(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051110
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】作業用支持具
(51)【国際特許分類】
F16M 11/20 20060101AFI20230404BHJP
F16M 11/28 20060101ALI20230404BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20230404BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F16M11/20 S
F16M11/20 H
F16M11/28 C
F16M13/00 R
F16M13/00 S
F16M13/00 T
F16M13/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161592
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】396011521
【氏名又は名称】大都技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】都 英吾
(57)【要約】 (修正有)
【課題】照明灯等の電気利用体を取り付けた状態で、作業用車両の鋼板部分に吸着できる作業用支持具を提供する。
【解決手段】作業用支持具2に照明灯3を取り付けることで車載用ワークライト1として利用できる。作業用支持具2は、台座部10、磁性体21、22、固定支持部30、および支柱40を有している。照明灯3はLEDランプを光源としており、取付部41を介して支柱に取り付けられている。支柱40は固定支持部30を介して台座部10に起伏可能に支持されており、上板11が延びる方向(長手方向)に起伏できる構造となっている。また、支柱40を任意の起伏位置で静止させるためのハンドル51が装着されている。台座部10は、上板11と下板12を有しており、上板11、下板12の端部の下面に、弾性体61を介して磁性体21、22が固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気の供給を受けて動作する電気利用体を取り付ける取付部を有する支柱と、
前記支柱を起伏可能に支持するとともに、前記支柱の起伏位置を維持できる固定支持部と、
前記固定支持部を介して前記支柱を支持する台座部と、
前記台座部の下面に固定されて、被吸着体を吸着する少なくとも一対の磁性体と、
を備えることを特徴とする作業用支持具。
【請求項2】
前記磁性体と前記台座部との間に介装される弾性体を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業用支持具。
【請求項3】
前記固定支持部は、所定の摩擦力を生じさせた状態で前記支柱を起伏可能に支持する摩擦機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の作業用支持具。
【請求項4】
前記台座部は、上板を有し、前記磁性体は前記上板の下面に固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業用支持具。
【請求項5】
前記台座部は、前記上板と回動可能に連結される下板を有し、前記下板の下面に前記磁性体が固定され、前記上板と前記下板とが交差する第1位置と、前記上板と前記下板とが重なり合う第2位置とを取り得ることを特徴とする請求項4に記載の作業用支持具。
【請求項6】
前記台座部は、前記上板に回動可能に連結される第1板を有し、前記磁性体は前記第1板の下面に固定されることを特徴とする請求項4に記載の作業用支持具。
【請求項7】
前記台座部は、上板と、前記上板の端部に回動可能に連結される第1板と、第2板とを有し、前記磁性体は前記第1板の下面および前記第2板の下面に固定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業用支持具。
【請求項8】
前記支柱は前記長手方向に起伏することを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の作業用支持具。
【請求項9】
前記台座を吸着するスタンドを備え、
前記スタンドは、スタンド上板と、前記スタンド上板と回動可能に連結されるスタンド下板とを有し、前記スタンド上板と前記スタンド下板とが交差する第1位置と、前記スタンド上板と前記スタンド下板とが重なり合う第2位置とを取り得ることを特徴とする請求項5に記載の作業用支持具。
【請求項10】
前記スタンド上板の上面に非磁性体が装着され、前記台座部および前記スタンドが前記第2位置をとるとき、前記磁性体は前記非磁性体を介して前記スタンド上板を吸着することを特徴とする請求項9に記載の作業用支持具。
【請求項11】
