(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051191
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20230404BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/90 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20230404BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230404BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/891
A61K8/90
A61K8/85
A61K8/81
A61Q1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161722
(22)【出願日】2021-09-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】青木 瑞希
(72)【発明者】
【氏名】林田 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】千葉 桐子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB292
4C083AB361
4C083AB362
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC242
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD492
4C083AD632
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB26
4C083CC02
4C083CC13
4C083DD30
4C083EE05
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】高い二次付着レス効果を改善した化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】化粧料組成物は、(A)フェニル変性シリコーンからなる第1の油性成分と、(B)水添ポリイソブテン及び(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーからなる群から選択される少なくとも1つからなる第2の油性成分と、(C)平均粒子径が5nm~50nmである親水性シリカからなる第1の粉末と、を含む。第1の油性成分と第2の油性成分は、25℃において質量比1:1で混合すると分離するような相溶性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェニル変性シリコーンからなる第1の油性成分と、
(B)水添ポリイソブテン及び(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーからなる群から選択される少なくとも1つからなる第2の油性成分と、
(C)平均粒子径が5nm~50nmである親水性シリカからなる第1の粉末と、を含み、
前記第1の油性成分と前記第2の油性成分は、25℃において質量比1:1で混合すると分離するような相溶性を有する、化粧料組成物。
【請求項2】
前記第1の粉末が化粧料組成物の質量に対して0.2質量%~2.5質量%である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化粧料組成物を肌に塗布すると、前記第2の油性成分は肌側に移行し、前記第1の油性成分は前記第2の油性成分よりも外側に移行し、
前記第1の粉末は、前記第1の油性成分よりも前記第2の油性成分中に多く存在する、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
(D)ワックスからなる第3の油性成分をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
(E)前記第1の油性成分と前記第2の油性成分の相溶性を調整する第4の油性成分をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記第4の油性成分は、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、水添ポリデセン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、及びエチルヘキサン酸セチルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記第4の油性成分が化粧料組成物の質量に対して5質量%~30質量%である、請求項5又は6に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
(F)色材をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
(G)ジメチルシリル化シリカ、硫酸バリウム、及び平均粒子径が0.1μm~8μmである親水性シリカからなる群から選択される少なくとも1つである第2の粉末をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記第2の粉末が化粧料組成物の質量に対して0.1質量%~0.8質量%である、請求項9に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の化粧料組成物を肌に塗布すると、前記第2の油性成分は肌側に移行し、前記第1の油性成分は前記第2の油性成分よりも外側に移行し、
前記第2の粉末は、前記第2の油性成分よりも前記第1の油性成分中に多く存在する、請求項9又は10に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記第1の油性成分は、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、及びフェニルトリメチコンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
前記第1の油性成分が化粧料組成物の質量に対して3質量%~70質量%であり、
前記第2の油性成分が化粧料組成物の質量に対して7質量%~40質量%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
