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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051111
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】車両用カウル部材
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
B62D25/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161595
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】中島 光揮
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB38
3D203CA30
3D203CA35
3D203CA43
3D203CA56
3D203CB26
3D203DA37
3D203DA68
(57)【要約】
【課題】緊急時に衝撃を効率よく吸収することが可能な車両用カウル部材を提供する。
【解決手段】車両用カウル部材100は、車両のフロントガラスの下縁に沿って配置される。当該車両用カウル部材100は、格子状に仕切られた複数の開口110を有する吸気領域102が所定範囲に形成されている吸気面部104と、吸気面部104から下方に延びて吸気面部104を支える支持面部112と、支持面部112のうち当該車両用カウル部材100の長手方向に延びる脆弱部114と、吸気面部104の一方の面から突出し吸気領域102の格子の縦の仕切り106に沿って吸気面部104から支持面部112にわたって延びる複数の交差リブ120とを備える。複数の交差リブ120は、一端148が支持面部112まで延びていることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスの下縁に沿って配置される車両用カウル部材において、
当該車両用カウル部材は、
格子状に仕切られた複数の開口を有する吸気領域が所定範囲に形成されている吸気面部と、
前記吸気面部から下方に延びて該吸気面部を支える支持面部と、
前記支持面部のうち当該車両用カウル部材の長手方向に延びる脆弱部と、
前記吸気面部の一方の面から突出し前記吸気領域の格子の縦の仕切りに沿って該吸気面部から前記支持面部にわたって延びる複数の交差リブとを備え、
前記複数の交差リブは、一端が前記支持面部まで延びていることを特徴とする車両用カウル部材。
【請求項2】
前記複数の交差リブは、一端が前記支持面部の前記脆弱部の近傍に位置している交差リブを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用カウル部材。
【請求項3】
前記複数の交差リブは、
一端が前記支持面部の前記脆弱部の近傍に位置している第1交差リブと、
一端が前記第1交差リブの一端よりも前記吸気面部側に位置している第2交差リブとを含み、
前記長手方向において前記第1交差リブ同士の間に1または複数の前記第2交差リブが配置された状態になっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用カウル部材。
【請求項4】
前記第2交差リブは、一端が前記吸気面部と前記支持面部との角部に位置していることを特徴とする請求項3に記載の車両用カウル部材。
【請求項5】
当該車両用カウル部材はさらに、前記吸気面部の前記複数の交差リブが設けられた面から突出し前記吸気領域の格子の横の仕切りに沿って延びて該複数の交差リブを連結する複数の連結リブを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用カウル部材。
【請求項6】
前記連結リブは、前記吸気面部に対して傾斜するように前記複数の交差リブが設けられた面から突出していることを特徴とする請求項5に記載の車両用カウル部材。
【請求項7】
当該車両用カウル部材はさらに、前記吸気面部のうち前記複数の連結リブよりも前記支持面部側の範囲から突出し前記長手方向に延びている補強リブを備えることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用カウル部材。
【請求項8】
前記脆弱部は、前記支持面部のうち該脆弱部よりも上側の上側壁部および該脆弱部よりも下側の下側壁部に比べて板厚の寸法を薄く形成した状態になっていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用カウル部材。
【請求項9】
前記支持面部は、前記吸気面部から前方または後方に傾斜して延びていて、
前記脆弱部は、前記上側壁部の片面に前記下側壁部の片面を前記寸法の板厚で接続した状態になっていることを特徴とする請求項8に記載の車両用カウル部材。
【請求項10】
前記下側壁部は、前記傾斜した前記上側領域の下面側に接続されていることを特徴とする請求項9に記載の車両用カウル部材。
【請求項11】
当該車両用カウル部材はさらに、
前記支持面部の下端から前方に屈曲したフランジ部と、
前記支持面部と前記フランジ部との内角に設けられる複数の上下リブとを備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の車両用カウル部材。
【請求項12】
前記当該車両用カウル部材は、前記吸気領域から前記支持面部までの距離が前記長手方向において異なっていて、
前記長手方向において前記距離が短い範囲に重なるよう設けられる前記上下リブは、該距離が長い範囲に重なるよう設けられる上下リブよりも、寸法が大きいことを特徴とする請求項11に記載の車両用カウル部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カウル部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、フロントガラスとフードの間に配置される樹脂製のエアボックスパネルは、カウルトップパネルまたはこれを略してカウル(以下、カウル部材)と呼ばれている。一般的なカウル部材には、ダッシュパネルに設けられた空調装置に外気を導入するための吸気領域が形成されている。多くの場合、吸気領域は内部への雨水や落ち葉等の侵入を防ぐために、入り口側が格子状の構造になっている。
【0003】
