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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051261
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
   C12C 5/02 20060101AFI20230404BHJP
   C12G 3/04 20190101ALI20230404BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230404BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20230404BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C12C5/02
C12G3/04
A23L2/00 B
A23L2/38 J
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161831
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】戸田 茉莉子
(72)【発明者】
【氏名】乾 隆子
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 俊治
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佳奈
【テーマコード(参考)】
4B115
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B115LG03
4B115LH12
4B115LP02
4B117LC03
4B117LG16
4B117LK06
4B128CP16
4B128CP17
(57)【要約】
【課題】本発明は、キレに優れ且つ調和の取れたビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料にキレを付与する方法を提供することに関する。
【解決手段】酢酸の含有量が81~170質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が70~450質量ppbであるか、または、酢酸の含有量が170~600質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が38~450質量ppbである、ビールテイスト飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸の含有量が81~170質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が70~450質量ppbであるか、または、酢酸の含有量が170~600質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が38~450質量ppbである、ビールテイスト飲料。
【請求項2】
酢酸を81~170質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを70~450質量ppb含有させる工程、または、酢酸を170~600質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを38~450質量ppb含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項3】
酢酸を81~170質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを70~450質量ppb含有させる工程、または、酢酸を170~600質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを38~450質量ppb含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料にキレを付与する方法。
【請求項4】
酢酸の含有量が81~600質量ppmであり、フルフラールの含有量が38~450質量ppbであり、下記式(1)におけるYの値が2.5以上であり、下記式(2)におけるYの値が3.0以上である、ビールテイスト飲料。
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)/206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
【請求項5】
酢酸を81~600質量ppm含有させ、フルフラールを38~450質量ppb含有させ、下記式(1)におけるYの値が2.5以上、下記式(2)におけるYの値が3.0以上となるように含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)/206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
【請求項6】
酢酸を81~600質量ppm含有させ、フルフラールを38~450質量ppb含有させ、下記式(1)におけるYの値が2.5以上、下記式(2)におけるYの値が3.0以上となるように含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料にキレを付与する方法。
