(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051172
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20230404BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B41J2/17 201
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161689
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】元林 直樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056EA27
2C056EC54
2C056FA10
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置2は、ウェルプレート12に液体を吐出するヘッド部22と、ヘッド部22から空吐出された、ウェルプレート12への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部10であって、ヘッド部22から空吐出された液体を受けるための互いに仕切られた複数の受け空間48a,48b,48cを有する液体回収部10とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に液体を吐出するヘッド部と、
前記ヘッド部から空吐出された、前記対象物への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部であって、前記ヘッド部から空吐出された液体を受けるための互いに仕切られた複数の受け空間を有する液体回収部と、を備える
液体吐出装置。
【請求項2】
前記ヘッド部は、互いに異なる種類の複数の液体を吐出可能であり、
前記複数の受け空間はそれぞれ、前記ヘッド部から空吐出された互いに異なる種類の複数の液体を受ける
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体回収部は、前記ヘッド部から空吐出された液体が通過する複数の開口部が形成された本体部を有し、
前記複数の受け空間は、前記本体部の内部に配置され、前記ヘッド部から空吐出された液体を前記複数の開口部をそれぞれ通して受ける
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体回収部は、さらに、前記複数の受け空間を有する受け部であって、前記本体部の内部に配置され、前記本体部に対して着脱可能である受け部を有する
請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体回収部は、さらに、前記複数の受け空間をそれぞれ有する複数の受け部であって、前記本体部の内部に配置され、前記本体部に対してそれぞれ独立して着脱可能である複数の受け部を有する
請求項3に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に液体を吐出するための液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に液体を吐出するためのインクジェット方式の液体吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の液体吐出装置では、ヘッド部における液体の詰まりを予防するために、ヘッド部から液体を空吐出させるメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス動作では、ヘッド部から空吐出された液体は、液体吐出装置の筐体の内部に固定された廃液タンクに溜められ、回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した液体吐出装置は、例えば薬剤等の液体を分注する液体分注装置として用いられる。この場合、廃液タンク内に液体(以下、「第1の液体」という)が残存している状態で、当該第1の液体とは異なる種類の液体(以下、「第2の液体」という)がヘッド部から空吐出されると、これらの第1の液体と第2の液体とが廃液タンク内で混ざり合う。この状態のまま放置しておいた場合には、第1の液体と第2の液体とが意図しない化学反応等を起こすおそれが生じる。
【0005】
例えば、第1の液体が塩素系の液剤、第2の液体が酸性の液剤である場合には、第1の液体と第2の液体とが廃液タンク内で混ざり合うことにより、有毒な塩素ガス等が発生するおそれがある。また、異なる種類の複数の液体を同じタイミングで分注しない場合において、あるタイミングで分注された液体が、当該タイミングよりも前に分注された廃液タンク内の残存廃液と混ざり合うことにより、意図せずそれらの液体が発熱やガス発生等の不安定な状態になるおそれが生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、対象物に液体を吐出するヘッド部と、前記ヘッド部から空吐出された、前記対象物への吐出に寄与しない液体を回収するための液体回収部であって、前記ヘッド部から空吐出された液体を受けるための互いに仕切られた複数の受け空間を有する液体回収部と、を備える。
