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  • 特開-給水装置 図1
  • 特開-給水装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005110
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 11/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
E03B11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106824
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 仁志
(57)【要約】
【課題】 給水装置と建物等との繋ぐ送水管が、地震等により破損した際に、給水用の水が漏れ出ることを抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 送水用電動ポンプ21の吐出し側に安全弁22を配置する。これにより、仮に、送水管が破損した場合であっても、安全弁22の流入側の水圧、つまり電動ポンプ21の吐出し口側の水圧が、当該安全弁22の開放圧力以下であれば、当該安全弁22が閉じる。したがって、地震等により送水管が破損した場合であっても、給水用の水の多くが漏れ出ることが抑制され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送水用の電動ポンプと、
前記電動ポンプの吐出し側に設けられた安全弁であって、流入側が当該電動ポンプの吐出し口側に接続された安全弁と
を備える給水装置。
【請求項2】
送水用の水が貯留される受水槽を備え、
前記受水槽に有効容量の50%の水が貯留されたときに前記電動ポンプの吸込口に作用する押し込み圧力を基準圧力としたとき、
前記安全弁の開放圧力は、前記基準圧力以上である請求項1に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送水用の電動ポンプを備える給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置は、緊急遮断弁を有するとともに、一定以上の地震の揺れを感知した際に当該緊急遮断弁を作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-127247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記点に鑑み、給水装置と建物等との繋ぐ送水管が、地震等により破損した際に、給水用の水が漏れ出ることを抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、送水用の電動ポンプ(21)と、電動ポンプ(21)の吐出し側に設けられた安全弁(22)であって、流入側が当該電動ポンプ(21)の吐出し口()側に接続された安全弁(22)とである。
【0006】
安全弁(22)は、リリーフ弁とも言われ、流入側の圧力が予め決められた開放圧力(リリーフ圧力ともいう。)以下の状態では閉じた状態となり、当該圧力が開放圧力を超えたときに開くバルブである。
【0007】
これにより、当該給水装置では、仮に、送水管が破損した場合であっても、安全弁(22)の流入側の水圧、つまり電動ポンプ(21)の吐出し口側の水圧が、当該安全弁(22)の開放圧力以下の状態では、当該安全弁(22)が閉じた状態となる。したがって、地震等により送水管が破損した場合であっても、給水用の水の多くが漏れ出ることが抑制され得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係るポンプ装置を示す図である。
図3】第1実施形態に係る安全弁を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、受水槽方式の給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。当該給水装置1は、図1に示されるように、受水槽10、及びポンプ装置20等を備える。受水槽10は、送水用の水が貯留される水タンクである。ポンプ装置20は、建物等の送水対象に水を送水するための装置である。
【0013】
なお、本実施形態に係る給水装置1では、受水槽10は架台30により支持され、ポンプ装置20は架台30内に収納されている。つまり、本実施形態に係る給水装置1では、ポンプ装置20の上部に受水槽10が配置され、かつ、ポンプ装置20は、受水槽10の水平投影面内に収まっている。
【0014】
<1.1 受水槽の概要>
受水槽10は、水タンク11、オーバフロー管12及び給水弁13等を少なくとも有している。水タンク11は、給水用の水が蓄えられる貯水タンクである。オーバフロー管12は、水タンク11内の水を排出することにより、当該水タンク11内の水位(以下、オーバフロー水位という。)を予め決められた水位以下とするためのものである。
【0015】
給水弁13は、水タンク11内に貯留される水量、つまり水の水位を一定の範囲内に維持する機能を有する給水用の弁である。本実施形態に係る給水弁13は、いわゆるボールタップ等のフロート(浮き)13Aを利用した機械式の開閉弁である。
【0016】
つまり、当該給水弁13では、フロート13Aの位置が予め決められた位置より低下すると、弁が開いて水道から給水が開始され、かつ、フロート13Aの位置が当該位置に復帰すると、弁が閉じて給水が停止する。以下、当該位置を止水水位という。
【0017】
なお、止水水位は、オーバフロー水位より低い水位であって、受水槽10(水タンク11)の有効容量の50%より大きい水量となる水位である。なお、有効容量は、オーバフロー水位となるときの水量以下の所定の容量である。
【0018】
<1.2 ポンプ装置の概要>
ポンプ装置20は、図2に示されるように、少なくとも1台(本実施形態では、複数)の電動ポンプ21、電動ポンプと同数の安全弁22、制御部23及び蓄圧器24等を有している。
【0019】