ジメチルポリシロキサンが化粧料組成物の質量に対して2質量%以下である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
大気圧下25℃において均一な固形組成物である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
口唇に適用される、請求項1~15のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化粧料組成物に関する。例えば、本開示は、口唇化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧(メーキャップ)が食器や衣類と接触した際に、接触物に化粧の色が写ることを2次付着という。2次付着は、接触物に化粧の色が付いてしまうのみならず、化粧崩れの原因にもなる。特に、口紅は、唇が食器に触れる機会が多いため、2次付着しやすい。そこで、2次付着による色移りが抑制されたいわゆる2次付着レス効果を有する化粧料が開発されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の唇用固形化粧料は、(a)水添ポリイソブテン35~50質量%、(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン20~60質量%、(c)(a)成分及び(b)成分の相溶性を調整する相溶性調整剤としてのジカプリン酸ネオペンチルグリコール1~20質量%、及び(d)ワックス3~12質量%を含む。唇用固形化粧料は(e)色材をさらに含むことができ、(e)成分は(a)成分に分散している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6242958号公報
【特許文献2】特許第5280490号公報
【特許文献3】特許第5926896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本開示の観点から与えられる。
【0006】
特許文献1~3に記載のような、2次付着レス効果を有する口唇化粧料において、使用前の状態においては、各成分は製品中に均一に混合されている。当該化粧料を唇に塗布すると、塗布時及び唇の擦り合わせ時のせん断力及び/又は圧力により、唇上で、液状炭化水素油/エステル油系成分と、シリコーン油系成分とが分離する。分離により、液状炭化水素油/エステル油系成分は皮膚(唇)に密着する。一方、シリコーン油系成分は、皮膚に密着した液状炭化水素油/エステル油系成分上を被覆する。色材は、シリコーン油系成分中にほとんど存在せず、液状炭化水素油・エステル油系成分中に存在している。すなわち、シリコーン油系成分は無色透明な状態にある。このため、口紅を塗った唇が食器に触れても、無色透明のシリコーン油系成分が食器に付着し、色材を含む液状炭化水素油/エステル油系成分が食器に付着することを抑制することができ、これにより色移りを抑制することができる。
【0007】
特許文献1~3に記載のような化粧料において、肌に塗布した後、被覆層であるシリコーン油系成分が物に付着し減少すると、2次付着レス効果が低下することになる。そこで、2次付着レス効果をさらに高めた化粧料組成物、特に被覆層が減少しても2次付着レス効果を維持可能な化粧料組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1視点によれば、(A)フェニル変性シリコーンからなる第1の油性成分と、(B)水添ポリイソブテン及び(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーからなる群から選択される少なくとも1つからなる第2の油性成分と、(C)平均粒子径が5nm~50nmである親水性シリカからなる第1の粉末と、を含む化粧料組成物が提供される。第1の油性成分と第2の油性成分は、25℃において質量比1:1で混合すると分離するような相溶性を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の化粧料組成物は高い2次付着レス効果を有している。特に、肌に塗布後、第1の油性成分の層が減少しても、2次付着レス効果を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0011】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1の粉末が化粧料組成物の質量に対して0.2質量%~2.5質量%である。
【0012】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物を肌に塗布すると、第2の油性成分は肌側に移行し、第1の油性成分は第2の油性成分よりも外側に移行する。第1の粉末は、第1の油性成分よりも第2の油性成分中に多く存在する。
【0013】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物は、(D)ワックスからなる第3の油性成分をさらに含む。
【0014】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物は、(E)第1の油性成分と第2の油性成分の相溶性を調整する第4の油性成分をさらに含む。
【0015】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第4の油性成分は、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、水添ポリデセン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、及びエチルヘキサン酸セチルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第4の油性成分が化粧料組成物の質量に対して5質量%~30質量%である。
【0017】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物は、(F)色材をさらに含む。
【0018】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物は、(G)ジメチルシリル化シリカ、硫酸バリウム、及び平均粒子径が0.1μm~8μmである親水性シリカからなる群から選択される少なくとも1つである第2の粉末をさらに含む。
【0019】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第2の粉末が化粧料組成物の質量に対して0.1質量%~0.8質量%である。
