(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051155
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ラベル、ラベルの分別方法、及びラベルからの基材の回収方法
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20230404BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20230404BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G09F3/00 Q
B29B17/02 ZAB
G09F3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161656
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
(72)【発明者】
【氏名】中西 雅人
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA12
4F401AA17
4F401AA22
4F401AA24
4F401AB07
4F401AC13
4F401AD02
4F401BA01
4F401BA13
4F401BB01
4F401CA02
4F401CA14
4F401CA25
4F401CA32
4F401CA48
4F401CA49
4F401CB14
4F401EA04
4F401EA05
4F401EA07
4F401EA08
4F401EA45
4F401FA20Z
(57)【要約】
【課題】再利用が可能なラベルを容易に分別できるラベル、ラベルの分別方法、及びラベルからの基材の回収方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係るラベル(11)は、基材(101)と、基材(101)に対して積層され、基材(101)と分離可能な分離層(102)と、分離層(102)の基材(101)側とは反対側に位置する、インキを含むインキ層(105)と、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部(104)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に対して積層され、前記基材と分離可能な分離層と、
前記分離層の前記基材側とは反対側に位置する、インキを含むインキ層と、
エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部と、
を備えるラベル。
【請求項2】
前記発熱部は、前記インキ層に含まれている、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記発熱部は、前記分離層に含まれる、請求項1に記載のラベル。
【請求項4】
基材と、
前記基材に対して積層され、前記基材と分離可能なインキを含むインキ層と、
前記インキ層に含まれ、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部と、
を備えるラベル。
【請求項5】
前記エネルギー線はマイクロ波である、請求項1~4のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項6】
前記材料の誘電損失係数は10以上である、請求項5に記載のラベル。
【請求項7】
前記材料は、カーボンブラック、又はアルミニウム顔料である、請求項1~6のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のラベルを含むラベル群を回収する工程と、
回収した前記ラベル群に前記エネルギー線を照射する工程と、
前記エネルギー線を照射することにより発熱した前記発熱部を含む前記ラベルを分別する分別工程と、
を含むラベルの分別方法。
【請求項9】
前記分別工程において、サーモグラフィーを用いて、発熱した前記ラベルを検出する、請求項8に記載のラベルの分別方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載のラベルを含むラベル群を回収する工程と、
回収した前記ラベル群に前記エネルギー線を照射する工程と、
前記エネルギー線を照射することにより発熱した前記発熱部を含む前記ラベルを分別する分別工程と、
前記分別工程により分別した前記ラベルから前記基材を分離する工程とを含む、ラベルからの基材の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル、ラベルの分別方法、及びラベルからの基材の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトル等のプラスチック製品が飲料の容器等として広く使用されている。省資源及び環境保護の観点等から、PETボトル等のプラスチック製品を再利用することが求められている。
【0003】
プラスチック製品の中でも特にPETボトルの樹脂としての再利用、すなわちマテリアルリサイクルは既に普及している。一方、商品情報等の表示のための印刷が施されたプラスチック製のラベルがPETボトルの胴部に装着されることがあるが、このラベルのマテリアルリサイクルは実施されておらず、サーマルリサイクルに留まっているのが現状である。
