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特開2023-51257コーナー構造及びコーナー構造の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051257
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】コーナー構造及びコーナー構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/04 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
E04F19/04 101G
E04F19/04 102G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161825
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000221580
【氏名又は名称】東都積水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 祥希
(57)【要約】
【課題】施工し易いコーナー構造及びコーナー構造の施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】コーナー構造100は、壁面Wに沿って延びる第1モールディング10と、第1モールディング10と交差する方向に延びる第2モールディング20と、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで覆うコーナーカバー40と、を備える。第2モールディング20の長手方向における端面20aは、第1モールディング10の側面10sに対向している。コーナーカバー40及び第1モールディング10を貫通して接合する接合部材50と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に沿って延びる第1モールディングと、前記第1モールディングと交差する方向に延びる第2モールディングと、前記第1モールディング及び前記第2モールディングを跨いで覆うコーナーカバーと、を備えるコーナー構造であって、
前記第2モールディングの長手方向における端面は、前記第1モールディングの側面に対向し、
前記コーナーカバー及び前記第1モールディングを貫通して接合する接合部材と、を備える
ことを特徴とするコーナー構造。
【請求項2】
前記第1モールディングは、長手方向に沿う第1溝部を有し、
前記第2モールディングは、長手方向に沿う第2溝部を有し、
前記コーナーカバーは、前記第1溝部及び前記第2溝部に嵌るカバー溝部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコーナー構造。
【請求項3】
前記接合部材の頭部は、前記カバー溝部に収まる
ことを特徴とする請求項2に記載のコーナー構造。
【請求項4】
第1壁面に沿って第1モールディングを施工する第1モールディング施工工程と、
前記第1モールディングの側面に、長手方向における端面を対向させて、前記第1壁面と交差する第2壁面に沿って、第2モールディングを施工する第2モールディング施工工程と、
前記第1モールディング及び前記第2モールディングを跨いでコーナーカバーを被せるコーナーカバー施工工程と、
前記コーナーカバー及び前記第1モールディングを接合部材で貫通して接合する接合工程と、を含む
ことを特徴とするコーナー構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーナー構造及びコーナー構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物の壁と床との境界部には、壁に沿って長尺状の巾木が設置されている。
また、境界部の出隅や入隅等のコーナー部には、巾木間に生じる隙間等を覆うため、出隅または入隅の形状に対応したコーナー部材を設置することがある(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-208468号公報