【0008】
本態様によれば、液体回収部は、互いに仕切られた複数の受け空間を有している。これにより、複数の受け空間でそれぞれ受けられた複数の液体が互いに混ざり合うのを回避することができる。その結果、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【0009】
例えば、前記ヘッド部は、互いに異なる種類の複数の液体を吐出可能であり、前記複数の受け空間はそれぞれ、前記ヘッド部から空吐出された互いに異なる種類の複数の液体を受けるように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、ヘッド部から吐出された互いに異なる種類の複数の液体をそれぞれ、複数の受け空間で受けることができる。その結果、液体回収部において互いに異なる種類の複数の液体が互いに混ざり合うのを回避することができる。
【0011】
例えば、前記液体回収部は、前記ヘッド部から空吐出された液体が通過する複数の開口部が形成された本体部を有し、前記複数の受け空間は、前記本体部の内部に配置され、前記ヘッド部から空吐出された液体を前記複数の開口部をそれぞれ通して受けるように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、ヘッド部から空吐出された液体を、複数の開口部を通して複数の受け空間にそれぞれ効率良く流入させることができる。
【0013】
例えば、前記液体回収部は、さらに、前記複数の受け空間を有する受け部であって、前記本体部の内部に配置され、前記本体部に対して着脱可能である受け部を有するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、受け部は本体部に対して着脱可能であるので、ユーザは、液体が溜まった受け部を本体部の外部に取り出すことができる。これにより、ユーザは、受け部に溜まった液体を廃棄する、あるいは、受け部の洗浄及び消毒を行うなどして、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【0015】
例えば、前記液体回収部は、さらに、前記複数の受け空間をそれぞれ有する複数の受け部であって、前記本体部の内部に配置され、前記本体部に対してそれぞれ独立して着脱可能である複数の受け部を有するように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、複数の受け部は本体部に対してそれぞれ独立して着脱可能であるので、ユーザは、液体が溜まった複数の受け部を本体部の外部に取り出すことができる。これにより、ユーザは、複数の受け部の各々に溜まった液体を廃棄する、あるいは、複数の受け部の洗浄及び消毒を行うなどして、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係る液体吐出装置によれば、ヘッド部から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1に係る液体吐出装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】ヘッド部及び駆動機構の一部を省略した状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図5】蓋部を容器部から取り外した状態での、実施の形態1に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図6】
図4のVI-VI線による、実施の形態1に係る液体回収部の断面図である。
【
図7】実施の形態2に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図8】受け部を本体部から取り外した状態での、実施の形態2に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図9】
図7のIX-IX線による、実施の形態2に係る液体回収部の断面図である。
【
図10】実施の形態3に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図11】複数の受け部を本体部から取り外した状態での、実施の形態3に係る液体回収部を示す斜視図である。
【
図12】
図10のXII-XII線による、実施の形態3に係る液体回収部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
(実施の形態1)
[1-1.液体吐出装置の概要]
まず、
図1~
図3を参照しながら、実施の形態1に係る液体吐出装置2の概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係る液体吐出装置2の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る液体吐出装置2の内部構造を示す斜視図である。
図3は、ヘッド部22及び駆動機構24の一部を省略した状態での、実施の形態1に係る液体吐出装置2の内部構造を示す斜視図である。
【0021】
なお、
図1~
