(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051077
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】浴室機器制御システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161537
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野中 淳
(72)【発明者】
【氏名】福冨 達也
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA04
5K048BA12
5K048BA13
5K048BA14
5K048EB02
5K048EB13
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】 遠隔操作するためのツールを複数設定した場合であっても、浴室関連機器の遠隔制御を手軽に実行することが可能な浴室機器制御システムを提供する。
【解決手段】 浴室から離れた地点からの遠隔操作から送信された信号によって複数の浴室機器の動作を制御する制御装置を備える浴室機器制御システムにおいて、前記遠隔操作を実行することが可能な操作装置を複数台備えてなり、当該複数台の操作装置は、前記浴室機器の動作開始を実行することが可能な第一の操作装置と、前記浴室機器の動作開始および動作条件を調整することが可能な第二の操作装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室から離れた地点からの遠隔操作から送信された信号によって複数の浴室機器の動作を制御する制御装置を備える浴室機器制御システムにおいて、
前記遠隔操作を実行することが可能な操作装置を複数台備えてなり、
当該複数台の操作装置は、
前記浴室機器の動作開始を実行することが可能な第一の操作装置と、
前記浴室機器の動作開始および動作条件を調整することが可能な第二の操作装置と、
を備えたことを特徴とする浴室機器制御システム。
【請求項2】
前記第一の操作装置は、ユーザーの音声に基づいて前記浴室機器の動作開始を実行させるスマートスピーカーであり、
前記第二の操作装置は、浴室近傍に設置されたリモコンまたは前記ユーザーが保有する通信端末である、請求項1記載の浴室機器制御システム。
【請求項3】
前記スマートスピーカーは、前記浴室機器の動作条件の調整の可否を変更することが可能な請求項2記載の浴室機器制御システム。
【請求項4】
前記スマートスピーカーは、前記浴室機器の動作開始を初めて実行する際には、前記浴室機器の動作条件の調整を可能とすることを可能とする請求項2又は3に記載の浴室機器制御システム。
【請求項5】
前記スマートスピーカーは、検知した音声に基づいてユーザーを特定し、前記特定されたユーザーが前記浴室機器の動作開始を初めて実行する際には、前記浴室機器の動作条件の調整を可能とすることを特徴とする請求項2又は3に記載の浴室機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室機器を遠隔制御することが可能な浴室機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、浴槽洗浄装置に限らず、給湯機、浴室乾燥装置、浴室暖房装置、浴室洗浄装置といった複数の浴室関連機器をユーザーが保有する携帯端末で遠隔操作することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室関連機器を遠隔制御するためのツールとして、ユーザーが保有する携帯端末以外にも、家族で共用するタブレット型端末やスマートスピーカーを使用することも考えられる。
ここで、携帯端末やタブレット型端末は各端末にインストールしたアプリを実行することによって浴室関連機器の動作開始はもちろん、動作条件の設定を調整することも容易である。しかし、スマートスピーカーは、ユーザーの発話を検知してサーバーがユーザーの発話を分析して実行したいことを特定することになるため、浴室関連機器の動作開始のように単純な動作の実行を命令することは容易であるが、動作条件を細かく設定するようなことは容易とはいえない。
そこで、本発明は、遠隔操作するためのツールを複数設定した場合であっても、浴室関連機器の遠隔制御を手軽に実行することが可能な浴室機器制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、浴室から離れた地点からの遠隔操作から送信された信号によって複数の浴室機器の動作を制御する制御装置を備える浴室機器制御システムにおいて、前記遠隔操作を実行することが可能な操作装置を複数台備えてなり、当該複数台の操作装置は、前記浴室機器の動作開始を実行することが可能な第一の操作装置と、前記浴室機器の動作開始および動作条件を調整することが可能な第二の操作装置と、を備えたことを特徴とする。
これによれば、浴室機器の動作開始を実行する簡単な命令と、浴室機器の動作条件を調整するような多少複雑な命令とを、それぞれを適する操作装置で実行させることが可能となる。よって、ユーザーにとっては複雑な命令もより容易に実行することが可能となり、浴室関連機器の遠隔制御を手軽に実行することができる。
【0006】
