(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005111
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】地震発生検知装置、給水装置
(51)【国際特許分類】
G01V 9/00 20060101AFI20230111BHJP
E03B 1/00 20060101ALI20230111BHJP
E03B 5/00 20060101ALI20230111BHJP
E03B 11/10 20060101ALI20230111BHJP
G01V 1/00 20060101ALI20230111BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20230111BHJP
F04D 15/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01V9/00 H
E03B1/00 A
E03B5/00 B
E03B5/00 A
E03B11/10
G01V1/00 D
F04D15/00 J
F04D15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106825
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 仁志
【テーマコード(参考)】
2G105
3H020
【Fターム(参考)】
2G105AA03
2G105BB01
2G105EE01
2G105GG01
2G105NN02
3H020AA07
3H020BA02
3H020BA03
3H020BA21
3H020CA01
3H020DA02
3H020DA08
3H020EA01
3H020EA02
3H020EA07
3H020EA14
3H020EA15
(57)【要約】
【課題】 具体的な地震発生検知装置の一例、及び当該地震発生検知装置を用いた給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 地震発生検知装置(地震検知部33)は、水位圧センサ14により検出された水位、つまり水位圧Pwの変化率を利用して地震発生の有無を検出する。給水装置1は、地震が発生したと判断されたときに、全ての電動ポンプ21を停止状態とする。これにより、受水槽10内の水が放出されてしまうことが抑制され得る。したがって、受水槽10内に残留する水を災害時の水資源として活用することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の発生を検知するための地震発生検知装置において、
液体が貯留された液槽と、
前記液槽に貯留されている液体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの検出値が入力され、当該検出値を利用して地震発生を判断する判断部とを備え、
前記判断部は、前記検出値の変化率の絶対値が予め決められた値以上となったときに、地震が発生したと判断する地震発生検知装置。
【請求項2】
地震の発生を検知するための地震発生検知装置において、
液体が貯留された液槽と、
前記液槽に貯留されている液体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの検出値が入力され、当該検出値を利用して地震発生を判断する判断部とを備え、
前記検出値の上昇変化率の絶対値が予め決められた値以上となる状態を異常上昇時とし、前記検出値の減少変化率の絶対値が予め決められた値以上となる状態を異常減少時としたとき、
前記判断部は、前記異常上昇時と前記異常減少時とが交番する状態が発生したときに、地震が発生したと判断する地震発生検知装置。
【請求項3】
地震の発生を検知するための地震発生検知装置において、
液体が貯留された液槽と、
前記液槽に貯留されている液体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサの検出値が入力され、当該検出値を利用して地震発生を判断する判断部とを備え、
前記判断部は、予め決められた時間内に検出された前記検出値に含まれる最大値と最小値との差が予め決められた値以上である場合に、地震が発生したと判断する地震発生検知装置。
【請求項4】
給水用の水が貯留される受水槽と、
前記受水槽内の水位に連動して変化する圧力を検出する圧力センサと、
前記受水槽内の水を送水するための電動ポンプと、
前記電動ポンプの作動を制御するポンプ制御部と、
前記圧力センサの検出値を利用して地震の発生を検知する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の地震発生検知装置と
を備える給水装置。
【請求項5】
前記ポンプ制御部は、前記地震発生検知装置により地震が発生したと判断されたときに、前記電動ポンプを停止状態とする地震時停止制御が実行可能である請求項4に記載の給水装置。