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)/206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料にキレを付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の消費者の嗜好の多様化にともなって、様々な香味特徴をもつビールテイスト飲料の開発が望まれている。
【0003】
ビールテイスト飲料は、特有の苦味や香りをもち、飲みやすさや爽快感、止渇感などを特徴とする飲料である。これらの香味特徴の中でも特に「キレ」はビールに望まれる香味特徴の一つであり、これまで、麦芽やホップを主とする原料や、醗酵に用いる酵母の種類、醗酵条件などの製造方法を変えることで、「キレ」を付与する方法が検討されてきた。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-11587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のキレを付与する技術では、甘味、苦味、香りなどといったビールの基本となる香味設計に影響が及んでしまう場合があり、さらなる改良が望まれる。
【0006】
本発明は、キレに優れ且つ調和の取れたビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料にキレを付与する方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記[1]~[6]に関する。
[1] 酢酸の含有量が81~170質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が70~450質量ppbであるか、または、酢酸の含有量が170~600質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が38~450質量ppbである、ビールテイスト飲料。
[2] 酢酸を81~170質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを70~450質量ppb含有させる工程、または、酢酸を170~600質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを38~450質量ppb含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
[3] 酢酸を81~170質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを70~450質量ppb含有させる工程、または、酢酸を170~600質量ppm含有させ、且つ、フルフラールを38~450質量ppb含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料にキレを付与する方法。
[4] 酢酸の含有量が81~600質量ppmであり、フルフラールの含有量が38~450質量ppbであり、下記式(1)におけるYの値が2.5以上であり、下記式(2)におけるYの値が3.0以上である、ビールテイスト飲料。
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)/206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
[5] 酢酸を81~600質量ppm含有させ、フルフラールを38~450質量ppb含有させ、下記式(1)におけるYの値が2.5以上、下記式(2)におけるYの値が3.0以上となるように含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)/206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
[6] 酢酸を81~600質量ppm含有させ、フルフラールを38~450質量ppb含有させ、下記式(1)におけるYの値が2.5以上、下記式(2)におけるYの値が3.0以上となるように含有させる工程を有する、ビールテイスト飲料にキレを付与する方法。
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)/206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キレに優れ且つ調和の取れたビールテイスト飲料及びその製造方法、並びにビールテイスト飲料にキレを付与する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、酢酸によりキレを付与することを検討したが、酢酸が存在することで独特の刺激臭が生じる場合があることが分かった。この点に関し、意外にも、麦汁に由来する熱反応生成物であるフルフラール(furfural)を共存させることでキレを更に増強しつつも酢酸に由来する独特の刺激臭を抑制できることが分かった。また、フルフラール量が多い場合には焦げ感がついてしまうことがあったが、特定量の酢酸により焦げ感を抑制できることについても分かった。即ち、特定量の酢酸及びフルフラールを存在させた場合にキレに優れ且つ調和の取れたビールテイスト飲料が得られることを新たに見出した。本明細書における「キレ」とは、甘味や甘い香りが少なく後に残らず、のどの奥に軽さを感じる爽快感、刺激感があることを指す。
【0010】
本発明のビールテイスト飲料は、酢酸及びフルフラールを特定量含有する。より具体的には、ビールテイスト飲料中の酢酸の含有量が81~170質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が70~450質量ppbであるか、または、酢酸の含有量が170~600質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が38~450質量ppbである。
