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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051158
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ラベル及びラベルの分離方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/10 20060101AFI20230404BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G09F3/10 J
G09F3/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161659
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】土橋 英訓
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
(57)【要約】
【課題】ラベル付き物品において、物品とラベルとを効率的に分離することができるラベル及びラベルの分離方法を提供する。
【解決手段】シュリンクラベル(1)は、容器(100)に装着されるラベルであって、処理溶剤に対する可溶性を有する第2フィルム(3)を一部に含み、第2フィルム(3)は、シュリンクラベル(1)が容器(100)の周囲に筒状に装着された状態において、筒状となったシュリンクラベル(1)の軸方向(D2)における第1縁部(1a)から第2縁部(1b)まで帯状に延伸する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に装着されるラベルであって、
処理溶剤に対する可溶性を有する可溶部を一部に含み、
上記可溶部は、上記ラベルが上記物品の周囲に筒状に装着された状態において、筒状となった上記ラベルの軸方向における一方の縁部である第1縁部から他方の縁部であるの第2縁部まで帯状に延伸している、ラベル。
【請求項2】
上記可溶部は、ポリ乳酸からなる、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
熱収縮性を有するラベル本体部を有し、
上記可溶部は、上記ラベル本体部を筒状に繋ぐシール部である、請求項1または2に記載のラベル。
【請求項4】
物品に装着されるラベルを上記物品から分離する分離方法であって、
上記ラベルが装着された上記物品を処理溶剤に接触させ、上記ラベルの少なくとも一部を溶解させることにより、上記物品から上記ラベルを分離する工程を含む、分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル及びラベルの分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PETボトル等の物品(特に容器)の周囲に装着されるラベルとして、特許文献1に示すように、巻付けラベルまたはシュリンクラベル等が知られている。この種のラベルが装着されたラベル付き物品を廃棄する際には、リサイクル等の観点から、物品とラベルとに分離することが好ましい。
【0003】
例えば、巻付けラベルの場合、接着されたラベルの端縁を引き剥がすことで、物品からラベルが分離される。また、シュリンクラベルの場合、ラベルに形成されたミシン目線等に沿ってラベルを切断することで、物品からラベルが分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-3724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来のラベルでは、ユーザ等が物品からラベルを剥がす必要がある。このため、特に物品から巻付けラベルを分離する場合、デザインによっては巻付けラベルの端縁が見つけ難く、ユーザ等へのストレスが大きかった。そのため、物品とラベルとを効率的に分離可能な技術が要望されていた。
【0006】
本発明の一態様は、ラベルが装着された物品において、物品とラベルとを効率的に分離することができるラベル及びラベルの分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベルは、物品に装着されるラベルであって、処理溶剤に対する可溶性を有する可溶部を一部に含み、上記可溶部は、上記ラベルが上記物品の周囲に筒状に装着された状態において、筒状となった上記ラベルの軸方向における一方の縁部である第1縁部から他方の縁部であるの第2縁部まで帯状に延伸している。