【請求項6】
情報を表示する表示部を備え、
前記ポンプ制御部は、前記地震発生検知装置により地震が発生したと判断されたときに、前記受水槽内の水位を前記表示部表示する請求項4又は5に記載の給水装置。
【請求項7】
前記受水槽に水道水を給水するための給水弁であって、給水する場合と当該給水を停止する場合とを切り替える可能な電動式の給水弁と、
前記給水弁の作動を制御する給水制御部であって、水位制御及び地震時貯水制御が実行可能な給水制御部とを備え、
前記水位制御は、前記受水槽内の水位に応じて前記給水弁を作動させる制御であり、
前記地震時貯水制御は、前記地震発生検知装置により地震が発生したと判断されたときに、前記給水を実行する制御である請求項4ないし6のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項8】
前記電動ポンプの吐出し側に設けられ、給水圧を検出する給水圧センサを備え、
前記ポンプ制御部は、起動制御及び起動停止制御が実行可能であり、
前記起動制御は、前記電動ポンプが停止している状態において、前記給水圧センサが検出した給水圧が予め決められた圧力以下となったときに、前記電動ポンプを起動させる制御であり、
前記起動停止制御は、前記地震発生検知装置により地震が発生したと判断されたときに、前記起動制御を停止させる制御である請求項4ないし7のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項9】
前記電動ポンプの吸込側又は吐出し側に設けられ、前記地震発生検知装置により地震が発生したと判断されたときに、当該吸込側又は当該吐出し側を遮断する電動式の遮断弁を備える請求項4ないし8のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項10】
前記電動ポンプの吐出し側に設けられた安全弁であって、流入側が当該電動ポンプの吐出し口側に接続された安全弁を備える請求項4ないし8のいずれか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地震発生検知装置、及び当該地震発生検知装置を用いた給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置は、感震器及び緊急遮断弁を有するとともに、感震器にて一定以上の地震の揺れを感知した際に緊急遮断弁を作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、「震度5以上の揺れが到来すると、感震器7が作動して出力信号を発生する」との記載されている。しかし、特許文献1には、感震器に関する具体的な記載がない。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、具体的な地震発生検知装置の一例、及び当該地震発生検知装置を用いた給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
地震の発生を検知するための地震発生検知装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0007】
すなわち、当該構成要件は、液体が貯留された液槽(11)と、液槽(11)に貯留されている液体の圧力を検出する圧力センサ(14)と、圧力センサ(14)の検出値(Pw)が入力され、当該検出値(Pw)を利用して地震発生を判断する判断部(33)とを備え、判断部(33)は、検出値(Pw)の変化率の絶対値が予め決められた値以上となったときに、地震が発生したと判断することである。これにより、地震の発生を検知することが可能となる。
【0008】
また、給水装置においては、給水用の水が貯留される受水槽(10)と、受水槽(10)内の水位に連動して変化する圧力を検出する圧力センサ(14)と、受水槽(10)内の水を送水するための電動ポンプ(21)と、電動ポンプ(21)の作動を制御するポンプ制御部(31)と、圧力センサ(14)の検出値を利用して地震の発生を検知する上記の地震発生検知装置(33)とを備えることが望ましい。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図5】地震検知部の作動を示すフローチャートである。
【
図6】起動停止制御等の作動を示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態に係るポンプ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0013】
本開示に示された給水装置及び地震発生検知装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。なお、本実施形態に係る給水装置には、本実施形態に係る地震発生検知装置が組み込まれている。