前記スタンド上板の上面および前記スタンド下板の上面に非磁性体が装着され、前記台座部および前記スタンドが前記第1位置をとるとき、前記磁性体は前記非磁性体を介して前記スタンド上板および前記スタンド下板を吸着することを特徴とする請求項9に記載の作業用支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体を被吸着体に吸着することで、電気の供給を受けて動作する電気利用体(例えば照明灯)を支持する作業用支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間作業の場合、所定の作業条件を確保することが求められることから、照明灯等の電気利用体を設置する必要がある。また、作業者の移動に伴って、電気利用体を移動しなければならない事態も生じる。このような場合、電気利用体に電気を供給するために必要な発電機、バッテリも同時に設置、移動する必要がある。発電機、バッテリは、重量があり、電気利用体とともに設置、移動、撤去することは多大な労力を要することとなる。
【0003】
特許文献1では、背負い具を用いて容易に運搬することができ、また作業者が投光器を背負って夜間工事等を楽に行うことができる携帯用投光器が提案されている。充電式のバッテリを格納した箱体を背負い具で左右両側に背負い、箱体の左右両側に上下方向に伸縮自在な伸縮ポストが設けられ、この各伸縮ポストの上端に俯仰角調整できるように保持された左右一対の投光ライトが取付けられている。投光ライトを消灯するためのスイッチを具備している。
【0004】
特許文献2では、軽量化、コンパクト化を図って移動を容易にした、モバイルLED投光器が提案されている。モバイルLED投光器は、インバーター発電機と、インバーター電源供給器と、スタンドで支持されたLEDランプが、支持ベースに載置されて構成されている。支持ベースにはキャスターが取付けられて移動が容易になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実登3034852号公報
【特許文献2】実登3159847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で提案されている携帯用投光器は作業者が作業中に常時背負う必要があることから、携帯用投光器を背負う作業者に大きな負担を強いることになる。
【0007】
特許文献2で提案されているモバイルLED投光器は、インバーター発電機と、インバーター電源供給器をスタンドで支持されたLEDランプとともに支持ベースに設置している構成となっていることから、軽量化が図られているとはいえ、スタンドで支持されたLEDランプと比較すると、なお相当の重量となると考えられる。したがって、設置、撤去は複数人の作業者を要し、ユニック車等を要する事態も想定される。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、設置、撤去が容易で、簡単に移動できる作業用支持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、作業用支持具であって、電気の供給を受けて動作する電気利用体を取り付ける取付部を有する支柱と、支柱を起伏可能に支持するとともに、支柱の起伏位置を維持できる固定支持部と、固定支持部を介して支柱を支持する台座部と、台座部の下面に固定されて、被吸着体を吸着する少なくとも一対の磁性体とを備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、安定して設置される被吸着体に、磁性体を吸着させることで、電気利用体を安定した状態で簡単に設置することができる。しかも、被吸着体が移動可能であれば、電気利用体自体の移動も簡単である。例えば、作業用車両を被吸着体とした場合、作業用車両を移動することで、電気利用体を簡単に移動することができる。また、安定して載置するために必要となる土台の部分を被吸着体とすることで、軽量化が可能となる。
【0011】
ここで、「電気利用体」とは、電気を使って所定の目的を達成するものである。具体的には、照明灯、ミスト発生装置、送風機(扇風機等)、映像装置(監視カメラ等)、無線通信機器等である。
【0012】
好ましくは、磁性体と台座部との間に介装される弾性体を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、磁性体と台座部との間に介装される弾性体を備えるので、弾性体の弾力性によって、複数の磁性体を隙間なく被吸着体に吸着させることができる。
【0014】
好ましくは、固定支持部は、所定の摩擦力を生じさせた状態で支柱を起伏可能に支持する摩擦機構を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、所定の摩擦力を生じさせた状態で支柱を起伏可能に支持するので、支柱から不意に手を放しても支柱が急激に回動することを回避できる。また、手で回動して起伏するときの位置決めが容易となる。
【0016】
好ましくは、台座部は、上板を有し、磁性体は上板の下面に固定されることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、磁性体は上板の下面に固定されるので、支柱は所定の方向(一対の磁性体が配置される方向)に作用する外力に効率よく抗することができる。
【0018】
好ましくは、台座部は、上板と回動可能に連結される下板を有し、下板の下面の端部に磁性体が固定され、上板と下板とが交差する第1位置と、上板と下板とが重なり合う第2位置とを取り得ることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、台座部は上板と下板とが交差する第1位置と、上板と下板とが重なり合う第2位置とを取り得るので、被吸着体の形状を勘案して、支柱に作用する外力に適宜適切に抗することができる。