【0008】
上記構成によれば、処理溶剤に対する可溶性を有する可溶部が、ラベルの軸方向における一方の縁部である第1縁部から他方の縁部であるの第2縁部まで帯状に延伸する。そのため、ラベルが物品に装着された状態であっても、当該物品を処理溶剤に接触させることで、可溶部が処理溶剤に溶け、可溶部においてラベルを軸方向に分断させることができる。これによりラベルの筒状の状態が解け、物品とラベルとを分離させることができる。その結果、ラベルが装着された物品において、物品とラベルとを効率的に分離させることができる。
【0009】
また、上記ラベルにおいて、上記可溶部は、ポリ乳酸からなっていてもよい。上記構成によれば、好適に可溶部を構成することができる。
【0010】
また、上記ラベルは、熱収縮性を有するラベル本体部を有し、上記可溶部は、上記ラベル本体部を筒状に繋ぐシール部であってもよい。上記構成によれば、既存の製造工程を利用して可溶部を備えるラベルを製造することができる。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る分離方法は、物品に装着されるラベルを上記物品から分離する分離方法であって、上記ラベルが装着された上記物品を処理溶剤に接触させ、上記ラベルの少なくとも一部を溶解させることにより、上記物品から上記ラベルを分離する工程を含む。
【0012】
上記構成によれば、ラベルが装着された物品を処理溶剤に接触させることでラベルの一部または全部を溶解させ、ラベルを物品から分離させることができる。その結果、ラベルが装着された物品において、物品とラベルとを効率的に分離させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、物品とラベルとを効率的に分離させることができるラベル及びラベルの分離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係るシュリンクラベルの斜視図である。
図2図1のA-A矢視断面図である。
図3】上記シュリンクラベルの第1フィルムと第2フィルムとの接合方法のバリエーションを説明する断面図である。
図4】上記シュリンクラベルを製造する過程を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態2に係る巻付けラベルの斜視図である。
図6図5のB-B矢視断面図である。
図7】ラベルと容器との分離方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1図3を参照して詳細に説明する。
【0016】
(シュリンクラベルの構成)
図1は、本発明の実施形態1に係るシュリンクラベル1の斜視図である。図2は、図1のA-A矢視断面図である。なお、図1においては、理解を容易にするために、容器100を二点鎖線で図示している。シュリンクラベル1は、容器100(物品)の周囲に筒状に装着されるラベルである。例えば、筒状に形成された熱収縮前のシュリンクラベル1に容器100を挿入し、加熱処理する。これによりシュリンクラベル1が熱収縮して容器100の形状に追従して容器100の周囲に装着される。図1に示すように、シュリンクラベル1は、第1フィルム2(ラベル本体部)と、第2フィルム3(可溶部・シール部)と、を備えている。
【0017】
(第1フィルム)
第1フィルム2は、容器100の周囲を覆う。第1フィルム2は、少なくともシュリンクラベル1を筒状に形成した際の周方向(第1方向D1)に熱収縮性を有する。第1フィルム2は、第1方向D1における両側端である第1側端部2a及び第2側端部2bにおいて、第2フィルム3と接合されている。詳しくは後述する。
【0018】
第1フィルム2は、図2に示すように、第1フィルム基材21とインキ層22とが積層されて構成されている。本実施形態では、シュリンクラベル1が筒状に形成された際に、第1フィルム基材21がインキ層22よりも外側に位置する。なお、第1フィルム基材21の両面にインキ層22が積層されていてもよく、第1フィルム2は第1フィルム基材21のみで構成されていてもよい。
【0019】
第1フィルム基材21は、アルカリ不溶性(処理溶剤耐性に優れた材料)であり、第1方向D1に熱収縮性を有するフィルムである。第1フィルム基材21としては、少なくとも第1方向D1に熱収縮性を有していればよく、従来、シュリンクラベルに使用されている公知の材料を用いることができる。
