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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051058
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161508
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】元林 直樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056EC28
2C056EC41
2C056EC54
2C056HA27
2C056JC13
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】省スペース化を図ることができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置2は、筐体4と、ウェルプレート12を載置するためのトレイ6であって、筐体4の内部に収納される収納位置と、少なくとも一部が筐体4の外部に引き出される引き出し位置との間を移動可能なトレイ6と、筐体4の内部に配置され、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に液体を吐出するヘッド部22と、ヘッド部22から空吐出された、ウェルプレート12への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部10であって、トレイ6に配置された液体回収部10とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
対象物を載置するための載置部であって、前記筐体の内部に収納される収納位置と、少なくとも一部が前記筐体の外部に引き出される引き出し位置との間を移動可能な載置部と、
前記筐体の内部に配置され、前記収納位置にある前記載置部に載置された前記対象物に液体を吐出するヘッド部と、
前記ヘッド部から空吐出された、前記対象物への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部であって、前記載置部に配置された液体回収部と、を備える
液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体回収部は、
前記ヘッド部から空吐出された液体が通過する開口部を有する蓋部と、
前記ヘッド部から空吐出された液体を、前記蓋部の前記開口部を通して受けるための受け空間を有する容器部と、を含む
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記蓋部は、前記容器部に対して着脱可能である
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記蓋部は、前記開口部を複数有し、
前記容器部は、前記受け空間を複数有し、
前記複数の受け空間は、互いに仕切られており、前記ヘッド部から空吐出された液体を前記複数の開口部をそれぞれ通して受ける
請求項2又は3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ヘッド部は、互いに異なる種類の複数の液体を吐出可能であり、
前記複数の受け空間はそれぞれ、前記ヘッド部から空吐出された互いに異なる種類の複数の液体を受ける
請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記載置部は、前記筐体に対して着脱可能である
請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の液体吐出装置の制御方法であって、
(a)前記ヘッド部から第1の液体を空吐出する第1の空吐出動作と、前記ヘッド部から第1の液体を空吐出しない第1のインターバルとを交互に繰り返すように、前記ヘッド部を制御するステップと、
(b)前記ヘッド部から第2の液体を空吐出する第2の空吐出動作と、前記ヘッド部から第2の液体を空吐出しない第2のインターバルとを交互に繰り返すように、前記ヘッド部を制御するステップと、を含み、
前記第1の空吐出動作及び前記第2の空吐出動作は、互いに重複しない
液体吐出装置の制御方法。
【請求項8】
前記(a)では、前記第1のインターバルの時間は、前記第1の空吐出動作の時間よりも長く、
前記(b)では、前記第2のインターバルの時間は、前記第2空吐出動作の時間よりも長い