近年では、カウル部材に対して、緊急時に上方から大きな衝撃を受けた場合に、その衝撃が吸収できる構造が採用されている。例えば、特許文献1の図1のカウルルーバ3は、平板状のルーバ本体部4と、ルーバ本体部4の前端から下方に凹んだ凹状部5とを有している。そして、凹状部5のうち、ルーバ本体部4の前端から下方に屈曲する後縦壁部5aに、スリット5fからなる脆弱部Bが設けられている。カウルルーバ3は、この脆弱部Bを起因として座屈変形して衝撃荷重を吸収することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-49791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、脆弱部Bが形成された後縦壁部5aの上方のルーバ本体部4にも、並列配置された多数のスリット4bからなる外気取り入れ口Aが形成されている。この外気取り入れ口Aの周辺も、多数のスリット4bが形成されていることから、剛性は低くなりやすい。このため、例えばカウルルーバ3が上方から荷重を受けたとき、外気取り入れ口Aの周辺が座屈変形して、脆弱部Bの座屈変形が阻害されるおそれがある。脆弱部Bが十分に座屈変形できない場合、予定されていたカウルーバ3の変形を誘発することはできない。このような問題は、荷重伝達経路において脆弱部よりも上流側に外気取り入れ口Aのような吸気領域を設ける場合に発生しやすい。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、緊急時に衝撃を効率よく吸収することが可能な車両用カウル部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用カウル部材の代表的な構成は車両のフロントガラスの下縁に沿って配置される車両用カウル部材において、当該車両用カウル部材は、格子状に仕切られた複数の開口を有する吸気領域が所定範囲に形成されている吸気面部と、吸気面部から下方に延びて吸気面部を支える支持面部と、支持面部のうち当該車両用カウル部材の長手方向に延びる脆弱部と、吸気面部の一方の面から突出し吸気領域の格子の縦の仕切りに沿って吸気面部から支持面部にわたって延びる複数の交差リブとを備え、複数の交差リブは、一端が支持面部まで延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、緊急時に衝撃を効率よく吸収することが可能な車両用カウル部材を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る車両用カウル部材の斜視図である。
図2図1のカウル部材を上方から示した図である。
図3図1のカウル部材を前方および下方から示した図である。
図4図1のカウル部材の車幅方向左側の部位を下方から示した図である。
図5図3(a)のカウル部材の断面図である。
図6図5(a)の脆弱部付近の拡大図である。
図7図4(a)の第2交差リブの後端側を示した図である。
図8図3(a)のカウル部材の断面C-Cにおける部分断面図である。
図9図1の上下リブの周辺を拡大して示した図である。
図10図5(a)のカウル部材の第1変形例および第2変形例を示した図である。
図11図5(b)のカウル部材の第3変形例を示した図である。
図12図5(b)のカウル部材の第4変形例および第5変形例を示した図である。
図13図5(b)のカウル部材の第6変形例および第7変形例を示した図である。
図14図5(a)のカウル部材の第8変形例および第9変形例を示した図である。
図15図5(a)のカウル部材の第10変形例および第11変形例を示した図である。
図16図5(a)のカウル部材の第12変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両用カウル部材は、車両のフロントガラスの下縁に沿って配置される車両用カウル部材において、当該車両用カウル部材は、格子状に仕切られた複数の開口を有する吸気領域が所定範囲に形成されている吸気面部と、吸気面部から下方に延びて吸気面部を支える支持面部と、支持面部のうち当該車両用カウル部材の長手方向に延びる脆弱部と、吸気面部の一方の面から突出し吸気領域の格子の縦の仕切りに沿って吸気面部から支持面部にわたって延びる複数の交差リブとを備え、複数の交差リブは、一端が支持面部まで延びていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、吸気面部に対して上方から衝撃が加えられたとき、複数の交差リブを介して吸気面部から支持面部側に衝撃を伝達し、支持面部に形成されている脆弱部に変形や破断を促すことができる。また、上記構成であれば、複数の交差リブによって吸気領域が補強されてその周辺の剛性が高められているため、当該吸気領域に衝撃が伝達されたときに吸気領域の過度な変形を抑えることができる。よって、脆弱部よりも先に吸気領域周辺が変形することを防ぎ、脆弱部に変形や破断等を効率よく促して衝撃を吸収することができる。すなわち、上記構成の車両用カウル部材であれば、緊急時において意図した通りに変形等し、衝撃を効率よく吸収することができる。また、上記交差リブによれば、吸気領域を縦断していることで、当該吸気領域からの雨水や異物等の浸入を抑えることができる。
【0012】
上記の複数の交差リブは、一端が支持面部の脆弱部の近傍に位置している交差リブを含んでもよい。
【0013】
上記構成の交差リブであれば、交差リブと脆弱部との間の荷重伝達経路が短くなるため、吸気領域周辺から脆弱部に衝撃を効率よく伝達することができる。
【0014】
上記の複数の交差リブは、一端が支持面部の脆弱部の近傍に位置している第1交差リブと、一端が第1交差リブの一端よりも吸気面部側に位置している第2交差リブとを含み、長手方向において第1交差リブ同士の間に1または複数の第2交差リブが配置された状態になっていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、全長の長い第1交差リブだけでなく、全長の短い第2交差リブを織り交ぜて設けることで、当該車両用カウル部材の重量の増加を抑えることができる。
【0016】
上記の第2交差リブは、一端が吸気面部と支持面部との角部に位置していてもよい。
【0017】
上記構成によれば、第2交差リブの一端が吸気面部と支持面部との角部に位置していることで、第2交差リブの寸法を短くして当該車両用カウル部材の重量の増加を抑えつつ、荷重を受けたときに支持面部に対して吸気面部がたわむような変形を抑えることができる。
【0018】
当該車両用カウル部材はさらに、吸気面部の複数の交差リブが設けられた面から突出し吸気領域の格子の横の仕切りに沿って延びて複数の交差リブを連結する複数の連結リブを備えてもよい。
【0019】
上記連結リブによって交差リブ同士を連結することで、矩形の閉断面が並んだ格子状のリブ構造が形成される。このリブ構造によれば、吸気面部から支持面部にかけての剛性を高め、衝撃を受けたときの吸気領域周辺等の変形を抑えつつ、当該衝撃を前述した脆弱部に効率よく伝達することが可能になる。
【0020】
上記の連結リブは、吸気面部に対して傾斜するように複数の交差リブが設けられた面から突出していてもよい。
【0021】
上記構成によれば、連結リブが吸気面部に対して傾斜していることで、連結リブが直立している場合に比べて、連結リブの交差リブに対する接続面積を増やして剛性を高めることができる。また、連結リブが傾斜していることで、吸気領域の開口から侵入しようとする雨水や異物等に対して、連結リブの側面が干渉しやすくなるため、これらの侵入を効率よく防ぐことが可能になる。
【0022】
当該車両用カウル部材はさらに、吸気面部のうち複数の連結リブよりも支持面部側の範囲から突出し上記長手方向に延びている補強リブを備えてもよい。
【0023】
上記補強リブによれば、外力を受けたときに応力が集中しやすい吸気面部と支持面部との角部周辺の剛性を効率よく高めることができる。
【0024】
上記の脆弱部は、支持面部のうち脆弱部よりも上側の上側壁部および脆弱部よりも下側の下側壁部に比べて板厚の寸法を薄く形成した状態になっていてもよい。
【0025】
上記構成によれば、上方から衝撃を受けたときに効率よく破断可能な脆弱部を実現することができる。
【0026】