【0020】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物を肌に塗布すると、第2の油性成分は肌側に移行し、第1の油性成分は第2の油性成分よりも外側に移行する。第2の粉末は、第2の油性成分よりも第1の油性成分中に多く存在する。
【0021】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1の油性成分は、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、及びフェニルトリメチコンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0022】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1の油性成分が化粧料組成物の質量に対して3質量%~70質量%である。第2の油性成分が化粧料組成物の質量に対して7質量%~40質量%である。
【0023】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジメチルポリシロキサンが化粧料組成物の質量に対して2質量%以下である。
【0024】
上記第1視点の好ましい形態によれば、大気圧下25℃において均一な固形組成物である。
【0025】
上記第1視点の好ましい形態によれば、化粧料組成物は口唇に適用される。
【0026】
以下の説明において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略記で、POE又はPOPの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPOE基又はPOP基の平均付加モル数を表す。
【0027】
本開示において「実質量」とは、その化合物の添加による作用効果が生じ得る量をいう。
【0028】
本開示において「固形」とは、大気圧下、25℃で固体を維持可能なものをいう。本開示において「液状」とは、大気圧下、25℃で流動性があるもの(液状であるもの)をいう。液状には半固形状態も含まれ得る。
【0029】
本開示の化粧料組成物について説明する。本開示の化粧料組成物は、(A)第1の油性成分と、(B)第2の油性成分と、(C)第1の粉末と、を含む。本開示の化粧料組成物は、(使用前の状態において)大気圧下、25℃において固形である。使用前の状態においては、本開示の化粧料組成物において、大気圧下、25℃において各成分は固形中に安定にかつ均一に分散している。
【0030】
[(A)第1の油性成分(フェニル変性シリコーン)]
(A)第1の油性成分は、フェニル変性シリコーンからなる。フェニル変性シリコーンは、例えば、少なくとも一部にフェニル基を導入したシロキサン化合物である。フェニル変性シリコーンは、大気圧下25℃において液状である。フェニル変性シリコーンとしては、例えば、第1の油性成分は、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、及びフェニルトリメチコンからなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。
【0031】
成分(A)は1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
【0032】
成分(A)は、化粧料組成物の質量に対して、3質量%以上であると好ましい。成分(A)は、化粧料組成物の質量に対して、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上とすることができる。成分(A)が3質量%未満であると、2次付着レス効果が低くなってしまう。成分(A)は、化粧料組成物の質量に対して、70質量%以下であると好ましい。成分(A)は、化粧料組成物の質量に対して、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下とすることができる。成分(A)が70質量%を超えると、相対的に他の成分が少なくなり、発色性が低下してしまう。
【0033】
[(B)第2の油性成分(炭化水素/エステル油)]
(B)第2の油性成分は、水添ポリイソブテン及び(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーからなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。成分(B)は、大気圧下25℃において液状である。
【0034】
成分(A)と成分(B)とは、以下のような相溶性を有する:(1)成分(A)と成分(B)を質量比で1:1で90℃において撹拌混合する。(2)当該混合物を25℃の環境に静置する。(3)混合物の温度が25℃になったときに、成分(A)と成分(B)との間に境界が存在するように、成分(A)と成分(B)とは分離する。本開示において成分(A)に成分(D)は含まれない。
【0035】
成分(B)は、化粧料組成物の質量に対して、7質量%以上であると好ましい。成分(B)は、化粧料組成物の質量に対して、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は35質量%以上とすることができる。成分(B)が7質量%未満であると、鮮やかな発色を実現することができない。成分(B)は、化粧料組成物の質量に対して、40質量%以下であると好ましい。成分(B)は、化粧料組成物の質量に対して、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下とすることができる。成分(B)が40質量%を超えると、成分(A)が相対的に少なくなり、2次付着レス効果が低くなってしまう。
【0036】
[(C)第1の粉末]
(C)第1の粉末は、粒子表面が親水性であるシリカである。第1の粉末は、例えば、煙霧状(フュームド)親水性シリカとすることができる。第1の粉末の平均粒径は5nm以上であると好ましい。第1の粉末の平均粒径は50nm以下であると好ましい。平均粒径は、例えば、コールターカウンターを用いて測定することができる。なお、成分(C)に、後述の成分(G)第2の粉末は含まれない。
【0037】
本開示の化粧料組成物が皮膚に塗布され2層に分離したとき、第1の粉末は、主として、被覆層である第1の油性成分層よりも皮膚側の第2の油性成分層側に存在していると考えられる。第1の粉末は、被覆層である第1の油性成分層が取り除かれた後において、第2の油性成分層の接触物への2次付着を抑制していると考えられる。
【0038】