【0014】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、受水槽方式の給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。当該給水装置1は、
図1に示されるように、受水槽10、ポンプ装置20及び制御装置30等を備える。
【0015】
受水槽10は、給水用の水が貯留される水タンクである。ポンプ装置20は、建物等の送水対象に水を送水するための装置である。制御装置30は、ポンプ制御部31、給水制御部32及び地震検知部33等を有する。
【0016】
ポンプ制御部31はポンプ装置20を制御する。給水制御部32は受水槽10への給水等を制御する。地震検知部33は地震発生の有無を判断する。なお、制御装置7は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。
【0017】
そして、ポンプ制御部31、給水制御部32及び地震検知部33は、当該マイクロコンピュータでソフトウェアが実行されることにより実現される。当該ソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0018】
なお、本実施形態に係る給水装置1では、
図2に示されるように、受水槽10は架台40により支持され、ポンプ装置20は架台40内に収納されている。つまり、本実施形態に係る給水装置1では、ポンプ装置20の上部に受水槽10が配置され、かつ、ポンプ装置20は、受水槽10の水平投影面内に収まっている。
【0019】
<1.1 受水槽等の概要>
受水槽10は、
図1に示されるように、水タンク11、オーバフロー管12、給水弁13及び圧力センサ14等を少なくとも有している。水タンク11は、給水用の水が蓄えられる貯水タンクである。
【0020】
オーバフロー管12は、水タンク11内の水を排出することにより、当該水タンク11内の水位を予め決められた水位以下とするためのものである。給水弁13は、受水槽10に水道水を給水するための電動式の開閉弁である。
【0021】
つまり、給水弁13は、開閉作動することにより、給水する場合と当該給水を停止する場合とを切り替える。そして、給水弁13の開閉作動、つまり水タンク11への給水は、給水制御部32により制御される。
【0022】
給水制御部32には、圧力センサ14(以下、水位圧センサ14と記す。)の検出圧力を示す信号が入力されている。水位圧センサ14は、受水槽10内の水位を検出するための圧力センサである。
【0023】
具体的には、水位圧センサ14は、水タンク11の底部にて受水槽10内の水圧を検出する。すなわち、受水槽10、つまり水タンク11内の水位と当該水タンク11内の水圧とは連動して変位する。
【0024】
そして、給水制御部32は、水位圧センサ14の検出圧力を利用して受水槽10内の水位を把握して水位制御を実行する。水位制御とは、受水槽10内の水位に応じて給水弁13の作動させる制御である。具体的には、当該水位制御では、水位が予め決められた範囲内となるように給水弁13の開閉が制御される。
【0025】
<1.2 ポンプ装置の概要>
ポンプ装置20は、
図1に示されるように、少なくとも1台(本実施形態では、複数)の電動ポンプ21、蓄圧器22、電動ポンプ21と同数の流量センサ23、給水圧センサ24及び遮断弁25等を有している。
【0026】
各電動ポンプ21は、受水槽10から水を吸引して建物の送水管(図示せず。)に当該水を送水する。なお、各電動ポンプ21の吸込口は、
図3に示されるように、フレキシブルチューブ21Aを介してそれぞれ独立して受水槽10(水タンク11)に連通している。
【0027】
各電動ポンプ21の吐出し口は、略T字状の合流管を介して送水管に連通する。当該合流管と送水管との間、つまり電動ポンプ21の吐出し側には、遮断弁25が設けられている。遮断弁25は、送水管側への連通状態を遮断するための電動式の開閉弁である。
【0028】
なお、本実施形態に係る遮断弁25は、遮断指令信号を受信して送水管側の流水路を遮断した後は、作業者によらなければ、遮断状態を解除することができない方式のバルブである。つまり、遮断弁25は、遮断作動後は、自動復帰しない。
【0029】
蓄圧器22は、全て電動ポンプ21が停止しているときに、電動ポンプ21の吐出し側の水圧(以下、給水圧という。)を所定圧に保持する。当該蓄圧器22は、遮断弁25より上流側にて電動ポンプ21の吐出し側に接続されている。
【0030】
2つの流量センサ23それぞれは、各電動ポンプ21の吐出し側に設けられ、当該電動ポンプ21の吐出し流量を検出する。給水圧センサ24は、電動ポンプ21の吐出し側に設けられ、給水圧を検出する。
【0031】
各流量センサ23の検出信号、及び給水圧センサ24の検出信号は、ポンプ制御部31に入力されている。ポンプ制御部31は、それらの検出信号を利用して各電動ポンプ21の作動を制御する。
【0032】
ポンプ制御部31は、電動ポンプの制御として、起動制御、目標圧力制御及び小水量停止制御等が実行可能である。なお、これらの制御は、互いに独立して並列作動可能である。
【0033】