請求項7に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に液体を吐出するための液体吐出装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に液体を吐出するためのインクジェット方式の液体吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の液体吐出装置では、ヘッド部における液体の詰まりを予防するために、ヘッド部から液体を空吐出させるメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス動作では、ヘッド部から空吐出された液体は、液体吐出装置の筐体の内部に固定された廃液タンクに溜められ、回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-30273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した液体吐出装置では、筐体の内部に、廃液タンクを配置するための専用のスペースを確保する必要があるため、装置全体が大型化するという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、省スペース化を図ることができる液体吐出装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、筐体と、対象物を載置するための載置部であって、前記筐体の内部に収納される収納位置と、少なくとも一部が前記筐体の外部に引き出される引き出し位置との間を移動可能な載置部と、前記筐体の内部に配置され、前記収納位置にある前記載置部に載置された前記対象物に液体を吐出するヘッド部と、前記ヘッド部から空吐出された、前記対象物への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部であって、前記載置部に配置された液体回収部と、を備える。
【0007】
本態様によれば、対象物を載置するための載置部を利用して、液体回収部を配置することにより、液体吐出装置の省スペース化を図ることができる。
【0008】
例えば、前記液体回収部は、前記ヘッド部から空吐出された液体が通過する開口部を有する蓋部と、前記ヘッド部から空吐出された液体を、前記蓋部の前記開口部を通して受けるための受け空間を有する容器部と、を含むように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、ヘッド部から空吐出された液体を、蓋部の開口部を通して容器部の受け空間に効率良く流入させることができる。
【0010】
例えば、前記蓋部は、前記容器部に対して着脱可能であるように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、蓋部を容器部から取り外すことにより、容器部の受け空間に溜められた液体を容易に回収することができる。
【0012】
例えば、前記蓋部は、前記開口部を複数有し、前記容器部は、前記受け空間を複数有し、前記複数の受け空間は、互いに仕切られており、前記ヘッド部から空吐出された液体を前記複数の開口部をそれぞれ通して受けるように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、容器部は、互いに仕切られた複数の受け空間を有している。これにより、複数の受け空間でそれぞれ受けられた複数の液体が互いに混ざり合うのを回避することができる。その結果、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【0014】
例えば、前記ヘッド部は、互いに異なる種類の複数の液体を吐出可能であり、前記複数の受け空間はそれぞれ、前記ヘッド部から空吐出された互いに異なる種類の複数の液体を受けるように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、ヘッド部から吐出された互いに異なる種類の複数の液体をそれぞれ、容器部の複数の受け空間で受けることができる。その結果、容器部の内部で互いに異なる種類の複数の液体が互いに混ざり合うのを回避することができる。
【0016】
例えば、前記載置部は、前記筐体に対して着脱可能であるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、載置部を筐体から取り外すことにより、容器部の洗浄及び消毒、又は、載置部の交換等を容易に行うことができる。
【0018】
本発明の一態様に係る液体吐出装置の制御方法は、上述した液体吐出装置の制御方法であって、(a)前記ヘッド部から第1の液体を空吐出する第1の空吐出動作と、前記ヘッド部から第1の液体を空吐出しない第1のインターバルとを交互に繰り返すように、前記ヘッド部を制御するステップと、(b)前記ヘッド部から第2の液体を空吐出する第2の空吐出動作と、前記ヘッド部から第2の液体を空吐出しない第2のインターバルとを交互に繰り返すように、前記ヘッド部を制御するステップと、を含み、前記第1の空吐出動作及び前記第2の空吐出動作は、互いに重複しない。
【0019】
本態様によれば、蓋部の開口部を通過して容器部の受け空間に流入した例えばミスト状の第1の液体(第2の液体)が、蓋部の開口部から容器部の外部に漏洩するのを効果的に抑制することができる。
【0020】
例えば、前記(a)では、前記第1のインターバルの時間は、前記第1の空吐出動作の時間よりも長く、前記(b)では、前記第2のインターバルの時間は、前記第2空吐出動作の時間よりも長いように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、第1の液体(第2の液体)の空吐出が終了した後に、容器部の内部におけるミスト状の第1の液体(第2の液体)の飛散が十分に収まってから、次の第1の液体(第2の液体)の空吐出を開始することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る液体吐出装置によれば、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態1に係る液体吐出装置の外観を示す斜視図である。