上記の支持面部は、吸気面部から前方または後方に傾斜して延びていて、脆弱部は、上側壁部の片面に下側壁部の片面を上記寸法の板厚で接続した状態になっていてもよい。
【0027】
上記の脆弱部は、上側壁部と下側壁部との間の段差状の部位として形成される。そのため、上記構成であれば、上方から衝撃を受けたときに衝撃が集中しやすい構造の脆弱部を実現することができる。特に、段差状の脆弱部であれば、上方から衝撃を受けたときに剪断力が発生しやすいため、効率よく破断して衝撃を吸収することができる。
【0028】
上記の下側壁部は、傾斜した上側領域の下面側に接続されていてもよい。
【0029】
上記構成によれば、上方から衝撃を受けたときに、上側壁部と下側支持面とが互いに離れるように変形することができる。すなわち、上記構成であれば、脆弱部により大きな剪断力を作用させることができ、脆弱部を効率よく破断させて衝撃を吸収することが可能になる。
【0030】
当該車両用カウル部材はさらに、支持面部の下端から前方に屈曲したフランジ部と、支持面部とフランジ部との内角に設けられる複数の上下リブとを備えてもよい。
【0031】
上記構成によれば、上下リブによって支持面部とフランジ部との間の剛性を高めることで、上方から受けた衝撃を脆弱部に集め、脆弱部に変形等を効率よく起こさせることが可能になる。
【0032】
当該車両用カウル部材は、吸気領域から支持面部までの距離が上記長手方向において異なっていて、上記長手方向において上記距離が短い範囲に重なるよう設けられる上下リブは、上記距離が長い範囲に重なるよう設けられる上下リブよりも、寸法が大きくてもよい。
【0033】
上記の距離が短い範囲は、吸気領域が支持面部の近くに形成されている範囲であり、剛性が減っていて変形しやすい場合がある。上記構成であれば、このような範囲の近傍に寸法の大きな上下リブを設けることで、剛性を補って不測の変形を抑えることが可能になる。
【実施例0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0035】
図1は、本発明の実施例に係る車両用カウル部材(以下、カウル部材100)の斜視図である。以下、図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0036】
カウル部材100は、カウルトップガーニッシュとも呼ばれる主に樹脂製の部材であって、フロントガラス(図示省略)の下縁に沿って車幅方向に長尺な形状になっている。カウル部材100は、ダッシュパネルの上方であってフロントガラスとフードの間に配置される。
【0037】
図2は、図1のカウル部材100を上方から示した図である。図2(a)は、カウル部材100の全体を上方から示した図である。カウル部材100は、空気を取り入れる吸気領域102を有している。吸気領域102は、当該カウル部材100の前側にてカウル部材100の長手方向に沿って形成されている吸気面部104に対して、車幅方向の運転席側の範囲に形成されている。
【0038】
カウル部材100のうち、吸気面部104よりも後方側には、ワイパーを設けるワイパー取付孔146や、フロントガラスとの間を塞ぐシール部144なども形成されている。
【0039】
図2(b)は、図2(a)の吸気領域102の拡大図である。吸気領域102は、縦の仕切り106と、横の仕切り108とによって格子状に仕切られた複数の開口110を有している。吸気領域102は、格子状に仕切られていることで、異物の侵入を防ぎつつ外気を車室側に取り入れることが可能になっている。
【0040】
図3は、図1のカウル部材100を前方および下方から示した図である。図3(a)は、図1のカウル部材100を前方から示した図である。支持面部112は、吸気面部104を支える壁状の部位である。支持面部112には、カウル部材100の長手方向に延びるよう脆弱部114が設けられている。
【0041】
脆弱部114は、緊急時において衝撃が加えられた際に、支持面部112に変形を促して衝撃を吸収する。本実施例の脆弱部114は、カウル部材100の長手方向に延びる薄肉の領域として形成されている。
【0042】
支持面部112の車幅方向左側の下部には、電装部品等の車載部品を配置するための収容空間116が形成されている。脆弱部114は、支持面部112のうち、収容空間116の高さSよりも高い位置に形成されている。この構成によって、脆弱部114を起点として支持面部112に変形が生じたとき、支持面部112の一部が収容空間116に収容された車載部品に干渉することを防ぐと共に、支持面部112の変位が規制されて脆弱部114の変形が阻害されることを抑制できる。
【0043】
図3(b)は、図1のカウル部材100を下方から示した図である。カウル部材100には、複数の交差リブ120が設けられている。交差リブ120は、前後方向や上下方向などの車幅方向に交差する方向に沿って延びるよう設けられている。各交差リブは、周囲の領域の剛性を向上させることに加え、緊急時において脆弱部114(図3(a)参照)に荷重を伝達する役割を担っている。
【0044】
図4は、図1のカウル部材100の車幅方向左側の部位を下方から示した図である。図4(a)は、カウル部材100を下方から示した斜視図である。吸気領域102の下側は、前述した第1交差リブ120を含め、吸気領域102の格子に沿った複数のリブからなるリブ構造118が設けられている。
【0045】
図4(b)は、図4(a)のリブ構造118を下方から正対して示した図である。交差リブ120は、車幅方向に交差する方向の縦の仕切り106(図2(b)参照)に沿って設けられている。連結リブ126は、横の仕切り108に沿って設けられたリブであり、複数の交差リブ120同士を連結している。
【0046】
ここで、図2(b)に示すように、カウル部材100には、吸気領域102の近傍に、フロントガラスの洗浄用の放水装置(図示省略)を取り付けるための膨出部128が設けられている。膨出部128は、立壁部138から前方に膨出して形成されていて、放水装置を取り付ける取付孔130が天面に設けられている。
【0047】
図4(b)には、膨出部128の下側が図示されている。膨出部128の下側は、前後方向において交差リブ120に接続され、車幅方向において連結リブ126に接続されている。すなわち、膨出部128は、放水装置を取り付けるにあたって、交差リブ120および連結リブ126によって支えられ、剛性が高められている。よって、膨出部128は、放水装置を安定して支持することが可能になっている。
【0048】
本実施例では、膨出部128を囲むように吸気領域102が形成されている。これによって、吸気面部104のうち膨出部128の周辺まで吸気領域102を広く設けて吸気性を高めつつ、膨出部128に加えられた荷重を複数の交差リブ120および連結リブ126に効率的に伝達させることが可能になっている。
【0049】
図5は、図3(a)のカウル部材100の断面図である。図5(a)は、図3(a)のカウル部材100のA-A断面図である。図5(a)には、カウル部材100の他、遮蔽部材132も設けられている。遮蔽部材132は、カウル部材100の内側に設けられる樹脂製の部材であって、カウル部材100の吸気領域102から車室側に雨水等が浸入するのを防いでいる。
【0050】
カウル部材100の部位を詳しく説明する。吸気面部104は、本実施例では当該カウル部材100の前側にて上方を向いて形成されている。吸気面部104には、上述した縦横の仕切り106、108(図2(b)参照)と複数の開口110とからなる吸気領域102が設けられている。
