これらの磁石が相互に引き合うことによって、取付部材40と部材122とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材40は、爪部(図示せず)を有し、部材122は、当該爪部と着脱可能に係り合う溝部(図示せず)を有し、当該爪部と当該溝部とが係り合うことによって、取付部材40と部材122とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材40は、凸部(図示せず)を有し、部材122は、当該凸部と着脱可能に嵌まり合う凹部(図示せず)を有し、当該凸部と当該凹部とが嵌まり合うことによって、取付部材40と部材122とが着脱可能に取り付けられる。
【0119】
部材122は、ノズル34に付着した液体を拭き取るワイパ部材を有しておらず、複数の凹部124a~124dを有している。
【0120】
たとえば、4つのグループに分けられている複数のノズルを有するカートリッジがキャリッジ22に装着された場合、メンテナンスステーション120を用いることによって、当該4つのグループのそれぞれに属するノズルから空吐出される液体を複数の凹部124a~124dで拭き取り動作無しに直接、空吐出された液体を受けることができる。
【0121】
上述したように、実施の形態5に係る液体吐出装置では、複数のワイパ部材36a~36cが不要な場合等に、支持部材38に代えて部材122を取付部材40に取り付けることができる。
【0122】
以上、実施の形態5に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション120について説明した。
【0123】
(他の実施の形態等)
以上、本発明の実施の形態に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0124】
上記実施の形態では、複数のノズル34が、2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6に分けられている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、2つ以上のグループA1~A6,B1~B6,C1~C6のうち、複数の第2グループB1~B6および複数の第3グループC1~C6がなく、複数の第1グループA1~A6のみがあってもよい。たとえば、この場合、メンテナンスステーション26は、複数のワイパ部材36a~36cのうちワイパ部材36aのみを有し、複数の凹部44a~44cのうち凹部44aのみを有していてもよい。
【0125】
また、上記実施の形態では、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれが、第3方向に移動可能である場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、第3方向に移動可能でなくてもよい。たとえば、この場合、第3方向における、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれの他端部の位置を、ノズル面76の位置と合わせておくことで、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれを第3方向に移動可能させることなく、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれを第2方向に移動させることによって、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれによってノズル34に付着している液体を拭き取ることができる。
【0126】
また、上記実施の形態では、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれが、第3方向と平行な方向に移動する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数のワイパ部材36a~36cのそれぞれは、第3方向に対して斜めの方向に移動してもよい。
【0127】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0128】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、たとえば、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムを含む。この場合、ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0129】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0130】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0131】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0132】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0133】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0134】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0135】
さらに、上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、液体を吐出する液体吐出装置として適用することができる。
【符号の説明】
【0137】
10 液体吐出装置
12 筐体
14 トレイ支持部
16 トレイ
18 ウェルプレート
20 キャリッジ駆動部
22 キャリッジ
24 カートリッジ
26,80,100,110,120 メンテナンスステーション
28 メンテナンスステーション駆動部
30 開口部
32 ウェル
34 ノズル
36a,36b,36c,82a,82b,82c,102a,102b,102c,102d ワイパ部材
38,84,104 支持部材
40 取付部材
42 駆動軸
44a,44b,44c,86a,86b,86c,106a,106b,106c,106d,114a,114b,114c,124a,124b,124c,124d 凹部
46a,46b,46c,52 支持孔
48 収容凹部
50 摺動孔
54 移動機構
56 突出部
58 カム棒
60 可動板
62 バネ
64 第1斜面部
66 平坦部
68 第2斜面部
70 制御部
72 キャリッジ制御部
74 メンテナンスステーション制御部
76 ノズル面
88a,88b,88c 流路形成部
90a,90b,90c 流路
112,122 部材