成分(C)は、化粧料組成物の質量に対して、0.2質量%以上であると好ましい。成分(C)は、化粧料組成物の質量に対して、0.25質量%以上、0.4質量%以上、0.8質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。成分(C)が0.2質量%未満であると、2次付着レス効果を高めることができない。成分(C)は、化粧料組成物の質量に対して、2.5質量%以下であると好ましい。成分(C)は、化粧料組成物の質量に対して、2質量%以下、1.5質量%以下、1.2質量%以下、1質量%以下、又は0.8質量%以下とすることができる。成分(C)が2.5質量%を超えると、2次付着レス効果が低下する傾向がある。
【0039】
[(D)第3の油性成分(ワックス)]
本開示の化粧料組成物は、ワックスからなる第3の油性成分をさらに含むことができる。成分(D)は、高温で相溶させた成分(A)と成分(B)とを室温においても相溶状態を維持したまま固める作用を有する。
【0040】
成分(D)としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ビースワックス、セレシン、固形パラフィン、モクロウ等を挙げることができる。本開示において成分(D)は、成分(B)には含まれない。
【0041】
成分(D)は、化粧料組成物の質量に対して、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上とすることができる。成分(D)が2質量%未満であると、成分(A)と成分(B)とを固める効果が低くなってしまう。成分(D)は、化粧料組成物の質量に対して、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。成分(D)が10質量%を超えると、成分(A)又は成分(B)が相対的に少なくなり、2次付着レス効果が低くなるか、又は鮮やかな発色が得られなくなってしまう。
【0042】
[(E)第4の油性成分(相溶化剤)]
本開示の化粧料組成物は、成分(A)と成分(B)の相溶性を調整する相溶化剤として作用する第4の油性成分をさらに含むことができる。成分(E)は、化粧料組成物を製造するときに、成分(A)と成分(B)のつなぎとして作用する。成分(E)は以下のような相溶性調整作用を有すると好ましい:(1)成分(A)、成分(B)及び成分(E)を質量比で3:4:1で90℃で混合すると、成分(E)は成分(A)と成分(B)とを相溶させることができる。(2)90℃の当該混合物を25℃の環境に静置して25℃になったとき、成分(E)は、成分(A)と成分(B)との間に境界が存在するように、成分(A)と成分(B)とを分離させることができる。
【0043】
成分(E)は、例えば、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、水添ポリデセン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、及びエチルヘキサン酸セチルからなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。
【0044】
成分(E)は、化粧料組成物の質量に対して、5質量%以上であると好ましい。成分(E)は、化粧料組成物の質量に対して、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上とすることができる。成分(E)が5質量%未満であると、均一な化粧料組成物を製造することが難しくなる。成分(E)は、化粧料組成物の質量に対して、30質量%以下であると好ましい。成分(E)は、化粧料組成物の質量に対して、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。成分(E)が30質量%を超えると、成分(A)又は成分(B)が相対的に少なくなり、2次付着レス効果が低くなるか、又は鮮やかな発色が得られなくなってしまう。
【0045】
[(F)色材]
本開示の化粧料組成物は、化粧料組成物を着色する作用を有する色材をさらに含むことができる。色材は、成分(A)よりも成分(B)中に分散可能であるものが好ましい。色材は有機顔料であると好ましい。色材は、成分(A)及び成分(B)に不溶の有機顔料であると好ましい。
【0046】
有機顔料としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤106色号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、だいだい色201号、だいだい色203号、だいだい色204号、だいだい色205号、だいだい色206号、だいだい色207号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、褐色201号、及び紫色201号からなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。化粧料組成物が口紅である場合、有機顔料は、赤色104号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黄色5号、及び青色1号からなる群から選択される少なくとも1つであると好ましい。特に、色材は赤202号を含むと好ましい。
【0047】
成分(F)は、化粧料組成物の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上とすることができる。成分(E)が1質量%未満であると、化粧料組成物の色が薄くなりすぎてしまう。成分(F)は、化粧料組成物の質量に対して、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、又は4質量%以下とすることができる。成分(E)が10質量%を超えると、色材が凝集してしまう。
【0048】
[(G)第2の粉末]
本開示の化粧料組成物は、ジメチルシリル化シリカ、硫酸バリウム、及び平均粒子径が0.1μm~8μmの親水性シリカからなる群から選択される少なくとも1つからなる第2の粉末をさらに含むことができる。
【0049】
親水性シリカの平均粒径は、8μm以下であると好ましい。疎水性シリカの平均粒径は、例えば、7.5μm以下、6μm以下、5.5μm以下、又は5μm以下とすることができる。親水性シリカの平均粒径が8μmを超えると、2次付着レス効果が低下する傾向がある。親水性シリカの平均粒径は、例えば、0.1μm以上、0.5μm又は1μm以上とすることができる。平均粒径は、例えば、コールターカウンターを用いて測定することができる。
【0050】