好ましくは、前記第一の操作装置は、ユーザーの音声に基づいて前記浴室機器の動作開始を実行させるスマートスピーカーとし、前記第二の操作装置は、浴室近傍に設置されたリモコンまたは前記ユーザーが保有する通信端末とするのがよい。
これによれば、複雑な設定を得意としないスマートスピーカーを浴室機器の遠隔制御に適用することが可能となるので、たとえば、浴室機器の動作を開始するだけの簡単な命令であれば、いちいち携帯端末を立ち上げたり、リモコンを設置した浴室近傍まで移動したりすることなく実行可能なので、ユーザーの利便性が向上する。
【0007】
また、前記スマートスピーカーは、前記浴室機器の動作条件の調整の可否を変更することを可能とする。
これによれば、必要な場合には動作条件の調整を実行することも可能となる。
【0008】
さらに、前記スマートスピーカーは、前記浴室機器の動作開始を初めて実行する際には、前記浴室機器の動作条件の調整を可能とすることを可能とする。
これによれば、初回のみスマートスピーカーで動作条件を調整するので、初めての遠隔操作をスマートスピーカーのみで実行することができ、いちいち携帯端末を立ち上げたり、リモコンを設置した浴室近傍まで移動したりすることなく実行可能である。
【0009】
また、それに代えて、前記スマートスピーカーは、検知した音声に基づいてユーザーを特定し、前記特定されたユーザーが前記浴室機器の動作開始を初めて実行する際には、前記浴室機器の動作条件の調整を可能としてもよい。
これによれば、各ユーザー毎の初回の操作のみスマートスピーカーで動作条件を調整するので、各ユーザーが初めての遠隔操作をスマートスピーカーのみで実行することができる。そのため、いちいち携帯端末を立ち上げたり、リモコンを設置した浴室近傍まで移動したりすることなく実行可能であるうえ、動作設定を各ユーザーに好みに調整しておくことが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遠隔操作するためのツールを複数設定した場合であっても、浴室関連機器の遠隔制御を手軽に実行することが可能な浴室機器制御システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の浴室機器制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の浴室機器制御システムのブロック図である。
住宅の中に配置された浴室100には浴槽110が設置されるとともに、浴室100の内部を自動的に洗浄する浴室洗浄装置200、浴槽110の内部を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置300が設置されている。また、浴室暖房装置、浴室乾燥装置などの浴室の内部環境を整える装置を設置してもよい。
また、住宅には、浴槽110に湯張りを行うとともに、浴槽洗浄装置300に湯水を供給する給湯機400が設置されている。
これらの浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300浴室暖房装置、浴室乾燥装置、給湯機400が、本発明の浴室機器に相当する。
【0013】
また、住宅の中には、これらの浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400の制御を行う制御ボックス500が配置されている。この制御ボックス500は、住宅の中に設置されたリモコン600の操作によって発信される制御信号を浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400の各制御部210、310、410に送信する。また、制御ボックス500は、この住宅の住人が保有するスマートフォンなどの携帯端末700にインストールされたアプリの操作によって発信される動作命令に基づいてクラウドサーバー800が送信する制御信号を受信して、浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400の各制御部210、310、410に制御信号を送信する。さらに、住宅内に設置されたスマートスピーカー700が、ユーザーの発話情報を取り込んで各浴室機器に対して実行させたい命令を判断してクラウドサーバー800あるいは制御ボックス500から浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400の各制御部210、310、410に制御信号を送信する。このクラウドサーバー800や制御ボックス500が本発明の制御装置に相当するが、クラウドサーバー800や制御ボックス500はそれぞれが一台ずつであってもいいし、複数台に分かれていてもよい。
なお、住宅の中には、クラウドサーバー800と制御ボックス500の間で信号変換を行うゲートウェイ装置(図示せず)が設置されている。
【0014】
浴槽洗浄装置300は、浴槽110に洗剤および給湯機400から供給された湯水を供給して、浴槽110を自動的に洗浄する。洗浄手順としては、まず浴槽110に湯水を噴射して予備洗浄を行い、次いで洗剤を噴射して浴槽110の内面に付着した汚れを落とし、最後に浴槽110の内面に湯水を噴射してすすぐのが一般的だが、予備洗浄の有無は問わない。
【0015】