【0051】
支持面部112は、吸気面部104の前縁から下方に延びる壁状の部位である。本実施例では、支持面部112は、吸気面部104から後側下方に向かって傾斜して延びている。支持面部112には、前述した脆弱部114が設けられている。
【0052】
支持面部112の下端側には、フランジ部134が設けられている。フランジ部134は、支持面部112の下端から前方に屈曲している。フランジ部134には車体固定部136(図1参照)が設けられ、不図示のダッシュパネル側の構造物に接続される。
【0053】
吸気面部104の後端側には、立壁部138が設けられている。立壁部138は、吸気面部104から上方に屈曲して延びている。図1に示すように、立壁部138の車幅方向左側の範囲には、第2吸気領域140を設けることが可能になっている。第2吸気領域140もまた、立壁部138の所定範囲に格子状に仕切られた複数の開口を設けることで形成されている。
【0054】
立壁部138よりも後方の領域は下方に屈曲していて、後端側にガラス支持部142が設けられている。ガラス支持部142は、フロントガラスの下縁を把持する部位であって、後方の斜め上側を向いて開口している。ガラス支持部142の上側には、シール部144が設けられている。
【0055】
交差リブ120は、吸気面部104から見て、吸気領域102から空気を吸い込む方向、すなわち吸気方向に突出している。そして、交差リブ120は、吸気面部104から支持面部112に向かって、吸気領域102を縦断する方向の縦の仕切り106(図2(b)参照)に沿って延びている。交差リブ120が吸気領域を縦断していることで、雨水や粉塵などの車幅方向への移動を遮り、これら雨水等が他の構造物や機器側に侵入することを抑制できる。
【0056】
図4(b)に示すように、複数の交差リブ120は、全長の長い第1交差リブ122と、全長の短い第2交差リブ124とを含んで設けられている。図5(a)には、全長の長い第1交差リブ122が記載されている。第1交差リブ122は、一端148側が吸気面部104から支持面部112に沿って屈曲して延び、脆弱部114の近傍に到達している。
【0057】
図5(b)は、図1のカウル部材100のB-B断面図である。図5(b)には、全長の短い第2交差リブ124が記載されている。第2交差リブ124は、一端150が支持面部112のうち脆弱部114よりも吸気面部104側であって、吸気面部104と支持面部112との角部に位置している。この構成によって、第2交差リブ124は、荷重を受けたときに支持面部112に対して吸気面部104がたわむような変形を抑えることができる。
【0058】
連結リブ126は、吸気面部104から複数の交差リブ120と同じ側に突出するよう設けられていて、本実施例では吸気方向に突出している。連結リブ126は、吸気領域102を横断する方向の横の仕切り108(図2(b)参照)に沿って延び、第1交差リブ122(図5(a)参照)や第2交差リブ124を含めた複数の交差リブ120を連結している。
【0059】
図4(b)に示すように、連結リブ126によって交差リブ120同士を連結することで、カウル部材100のうち吸気領域102の下側には、矩形の閉断面が並んだ格子状のリブ構造118が形成される。このリブ構造118によれば、図5(a)等の吸気面部104から支持面部112にかけての剛性を高め、荷重を受けたときの吸気領域102の周辺等の変形を抑えつつ、当該荷重を脆弱部114に効率よく伝達することができる。
【0060】
図5(a)に示すように、カウル部材100には、補強リブ152も設けられている。補強リブ152は、吸気面部104のうち複数の連結リブ126よりも支持面部112側の範囲であって、吸気面部104と支持面部との外角の付近に設けられている。
【0061】
補強リブ152は、吸気領域102から見て空気を吸気する吸気方向の外側に突出している。また、補強リブ152は、吸気面部104の前側の外角に沿って、当該カウル部材100の長手方向に延びるよう形成されている。補強リブ152によれば、外力を受けたときに応力が集中しやすい吸気面部104と支持面部112との接続領域の周辺の剛性を高めることができる。
【0062】
図6は、図5(a)の脆弱部114付近の拡大図である。脆弱部114は、支持面部112のうち車幅方向に延びる所定範囲に段差状の段差部154を形成したうえ、局所的に薄肉になった薄肉部156を形成することで実現されている。
【0063】
本実施例の支持面部112は、上側の上側壁部112aと、下側の下側壁部112bとを含んで形成されている。段差部154は、上側壁部112aの片面と下側壁部112bの片面とを段差状に接続することで形成されている。
【0064】
詳しくは、段差部154は、傾斜した上側壁部112aの下面158の下端側に、傾斜した下側壁部112bの上面160の上端側を接続することで、支持面部112の前側に形成された状態になっている。薄肉部156は、上側壁部112aと下側壁部112bとをこれら上側壁部112aの板厚T1および下側壁部112bの板厚T2よりも薄い寸法の板厚T3で接続することで形成されている(T1>T3、T2>T3)。なお、本実施例では、T1とT2は同じ寸法に設定している。
【0065】
上記構成によって、上方から荷重を受けたときに、脆弱部114に荷重が集中しやすい構造を実現することができる。例えば、脆弱部114が段差部156を有する構造として形成されていることで、上方の吸気面部104から荷重を受けたときに、段差を形成する屈曲店、具体的には上側壁部112aと段差部156との接続面および段差部156と下側壁部112bとの接続面に荷重(およびそれに対する反力)を集中させることができる。また、例えば、脆弱部114が薄肉部156を有する構造として形成されていることで、荷重を受ける面積を小さくして単位面積当たりに伝達される荷重を増加させることができるため、上方の吸気面部104側から荷重を受けたときに、薄肉部156に荷重を集中させることができる。
【0066】
本実施例では、脆弱部114に薄肉部156を形成しているので、例えば、上方の吸気面部104側から荷重を受けたときに、脆弱部114に荷重を集中させて衝撃エネルギーを脆弱部114の破断エネルギーとして消費することができる。そして、上側壁部112aと下側壁部112bが破断することで、カウル部材110の吸気面部104側を変形させやすくしてカウル部材110の変形を促進させ、衝撃エネルギーをカウル部材110の変形エネルギーとして効率的に吸収することができる。
【0067】
なお、本実施例では、脆弱部114として段差部156と薄肉部156の両方を形成しているが、いずれか一方のみを脆弱部114として形成してもよい。また、脆弱部114は、これらに限定されない。脆弱部114は、例えば切欠きや開口を設けて周辺領域よりも脆弱すなわち剛性を低くした構成や、例えば屈曲点を設けて荷重を集中させやすくした構成等も採用することができる。
【0068】
また、上記構成によれば、上方から荷重を受けたときに、上側壁部112aと下側壁部112bとの間に剪断力が発生し、上側壁部112aは後方に離れ、下側壁部112bは前方に離れる。これらのように、当該カウル部材100は、緊急時において脆弱部114を効率よく破断させ、衝撃を吸収することが可能になっている。
