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特開2023-51156ラベル付き容器、ラベル製造方法およびラベル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051156
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ラベル付き容器、ラベル製造方法およびラベル
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20230404BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20230404BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B65D23/00 H BRL
G09F3/10 J
B65D25/20 Q BSG
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161657
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】土橋 英訓
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062DA02
3E062DA09
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB06
3E062JB26
3E062JC07
3E062JD10
(57)【要約】
【課題】インキ層が付着していない基材を回収する。
【解決手段】本発明の一態様のPETボトル容器(1)は、巻付けラベル(10)が巻き付けられており、巻付けラベル(10)は、基材(11)と、インキ層(12)と、巻付けラベル(10)の一端部(10a)を容器胴部(3)に接着させる第1接着層(14)と、巻付けラベル(10)の他端部(10b)を基材(11)に接着させる第2接着層(15)と、基材(11)とインキ層(12)との間にアルカリ可溶性を有する下地層(13)と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルが巻き付けられたラベル付き容器であって、
前記ラベルは、
基材と、
インキを含むインキ層と、
前記ラベルの一端部を前記容器に接着させる第1接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第1接着層と、
前記ラベルの他端部を前記基材に接着させる第2接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第2接着層と、を含み、
(i)前記基材と前記インキ層との間にアルカリ可溶性を有する下地層を含むか、または、(ii)前記インキ層がアルカリ可溶性を有する、ラベル付き容器。
【請求項2】
前記基材の前記インキ層側とは反対側において、前記第2接着層と前記基材との間にアルカリ可溶性の層を有する、請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
前記第2接着層は、アルカリ可溶性を有する、請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項4】
前記第1接着層は、前記容器と同種の材料で構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル付き容器。
【請求項5】
ラベルが巻き付けられたラベル付き容器であって、
前記ラベルは、
基材と、
インキを含むインキ層と、
前記ラベルの一端部を前記容器に接着させる第1接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第1接着層と、
前記ラベルの他端部を前記容器に接着させる第2接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第2接着層と、を含み、
(i)前記基材と前記インキ層との間にアルカリ可溶性を有する下地層を含むか、または、(ii)前記インキ層がアルカリ可溶性を有する、ラベル付き容器。
【請求項6】
前記第1接着層および前記第2接着層は、前記容器と同種の材料で構成されている、請求項5に記載のラベル付き容器。
【請求項7】
容器に取り付けられるラベルを製造するラベル製造方法であって、
請求項1から6のいずれか1項に記載のラベル付き容器に巻き付けられていた前記ラベルをアルカリ性溶液で処理することにより、前記インキ層と分離された前記基材を回収する基材回収工程と、
前記基材回収工程において回収された前記基材を少なくとも材料の一部として用いて、ラベルを作製するラベル作製工程と、を含む、ラベル製造方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のラベル付き容器に用いられるラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルが巻き付けられたラベル付き容器などに関する。
【背景技術】
【0002】