【特許文献2】特開2017-197959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコーナー部材は、本体部分から巾木に向けて突出し、巾木に係止される係止部分を、本体部分と一体に有しているため、係止部分を一方の巾木に係止させてから他方の巾木を係止部分に係止するという手順で施工する必要があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑み、なされたものであって、施工し易いコーナー構造及びコーナー構造の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
【0007】
(1)本発明の一態様に係るコーナー構造は、壁面に沿って延びる第1モールディングと、前記第1モールディングと交差する方向に延びる第2モールディングと、前記第1モールディング及び前記第2モールディングを跨いで覆うコーナーカバーと、を備えるコーナー構造であって、前記第2モールディングの長手方向における端面は、前記第1モールディングの側面に対向し、前記コーナーカバー及び前記第1モールディングを貫通して接合する接合部材と、を備える。
【0008】
このような特徴で特定された本発明のコーナー構造によれば、接合部材の先端の位置に、第1モールディングの端面を含む端部を配置できる。そして、第1モールディング及び第2モールディングを配置してから、コーナーカバーを施工できる。よって、既に床面と壁面との境界部又は天井と壁面との境界部に配置された第1モールディング又は第2モールディングを撓ませてコーナーカバーに係止させたりする必要なく、第1モールディング又は第2モールディングとコーナーカバーとの間に接着剤等を塗布する必要なく、コーナー構造を施工し易くできる。
【0009】
(2)上記(1)において、前記第1モールディングは、長手方向に沿う第1溝部を有し、前記第2モールディングは、長手方向に沿う第2溝部を有し、前記コーナーカバーは、前記第1溝部及び前記第2溝部に嵌るカバー溝部を有してよい。
【0010】
このような特徴で特定された本発明のコーナー構造によれば、カバー溝部は、第1溝部及び第2溝部に嵌っているので、接合部材で接合する前に、第1モールディング及び第2モールディングの位置に対するコーナーカバーの位置決めをし易くできる。
【0011】
(3)上記(2)において、前記接合部材の頭部は、前記カバー溝部に収まってよい。
【0012】
このような特徴で特定された本発明のコーナー構造によれば、第1モールディングとコーナーカバーとを、接合部材の頭部をカバー溝部に隠した状態で接合できる。よって、コーナー構造の見栄えを良くできる。
【0013】
(4)本発明の一態様に係るコーナー構造の施工方法は、第1壁面に沿って第1モールディングを施工する第1モールディング施工工程と、前記第1モールディングの側面に、長手方向における端面を対向させて、前記第1壁面と交差する第2壁面に沿って、第2モールディングを施工する第2モールディング施工工程と、前記第1モールディング及び前記第2モールディングを跨いでコーナーカバーを被せるコーナーカバー施工工程と、前記コーナーカバー及び前記第1モールディングを接合部材で貫通して接合する接合工程と、を含む。
【0014】
このような特徴で特定された本発明のコーナー構造によれば、第1モールディング及び第2モールディングを跨いでコーナーカバーを被せて施工するので、コーナーカバーと一体となった係止部によって第1モールディング及び第2モールディングに対して係止する場合に比べて、施工を簡易にできる。また、コーナーカバー及び第1モールディングを接合部材で貫通して接合するので、第1モールディング及び第2モールディングに対してコーナーカバーを、コーナーカバーと一体となった係止部によって係止したり、接着剤等によって接合したりする場合と比べて、簡単な施工によって接合できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコーナー構造及びコーナー構造の施工方法によれば、施工し易いコーナー構造及びコーナー構造の施工方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るコーナー構造の設置例を示す斜視図である。
図2図1におけるA部詳細図である。
図3図1におけるB部詳細図である。
図4】入隅用コーナーカバーを示す図である。(a)は入隅用コーナーカバーの平面図である。(b)は入隅用コーナーカバーの正面図である。(c)は入隅用コーナーカバーの側面図である。(d)は入隅用コーナーカバーの底面図である。
図5】入隅におけるコーナー構造の分解組立図である。
図6】入隅におけるコーナー構造の平面図である。
図7図1におけるC部詳細図である。