【0004】
ラベルをマテリアルリサイクルとして再利用するには、インキをラベルから効率的に除去する必要がある。例えば、特許文献1には、表示印刷インキ層がアルカリ水溶液に可溶のコート層を介して基材フィルム上に形成されたラベルが開示され、コート層をアルカリ水溶液に溶解させることによって、ラベルからインキをアルカリ脱離させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法によって、ラベルからインキを脱離除去することは可能である。しかし、インキの脱離処理を行う前に、インキを脱離できるラベル、即ち上述のコート層を有するラベルと、インキを脱離できないラベルとを分別する必要がある。
【0007】
本発明の一態様は、再利用が可能なラベルを容易に分別できるラベル、ラベルの分別方法、及びラベルからの基材の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るラベルは、基材と、前記基材に対して積層され、前記基材と分離可能な分離層と、前記分離層の前記基材側とは反対側に位置する、インキを含むインキ層と、前記分離層の前記基材側とは反対側に位置し、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、再利用が可能なラベルを容易に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係るラベルの模式的な断面図である。
【
図2】実施形態1に係るラベルの分別方法及び基材の分離方法のフローの一例を示す模式図である。
【
図3】回収したラベル群にエネルギー線を照射する工程の一例を示す模式的な側面図である。
【
図4】変形例1に係るラベルの模式的断面図である。
【
図5】変形例2に係るラベルの模式的断面図である。
【
図6】変形例3に係るラベルの模式的断面図である。
【
図7】変形例4に係るラベルの模式的断面図である。
【
図8】変形例5に係るラベルの模式的断面図である。
【
図9】実施形態2に係るラベルの模式的な断面図である。
【
図10】実施形態3に係るラベルの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一例である実施形態のラベル、ラベル、ラベルの分別方法、及びラベルからの基材の回収方法について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係るラベル、ラベルの分別方法、及びラベルからの基材の回収方法の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態1〕
<ラベル>
図1に、実施形態1のラベル11の模式的な断面図を示す。
図1に示すように、ラベル11は、基材101と、基材101に対して積層されたアルカリ可溶性の下地層(分離層)102と、下地層102に対して積層されたインキ層105とを備えている。ラベル11は、熱収縮性を有するラベル(シュリンクラベル)であってもよく、熱収縮性を有しないラベルであってもよい。また、ラベル11は、自己伸縮性を有するストレッチラベルであってもよく、自己伸縮性を有しないラベルであってもよい。インキ層105は、後述するように、エネルギー線の照射により発熱する材料(発熱材料)を含む発熱部104と、発熱材料を含まず、発熱しない非発熱部103と、を含む。
図1に示すように、下地層102の表面に、所定の幅を有する発熱部104が形成されており、発熱部104を包囲するように非発熱部103が形成されている。発熱部104は、非発熱部103に形成された孔又は凹部に形成されていてもよい。ラベル11においては、
図1における下側がラベル11の裏側に相当し、ラベル11の裏側をPETボトル等の容器の表面に向けた状態で、当該表面を覆う等して使用される。後述するように、ラベル11は、基材101の表側にインキ層105が形成されるものであってもよい。非発熱部103は概ね、透明であってもよい。
【0013】
<基材>
基材101は、下地層102及びインキ層105を支持することが可能な樹脂を含む基体である。基材101に含まれる樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、又はアクリル系樹脂等を用いることができる。基材101は、これらの樹脂の1種類を含んでいてもよく、2種類以上を含んでいてもよい。
【0014】
基材101に含まれる樹脂としては、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましく、中でもPETを用いることが好ましい。PETは、ジカルボン酸成分の主成分としてテレフタル酸を含み、ジオール成分の主成分としてエチレングリコールを含むポリエステル樹脂である。また、PETは、他の成分として、例えば、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、又はナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸を含んでいてもよく、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、又は1,4-シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分を含んでいてもよい。