商品情報等の表示のための印刷が施されたプラスチック製のラベルが容器(例えば、PETボトル)の胴部に装着されている場合がある。当該ラベルの一例として、特許文献1に記載のように、接着剤を用いてPETボトルに接着される巻付けラベルが存在する。特許文献1のような一般的な巻付けラベルは、基材と、上記印刷を施すためのインキを含むインキ層とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-3724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省資源および環境保護の観点等から、巻付けラベルの基材をリサイクルすることが考えられる。巻付けラベルの基材をリサイクルする際には、できるだけ純度の高い基材を用いることが好ましい。そのため、特許文献1に開示された巻付けラベルのような基材とインキ層とを含む巻付けラベルをリサイクルする場合には、インキ層が付着していない基材を回収できることが好ましい。
【0005】
本発明の一態様は、インキ層が付着していない基材を回収することができるラベル付き容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベル付き容器は、ラベルが巻き付けられたラベル付き容器であって、前記ラベルは、基材と、インキを含むインキ層と、前記ラベルの一端部を前記容器に接着させる第1接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第1接着層と、前記ラベルの他端部を前記基材に接着させる第2接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第2接着層と、を含み、(i)前記基材と前記インキ層との間にアルカリ可溶性を有する下地層を含むか、または、(ii)前記インキ層がアルカリ可溶性を有する。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベル付き容器は、ラベルが巻き付けられたラベル付き容器であって、前記ラベルは、基材と、インキを含むインキ層と、前記ラベルの一端部を前記容器に接着させる第1接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第1接着層と、前記ラベルの他端部を前記容器に接着させる第2接着層であって、(i)前記インキ層の前記基材側とは反対側に位置する層の最表面に位置する、または、(ii)前記インキ層と並んで前記ラベルの最表面に位置する第2接着層と、を含み、(i)前記基材と前記インキ層との間にアルカリ可溶性を有する下地層を含むか、または、(ii)前記インキ層がアルカリ可溶性を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、インキ層が付着していない基材を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係るPETボトル容器の正面図である。
図2図1に示すA-A線矢視断面図であり、上記PETボトル容器を長手方向に垂直な平面で切断した断面図である。
図3】上記PETボトル容器に巻き付ける前の巻付けラベルの構成を示す断面図である。
図4】上記PETボトル容器における、上記巻付けラベルが容器胴部と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
図5】本発明の実施形態1に係るラベル製造方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態2に係るPETボトル容器に巻き付ける前の巻付けラベルの構成を示す断面図である。
図7】上記PETボトル容器における、上記巻付けラベルが容器胴部と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
図8】本発明の実施形態3に係るPETボトル容器における、巻付けラベルが容器胴部と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
図9】本発明の実施形態4に係るPETボトル容器を長手方向に垂直な平面で切断した断面図である。
図10】上記PETボトル容器に巻き付ける前の巻付けラベルの構成を示す断面図である。
図11】上記PETボトル容器における、上記巻付けラベルが容器胴部と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
図12】本発明の実施形態5に係るPETボトル容器に巻き付ける前の巻付けラベルの構成を示す断面図である。
図13】上記PETボトル容器における、上記巻付けラベルが容器胴部と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態では、巻付けラベル10が装着されたラベル付き容器としてのPETボトル容器1について説明する。しかし、巻付けラベル10が装着される容器(物品)は、PETボトル容器1に限定されない。当該容器は、巻付けラベル10が装着されて使用されるものであればよく、PETボトル以外の容器であってもよい。
【0011】
<PETボトル容器1>
図1は、本実施形態におけるPETボトル容器1の正面図である。図2は、図1に示すA-A線矢視断面図であり、PETボトル容器1を長手方向に垂直な平面で切断した断面図である。図2に示す各部材は、理解を容易にするため、各部材を模式的に示したものであり、各部材のサイズ(例えば、厚みなど)は実際の大きさとは異なることを付記しておく。これについては、後述する各図についても同様である。図1および図2に示すように、PETボトル容器1は、容器本体2と、巻付けラベル10(ラベル)とを備えている。
【0012】
容器本体2は、ポリエチレンテレフタレートにより構成されている。容器本体2は、容器胴部3を有している。図2に示すように、容器胴部3には、巻付けラベル10の一部が重なるように巻付けラベル10が巻き付けられている。
【0013】
