(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051079
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】浴室機器制御システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161539
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野中 淳
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA04
5K048AA09
5K048BA12
5K048BA13
5K048BA14
5K048EB02
5K048EB13
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】 浴槽洗浄装置の動作を中断した場合であっても、その後の湯張りに支障のない浴室機器制御システムを提供する。
【解決手段】 給湯機による浴槽への湯張りを制御するとともに、洗剤による洗浄の後にすすぎを行う浴槽洗浄装置の制御を通信端末による遠隔操作によって実行可能な制御手段を備える浴室機器制御システムであって、前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたと判断した場合には、所定の解除動作を実行するまで前記給湯機による湯張りを実行しないように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯機による浴槽への湯張りを制御するとともに、洗剤による洗浄の後にすすぎを行う浴槽洗浄装置の制御を通信端末による遠隔操作によって実行可能な制御手段を備える浴室機器制御システムであって、
前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたと判断した場合には、所定の解除動作を実行するまで前記給湯機による湯張りを実行しないように制御することを特徴とする浴室機器制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたのが、前記浴槽洗浄装置における洗剤による洗浄の開始後であってすすぎが完了する前であると判断した場合に、前記給湯機による湯張りを実行しないように制御することを特徴とする請求項1記載の浴室機器制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたと判断した場合には、前記通信端末に浴槽洗浄中断信号を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の浴室機器制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたのが、前記浴槽洗浄装置における洗剤による洗浄の開始後であってすすぎが完了する前であると判断した場合に、前記通信端末によって前記給湯機による湯張りを遠隔制御されると、前記浴槽洗浄装置のすすぎを実行した後に前記給湯機による湯張りを実行するように制御することを特徴とする請求項1記載の浴槽機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄装置を遠隔操作で動作させることも可能な浴室機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽を自動的に清掃する浴槽洗浄装置が提供されている。この浴槽洗浄装置は、洗剤で洗浄した後に水道水ですすぎを行うように制御される。
また、特許文献1のように、浴槽洗浄装置を住宅の外からスマートフォンなどの携帯端末で遠隔操作することも可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、浴槽洗浄装置による浴槽洗浄を一旦開始した後に、途中で中断することが考えられる。たとえば、携帯端末から浴槽洗浄の中止を指示した場合、住宅の中に設置したリモコンで実行中の浴槽洗浄を強制終了する場合、機器にエラーが発生した場合である。
このように浴槽洗浄を途中で中断する場合、その中断が洗剤での洗浄を開始した後であって水道水によるすすぎが完了する前であると、浴槽の内部に洗剤が残ったままとなってしまう。
その状態で湯張りを行うと、洗剤交じりの湯が貯まってしまうので、そのまま入浴できない、という問題がある。
そこで、浴槽洗浄装置の動作を中断した場合であっても、その後の湯張りに支障のない浴室機器制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明は、給湯機による浴槽への湯張りを制御するとともに、洗剤による洗浄の後にすすぎを行う浴槽洗浄装置の制御を通信端末による遠隔操作によって実行可能な制御手段を備える浴室機器制御システムであって、前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたと判断した場合には、所定の解除動作を実行するまで前記給湯機による湯張りを実行しないように制御することを特徴とする。