【0015】
基材101は、例えば、熱収縮性を有するフィルム(シュリンクフィルム)であってもよい。基材101がシュリンクフィルムである場合には、ラベル11の加工性(容器への追従性)及び装飾性を向上させることができる。基材101は、また、例えば、自己伸縮性を有するストレッチフィルムであってもよい。
【0016】
基材101は、1層からなる単層フィルムであってもよく、2層以上からなる多層フィルムであってもよい。また、基材101の厚さは、例えば5μm以上100μm以下とすることができるが、特に限定されない。
【0017】
<下地層>
下地層102は、基材101とインキ層105との間に位置し、アルカリ可溶性を有する樹脂を含む層である。下地層102がアルカリ可溶性を有するとは、下地層102をアルカリ水溶液に浸漬した場合に、下地層102が溶解することを意味する。例えば、下地層102は、任意の大きさの基材101に対して、4cm×4cm角の大きさの下地層102を形成し、かつ当該下地層102に対して任意のインキ層105を設けた試料を、85℃でかつ1.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して1500rpmで撹拌した場合に、浸漬時間15分で、インキ層105の全面積の70%以上が試料から脱離するものである。下地層102に含まれる樹脂としては、例えばアクリル酸共重合樹脂が挙げられる。アクリル酸共重合樹脂とは、主たる繰り返し単位として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を含むとともに、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と共重合可能な共重合モノマーを含む樹脂である。アクリル酸共重合樹脂として、メタクリル酸-メチルメタクリル酸共重合体であることが好ましい。アクリル酸共重合樹脂は、樹脂におけるアクリル酸及び/又はメタクリル酸、ならびに共重合モノマーの合計割合が、60モル%以上であることが好ましい。
【0018】
下地層102の厚さは、例えば、0.1μm以上5μm以下とすることができ、0.3μm以上3μm以下とすることが好ましいが、特に限定されない。
【0019】
<インキ層>
インキ層105は、下地層102の基材101とは反対側に位置し、インキを含む層である。インキ層105に含まれるインキは、例えば、顔料、樹脂、及び添加剤を含んでいてもよい。また、インキ層105は、デザイン印刷層であることが好ましい。デザイン印刷層は、顔料を含み、視認可能な絵柄又は文字等を表示する層である。インキ層105は、下地層102の全面に設けられていてもよく、下地層102の一部に設けられていてもよい。また、インキ層105は、単層であってもよく、多層であってもよい。インキ層105の厚さは、例えば0.1μm以上30μm以下程度とすることができるが、特に限定されない。上述したように、インキ層105は、発熱部104と、発熱部104以外の非発熱部103と、を含む。
【0020】
<発熱部>
発熱部104を構成するインキは、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む。
【0021】
[エネルギー線]
エネルギー線としては、X線又は紫外光等の短波長の電磁波、可視光、赤外光、近赤外光、及びマイクロ波等が挙げられる。本発明者等は、アルカリ溶液により除去することができる下地層を含み、エネルギー線を照射することにより発熱する材料をさらに含むことにより、発熱を検知して分別できるラベルの検討を行った。従来、紫外光等のエネルギー線照射による発色を検知してラベルを分別することも行われてきた。しかし、発光の度合がそれほど強くないので、発光用の材料を多量にラベルに含ませる必要があり、又は高性能のカメラが必要であった。これに対し上述の発熱材料を用いる場合、使用量は少なくて済み、高性能のカメラも必要としない。中でも、マイクロ波領域のエネルギー線を吸収する材料を発熱材料として用いることが好ましい。通常のデザイン印刷に用いられる材料は、マイクロ波領域のエネルギー線照射による発熱が起こり難い。そのため、マイクロ波領域のエネルギー線を吸収する材料を発熱材料として用いることにより、再利用可能なラベルと、再利用に適していないラベルとを高い精度で区別できる。
【0022】
[発熱材料]
マイクロ波領域のエネルギー線を吸収する発熱材料としては、アルミニウム顔料、カーボンブラック、ポリチオフェン導電性ポリマー等の導電性高分子等が挙げられる。特に、アルミニウム顔料及びカーボンブラックは、マイクロ波を顕著に吸収するので、発熱部104が良好に発熱し、再利用可能なラベル11を良好に分別できる。発熱材料としては、少量のエネルギーで発熱するという観点から、誘電損失係数が10以上である材料を用いることが好ましい。誘電損失係数が100以上であるカーボンブラックはマイクロ波をより顕著に吸収するので、発熱材料としてより好ましい。さらに、カーボンブラックは耐光性に優れるので、ラベル11の回収までに、上述の紫外光で発光する材料のように退色することもない。搬送時のラベル11の向きが表裏のいずれであっても、マイクロ波は発熱部104に到達できるので、ラベル11の向きがマイクロ波の吸収に影響することもない。カーボンブラックの場合、黒色を有するので、JANコード、製品表示、製品の説明、リサイクルマーク、光電管マーク等に用いることができ、デザイン性を損なうこともない。ラベル11の一部としての発熱部104が発熱した場合、サーモグラフィーにより容易に検知できるので、発熱部104の平面視の面積は小さくてよい。従って、印刷コスト等の発熱部104のコストは安価である。