浴室洗浄装置200は、浴室100の洗い場を洗浄する。洗浄手段としては、洗い場上に付着した汚れを下洗いで洗い流した後に次亜塩素酸を含んだ湯水を噴射して洗浄する方法、あるいは、洗い場に湯水を噴射して下洗いして、次いで洗剤を噴射して洗い場の表面に付着した汚れを落とし、最後に洗い場に湯水を噴射してすすぐ方法などを採用することができる。
【0016】
給湯機400は、浴槽110への湯張り、追い炊き、浴槽洗浄装置300への湯水の供給などを実行する。
【0017】
クラウドサーバー800は、携帯端末700から動作命令を受け取ると、それに基づいて生成された制御信号をインターネット経由で住宅の制御ボックス500に送信する。動作命令は、一つの浴室機器の動作のみを実行する場合もあるが、複数の浴室機器の動作を連携させて実行する場合も考えられる。たとえば、携帯端末700により入浴準備を行うことを選択した場合、まず浴槽洗浄装置200によって浴槽洗浄を実行した後に給湯機400により湯張りを実行し、最後に浴室暖房装置によって浴室内を温めておくことも可能である。このような単一の浴室機器の動作制御や入浴準備動作は、携帯端末700以外にもスマートスピーカー700によっても実行可能である。
【0018】
リモコン600は、浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、浴室暖房装置などの動作に関するボタンが設けられていて、ボタン操作によって浴室機器の動作開始や動作条件の調整を実行することができる。ここで動作条件とは、浴室洗浄装置200や浴槽洗浄装置300であれば、洗浄モード(念入り、標準、簡易)、開始予定時刻、終了予定時刻、等が考えられる。浴室暖房装置であれば暖房温度、開始予定時刻、終了予定時刻、等が考えられる。給湯機であれば、湯張り温度、湯張り量、追い炊き温度、開始予定時刻、終了予定時刻、等が考えられる。また、入浴準備動作においては、各浴室機器それぞれの動作モード、各浴室機器の実行温度、開始時刻、終了時刻、等が考えられるが、入浴準備動作は複数の浴室機器の実行を制御するものなので、動作条件の設定は多岐にわたる。
【0019】
携帯端末800にはアプリがインストールされ、そのアプリによって各浴室機器の動作開始を実行することが可能である。このアプリによって複数の浴室機器を連動制御する入浴準備動作の開始を実行することも可能である。さらに、そのアプリによって、これらの実行可能な動作の条件(例えば湯張り温度や湯張り量、浴室暖房の設定温度、浴室洗浄装置や浴槽洗浄装置の動作モードの設定など)を調整することも可能である。これらはアプリによって容易に実行することが可能である。
【0020】
スマートスピーカー700は、ユーザーの発話を検知するとその音声情報をクラウドサーバーに送信し、サーバーにて音声情報に基づいてユーザーの発話の内容をAI(人工知能)が特定してユーザーが実行したい制御内容を制御信号に変換して制御ボックス500に送信する。このとき、クラウドサーバーは、クラウドサーバー800と別のサーバーとすることもできる。この場合、制御信号はクラウドサーバー800に送信されてもよい。
【0021】
スマートスピーカー700はユーザーの発話を基にして実行したい制御内容を特定するため、浴室機器の動作開始は容易である。一方、湯張り温度や湯張り量、浴室暖房の設定温度、浴室洗浄装置や浴槽洗浄装置の動作モードの設定といった動作条件をユーザーの発話に基づいて判断するのは、初期設定に時間を要することから容易とはいえない。特に入浴準備動作の動作条件は前述したとおり多岐にわたるので時間がかかる。
そこで、スマートスピーカー700による動作条件は通常は不可としたうえで、動作条件の調整の可否を選定できるように設定を変更することを可能とするのが好ましい。
たとえば、ユーザーが各浴室機器の動作開始を初めて実行する際には、各浴室機器の動作条件の調整を可能とする設定とし、その後は設定を変更して動作条件の調整はできないようにする。また、スマートスピーカーが検知した音声によってユーザーを特定する機能を備える場合には、各ユーザーが浴室機器の動作開始を初めて実行する都度、各浴室機器の動作条件の調整を可能とする設定とし、その後は設定を変更して動作条件の調整はできないようにしてもよい。また、カレンダー機能をもたせて季節が変わるごとに、動作条件の調整を可能としてもよい。
【0022】
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施態様を変形例を交えて示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく、その範囲内での設計変更が可能である。
たとえば、通信端末で制御可能な浴室機器を備えた浴室が複数存在する場合、スマートスピーカーで浴室の選択を行うのが煩わしいことから、後から登録した浴室を制御対象とするように暫定的に決めておく。この場合、前に登録した浴室をスマートスピーカーによる制御対象にしたい場合には、携帯端末によってスマートスピーカーによって制御可能な浴室を変更して設定してもよい。
【符号の説明】
【0023】
100 浴室
200 浴室洗浄装置(浴室機器)
300 浴室洗浄装置(浴室機器)
400 給湯機(浴室機器)
500 制御ボックス(制御装置)
600 リモコン(第二の操作装置)
700 スマートスピーカー(第一の操作装置)
800 クラウドサーバー(制御装置)
900 通信端末(第二の操作装置)