(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051119
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】植物栽培設備
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20230404BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20230404BHJP
【FI】
A01G7/00 601B
A01G31/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161608
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神藏 雄生
(72)【発明者】
【氏名】関根 望
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 晃一
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
【Fターム(参考)】
2B022DA05
2B022DA19
2B314MA38
2B314MA40
2B314PD37
2B314PD59
(57)【要約】
【課題】
清掃、洗浄等の作業を行い易い植物栽培設備を提供する。
【解決手段】
本発明の植物栽培設備は、第1の栽培棚21と、第1の栽培棚21の短手方向に並べて設けられた第2の栽培棚22と、第1の栽培棚21及び第2の栽培棚22の短手方向に沿って、第1の栽培棚21と第2の栽培棚22とをつなぐレール30と、レール30に接続された反射材10と、を備えることを特徴とする。反射材10は、反射率80%以上のシート状の材料であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の栽培棚と、
前記第1の栽培棚の短手方向に並べて設けられた第2の栽培棚と、
前記第1の栽培棚及び前記第2の栽培棚の短手方向に沿って、前記第1の栽培棚と前記第2の栽培棚とをつなぐレールと、
前記レールに接続された反射材と、を備えることを特徴とする植物栽培設備。
【請求項2】
前記レールは、第1のレールと、前記第1のレールとは異なる位置で前記第1の栽培棚と前記第2の栽培棚とをつなぐ第2のレールと、から構成され、
前記反射材は、前記第1のレール及び前記第2のレールに接続されることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培設備。
【請求項3】
前記反射材は、反射率80%以上のシート状の材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培設備。
【請求項4】
前記反射材は、前記レールに接続するための孔部が設けられ、前記孔部に前記レールに接続された接続部材を接続することを特徴とする請求項3に記載の植物栽培設備。
【請求項5】
前記反射材は、前記第1の栽培棚に吸着するマグネットを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の植物栽培設備。
【請求項6】
前記第1の栽培棚内の湿度を測定するセンサと、
前記センサの測定結果と、予め記憶された閾値と、を比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づき反射材の位置に関する情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の植物栽培設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培に用いられる植物栽培設備に関する。
【背景技術】
【0002】
水耕栽培の植物生産において栽培棚の側面に反射材を設置し、照明からの光を効率的に利用している植物栽培設備がある。
【0003】
栽培棚内で作業、点検を行う際、反射材が栽培棚側面に固定されていると作業しにくく、特許文献1には照明から発するエネルギーを利用するために栽培棚に反射材を係止する係止部を設け、反射材を栽培棚の長手方向へスライドさせる機構を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、清掃、洗浄等の作業を効率よく作業するには不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の植物栽培設備は、第1の栽培棚と、前記第1の栽培棚の短手方向に並べて設けられた第2の栽培棚と、前記第1の栽培棚及び前記第2の栽培棚の短手方向に沿って、前記第1の栽培棚と前記第2の栽培棚とをつなぐレールと、前記レールに接続された反射材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、清掃、洗浄等の作業が行い易い植物栽培設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る植物栽培設備の説明図。