図3において、液体吐出装置2の左右方向をX軸方向、液体吐出装置2の前後方向をY軸方向、液体吐出装置2の上下方向をZ軸方向として説明する。
【0022】
図1~
図3に示すように、液体吐出装置2は、筐体4と、トレイ6と、吐出ユニット8と、液体回収部10とを備えている。本実施の形態では、液体吐出装置2は、液体をウェルプレート12(対象物の一例)に分注するための液体分注装置として適用される。液体は、例えば医療分野や理化学分野における試験等で用いられる、液体試薬又は液体試料等である。
【0023】
図1に示すように、筐体4は、中空状の箱形に形成されている。筐体4の前面には、トレイ6を出し入れするための開口部14が形成されている。また、
図2及び
図3に示すように、筐体4の内部には、液体吐出装置2の各部品を支持するためのベースプレート13が配置されている。
【0024】
トレイ6は、ウェルプレート12を載置するためのものであり、筐体4の内部に配置されたガイドプレート16に移動可能に支持されている。これにより、トレイ6は、ガイドプレート16に沿って、筐体4の内部に収納される収納位置(
図1~
図3に示すトレイ6の位置)と、筐体4の開口部14を通して手前側(Y軸のマイナス側)に引き出される引き出し位置(図示せず)との間を移動可能である。
【0025】
ウェルプレート12は、トレイ6の上面に着脱可能に載置される。ウェルプレート12には、ヘッド部22(後述する)から吐出された液体を溜めるための複数の凹部18が行列状に配置されている。
図2に示すように、トレイ6が収納位置にある状態で、ウェルプレート12の複数の凹部18は、ガイドプレート16に形成された開口部20を通して露出される。
【0026】
吐出ユニット8は、ウェルプレート12に液体を吐出するためのユニットであり、筐体4の内部に配置されている。吐出ユニット8による液体の吐出方式は、ウェルプレート12にミスト状の液体を吐出する、いわゆるインクジェット方式である。
【0027】
図2に示すように、吐出ユニット8は、ヘッド部22と、ヘッド部22を駆動するための駆動機構24とを有している。
【0028】
ヘッド部22は、キャリッジ26と、キャリッジ26に搭載されたカートリッジ28とを有している。カートリッジ28の内部には、互いに異なる種類の複数の液体(例えば、第1の液体、第2の液体及び第3の液体の計3種類の液体)が充填されている。なお、複数の液体は、例えば、塩素系の液剤及び酸性の液剤等を含む。カートリッジ28の下端部には、複数の微細なノズル孔が配置されたノズル面(図示せず)が形成されている。ヘッド部22は、カートリッジ28のノズル面から供給された液体を、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に向けて下方に吐出する。
【0029】
駆動機構24は、ヘッド部22を所定の走査方向(X軸方向)に往復移動させるための機構である。
図2に示すように、駆動機構24は、ガイドシャフト30と、モータ32と、タイミングベルト34とを有している。
【0030】
ガイドシャフト30は、筐体4の内部のベースプレート13に支持されており、所定の走査方向に長尺状に延びている。ガイドシャフト30には、ヘッド部22のキャリッジ26が移動可能に支持されている。モータ32は、例えばサーボモータで構成され、筐体4の内部のベースプレート13に支持されている。モータ32の駆動力は、タイミングベルト34を介してヘッド部22に伝達される。これにより、ヘッド部22は、収納位置にあるトレイ6に載置されたウェルプレート12に対して、ガイドシャフト30に沿って所定の走査方向に往復移動する。
【0031】
ヘッド部22が所定の走査方向に往復移動している状態で、ヘッド部22からウェルプレート12に液体が吐出されることにより、ウェルプレート12の複数の凹部18の各々に液体が所定量ずつ溜められる。この時、ヘッド部22は、ウェルプレート12を交換する毎に、1種類ずつ液体を吐出する。
【0032】
なお、ヘッド部22からの液体の吐出後、ユーザは、トレイ6を収納位置から引き出し位置に移動させることにより、ウェルプレート12をトレイ6から取り出すことができる。ウェルプレート12の複数の凹部18の各々に溜められた液体は、例えば分析等に使用される。
【0033】
また、所定のタイミング(例えば、ウェルプレート12への液体の吐出直前等)で、ヘッド部22における液体の詰まりを予防するためのメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス動作では、ヘッド部22は、往復移動範囲の一端部に位置するメンテナンス位置(
図2に示すヘッド部22の位置)に移動し、当該メンテナンス位置で停止する。なお、メンテナンス位置は、液体回収部10の直上の位置である。この状態で、ヘッド部22は、液体回収部10に向けて液体を空吐出する。ここで、「液体を空吐出する」とは、ヘッド部22が、ウェルプレート12への吐出に寄与しない液体を、ヘッド部22のメンテナンスのために吐出することを意味する。
【0034】
図2及び
図3に示すように、液体回収部10は、ヘッド部22から空吐出された液体を回収するためのものであり、筐体4の内部に配置されている。液体回収部10の構成については、後述する。
【0035】
[1-2.液体回収部の構成]
次に、
図3~