【0020】
好ましくは、台座部は、上板に回動可能に連結される第1板を有し、磁性体は第1板の下面に固定されることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、台座部は、上板の下面に固定される磁性体と、上板の端部に回動可能に連結される第1板の下面に固定される磁性体を有するので、第1板を回動することで、磁性体は、被吸着体の形状に合わせて適宜適切に吸着できる。これにより、支柱に作用する外力に適宜適切に抗することができる。
【0022】
好ましくは、台座部は、上板と、上板の端部に回動可能に連結される第1板と、第2板とを有し、磁性体は第1板の下面および第2板の下面に固定されることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、台座部は、上板と、上板の端部に回動可能に連結される第1板と、第2板とを有し、磁性体は第1板の下面および第2板の下面に固定されるので、第1板および第2板をそれぞれ回動することで、磁性体は、被吸着体の形状に合わせて適宜適切に吸着できる。これにより、支柱に作用する外力に適宜適切に抗することができる。
【0024】
好ましくは、支柱は長手方向に起伏することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、支柱を長手方向に伏せた状態にできるので、全体形状をコンパクトにできる。これにより、保管が簡単となるとともに輸送効率が向上する。
【0026】
好ましくは、台座を吸着するスタンドを備え、スタンドは、スタンド上板と、スタンド上板と回動可能に連結されるスタンド下板とを有し、スタンド上板とスタンド下板とが交差する第1位置と、スタンド上板とスタンド下板とが重畳する第2位置とを取り得ることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、第1位置に位置した状態で台座とスタンドを吸着することで、作業用支持具を設置面に安定して設置することができる。また、第2位置に位置した状態で台座とスタンドを吸着することで、形状をコンパクトにできる。
【0028】
好ましくは、スタンド上板の上面に非磁性体が装着され、台座部およびスタンドが第2位置をとるとき、磁性体は非磁性体を介してスタンド上板を吸着することを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、台座部およびスタンドが第2位置をとるとき、磁性体は非磁性体を介してスタンド上板を吸着するので、非作業時において意に反して磁性体が他のものに強力に吸着することを回避できる。また、台座部とスタンドの接続・分離が容易となる。
【0030】
好ましくは、スタンド上板の上面およびスタンド下板の上面に非磁性体が装着され、台座部およびスタンドが第1位置をとるとき、磁性体は非磁性体を介してスタンド上板およびスタンド下板を吸着することを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、台座部およびスタンドが第1位置をとるとき、磁性体は非磁性体を介してスタンド上板およびスタンド下板を吸着するので、台座部とスタンドが適切に吸着された状態で作業用支持具を載置面に載置できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施形態1における作業用支持具の斜視図である。
【
図6】(a)は、上板と下板を第1位置として、支柱を伏せた状態の正面図である。(b)は、同側面図である。
【
図7】(a)は、上板と下板を第2位置として、支柱を伏せた状態の正面図である。(b)は、同側面図である。
【
図8】実施形態1における作業用支持具を作業用車両の鳥居部に設置して使用する使用態様である。
【
図9】同、作業用車両の背面部に設置して使用する使用態様である。
【
図10】同、作業用車両のボディ部に設置して使用する使用態様である。
【
図11】同、乗用車のボディ部に設置して使用する使用態様である。
【
図12】(a)は実施形態1における変形例1の斜視図である。(b)は実施形態1における変形例1の上板と第1板を直線状に配置した底面図である。
【
図13】(a)は実施形態1における変形例2の斜視図である。(b)は実施形態1における変形例2の上板、第1板、および第2板を直線状に配置した底面図である。
【
図14】実施形態2における作業用支持具の斜視図である。
【
図15】同、スタンドが第2位置に位置するときの斜視図である。
【
図16】同、第1位置に位置するときの斜視図である。
【
図17】実施形態2における作業用支持具を設置して使用する使用態様である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、
図1~13を参照して本発明の実施形態1を詳述する。
【0034】