【
図2】本発明の実施形態に係るレール、孔部、反射材の説明図。
【
図3】本発明の実施例2に係る植物栽培設備の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
本発明の実施形態に係る植物栽培設備は複数の栽培棚が短手方向に並べられており、複数の栽培棚の間に反射材10が位置するように、レール30、移動部材40、が設けられている。レール30には、反射材10を移動させるための移動部材40が設けられている。そして、反射材10とともに移動する移動部材40がレール30を摺動する機構を備えている。
図1に示すように、栽培棚20(第1の栽培棚21)の内部に植物を栽培するための栽培空間が備わっている。栽培棚20は4方向の端部にある棚柱と複数の棚板24で構成されており、棚板24は、少なくとも四方が棚柱23によって支えられている。棚板24が水平に支持されていれば、棚柱23は何本でも構わない。棚板24は幅広方向の面を上下に向けられている状態で棚柱23によって固定されている。栽培棚の段数は1段でもよいし、複数段によって構成されてもよい。本実施形態の栽培棚20は少なくとも2棚以上によって構成されている。隣り合っている栽培棚20は平行に設置されていることが望ましいが、これに限らない。栽培棚20は、複数の栽培棚を長手方向に繋げて一つの栽培棚としてもよく、一つの栽培棚の一部の箇所に、栽培する以外の作業が行われる部分が設けられていてもよい。
図1は反射材10、第1の栽培棚21、第2の栽培棚22、レール30、移動部材40を含んだ植物栽培設備の説明図である。
図2はレール30、移動部材40、反射材10、接続部材50の接続機構の説明図である。
【0010】
例えば同形状である第1の栽培棚21と第2の栽培棚22で構成されており、第1の栽培棚21の長手方向に沿った右側の側面と、第2の栽培棚22の長手方向に沿った左側の側面は互いに平行に向き合っている。第1の栽培棚21と第2の栽培棚22が平行に配置されることによって、向かい合っている栽培棚間に位置する反射材10を容易に移動することができる。栽培棚20として3棚以上を用いる場合においても、それぞれ栽培棚の長手方向の面に対して平行に配置されることが望ましい。
【0011】
(レール)
レール30は複数の栽培棚をつなぎ、反射材10の進行方向を調整する機構を有する。
向かい合っている栽培棚の間にレール30は接続されていて、平行に向かい合っている栽培棚の長手方向に対して直交するように接続されている。
【0012】
レール30には溝が形成されており、レール30の溝は下方向を向くように設けられている。レール30の溝形状としては例えばC型の溝、凹部の溝、蟻溝がある。
【0013】
レール30の材質として例えばアルミ製、樹脂性がある。これらは植物栽培時や作業時における培養液の飛散によるレール30の劣化を抑制する。
【0014】
向かい合っている栽培棚の間に位置するレール30は少なくとも1本以上あり、栽培棚の長手方向の面に対して直交方向に接続されており、レール30は2本以上栽培棚に接続されていることが好適である。例えば向かい合っている栽培棚それぞれにレール30を2本接続する場合、栽培棚の長手方向の両端部にそれぞれレール30を接続することが好適である。この場合、レール30下を移動する反射材10をよじれにくくすることができる。
【0015】
レール30は栽培棚内にある栽培空間の範囲外に位置していることが好ましい。例えば栽培棚それぞれにつながれているレール30の位置は向かい合っている栽培棚の双方の棚上部に接続する方法がある。この方法では植物栽培時の照明60の光を遮ることなくレール30下を移動する反射材10を移動させることができる。
【0016】
(移動部材)
レール30に沿って移動する移動部材40には、反射材10がつなぎとめられている。レール30の溝内部に移動部材40が組み込まれており、レール30の内部を移動部材40が摺動する。
【0017】
レール30には移動部材40が接続され、移動部材40には栽培棚の長手方向の側面と平行に面するように反射材10が接続されている。移動部材40は第1の栽培棚21と第2の栽培棚22との長手方向の側面に対して直交するように接続されたレール30に沿って摺動することができる。
【0018】
(反射材)