【0011】
本発明のビールテイスト飲料における酢酸の含有量は、キレを良くする観点から、81質量ppm以上、好ましくは100質量ppm以上、より好ましくは150質量ppm以上、更に好ましくは170質量ppm以上、更に好ましくは200質量ppm以上、更に好ましくは250質量ppm以上、更に好ましくは300質量ppm以上であり、また、適度な酸味とする観点から、600質量ppm以下、好ましくは550質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下、更に好ましくは450質量ppm以下、更に好ましくは400質量ppm以下であり、これらいずれの組み合せによる範囲としてもよい。酢酸の含有量は、麦芽の種類や使用量、発酵工程の諸条件(発酵温度、発酵時間、酵母の種類など)を適宜設定して調整することができる。また、酢酸を適宜添加して調整することができる。
【0012】
本発明のビールテイスト飲料におけるフルフラールの含有量は、キレを良くする観点から、38質量ppb以上、好ましくは45質量ppb以上、より好ましくは70質量ppb以上、更に好ましくは100質量ppb以上であり、更に好ましくは150質量ppb以上、更に好ましくは200質量ppb以上であり、また、適度な焦げ感とする観点から、450質量ppb以下、好ましくは440質量ppb以下、より好ましくは420質量ppb以下、更に好ましくは400質量ppb以下であり、これらいずれの組み合せによる範囲としてもよい。
【0013】
本明細書において、酢酸の含有量は、例えば、 Journal of the American Society of Brewing Chemists, 2015,73,303-313に記載されている方法によって測定することができる。また、フルフラールの含有量は、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0014】
また、本発明のビールテイスト飲料は、酢酸の含有量が81~600質量ppm、フルフラールの含有量が38~450質量ppbの範囲内において、以下の式(1)及び(2)におけるYの値が2.5以上、Yの値が3.0以上であるものが好ましい。Yの値は、より好ましくは2.6以上、更に好ましくは2.7以上、更に好ましくは2.8以上、更に好ましくは2.9以上、更に好ましくは3.0以上、更に好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.0以上である。上限値は特に限定されないが、例えば、5.0以下、4.5以下、4.2以下などとすることができる。Yの値は、より好ましくは3.1以上、更に好ましくは3.2以上、更に好ましくは3.3以上、更に好ましくは3.4以上、更に好ましくは3.5以上、更に好ましくは4.0以上、更に好ましくは4.1以上、更に好ましくは4.2以上である。上限値は特に限定されないが、例えば、5.0以下、4.5以下などとすることができる。YやYの好適範囲としては、これら上下限値を任意に組み合わせた範囲とすることができる。
【0015】
=3.91+0.38a+0.32b-0.18a-0.4ab-0.28b・・・式(1)
=4.15-0.17a+0.08b-0.75a+0.045ab-0.6b・・・式(2)
(但し、式(1)及び(2)中、a=(X-340.5)/259.5、 b=(X-244)206)であり、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
【0016】
下記1~3により、酢酸及びフルフラールの好適な範囲を算出する式(1)及び式(2)を導いた。
1.後述の実施例1で示すように、極端な濃度の水準で酢酸とフルフラールのおおよその好ましい範囲を決めた。
2.2成分の組み合わせ・バランスによりキレやビールテイスト飲料としての総合評価(酸味や焦げ感が強すぎることなく調和が取れているか)が変わると考えられるため、後述の実施例2で示すように実験計画法で水準を組み、その水準について官能評価を実施し、官能結果から式を導いた。具体的には、Trends in Food Science & Technology Volume 71, January 2018, Pages 202-215にも示されている統計解析ソフト(JMP)による実験計画法を用いた。実験計画法は複数の因子が応答に与える影響を正しく効率的に把握するための手法であり、様々な食品開発にも応用されている(Hewson, L., Hollowood, T., Chandra, S., & Hort, J. (2008). Taste-aroma interactions in a citrus flavoured model beverage system: Similarities and differences between acid and sugar type. Food Quality and Preference, 19(3), 323-334.)。今回はJMP15によるI―最適計画で計画した水準の官能評価結果を用いて最小2乗法によるあてはめを行い、応答曲面プロファイルを作成し、キレおよびビールテイスト飲料としての総合評価について好適な範囲を示す式(1)及び式(2)を導いた。キレに関する式を式(1)、総合評価に関する式を式(2)とした。
3.以下の方法で式(1)及び式(2)の妥当性を確認した。