これによれば、浴槽洗浄装置が動作途中で動作を中断した場合に、給湯機による湯張りの実行が命令されたとしても、所定の解除動作が実行されない限り湯張りを実行しない。よって、浴槽洗浄で使用する洗剤が浴槽に残った状態で湯張りが実行されるのを防止することが可能となり、湯張りへの支障をなくすことが可能となる。
【0006】
好ましくは、前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたのが、前記浴槽洗浄装置における洗剤による洗浄の開始後であってすすぎが完了する前であると判断した場合に、前記給湯機による湯張りを実行しないように制御する。
これによれば、制御手段は、浴槽洗浄装置の動作が中断したタイミングが浴槽に洗剤が残り得るタイミングであると判断した場合に、湯張りの実行を禁止する。そのため、浴槽に洗剤が残っていないタイミングで中断した場合には湯張りは実行される。よって、より一層湯張りへの支障をなくすことが可能となる。
【0007】
この場合、前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたと判断した場合には、前記通信端末に浴槽洗浄中断信号を送信するのも好ましい。
これによれば、通信端末に浴槽洗浄が中断したことを表示させることが可能になる。
【0008】
また、好ましくは、前記制御手段は、前記浴槽洗浄装置の動作が途中で中断されたのが、前記浴槽洗浄装置における洗剤による洗浄の開始後であってすすぎが完了する前であると判断した場合に、前記通信端末によって前記給湯機による湯張りを遠隔制御されると、前記浴槽洗浄装置のすすぎを実行した後に前記給湯機による湯張りを実行するように制御する。
これによれば、浴槽に洗剤が残留している可能性があってもまずはすすぎを実行してから湯張りを実行するので、一層湯張りへの支障をなくすことが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴槽洗浄装置の動作を中断した場合であっても、その後の湯張りに支障のない浴室機器制御システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】浴室機器制御システムの概略を示すブロック図である。
【
図2】浴室機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】浴室機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】浴室機器制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、浴室機器制御システムの概略を示すブロック図である。
住宅の中に配置された浴室100には浴槽110が設置されるとともに、浴室100の内部を自動的に洗浄する浴室洗浄装置200、浴槽110の内部を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置300が設置されている。
また、住宅には、浴槽110に湯張りを行うとともに、浴槽洗浄装置300に湯水を供給する給湯機400が設置されている。
【0013】
また、住宅の中には、これらの浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400の制御を行う制御ボックス500が配置されている。この制御ボックス500は、住宅の中に設置されたリモコン600の操作によって発信される制御信号を浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400に送信する。また、制御ボックス500は、この住宅の住人が保有するスマートフォンなどの携帯端末700にインストールされたアプリの操作によって発信される動作命令に基づいてクラウドサーバー800が送信する制御信号を受信して、浴室洗浄装置200、浴槽洗浄装置300、給湯機400に制御信号を送信する。このクラウドサーバー800や制御ボックス500が本発明の制御手段に相当するが、クラウドサーバー800や制御ボックス500はそれぞれが一台ずつであってもいいし、複数台に分かれていてもよい。
なお、住宅の中には、クラウドサーバー800と制御ボックス500の間で信号変換を行うゲートウェイ装置(図示せず)が設置されている。
【0014】
浴槽洗浄装置300は、浴槽110に洗剤および給湯機400から供給された湯水を供給して、浴槽110を自動的に洗浄する。洗浄手順としては、まず浴槽110に湯水を噴射して予備洗浄を行い、次いで洗剤を噴射して浴槽110の内面に付着した汚れを落とし、最後に浴槽110の内面に湯水を噴射してすすぐのが一般的だが、予備洗浄の有無は問わない。
【0015】
浴室洗浄装置200は、浴室100の洗い場を洗浄する。洗浄手段としては、洗い場上に付着した汚れを下洗いで洗い流した後に次亜塩素酸を含んだ湯水を噴射して洗浄する方法、あるいは、洗い場に湯水を噴射して下洗いして、次いで洗剤を噴射して洗い場の表面に付着した汚れを落とし、最後に洗い場に湯水を噴射してすすぐ方法などを採用することができる。