反射材10は栽培棚に設置された照明60から発した光あるいは照明60から光を受けた部分から反射された光を受け、栽培された植物へ反射させる機能を有する。反射材10は植物の生育を促進するために栽培棚の側面に位置している。
【0019】
例えば、反射材10は第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の間に位置しており、第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の側面に対して平行になるように配置されている。
反射材10の素材として例えば、塩化ビニル、ABS、ポリエチレン等を用いることができる。
【0020】
反射材10は反射効率が高まる性質の素材を用いることが望ましく、例えば塩化ビニル、ABS、ポリエチレンの素材の中で、白色の素材用いることが好適である。所定の反射率を有する素材であれば白色の素材に限定されるものではない。
【0021】
植物の生育を促進する上で、本実施形態に係る反射材10は例えば400~700nmの波長領域において、反射率80%以上であることが望ましく、さらに反射率95%以上であることが好適である。反射率が高まると、栽培棚内にある照明60の光を効率的に反射することができ、より植物の光合成を促すことができる。
【0022】
反射材10の材料として、例えば板状、カーテン状、シート状などがあり、特にシート状の材料は、反射材10の移動の容易さ、および、反射材10作製にあたる加工性の容易さから好適である。栽培期間中は栽培空間の長手方向の側面と反射材10が平行に位置することが出来る材料であれば、使用できる。
【0023】
なお、反射材10は栽培棚の側面を覆う広さであることが望ましい。栽培棚の側面を覆う広さを有する反射材10を用いることで、栽培中は照明60からの光を栽培棚内の栽培空間の外へ逃がすことを抑制することができる。
【0024】
反射材10とレール30の間には移動部材40が設けられている。反射材10の移動部材40に対する接続は、
図2のように反射材10上部に孔部11aを設け、孔部11aに対して移動部材40に設けられたリング状の接続部によって接続しても良い。その他にも移動部材40にクリップ機構を設けて、反射材10をクリップ機構で挟むことによって固定してもよい。反射材10と移動部材40の接続部分は栽培棚内の栽培空間外に設けられることが好適である。
【0025】
(接続部材)
接続部材50は植物の栽培期において、栽培棚20と反射材10とが吸着する役割を有する。接続部材50として例えばマグネット、ドアキャッチを用いることができる。接続部材50としてマグネットを用いる場合、例えば栽培棚の長手方向の側面に位置する棚柱または棚板に一方の磁極を持つ第1のマグネット51を取り付け、反射材10に一方の磁極とは異なる磁極を持つ第2のマグネット52を取り付けられている。反射材10が栽培棚の側面に吸着する際、第1のマグネット51と第2のマグネット52は互いに重なるように位置している。反射材10が栽培棚の側面に近づいたときに第1のマグネット51と第2のマグネット52が重なる位置に面していれば、第1のマグネット51の位置は、栽培棚の側面の外側に位置するレール30の直下に設置してもよい。第2のマグネット52は反射材10の上部に直接貼りつけてもよいし、
図2のように反射材10上部の移動部材40の一部に取り付けてもよい。
【0026】
反射材10に取り付けられている第2のマグネット52と、第1のマグネット51とが吸着することによって、植物栽培時において自然に栽培棚20から反射材10が遠ざかることを防止することができる。これによって照明60からの光が栽培空間外へ漏れにくくなるので、光を有効利用し栽培することができる。
【0027】
より吸着性を高めるために接続部材50の設置箇所を反射材10の長手方向の上部に加え、反射材10の側面下部に設置してもよい。この場合、栽培棚側の接続部材50の位置は栽培棚20の下部棚板24bの長手方向の側面あるいは棚柱23の下部に設置され、反射材10の側面下部の接続部材50と対面し、重なるような位置に設置していることが望ましい。なお、接続部材50の設置位置は接続部材50によって光を遮らない位置に設置することが望ましい。栽培棚に接続部材50を接続する場合、例えば棚柱の側面外側に接続部材を設置することによって接続部材による光の遮断を抑制できる。
【0028】
(環境監視センサ)
環境監視センサ70は栽培棚内の環境値を計測する機能を有する。例えば、栽培空間で、温度、湿度、光量を計測するセンサを指す。環境値を検知するセンサとして例えば湿度センサ、温度センサ73、光量センサがあり、これらのセンサで計測された環境値は、栽培棚に吸着している反射材10を開閉するための指標にすることができる。
【0029】