図2】トレイが収納位置にある状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
図3】トレイが引き出し位置にある状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る液体回収部を示す斜視図である。
図5】蓋部を容器部から取り外した状態での、実施の形態1に係る液体回収部を示す斜視図である。
図6図4のVI-VI線による、実施の形態1に係る液体回収部の断面斜視図である。
図7】実施の形態2に係る液体回収部を示す斜視図である。
図8】蓋部を容器部から取り外した状態での、実施の形態2に係る液体回収部を示す斜視図である。
図9図7のIX-IX線による、実施の形態2に係る液体回収部の断面斜視図である。
図10】実施の形態2に係る液体吐出装置の制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
図11】トレイを筐体から取り外した状態での、実施の形態3に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0025】
(実施の形態1)
[1-1.液体吐出装置の概要]
まず、図1図3を参照しながら、実施の形態1に係る液体吐出装置2の概要について説明する。図1は、実施の形態1に係る液体吐出装置2の外観を示す斜視図である。図2は、トレイ6が収納位置にある状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置2の内部構造を示す斜視図である。図3は、トレイ6が引き出し位置にある状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置2の内部構造を示す斜視図である。
【0026】
なお、図1図3において、液体吐出装置2の左右方向をX軸方向、液体吐出装置2の前後方向をY軸方向、液体吐出装置2の上下方向をZ軸方向として説明する。
【0027】
図1図3に示すように、液体吐出装置2は、筐体4と、トレイ6(載置部の一例)と、吐出ユニット8と、液体回収部10とを備えている。本実施の形態では、液体吐出装置2は、液体をウェルプレート12(対象物の一例)に分注するための液体分注装置として適用される。液体は、例えば医療分野や理化学分野における試験等で用いられる、液体試薬又は液体試料等である。
【0028】
図1に示すように、筐体4は、中空状の箱形に形成されている。筐体4の前面には、トレイ6を出し入れするための開口部14が形成されている。また、図2及び図3に示すように、筐体4の内部には、液体吐出装置2の各部品を支持するためのベースプレート13が配置されている。
【0029】
トレイ6は、ウェルプレート12を載置するためのものであり、筐体4の内部に配置されたガイドプレート16に移動可能に支持されている。これにより、トレイ6は、ガイドプレート16に沿って、筐体4の内部に収納される収納位置(図1及び図2に示すトレイ6の位置)と、少なくとも一部が筐体4の開口部14を通して手前側(Y軸のマイナス側)に引き出される引き出し位置(図3に示す位置)との間を移動可能である。なお、モータ(図示せず)の駆動力がラック・ピニオン機構(図示せず)を介してトレイ6に伝達されることによって、トレイ6が収納位置と引き出し位置との間を移動する。トレイ6は、例えばプラスチック等で形成されている。
【0030】
ウェルプレート12は、トレイ6の上面に着脱可能に載置される。ウェルプレート12には、ヘッド部22(後述する)から吐出された液体を溜めるための複数の凹部18が行列状に配置されている。図2に示すように、トレイ6が収納位置にある状態で、ウェルプレート12の複数の凹部18は、ガイドプレート16に形成された開口部20を通して露出される。
【0031】
吐出ユニット8は、ウェルプレート12に液体を吐出するためのユニットであり、筐体4の内部に配置されている。吐出ユニット8による液体の吐出方式は、ウェルプレート12にミスト状の液体を吐出する、いわゆるインクジェット方式である。
【0032】
図2に示すように、吐出ユニット8は、ヘッド部22と、ヘッド部22を駆動するための駆動機構24とを有している。
【0033】
ヘッド部22は、キャリッジ26と、キャリッジ26に搭載されたカートリッジ28とを有している。カートリッジ28の内部には、互いに異なる種類の複数の液体(例えば、第1の液体、第2の液体及び第3の液体の計3種類の液体)が充填されている。カートリッジ28の下端部には、複数の微細なノズル孔が配置されたノズル面(図示せず)が形成されている。ヘッド部22は、カートリッジ28のノズル面から供給された液体を、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に向けて下方(Z軸のマイナス方向)に吐出する。
【0034】
駆動機構24は、ヘッド部22を所定の走査方向(X軸方向)に往復移動させるための機構である。図2に示すように、駆動機構24は、ガイドシャフト30と、モータ32と、タイミングベルト34とを有している。