【0016】
給湯機400は、浴槽110への湯張り、追い炊き、浴槽洗浄装置300への湯水の供給などを実行する。
【0017】
クラウドサーバー800は、携帯端末700から動作命令を受け取ると、それに基づいて生成された制御信号をインターネット経由で住宅の制御ボックス500に送信する。また、制御ボックス500が送信した信号をインターネット経由で受信するとともに、そのようにして受信した信号に関して必要に応じて携帯端末700のアプリ画面の表示を変更すべく信号を送信する。
実行中の浴槽洗浄が途中で中断した場合には、浴槽洗浄装置300が中断したことを示す信号を、制御ボックス500を介してクラウドサーバー800が受信する。
【0018】
次に、この浴室機器制御システムの動作について説明する。
図2に示すように、浴室機器制御システムは、浴槽洗浄装置300の運転をリモコン600または携帯端末700からの遠隔操作で実行開始した後に、リモコン600または携帯端末700によって浴槽洗浄の中止を指示すると、浴槽洗浄装置300の運転は途中で中断する。浴槽洗浄の中断は、浴槽洗浄装置300から制御ボックス500を介して送信された中断信号をクラウドサーバー800が受信することにより、クラウドサーバー80は浴槽洗浄が中断されたと判断する。すると、クラウドサーバー800は携帯端末700により湯張りを実行しようとしても実行させない。具体的には、クラウドサーバー800が携帯端末700から送信された湯張り実行命令に対して実行拒否を決定する、あるいは、クラウドサーバー800から携帯端末700に湯張りの受付禁止状態であることを示す信号を送信しておく。
これにより、浴槽洗浄が中断されて浴槽110の内部に洗剤が残っている可能性があっても、洗剤が残ったままの状態で湯張りを実行することを防止することができる。
【0019】
なお、浴槽洗浄が途中で中断された状態が永続すると、いつまでも湯張りを行うことができないので、所定の解除動作を実行することによって湯張りは解禁される。この解除動作としては、たとえば、ユーザーが浴槽洗浄中断後の浴槽110にシャワーなどで水をかけて洗剤を洗い流した後でリモコン600を特殊操作してもよい。あるいは、携帯端末700あるいはリモコン600を特殊操作することによって浴槽洗浄装置300のすすぎ動作を実行させてもよい。
このようにすれば、浴槽洗浄装置300が動作途中で動作を中断した場合であっても、所定の解除動作が実行されて浴槽100に洗剤が残らないので、湯張りの実行が命令されれば湯張りを実行することができる。
【0020】
ここで、
図3に示すように、クラウドサーバー800は、浴槽洗浄装置300の動作が途中で中断されたのが、浴槽洗浄装置300における洗剤による洗浄の開始後であってすすぎが完了する前であると判断した場合に、湯張りを実行しないように制御してもよい。
このようにすれば、クラウドサーバー800は、浴槽洗浄装置300の動作が中断したタイミングが浴槽110に洗剤が残り得るタイミングであると判断した場合に限って湯張りの実行を禁止する。そのため、浴槽110に洗剤が残っていないタイミングで中断した場合には湯張りは実行されることになる。
【0021】
湯張りの実行を禁止する場合には、クラウドサーバー800は、浴槽洗浄装置300の動作が途中で中断されたと判断した場合には、通信端末700に浴槽洗浄中断信号を送信してもよい。この場合、通信端末700は、浴槽洗浄が中断したことを表示することが可能になる。たとえば、アプリを立ち上げると、浴槽洗浄が途中で中断したことを表示したり、あるいは、通信端末700で湯張りを実行しようとすると浴槽洗浄が途中で中断したため実行不可能であることを表示したりすることが可能となる。
【0022】
また、
図4に示すように、クラウドサーバー800は、浴槽洗浄装置300の動作が途中で中断されたのが、浴槽洗浄装置300における洗剤による洗浄の開始後であってすすぎが完了する前であると判断した場合に、通信端末700によって給湯機400による湯張りを遠隔制御されると、浴槽洗浄装置300のすすぎを自動的に実行した後に給湯機400による湯張りを実行するように制御してもよい。
これによれば、浴槽110に洗剤が残留している可能性があってもすすぎによって洗剤を洗い流すので浴槽洗浄の中断後に湯張りを実行しても洗剤混じりの湯が貯まることはなく、一層湯張りへの支障をなくすことが可能となる。
【0023】
本発明は、上記した実施形態に限定されずに、様々な実施形態で実行可能である。
たとえば、住宅の中に制御ボックスを配置せず、クラウドサーバーからの信号はゲートウェイ装置を介してリモコンに送信してリモコンが各浴室機器に信号を送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
100 浴室
110 浴槽
300 浴槽洗浄装置
400 給湯機
500 制御ボックス(制御手段)
600 リモコン
700 通信端末
800 クラウドサーバー(制御手段)