湿度センサの測定項目として、例えば、相対湿度がある。栽培棚内の栽培空間での相対湿度を相対湿度センサ72によって測定し、相対湿度値を基に栽培棚に対して反射材10の位置を判断する指標としてもよい。相対湿度センサ72を用いる場合、相対湿度の閾値を設定し、その閾値をあらかじめコンピュータ(不図示)のメモリ(不図示)に記憶させ、その閾値と、測定した相対湿度値すなわち測定結果とをCPU(不図示)によって比較して、その比較結果に基づき反射材10の位置に関する情報を出力部(例えば不図示のプロセッサー)によって出力する方法がある。閾値の設定数は1項目でも複数項目でもよい。閾値を複数設定する場合、例えば、相対湿度センサ72によって相対湿度が第1の閾値以上の場合に栽培棚に吸着された反射材10を開放するための信号を出力し、第2の閾値以下の場合に反射材10が栽培棚と吸着するように信号を出力する機構を設ける方法がある。この場合、相対湿度値の閾値として上限である第1の閾値および下限である第2の閾値を設ける場合がある。検知した相対湿度値が第1の閾値を上回った場合、反射材10を栽培棚から開放するように出力し、検知した相対湿度値が第2の閾値を下回った場合、反射材10を栽培棚と吸着するように信号を出力する。
【0030】
例えば環境監視センサ70によって相対湿度値を測定し、第1の閾値、第2の閾値を設定する場合、第1の閾値95%、第2の閾値が50%とすることが好ましく、更に60%~90%の範囲であることがより好適である。第1の閾値が95%以上になると植物の蒸散速度が低下し、植物生育が抑制される場合がある。また、第2の閾値が50%以下に設定すると、乾燥によって植物の裏面の気孔の閉塞が促され、結果として生育が抑制される場合がある。好適な第1の閾値、第2の閾値は、植物の種類によって変更してもよい。
【0031】
環境監視センサ70によって計測した環境値がある閾値を上回った場合、あるいは閾値を下回った場合にアラートを通してユーザーに通知することができる。
【0032】
相対湿度センサ72にて相対湿度を計測する他にも、栽培空間内のモニタリングを行う上で、例えば温度センサ73や光量センサを用いて測定を行い、環境値としてメモリ(不図示)に記憶してもよい。光量センサで計測する環境値として例えば光量子束密度、照度があるが、植物の生育の関わる光量計測としては光量子束密度で計ることが好適である。
【0033】
相対湿度センサ72による環境値の計測方法以外においても、環境監視センサ70として温度と相対湿度から飽差値を算出し、飽差値に基づいて反射材10の開閉を行ってもよい。環境監視センサ70の位置は栽培棚内部の栽培空間内であれば栽培棚内の栽培パネルに埋め込む形で設置してもよいし、栽培棚側面の棚柱に環境監視センサ70を固定する冶具を用いて設置してもよい。例えば環境監視センサ70で湿度のみを計測するセンサであれば、植栽部26表面の上に配置することができるし、栽培棚20の反射材10よりも内側の栽培空間内の植物よりも高い位置に環境監視センサ70を配置することができる。
【0034】
環境監視センサ70は組込機器と一体化することもできる。例えば環境値を計測する環境監視センサ70を複数組込み、1つの組込センサータグとして用いてもよい。その場合、組込センサータグの電源を外部から取り込んでもよいし、電池を用いてワイヤレス型のセンサとして用いることもできる。これにより光量、及び、湿度等の情報を一つのセンサで取得することができるため、センサの数を少なくすることができる。
【0035】
環境監視データで取得したデータを通信する手法として、例えば組込機器には無線通信機能が備え付けられ、環境監視データで取得した環境値を無線機能によって、サーバー(不図示)へ送信することができる。組込機器の無線通信機能以外において、有線通信機能によってサーバー(不図示)へつなぐことで出力してもよい。
【0036】
サーバー(不図示)で得られた環境値がある閾値に達したときに、反射材10の開閉を行うように表示する機構を設けてもよい。栽培棚に対して反射材10を開閉するための出力を表示する機構として、コンピュータ(不図示)上で表示してもよいし、表示灯で表示しユーザーに周知するようにしてもよい。無線機能によって一度サーバー(不図示)にデータを送信し、送信されたデータをコンピュータ(不図示)上で表示する機構を取りユーザーに通知してもよい。また、サーバ(不図示)に環境監視センサ70の出力を送信して、他の監視用端末のディスプレイの色が変わるようにしてもよい。
【0037】
<実施例1>
本実施例では第1の栽培棚21と第2の栽培棚22とは短手方向に並べられ、平行に向かい合った第1の栽培棚21と第2の栽培棚22にレール30が接続され、レール30には移動部材40と反射材10が設けられており、向かい合う第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の上部棚板24aの側面部と、反射材10の上部に接続部材50が備えられている。