起動制御は、全ての電動ポンプ21が停止している状態において、給水圧センサ24が検出した給水圧(以下、給水圧と略す。)が予め決められた圧力(以下、起動圧力という。)以下となったときに、いずれかの電動ポンプ21を起動させる制御である。
【0034】
目標圧力制御とは、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように、稼働中の電動ポンプ21の回転速等を調整する制御である。なお、目標圧力は、予め決められた値、又は給水量の関数値としてポンプ制御部31にて演算される値である。
【0035】
小水量停止制御は、給水量、つまり稼働中の電動ポンプ21に対応する流量センサ23の検出流量が予め決められた流量以下となったときに、当該稼働中の電動ポンプ21を停止させる制御である。
【0036】
なお、制御装置30には、
図1に示されるように、表示部34が設けられている。表示部34は、水位やポンプ装置20の運転状態等の各種情報を表示することができる。当該表示部34は、ポンプ制御部31、給水制御部32又は地震検知部33からの指令を受けて情報を表示する。
【0037】
<2.地震検知部>
地震検知部33は、水位圧センサ14と協働して地震発生検知装置を構成する。当該地震検知部33は、地震が発生したときに、水タンク11内の水面が大きく波立ち、水位が大きく変化する現象(
図4参照)を利用して地震発生の有無を検知する。
【0038】
すなわち、地震検知部33には、水位圧センサ14の検出信号(以下、水位圧Pwという。)が入力されている。そして、地震検知部33は、水位圧Pwの変化率の絶対値が予め決められた値以上となったときに、地震が発生したと判断する。
【0039】
具体的には、地震検知部33は、異常上昇時及び異常減少時のうち少なくとも一方が発生したときに、地震が発生したと判断する。異常上昇時とは、水位圧Pwの上昇変化率(正の向きの変化率)の絶対値が予め決められた第1閾値以上となる状態をいう。
【0040】
異常減少時とは、水位圧Pwの減少変化率(負の向きの変化率)の絶対値が予め決められた第2閾値以上となる状態をいう。第1閾値と第2閾値とは、同一の値及び異なる値のいずれでもよい。
【0041】
なお、第1閾値は、水位制御による水位上昇時の変化率に比べて十分に大きな値である。第2閾値は、電動ポンプ21による給水に伴う水位減少時の変化率に比べて十分に大きな値である。
【0042】
本実施形態に係る地震検知部33は、異常上昇時と異常減少時とが交番する状態が発生したとき、つまり、水位が波状に変化し、かつ、上昇変化率及び減少変化率の絶対値が予め決められた値以上となったときに、地震が発生したと判断する。
【0043】
また、上記の地震発生判断の具体的手法として、本実施形態に係る地震検知部33は、予め決められた時間(以下、判断期間という。)内に検出された水位圧Pwに含まれる最大値と最小値との差が予め決められた第3閾値以上である場合に、地震が発生したと判断する。
【0044】
判断期間は、水位制御のために水位圧Pwを検出する間隔より短い間隔である。水位圧Pwを検出する間隔(サンプリング時間)は、判断期間より短い時間(例えば、10ミリ秒)である。
【0045】
判断期間の計時開始時は任意である。本実施形態に係る地震検知部33は、水位が予め決められた水位を超えた時から判断期間の計時を開始する。そして、地震検知部33は、判断期間が経過する毎に地震発生の有無を判断する。
【0046】
なお、発明者等は、判断期間(例えば、100ミリ秒)内に検出された最大値と最小値との差が第3閾値(例えば、10cm)以上となる状態では、水位が波状に変化し、かつ、上昇変化率及び減少変化率の絶対値が第1閾値又は第2閾値以上となることを試験にて確認している。
【0047】
<地震発生検知の詳細(
図5参照)>
図5は、地震検知部33の作動を示すフローチャートの一例である。
【0048】
地震検知部33は、起動すると、サンプリング時間(10ミリ秒)毎に水位圧Pwを読み込む(S1)。そして、水位圧Pwの読込みを開始した時から100ミリ秒が経過したときに、当該100ミリ秒内における水位圧Pwの最大値と最小値との差が10cm以上であるか否かを判断する(S3)。
【0049】
最大値と最小値との差が10cm以上でないと判断された場合には(S3:NO)、地震検知部33は、再び、S1を実行する。最大値と最小値との差が10cm以上であると判断された場合には(S3:YES)、地震検知部33は、地震発生信号をポンプ制御部31及び給水制御部32に送信する。
【0050】
<3.地震検知時の制御>
本実施形態に係る制御装置30は、地震検知部33により地震が発生したと判断されたときに、地震時停止制御、貯水量表示制御、地震時貯水制御、起動停止制御、及び遮断制御を実行する。
【0051】
<3.1 地震時停止制御>
地震時停止制御は、ポンプ制御部31にて実行される制御であって、地震が発生したと判断されたときに、全ての電動ポンプ21を停止状態とする制御である。具体的には、地震が発生したときに、ポンプ制御部31は、稼働中の電動ポンプ21を停止させ、かつ、停止中の電動ポンプ21については停止状態を維持する。