図1に示す通り、車載用ワークライト1は、作業用支持具2と照明灯3で構成されている。作業用支持具2は、台座部10、磁性体21、22、固定支持部30、および支柱40を有している。照明灯(電気利用体)3はLEDランプを光源としており、取付部41を介して支柱40に取り付けられている。支柱40は固定支持部30を介して台座部10に起伏可能に支持されており、上板11が延びる方向(長手方向)に起伏できる構造となっている。また、支柱40を任意の起伏位置で静止させるためのハンドル51が装着されている。台座部10は、上板11と下板12を有しており、上板11、下板12の端部の下面に、弾性体61を介して磁性体21、22が固定されている。
【0035】
作業用車両の鋼板部分被吸着体として磁性体21、22に吸着させることで、作業用支持具2を作業用車両に容易に取り付けることができる。これにより、車載用ワークライト1は作業用車両を走行させることで、容易に移動できる。また、照明灯3は、トラックなどの作業用車両に搭載できるポータブル電源で動作するものであることが好ましい。より好ましくは、作業用車両に車載されている電源(例えばシガーライト電源)から電気の供給を受けて動作するものである。これにより、現場作業の効率化を図ることができる。
【0036】
本実施形態1では、作業用支持具2に取り付ける電気利用体として、照明灯3を例示しているが、電気を利用して動作して所定の目的を達成できるもの、例えば送風機、ミスト発生装置、撮影装置(監視カメラ等)であってもよい。
【0037】
図1、2に示す通り、台座部10は、上板11と下板12を有している。上板11は長手方向Lの方向に延びる略平板の部材である。上板11と下板12は共に台座軸13に軸支されている。これにより上板11と下板12は回動可能に接続する。
【0038】
一対の磁性体21、21が、上板11の端部の下面に、弾性体61が介装された状態でボルト25により固定されている。また、一対の磁性体22、22が、下板12の端部の下面に、弾性体61が介装された状態でボルト25により固定されている。
【0039】
磁性体21は、磁石21aと鉄製のキャップ21bを有している。磁石21aの上端部はキャップ21bで覆われている。これにより、磁石21aが露出する露出面21cに磁力が集中する。その結果、磁石単体に比べ、より強い吸着力が実現できる。また、主に露出面21cで吸着するため、磁性体同士を近づけた場合も、磁性体相互に大きな吸着力、反発力を生じさせることはない。磁石21aは、強力な吸着力を具備する素材、例えばネオジム磁石であることが好ましい。磁性体22についても同様であるので説明は省略する。
【0040】
被吸着体の形状が磁性体21、22の吸着面と一致しない場合、その高低差によって4個のうちの3個の磁性体のみが被吸着体に吸着する。すなわち1個の磁性体は、隙間が生じた状態となる。弾性体61は、この隙間を、弾性を利用してなくすことができる。また、被吸着体が衝撃を受けた場合の衝撃力を低減できる。その結果、すべての磁性体が被吸着体に吸着できて、大きな吸着力を得ることができるとともに、衝撃を受けた場合でも、吸着状態が維持され得る。弾性体61の厚さおよび弾性値は、磁性体21、22間の距離、想定される被吸着体の凹凸の状況、想定される衝撃力を勘案して適宜定めればよい。
【0041】
磁性体の磁力は、被吸着体に車載用ワークライト1を吸着したとき、作業可能な風速下で車載用ワークライト1が被吸着体と分離しない吸着力を具備することが好ましい。所定の吸着力が確保できる磁力については、作業条件等を勘案して適宜定めればよい。
【0042】
固定支持部30は、一対の立設板31a、31bを有している。一対の立設板31a、31bは、上板11が延びる方向、すなわち長手方向Lの方向に延びた状態で、上板11に突設して設けられている。支柱40は一対の立設板31a、31bに設けられた空間に内挿された状態で、ボルト32、52の双方に軸支されている。これにより、支柱40は、長手方向Lに起伏できる。
【0043】
支柱40を起立させたとき、支柱40の下端と上板11の間には所定の間隔が確保されている。これにより支柱40の起伏角度は少なくとも180°が確保される。
【0044】
摩擦機構35はボルト32と、緩み止めナット32aで構成される。ボルト32を回動することで、ボルト32に所定の軸力が導入される。
【0045】
立設板31aと外支柱42の下端部に位置する腹板42aは、所定の摩擦力が発生する状態でボルト32と緩み止めナット32aに挟持されている。すなわちボルト32は所定の軸力が導入されている。この摩擦力によって支柱40の急激な起伏は抑制される。立設板31aと腹板42aとの間に生じる摩擦力は、手で支柱40を回動できて、かつ手を離した状態で支柱40が静止する程度に設定することが好ましい。
【0046】
固定支持機構50は、ハンドル51の動作によって支柱40を固定し、あるいは回動可能な状態にできる機構である。立設板31bと外支柱42の下端部に位置する腹板42bはボルト52の端部に装着されるコンタクトプレート53と緩み止めナット52aによって挟持されている。ハンドル51がボルト52の端部に回動可能に接続している。また、ハンドル51とコンタクトプレート53は接触した状態となっている。ハンドル51が起立状態のとき(
図2の状態のとき)、カム51aの作用でコンタクトプレート53が立設板31bの方向に押されるとともに緩み止めナット52aが腹板42bの方向に押される状態となる。これにより、固定支持機構50は腹板42bと立設板31bをより大きな圧接力で圧接する。このときに発生する大きな摩擦力によって支柱40は固定される。またハンドル51を回動させて、ボルト52と水平になる方向に倒すことで、支柱40は回動できる状態となる。