【0023】
<ラベルの製造方法>
実施形態のラベル11は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、基材101を準備する。基材101は、例えば、押出法又はカレンダー法等の方法によってフィルムを成形することにより、必要に応じて、当該フィルムに対してさらに延伸処理を施すことにより準備することができる。
【0024】
次に、基材101の一方の表面に下地層102を形成する。下地層102は、例えば、下地層102に含まれる樹脂、溶剤などを含む組成物を基材101の一方の表面に塗布した後に乾燥固化させることにより形成することができる。
【0025】
次に、下地層102の表面に、インキ層105として、非発熱部103及び発熱部104を形成する。インキ層105は、例えば、非発熱部103を形成するためのインキ、及び発熱材料を含み、発熱部104を形成するためのインキを下地層102の表面に塗布した後に乾燥、固化させることにより形成することができる。非発熱部103及び発熱部104は、印刷、印字、練り込み等によって形成してもよい。印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、公知の方法が挙げられる。複数の印刷方法を組み合わせてもよい。
【0026】
非発熱部103及び発熱部104は、例えば印刷により形成する場合のように、一度に下地層102の表面に形成してもよく、各別に形成してもよい。非発熱部103及び発熱部104を各別に形成する場合、下地層102の表面に先に非発熱部103を形成した後、非発熱部103が形成されていない下地層102の表面に発熱部104を形成してもよく、下地層102の表面に先に発熱部104を形成した後、非発熱部103を形成してもよい。
【0027】
<ラベルの装着方法>
ラベル11は、容器(例えば、PETボトル)に装着されるものであり、印刷面(すなわち、インキ層105が位置する側)が容器と対向するように、容器に巻き付けられる。巻き付け方法としては、種々の方法を採用できる。例えば、ラベル11が巻き付けラベルである場合、ラベル11の一端を容器に貼り付けた状態で一周させ、他端を一端の表面に貼り付ければよい。ラベル11がシュリンクラベルである場合、ラベル11を予め筒状に形成し、容器に被せてラベル11を収縮させればよい。
【0028】
<ラベルの分別及び基材の回収方法>
図2は、実施形態1に係るラベルの分別方法及び基材の回収方法のフローの一例を示す模式図である。
図2に示すように、インキ層の分別方法は、ボトル回収工程S1、圧縮工程S2、集積工程S3、ラベル群の回収工程S4、エネルギー線照射・分別工程(エネルギー線を照射する工程、ラベルを分別する工程)S5、破砕工程S6、アルカリ脱離工程S7、及び基材とインク塗膜の分離工程(基材を分離する工程:以下、分離工程という)S8を含む。以下、
図2を参照して、ラベルの分別方法及び基材の回収方法の各工程について説明する。S1~S5までの工程がラベルの分別方法に関し、S4~S6までの工程が基材の回収方法に関する。
【0029】
<ボトル回収工程>
図2のS1に示すように、使用済みのPETボトル(物品)10が回収ボックス12に回収される。PETボトル10の胴部には、アルカリ可溶性の下地層102、及びインキ層105(発熱部104)を有するラベル11、又は発熱部104を含まないラベル40が装着されている。
【0030】
ラベル11又はラベル40が装着される物品としては、PETボトル10以外の容器又は容器以外の各種成形品等であってもよい。同様に、ラベル11又はラベル40の種類は特に限定されず、シュリンクラベル、巻付けラベル(ロールラベル)、及びストレッチラベル等であってもよい。
【0031】
<圧縮工程>
図2のS2に示すように、回収されたPETボトル10をラベル11又はラベル40が装着された状態で圧縮して、ラベル付きベール20とする。
【0032】
<集積工程>
図2のS3に示すように、ラベル付きベール20を集積し、リサイクル工場30へ送る。
【0033】
<ラベル群の回収工程>
図2のS4に示すように、実施形態1のラベル11と、発熱部104を含まないラベル40とを含むラベル群50を回収する。リサイクル工場30において、ラベル付きベール20のPETボトル10からラベル11又はラベル40を取り外して、PETボトル10と、ラベル11及びラベル40を含むラベル群50とに分離し、ラベル群50を回収する。ラベル40としては、発熱部104を含まず、かつ基材101から分離可能なアルカリ可溶性の下地層102又はインキ層105を含まないラベルが想定される。PETボトル10は、例えば、既存のリサイクル工程で再利用される。
【0034】
<エネルギー線照射・分別工程>
次に、