【0052】
このため、全ての電動ポンプ21が停止しているときに、地震発生が検知された場合の地震時停止制御は、実質的に、起動停止制御と同じである。
【0053】
<3.2 貯水量表示制御>
貯水量表示制御は、給水制御部32にて実行される制御であって、地震時停止制御が実行されたとき、つまり地震が発生したと判断されたときに、水タンク11内の水位を表示部34に表示させる制御である。
【0054】
<3.3 地震時貯水制御>
地震時貯水制御は、給水制御部32にて実行される制御であって、地震時停止制御が実行されたとき、つまり地震が発生したと判断されたときに、給水弁13を開いて水タンク11への給水を開始する制御である。
【0055】
そして、給水制御部32は、所定条件が満たされたときに給水弁13を閉じて給水を終了させる。
【0056】
なお、所定条件とは、例えば(a)「給水開始後、水位が予め決められた上限水位に到達したとき」、(b)「給水開始後、予め決められた時間が経過したとき」、(c)「地震発生を検知した時の水位に基づいて決定された給水量を給水したとき」、及び(d)「地震発生を検知した時の水位に基づいて決定された給水時間が経過したとき」のいずれかである。
【0057】
<3.4 遮断制御>
遮断制御は、ポンプ制御部31にて実行される制御であって、地震時停止制御が実行されたとき、つまり震が発生したと判断されたときに、遮断弁25を作動させて流水路遮断する制御である。なお、本実施形態では、遮断弁25の遮断指令は、電動ポンプ21が停止した時以降に発せられる。
【0058】
<3.5 起動停止制御>
起動停止制御は、ポンプ制御部31にて実行される制御であって、地震時停止制御が実行されたとき、つまり地震が発生したと判断されたときに、起動制御を停止させる制御である。
【0059】
なお、本実施形態に係る起動停止制御は、地震発生による停電が復旧した後も継続作動している。そして、起動停止制御を停止させる、つまり起動制御を有効とするには、作業員による復旧操作が必要である。
【0060】
なお、
図6は、起動停止制御及び起動制御の作動を示すフローチャートの一例である。
【0061】
ポンプ制御部31は、地震停止フラグが1であるか否かを判断する(S11)。なお、地震検知部33から地震発生信号を送信された場合、地震停止フラグは1となる。地震発生信号を送信されていない場合には、地震停止フラグは0である。
【0062】
そして、地震停止フラグが1であると判断された場合には(S11:YES)、ポンプ制御部31は、リセットスイッチ(図示せず。)が作業者により操作されたか否かを判断する(S12)。
【0063】
リセットスイッチが操作されたと判断された場合には(S12:YES)、ポンプ制御部31は、地震停止フラグを0とする(S13)。S11にて地震停止フラグが1でないと判断された場合には(S11:NO)、給水圧が起動圧力以下であるか否かが判断される(S14)。
【0064】
給水圧が起動圧力以下であると判断された場合には(S14:YES)、電動ポンプ21が起動される(S15)。給水圧が起動圧力以下でないと判断された場合には(S14:NO)、電動ポンプ21が起動されることなく、再び、S11が実行される。
【0065】
つまり、給水装置1は、地震が発生したと判断された以降においては、リセットスイッチが作業員により操作された場合に限り、電動ポンプ21が起動可能な状態となる。すなわち、起動制御を有効とするには、作業員による復旧操作が必要である。
【0066】
<4.本実施形態に係る地震発生検知装置及び給水装置の特徴>
本実施形態に係る地震発生検知装置(地震検知部33)は、水位圧センサ14により検出された水位、つまり水位圧Pwの変化率を利用して地震発生の有無を検出する。したがって、地震発生の有無を容易かつ確実に検出でき得る。
【0067】
地震発生検知装置(地震検知部33)は、水位を検出するための水位圧センサ14を利用して地震発生の有無を検出する。したがって、地震を検知するためのセンサを新たに設けることなく、地震発生の有無を容易かつ確実に検出でき得る。
【0068】
なお、本実施形態に係る地震発生検知装置(地震検知部33)は、受水槽10内の水位の変化を利用して地震発生の有無を検出するので、水位圧センサ14の配置は、水タンク11の下部四隅のいずれかが望ましい。その理由は、水タンク11の四隅が最も大きく水位が変化するからである。
【0069】
ところで、水位は、
図4に示されるように、細かな変位を伴いながら大きく変化する。このため、地震検知部33は、細かな水位変位についての変化率を排除した状態で、水位の変化率を評価する必要がある。
【0070】
これに対して、本実施形態に係る地震検知部33は、予め決められた時間内に検出された水位圧Pwの最大値と最小値との差に基づいて地震発生の有無を検知する。したがって、本実施形態では、細かな水位変位についての変化率を排除した状態で、水位の変化率が評価される。
【0071】