各電動ポンプ21は、受水槽10から水を吸引して建物の送水管(図示せず。)に当該水を送水する。なお、各電動ポンプ21の吸込口21Aは、フレキシブルチューブ21C(図1参照)を介してそれぞれ独立して受水槽10(水タンク11)に連通している。
【0020】
各電動ポンプ21の吐出し口21Bは、略T字状の合流管25を介して送水管に連通する。具体的には、合流管25の第1の流入口25Aには、第1の電動ポンプ21の吐出し口21Bが安全弁22を介して連通している。
【0021】
合流管25の第2の流入口25Bには、第2の電動ポンプ21の吐出し口21Bが安全弁22を介して連通している。そして、合流管25の流出口25Cには、金属製の送水管が接続される。
【0022】
各安全弁22は、対応する電動ポンプ21の吐出し側に設けられている。つまり、各安全弁22の流入側は、対応する電動ポンプ21の吐出し口21B側に接続されている。なお、本実施形態では、2つの電動ポンプ21は同一仕様であり、かつ、2つの安全弁22も同一仕様である。
【0023】
制御部23は、各電動ポンプ21の作動を制御する。蓄圧器24は、全て電動ポンプ21が停止しているときに給水圧を所定圧に保持する。なお、制御部23は、給水圧が予め決められた起動圧力以下となったときにいずれかの電動ポンプ21を起動する。
【0024】
因みに、給水圧を検出する圧力センサ(図示せず。)は、安全弁22の下流側にて給水圧を検出する。さらに、制御部23は、地震等の揺れを感知すると、全ての電動ポンプ21を停止させる。
【0025】
<2.安全弁の詳細>
安全弁22は、リリーフ弁とも言われ、流入側の圧力(以下、流入圧という。)が予め決められた開放圧力(リリーフ圧力ともいう。)以下の状態では閉じた状態となり、流入圧が開放圧力を超えたときに開くバルブである。
【0026】
具体的には、安全弁22は、図3に示されるように、ハウジング22A、弁体22B及びバネ22C等を少なくとも有する。ハウジング22Aは、流入側から流出側に至る流路を構成するとともに、流入側と流出側とを区画する区画壁22Dを有する。そして、区画壁22Dには、流入側と流出側とを連通させる弁口22Eが設けられている。
【0027】
弁体22Bは、区画壁22Dより流出側に配置され、弁口22Eを閉じる位置(図3の実線で示される位置)と弁口22Eを開く位置(例えば、図3の二点鎖線で示される位置)との間で変位可能な部材である。
【0028】
バネ22Cは、弾性力を弁体22Bに作用させる。当該弾性力は、弁口22Eを閉じる位置に弁体22Bを保持ための力である。つまり、バネ22Cは、弁口22Eを閉じる位置に弁体22Bが位置するとき、当該弁体22Bに開放圧力に相当する弾性力を作用させる。
【0029】
そして、本実施形態に係るバネ22Cは、開放圧力が基準圧力以上となるように設定されている。基準圧力とは、受水槽10に有効容量の50%の水が貯留されたときに電動ポンプ21の吸込口21Aに作用する押し込み圧力をいう。
【0030】
なお、本実施形態に係る開放圧力は、止水水位と吸込口21Aの位置との水頭差に相当する圧力である。因みに、流出側から弁体22Bに圧力が作用すると、当該弁体22Bが弁口22Eに押し付けられるため、当該弁口22Eは閉じた状態となる。
【0031】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、仮に、送水管が破損した場合であっても、安全弁22の流入側の水圧、つまり電動ポンプ21の吐出し口側の水圧が、当該安全弁22の開放圧力以下であれば、当該安全弁22が閉じた状態となる。
【0032】
したがって、地震等により送水管が破損した場合であっても、給水用の水の多くが漏れ出ることが抑制され得る。なお、電動ポンプ21の稼働時においては、吐出し側の圧力が開放圧力より大きくなるため、安全弁22が開く。
【0033】
<第2実施形態>
本実施形態は、水タンク11の下部又は安全弁22の上流側に、手動式の排出弁(図示せず。)が設けられたものである。これにより、例えば、地震によりポンプ装置20が停止した場合に、利用者が当該排出弁を開くことにより、水タンク11に貯留されている水を利用することが可能となる。
【0034】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る開放圧力は、止水水位と吸込口21Aの位置との水頭差に相当する圧力であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、開放圧力がオーバフロー水位と吸込口21Aの位置との水頭差に相当する圧力である構成であってよい。
【0035】
上述の実施形態に係る安全弁22は、図3に示されるように、流入口から流出口に至る方向と平行な方向に弁体22Bが変位する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、弁体22Bが流入口から流出口に至る方向と平行な方向と直交する方向に変位する構成であってもよい。
【0036】
上述の実施形態に係る給水装置は、受水槽方式の給水装置であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、水道圧を利用した直結給水方式であってもよい。なお、直結給水方式では、押込圧力水道圧となるため、基準圧力は水道圧となる。
【0037】
上述の実施形態では、各電動ポンプ21の吸込口21Aがフレキシブルチューブを介して水タンク11に接続されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、金属製の配管を介して水タンクに接続された構成であってよい。
【0038】
上述の実施形態では、地震を感知したときに全ての電動ポンプ21を停止させる機能を備えたものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、当該機能が廃止されたものであってもよい。
【0039】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1… 給水装置 10…受水槽 20… ポンプ装置
21… 電動ポンプ 22…安全弁
図1
図2
図3