図3は、PETボトル容器1に巻き付ける前の巻付けラベル10の構成を示す断面図である。図4は、PETボトル容器1における、巻付けラベル10が容器胴部3と接着している領域周辺(図2示す領域D1)を拡大した断面図である。
【0014】
図3および図4に示すように、巻付けラベル10は、基材11と、インキ層12と、下地層13と、第1接着層14と、第2接着層15とを有している。
【0015】
基材11は、従来公知のものを使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂などの合成樹脂の2軸延伸フィルム、合成樹脂フィルムの積層フィルム、紙、和紙、合成紙、発泡樹脂シート、不織布など、またはこれらの積層フィルムなどを用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート製容器(PETボトル)に対して巻付けラベル10を用いる場合において、装着性やリサイクル時の比重差分別等の観点からは、ポリプロピレンフィルムを用いることが好ましく、フィルム厚みとしては20~60μmが好ましい。またラベルのリサイクルの観点からは、ポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、フィルム厚みとしては10~50μmが好ましい。
【0016】
インキ層12は、インキにより商品名、絵柄などの所定の意匠が印刷された層である。インキ層12は、水性インキまたは油性インキによって形成されている。インキ層12を形成する水性インキおよび油性インキとしては、ラベル印刷などに用いられる従来公知のインキを使用することができる。油性インキとしては、例えば、顔料、染料などの着色剤、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などのバインダー樹脂および有機溶剤に添加物を配合したものを使用してもよい。また、水性インキとして、着色剤に、水溶性または水分散性のバインダー樹脂、添加剤などを配合したものを使用してもよい。添加剤としては、滑剤、ブロッキング防止剤、沈降防止剤などが挙げられる。
【0017】
下地層13は、基材11とインキ層12との間に配置されている層である。下地層13は、アルカリ可溶性を有しており、アルカリ性溶液で処理(例えば、アルカリ性溶液への浸漬など)を行うことにより溶解する。
【0018】
下地層13を溶解するために用いられるアルカリ性溶液は、下地層13を溶解させることが可能であれば特に限定されず、アルカリ性物質を含有するアルカリ性の水溶液であればよい。アルカリ性溶液は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。アルカリ性溶液中のアルカリ性物質の濃度は、操作性、または作業性等を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、0.5~6重量%程度とすることが好ましい。アルカリ性溶液による処理は、例えば、PETボトル容器1または巻付けラベル10をアルカリ性溶液に1~20分程度浸漬させることにより行うことができる。アルカリ性溶液の好ましい温度は、50~95℃である。
【0019】
第1接着層14および第2接着層15は、巻付けラベル10をPETボトル容器1に巻き付けるために、巻付けラベル10の端部に設けられた接着層である。第1接着層14および第2接着層15は、図2に示すように、インキ層12の下地層13側とは反対側に位置するとともに、巻付けラベル10の最表面に位置している。第1接着層14は、図3に示すように、巻付けラベル10の一端部10a側の端部において、インキ層12に付着するように設けられる。第2接着層15は、巻付けラベル10の他端部10b側の端部において、インキ層12に付着するように設けられる。
【0020】
第1接着層14および第2接着層15は、例えば、室温では接着性を示さず且つ加熱されることによって接着性を発現する感熱性接着剤を用いることができる。このような感熱性接着剤としては、例えば、ホットメルト型接着剤、パートコート型感熱接着剤、ディレードタック型感熱接着剤などを適宜用いることができる。なお、第1接着層14および第2接着層15として用いられる接着剤は、感熱性接着剤以外に、感圧型接着剤などを用いることもできる。第1接着層14および第2接着層15は、互いに異なる接着剤によって構成されてもよい。
【0021】
図3に示すように、第1接着層14は、巻付けラベル10の一端部10a、より詳細には、インキ層12の一端部を容器胴部3に接着させる。第2接着層15は、巻付けラベル10の他端部10b、より詳細には、インキ層12の他端部を、第1接着層14が巻付けラベル10の一端部10aを接着させている領域において接着させる。これにより、巻付けラベル10が容器胴部3に巻き付けられて装着された状態となる。
【0022】
上述したように、本実施形態の巻付けラベル10は、基材11とインキ層12との間にアルカリ可溶性を有する下地層13を備えている。そのため、PETボトル容器1から剥がした巻付けラベル10をアルカリ性溶液で処理することにより、下地層13が溶解する。その結果、基材11とインキ層12とが分離し、インキ層12が付着していない基材11を回収することができる。なお、第2接着層15は、第2接着層15とインキ層12との密着性が第2接着層15と基材11との密着性よりも良くなるように構成されている。そのため、巻付けラベル10をPETボトル容器1から物理的に剥がした際に、第2接着層15がインキ層12に付着するため、第2接着層15が基材11には残存しない。仮に、巻付けラベル10をPETボトル容器1から物理的に剥がした際に第2接着層15が基材11に残存したとしても、物理的に剥がす際に第2接着層15が破断するため、基材11にインキ層12が残存しない。このことについては、後述する実施形態2についても同様である。