【0035】
ガイドシャフト30は、筐体4の内部のベースプレート13に支持されており、所定の走査方向に長尺状に延びている。ガイドシャフト30には、ヘッド部22のキャリッジ26が移動可能に支持されている。モータ32は、例えばサーボモータで構成され、筐体4の内部のベースプレート13に支持されている。モータ32の駆動力は、タイミングベルト34を介してヘッド部22に伝達される。これにより、ヘッド部22は、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に対して、ガイドシャフト30に沿って所定の走査方向に往復移動する。
【0036】
ヘッド部22が所定の走査方向に往復移動している状態で、ヘッド部22からウェルプレート12に液体が吐出されることにより、ウェルプレート12の複数の凹部18の各々に液体が所定量ずつ溜められる。この時、ヘッド部22は、ウェルプレート12を交換する毎に、1種類ずつ液体を吐出する。
【0037】
なお、ヘッド部22からの液体の吐出後、トレイ6が収納位置から引き出し位置に移動することにより、ユーザは、ウェルプレート12をトレイ6から取り出すことができる。ウェルプレート12の複数の凹部18の各々に溜められた液体は、例えば分析等に使用される。
【0038】
図3に示すように、液体回収部10は、ヘッド部22から空吐出された液体を回収するためのものであり、トレイ6の上面に配置されている。液体回収部10は、トレイ6の前後方向(Y軸方向)において、ウェルプレート12よりも奥側(Y軸のプラス側)に配置されている。トレイ6が引き出し位置にある状態で、液体回収部10は、ガイドプレート16に形成された開口部20を通して露出される。液体回収部10の構成については、後述する。
【0039】
本実施の形態の液体吐出装置2では、所定のタイミング(例えば、ウェルプレート12への液体の吐出直前等)で、ヘッド部22における液体の詰まりを予防するためのメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス動作では、ヘッド部22は、往復移動範囲の略中央部に位置するメンテナンス位置に移動し、当該メンテナンス位置で停止する。また、図3に示すように、トレイ6が収納位置から引き出し位置に移動することにより、液体回収部10は、ガイドプレート16に形成された開口部20を通して露出される。なお、メンテナンス位置は、ガイドプレート16の開口部20から露出された液体回収部10の直上の位置である。この状態で、ヘッド部22は、液体回収部10に向けて液体を空吐出する。ここで、「液体を空吐出する」とは、ヘッド部22が、ウェルプレート12への吐出に寄与しない液体を、ヘッド部22のメンテナンスのために吐出することを意味する。
【0040】
[1-2.液体回収部の構成]
次に、図4図6を参照しながら、実施の形態1に係る液体回収部10の構成について説明する。図4は、実施の形態1に係る液体回収部10を示す斜視図である。図5は、蓋部40を容器部38から取り外した状態での、実施の形態1に係る液体回収部10を示す斜視図である。図6は、図4のVI-VI線による、実施の形態1に係る液体回収部10の断面斜視図である。
【0041】
図4及び図5に示すように、液体回収部10は、本体部36を有している。本体部36は、容器部38と、蓋部40とを有している。本体部36は、例えばプラスチック等で形成されている。なお、説明の都合上、図4及び図5では、ウェルプレート12の図示を省略してある。
【0042】
容器部38は、ヘッド部22から空吐出された液体を受けるための容器であり、上面(メンテナンス位置にあるヘッド部22に対向する面)が開口された中空状の箱形に形成されている。容器部38は、トレイ6の上面に配置されている。なお、容器部38は、トレイ6の上面に固定されていてもよいし、トレイ6の上面に着脱可能に取り付けられていてもよい。容器部38の内部には、受け空間42が形成されている。容器部38の内面には、撥水コーティングが施されていてもよい。
【0043】
蓋部40は、容器部38の上面を覆うように配置されており、容器部38に対して着脱可能である。蓋部40には、ヘッド部22から空吐出された液体が通過する開口部44が形成されている。図6に示すように、開口部44は、容器部38の受け空間42の直上に配置されている。なお、本実施の形態では、蓋部40を容器部38に対して着脱可能に構成したが、これに限定されず、蓋部40と容器部38とを一体に構成してもよい。
【0044】
上述したメンテナンス動作では、トレイ6が収納位置から引き出し位置に移動した状態で、ヘッド部22は、メンテナンス位置で液体回収部10に向けて液体を空吐出する。これにより、ヘッド部22から空吐出された液体は、蓋部40の開口部44を通過して、容器部38の受け空間42により受けられる。なお、ユーザは、メンテナンス動作の終了後に、蓋部40を容器部38から取り外すことにより、受け空間42に溜められた液体を回収することができる。
【0045】
[1-3.効果]
上述したように、本実施の形態では、液体回収部10は、トレイ6の上面に配置されている。トレイ6のうち、ウェルプレート12が載置される領域6aよりも奥側(Y軸のプラス側)の領域6bは、トレイ6が引き出し位置に移動した際に、トレイ6がガイドプレート16から脱落しないようにガイドプレート16に支持させておくための領域である。トレイ6の領域6bは本来デッドスペースであるが、液体回収部10をこの領域6bを利用して配置することにより、液体吐出装置2の省スペース化を図ることができる。