【0047】
図3に示す通り、照明灯3は、取付部41を介して支柱40の上端部に取り付けられている。支柱40は、外支柱42と外支柱42に内挿される内支柱43を有している。内支柱43は、外支柱42が延びる方向に移動できる構造となっている。取付部41は、内支柱43の上端部に装着されている。取付部41を適切に選定することで、照明灯以外の電気利用体、例えば送風機等を作業用支持具2に取り付けることができる。
【0048】
外支柱42の上端部に固定部材45が装着されている。固定部材45は、レバー部44を回動することで内支柱43を所定の位置で静止させるためのものである。
【0049】
内支柱43の下端部にストッパー46が固定されている。ストッパー46は、内支柱43の上昇(台座部10から離れる方向の移動)を抑制するためのものである。ストッパー46と固定部材45が接触することで、内支柱43の上昇は抑制される。
【0050】
図4に示す通り、外支柱42は、角筒であり、内支柱43は外支柱42の内側の四隅に接触する角部43aを有している。また、隣接する角部43aの間に溝43bが設けられている。
【0051】
レバー部44は、クランプレバー44aとクランプレバー44aの端部に接続するレバーボルト44bを有している。クランプレバー44aを回動すると、溝43bに位置するレバーボルト44bがクランプレバー44aの方向に向かって移動する。この移動に伴って、内支柱43がクランプレバー44aの方向に向かって移動する。さらに回動すると、内支柱43の外面43cと、外支柱42の内面42cは圧接する。このときに生じる摩擦力によって、内支柱43の移動は拘束され、所定の位置で静止する(
図5参照)。
【0052】
作業用支持具2は様々な形態で使用することができる。例えば、
図6に示す通り、支柱40を伏せて、上板11と下板12が交差する位置(第1位置)の状態で吸着面に吸着させてもよいし、
図7に示す通り、上板11と下板12が重畳する位置(第2位置)の状態で吸着面に吸着させてもよい。また、支柱40を起立させて、上板11と下板12が交差する位置の状態で吸着面に吸着させてもよい。さらに、内支柱43を所定の高さまで伸長させた状態で使用してもよい。
【0053】
作業用支持具2の使用態様について説明する。
【0054】
図8は、上板11と下板12を第2位置に設定した状態で、作業用車両70の鳥居部71に吸着して使用している。この場合の作業用車両70は資材等を輸送するためのトラックである。
図9は、上板11と下板12を第2位置に設定した状態で作業用車両70の背面部72に吸着して使用している。
図10は、第1位置の状態で、作業用車両70のボディ73にマグネットシート75を介して吸着している。
図11は、第1位置の状態で、作業用乗用車80のボンネット81にマグネットシート75を介して吸着している。なお、マグネットシート75は、塗装面を保護するために用いている。
【0055】
上述した通り、作業用支持具2は、吸着する対象を適宜選定することで作業効率の向上を図り得る。また、照明灯以外の電気利用体を取り付けることで適用範囲の拡大を図り得る。
【0056】
作業用支持具2の利便性について、作業員の移動を伴う夜間作業に使用する状況を例に挙げて説明する。
【0057】
夜間作業では、発電機を搭載した投光器を使用して、作業エリア内の所定の照度を確保するのが一般的である。発電機を搭載した投光器は極めて重く、ユニック車を用いて荷下ろし、設置、撤去の作業をすることが一般的である。また、作業場所の移動を伴う移動作業では、移動によって作業に必要な所定の照度を得られない事態が生じる。このような事態が想定される場合、発電機を搭載したバルーン投光器を作業場所の移動に伴って移動する、あるいは、あらかじめ移動が想定される場所にバルーン投光器を設置しておく等の対応をとる必要がある。
【0058】
一方、本実施形態1において、作業用車両70に吸着した作業用支持具2を使用する場合、照明灯3を作業用支持具2に取り付けた状態で現場エリアに投光できる。また、投光器に必要な電気は、例えばシガレット電源を利用することで、作業用車両70からダイレクトに供給を受けることができる。作業用車両70から供給される電力が投光器の発光に充分でない場合は、作業用車両70にポータブル電源を搭載しておけばよい。また、作業場所の移動に伴って作業用車両70を移動させればよい。すなわち、作業用支持具2を用いる場合、作業用車両70に投光器を取り付けた作業用支持具2を吸着することで十分であり、投光器の設置、撤去の作業において別途ユニック車等を使用して荷揚げ・荷下ろしをする必要は生じない。
【0059】
実施形態1の変形例について説明する。変形例は実施形態1と同様の構成があることから、主に異なる構成について説明する。実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、異なる構成については、100番台の符号を付す。
【0060】
<変形例1>
図12(a)、(b)に示す通り、台座110は、上板11と第1板112を有している。台座軸113が上板11の両端部に設けられ、上板11、第1板112の双方を軸支している。これにより上板11と第1板112は回動可能に接続する。