図8図1におけるD部詳細図である。
図9】出隅用コーナーカバーを示す図である。(a)は出隅用コーナーカバーの平面図である。(b)は出隅用コーナーカバーの正面図である。(c)は出隅用コーナーカバーの側面図である。(d)は出隅用コーナーカバーの底面図である。
図10】出隅におけるコーナー構造の分解組立図である。
図11】出隅におけるコーナー構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態)
以下、図1から図11を参照し、本発明の実施形態に係るコーナー構造100及びコーナー構造100の施工方法について説明する。図1は、実施形態に係るコーナー構造100の設置例を示す斜視図である。図2は、図1におけるA部詳細図である。図3は、図1におけるB部詳細図である。図4は、入隅用コーナーカバー40Aを示す図である。図4(a)は入隅用コーナーカバー40Aの平面図である。図4(b)は入隅用コーナーカバー40Aの正面図である。図4(c)は入隅用コーナーカバー40Aの側面図である。図4(d)は入隅用コーナーカバー40Aの底面図である。図5は、入隅iにおけるコーナー構造100の分解組立図である。図6は、入隅iにおけるコーナー構造100の平面図である。図7は、図1におけるC部詳細図である。図8は、図1におけるD部詳細図である。図9は、出隅用コーナーカバー40Bを示す図である。図9(a)は出隅用コーナーカバー40Bの平面図である。図9(b)は出隅用コーナーカバー40Bの正面図である。図9(c)は出隅用コーナーカバー40Bの側面図である。図9(d)は出隅用コーナーカバー40Bの底面図である。図10は、出隅eにおけるコーナー構造100の分解組立図である。図11は、出隅eにおけるコーナー構造100の平面図である。
【0018】
(コーナー構造)
図1に示すように、本実施形態に係るコーナー構造100は、建築物の居室を構成する、壁面Wと床面Fとの境界部又は壁面Wと天井CEとの境界部における、入隅i又は出隅eに設けられる。入隅iは、図1から図6に示すように、第1壁面W1と、第1壁面W1に交差する第2壁面W2とで構成された角であり、室内から室外に向けて凹んでいる。出隅eは、図1及び図7から図11に示すように、第1壁面W1と、第1壁面W1に交差する第3壁面W3とで構成された角であり、室外から室内に向けて突出している。コーナー構造100は、壁面Wと床面Fとの境界部に設置される巾木Dの一部であってよい。コーナー構造100は、壁面Wと天井CEとの境界部に設置される廻り縁Uの一部であってよい。なお、廻り縁Uの一部となる入隅iのコーナー構造100(図1におけるB部参照)は、巾木Dの一部となる入隅iのコーナー構造100(図1におけるA部参照)を高さ方向に反転させたものである。同様に、廻り縁Uの一部となる出隅eのコーナー構造100(図1におけるD部参照)は、巾木Dの一部となる出隅eのコーナー構造100(図1におけるC部参照)を高さ方向に反転させたものである。
【0019】
コーナー構造100は、壁面Wに沿って延びる第1モールディング10と、第1モールディング10と交差する方向に延びる第2モールディング20と、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで覆うコーナーカバー40と、を備えている。なお、モールディングは、一般的に、モール又はモール材と称呼される場合がある。
【0020】
第1モールディング10は、壁面W(第1壁面W1)に沿って延びる薄板状の部材である。第1モールディング10は、巾木Dの一部又は廻り縁Uの一部(特に、直線部分)を構成している。第1モールディング10は、壁面Wに対して、適宜、接着剤等の適宜の固定手段によって固定されている。第1モールディング10は、長手方向に沿う第1溝部11を、室内に露出する表側に有していることが好ましい。第1溝部11は、室内から室外へ向けて、すなわち、表側から裏側に凹んでいる。第1溝部11は、コーナーカバー40のカバー溝部44が嵌る大きさを有している。
【0021】
第2モールディング20は、第1モールディング10と同じ構造のものであってよい。
第2モールディング20は、壁面W(第2壁面W2)に沿って延びる薄板状の部材である。第2モールディング20は、巾木Dの一部又は廻り縁Uの一部(特に、直線部分)を構成している。第2モールディング20は、壁面Wに対して、適宜、接着剤等の適宜の固定手段によって固定されている。第2モールディング20は、長手方向に沿う第2溝部21を、室内に露出する表側に有していることが好ましい。第2溝部21は、室内から室外へ向けて、すなわち、表側から裏側に凹んでいる。第2溝部21は、コーナーカバー40のカバー溝部44が嵌る大きさを有している。