【0020】
インキ層22は、第1フィルム基材21上に積層される層であり、インキを含む。インキ層22は、例えば、任意の文字、記号、絵柄等のデザインをシュリンクラベル1に表す。インキ層22は、第1フィルム基材21の熱収縮を阻害することがないように構成されている。また、図2に示すように、第1フィルム2の第1側端部2a及び第2側端部2bにおいては、第1フィルム基材21にインキ層22は積層されておらず、第1側端部2aと第2側端部2bとが第2フィルム3によって接合されている。
【0021】
(第2フィルム)
第2フィルム3は、第1方向D1に熱収縮性を有することが好ましい。シュリンクラベル1を構成する第1フィルム2及び第2フィルム3が何れも第1方向D1に熱収縮性を有することで、シュリンクラベル1は、所定温度に加熱されると熱収縮して、容器100と密着する。これにより、容器100とシュリンクラベル1との接着を必要とすることなく、シュリンクラベル1を容器100に装着することができる。なお、シュリンクラベル1の大部分を構成する第1フィルム2が第1方向D1に熱収縮性を有していることで、第2フィルム3が熱収縮性を有していなくとも、所定温度に加熱することで、シュリンクラベル1を容器100に装着させることができる。
【0022】
また、第2フィルム3は、アルカリ可溶性(処理溶剤に対する可溶性)を有する。より好ましくは、第2フィルム3は、熱アルカリ可溶性を有する。具体的には、第2フィルム3は、8割程度がアルカリ可溶性樹脂からなることが好ましい。これにより、第2フィルム3をアルカリ溶液(処理溶剤)に接触させたとき、第2フィルム3がアルカリ溶液に溶解する。第2フィルム3は、PLA(ポリ乳酸)からなることが好ましい。また、第2フィルム3として、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、セロハン、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、カネカ生分解性ポリマー(登録商標))、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)またはPBS(ポリブチレンサクシネート)を採用することができる。
【0023】
第2フィルム3は、図1及び図2に示すように、略筒状に丸められた第1フィルム2の両側端部(第1側端部2aおよび第2側端部2b)の裏面側(容器100側)に設けられ、第1フィルム2を筒状に繋ぐシール部である。これにより、第1フィルム2の両側端部の間に、第2フィルム3により窓部4が形成される。具体的には、第2フィルム3の第1方向D1の第1側端部3aの表面(容器100側とは反対側)は、第1フィルム2の第1側端部2aの裏面に重ねて接合され、第2フィルム3の第1方向D1の第2側端部3bの表面は、第1フィルム2の第2側端部2bの裏面に重ねて接合される。
【0024】
上述したように、第1フィルム2の第1側端部2a及び第2側端部2bには、第1フィルム基材21にインキ層22は積層されていない。これにより、第2フィルム3との接合が困難となるインキ層22を避けて、第1フィルム基材21と第2フィルム3とを接合することができる。
【0025】
第1フィルム基材21と第2フィルム3との接合方法は、特に限定されず、例えば、溶剤を用いて接着してもよい。この場合、図2に示すように、第1フィルム2の第1フィルム基材21と第2フィルム3とが直接的に接合される。第1フィルム2の第1側端部2aと第2側端部2bとが第2フィルム3に接合されることで、シュリンクラベル1が筒状になる。
【0026】
なお、第1フィルム2と第2フィルム3とが接合される際、第2フィルム3の第1方向D1の第1側端部3a及び第2側端部3bの一部が、第1フィルム基材21に積層されたインキ層22の第1方向D1の側端部を覆っていてもよい。これにより、第1フィルム2と第2フィルム3とを接合する際の位置合わせが容易となり、作業効率が向上する。
【0027】
第2フィルム3の第1方向D1における中央部は、第1フィルム2と重ならず、第2フィルム3のみで構成される窓部4となる。第2フィルム3は、第1フィルム2の第1方向D1の端部同士を繋ぐ。第2フィルム3は、シュリンクラベル1が容器100の周囲に筒状に装着された状態において、筒状となったシュリンクラベル1の軸方向D2(縦方向)における一方の縁部である第1縁部1aから他方の縁部であるの第2縁部1bまで帯状に延伸している。