給水装置1は、地震が発生したと判断されたときに、全ての電動ポンプ21を停止状態とする。これにより、受水槽10内の水が放出されてしまうことが抑制され得る。したがって、被災者は、受水槽10内に残留する水を災害時の水資源として活用することが可能となる。
【0072】
給水装置1は、地震が発生したと判断されたときに、受水槽10内の残留する水の水位を表示する。これにより、被災者は、災害時の水資源として活用可能な水量を容易に確認でき得る。
【0073】
給水装置1は、地震が発生したと判断されたときに、給水弁13を開いて受水槽10への給水を実行する。これにより、災害時の水資源として活用可能な水量を可能な限り多くすることが可能となる。
【0074】
給水装置1は、地震が発生したと判断されたときに、電動ポンプ21の起動制御を停止させる。これにより、送水管に損傷が発生している場合に、給水装置1が無駄な給水作動を実行してしまうことが抑制され得る。
【0075】
給水装置1は、地震が発生したと判断されたときに、遮断弁25を作動させて送水管側の給水路を遮断する。これにより、例えば、送水管に損傷が発生している場合に、給水装置1が無駄な給水作動を実行してしまうことが抑制され得る。
【0076】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1は、水タンク11内の水圧に基づいて受水槽10内の水位を検出する構成であった。これに対して、本実施形態に係る給水装置1は、
図7に示されるように、水位検出管14A内の気圧を検出し、当該検出された気圧を利用して水位を検出する構成である。
【0077】
以下の説明は、上述の実施形態に係る給水装置との相違点に関する説明である。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0078】
水位検出管14Aは、
図7に示されるように、受水槽10内に配置された中空管である。当該水位検出管14Aは、上端側が閉塞され、かつ、下端側に受水槽10内に連通する連通口14Bを有する。
【0079】
<水位を検出するための構成>
水位圧センサ14は、水位検出管14A内に存在する気体の圧力を検出するとともに、検出圧力に応じた信号(以下、検出信号という。)を出力する。本実施形態に係る水位圧センサ14は、検出圧力に応じて増減する電圧を検出信号として出力する。
【0080】
<水位検出の原理>
連通口14Bは、受水槽10内で開口しているので、水タンク11内の水位が連通口14Bと同一の水位(以下、渇水水位という。)以上の状態においては、水位検出管14A内の水位は受水槽10内の水位に連動して変位する。
【0081】
このため、渇水水位以上の状態においては、水位検出管14A内の気体が密閉空間に閉じ込められ、かつ、当該密閉空間内の体積が受水槽10内の水位に連動して変化する。つまり、渇水水位以上の状態においては、水位検出管14A内の気圧は、受水槽10内の水位に連動して変化する。
【0082】
換言すれば、水位圧センサ14の検出圧力と水位とは、1対1の写像関係である。このため、圧力が決まれば、水位が一義的に決まり、かつ、水位が決まれば、圧力が一義的に決まる。そこで、本実施形態では、水位検出管14A内に存在する気体の圧力を水位圧センサ14により検出している。
【0083】
(第3実施形態)
本実施形態は、
図8に示されるように、各電動ポンプ21の吐出し側に安全弁26が設けられている。各安全弁26の流入側は、対応する電動ポンプ21の吐出し口側に接続されている。なお、本実施形態では、遮断弁25が廃止されている。
【0084】
以下の説明は、上述の実施形態に係る給水装置との相違点に関する説明である。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0085】
<安全弁の詳細>
安全弁26は、リリーフ弁とも言われ、流入側の圧力(以下、流入圧という。)が予め決められた開放圧力(リリーフ圧力ともいう。)以下の状態では閉じた状態となり、流入圧が開放圧力を超えたときに開くバルブである。
【0086】
具体的には、
図9に示されるように、ハウジング26A、弁体26B及びバネ26C等を少なくとも有する。ハウジング26Aは、流入側から流出側に至る流路を構成するとともに、流入側と流出側とを区画する区画壁26Dを有する。そして、区画壁26Dには、流入側と流出側とを連通させる弁口26Eが設けられている。
【0087】
弁体26Bは、区画壁26Dより流出側に配置され、弁口26Eを閉じる位置(
図9の実線で示される位置)と弁口26Eを開く位置(
図9の二点鎖線で示される位置)との間で変位可能な部材である。
【0088】
バネ26Cは、弁体26Bに弾性力を作用させる。当該弾性力は、弁口26Eを閉じる位置に弁体26Bを保持するため力である。つまり、バネ26Cは、弁口26Eを閉じる位置に弁体26Bが位置するとき、当該弁体26Bに開放圧力に相当する弾性力を作用させる。
【0089】