図6を参照しながら、実施の形態1に係る液体回収部10の構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る液体回収部10を示す斜視図である。
図5は、蓋部40を容器部38から取り外した状態での、実施の形態1に係る液体回収部10を示す斜視図である。
図6は、
図4のVI-VI線による、実施の形態1に係る液体回収部10の断面図である。
【0036】
図4及び
図5に示すように、液体回収部10は、本体部36を有している。本体部36は、容器部38と、蓋部40とを有している。
【0037】
容器部38は、ヘッド部22から空吐出された液体を受けるための容器であり、上面(メンテナンス位置にあるヘッド部22に対向する面)が開口された中空状の箱形に形成されている。容器部38の側面(X軸方向における側面)には、取付片42が突出して形成されている。
図3に示すように、取付片42は、筐体4の内部のベースプレート13にネジ44で固定されている。
【0038】
また、
図5及び
図6に示すように、容器部38の内部には、一対の仕切り板46が互いに対向して配置されている。これにより、容器部38の内部には、一対の仕切り板46により互いに仕切られた複数(本実施の形態では、3つ)の受け空間48a,48b,48cが形成されている。複数の受け空間48a,48b,48cは、例えば左右方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。なお、本実施の形態では、容器部38の内部に3つの受け空間48a,48b,48cを形成したが、これに限定されず、例えば2つ又は4つ以上の受け空間を形成してもよい。
【0039】
蓋部40は、容器部38の上面を覆うように配置されており、容器部38に対して着脱可能である。蓋部40には、ヘッド部22から空吐出された液体が通過する複数(本実施の形態では、3つ)の開口部50a,50b,50cが形成されている。複数の開口部50a,50b,50cはそれぞれ、容器部38の複数の受け空間48a,48b,48cの各直上に配置されている。なお、本実施の形態では、蓋部40を容器部38に対して着脱可能に構成したが、これに限定されず、蓋部40と容器部38とを一体に構成してもよい。
【0040】
上述したメンテナンス動作では、ヘッド部22は、メンテナンス位置で液体回収部10に向けて例えば3種類の液体(第1の液体、第2の液体及び第3の液体)を順次空吐出する。この時、ヘッド部22は、第1の液体、第2の液体及び第3の液体をそれぞれ、容器部38の複数の受け空間48a,48b,48cに順次空吐出するように制御される。
【0041】
これにより、ヘッド部22から空吐出された第1の液体は、蓋部40の開口部50aを通過して、容器部38の受け空間48aにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第2の液体は、蓋部40の開口部50bを通過して、容器部38の受け空間48bにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第3の液体は、蓋部40の開口部50cを通過して、容器部38の受け空間48cにより受けられる。
【0042】
なお、ユーザは、メンテナンス動作の終了後に、蓋部40を容器部38から取り外すことにより、複数の受け空間48a,48b,48cにそれぞれ溜められた第1の液体、第2の液体及び第3の液体を回収することができる。
【0043】
[1-3.効果]
上述したように、本実施の形態では、液体回収部10の本体部36の内部には、互いに仕切られた複数の受け空間48a,48b,48cが形成されている。これにより、ヘッド部22から吐出された例えば第1の液体、第2の液体及び第3の液体をそれぞれ、複数の受け空間48a,48b,48cで受けることができる。その結果、本体部36の内部で第1の液体、第2の液体及び第3の液体が互いに混ざり合うのを回避することができ、ヘッド部22から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【0044】
例えば、第1の液体が塩素系の液剤、第2の液体が酸性の液剤である場合には、第1の液体と第2の液体とが互いに混ざり合うことにより、有毒な塩素ガス等が発生するおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、本体部36の内部で第1の液体(塩素系の液剤)と第2の液体(酸性の液剤)とが互いに混ざり合うのを回避することができるので、有毒な塩素ガス等の発生を回避することができる。
【0045】
(実施の形態2)
図7~
図9を参照しながら、実施の形態2に係る液体回収部10Aの構成について説明する。
図7は、実施の形態2に係る液体回収部10Aを示す斜視図である。
図8は、受け部52を本体部36Aから取り外した状態での、実施の形態2に係る液体回収部10Aを示す斜視図である。
図9は、
図7のIX-IX線による、実施の形態2に係る液体回収部10Aの断面図である。なお、以下の各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
図7及び
図8に示すように、実施の形態2に係る液体回収部10Aは、本体部36Aと、受け部52とを有している。