【0023】
<ラベル製造方法>
次に、本実施形態のPETボトル容器1に巻付けられた巻付けラベル10をリサイクルして、ラベルを製造するラベル製造方法について説明する。
【0024】
図5は、本実施形態におけるラベル製造方法の処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態におけるラベル製造方法は、容器回収工程S1と、圧縮工程S2と、分離工程S3と、選別工程S4と、基材回収工程S5と、ラベル作製工程S6とを含む。
【0025】
容器回収工程S1は、使用済みのPETボトル容器を回収する工程である。ここでは、回収されたPETボトル容器には、本実施形態の巻付けラベル10が巻き付けられたPETボトル容器1と、熱収縮性のシュリンクフィルムを基材として用いて作製されたシュリンクラベルが装着されたPETボトル容器とが回収されるものとして説明する。
【0026】
圧縮工程S2は、回収されたPETボトル容器を、ラベルが装着された状態で圧縮する工程である。分離工程S3は、PETボトル容器とラベルとを分離する工程である。圧縮工程S2および分離工程S3は、従来のラベルのリサイクルにおいて用いられている公知の方法により行うことができる。
【0027】
選別工程S4は、PETボトル容器から分離されたラベルを、巻付けラベル10と上記シュリンクラベルとに選別する工程である。選別方法は、巻付けラベル10と上記シュリンクラベルとを選別できるのであれば特に特限定されるものではないが、例えば、以下のようにして選別してもよい。すなわち、巻付けラベル10とシュリンクラベルとが混在するラベル群に対して、シュリンクラベルが収縮する温度(例えば、60~95℃)で予備加熱を行う。これにより、シュリンクラベルのみが収縮してカールする。これにより、シュリンクラベルは、縦と横に拡がる略平面的な形状から、さらに高さを有する立体的な形状となる。そして、カールしたシュリンクラベルとカールしていない巻付けラベル10とが混在するラベル群を、巻付けラベル10のみ(換言すれば、カールしていないラベルのみ)が通過することができるスリットに通す。これにより、巻付けラベル10とシュリンクラベルとを選別することができる。なお、上記のスリットに代えて、カールしたシュリンクラベルのみが通過することができるように設計された篩を用いて巻付けラベル10とシュリンクラベルとを選別してもよい。つまり、選別工程S4では、所定の熱処理に対する変性の程度または態様が異なる複数種類のラベルを含むラベル群に対して熱処理を施し、当該熱処理によるラベルの形状の変化に基づいて、前記複数種類のラベルを、その種類ごとに選別する。
【0028】
基材回収工程S5は、巻付けラベル10から基材11を回収する工程である。具体的には、基材回収工程S5では、巻付けラベル10をアルカリ性溶液で処理する。これにより、下地層13が溶解し、図4に示すように、インキ層12が付着していない基材11を回収できる。
【0029】
ラベル作製工程S6は、基材回収工程S5において回収された基材11を少なくとも材料の一部として用いてラベルを作製する工程である。ラベル作製工程S6では、まず、基材11を裁断または粉砕することにより、基材11を基材11よりも小さい基材片を作製する。次に、必要に応じて基材片を乾燥させた後、基材片を押出機に供給してリペレットを作製する。なお、リペレットを作製する際に、バージン樹脂材料(すなわち、リサイクルに得られたものではない材料)を混合して押出機に供給してもよい。最後に、得られたリペレットを材料として新たにラベルを作製する。またラベル作製工程S6において、裁断または破砕後の基材片を乾燥させて得られるフラフを材料として、新たなラベル(巻付けラベル、シュリンクラベルなど)を作製してもよい。なお、上記の説明では、巻付けラベル10をリサイクルして新たにラベルを製造する方法について説明したが、ラベル以外に容器など他のプラスチック製品を製造してもよい。
【0030】
以上のように、本実施形態におけるPETボトル容器1は、基材11とインキ層12との間にアルカリ可溶性を有する下地層13を含む巻付けラベルが巻き付けられている。この構成によれば、巻付けラベル10をアルカリ性溶液で処理することにより下地層13が溶解し基材11とインキ層12とが分離する。その結果、インキ層12が付着していない基材11を回収することができる。これにより、回収した基材11を少なくとも材料の一部として用いて新たにラベルを製造する場合に、製造するラベルの品質を向上させることができる。また、本実施形態によれば、巻付けラベル10のリサイクル率を向上させることが可能となるため、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【0031】
なお、巻付けラベル10をアルカリ性溶液で処理することによって得られる基材11には、第2接着層15が残存することがある。接着層が付着している基材が材料の一部に含まれていると、接着層が不純物となってしまい、リサイクルにより製造されるラベルの品質が低下してしまう。そのため、本発明の一態様のPETボトル容器1では、第2接着層15がアルカリ可溶性を有することが好ましい。これにより、巻付けラベル10をアルカリ性溶液で処理する際に、第2接着層15が溶解するため、基材11に第2接着層15が残存する可能性を低減させることができる。アルカリ可溶性の接着剤としては、脂肪酸を含んでいる接着剤が挙げられ、例えば、Bostik社製の「TLH2951WO」を用いることができる。