【0028】
第2フィルム3はアルカリ可溶性を有するため、アルカリ溶液と接触すると、第2フィルム3全体が溶解する。これにより、第1フィルム2の第1側端部2aと第2側端部2bとが離れ、シュリンクラベル1は筒状を保てなくなり、容器100からシュリンクラベル1が分離される。
【0029】
第2フィルム3の第1方向D1の幅は特に限定されない。第2フィルム3の幅は、少なくとも第1フィルム2の第1方向D1の端部同士を繋ぐことが可能な幅を有していればよい。さらに、第2フィルム3を透明とすることで、例えば、シュリンクラベル1を装着した状態で、窓部4から容器100の中身を視認できる。ここで、透明とは、シュリンクラベル1を容器100に装着させた状態で、シュリンクラベル1を透かして容器100の中身の容量を視認できる状態をいう。「透明」は、無色透明又は有色透明のいずれでもよい。また、窓部4に目盛りを印刷してもよい。
【0030】
なお、シュリンクラベル1は、上記に限らず、第2フィルム3を有していなくてもよい。例えば、第1フィルム2を筒状にした状態において、第1フィルム基材21の一部がアルカリ可溶性を有していてもよい。ここで、第1フィルム基材21の一部とは、例えば、筒状となったシュリンクラベル1の軸方向D2(縦方向)における一方の縁部である第1縁部1aから他方の縁部であるの第2縁部1bまで帯状に延伸するように形成された箇所である。
【0031】
この場合、アルカリ溶液に接触すると、第1フィルム基材21の一部が溶解して分断される。また、第2フィルム3と比較してインキ層22は脆いため、第1フィルム基材21が分断されることにともない、インキ層22も溶解した第1フィルム基材21の一部に対応する箇所で分断される。
【0032】
また、シュリンクラベル1は、上記に限らず、第1フィルム2がPET(ポリエチレンテレフタレート)等の有機溶媒耐性に優れた材料であり、第2フィルム3がPS(ポリスチレン)のように有機溶媒耐性の低い材料であってもよい。有機溶媒としては、酢酸エチルや酢酸n―プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤またはメチルエチルケトン等のケトン系溶剤が挙げられる。その場合、第2フィルム3を有機溶媒に接触させることで、容器100とシュリンクラベル1とを分離することができる。換言すれば、シュリンクラベル1は、第1フィルム2が処理溶剤に対して耐性に優れた材料であり、第2フィルム3が処理溶剤に対して耐性の低い材料であってもよい。これにより、シュリンクラベル1に処理溶剤を接触させることで、容器100とシュリンクラベル1とを分離することができる。
【0033】
(変形例)
本発明の変形例について、図3を参照して以下に説明する。図3は、シュリンクラベル1の第1フィルム2と第2フィルム3との接合方法のバリエーションを説明する断面図であり、図1のA-A矢視断面図の一部を拡大して示した図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0034】
第1フィルム2と第2フィルム3との接合方法は、上記実施形態で示した例に限らない。例えば、図3の例1000に示すように、シュリンクラベル1は、さらに、第2フィルム3の裏面にインキ層22が積層されていてもよい。第2フィルム3にインキ層22が積層されていない場合、シュリンクラベル1では第2フィルム3に対応する箇所にデザインが表示されず、シュリンクラベル1全体にデザインを施すことができない。それに対し、図3の例1000に示すように、第2フィルム3の内側にインキ層22を積層することで、第2フィルム3に対応する箇所で途切れることなく、シュリンクラベル1全体にデザインを施すことができる。これにより、シュリンクラベル1の外観において美麗性を高めることができる。
【0035】
また、図3の例1001に示すように、図2に示すシュリンクラベル1の第1フィルム2において、第1フィルム基材21の内側ではなく外側にインキ層22が積層されていてもよい。この場合、さらに、第2フィルム3の裏面、または表面における第1フィルム2の第1方向D1の両側端間にインキ層22が積層されていてもよい。
【0036】