【0061】
磁性体121、122が、第1板112の両端部の下面に、弾性体61が介装された状態で固定されている。磁性体121は上板11の端部の直下に位置し、磁性体122は第1板112の先端に位置している。
【0062】
吸着面の状況に応じて、
図12(a)に示すように、上板11と第1板112が直角になるように配置してもよいし、
図12(b)に示すように直線状に配置してもよい。
【0063】
<変形例2>
図13(a)、(b)に示す通り、台座110aは、上板111、第1板112a、および第2板112bを有している。台座軸113aが上板111の両端部に設けられ、上板111、第1板112a、および第2板112bを軸支している。これにより上板111、第1板112a、および第2板112bは回動可能に接続する。
【0064】
磁性体121aは、第1板112aの先端部の下面に、弾性体61が介装された状態で固定されている。また、磁性体121bは、第2板112bの先端部の下面に、弾性体61が介装された状態で固定されている。磁性体121aおよび磁性体121bの高さをそろえて平坦な吸着面とするために、磁性体121aと第1板112aの間に調整プレート(図示略)を装着することが好ましい。
【0065】
吸着面の状況に応じて、
図13(a)に示すように、上板111、第1板112a、および第2板112bが同じ角度になるように配置してもよいし、
図13(b)に示すように直線状に配置してもよい。
【0066】
図14~17を参照して、実施形態2について説明する。実施形態2は実施形態1と同様の構成があることから、主に異なる構成について説明する。実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、異なる構成については、200番台の符号を付す。
【0067】
実施形態2の車載用ワークライト201の作業用支持具202は、
図14に示す通り、実施形態1の作業用支持具2に加えて、さらにスタンド210を備える構成となっている。スタンド210は、台座部10に吸着させることで、他の鋼製の金属部材等に作用する吸着力を弱めるためのものである。これにより、非作業時における作業用支持具202の保管管理が容易となる。
【0068】
図15に示す通り、スタンド210は、スタンド上板211とスタンド下板212を有している。スタンド上板211とスタンド下板212はスタンド軸213に所定の間隔が設けられた状態で軸支されている。これによりスタンド上板211とスタンド下板212は回動可能に接続する。
【0069】
スタンド上板211の上面に一対の非磁性体221、221および一対の非磁性体222、222が装着されている。上板11と下板12が重畳するとき、すなわち第2位置に位置するとき、一対の磁性体21、21は、一対の非磁性体221、221を介してスタンド上板211に接続するとともに、一対の磁性体22、22は、一対の非磁性体222、222を介してスタンド上板211に接続する。
【0070】
スタンド下板212の上面に一対の非磁性体222a、222aが装着されている。スタンド上板211とスタンド下板212が重畳するとき、一対の非磁性体222a、222aは、一対の非磁性体222、222の直下に位置した状態でスタンド上板211の下面に接触する。これにより、スタンド上板211とスタンド下板212の回動は拘束され、重畳した状態が保持される。非磁性体は、鋼の素材に比べて柔らかくて、磁気を帯びない素材、例えば樹脂板、ビニール板等であることが好ましい。
【0071】
スタンド上板211の両端部の下面に一対のゴム脚211a、211aが装着されるとともに、スタンド下板212の両端部の下面に一対のゴム脚212a、212aが装着されている。スタンド上板211とスタンド下板212が交差して、相互に接触するとき、ゴム脚211a、212aの下端は同一平面上に位置する。また、非磁性体221、222、および222aの上端は同一平面上に位置する。これにより、上板11、下板12が交差する状態、すなわち第1位置の状態のとき、作業用支持具202は、台座部10がスタンド210に接続されることで、平坦な地面に設置できる(
図16、17参照)。
【0072】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、台座部は上板、下板等の複数の板を有していたが、1つの板で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る作業用支持具は、様々な電気利用体を取り付けることで作業の効率化を図ることができる。また、被吸着体がある状況下であれば、家庭内やレジャーで用いる支持具としての適用も考えられることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0074】
2、202:作業用支持具
3:照明灯(電気利用体)
10、110、110a:台座部
11、111:上板
12:下板
21、22、121、122、121a、121b:磁性体
30:固定支持部
35:摩擦機構
50:固定支持機構
112、112a:第1板
112b:第2板
210:スタンド
211:スタンド上板
212:スタンド下板
221,222,222a:非磁性体