後述の実施例3で示すように、キレについての式(1)のスコア(Yの値)がキレをやや感じる(2.5点)から感じる(3.0点)且つ、総合評価の式(2)のスコア(Y)が平均的(3.0点)からやや好ましい(3.5点)になるサンプル、Yの値がキレを感じる(3.0点)から明確に感じる(4.0点)且つ、Yの値がやや好ましい(3.5点)から好ましい(4.0点)になるサンプルを作成、官能評価した結果、式の妥当性が確認できた。
【0017】
また、以下の式(3)及び(4)は、式(1)及び(2)の展開式であるが、式(3)及び(4)におけるYおよびYの値についても、上記YおよびYと同様である。
【0018】
=1.72+7.3×10-3+5.1×10-3-6.6×10-6 -2.7×10-6 -7.5×10-6・・・式(3)
=2.21+7.0×10-3+6.7×10-3-1.4×10-5 -1.1×10-5 +9.4×10-7・・・式(4)
(但し、式(3)及び(4)中、Xは酢酸の含有量(質量ppm)、Xはフルフラールの含有量(質量ppb)である。)
【0019】
本明細書において「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味の炭酸飲料を全て包含し、アルコールを含有するビールテイスト飲料(ビールテイストアルコール飲料)及びノンアルコールビールテイスト飲料が挙げられる。本明細書において「ビールテイストアルコール飲料」とは、アルコール度数が1v/v%以上のビールテイスト飲料であり、例えば、1.5v/v%以上、2v/v%以上、2.5v/v%以上、3v/v%以上、3.5v/v%以上、また、10v/v%以下、9v/v%以下、8v/v%以下、7.5v/v%以下、7v/v%以下、6.5v/v%以下のビールテイスト飲料が挙げられる。例えば、発酵飲料としては、酵母を添加して発酵させた発酵ビールテイストアルコール飲料、スピリッツなどを含有したスピリッツ含有発酵ビールテイストアルコール飲料などが挙げられる。非発酵の場合は酵母添加をせず、醸造アルコールや蒸留酒などでアルコール添加をするのが好ましく、スピリッツなどを含有したスピリッツ含有非発酵ビールテイストアルコール飲料などが挙げられる。なお、ここでの「アルコール度数(アルコール含有量)」はエタノールの含有量を意味し、脂肪族アルコールは含まれない。また、ビールテイストアルコール飲料に含まれるアルコール分の由来としては、発酵、非発酵に限定されるものではない。また、「ノンアルコールビールテイスト飲料」とは、アルコール度数が1v/v%未満のビールテイスト飲料であり、アルコールを実質的に含まない飲料であってもよい。ここで、アルコールを実質的に含まない態様の飲料は、検出できない程度の極微量のアルコールを含有する飲料を除くものではない。アルコール度数が四捨五入により0.0v/v%となる飲料、中でも、アルコール度数が四捨五入により0.00v/v%となる飲料は、ノンアルコールビールテイスト飲料に包含される。ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール度数の上限値や下限値としては、1v/v%未満の他、例えば、0.9v/v%、0.8v/v%、0.7v/v%、0.6v/v%、0.5v/v%、0.4v/v%、0.3v/v%、0.2v/v%、0.1v/v%、0.05v/v%、0.01v/v%、0.0050v/v%、0.0025v/v%などが挙げられ、これらいずれの組み合せによる範囲としてもよい。例えば、0.00v/v%以上0.5v/v%以下の飲料や、0.5v/v%以上1v/v%未満の飲料などが例示される。本明細書において、アルコール度数は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール度が1.0v/v%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
【0020】
本発明のビールテイスト飲料における麦芽使用比率は、好ましくは50%以上であり、例えば、50~100%、60~100%、70~100%、80~100%、90~100%などの態様が挙げらる。ここで「麦芽使用比率」とは、麦芽、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、麦芽以外の麦、及び糖類など、水とホップ以外の原料中に占める麦芽の質量の比率をいう。ただし、酸味料、甘味料、苦味料、調味料、香料など、微量に添加され得る成分については上記比率の計算に含めない。本明細書において、麦芽比率は、平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
【0021】
本発明のビールテイスト飲料における総ポリフェノールの含有量(TPP)は、好ましくは250質量ppm以下、より好ましくは220質量ppm以下、さらに好ましくは200質量ppm以下である。さらに、好ましくは20質量ppm以上、より好ましくは60質量ppm以上、さらに好ましくは80質量ppm以上であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。本明細書において総ポリフェノールの含有量は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の「8.19 総ポリフェノール(IM) 」に記載されている方法によって測定することができる。
【0022】
本発明のビールテイスト飲料における苦味価(BUs)は、好ましくは40以下、より好ましくは35以下、さらに好ましくは30以下である。さらに、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは18以上であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。本明細書において苦味価は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載された方法によって測定することができる。