また、図3の例1002に示すように、第2フィルム3の第1側端部3aの裏面が、第1フィルム2の第1側端部2aに表面に重ねて接合され、第2フィルム3の第2側端部3bの裏面が、第1フィルム2の第2側端部2bの表面に重ねて接合されていてもよい。つまり、図3の例1002では、第2フィルム3が第1フィルム2の外側に接合されている。この場合、図3の例1003に示すように、さらに、第2フィルム3の裏面において、第1フィルム2の第1方向D1の両側端間にインキ層22が積層されていてもよく、第1フィルム基材21の内側ではなく外側にインキ層22が積層されていてもよい。
【0037】
また、図示にはないが、図2の構成において、シュリンクラベル1に窓部4が形成されず、第1フィルム2の第1方向D1の一端2cと他端2d(図1参照)とが当接している構成であってもよい。この場合、筒状となったシュリンクラベル1の表面に第2フィルム3が露出せず、シュリンクラベル1の表面側からは第2フィルム3を目視で確認することはできない。そのため、第2フィルム3がアルカリ溶液に接触しにくくなり、第2フィルム3が上記表面に露出している場合と比較して、第2フィルム3の溶解速度が遅くなることが懸念される。しかしながら、窓部4が形成されないため、シュリンクラベル1においてデザインが途切れる箇所が少なくなり、シュリンクラベル1の美麗性は高くなる。
【0038】
溶解性で判断すると、シュリンクラベル1が窓部4を有する構成が望ましい。また、美麗性で判断すると、第2フィルム3にインキ層22が積層されていることが望ましく、さらに、第1フィルム2の外側に第2フィルム3が接合されるよりも、第1フィルム2の内側に第2フィルム3が接合される方が望ましい。また、製造の容易性で判断すると、シュリンクラベル1の構成が、図2の構成、図3の例1000の構成、図3の例1001であることが好ましい。
【0039】
以上により、シュリンクラベル1の構成として上記の性質を総合的に判断すると、シュリンクラベル1として、図2の構成または図3の例1000の構成を採用することが好ましく、さらに図3の例1000の構成を採用することがより好ましい。
【0040】
(シュリンクラベルの製造)
図4は、シュリンクラベル1を製造する過程を示す斜視図である。図4に基づき、シュリンクラベル1の製造方法の一例について以下に説明する。第1フィルム原反41は、短手方向に熱収縮性を有する長尺帯状の第1フィルム2の原反である。第2フィルム原反42は、短手方向に熱収縮性を有する長尺帯状の第2フィルム3の原反である。第1フィルム原反41の第1側端部41aに、第2フィルム原反42の第1側端部42aを接合し、長尺フィルム43を形成する。長尺フィルム43の短手方向を周方向として長尺フィルム43を丸めながら、第1フィルム原反41の第2側端部41bに第2フィルム原反42の第2側端部42bを接合することにより、長尺のシュリンクラベル連続体44が得られる。このシュリンクラベル連続体44を所定長さで切断することにより、シュリンクラベル1が得られる。
【0041】
このような、長尺帯状のフィルムに別の長尺帯状のフィルムを接着することにより長尺のシュリンクラベルを形成する工程は従来から利用されているものである。シュリンクラベル1の製造方法として当該シュリンクラベルの製造方法を採用することで、既存の製造工程を利用してシュリンクラベル1が製造可能となる。
【0042】
(シュリンクラベルと容器との分離方法)
以下により、容器100の周囲に筒状に装着されるシュリンクラベル1を容器100から分離することができる。すなわち、シュリンクラベル1が装着された容器100をアルカリ溶液に接触させ、シュリンクラベル1の一部を溶解させることにより、容器100からシュリンクラベル1を分離する。具体的には、シュリンクラベル1が装着された容器100をアルカリ溶液に接触させることで、シュリンクラベル1の第2フィルム3を溶解させる。第2フィルム3が溶解することで、第1フィルム2の第1側端部2aと第2側端部2bとが離れるので、シュリンクラベル1が容器100から分離される。これにより、シュリンクラベル1が装着された容器100において、容器100とシュリンクラベル1とを効率的に分離させることができる。
【0043】
上記のアルカリ溶液に接触させる処理は、例えば、シュリンクラベル1が装着された容器100をアルカリ溶液に1~20分程度浸漬させることにより行うことができる。アルカリ溶液の好ましい温度は50~95℃である。アルカリ溶液の種類は、シュリンクラベル1が装着された容器100からシュリンクラベル1を分離させることが可能であれば特に限定されず、アルカリ性物質を含有するアルカリ性の水溶液であればよい。アルカリ溶液は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を用いることができる。アルカリ溶液中のアルカリ性物質の濃度は、操作性、または作業性等を損なわない範囲で適宜選択することができ、例えば、0.5~6重量%程度とすることが好ましい。