【0046】
(実施の形態2)
図7図9を参照しながら、実施の形態2に係る液体回収部10Aの構成について説明する。図7は、実施の形態2に係る液体回収部10Aを示す斜視図である。図8は、蓋部40Aを容器部38Aから取り外した状態での、実施の形態2に係る液体回収部10Aを示す斜視図である。図9は、図7のIX-IX線による、実施の形態2に係る液体回収部10Aの断面斜視図である。なお、以下の各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
図7図9に示すように、実施の形態2に係る液体回収部10Aでは、本体部36Aの容器部38Aの内部には、一対の仕切り板46が互いに対向して配置されている。これにより、容器部38Aの内部には、一対の仕切り板46により互いに仕切られた複数(本実施の形態では、3つ)の受け空間42a,42b,42cが形成されている。複数の受け空間42a,42b,42cは、例えば左右方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。なお、本実施の形態では、容器部38Aの内部に3つの受け空間42a,42b,42cを形成したが、これに限定されず、例えば2つ又は4つ以上の受け空間を形成してもよい。
【0048】
蓋部40Aは、容器部38Aの上面を覆うように配置されており、容器部38Aに対して着脱可能である。蓋部40Aには、ヘッド部22(図2及び図3参照)から空吐出された液体が通過する複数(本実施の形態では、3つ)の開口部44a,44b,44cが形成されている。複数の開口部44a,44b,44cはそれぞれ、容器部38Aの複数の受け空間42a,42b,42cの各直上に配置されている。
【0049】
上述したメンテナンス動作では、ヘッド部22は、メンテナンス位置で液体回収部10Aに向けて例えば3種類の液体(第1の液体、第2の液体及び第3の液体)を順次空吐出する。この時、ヘッド部22は、第1の液体、第2の液体及び第3の液体をそれぞれ、容器部38Aの複数の受け空間42a,42b,42cに順次空吐出するように制御される。
【0050】
これにより、ヘッド部22から空吐出された第1の液体は、蓋部40Aの開口部44aを通過して、容器部38Aの受け空間42aにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第2の液体は、蓋部40Aの開口部44bを通過して、容器部38Aの受け空間42bにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第3の液体は、蓋部40Aの開口部44cを通過して、容器部38Aの受け空間42cにより受けられる。
【0051】
なお、ユーザは、メンテナンス動作の終了後に、蓋部40Aを容器部38Aから取り外すことにより、複数の受け空間42a,42b,42cにそれぞれ溜められた第1の液体、第2の液体及び第3の液体を回収することができる。
【0052】
ここで、図10を参照しながら、実施の形態2に係る液体吐出装置の制御方法の一例について説明する。図10は、実施の形態2に係る液体吐出装置の制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【0053】
実施の形態2に係る液体回収部10Aでは、容器部38Aの複数の受け空間42a,42b,42cの各大きさは、上記実施の形態1の容器部38の受け空間42の大きさよりも小さい。そのため、ヘッド部22から一度に空吐出される液体の量が比較的多い場合には、蓋部40Aの開口部44a,44b,44cをそれぞれ通過して容器部38Aの複数の受け空間42a,42b,42cに流入したミスト状の第1の液体、第2の液体及び第3の液体が、蓋部40Aの開口部44a,44b,44cをそれぞれ通して本体部36Aの外部に漏洩するおそれが生じる。
【0054】
このような課題を解決するために、実施の形態2に係る液体吐出装置では、図10に示すように、ヘッド部22は、第1の液体、第2の液体及び第3の液体をこの順に、インターバル(空吐出しない時間)を設けながら空吐出する。
【0055】
すなわち、ヘッド部22から第1の液体を空吐出する空吐出動作(以下、「第1の空吐出動作」という)と、ヘッド部22から第1の液体を空吐出しないインターバル(以下、「第1のインターバル」という)とを交互に繰り返すように、ヘッド部22が制御される。また、ヘッド部22から第2の液体を空吐出する空吐出動作(以下、「第2の空吐出動作」という)と、ヘッド部22から第2の液体を空吐出しないインターバル(以下、「第2のインターバル」という)とを交互に繰り返すように、ヘッド部22が制御される。また、ヘッド部22から第3の液体を空吐出する空吐出動作(以下、「第3の空吐出動作という)と、ヘッド部22から第3の液体を空吐出しないインターバル(以下、「第3のインターバル」という)とを交互に繰り返すように、ヘッド部22が制御される。この時、第1の空吐出動作、第2の空吐出動作及び第3の空吐出動作は、互いに重複しない。
【0056】