【0069】
第1交差リブ122は、一端148が支持面部112のうち脆弱部114の近傍に到達している。この構成によって、第1交差リブ122と脆弱部114との間の荷重伝達経路が短くなるため、吸気領域周辺から脆弱部に衝撃を効率よく伝達することができる。このとき、第1交差リブ122は、支持面部112側の範囲の突出量X1が、吸気面部104側の範囲の突出量X2よりも大きくなるよう設定されている(X1>X2)。この構成によって、第1交差リブ122は、吸気面部104と支持面部112との間で変形が生じることを防ぎ、荷重を脆弱部114に効率よく伝えることが可能になっている。また、交差リブ122の吸気領域102に沿った箇所の突出量X2を突出量X1未満に制限することで、吸気領域102から吸い込む空気を交差リブ122が遮ることを防ぎ、風を車室側に流しやすくすることができる。
【0070】
第1交差リブ122の一端148側の突出量X1は、補強リブ152を下方の吸気方向側に延長した場合において、補強リブ152の厚みα、および補強リブ152の根本側の厚みβの範囲内に、少なくとも一部が位置するように設定されている。これら構成によって、第1交差リブ122は、吸気面部104に衝撃が加えられた場合に、補強リブ152と共に吸気面部104と支持面部112との角部に荷重が集中することを防ぎ、その荷重を脆弱部114へと伝達させることが可能になっている。
【0071】
図5(a)に示すように、第1交差リブ122は、後方側において、上下方向および車両後方に延び、ガラス支持部142にも接続されている。この構成の第1交差リブ122によれば、フロントガラスの支持剛性も高め、フロントガラスからの荷重も脆弱部114に伝達して吸収することが可能になる。また、他の構成として、第1交差リブ122をガラス支持部142に直接的に接続させない場合でも、第1交差リブ122とガラス支持部142に接続されたリブとを前後方向に連続するように配置することで、ガラス支持部142から第1交差リブ122へと荷重を伝達させやすくすることができる。
【0072】
これらのように、本実施例であれば、第1交差リブ122(図5(a)参照)および第2交差リブ124(図5(b)参照)を、吸気面部104から延ばして支持面部112に接続することで、吸気面部104の支持面部112に対する支持面積を増加させることができる。これによって、カウル部材100が上方から荷重を受けた場合に、吸気領域102の周辺の格子等の変形や、吸気面部104が支持面部112に近づくような変形等を抑えることができる。
【0073】
さらに、第1交差リブ122および第2交差リブ124によって、吸気面部104から支持面部112側に衝撃を伝達し、支持面部112に形成されている脆弱部114に変形や破断を促すことができる。また、複数の第1交差リブ122および第2交差リブ124によって吸気領域102が補強されてその周辺の剛性が高められているため、当該吸気領域102に衝撃が伝達されたときに吸気領域102の過度な変形を抑えることができる。よって、本実施例であれば、脆弱部114よりも先に吸気領域102周辺が変形することを防ぎ、脆弱部114に変形や破断等を効率よく促して衝撃を吸収することができる。このように、当該カウル部材100であれば、緊急時において意図した通りに変形等し、衝撃を効率よく吸収することが可能になっている。
【0074】
また、本実施例では、第1交差リブ122の一端148が上側壁部112aの後面の下端で途切れているので、樹脂成形時において脆弱部114周辺が型抜きしやすくなっている。なお、樹脂成型時の型抜きを考慮しない場合、脆弱部114の機能を維持できる範囲で、第1交差リブ122の一端148は上側壁部112の下端の端面まで到達してもよい。
【0075】
図6等に示すように、連結リブ126は、吸気面部104から後方下側に傾斜して突出している。連結リブ126が吸気面部104に対して傾斜していることで、連結リブ126が直立している場合に比べて、連結リブ126の交差リブ120に対する接続面積を増やして剛性をより高めることができる。なお、他の構成として、連結リブは、吸気面部104から前方下側に傾斜して突出する構成とすることも可能である。
【0076】
連結リブ126が傾斜していることで、吸気領域102の開口110から雨水や異物等が吸気方向に侵入しようとした場合、これら雨水等に対して連結リブ126の側面が向かい合う面積も増える。この構成によって、異物の侵入を防ぐとともに、雨水を連結リブ126に触れさせて流れの勢いを弱め、水が跳ねる量を減らし、車室側の空調装置等の浸水を防ぐことができる。
【0077】
加えて、図4(b)を参照して説明したように、連結リブ126および交差リブ120は、膨出部128にも接続されている。このとき、連結リブ126が傾斜していることで、連結リブ126の交差リブ120に対する接続面積、および連結リブ126の膨出部128に対する接続面積がおよび膨出部128との接続面積を増やすことができ、連結リブ126および交差リブ120による膨出部128の補強効果をより高めることができる。
【0078】
図4(b)に示す各連結リブは、車幅方向に延びる線分W1に対して、やや傾いて延びるよう設けられている。例えば、連結リブ162は、車幅方向右側が車幅方向左側よりも前方(図4(b)中、下方)に位置するよう設けられている。
【0079】
図2(a)に示すように、吸気領域102は、吸気面部104の長手方向に沿った横長形状の領域として形成されている。このとき、直線状の各連結リブ162を車幅方向に対して傾けて設けることで、図4(b)の連結リブ162等の一部の連結リブは長さがある程度短く制限される。連結リブ162等を短く制限することで、連結リブ162等の剛性を高め、変形し難い構成にすることができる。
【0080】
図7は、図4(a)の第2交差リブ124の後端164側を示した図である。第2交差リブ124の後端は、吸気面部104が立壁部138に接続している領域にまで延びている。この構成によって、吸気面部104と立壁部138との屈曲箇所166の剛性を高め、外力を受けたときに吸気面部104と立壁部138との間における変形を抑えることができる。また、第2交差リブ124の後端164は、立壁部138に沿って突出量が徐々に小さくなっている。この構成によって、第2交差リブ124は、軽量化が図られている。
【0081】
図4(a)に示すように、本実施例のリブ構造118は、第1交差リブ122と他の第1交差リブ168など、各第1交差リブ同士の間に、1または複数の第2交差リブ124が配置された状態になっている。この構成によれば、全長の長い第1交差リブ122、168だけでなく、全長の短い第2交差リブ124を織り交ぜて設けることで、カウル部材100の剛性を確保しつつ、リブ構造118の追加による重量の増加を抑えることができる。
【0082】
図8は、図3(a)のカウル部材100の断面C-Cにおける部分断面図である。吸気領域102(図5(a)参照)の設けられていない範囲においても、車幅方向に交差する方向に延びるよう、複数の第3交差リブ(例えば、第3交差リブ170a、170b、170c、170d、170e)が設けられている。
【0083】