【0044】
また、シュリンクラベル1が有するインキ層22のインキがアルカリ可溶性であれば、容器100とシュリンクラベル1を分離する際に、シュリンクラベル1からのインキの除去も可能になる。
【0045】
また、シュリンクラベル1が破断用のミシン目を有していてもよく、その場合、ミシン目に沿ってシュリンクラベル1を剥がすことで、家庭における容器100とシュリンクラベル1との分離も可能となる。
【0046】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5及び図6を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
(巻付けラベルの構成)
図5は、本発明の実施形態2に係る巻付けラベル10の斜視図である。図6図5のB-B矢視断面図である。なお、図5においては、理解を容易にするために、容器100を二点鎖線で図示している。図5に示すように、巻付けラベル10は、容器100の周囲に筒状に巻かれて装着されるラベルである。巻付けラベル10は、例えば、略長方形のシート状の巻付けラベル10を容器100に巻付けることで、容器100に装着される。図5及び図6に示すように、巻付けラベル10は、第3フィルム11と、第4フィルム14(可溶部)と、接着層15・16と、を備えている。
【0048】
(第3フィルム)
第3フィルム11は、図6に示すように、第3フィルム基材12と、インキ層13とが積層されて構成されている。第3フィルム基材12は、巻付けラベル10が容器100に巻付けられた際にインキ層13よりも外側に位置する。インキ層13は、実施形態1のインキ層22と同様の構成を有する。なお、第3フィルム基材12の両面にインキ層13が積層されていてもよく、巻付けラベル10が筒状に形成された際に、第3フィルム基材12がインキ層13よりも内側に位置していてもよい。第3フィルム11は第3フィルム基材12のみで構成されていてもよい。
【0049】
第3フィルム11は、第1方向D1において、第1部材11_1と、第2部材11_2と、に分かれており、第1部材11_1と第2部材11_2とが、接着層16及び第4フィルム14により接続されることで、巻付けラベル10は筒状に形成されている。
【0050】
第3フィルム基材12の材料は、アルカリ不溶性であり、従来、巻付けラベルに使用されている公知の材料を用いることができる。
【0051】
(第4フィルム)
第4フィルム14は、アルカリ可溶性を有する。より好ましくは、第4フィルム14は、熱アルカリ可溶性を有する。具体的には、第4フィルム14において、8割程度がアルカリ可溶性樹脂からなることが好ましい。これにより、第4フィルム14をアルカリ溶液に接触させたとき、第4フィルム14がアルカリ溶液に溶解する。第4フィルム14は、PLAからなることが好ましい。また、第4フィルム14として、例えば、PVA、EVOH、セロハン、PHBH、PBATまたは、PBSを採用することができる。
【0052】
第4フィルム14は、図5及び図6に示すように、略筒状に丸められた第3フィルム11の第1部材11_1と第2部材11_2との間に設けられ、第3フィルム11をシート状に繋ぐシール部である。これにより、第1部材11_1と第2部材11_2との間に、第4フィルム14により窓部17が形成されている。具体的には、第4フィルム14の第1方向D1の第1側端部14aの表面は、第1部材11_1の第1側端部11_1aの裏面に重ねて接合され、第4フィルム14の第1方向D1の第2側端部14bの表面は、第2部材11_2の第1側端部11_2aの裏面に重ねて接合されている。
【0053】
ここで、第1部材11_1の第1側端部11_1a及び第2部材11_2の第1側端部11_2aには、第3フィルム基材12にインキ層13は積層されていない。これにより、第4フィルム14との接合することが困難となるインキ層13を避けて第4フィルム14と第3フィルム基材12とを接合することができる。第3フィルム11と第4フィルム14との接合方法は、特に限定されず、例えば、溶剤を用いて接着してもよい。この場合、図6に示すように、第3フィルム11の第3フィルム基材12と第4フィルム14とが直接的に接合される。
【0054】