【0038】
第1の栽培棚21と第2の栽培棚22、それぞれの長手方向の側面は互いに平行に向かい合っている。そして、第1の栽培棚21と第2の栽培棚22のそれぞれの長手方向の側面に対して直交するように、すなわち短手方向に沿ってレール30が配置されている。栽培棚の長手方向の両端部にそれぞれレール30を接続する。
【0039】
レール30の設置位置は第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の上部でつながれている。第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の上部にレール30が位置することで、レール30によって照明60からの光を遮ることなく反射材10が第1の栽培棚21および第2の栽培棚22の側面に位置することができる。
【0040】
レール30は第1の栽培棚21と第2の栽培棚22との長手方向側面の両端にそれぞれ位置していて、レール30直下に反射材10の両端部が位置するように接続されている。レール30に対して摺動する移動部材40に対して接続された接続部材50が反射材10の上端部にそれぞれ接続されることによって、反射材10の重みによって移動中によれることを防ぎ、移動部材40とともに移動する反射材10をより安定的に移動することができる。
【0041】
第1の栽培棚21と第2の栽培棚22とにレール30が設けられ、ることによって、栽培棚内部で作業する際、反射材10を遠ざけ易くすることができ、ユーザーおよび作業用装置が栽培棚内部に入り容易に作業することができる。本実施例のレール30には移動部材40が組み込まれ、移動部材40に設けられているリング状の接続部材50が反射材10の上部の穴に接続されている。反射材10の材料は摺動時の作業の容易性からシート状の材料の反射材10を用いた。シート状の反射材10を用いることにより、接続部材50によって固定された反射材10の開放作業時に、反射材10のねじれによる破損を抑制することができる。本実施例の反射材10は植物の生育効率を高めるために波長が400nm~700nmの範囲で反射材10が80%以上の白色の塩化ビニルの素材を用いた。
【0042】
接続部材50は
図2のように反射材10上部に位置する移動部材40に第2のマグネット52が取り付けられ、
図1のように第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の上部棚板24aの側面端部に第1のマグネット51が取り付けられている。反射材10が栽培棚に吸着する際、第1のマグネットと第2のマグネットが向かい合うように位置している。反射材10と栽培棚20に接続部材50を設け、栽培棚20と反射材10とに設けられている接続部材50によって栽培棚20と反射材10とが接続される。上述した構成によって、栽培時に栽培棚20から反射材10が自然に遠ざかることがないため、栽培棚内の光効率をより高められた状態で栽培することができる。
【0043】
接続部材50として本実施例ではマグネットを用いた。栽培棚と反射材10にはそれぞれ磁極の異なるマグネットが取り付けられている。マグネットによって反射材10が栽培棚へ容易に吸着することができる。
【0044】
植物栽培時は向かい合っている第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の長手方向の側面に反射材10が近づき吸着されている。作業時あるいは点検時には第1の栽培棚21と第2の栽培棚22の一方の側面に吸着されていた反射材10は向かい合っている他方の栽培棚に向かって離されている。作業あるいは点検を行う際に一方の栽培棚(例えば第1の栽培棚21)に吸着された反射材10を他方の栽培棚(例えば第2の栽培棚22)の方向へ移動させることで、栽培空間内に反射材10によって遮られることなく作業・点検を容易に行うことができる。また、反射材10の取り外し作業を行わずに作業・点検ができ、反射材10を別の場所に置くことがないため、反射材10が汚れる可能性を低減でき安定した反射効果が得られる。
【0045】
<実施例2>
本実施例に係る植物栽培設備を
図3に示す。本発明に係る植物栽培設備は基本的な構成は実施例1と同様である。本実施例では栽培棚内の栽培空間内に環境監視センサ70が設けられ、環境監視センサ70で計測した環境値と、あらかじめメモリ(不図示)に記憶された第1の閾値あるいは第2の閾値とを、CPU(不図示)によって比較し、これらの比較結果によって栽培棚に対して反射材10の開閉を行うようにコンピュータ(不図示)のプロセッサー(不図示)によって信号を出力し反射材の開閉動作を制御している点で実施例1とは異なる。本実施例では反射材10の開閉を制御するパラメータとして相対湿度を選定した。環境監視センサ70は相対湿度センサ72の他、温度センサ73、光量子束密度センサ74が組込機器によって一体化され取り付けられている。