第3交差リブ170aもまた、第1交差リブ122と同様に、前側において吸気面部104から支持面部112に到達するように延び、後側において立壁部138からガラス支持部142に到達するように延びている。そして、第3交差リブ170aもまた、一端172が脆弱部114に到達していて、上方の吸気面部104側の剛性を確保しつつ、下方の脆弱部114に荷重を集めることが可能になっている。また、第3交差リブ170aは、吸気面部104と支持面部112の角部周辺において、車幅方向に交差する方向における厚みが大きくなるように形成されている。
【0084】
第3交差リブ170bは、ガラス支持部142から吸気面部104にわたって設けられている。第3交差リブ170bもまた、吸気面部104側の端部において、車幅方向に交差する方向における厚みが大きくなるように形成されている。
【0085】
第3交差リブ170cは、吸気面部104から支持面部112にわたって設けられている。第3交差リブ170dは、ガラス支持部142から吸気面部104にわたって設けられている。第3交差リブ170dの一端は、第3交差リブ170cに対して、車幅方向に交差する方向に所定の間隔をおいて配置されている。
【0086】
第3交差リブ170eは、前側において吸気面部104から支持面部112に到達するように延び、後側において立壁部138からワイパー取付穴146の近傍に到達するように設けられている。また、第3交差リブ170eは、吸気面部104と支持面部112の角部周辺において、車幅方向に交差する方向における厚みが大きくなるように形成されている。
【0087】
これら第3交差リブ170a、第3交差リブ170b、および第3交差リブ170eは、円形に窪んだ部位を有し、電装部品等の車載部品を把持することが可能になっている。これら各リブは、円形に窪んだ部位の周辺が、車幅方向に交差する方向において板厚が大きく形成されていて、安定して車載部品を把持することが可能になっている。なお、この円形に窪んだ部位は、車載部品を把持するだけでなく、当該カウル部材100の支持点として利用することも可能である。
【0088】
図5(b)に示すように、支持面部112とフランジ部134との内角には、上下リブ174が設けられている。上下リブ174は、カウル部材100の長手方向において、フランジ部143の各所に複数設けられている。
【0089】
図9は、図1の上下リブ176の周辺を拡大して示した図である。上下リブ176は、支持面部112とフランジ部134にまたがる三角形状のリブであり、車幅方向に交差するよう上下および前後方向に延びている。
【0090】
上下リブ176等の上下リブを複数設けることで、支持面部112とフランジ部134との間の剛性を高めることができる。特に、フランジ部134は、下方のダッシュパネル側の部材に接地する部位である。上下リブ176等がフランジ部134の剛性を高めることで、上方から受けた荷重を脆弱部114に集中させ、脆弱部114に変形等を効率よく起こさせることが可能になる。
【0091】
上下リブ176等の各上下リブは、大小異なる寸法のものが設置されている。ここで、吸気領域102は支持面部112から離間した位置に形成されていて、吸気領域102と支持面部112との間には非開口領域178が形成されている。そして、吸気領域102から支持面部112までの距離は、例えば距離L1と距離L2のように、車幅方向において異なっている。
【0092】
本実施例では、車幅方向において、吸気領域102と支持面部112とが遠い距離L1の範囲に重なるフランジ部134には、寸法の小さい上下リブ180を設けている。一方、車幅方向において、吸気領域102と支持面部112とが近い距離L2の範囲に重なるフランジ部134には、上下リブ180よりも寸法の大きい上下リブ176を設けている。
【0093】
短い距離L2の範囲は、吸気領域102が支持面部112の近くに形成されている範囲であり、剛性が減っていて変形しやすい場合がある。本実施例では、このような範囲の近傍には寸法の大きな上下リブ176を設けて、剛性を補って不測の変形を抑えることが可能になっている。
【0094】
以上の構成によって、当該カウル部材100であれば、緊急時において、各リブによって不測の変形を抑えつつ、荷重を脆弱部114に集めて変形および破断等させて衝撃を吸収することが可能である。当該カウル部材100であれば、例えばフードに接触した接触物に与える衝撃を減らし、好適に保護することができる。
【0095】
(変形例)
図10は、図5(a)のカウル部材100の第1変形例および第2変形例を示した図である。図10以降では、上記実施例にて既に説明した構成要素と同じものには同じ符号を付していて、これによって既出の構成要素については説明を省略する。また、以下の説明において、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有しているものとする。
【0096】
図10(a)は、図5(a)のカウル部材100の第1変形例(カウル部材200)を示した図である。カウル部材200は、吸気面部202が上下方向に延びるよう形成されている点で、図5(a)のカウル部材100と構成が異なっている。
【0097】
カウル部材200では、吸気領域204の格子も上下左右に延びている。そして、第1交差リブ206も、吸気面部202に沿って上下方向に延びている。第1交差リブ206も、一端208が脆弱部114にまで到達している。また、不図示の第2交差リブも、一端は吸気面部202と支持面部112との角部に位置する構成を採ることができる。
【0098】
当該カウル部材200においても、第1交差リブ206等を、吸気面部202から延ばして支持面部112に接続することで、吸気面部202の支持面部112に対する支持面積を増加させることができる。これによって、カウル部材200が上方から荷重を受けた場合に、吸気領域204の周辺の格子等の変形や、吸気面部202が支持面部112に近づくような変形等を抑えることができる。そして、第1交差リブ206によって、荷重を脆弱部に伝えて変形や破断等を促すことで、衝撃を吸収することができる。
【0099】
図10(b)は、図5(a)のカウル部材100の第2変形例(カウル部材220)を示した図である。カウル部材220は、吸気面部202が上下方向に延び、下方の非開口領域222が前方に屈曲して延びた後、支持面部224が下方に延びている。
【0100】
第1交差リブ226は、吸気面部202に沿って上下方向に延びつつ、非開口領域222に沿って前方に延び、再び支持面部224に沿って下方に延びている。第1交差リブ226も、一端228が脆弱部114にまで到達している。また、不図示の第2交差リブも、第1交差リブ226と同様に吸気面部202および非開口領域222に沿って上下および前後に延び、一端を吸気面部202と支持面部224との角部に位置させることができる。
【0101】
当該カウル部材220においても、第1交差リブ226等を、吸気面部202から延ばして支持面部224に接続することで、吸気面部202の支持面部224に対する支持面積を増加させることができる。これによって、カウル部材220が上方から荷重を受けた場合に、吸気領域204の周辺の格子等の変形や、吸気面部202が支持面部224に近づくような変形等を抑えることができる。そして、第1交差リブ226によって、荷重を脆弱部114に伝えて変形や破断等を促すことで、衝撃を吸収することができる。
【0102】
図11は、図5(b)のカウル部材100の第3変形例(カウル部材240)を示した図である。カウル部材240は、脆弱部242の段差部244が、支持面部248の後側に形成されている点で、図5(b)のカウル部材と構成が異なっている。