第4フィルム14の第1方向D1における中央部は、第3フィルム11と重ならず、第4フィルム14のみで構成される窓部17となる。第4フィルム14は、第1部材11_1の第1側端部11_1aと第2部材11_2の第1側端部11_2aとを繋ぐ。第4フィルム14は、巻付けラベル10が容器100の周囲に筒状に装着された状態において、筒状となった巻付けラベル10の軸方向D2における一方の縁部である第1縁部11aから他方の縁部であるの第2縁部11bまで帯状に延伸している。
【0055】
第4フィルム14はアルカリ可溶性を有するため、アルカリ溶液と接触すると、第4フィルム14全体が溶解する。これにより、第3フィルム11において、第1部材11_1の第1側端部11_1aと第2部材11_2の第1側端部11_2aとが離れる。
【0056】
第4フィルム14の第1方向D1の幅は特に限定されない。第4フィルム14の幅は、少なくとも第1部材11_1と第2部材11_2とを繋ぐことが可能な幅を有していればよい。さらに、第4フィルム14を透明とすることで、例えば、巻付けラベル10を装着した状態で、窓部17から容器100の中身を視認できる。
【0057】
なお、巻付けラベル10は、上記に限らず、第4フィルム14を有していなくてもよい。例えば、第3フィルム11を筒状にした状態において、第3フィルム基材12の一部がアルカリ可溶性を有していてもよい。ここで、第3フィルム基材12の一部とは、例えば、筒状となった巻付けラベル10の軸方向D2における一方の縁部である第1縁部11aから他方の縁部であるの第2縁部11bまで帯状に延伸するように形成された箇所である。
【0058】
(接着層)
接着層15は第3フィルム11の第2部材11_2の第2側端部11_2bの裏面(巻付けラベル10を筒状にした際の内側)に配置されている。接着層16は第3フィルム11の第1部材11_1の第2側端部11_1bの裏面に配置されている。
【0059】
第3フィルム11は、第2部材11_2の第2側端部11_2bの裏面の接着層15により容器100に貼着される。さらに、そこを起点として第3フィルム11を容器100の周りに巻付け、第1部材11_1の第2側端部11_1bの裏面の接着層16を第2部材11_2の第2側端部11_2bの表面に重ね合わせて接着する。これにより、第3フィルム11は容器100に巻付け装着される。
【0060】
接着層15および接着層16は、例えば、室温では接着性を示さず且つ加熱されることによって接着性を発現する感熱性接着剤を用いることができる。このような感熱性接着剤としては、例えば、ホットメルト型接着剤、パートコート型感熱接着剤、ディレードタック型感熱接着剤等を適宜用いることができる。なお、接着層15および接着層16として用いられる接着剤は、感熱性接着剤以外に、感圧型接着剤等を用いることもできる。
【0061】
また、接着層15および接着層16のうちの少なくとも接着層15は、アルカリ可溶性樹脂で形成されている。接着層15・16としては、例えば、脂肪酸を含んでいる接着剤が挙げられ、具体的には、例えばBostik社製の「TLH2951WO」を採用することができる。これにより、接着層15をアルカリ溶液に接触させることで、第3フィルム11と容器100との貼着を剥がすことができる。
【0062】
また、巻付けラベル10は、第3フィルム11がPET等の有機溶媒耐性に優れた材料であり、第4フィルム14がOPSのように有機溶媒耐性の低い材料であってもよい。その場合、第4フィルム14を有機溶媒に接触させることで、容器100と巻付けラベル10とを分離することができる。換言すれば、巻付けラベル10は、第3フィルム11が処理溶剤に対して耐性に優れた材料であり、第4フィルム14が処理溶剤に対して耐性の低い材料であってもよい。これにより、巻付けラベル10に処理溶剤を接触させることで、容器100と巻付けラベル10とを分離することができる。
【0063】
(巻付けラベルと容器との分離方法)
以下により、容器100の周囲に筒状に装着される巻付けラベル10を容器100から分離することができる。すなわち、巻付けラベル10が装着された容器100をアルカリ溶液に接触させ、巻付けラベル10の一部を溶解させることにより、容器100から巻付けラベル10を分離する。具体的には、巻付けラベル10が装着された容器100をアルカリ溶液に接触させることで、第4フィルム14及び接着層15を溶解させる。第4フィルム14及び接着層15が溶解することで、第1部材11_1の第1側端部11_1aと第2部材11_2の第1側端部11_2aとが離れ、さらに、第3フィルム11と容器100とが離れるので、巻付けラベル10が容器100から分離される。これにより、巻付けラベル10が装着された容器100において、容器100と巻付けラベル10とを効率的に分離させることができる。