【0023】
本発明のビールテイスト飲料における全窒素量(mg/100ml)は、好ましくは120以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは90以下である。さらに、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。本明細書において全窒素量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の「8.9 全窒素 8.9.2 燃焼法(改良デュマ法)」に記載された方法によって測定することができる。
【0024】
本発明のビールテイスト飲料におけるプロリンの含有量(μmol/l)は、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下、さらに好ましくは4000以下である。さらに、好ましくは100以上、より好ましくは400以上、さらに好ましくは700以上であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。本明細書においてプロリンの含有量は、後述の実施例に記載の方法で測定する。
【0025】
本発明のビールテイスト飲料におけるマルトール(質量ppb)は、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下である。さらに、好ましくは50以上、より好ましくは75以上、さらに好ましくは100以上であり、これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。本明細書においてマルトールの含有量は、フルフラールと同様にGC-MSで測定することができる。
【0026】
本発明のビールテイスト飲料は、酢酸及びフルフラールを上記の式(1)におけるYの値が2.5以上、式(2)におけるYの値が3.0以上となるように含有させる工程を有する以外は、いずれも一般的なビールテイスト飲料と同様にして製造することができる。ここで、酢酸やフルフラールの含有量の調整につては上記の通りであり、フルフラールを添加して調整する態様などが例示される。酢酸やフルフラールを添加する態様において、酢酸やフルフラールの添加は充填までのどの工程で行ってもよいが、微生物保証の観点から濾過工程前に添加することが好ましい。以下に、一般的なビールテイスト飲料の製造工程を示す。一般的なビールテイスト飲料は麦芽を原料として使用するものとしないものとがあり、以下のように製造することができる。
【0027】
麦芽を原料として使用して製造されるビールテイストアルコール飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、濾過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。発酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた発酵液を濾過し、得られた濾過液に必要に応じて炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては麦が好ましい。
【0028】
麦芽を原料として使用せずに製造されるビールテイストアルコール飲料は、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。この糖化液の代替として、麦芽以外の原料を用いたエキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。発酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた発酵液を濾過し、得られた濾過液に必要に応じて炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイスト飲料を得る。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。
【0029】
非発酵のビールテイストアルコール飲料は、麦芽を使用する、しないに限らず、原料用アルコールなどを加えることにより最終製品のアルコール分を調整したものでもよい。原料用アルコールの添加は、糖化工程から充填工程までのどの工程で行ってもよい。なお、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを添加してもよい。
【0030】
麦芽を原料として使用して製造されるノンアルコールビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。煮沸後、冷却し、得られた麦汁に香料、酸味料、カラメル色素などの色素、酸化防止剤、苦味料、甘味料、アミノ酸原料などを添加し、濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。
【0031】
麦芽を原料として使用しないノンアルコールビールテイスト飲料を製造する場合には、まず、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に、該液糖溶液に混合してもよい。煮沸後、冷却し、得られた麦汁に香料、酸味料、カラメル色素などの色素、酸化防止剤、苦味料、甘味料、アミノ酸原料などを添加し、濾過し、得られた液糖溶液に対して、炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。
【0032】