【0103】
段差部244は、傾斜した上側壁部248aの上面の下端側に、傾斜した下側壁部248bの下面の上端側を接続することで、支持面部248の後側に形成された状態になっている。薄肉部246もまた、図6の薄肉部156と同様に、上側壁部248aと下側壁部248bとをこれら上側壁部248aよび下側壁部248bの板厚よりも薄い寸法で接続することで形成されている。
【0104】
当該脆弱部242においても、上方の吸気面部202から荷重を受けたときに、上側壁部248aと下側壁部248bとの間に剪断力が発生し、上側壁部248aは前方に離れ、下側壁部248bは後方に離れる。このように、脆弱部242においても、上方から荷重を受けたときに、荷重が集中し破断等しやすい構造を実現することができる。
【0105】
なお、当該カウル部材240では、不図示の第1交差リブは、一端を脆弱部242から離間させた状態に設けることで、脆弱部242を好適に変形および破断させることが可能になる。
【0106】
図12は、図5(b)のカウル部材100の第4変形例および第5変形例を示した図である。図12(a)は、図5(b)のカウル部材100の第4変形例(カウル部材260)を示した図である。カウル部材260は、支持面部262が、吸気面部104から前側下方に傾斜して延びている点で、図5(b)のカウル部材100と構成が異なっている。
【0107】
脆弱部264の段差部266は、傾斜した上側壁部262aの上面の下端側に、傾斜した下側壁部262bの下面の上端側を接続することで、支持面部262の前側に形成された状態になっている。薄肉部268は、図6の薄肉部156と同様に、上側壁部262aと下側壁部262bとをこれら上側壁部262aおよび下側壁部262bの板厚よりも薄い寸法で接続することで形成されている。
【0108】
当該脆弱部においても、上方の吸気面部104から荷重を受けたときに、上側壁部262aと下側壁部262bとの間に剪断力が発生し、上側壁部262aは後方に離れ、下側壁部262bは前方に離れる。このように、脆弱部264においても、上方から荷重を受けたときに、荷重が集中し破断等しやすい構造を実現することができる。
【0109】
図12(b)は、図5(b)のカウル部材100の第5変形例(カウル部材280)を示した図である。カウル部材280もまた、支持面部282が、吸気面部104から前側下方に傾斜して延びている。
【0110】
脆弱部284の段差部286は、傾斜した上側壁部282aの下面の下端側に、傾斜した下側壁部282bの上面の上端側を接続することで、支持面部282の後側に形成された状態になっている。薄肉部288は、図6の薄肉部156と同様に、上側壁部282aと下側壁部282bとをこれら上側壁部282aおよび下側壁部282bの板厚よりも薄い寸法で接続することで形成されている。
【0111】
当該脆弱部284においても、上方の吸気面部104から荷重を受けたときに、上側壁部282aと下側壁部282bとの間に剪断力が発生し、上側壁部282aは前方に離れ、下側壁部282bは後方に離れる。このように、脆弱部284においても、上方から荷重を受けたときに、荷重が集中し破断等しやすい構造を実現することができる。
【0112】
なお、当該カウル部材280においても、不図示の第1交差リブは、一端を脆弱部284から離間させた状態に設けることで、脆弱部284を好適に変形および破断させることが可能になる。
【0113】
図13は、図5(b)のカウル部材100の第6変形例および第7変形例を示した図である。図13(a)は、図5(b)のカウル部材100の第6変形例(カウル部材300)を示した図である。カウル部材300は、支持面部302が、吸気面部104から直下に延びている点で、図5(b)のカウル部材100と構成が異なっている。
【0114】
脆弱部304の段差部306は、上側壁部302aの前面の下端側に、下側壁部302bの後面の上端側を接続することで、支持面部302の前側に形成された状態になっている。薄肉部308は、図6の薄肉部156と同様に、上側壁部302aと下側壁部302bとをこれら上側壁部302aおよび下側壁部302bの板厚よりも薄い寸法で接続することで形成されている。
【0115】
当該脆弱部304においても、上方の吸気面部104から荷重を受けたときに、上側壁部302aと下側壁部302bとの間に剪断力が発生し、上側壁部302aは後方に離れ、下側壁部302bは前方に離れる。このように、脆弱部304においても、上方から荷重を受けたときに、荷重が集中し破断等しやすい構造を実現することができる。
【0116】
図13(b)は、図5(b)のカウル部材100の第7変形例(カウル部材320)を示した図である。カウル部材320もまた、支持面部322が、吸気面部から直下に延びている。
【0117】
脆弱部324の段差部326は、上側壁部322aの後面の下端側に、下側壁部322bの前面の上端側を接続することで、支持面部322の後側に形成された状態になっている。薄肉部328は、図6の薄肉部156と同様に、上側壁部322aと下側壁部322bとをこれら上側壁部322aおよび下側壁部322bの板厚よりも薄い寸法で接続することで形成されている。
【0118】
当該脆弱部324においても、上方の吸気面部104から荷重を受けたときに、上側壁部322aと下側壁部322bとの間に剪断力が発生し、上側壁部322aは前方に離れ、下側壁部322bは後方に離れる。このように、脆弱部324においても、上方から荷重を受けたときに、荷重が集中し破断等しやすい構造を実現することができる。
【0119】
なお、当該カウル部材320においても、不図示の第1交差リブは、一端を脆弱部324から離間させた状態に設けることで、脆弱部324を好適に変形および破断させることが可能になる。
【0120】
図14は、図5(a)のカウル部材100の第8変形例および第9変形例を示した図である。図14(a)は、図5(a)のカウル部材100の第8変形例(カウル部材340)を示した図である。カウル部材340は、第1交差リブ342が、吸気領域102の吸気方向の外側に突出している点で、図5(a)のカウル部材100と構成が異なっている。
【0121】
第1交差リブ342は、吸気面部104から吸気方向の外側に突出し、吸気面部104から支持面部248に向かって、吸気領域102を縦断する方向の縦の仕切り106(図2(b)参照)に沿って延びている。そして、第1交差リブ342の一端344側は、支持面部248の前側に沿って屈曲して延び、脆弱部242に到達している。
【0122】
連結リブ348もまた、吸気面部104から吸気方向の外側に突出し、第1交差リブ342および不図示の第2交差リブを含めた複数の交差リブを連結している。不図示の第2交差リブは、吸気面部104から吸気方向の外側に突出し、一端を脆弱部242から離間した位置であって吸気面部104と支持面部248との外角の付近に配置させることができる。
【0123】
当該カウル部材340においても、第1交差リブ342および連結リブ348を含むリブ構造によって、吸気面部104から支持面部248にかけての剛性を高め、荷重を受けたときの吸気領域102の周辺等の変形を抑えつつ、当該荷重を脆弱部242に効率よく伝達することができる。
【0124】