図2のS5に示すように、回収したラベル群50にエネルギー線としてのマイクロ波を照射する。
図3に、回収したラベル群50にエネルギー線を照射する工程の一例の模式的側面図を示す。以下、
図3を参照して、回収したラベル群50にマイクロ波を照射する工程の一例について説明する。
【0035】
まず、回収したラベル群50を、マイクロ波照射エリア201に搬入する。マイクロ波照射エリア201には、マイクロ波照射部21が配置されている。マイクロ波照射部21からラベル群50にマイクロ波22が照射される。ラベル11は発熱部104を含むので、マイクロ波の照射により発熱する。ラベル40は発熱部104を含まないので発熱しない。
【0036】
次に、マイクロ波22の照射後のラベル群50をマイクロ波照射エリア201から搬出し、サーモグラフィーエリア202へ搬入する。サーモグラフィーエリア202には、サーモグラフィーカメラ24が配置され、サーモグラフィーカメラ24は画像処理装置25に接続されている。サーモグラフィーカメラ24としては、例えば赤外線カメラが挙げられ、画像処理装置25としては、例えばPC(パーソナルコンピュータ)が挙げられる。サーモグラフィーカメラ24により、搬送されるラベル群50の画像が撮像される。画像処理装置25は、サーモグラフィーカメラ24から撮像データを取得して画像処理を行い、各ラベル11又はラベル40の温度分布をディスプレイ上に表示する。ラベル11がコンベアで搬送される際、ラベル11の向きが表と裏のいずれであっても、マイクロ波の吸収及び発熱には影響されないので、ラベル11の向きを考慮する必要はない。
【0037】
マイクロ波の照射後、ラベル11の発熱部104は発熱しているので、画像処理装置25のディスプレイに赤い部分として表示される。ラベル40は、マイクロ波が照射されることにより発熱する材料を含んでいないため、赤い部分を有しない。従って、ラベル11を、ラベル40と分別して回収することが可能になる。温度分布の画像に基づいて、人手又はロボットによりラベル11が分別され、下記の破砕機70へ搬送される。分別されたラベル40は、例えばサーマルリサイクル工場へ搬送され、再利用される。なお、マイクロ波照射エリア201とサーモグラフィーエリア202とは、同一のエリアであってもよい。すなわち、ラベル群50にマイクロ波22を照射しながらサーモグラフィーカメラ24で撮像データを取得してもよい。
【0038】
<破砕工程>
図2のS6に示すように、ラベル11を破砕機70により破砕してラベル片71を作製する。破砕工程S6では、続くアルカリ脱離工程S7にてラベル11からインキ層105を除去することに先立って、ラベル11を破砕して、より小さなラベル片71とする。このように、ラベル11をより小さなラベル片71にした状態でアルカリ脱離工程S7を実施することによって、アルカリ脱離工程S7にてラベル片71からインキ層105を効率的に除去することができる。
【0039】
ラベル11を破砕する方法は、特に限定されない。ラベル11は、後述するアルカリ脱離工程S7にて、ラベル片71からインキ層105を効率的に除去することができる程度の大きさ(例えば数cm角)に破砕される。
【0040】
なお、破砕工程S6は必須ではなく、省略することも可能である。この場合、ラベル11の状態でアルカリ脱離工程S7が実施される。また、ラベル11がシュリンクラベルである場合、破砕工程S6の前に予備加熱を行ってラベル片71がカールする量を抑制し、下記のアルカリ脱離工程S7にて、ラベル片71の表面から良好にインキ層105が脱離するようにしてもよい。
【0041】
<アルカリ脱離工程>
図2のS7に示すように、ラベル片71からインキ層105をアルカリ脱離により除去する。アルカリ脱離は、例えば、熱アルカリ槽82中の80℃~90℃程度のアルカリ水溶液80にラベル片71を30秒~20分程度浸漬させた状態で熱アルカリ槽82内を攪拌させることにより行なう。この場合には、熱アルカリ槽82内にてラベル片71を基材101と、インキ層105から生じたインキ塗膜93とに容易に分離させることができる。また、アルカリ脱離は、例えば、上述のアルカリ水溶液80にラベル片71を30秒~20分程度浸漬させた後、水洗浄することにより行なってもよい。この場合には、水洗浄(例えば水槽内)にてラベル片71を基材101とインキ塗膜93とに容易に分離させることができる。アルカリ水溶液80には、さらに脱離性の向上を目的として、界面活性剤を加えてもよい。
【0042】
アルカリ水溶液80の温度は65℃以上であることが好ましい。なお、アルカリ脱離の温度は好ましくは100℃以下であり、より好ましくは85℃以上95℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上90℃以下である。ラベル片71からインキ層105を除去した後のアルカリ水溶液80は廃液として廃棄処理されてもよく、アルカリ脱離用のアルカリ水溶液80として再利用されてもよい。アルカリ水溶液80としては、ラベル片71を浸漬させることにより、ラベル片71からインキ層105を除去することが可能であれば特に限定されず、アルカリ性物質を含有するアルカリ性の水溶液であれば特に限定されない。アルカリ水溶液80としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、炭酸ナトリウム(Na2CO3)等のアルカリ金属炭酸塩の水溶液、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)等のアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液、又はアンモニア水等を用いることができる。