本発明の製造方法では、本発明にかかるビールテイスト飲料に、酒感を付与する観点から、脂肪族アルコールを添加してもよい。脂肪族アルコールとしては、公知のものであれば特に制限されないが、炭素数4~5の脂肪族アルコールが好ましい。本発明において、好ましい脂肪族アルコールとしては、炭素数4のものとして、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール等が、炭素数5のものとして、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の組み合せで用いることができる。炭素数4~5の脂肪族アルコールの含有量は好ましくは0.0002~0.0007質量%であり、より好ましくは0.0003~0.0006質量%である。本明細書において、脂肪族アルコールの含有量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフ法を用いて測定することができる。
【0033】
(酸味料)
本発明の製造方法において使用される酸味料としては、クエン酸、乳酸、リン酸、及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を用いることが好ましい。また、本発明の製造方法においては、前記酸以外の酸として、コハク酸、酒石酸、フマル酸等も用いることができる。これらは食品に添加することが認められているものであれば制限なく用いることができる。本発明の製造方法においては、まろやかな酸味を適切に付与する観点から乳酸と、やや刺激感のある酸味を適切に付与する観点からリン酸との組み合わせを用いることが好ましい。
【0034】
酸味料の含有量は、本発明にかかるビールテイスト飲料中、クエン酸換算で、ビールテイスト感の付与の観点から、200質量ppm以上が好ましく、550質量ppm以上がより好ましく、700質量ppm以上がさらに好ましく、また、酸味の観点から、15000質量ppm以下が好ましく、5500質量ppm以下がより好ましく、2000質量ppm以下がさらに好ましい。従って、本発明において、酸味料の含有量は、クエン酸換算で、200質量ppm~15000質量ppm、好ましくは550質量ppm~5500質量ppm、より好ましくは700質量ppm~1500質量ppmなどの好適範囲が挙げられる。なお、本明細書において、クエン酸換算量とは、クエン酸の酸味度を基準として各酸味料の酸味度から換算される量のことであり、例えば、乳酸100質量ppmに相当するクエン酸換算量は120質量ppm、リン酸100質量ppmに相当するクエン酸換算量は200質量ppm、リンゴ酸100質量ppmに相当するクエン酸換算量は125質量ppmとして換算する。
【0035】
ビールテイスト飲料中の酸味料の含有量については、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により分析して算出されたものを指す。
【0036】
(ホップ)
本発明の製造方法では、原料の一部にホップを用いることができる。香味がビールに類似する傾向にあることから、原料の一部にホップを用いることが望ましい。ホップを使用する際には、ビール等の製造に使用される通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを、所望の香味に応じて適宜選択して使用することができる。また、イソ化ホップ、還元ホップなどのホップ加工品を用いてもよい。本発明にかかるビールテイスト飲料に使用されるホップには、これらのものが包含される。また、ホップの添加量は特に限定されないが、典型的には、飲料全量に対して0.0001~1質量%程度である。
【0037】
(その他の原料)
本発明の製造方法では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、その他の原料を用いてもよい。例えば、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、苦味料、香料、酵母エキス、カラメル色素などの着色料、保存料、大豆サポニンやキラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーンや大豆などの植物タンパク質およびペプチド含有物、乳清などの動物タンパク質、食物繊維やアミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤を、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて用いることができる。
【0038】
かくして本発明にかかるビールテイスト飲料が得られる。本発明にかかるノンアルコールビールテイスト飲料のpHは、飲料の風味を良好にする観点から、好ましくは3.0~5.0、より好ましくは3.5~4.5、さらに好ましくは3.5~4.0である。また、ビールテイストアルコール飲料のpHは、飲料の風味を良好にする観点から、好ましくは3.0~5.0、好ましくは3.5~4.5、さらに好ましくは4.0~4.5である。
【0039】
(容器詰飲料)
本発明にかかるビールテイスト飲料は、容器詰めとすることができる。容器の形態は何ら制限されず、ビン、缶、樽、またはペットボトル等の密封容器に充填して、容器入り飲料とすることができる。
【0040】
本発明は、酢酸及びフルフラールを上記の式(1)におけるYの値又は式(3)におけるYの値が2.5以上、式(2)におけるYの値又は式(4)におけるYの値が3.0以上となるように含有させる、ビールテイスト飲料にキレを付与する方法についても提供するものである。本発明のキレ付与方法における各成分等の詳細については上記で説明したとおりである。
【実施例0041】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0042】