【0022】
コーナーカバー40は、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで覆う部材である。コーナーカバー40は、第1モールディング10と第2モールディング20との間に形成される隙間t(図5及び図6参照)を、第1モールディング10及び第2モールディング20の側方から、及び、高さ方向から(巾木Dのコーナー構造100の上方から又は廻り縁Uのコーナー構造100の下方から)、覆うことができる大きさを有している。これにより、第1モールディング10と第2モールディング20との間に形成される隙間tを覆って、廻り縁U又は巾木Dの入隅又は出隅の見栄えを良くできる。
【0023】
(入隅用コーナーカバー)
コーナーカバー40は、入隅iに用いる入隅用コーナーカバー40Aと、出隅eに用いる出隅用コーナーカバー40Bとで、構造が異なっている。なお、入隅用コーナーカバー40Aと出隅用コーナーカバー40Bとは、ほとんど共通の作用、機能及び効果を有しているので、入隅用コーナーカバー40Aで説明した作用、機能及び効果は、出隅用コーナーカバー40Bについても同様である。なお、入隅用コーナーカバー40Aは、巾木D及び廻り縁Uのいずれの入隅iのコーナー構造100にも用いることができる。
以下、入隅用コーナーカバー40Aの構造を説明する。
図4は、入隅用コーナーカバー40Aを示す図である。図4(a)は入隅用コーナーカバー40Aの平面図である。図4(b)は入隅用コーナーカバー40Aの正面図である。図4(c)は入隅用コーナーカバー40Aの側面図である。図4(d)は入隅用コーナーカバー40Aの底面図である。
【0024】
図4に示すように、入隅用コーナーカバー40Aは、第1モールディング10の側面10sに沿って高さ方向に延びる第1側壁41と、第1側壁41に対して交差して第2モールディング20の側面20sに沿って高さ方向に延びる第2側壁42と、第1側壁41及び第2側壁42の両方に対して交差する方向に延び、第1モールディング10の端面10a、第2モールディング20の端面20a及び隙間tのそれぞれを高さ方向から覆う頂部43と、を有している。第1側壁41と第2側壁42とは、例えば、略直角に交差している。
第1側壁41及び第2側壁42で形成される角は、室内から室外に向けて(壁面Wに向く方向に)突出している。
【0025】
第1側壁41及び第2側壁42は、壁面Wに向けて突出するカバー溝部44を除き、鉛直面に沿う平坦な裏面を有している。これにより、第1モールディング10及び第2モールディング20に対して係止したり、引っ掛けたりする部分がないため、コーナー構造100の施工時における入隅用コーナーカバー40Aの取り回しの自由度を高めることができる。
【0026】
頂部43は、第1側壁41及び第2側壁42に対して、例えば、略直角に交差している。
頂部43は、水平面に沿う平坦な裏面を有している。これにより、第1モールディング10及び第2モールディング20に対して係止したり、引っ掛けたりする部分がないため、コーナー構造100の施工時における入隅用コーナーカバー40Aの取り回しの自由度を高めることができる。
【0027】
また、入隅用コーナーカバー40Aは、カバー溝部44を有している。カバー溝部44は、第1側壁41及び第2側壁42の表側に設けられている。カバー溝部44は、第1側壁41から第2側壁42に亘って、水平に沿って設けられている。
【0028】
入隅用コーナーカバー40Aは、第1モールディング10又は第2モールディング20のいずれにも直接的に係止されることなく、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで覆っている。これにより、コーナー構造100を施工する際に、あらかじめ入隅用コーナーカバー40Aを第1モールディング10又は第2モールディング20に係止しておいたり、第1モールディング10又は第2モールディング20を曲げたりする必要がない。よって、入隅用コーナーカバー40Aに複雑な形状の係止部を設ける必要をなくすことができ、コーナー構造100を施工し易くできる。
【0029】
(第1モールディングと第2モールディングと入隅用コーナーカバーとの位置関係)
ここで、入隅iのコーナー構造100の説明に戻る。図5は、入隅iにおけるコーナー構造100の分解組立図である。図6は、入隅iにおけるコーナー構造100の平面図である。