また、第1のインターバルは、第1の空吐出動作よりも長い。これにより、第1の液体の空吐出が終了した後に、本体部36Aの内部におけるミスト状の第1の液体の飛散が十分に収まってから、次の第1の液体の空吐出を開始することができる。
【0057】
同様に、第2のインターバルは、第2の空吐出動作よりも長い。これにより、第2の液体の空吐出が終了した後に、本体部36Aの内部におけるミスト状の第2の液体の飛散が十分に収まってから、次の第2の液体の空吐出を開始することができる。
【0058】
同様に、第3のインターバルは、第3の空吐出動作よりも長い。これにより、第3の液体の空吐出が終了した後に、本体部36Aの内部におけるミスト状の第3の液体の飛散が十分に収まってから、次の第3の液体の空吐出を開始することができる。
【0059】
また、第1の空吐出動作、第2の空吐出動作及び第3の空吐出動作の各時間は、所定時間(例えば5秒)以下である。これにより、一度に多量の第1の液体、第2の液体及び第3の液体がヘッド部22から空吐出されるのを抑制することができる。なお、第1の空吐出動作、第2の空吐出動作及び第3の空吐出動作の各時間が例えば5秒よりも長くなる場合には、第1のインターバル、第2のインターバル及び第3のインターバルの各時間を例えば30秒よりも長くなるように設定するのが好ましい。
【0060】
以上のようなヘッド部22の制御により、蓋部40Aの開口部44a,44b,44cをそれぞれ通過して容器部38Aの複数の受け空間42a,42b,42cに流入したミスト状の第1の液体、第2の液体及び第3の液体が、蓋部40Aの開口部44a,44b,44cをそれぞれ通して本体部36Aの外部に漏洩するのを抑制することができる。
【0061】
上述したように、本実施の形態では、本体部36Aの内部には、互いに仕切られた複数の受け空間42a,42b,42cが形成されている。これにより、ヘッド部22から吐出された例えば第1の液体、第2の液体及び第3の液体をそれぞれ、複数の受け空間42a,42b,42cで受けることができる。その結果、本体部36Aの内部で第1の液体、第2の液体及び第3の液体が互いに混ざり合うことにより意図しない化学反応等が起きるのを回避することができ、ヘッド部22から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、ヘッド部22は、互いに異なる種類の複数の液体を吐出するようにしたが、これに限定されず、1種類の液体のみを吐出するようにしてもよい。この場合、ヘッド部22のカートリッジ28の種類を交換することにより、ヘッド部22から吐出される液体の種類が変更される毎に、ヘッド部22からの液体の空吐出先となる受け空間を適宜変更すればよい。これにより、上述と同様に、液体回収部10Aにおいて互いに異なる種類の複数の液体が互いに混ざり合うのを回避することができる。
【0063】
(実施の形態3)
図11を参照しながら、実施の形態3に係る液体吐出装置2Bの構成について説明する。図11は、トレイ6Bを筐体4から取り外した状態での、実施の形態3に係る液体吐出装置2Bの内部構造を示す斜視図である。なお、説明の都合上、図11では、筐体4の図示を省略してある。
【0064】
図11に示すように、実施の形態3に係る液体吐出装置2Bでは、トレイ6Bは、筐体4に対して着脱可能に構成されている。ユーザは、引き出し位置にあるトレイ6Bをさらに手前側(Y軸のマイナス側)に引き出すことにより、トレイ6Bを筐体4から取り外すことができる。
【0065】
これにより、ユーザは、上述したメンテナンス動作の終了後に、トレイ6Bを筐体4から取り外すことにより、液体回収部10の洗浄及び消毒、又は、トレイ6B及び液体回収部10の交換等を容易に行うことができる。なお、トレイ6B及び液体回収部10を交換する場合には、トレイ6B及び液体回収部10は、そのまま廃棄することが可能な材料、例えばセルロースファイバー又は紙素材の成形材料等で形成するのが好ましい。
【0066】
(他の変形例)
以上、本発明の実施の形態1~3に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0067】
上記各実施の形態では、液体吐出装置2(2B)を液体分注装置として適用したが、これに限定されず、例えば対象物にインク(液体の一例)を吐出することにより対象物に印刷を施すための印刷装置として適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る液体吐出装置は、例えば液体試薬又は液体試料等をウェルプレートに分注するための液体分注装置等として適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
2,2B 液体吐出装置
4 筐体
6,6B トレイ
6a,6b 領域
8 吐出ユニット
10,10A 液体回収部
12 ウェルプレート
13 ベースプレート
14,20,44,44a,44b,44c 開口部
16 ガイドプレート
18 凹部
22 ヘッド部
24 駆動機構
26 キャリッジ
28 カートリッジ
30 ガイドシャフト
32 モータ
34 タイミングベルト
36,36A 本体部
38,38A 容器部
40,40A 蓋部
42,42a,42b,42c 受け空間
46 仕切り板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11