本開示の化粧料組成物が皮膚に塗布され2層に分離したとき、第2の粉末は、主として、皮膚側の第2の油性成分層側よりも、被覆層である第1の油性成分層側に存在していると考えられる。第2の粉末は、被覆層である第1の油性成分層のにじみを抑制することができると考えられる。これにより、肌への塗布後のにじみが抑制され、きれいな化粧仕上がりを達成することができる。例えば、化粧料組成物中の第1の油性成分の配合割合を多くすると2次付着レス効果を高めることができるが、一方で第1の油性成分がにじみやすくなり、化粧の仕上がりの質が低下する傾向がある。このような場合でも、第2の粉末を添加することにより、肌に塗布した際のにじみの発生を抑制することができる。
【0051】
成分(G)は、化粧料組成物の質量に対して、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.4質量%以上、0.8質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。成分(G)は、化粧料組成物の質量に対して、2.5質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下、1.2質量%以下、1質量%以下、又は0.8質量%以下とすることができる。
【0052】
[(H)その他]
本開示の化粧料組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、他の成分、例えば、水、水溶性アルコール、上記以外の油性成分、粉末、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、親水性非イオン性界面活性剤、親油性非イオン性界面活性剤、増粘剤、保湿剤、皮膜剤、油溶性紫外線吸収剤、水溶性紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0053】
水としては、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0054】
水は、化粧料組成物の質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。化粧料組成物は水を実質量含有しないとさらに好ましい。
【0055】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0056】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0057】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解糖還元アルコール等);グリコリド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0058】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオース、ベルバスコース類等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0059】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0060】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0061】
油性成分としては、例えば、炭化水素油、ワックス、液体油脂、固体油脂、ロウ、合成エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油等を使用することができる。
【0062】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、イソドデカン、イソヘキサデカン、水添ポリデセン、ミネラルオイル等が挙げられる。
【0063】
ワックスとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ラウリン酸ヘキシル、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEコレステロールエーテル、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。
【0064】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0065】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0066】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0067】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0068】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等を使用することができる。
【0069】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム、シクロペンタシロキサン等のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0070】
粉末は、化粧料用途等、一般に用い得るものであれば特に限定されるものではない。粉末としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、煙霧状シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等);ワックス粉末(例えば、カルナバワックス粉末等);デンプン粉末(例えば、トウモロコシデンプン粉末、コメデンプン粉末等)等を使用することができる。
【0071】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸Na等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル‐N‐メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンNa、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
【0072】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム);塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0073】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0074】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0075】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0076】