図5及び図6に示すように、第2モールディング20の長手方向における端面20aは、第1モールディング10の側面10sに対向している。そして、コーナー構造100は、入隅用コーナーカバー40A及び第1モールディング10を貫通して接合する接合部材50を備えている。このように、第2モールディング20の端面20aは、第1モールディング10の側面10sに対向するように配置されている。これにより、接合部材50の先端52の位置に、第1モールディング10の端面10aを含む端部を配置できる。そして、第1モールディング10及び第2モールディング20を配置してから、コーナーカバー40を施工できる。よって、既に床面Fと壁面Wとの境界部又は天井CEと壁面Wとの境界部に配置された第1モールディング10又は第2モールディング20を撓ませてコーナーカバー40に係止させたりする必要なく、第1モールディング10又は第2モールディング20とコーナーカバー40との間に接着剤等を塗布する必要なく、コーナー構造100を施工し易くできる。
【0030】
入隅用コーナーカバー40Aは、第1溝部11及び第2溝部21に嵌るカバー溝部44を有している。これにより、カバー溝部44を、第1溝部11及び第2溝部21の延長上に設けることができるので、巾木D又は廻り縁Uの見栄えを良くできる。また、カバー溝部44は、室内から室外に向けて凹んでいるので、接合部材50の頭部51をカバー溝部44に収めることができる。よって、巾木D又は廻り縁Uにおけるコーナー構造100の見栄えを良くできる。また、カバー溝部44は、第1溝部11及び第2溝部21に嵌っているので、接合部材50で接合する前に、第1モールディング10及び第2モールディング20の位置に対する入隅用コーナーカバー40Aの位置決めをし易くできる。なお、カバー溝部44は、中央に、施工時に接合部材50の先端52をガイドするような、下孔を有していてもよい。
【0031】
接合部材50は、入隅用コーナーカバー40A及び第1モールディング10にそれぞれ貫通させて施工するため、打撃に耐える比較的大径の頭部51と、先細りの尖った先端52と、を有する棒状体であってよい。接合部材50は、例えば、釘、針、ピン等であってよい。これにより、接合部材50を入隅用コーナーカバー40A及び第1モールディング10に貫通し易くできる。接合部材50は、第1モールディング10及び入隅用コーナーカバー40Aよりも強度の高いものであることが好ましい。接合部材50は、例えば、金属製又は樹脂製であってよい。
【0032】
接合部材50の頭部51は、カバー溝部44に収まっている。すなわち、図6に示すように、頭部51は、平面視において、カバー溝部44と重なって隠れており、視認できなくなっている。これにより、第1モールディング10と入隅用コーナーカバー40Aとを、接合部材50の頭部51をカバー溝部44に隠した状態で接合できる。よって、コーナー構造100の見栄えを良くできる。なお、接合部材50の先端52は、第1モールディング10に埋まっていてよく、第1モールディング10を貫通して隙間tの空間に位置してもよい。
【0033】
(入隅用のコーナー構造の施工方法)
次に、主に、図5及び図6を参照しながら、入隅用のコーナー構造100の施工方法を説明する。なお、入隅用のコーナー構造100の施工方法と出隅用のコーナー構造100の施工方法とは、第1モールディング10及び第2モールディング20を施工した後に、入隅用コーナーカバー40Aを施工し、接合部材50を施工する点で共通しており、基本的に同じである。
【0034】
(1)入隅iのコーナー構造100を施工する場合、図5に示すように、まず、第1壁面W1に沿って第1モールディング10を施工する(第1モールディング施工工程)。
【0035】
(2)次に、第1モールディング10の側面10sに、長手方向における端面20aを対向させて、第1壁面W1と交差する第2壁面W2に沿って、第2モールディング20を施工する(第2モールディング施工工程)。
【0036】
(3)次に、図6に示すように、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで入隅用コーナーカバー40Aを被せる(コーナーカバー施工工程)。この際、第1モールディング10及び第2モールディング20に、それぞれ、第1溝部11部及び第2溝部21がある場合、第1溝部11及び第2溝部21にカバー溝部44を嵌める。