【0043】
アルカリ水溶液80中のアルカリ性物質の濃度は、インキ層105及び発熱部104の脱離能、操作性、又は作業性等を損なわない範囲で適宜選択することができる。アルカリ水溶液80中のアルカリ性物質の濃度は、例えば0.1~10重量%程度、好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは1~3重量%程度である。アルカリ水溶液80は、溶媒として水以外の溶媒を含んでもよい。例えば、アルカリ水溶液80は、溶媒として、水に加えて、グリコール系溶剤または高沸点溶剤(例えば、高分子アルコール系溶剤)を含んでいてもよい。
【0044】
<分離工程>
図2のS8に示すように、水槽86中のフィルム片91とインキ塗膜93とを分離して回収する。例えば、相対的に大きな開口を有する第1篩90で、ラベル片71からインキ層が脱離した後のフィルム片91を捕集し、相対的に小さな開口を有する第2篩92でフィルム片91よりも小さいインキ塗膜93を捕集する。インキ塗膜93は、アルカリ脱離工程S7にて、ラベル片71から除去されたインキ層105が細かく分断した膜である。
【0045】
その後、第1篩90で捕集されたフィルム片91は、例えばペレット等のプラスチック製品の製造用のプラスチック原料として再利用することができる。また、新しいラベルの原料にフィルム片91を混ぜ込むことによって、ラベルとして再利用することもできる。一方、第2篩92で捕集されたインキ塗膜93は、例えばサーマルリサイクル工程で再利用することができる。
【0046】
なお、アルカリ脱離工程S7にてラベル片71から脱離させたインキ塗膜93が水性のインキを含む場合、分離工程S8において、篩分けに代えて、溶剤揮発、抽出等により凝集され、遠心分離、ろ過等により分離され、回収される。
【0047】
<変形例1>
図4は、変形例1に係るラベル13の模式的な断面図である。図中、
図1と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。この点については、後述する変形例2~5においても同様である。ラベル13は、基材101と、基材101の一面に形成されたアルカリ可溶性の下地層102とを備え、下地層102の基材101とは反対の面に発熱部104が形成されている。発熱部104は平面視で一定の面積を有し、塗工、印刷、印字、又は練り込み等により形成されている。発熱部104の表面及び下地層102の表面を覆うように、非発熱部103が形成されている。ラベル13は、下地層102の前記面に発熱部104を形成した後、非発熱部103を形成することにより製造される。発熱部104は非発熱部103に覆われ、保護されている。発熱部104と非発熱部103とによりインキ層105が構成される。ラベル13の場合、発熱部104の表面が露出していないので、外的要因により発熱部104が落下(欠損)する虞がない。また、発熱部104が非発熱部103に覆われているので、発熱した際に熱が外部に逃げにくく、発熱が良好に検知されてラベル13が分別される。
【0048】
<変形例2>
図5は、変形例2に係るラベル14の模式的断面図である。ラベル14の発熱部104は、非発熱部103の下地層102と接していない方の面から下地層102側に凹んだ凹部に形成されている。ラベル11と異なり、発熱部104の厚さは、非発熱部103の厚さより薄い。発熱部104がカーボンブラック等の黒い色を有する場合、発熱部104の形成範囲を、発熱を検知できる程度の範囲にすることで、非発熱部103のデザインに与える影響を低減できる。
【0049】
<変形例3>
図6は、変形例3に係るラベル15の模式的断面図である。ラベル15の発熱部104は、非発熱部103の下地層102と接していない方の面に形成されている。ラベル15の場合、非発熱部103を下地層102の全面に形成した後、スポット的に随意の位置に、発熱部104を容易に形成できる。
【0050】
<変形例4>
図7は、変形例4に係るラベル16の模式的断面図である。ラベル16の発熱部104は、基材101の下地層102と接していない方の面に形成されている。ラベル16の場合、発熱部104を、基材101の表面の随意の位置に、容易に形成できる。
【0051】
<変形例5>
図8は、変形例5に係るラベル17の模式的断面図である。ラベル17においては、下地層102は、基材101の両面に形成されている。発熱部104は、ラベル17の最表面に露出した下地層102の表面に形成されている。ラベル17の場合、アルカリ脱離等により、発熱部104が形成されている側の下地層102も基材から分離させて、基材101が非発熱部103及び発熱部104のインキ層105を含まない状態で、再利用できる。
【0052】
<効果>