【0064】
なお、巻付けラベル10が有するインキがアルカリ可溶性であれば、容器100と巻付けラベル10を分離する際に、巻付けラベル10からのインキの除去も可能になる。
【0065】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図7を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
(ラベルと容器との分離方法)
図7は、ラベル110と容器100との分離方法の一例を示す図である。ラベル110は、上述のシュリンクラベル1と巻付けラベル10とを含む。図7に基づき、ラベル110と容器100との分離方法の一例について以下に説明する。
【0067】
実施形態1で記載したシュリンクラベル1と容器100との分離方法、及び実施形態2で記載した巻付けラベル10と容器100との分離方法は、図7に示すラベル110と容器100との分離方法に採用することができる。
【0068】
図7に示すように、本実施形態に係る分離方法は、ラベル110が装着された容器100をアルカリ溶液120(処理溶剤)に接触させ、ラベル110の少なくとも一部を溶解させることにより、容器100からラベル110を分離する工程を含む。この工程では、例えばアルカリ槽122中のアルカリ溶液120にラベル110が装着された容器100を浸漬させることにより、該容器100をアルカリ溶液120に接触させる。これにより、ラベル110の少なくとも一部を溶解させて、容器100からラベル110を分離する。
【0069】
本実施形態に係る分離方法においては、ラベルの一部がアルカリ可溶性を有するシュリンクラベル1及び巻付けラベル110だけでなく、ラベルの全部がアルカリ可溶性を有するシュリンクラベル、及びラベルの全部がアルカリ可溶性を有する巻付けラベルにも適用できる。つまり、当該分離方法では、ラベル110が装着された容器100をアルカリ溶液に接触させラベル110の少なくとも一部を溶解させることにより、容器100からラベル110を分離する。
【0070】
ただし、アルカリ可溶性樹脂は比較的高価となる傾向があるため、アルカリ可溶性を有する材料でラベル110の全部を構成するよりも、アルカリ可溶性を有する材料でラベル110の一部を構成することが望ましい。ラベル110においてアルカリ可溶性を有する材料の使用量を抑えることで、ラベル110の生産コストを抑えることができる。また、ラベル110全体が溶解すると、容器100からのラベル110の分離は容易となるが、ラベル110の回収ができないため、ラベル110のリサイクルが困難となる。
【0071】
このように、本実施形態に係る分離方法では、ラベル110が装着された容器100をアルカリ溶液に接触させることでラベル110の一部または全部を溶解させ、ラベル110を容器100から分離させる。その結果、ラベル110が装着された容器100において、容器100とラベル110とを効率的に分離させることができる。
【0072】
ラベル110が分離された容器100は、例えば、既存のリサイクル工程で再利用される。
【0073】
このような構成によれば、ラベル110を容器100から効率よく分離することができるので、例えば、ラベルのリサイクルの効率を向上させることができる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任つかう責任」の達成に貢献できる。
【0074】
また、処理溶剤はアルカリ溶液に限らない。例えば、ラベル110が、有機溶媒耐性の低い材料を少なくとも一部に有する場合、処理溶剤は、有機溶媒であってもよい。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 シュリンクラベル(ラベル)
1a シュリンクラベルの第1縁部
1b シュリンクラベルの第2縁部
2 第1フィルム(ラベル本体部)
3 第2フィルム(可溶部・シール部)
10 巻付けラベル(ラベル)
11a 巻付けラベルの第1縁部
11b 巻付けラベルの第2縁部
14 第4フィルム(可溶部)
100 容器(物品)
110 ラベル
120 アルカリ溶液(処理溶剤)
D2 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7