このように、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで入隅用コーナーカバー40Aを被せて施工するので、入隅用コーナーカバー40Aと一体となった係止部によって第1モールディング10及び第2モールディング20に対して係止する場合に比べて、施工を簡易にできる。
【0037】
(4)最後に、図6に示すように、入隅用コーナーカバー40A及び第1モールディング10を接合部材50で貫通して接合する(接合工程)。なお、接合部材50は、適宜、手打ち又は鋲打機で施工してよい。この際、接合部材50の頭部51が、入隅用コーナーカバー40Aのカバー溝部44に収まるまで打ち込む。このように、入隅用コーナーカバー40A及び第1モールディング10を接合部材50で貫通して接合するので、第1モールディング10及び第2モールディング20に対して入隅用コーナーカバー40Aを、入隅用コーナーカバー40Aと一体となった係止部によって係止したり、接着剤等によって接合したりする場合と比べて、簡単な施工によって接合できる。なお、接合部材50は、第2モールディング20をも貫通してもよい。
【0038】
(出隅用コーナーカバー)
以下、出隅用コーナーカバー40Bの構造を説明する。なお、出隅用コーナーカバー40Bと入隅用コーナーカバー40Aと共通する部分については、説明を省略する場合がある。なお、出隅用コーナーカバー40Bは、巾木D及び廻り縁Uのいずれの出隅eのコーナー構造100にも用いることができる。
図9は、出隅用コーナーカバーを示す図である。図9(a)は出隅用コーナーカバー40Bの平面図である。図9(b)は出隅用コーナーカバーの正面図である。図9(c)は出隅用コーナーカバーの側面図である。図9(d)は出隅用コーナーカバーの底面図である。
図9に示すように、出隅用コーナーカバー40Bは、第1モールディング10の側面10sに沿って高さ方向に延びる第1側壁41と、第1側壁41に対して交差して第2モールディング20の側面20sに沿って高さ方向に延びる第2側壁42と、第1側壁41及び第2側壁42の両方に対して交差する方向に延び、第1モールディング10の端面10a、第2モールディング20の端面20a及び隙間tのそれぞれを高さ方向から覆う頂部43と、を有している。
第1側壁41及び第2側壁42で形成される角は、室外から室内に向けて(壁面Wに向く方向とは反対方向に)突出している。
【0039】
第1側壁41及び第2側壁42は、壁面Wに向けて突出するカバー溝部44を除き、鉛直面に沿う平坦な裏面を有している。これにより、第1モールディング10及び第2モールディング20に対して係止したり、引っ掛けたりする部分がないため、コーナー構造100の施工時における出隅用コーナーカバー40Bの取り回しの自由度を高めることができる。
【0040】
頂部43は、水平面に沿う平坦な裏面を有している。これにより、第1モールディング10及び第2モールディング20に対して係止したり、引っ掛けたりする部分がないため、コーナー構造100の施工時における出隅用コーナーカバー40Bの取り回しの自由度を高めることができる。
【0041】
また、出隅用コーナーカバー40Bは、カバー溝部44を有している。カバー溝部44は、第1側壁41から第2側壁42に亘って、水平に沿って設けられている。
【0042】
出隅用コーナーカバー40Bは、入隅用コーナーカバー40Aと同様に、第1モールディング10又は第2モールディング20のいずれにも直接的に係止されることなく、第1モールディング10及び第2モールディング20を跨いで覆っている。
【0043】
(第1モールディングと第2モールディングと出隅用コーナーカバーとの位置関係)
ここで、出隅eのコーナー構造100の説明に戻る。図10は、出隅eにおけるコーナー構造の100分解組立図である。図11は、出隅eにおけるコーナー構造100の平面図である。
図10に示すように、第3モールディング30の長手方向における端面30aは、第1モールディング10の側面10sに対向している。そして、コーナー構造100は、出隅用コーナーカバー40B及び第1モールディング10を貫通して接合する接合部材50を備えている。このように、第3モールディング30の端面30aは、第1モールディング10の側面10sに対向するように配置されている。これにより、第1モールディング10及び第3モールディング30を配置してから、出隅用コーナーカバー40Bを施工できる。
【0044】