図3のように栽培棚20の反射材10よりも内側の栽培空間内の植物よりも高い位置に環境監視センサ70を配置した。これにより、湿度、温度、光量子束密度の情報が一つのセンサで取得することができ、センサの設置数を減らすことができた。
【0046】
本実施例の制御ブロック図を
図4に示す。本実施例に係る植物栽培設備として、栽培棚内の栽培空間中に環境監視を行う、温度センサ73と、相対湿度センサ72と、光量子束密度センサ74があり、これらのセンサによる環境値の計測する計測手段と反射材調整手段と照明出力調整手段102と、加湿・除湿調整手段103と、温調ファン調整手段104と、これらの作動を制御する制御手段100とを備えている。環境監視センサ70によって得られた環境値が第1の閾値RH
RHを超えたら栽培棚の側面に位置する反射材10を栽培棚から開放する位置(開放位置)へ移動する指示する出力を行い、第2の閾値RH
RLを下回ったら栽培棚から離れている反射材10を栽培棚の側面に吸着する位置(吸着位置)へ移動するように信号を出力する。
【0047】
反射材10の開閉動作の制御に対する処理の流れを
図5に示す。この出力処理ではS11において相対湿度センサ72で計測した相対湿度RH
Mnが第1の閾値RH
RH以上であるか否かを判定する。相対湿度センサ72で計測した相対湿度RH
Mnが第1の閾値RH
RH以上であると判断した場合、S12へ移動し、反射材10は開放位置へ移動する出力を行う。S11で相対湿度RH
Mnが第1の閾値を下回っている場合、S13へ移動し相対湿度RH
Mnが第2の閾値RH
RL以下であるか否かを判定する。S13では相対湿度RH
Mnが第2の閾値RH
RL以下の場合はS14へ移動し反射材10を吸着位置へ移動する出力を行う。S13で相対湿度RH
Mnが第2の値を上回っている場合はS11へ移動し、相対湿度RH
Mnが第1の閾値RH
RH以上であるか否かを判定する処理を行う。
【0048】
本実施例では環境監視センサ70で計測した計測値と比較するための第1の閾値RHRHは90%を指し、第2の閾値RHRLは60%とした。第1の閾値RHRHおよび第2の閾値RHRLは本実施例の値に限らず、植物の種類や生育状況に応じて閾値を変更することが可能である。
【0049】
反射材10の開閉動作の出力をユーザーに通知する基準として、相対湿度センサ72で得られた相対湿度RHMnが第2の閾値以下に達し吸着位置へ移動する出力を行う場合、あるいは相対湿度RHMnが第1の閾値以上に達し、開放位置へ移動する出力を行う場合に設定した。反射材10の開閉動作に関わる出力の流れとして、相対湿度センサ72が組込まれている組込機器に搭載している無線機能を通して、サーバー(不図示)に環境監視センサ70の出力を送信する。その後サーバー(不図示)からアラートランプ80を表示するように出力することによってユーザーに通知する機構とした。これにより、通知を受けたユーザーは反射材10の開閉動作を自ら行うこともできるし、反射材10に自動で開閉する機構を設け、反射材10の開閉動作を自動で行う自動化設備に信号を送信することもできる。
【0050】
本実施例の構成により、作業、点検の際には反射材10を容易に栽培棚20の短手方向に移動させることで作業効率を高められ、かつ、栽培棚内の栽培空間で適正な範囲の相対湿度値で制御され、植物の蒸散を適切に促すことができるため、過剰な湿潤および乾燥による植物の生育量の低下を抑制することができる。すなわち作業・点検の効率化と植物栽培の生育抑制を抑えることができる。
【0051】
本実施例では相対湿度センサ72で検知した相対湿度によって、栽培棚に対する反射材10の開閉制御の応答について出力していたが、これに限定されずに、栽培空間の環境値を適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 反射材
11a 孔部
20 栽培棚
21 第1の栽培棚
22 第2の栽培棚
23 棚柱
24 棚板
24a 上部棚板
24b 下部棚板
26 植栽部
30 レール
40 移動部材
50 接続部材
51 第1のマグネット
52 第2のマグネット
60 照明
70 環境監視センサ
72 相対湿度センサ
73 温度センサ
74 光量子束密度センサ
80 アラートランプ
100 制御手段
101 反射材位置調整手段
102 照明出力調整手段
103 加湿・除湿ファン調整手段
104 温調ファン調整手段