天然の水溶性ポリマーとしては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等)等が挙げられる。
【0077】
半合成の水溶性ポリマーとしては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0078】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸、タウレート系合成高分子、アクリレート系合成高分子等が挙げられる。
【0079】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0080】
皮膜剤としては、例えば、高分子シリコーン、シリコーンレジン、トリメチルシロキシケイ酸等)が挙げられる。
【0081】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0082】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0083】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0084】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0085】
さらに、本開示の組成物は、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、グルコキシルヘスペリジンも適宜含有することができる。
【0086】
[(I)ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)]
本開示の化粧料組成物に含有されるジメチコンは、2質量%以下であると好ましく、1.5質量%以下であるとより好ましく、1質量%以下であるとより好ましく、0.5質量%以下であるとより好ましく、0質量%(無含有)であるとさらに好ましい。ジメチコンが2質量%超えると、化粧料組成物を肌に塗布したときに3層に分離し、第1の粉末が(A)第1の油性成分の層に存在していまい、2次付着レス効果を高めることが難しくなる。
【0087】
[製造方法]
本開示の化粧料組成物の製造方法について説明する。本開示の化粧料組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば、まず、各成分を混合し、各成分が溶融する温度(例えば、80℃以上)に加熱する。溶融後、各成分が均一になるように混合物を混合する。混合後、室温まで冷却し、均一な成分状態を維持したまま固化させて、固形の化粧料組成物を製造することができる。
【0088】
[使用方法・作用]
本開示の化粧料組成物の使用方法及び作用について説明する。本開示の化粧料組成物は、肌に塗布して使用することができる。化粧料組成物が口紅の場合、唇に直接塗布して使用することができる。塗布時及び/又は唇擦り合わせ時のせん断及び/又は圧力により、成分(A)と成分(B)とは肌上で分離する。分離すると、成分(B)は肌側に移動し、肌に付着する。成分(A)は、成分(B)を被覆するように移動する。これにより、成分(A)は、成分(B)の保護膜として作用する。
【0089】
これにより、本開示の化粧料組成物を塗布した部分が物に触れても、無色透明の成分(A)が接触物に付着し、成分(B)の付着を抑制し、これにより色移りを抑制することができる。また、成分(A)が減少したり、取り除かれたりした後であっても、成分(C)が成分(B)の接触物への付着を抑制することができる。これにより、本開示の化粧料組成物によれば、高い2次付着レス効果を得ることができる。
【0090】
本開示の化粧料組成物は、肌に塗布した際に成分(A)がにじむことが抑制されている。特に、本開示の化粧料組成物に成分(G)を配合すると、成分(A)のにじみ抑制をさらに改善することができる。これにより、本開示の化粧料組成物によれば、良好な化粧仕上がりを達成することができる。
【0091】
本開示の化粧料組成物は、肌に塗布した領域につやをだすことができる。
【0092】
本開示の化粧料組成物において、相構造等が、組成によって直接特定することが困難であるか、又はおよそ実際的ではない場合がある。このような場合には、本開示の化粧料組成物は、その製造方法によって特定することが許されるべきものである。
【0093】
本開示の化粧料組成物は、例えば、保湿剤、化粧料等に適用することができる。例えば、本開示の化粧料組成物は、唇用保湿剤(リップクリーム)、皮膚用保湿剤(バーム)、口紅、リップグロス等に適用することができる。
【実施例0094】
本開示の化粧料組成物について、以下に例を挙げて説明する。しかしながら、本開示の化粧料組成物は以下の例に限定されるものではない。以下の実施例では、各試験例の口紅に適用した例について説明するが、本開示の組成物は口紅に限定されるものでもない。各表に示す各成分の含有率の単位は質量%である。
【0095】
[試験例1~32]
表1~6に示す試験例1~32に係る化粧料組成物を作製した。作製した化粧料組成物は、25℃において固形の口紅であり、各成分は均一に分散されていた。各組成物について、2次付着レス効果、にじみの有無及びつやの有無について試験した。各試験項目の評価基準を以下に示す。
【0096】
粉末の平均粒径は、コールターカウンターMA-III型(ベックマン・コールター社)を用いて、以下の条件で測定した。測定試料は、精密ろ過された食塩水(アイソトンII)約50mLにスパチュラ半分位の試料を入れ,超音波分散で1~2分間分散させて調製した。
アパーチャー径:50μm
測定粒子個数:15,000個
【0097】
[2次付着レス効果]
面積4cm2の人工皮革に化粧料組成物2.5mgを塗布し、塗布面を内側にして人工皮革を折り曲げ、指で挟んで5回揉み、5分放置した。次に、タッピング試験機で塗布領域を不織布で2回タッピングして、化粧料組成物が付着した不織布の彩度を分光測色計CM-2600d(コミカミノルタ製)で測定した。
A:彩度が0.5以下であった;
B:彩度が0.5よりも高く0.7以下であった;
C:彩度が0.7よりも高く0.9以下であった;
D:彩度が0.9よりも高かった。
【0098】
[にじみの有無]
各試験例の化粧料組成物を口紅として唇に塗布した。化粧料組成物を塗布した領域から化粧料組成物のにじみがあるかを評価した。