上述したように、実施形態1のラベル11、13~17(以下、ラベル11等という)は、発熱部104を備えるので、発熱を検知することにより、再利用が可能なラベル11等を容易に分別することができる。サーモグラフィーにより、発熱を良好に検知することができる。分別したラベル11等の基材101は、下地層102を消失させることで、非発熱部103及び発熱部104から分離され、基材101を再利用することができる。発熱部104がインキ層105に含まれている場合、発熱部104により視認可能な絵柄又は文字等を表示することができる。エネルギー線がマイクロ波である場合、マイクロ波領域のエネルギー線を吸収して発熱する材料をラベル11等が含むことによって、当該材料を含まないラベルと明確に区別することができる。発熱材料としてカーボンブラック、又はアルミニウム顔料を用いる場合、これらの材料はマイクロ波を顕著に吸収するので、発熱部104が良好に発熱し、再利用可能なラベルを良好に分別できる。発熱材料の誘電損失係数が10以上である場合、発熱材料が少量でも検出可能な量の熱を発生させることができる。
【0053】
実施形態1のラベル11等の分別方法によれば、エネルギー線照射・分別工程S5においてエネルギー線を照射することにより発熱したラベル11等を検知して、基材101を分離できるラベル11等を容易に分別することができる。エネルギー線照射・分別工程S5において、サーモグラフィーを用いて、容易に発熱したラベル11を検知できる。
【0054】
実施形態1のラベル11等からの基材の回収方法によれば、上述のラベル11等の分別方法により、発熱に基づいて再利用可能であることが検知されたラベル11等から基材101を分離して良好に再利用することができる。
【0055】
実施形態1に係るラベル11等の分別方法及びラベル11等からの基材の分離方法によれば、ラベル11等を再利用することが可能であり、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献することができる。
【0056】
以上のラベル11等は、インキ層105が裏側(ラベルの容器に接する側)に位置する場合につき説明しているが、インキ層105は表側に位置するものであってもよい。
【0057】
〔実施形態2〕
図9は、実施形態2に係るラベル18の模式的断面図である。図中、
図1と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。ラベル18においては、基材101の表側(ラベルの、容器に接する側と反対側)に、アルカリ可溶性の下地層108が形成されている。下地層108は、発熱材料を含まない下地層である非発熱部106と、発熱材料を含む下地層である発熱部107と、を含む。非発熱部106の組成は、上述の下地層102の組成と同様である。非発熱部106に設けられた孔又は凹部に、発熱部107が形成されている。発熱部107は、上述の発熱部104と同様の発熱材料を含み、アルカリ可溶性である。非発熱部106と発熱部107とは、印刷等により、基材101の表面に形成してもよい。非発熱部106と発熱部107とのいずれか一方を基材101の表面に形成した後に、他方を形成してもよい。また、非発熱部106を形成するための組成物に、発熱部107の発熱材料を含む組成物を混合したものを基材101の表面に塗布し、固化、乾燥させて、下地層108を形成してもよい。下地層108の表面には、インキ層109が形成されている。インキ層109の組成は上述の非発熱部103の組成と同様であり、インキ層109は、非発熱部103と同様にして下地層108の表面に形成される。下地層108が発熱部107を含むので、インキ層109は、発熱部107に基づくデザイン上の制限が低減した状態で、形成され得る。
【0058】
〔実施形態3〕
図10は、実施形態3に係るラベル19の模式的断面図である。図中、
図1と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。ラベル19は、基材101と、基材101の一面に形成されたアルカリ可溶性のインキ層112とを備える。インキ層112は、非発熱部110と、発熱材料を含む発熱部111と、を含む。基材101の表面に、所定の幅を有する発熱部111が形成されており、発熱部111を包囲するように非発熱部110が形成されている。発熱部111は、非発熱部110に形成された孔又は凹部に形成されていてもよい。非発熱部110、及び発熱部111は、例えばスチレン-アクリル酸共重合体及び/又はスチレン-マレイン酸共重合体等のビヒクル樹脂を含む。非発熱部110、及び発熱部111は、上述の非発熱部103、及び発熱部104と同様にして形成される。実施形態3によれば、上述のアルカリ脱離工程において、インキ層112がアルカリ水溶液に溶解して消失し、基材101が、インキ層112から分離することになる。即ち、分離層としての下地層102を有さず、基材101を、インキ層112から分離できる。
【実施例0059】
以下、発熱部104の材料を検討した結果について説明する。
<インキの収縮性評価>
基材101として、PETフィルムを準備した。グラビア校正機を用いて、下記表1のサンプル1~10を含むインキを基材101層に塗布した後に固化させることによってインキ層を形成した。サンプル1~10の発熱材料、及び複素比誘電率の虚数部(誘電損失係数)を表1に示す。ここで、インキ層は発熱部104に相当する。
【0060】
各インキ層を形成した基材101層を50mm×50mmに裁断し、電子レンジで10秒間マイクロ波を照射した際の収縮性を評価した。収縮性評価は下記の通りである。収縮性が高いということはマイクロ波を良好に吸収して発熱することを意味する。