ビールテイスト飲料中のフルフラールおよびマルトールは、以下の手順で測定した。
(1)試料へ終濃度50質量ppbとなるように内部標準物質としてBorneolを添加し、さらにジクロロメタンを添加して室温で振とうし、香気成分を抽出した。
(2)ジクロロメタンを回収し、無水硫酸ナトリウムを適量添加して脱水した。
(3)エバポレーターにて50倍濃縮した濃縮液を以下に示すGC-MS条件にて定量した。
GC-MS定量条件;
使用機器: 7890B GC ×5977A MSD (Agilent Technologies )
カラム: VF-WAXms(60m length 0.25mm i.d.; film thickness, 0.5μm)
検出法: SIM(EIモード)
定量イオン:Borneol:95
フルフラール:96
マルトール:126
【0043】
ビールテイスト飲料の総ポリフェノール、苦味価、全窒素は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法に基づいて測定した。
【0044】
ビールテイスト飲料中のプロリンは、以下の手順で測定した。
(1)試料を遠心処理し、沈殿物を除き0.02NのHCLで2倍希釈する。
(2)希釈後のサンプルを関東化学(株)製のHLC-DISK13水系(0.2μm)フィルターでろ過する。
(3)日立L-8800形高速アミノ酸分析計(株式会社 日立ハイテクフィールディング製)で分析する。なお、使用するガードカラムはガードカラムセットP/N855-5268(株式会社 日立ハイテクフィールディング製)、分離カラムは標準アミノ酸分析カラムP/N855-3506(株式会社 日立ハイテクフィールディング製)を使用する。
【0045】
[実施例1]
ビールテイスト飲料市販品1(麦芽使用比率100%)をベースとして、酢酸およびフルフラールを表1、2に記載の試料濃度となるように添加し、試作品A~Hのビールテイスト飲料を得た。得られたビールテイスト飲料により、焦げ感・酸味について許容範囲を調査し、下記予測式を作るための範囲を検討した。
【0046】
得られたビールテイスト飲料を4℃程度まで冷却し、専門パネリスト5名により、「キレ」及び「焦げ感」及び「酸味」について下記基準によって0.5点刻みで評価し、平均点を算出した。評価前に、予め、それぞれの評価が「2」「4」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、「焦げ感」及び「酸味」については、市販品1に対して、強度に変化がない場合は±、弱く感じる場合は-、強く感じる場合に+、さらに強く感じる場合に++と評価した。結果を表1および表2示す。
(キレの評価基準)
1:感じない。
2:あまり感じない。
3:感じる。
4:明確に感じる。
5:強く感じる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1の結果から、キレを良くする観点からフルフラールの含有量は、38質量ppbより高い含有量が好ましいことが分かり、また、適度な焦げ感とする観点から、300質量ppbから1160質量ppbの間が上限として好ましいことが分かる。また、表2の結果から、キレを良くする観点から酢酸の含有量は、81質量ppmより高い含有量が好ましいことが分かり、また、適度な酸味とする観点から、216質量ppmから620質量ppmの間が上限として好ましいことが分かる。従って、これらの範囲内で、酢酸およびフルフラールの好適な範囲を予測する式を検討した。
【0050】
[実施例2]
ビールテイスト飲料市販品1をベースとして、統計ソフトJMPを用いてI―最適計画により計画された、酢酸及びフルフラールを表3に記載の試料濃度となるように添加し、試作品I~Qのビールテイスト飲料を得た。得られたビールテイスト飲料を実施例1と同様にして、キレを評価し、また、下記基準により酸味や焦げ感が強すぎることなく調和が取れているかの総合評価を行った。
(総合評価)
1:全く好ましくない
2:好ましくない
3:平均的
4:好ましい
5:とても好ましい
【0051】
【表3】
【0052】
表3の結果から、酢酸の含有量が81~170質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が70~450質量ppbであるか、または、酢酸の含有量が170~600質量ppm、且つ、フルフラールの含有量が38~450質量ppbである試作品I、L、M、N、O、Qは、いずれもキレおよび総合評価の両方に優れるものであったことが分かる。また、統計ソフトJMPを用いて最小2乗法によるあてはめを行い、キレおよび総合評価を予測する上記の式(1)および(2)を導き、さらに上記の式(3)および(4)を導いた。
【0053】
[実施例3]
ビールテイスト飲料市販品1をベースとして、酢酸及びフルフラールを表4に記載の試料濃度となるように添加し、試作品R・Sのビールテイスト飲料を得た。得られたビールテイスト飲料を実施例1、2と同様にして、キレの評価及び総合評価を行った。
【0054】
【表4】
【0055】
表4の結果から、実施例2で導かれた式(1)~(4)から算出されるスコアと専門パネルによるスコアの傾向が一致し、式の妥当性が確認できた。よって式(1)のY又は式(3)のYのスコアが2.5点以上、式(2)のY又は式(4)のYのスコアが3.0点以上となる特定量の酢酸及びフルフラールを存在させた場合にキレに優れ且つ調和の取れたビールテイスト飲料が得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、キレに優れ且つ調和の取れた新たなテイストのビールテイスト飲料を提供できる。