図14(b)は、図5(a)のカウル部材100の第9変形例(カウル部材360)を示した図である。カウル部材360は、第1交差リブ342が吸気方向の外側に突出していることに加えて、補強リブ362が吸気方向に突出している。
【0125】
補強リブ362は、吸気面部104のうち複数の連結リブ348よりも支持面部248側の範囲であって、吸気面部104と支持面部248との内角の付近に設けられている。また、補強リブ362は、当該内角に沿って、当該カウル部材360の長手方向に延びるよう形成されている。補強リブ362によっても、外力を受けたときに応力が集中しやすい吸気面部104と支持面部248との接続領域の周辺の剛性を高めることができる。
【0126】
図15は、図5(a)のカウル部材100の第10変形例および第11変形例を示した図である。図15(a)は、図5(a)のカウル部材100の第10変形例(カウル部材380)を示した図である。カウル部材380は、脆弱部382として、上下リブ384にスリット386を設けた構成を採用している。
【0127】
上下リブ384は、支持面部388とフランジ部134との間に上下方向に延びるよう設けられている。スリット386は、上下リブ384の前辺から支持面部388とフランジ部134との内角に向かって延びる範囲を切り欠くことで形成されている。また、第1交差リブ390は、一端392が上下リブ384の上側に到達する程度にまで延びている。
【0128】
上下リブ384およびスリット386からなる脆弱部382は、当該カウル部材380の長手方向における複数個所に設けることができる。当該脆弱部382によれば、上方から衝撃を受けた場合に、支持面部388とフランジ部134との内角に沿った車幅方向に延びる線分を起点とし、支持面部388がフランジ部134に対して前方に倒れるよう変形することができる。したがって、当該カウル部材380においても、緊急時において脆弱部382を効率よく変形させ、衝撃を吸収することが可能になっている。
【0129】
図15(b)は、図5(a)のカウル部材100の第11変形例(カウル部材400)を示した図である。カウル部材400もまた、脆弱部402として、上下リブ404にスリット406を設けた構成を採用している。
【0130】
支持面部408は、上側壁部408aが吸気面部104から後方下側に延び、下側壁部408bが上側壁部408aから前方下側に屈曲して延びている。そして、上下リブ404は、これら上側壁部408aと下側壁部408bとの間の内角に上下方向に延びるよう設けられている。
【0131】
スリット406は、上下リブ404の前辺から上側壁部408aと下側壁部408bとの内角に向かって延びる範囲を切り欠くことで形成されている。また、第1交差リブ410は、一端412が上下リブ404の上側に到達する程度にまで延びている。
【0132】
上下リブ404およびスリット406からなる脆弱部402は、当該カウル部材400の長手方向における複数個所に設けることができる。当該脆弱部402においても、上方から衝撃を受けた場合に、上側壁部408aと下側壁部408bとの内角に沿った車幅方向に延びる線分を起点とし、支持面部408が後方に山折りになるよう変形することができる。したがって、当該カウル部材400においても、緊急時において脆弱部402を効率よく変形させ、衝撃を吸収することが可能になっている。
【0133】
図16は、図5(a)のカウル部材100の第12変形例(カウル部材420)を示した図である。カウル部材420は、第1交差リブ422の形状の点で、上記各実施例と構成が異なっている。
【0134】
第1交差リブ422は、吸気面部104から支持面部262側に延びているが、上側壁部262aから一部の範囲が離間し、上側壁部262aとの間に空洞が形成されている。そして、第1交差リブ422の一端424は、上側壁部262aの下端付近であって脆弱部262の周辺に接続されている。この構成によって、第1交差リブ422と脆弱部262との間の荷重伝達経路が短くなるため、吸気領域周辺から脆弱部に衝撃を効率よく伝達することができる。
【0135】
当該第1交差リブ422によっても、吸気面部104の吸気領域102の周辺を補強すると共に、吸気面部104から受けた荷重を脆弱部264に伝達し、吸気領域102よりも先に脆弱部264を効率よく変形および破断させることが可能である。
【0136】
なお、さらなる変形例として、脆弱部は、支持面部の所定箇所に、車幅方向に断続的に延びる薄肉部や開口部を設けることによっても実現可能である。例えば、支持面部388(図15(a)参照)の所定箇所に破線状に薄肉部や開口部を設けることによっても、衝撃を受けた場合に当該薄肉部や開口部を起点にして支持面部388に変形を促すことが可能になる。
【0137】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、車両用カウル部材に利用することができる。
【符号の説明】
【0139】
100…カウル部材、102…吸気領域、104…吸気面部、106…縦の仕切り、108…横の仕切り、110…開口、112…支持面部、112a…上側壁部、112b…下側壁部、114…脆弱部、116…収容空間、118…リブ構造、120…交差リブ、122…第1交差リブ、124…第2交差リブ、126…連結リブ、128…膨出部、130…取付孔、132…遮蔽部材、134…フランジ部、136…車体固定部、138…立壁部、140…第2吸気領域、142…ガラス支持部、144…シール部、146…ワイパー取付孔、148…一端、150…一端、152…補強リブ、154…段差部、156…薄肉部、158…下面、160…上面、162…連結リブ、164…後端、166…屈曲箇所、168…第1交差リブ、170a…第3交差リブ、172…一端、174…上下リブ、176…上下リブ、178…非開口領域、180…上下リブ、T1~T3…板厚、W1…車幅方向の線分、X1…突出量、X2…突出量、200…カウル部材、202…吸気面部、204…吸気領域、206…第1交差リブ、208…一端、220…カウル部材、222…非開口領域、224…支持面部、226…第1交差リブ、228…一端、240…カウル部材、242…脆弱部、244…段差部、246…薄肉部、248…支持面部、248a…上側壁部、248b…下側壁部、260…カウル部材、262…支持面部、262a…上側壁部、262b…下側壁部、264…脆弱部、266…段差部、268…薄肉部、280…カウル部材、282…支持面部、282a…上側壁部、282b…下側壁部、284…脆弱部、286…段差部、288…薄肉部、300…カウル部材、302…支持面部、302a…上側壁部、302b…下側壁部、304…脆弱部、306…段差部、308…薄肉部、320…カウル部材、322…支持面部、322a…上側壁部、322b…下側壁部、324…脆弱部、326…段差部、328…薄肉部、340…カウル部材、342…第1交差リブ、344…一端、348…連結リブ、360…カウル部材、362…補強リブ、380…カウル部材、382…脆弱部、384…上下リブ、386…スリット、388…支持面部、390…第1交差リブ、392…一端、400…カウル部材、402…脆弱部、404…上下リブ、406…スリット、408…支持面部、408a…上側壁部、408b…下側壁部、410…第1交差リブ、412…一端、420…カウル部材、422…第1交差リブ、424…一端
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