【0047】
本体部36Aは、受け部52を収納するための筐体である。本体部36Aは、収納部54と、蓋部40とを有している。収納部54は、上面が開口された中空状の箱形に形成されている。
図8に示すように、収納部54の前面(Y軸方向における側面)には、受け部52を出し入れするための開口部56が形成されている。また、収納部54の内部には、受け部52を下方から支持するための支持部58が配置されている。
【0048】
蓋部40は、収納部54の上面を覆うように配置されており、収納部54に対して着脱可能である。蓋部40の構成は、上記実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
【0049】
受け部52は、ヘッド部22(
図2参照)から空吐出された液体を、蓋部40の複数の開口部50a,50b,50cを通して受けるためのものである。受け部52は、ボックス部60と、取っ手部62とを有している。ボックス部60は、上面(蓋部40に対向する面)が開口された箱形に形成されている。取っ手部62は、ボックス部60の前面(Y軸方向における側面)に突出して形成されている。
【0050】
ボックス部60の内部には、一対の仕切り板64により互いに仕切られた複数(本実施の形態では、3つ)の受け空間66a,66b,66cが形成されている。複数の受け空間66a,66b,66cは、例えば左右方向(X軸方向)に沿って並んで配置されている。なお、本実施の形態では、ボックス部60の内部に3つの受け空間66a,66b,66cを形成したが、これに限定されず、例えば2つ又は4つ以上の受け空間を形成してもよい。
【0051】
図7に示すように、ボックス部60は、本体部36Aの内部に配置されている。具体的には、ボックス部60は、収納部54の内部の支持部58に支持され、蓋部40の下方に配置されている。すなわち、本体部36Aの内部には、互いに仕切られた複数の受け空間66a,66b,66cが配置されている。この状態では、取っ手部62は、収納部54の開口部56を通して本体部36Aの外部に突出している。また、この状態では、
図9に示すように、蓋部40の複数の開口部50a,50b,50cはそれぞれ、複数の受け空間66a,66b,66cの各直上に配置されている。
【0052】
また、受け部52は、本体部36Aに対して着脱可能である。具体的には、
図8に示すように、受け部52は、収納部54の開口部56を通して、本体部36Aの外部に取り出し可能である。
【0053】
上記実施の形態1と同様に、上述したメンテナンス動作では、ヘッド部22は、メンテナンス位置で液体回収部10Aに向けて例えば3種類の液体(第1の液体、第2の液体及び第3の液体)を順次空吐出する。この時、ヘッド部22は、第1の液体、第2の液体及び第3の液体をそれぞれ、受け部52の複数の受け空間66a,66b,66cに順次空吐出するように制御される。
【0054】
これにより、ヘッド部22から空吐出された第1の液体は、蓋部40の開口部50aを通過して、受け部52の受け空間66aにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第2の液体は、蓋部40の開口部50bを通過して、受け部52の受け空間66bにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第3の液体は、蓋部40の開口部50cを通過して、受け部52の受け空間66cにより受けられる。
【0055】
受け部52は、本体部36Aに対して着脱可能であるので、ユーザは、例えばメンテナンス動作の終了後に、受け部52の取っ手部62を把持することにより、受け部52を、収納部54の開口部56を通して本体部36Aの外部に取り出すことができる。これにより、ユーザは、受け部52のボックス部60に溜まった液体を廃棄する、あるいは、受け部52の洗浄及び消毒を行うなどして、ヘッド部22から空吐出された液体を適切に処理することができる。
【0056】
(実施の形態3)
図10~
図12を参照しながら、実施の形態3に係る液体回収部10Bの構成について説明する。
図10は、実施の形態3に係る液体回収部10Bを示す斜視図である。
図11は、複数の受け部68a,68b,68cを本体部36Aから取り外した状態での、実施の形態3に係る液体回収部10Bを示す斜視図である。
図12は、
図10のXII-XII線による、実施の形態3に係る液体回収部10Bの断面図である。
【0057】
図10及び
図11に示すように、実施の形態3に係る液体回収部10Bは、本体部36Aと、複数(本実施の形態では、3つ)の受け部68a,68b,68cとを有している。本体部36Aの構成は、上記実施の形態2と同一であるので、その説明を省略する。なお、本実施の形態では、本体部36Aが3つの受け部68a,68b,68cを有するようにしたが、これに限定されず、例えば2つ又は4つ以上の受け部を有するようにしてもよい。
【0058】
複数の受け部68a,68b,68cはそれぞれ、ヘッド部22(
図2参照)から空吐出された液体を、蓋部40の複数の開口部50a,50b,50cを通して受けるためのものである。受け部68aは、ボックス部70aと、取っ手部72aとを有している。ボックス部70aは、上面(蓋部40に対向する面)が開口された箱形に形成されている。ボックス部70aの内部には、受け空間74aが形成されている。取っ手部72bは、ボックス部70aの前面(Y軸方向における側面)に突出して形成されている。