そして、本実施形態に係るバネ26Cは、開放圧力が基準圧力以上となるように設定されている。基準圧力とは、受水槽10に有効容量の50%の水が貯留されたときに電動ポンプ21の吸入口に作用する押し込み圧力をいう。
【0090】
なお、本実施形態に係る開放圧力は、「給水弁13が停止する水位」と電動ポンプ21の吸込口の位置との水頭差に相当する圧力である。因みに、流出側から弁体26Bに圧力が作用すると、当該弁体26Bが弁口26Eに押し付けられるため、当該弁口26Eは閉じた状態となる。
【0091】
<本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、仮に、送水管が破損した場合であっても、安全弁26の流入側の水圧、つまり電動ポンプ21の吐出し口側の水圧が、当該安全弁26の開放圧力以下であれば、当該安全弁26が閉じる。したがって、地震等により送水管が破損した場合であっても、給水用の水の多くが漏れ出ることが抑制され得る。
【0092】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る流量センサ23は、連続的に流量を検出可能な流量センサ(例えば、羽根車式の流量センサ)であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、「予め決められた流量」以下であるか否かのみを検出するパドル式の流量センサであってよい。
【0093】
上述の実施形態では、予め決められた時間(例えば、100ミリ秒)内に検出された最大値と最小値との差が第3閾値(例えば、10cm)以上となったときに、地震が発生したとみなした。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0094】
すなわち、当該開示は、例えば、異常上昇時及び異常減少時のうち少なくとも一方が発生したときに、地震が発生したと判断してもよい。
【0095】
さらに、水位は、細かに変位しながら大きく変化するので(
図4参照)、水位の変化を示す波形をスペクトル分析し、当該変化のスペクトル分析値が最も大きい波形を用いて水位圧Pwの変化率を評価する構成であってもよい。
【0096】
上述の実施形態では、水位圧センサ14の検出値から水位を演算し、その演算された水位を利用して地震発生の有無を評価判断した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、水位圧センサ14の検出圧力と水位とは、1対1の写像関係であるので、当該開示は、例えば、検出圧力をそのまま利用して地震発生の有無を評価判断する構成であってよい。
【0097】
上述の第1実施形態に係る水位圧センサ14は、水タンク11の四隅のいずれかの底部にて水圧を検出する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、水タンク11の中央、又は水タンク11の上部側面にて水圧を検出する構成であってもよい。
【0098】
上述の実施形態では、地震が発生したと判断され、かつ、停電が復旧したときに起動停止制御を実行する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、地震が発生したと判断されたときに起動停止制御を実行する構成であってもよい。
【0099】
上述の第3実施形態では、遮断弁25が廃止されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、安全弁26及び遮断弁25が併用された構成であってよい。
【0100】
上述の実施形態に係る遮断弁25は、電動ポンプ21の吐出し側を遮断する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、遮断弁25により電動ポンプ21の吸い込み側を遮断する構成であってもよい。
【0101】
上述の実施形態に係る給水弁13は、電動式の開閉弁であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ボールタップ等のフロートを利用した機械式の給水弁であってもよい。
【0102】
上述の実施形態に係る制御装置30は、地震検知部33により地震が発生したと判断されたときに、地震時停止制御、貯水量表示制御、地震時貯水制御、起動停止制御、及び遮断制御を実行した。
【0103】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、これら制御のいずれも実行しない、又はこれら制御のうち少なくとも1つの制御を実行する構成であってもよい。
【0104】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1… 給水装置 7…制御装置 10… 受水槽 11… 水タンク
12… オーバフロー管 13…給水弁 14… 水位圧センサ
20… ポンプ装置 21…電動ポンプ 23… 流量センサ
24… 給水圧センサ 25…遮断弁 30… 制御装置
31… ポンプ制御部 32…給水制御部 33… 地震検知部