【0032】
また、PETボトル容器1から巻付けラベル10を剥がした場合、容器本体2に第1接着層14が残存することがある。容器本体2に第1接着層14が残存していると、容器本体2をリサイクルする際に、第1接着層14が不純物となってしまい、リサイクルにより製造される製品の品質が低下してしまう。そのため、本発明の一態様のPETボトル容器1では、第1接着層14が容器本体2と同種の材料で構成されていることが好ましい。これにより、容器本体2に第1接着層14が残存した場合において、第1接着層14が不純物にならないため、容器本体をリサイクルして製造される製品の品質が劣化することを防止することができる。第1接着層14が容器本体2と同種の材料で構成されているとは、例えば、第1接着層14と容器本体2とが共にPET系の材料で構成されていることを意味する。
【0033】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。この点については、後述する実施形態についても同様である。
【0034】
図6は、本実施形態におけるPETボトル容器1に巻き付ける前の巻付けラベル10Aの構成を示す断面図である。図7は、PETボトル容器1における、巻付けラベル10Aが容器胴部3と接着している領域周辺を拡大した断面図である。巻付けラベル10Aは、インキ層16がアルカリ可溶性を有している点で、巻付けラベル10と異なっている。
【0035】
図6および図7に示すように、巻付けラベル10Aは、基材11と、インキ層16と、第1接着層14と、第2接着層15とを有している。
【0036】
インキ層16は、インキにより商品名、絵柄などの所定の意匠が印刷された層である。インキ層16は、アルカリ可溶性を有するインキによって形成されている。
【0037】
本実施形態では、図7に示すように、第1接着層14は、巻付けラベル10Aの一端部10Aa、より詳細には、インキ層16の一端部を容器胴部3に接着させる。第2接着層15は、巻付けラベル10Aの他端部10Ab、より詳細には、インキ層16の他端部を、第1接着層14が巻付けラベル10Aの一端部10Aaを接着させている領域において接着させる。これにより、巻付けラベル10Aが容器胴部3に巻き付けられて装着された状態となる。
【0038】
上述のように、巻付けラベル10Aは、インキ層16がアルカリ可溶性を有しているため、巻付けラベル10をアルカリ性溶液で処理することにより、インキ層16が溶解する。その結果、インキ層16が付着していない基材11を回収することができる。
【0039】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。図8は、PETボトル容器1における、本実施形態の巻付けラベル10Bが容器胴部3と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
【0040】
図8に示すように、本実施形態のPETボトル容器1では、実施形態1におけるPETボトル容器1の構成に加えて、基材11と第2接着層15との間に、アルカリ可溶性を有するアルカリ可溶層17を備えている。アルカリ可溶層17は、巻付けラベル10BをPETボトル容器1に巻き付ける前に、基材11の表面に形成される。
【0041】
当該構成によれば、巻付けラベル10Bをアルカリ性溶液で処理する際に、下地層13とともにアルカリ可溶層17が溶解し、第2接着層15と基材11とが分離する。これにより、インキ層12および第2接着層15が付着していない基材11を回収することができる。
【0042】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。図9は、本実施形態におけるPETボトル容器1を長手方向に垂直な平面で切断した断面図である。図10は、本実施形態におけるPETボトル容器1に巻き付ける前の巻付けラベル10Cの構成を示す断面図である。図11は、PETボトル容器1における、巻付けラベル10Cが容器胴部3と接着している領域周辺(図9に示す領域D2)を拡大した断面図である。
【0043】
図9に示すように、容器胴部3には、巻付けラベル10Cの端部が重ならないように巻付けラベル10Cが巻き付けられている。図9に示す例では、巻付けラベルの両端部が接するように巻付けラベル10C巻き付けられているが、巻付けラベル10Cの両端部の間に隙間が空いていてもよい。図10および図11に示すように、巻付けラベル10Cは、実施形態1における巻付けラベル10が有する第2接着層15に代えて第2接着層18を有している。
【0044】
図11に示すように、第1接着層14は、巻付けラベル10Cの一端部10Ca、より詳細には、インキ層12の一端部を容器胴部3に接着させる。第2接着層18は、巻付けラベル10Cの他端部10Cb、より詳細にはインキ層12の他端部を、第1接着層14が巻付けラベル10Cの一端部10Caを接着させている領域に近接する領域において容器胴部3に接着させる。これにより、巻付けラベル10Cが、その両端部を重ねることなく容器胴部3に巻き付けられて装着された状態となる。
【0045】
本実施形態にPETボトル容器1では、基材11とインキ層12との間にアルカリ可溶性を有する下地層13を有している。これにより、巻付けラベル10Cをアルカリ性溶液で処理することにより、下地層13が溶解する。その結果、基材11とインキ層12とが分離し、インキ層12が付着していない基材11を回収することができる。
【0046】