【0059】
また、受け部68bは、ボックス部70bと、取っ手部72bとを有している。ボックス部70bは、上面が開口された箱形に形成されている。ボックス部70bの内部には、受け空間74bが形成されている。取っ手部72bは、ボックス部70bの前面に突出して形成されている。
【0060】
また、受け部68cは、ボックス部70cと、取っ手部72cとを有している。ボックス部70cは、上面が開口された箱形に形成されている。ボックス部70cの内部には、受け空間74cが形成されている。取っ手部72cは、ボックス部70cの前面に突出して形成されている。
【0061】
図10に示すように、複数のボックス部70a,70b,70cは、本体部36Aの内部に配置されている。具体的には、複数のボックス部70a,70b,70cは、収納部54の内部の支持部58に支持され、蓋部40の下方に配置されている。すなわち、本体部36Aの内部には、互いに仕切られた複数の受け空間74a,74b,74cが配置されている。この状態では、複数の取っ手部72a,72b,72cは、収納部54の開口部56を通して本体部36Aの外部に突出している。また、この状態では、
図12に示すように、蓋部40の複数の開口部50a,50b,50cはそれぞれ、複数の受け空間74a,74b,74cの各直上に配置されている。
【0062】
また、複数の受け部68a,68b,68cは、本体部36Aに対してそれぞれ独立して着脱可能である。具体的には、
図11に示すように、複数の受け部68a,68b,68cの各々は、収納部54の開口部56を通して、本体部36Aの外部にそれぞれ独立して取り出し可能である。
【0063】
上記実施の形態1と同様に、上述したメンテナンス動作では、ヘッド部22は、メンテナンス位置で液体回収部10Bに向けて例えば3種類の液体(第1の液体、第2の液体及び第3の液体)を順次空吐出する。この時、ヘッド部22は、第1の液体、第2の液体及び第3の液体をそれぞれ、受け部68aの受け空間74a、受け部68bの受け空間74b及び受け部68cの受け空間74cに順次空吐出するように制御される。
【0064】
これにより、ヘッド部22から空吐出された第1の液体は、蓋部40の開口部50aを通過して、受け部68aの受け空間74aにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第2の液体は、蓋部40の開口部50bを通過して、受け部68bの受け空間74bにより受けられる。また、ヘッド部22から空吐出された第3の液体は、蓋部40の開口部50cを通過して、受け部68cの受け空間74cにより受けられる。
【0065】
複数の受け部68a,68b,68cは、本体部36Aに対してそれぞれ独立して着脱可能であるので、ユーザは、例えばメンテナンス動作の終了後に、複数の受け部68a,68b,68cのうち洗浄又は消毒をしたい特定の受け部(例えば、受け部68a)のみを、本体部36Aの外部に取り出すことができる。
【0066】
(他の変形例)
以上、本発明の実施の形態1~3に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0067】
上記各実施の形態では、液体吐出装置2を液体分注装置として適用したが、これに限定されず、例えば対象物にインク(液体の一例)を吐出することにより対象物に印刷を施すための印刷装置として適用してもよい。
【0068】
また、上記各実施の形態では、ヘッド部22は、互いに異なる種類の複数の液体を吐出するようにしたが、これに限定されず、1種類の液体のみを吐出するようにしてもよい。この場合、ヘッド部22のカートリッジ28の種類を交換することにより、ヘッド部22から吐出される液体の種類が変更される毎に、ヘッド部22からの液体の空吐出先となる受け空間を適宜変更すればよい。これにより、上述と同様に、液体回収部10(10A,10B)において互いに異なる種類の複数の液体が互いに混ざり合うのを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る液体吐出装置は、例えば液体試薬又は液体試料等をウェルプレートに分注するための液体分注装置等として適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
2 液体吐出装置
4 筐体
6 トレイ
8 吐出ユニット
10,10A,10B 液体回収部
12 ウェルプレート
13 ベースプレート
14,20,50a,50b,50c,56 開口部
16 ガイドプレート
18 凹部
22 ヘッド部
24 駆動機構
26 キャリッジ
28 カートリッジ
30 ガイドシャフト
32 モータ
34 タイミングベルト
36,36A 本体部
38 容器部
40 蓋部
42 取付片
44 ネジ
46,64 仕切り板
48a,48b,48c,66a,66b,66c,74a,74b,74c 受け空間
52,68a,68b,68c 受け部
54 収納部
58 支持部
60,70a,70b,70c ボックス部
62,72a,72b,72c 取っ手部