コーナーカバー40は、第1溝部11及び第2溝部21に嵌るカバー溝部44を有している。これにより、カバー溝部44を、第1溝部11及び第2溝部21の延長上に設けることができるので、巾木D又は廻り縁Uの見栄えを良くできる。また、カバー溝部44は、室内から室外に向けて凹んでいるので、接合部材50の頭部51をカバー溝部44に収めることができる。よって、巾木D又は廻り縁Uにおけるコーナー構造100の見栄えを良くできる。また、カバー溝部44は、第1溝部11及び第2溝部21に嵌っているので、接合部材50で接合する前に、第1モールディング10及び第2モールディング20の位置に対する出隅用コーナーカバー40Bの位置決めをし易くできる。なお、カバー溝部44は、中央に、施工時に接合部材50の先端52をガイドするような、下孔を有していてもよい。
【0045】
接合部材50の頭部51は、カバー溝部44に収まっている。すなわち、図11に示すように、頭部51は、平面視において、カバー溝部44と重なって隠れており、視認できなくなっている。これにより、第1モールディング10と出隅用コーナーカバー40Bとを、接合部材50の頭部51をカバー溝部44に隠した状態で接合できる。よって、コーナー構造100の見栄えを良くできる。なお、接合部材50の先端52は、第1モールディング10に埋まっていてよく、第1モールディング10を貫通して隙間tの空間に位置してもよい。
【0046】
(出隅用のコーナー構造の施工方法)
次に、主に、図10及び図11を参照しながら、出隅用のコーナー構造100の施工方法を説明する。図10は、出隅eにおけるコーナー構造100の分解組立図である。図11は、出隅eにおけるコーナー構造100の平面図である。
【0047】
(1)出隅eのコーナー構造100を施工する場合、図10に示すように、まず、第1壁面W1に沿って第1モールディング10を施工する(第1モールディング施工工程)。
【0048】
(2)次に、第1モールディング10の側面10sに、長手方向における端面30aを対向させて、第1壁面W1と交差する第3壁面W3に沿って、第3モールディング30を施工する(第3モールディング施工工程)。
【0049】
(3)次に、図11に示すように、第1モールディング10及び第3モールディング30を跨いでコーナーカバー40を被せる(コーナーカバー施工工程)。この際、第1モールディング10及び第3モールディング30に、それぞれ、第1溝部11及び第3溝部31がある場合、第1溝部11及び第3溝部31にカバー溝部44を嵌める。
このように、第1モールディング10及び第3モールディング30を跨いで出隅用コーナーカバー40Bを被せて施工するので、出隅用コーナーカバー40Bと一体となった係止部によって第1モールディング10及び第3モールディング30に対して係止する場合に比べて、施工を簡易にできる。
【0050】
(4)最後に、図11に示すように、出隅用コーナーカバー40B及び第1モールディング10を接合部材50で貫通して接合する(接合工程)。なお、接合部材50は、適宜、手打ち又は鋲打機で施工してよい。この際、接合部材50の頭部51が、出隅用コーナーカバー40Bのカバー溝部44に収まるまで打ち込む。このように、出隅用コーナーカバー40B及び第1モールディング10を接合部材50で貫通して接合するので、第1モールディング10及び第3モールディング30に対して出隅用コーナーカバー40Bを、出隅用コーナーカバー40Bと一体となった係止部によって係止したり、接着剤等によって接合したりする場合と比べて、簡単な施工によって接合できる。なお、接合部材50は、第3モールディング30をも貫通してもよい。
【0051】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 第1モールディング
10a (第1モールディングの)端面
10s (第1モールディングの)側面
11 第1溝部
20 第2モールディング
20a (第2モールディングの)端面
20s (第2モールディングの)側面
21 第2溝部
30 第3モールディング
30a (第3モールディングの)端面
31 第3溝部
40 コーナーカバー
40A 入隅用コーナーカバー
40B 出隅用コーナーカバー
41 第1側壁
42 第2側壁
43 頂部
44 カバー溝部
50 接合部材
51 頭部
52 先端
100 コーナー構造
CE 天井
D 巾木
e 出隅
F 床面
i 入隅
t 隙間
U 廻り縁
W 壁面
W1 第1壁面
W2 第2壁面
W3 第3壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11