A:にじみは生じなかった;
B:にじみがわずかに生じた;
C:にじみが部分的に生じた;
D:にじみが全体的に生じた。
【0099】
[つやの有無]
各試験例の化粧料組成物を口紅として唇に塗布した。化粧料組成物を塗布した領域につやがあるかを評価した。
A:強いつやがあった;
B:十分なつやがあった;
C:少しつやがあった;
D:つやがなかった。
【0100】
[試験例1~6]
成分(C)の親水性シリカの含有率が異なる化粧料組成物を作製した。表1に、各化粧料組成物の組成及び評価を示す。
【0101】
第1の粉末である(C)親水性シリカを添加していない試験例1においては、2次付着レス効果が低く、またにじみやすかった。一方、(C)親水性を添加した試験例2~6においては、2次付着レス効果を高めることができたと共に、にじみも改善された。第1の粉末は、0.2質量%以上であると好ましいと考えられる。第1の粉末は、2.5質量%以下であると好ましく、1.2質量%以下であるとより好ましいと考えられる。
【0102】
【0103】
[試験例7~19]
第2の粉末であるジメチルシリル化シリカを添加した化粧料組成物を作製した。表2及び表3に、各化粧料組成物の組成及び評価を示す。
【0104】
ジメチルシリル化シリカを添加した試験例7~9においては、試験例2~6と比較してにじみを改善することができた。しかし、ジメチルシリル化シリカの含有率を高くすると2次付着レス効果が低下する傾向が見受けられた。これより、ジメチルシリル化シリカ0.8質量%以下であると好ましいと考えられる。また、ジメチルシリル化シリカを添加しても(C)親水性シリカを添加しなかった試験例18及び19においては2次付着レス効果の改善は見られなかった。
【0105】
【0106】
【0107】
[試験例20~29]
第2の粉末の種類を変えた化粧料組成物を作製した。表4及び表5に、各化粧料組成物の組成及び評価を示す。
【0108】
平均粒径8μm以下の親水性シリカを用いた試験例20及び硫酸バリウムを用いた試験例24においては高い2次付着レス効果を維持しながらもにじみ抑制を改善することができた。
【0109】
【0110】
【0111】
[試験例30~32]
第2の油分の種類を変えた化粧料組成物を作製した。また、塗布した時に2層に分離しない一層系口紅化粧料を作製した。表6に、各化粧料組成物の組成及び評価を示す。ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは、成分(B)の油性成分と25℃において質量比1:1で混合したときに成分(B)と分離するような相溶性を有しない油性成分である。すなわち、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは、成分(B)と相溶性のよい油性成分である。
【0112】
水添ポリイソブテンの代わりに(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマーを用いた試験例30においても良好な評価を得ることができた。
【0113】
一方、成分(A’)と成分(B)が塗布後に分離しない一層系口紅化粧料の試験例31及び32においては、2次付着レス効果は得られなかった。
【0114】
【0115】
[試験例33~45]
複数の層に分離した第1の油性成分及び第2の油性成分において、上記試験例で用いた粉末がいずれの油層に存在するのかを確認した。
【0116】
試験例33~44においては、表7に示す成分の混合物を90℃以上に加熱して一層の組成物とし、よく混合した。次に、一層の混合物を遠心分離にかけ、油性成分を分離させた。このとき、粉末がどちらの層に存在するか確認した。表8に示す粉末それぞれについてこの試験を行った。表8に、試験を行った粉末、及びその粉末が分離後いずれの層に存在したかを示す。
【0117】
試験例45においては、水添ポリイソブテン、ジメチコン及びトリメチルペンタフェニルトリシロキサンの質量比1:1:1の混合物(25℃)に、試験例33と同じ親水性シリカを0.5質量%となるように添加し、分離している3層のいずれの層に粉末が滞在するかを確認した。ジメチコンは粘度87mPa・s(ローターM2、10rpm、25℃)のものを用いた。
【0118】
試験例33~44においては、成分(B)が上層に、成分(A)が下層に2層に分離する相溶性があること(すなわち、非相溶性であること)が確認することができた。試験例45においては、水添ポリイソブテン、ジメチコン及びトリメチルペンタフェニルトリシロキサンが3層に分離する相溶性があること(すなわち、非相溶性であること)が確認することができた。
【0119】
2層分離系の試験例33~44においては、第1の粉末である(C)親水性シリカのみが(B)第2の油性成分の層に存在した。これより、本開示の化粧料組成物を肌に塗布して油性成分が2層に分離すると、(C)第1の粉末は(B)第2の油性成分中に存在し、2次付着レス効果を高めると考えられる。
【0120】
3層分離系の試験例45においては、試験例33~44とは異なり、第1の粉末である(C)親水性シリカはトリメチルペンタフェニルトリシロキサンの層、すなわち(A)第1の油性成分中に存在した。これより、3層分離系の化粧料組成物では(C)第1の粉末による2次付着レス効果は得られないと考えられる。
【0121】
【0122】
【0123】
本発明の化粧料組成物は、上記実施形態及び実施例に基づいて説明されているが、上記実施形態及び実施例に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0124】
本発明のさらなる課題、目的及び形態(変更形態含む)は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0125】
本書に記載した数値範囲については、別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0126】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載には限定されない。各付記は、特許請求の範囲に記載の各請求項と組み合わせることもできる。
[付記1]
本開示の化粧料組成物を保湿剤として使用する、化粧料組成物の使用方法。
[付記2]
本開示の化粧料組成物を口紅として使用する、化粧料組成物の使用方法。
[付記3]
本開示の化粧料組成物を口唇に塗布する、化粧料組成物の使用方法。
本開示の化粧料組成物は、例えば、肌に適用する化粧料に適用することができる。例えば、本開示の化粧料組成物は、下地化粧料、上地化粧料、メイクアップ化粧料、制汗剤、防臭剤、日焼け止め化粧料、スキンケア剤等に適用することができる。