評価A:収縮フィルムの最大収縮率までの収縮、または一部フィルムの溶融が確認された
評価B:収縮フィルムが収縮した(ただし、収縮率は最大収縮率未満)
評価C:収縮しなかった
【0061】
【0062】
表1より、誘電損失係数が100以上であるカーボンブラックを含むサンプル1~4のインキの組成物を基材101に塗布した場合、良好に収縮し、即ちマイクロ波の吸収量が多く、良好に発熱したことが分かる。誘電損失係数が10以下である、カーボンブラックを含むサンプル1~4のインキの組成物を基材101に塗布した場合、収縮しなかった。誘電損失係数が10以上であるアルミニウム顔料を含むサンプル9の組成物を基材101に塗布した場合、良好に収縮し、良好に発熱したことが分かる。誘電損失係数が10未満であるアルミニウム顔料を含むサンプル10の組成物を基材101に塗布した場合、収縮しなかった。
【0063】
以上より、発熱部104の材料として、カーボンブラック、アルミニウム顔料、及び銀インキが挙げられ、誘電損失係数が10以上である材料を用いることが好ましいことが分かる。発熱部104の材料としてカーボンブラックを選択する場合、誘電損失係数が100以上であるカーボンブラックがより好ましい。
【0064】
<まとめ>
本発明の態様1に係るラベルは、基材と、前記基材に対して積層され、前記基材と分離可能な分離層と、前記分離層の前記基材側とは反対側に位置する、インキを含むインキ層と、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部と、を備える。
【0065】
上記構成によれば、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部を備えるので、発熱を検知することにより、再利用が可能なラベルを容易に分別することができる。分離層をアルカリ脱離処理等によって基材から分離させることにより、分別したラベルの基材を発熱部から分離させて再利用することができる。
【0066】
本発明の態様2に係るラベルは、前記発熱部は、前記インキ層に含まれている。
【0067】
上記構成によれば、発熱部はインキ層に含まれているので、視認可能な絵柄又は文字等を表示することができる。印刷等により、発熱部と発熱部以外の部分とを同時に形成することができる。なお、インキ層の全てが発熱部であってもよい。
【0068】
本発明の態様3に係るラベルは、前記発熱部は、前記分離層に含まれる。
【0069】
上記構成によれば、分離層に発熱部を含有させるので、インキ層は発熱部に基づくデザイン上の制限が低減した状態で、形成できる。基材の表側(ラベルの容器に接する側と反対側)に分離層、インキ層がこの順に形成される場合に、適用することもできる。
【0070】
本発明の態様4に係るラベルは、基材と、前記基材に対して積層され、前記基材と分離可能なインキを含むインキ層と、前記インキ層に含まれ、エネルギー線が照射されることにより発熱する材料を含む発熱部と、を備える。
【0071】
上記構成によれば、分離層を介さずに、発熱部を含むインキ層から分離することができる。
【0072】
本発明の態様5に係るラベルは、前記エネルギー線はマイクロ波である。
【0073】
マイクロ波領域のエネルギー線を吸収する材料は限られている。上記構成によれば、マイクロ波領域のエネルギー線を吸収して発熱する材料をラベルが含むことによって、当該材料を含まないラベルと明確に区別することができる。
【0074】
本発明の態様6に係るラベルは、前記材料の誘電損失係数は10以上である。
【0075】
上記構成によれば、材料が少量でもマイクロ波を吸収して発熱する量が多い。
【0076】
本発明の態様7に係るラベルは、前記材料は、カーボンブラック、又はアルミニウム顔料である。
【0077】
カーボンブラック、又はアルミニウム顔料はマイクロ波を顕著に吸収するので、発熱部が良好に発熱し、再利用可能なラベルを良好に分別できる。
【0078】
本発明の態様8に係るラベルの分別方法は、上述のいずれかのラベルを含むラベル群を回収する工程と、回収した前記ラベル群に前記エネルギー線を照射する工程と、前記エネルギー線を照射することにより発熱した前記発熱部を含む前記ラベルを分別する分別工程と、を含む。
【0079】
上記構成によれば、エネルギー線を照射することにより発熱したラベルを検知することにより、基材を分離できるラベルを容易に分別することができる。
【0080】
本発明の態様9に係るラベルの分別方法は、前記分別工程において、サーモグラフィーを用いて、発熱した前記ラベルを検出する。
【0081】
上記構成によれば、発熱した部分の画像は赤くなるので、容易に発熱したラベルを検知できる。ラベルの一部が発熱すれば、サーモグラフィーにより検知できるので、ラベル全体に発熱部を設ける必要はなく、分別可能なラベルは安価に製造できる。
【0082】
本発明の態様10に係るラベルからの基材の回収方法は、上述のラベルのを含むラベル群を回収する工程と、回収した前記ラベル群に前記エネルギー線を照射する工程と、前記エネルギー線を照射することにより発熱した前記発熱部を含む前記ラベルを分別する分別工程と、前記分別工程により分別した前記ラベルから前記基材を分離する工程と、を含む。
【0083】
上記構成によれば、分別したラベルから基材を分離して再利用することができる。