また、本実施形態のPETボトル容器1では、図11に示すように、巻付けラベル10Cの両端部が重ならないように容器胴部3に巻き付けられている。そのため、基材11に接着層が付着することがないので、接着層が付着していない基材11を回収することができる。これにより、回収した基材11を少なくとも材料の一部として用いて新たにラベルを製造する場合に、製造するラベルの品質を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のPETボトル容器1では、巻付けラベル10Cの両端部が重ならないように容器胴部3に巻き付けられており、かつ、基材11とインキ層12との間に下地層13を有している。これにより、PETボトル容器1をアルカリ性溶液で処理することにより、PETボトル容器1から巻付けラベル10Cを分離させるとともに、インキ層12が付着していない基材11を回収することができる。すなわち、本実施形態のPETボトル容器1では、PETボトル容器1から物理的に巻付けラベル10Cを容器から剥がすことなく、基材11を回収することができる。
【0048】
また、PETボトル容器1から巻付けラベル10Cを分離した場合、容器本体2に第1接着層14および第2接着層18の少なくとも一方が残存することがある。容器本体2に接着層が残存していると、容器本体2をリサイクルする際に、接着層が不純物となってしまい、リサイクルにより製造される製品の品質が低下してしまう。そのため、本発明の一態様のPETボトル容器1では、第1接着層14および第2接着層18が容器本体2と同種の材料で構成されていることが好ましい。これにより、容器本体2に第1接着層14および第2接着層18の少なくとも一方が残存した場合において、第1接着層14および第2接着層18が不純物にならない。そのため、容器本体をリサイクルして製造される製品の品質が劣化することを防止することができる。
【0049】
本発明の一態様のPETボトル容器1では、容器胴部3と第1接着層14との間、および、容器胴部3と第2接着層18との間にアルカリ可溶性を有するアルカリ可溶層を備えていてもよい。これにより、PETボトル容器1をアルカリ性溶液で処理することにより上記アルカリ可溶層が溶解するため、第1接着層14および第2接着層18が付着していない容器を回収することができる。また、本発明の一態様のPETボトル容器1では、第1接着層14および第2接着層18がアルカリ可溶性を有していてもよい。これにより、PETボトル容器1をアルカリ性溶液で処理することにより第1接着層14および第2接着層18が溶解するため、第1接着層14および第2接着層18が付着していない容器を回収することができる。
【0050】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。図12は、本実施形態におけるPETボトル容器1に巻き付ける前の巻付けラベル10Dの構成を示す断面図である。図13は、本実施形態のPETボトル容器1における、巻付けラベル10Dが容器胴部3と接着している領域周辺を拡大した断面図である。
【0051】
図12および図13に示すように、巻付けラベル10Dは、実施形態2における巻付けラベル10Aが有する第2接着層15に代えて第2接着層19を有している。
【0052】
図13に示すように、第1接着層14は、巻付けラベル10Dの一端部10Da、より詳細には、インキ層16の一端部を容器胴部3に接着させる。第2接着層19は、巻付けラベル10Dの他端部10Db、より詳細にはインキ層16の他端部を、第1接着層14が巻付けラベル10Dの一端部10Daを接着させている領域に近接する領域において容器胴部3に接着させる。これにより、巻付けラベル10Dが容器胴部3に巻き付けられて装着された状態となる。
【0053】
本実施形態におけるPETボトル容器1では、インキ層16がアルカリ可溶性を有している。そのため、巻付けラベル10Dをアルカリ性溶液で処理することにより、インキ層16が溶解する。その結果、インキ層16が付着していない基材11を回収することができる。
【0054】
また、本実施形態のPETボトル容器1では、図13に示すように、巻付けラベル10Dの両端部が重ならないように容器胴部3に巻き付けられている。そのため、基材11に接着層が付着することがないので、接着層が付着していない基材11を回収することができる。これにより、回収した基材11を少なくとも材料の一部として用いて新たにラベルを製造する場合に、製造するラベルの品質を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のPETボトル容器1では、巻付けラベル10Dの両端部が重ならないように容器胴部3に巻き付けられており、かつ、インキ層16がアルカリ可溶性を有している。これにより、PETボトル容器1をアルカリ性溶液で処理することにより、PETボトル容器1から巻付けラベル10Dを分離させるとともに、インキ層16が付着していない基材11を回収することができる。すなわち、本実施形態のPETボトル容器1では、PETボトル容器1から物理的に巻付けラベル10Dを容器から剥がすことなく、基材11を回収することができる。
【0056】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 PETボトル容器
10、10A、10B、10C、10D、 巻付けラベル(ラベル)
11 基材
12、16 インキ層
13 下地層
14 第1接着層
15、18、19 第2接着層
17 アルカリ可溶層
図1
図2
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図11
図12
図13