(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005129
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス及びベース部材付きワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H01B 7/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106856
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】志田 友香
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟司
(72)【発明者】
【氏名】大野 真実
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕太
【テーマコード(参考)】
5G309
【Fターム(参考)】
5G309AA02
5G309AA03
5G309AA10
(57)【要約】
【課題】車両の座席において、ユーザーが選択できるオプション機器が増えた場合でも、ワイヤーハーネスの製造及び配索が簡易となる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤーハーネス20は、複数の電線30と保護部材40とを有するベースハーネス22を備える。前記複数の電線30は、前記保護部材40の内部において3つ以上の分岐線に分岐すると共に、前記保護部材40によって扁平に保たれている。前記3つ以上の分岐線は、上流側から電源供給を受けるための第1コネクタ33が設けられた第1分岐線32と、前記第1コネクタ33が受け取った電源を前記座席に設けられる機器19Aに供給するための第2コネクタ35が設けられた第2分岐線34と、前記第1コネクタ33が受け取った電源を前記座席に設けられるオプション機器19Bに供給するための第3コネクタ37が設けられた第3分岐線36と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席に取付けられるワイヤーハーネスであって、
複数の電線と、前記複数の電線の中間部を覆う保護部材とを有するベースハーネスを備え、
前記複数の電線は、前記保護部材の内部において3つ以上の分岐線に分岐すると共に、前記保護部材によって扁平に保たれており、
前記3つ以上の分岐線は、上流側から電源供給を受けるための第1コネクタが設けられた第1分岐線と、前記第1コネクタが受け取った電源を前記座席に設けられる機器に供給するための第2コネクタが設けられた第2分岐線と、前記第1コネクタが受け取った電源を前記座席に設けられるオプション機器に供給するための第3コネクタが設けられた第3分岐線と、を有する、ワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネスであって、
前記オプション機器用のオプションハーネスをさらに備え、
前記オプションハーネスの中間部が前記保護部材上に重なりつつ、端部のコネクタが前記第3コネクタと接続される、ワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤーハーネスであって、
前記オプションハーネスの前記中間部がオプション用保護部材によって扁平に形成されており、
前記保護部材及び前記オプション用保護部材が重なっている、ワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤーハーネスであって、
前記保護部材には、ベース部材に固定されるための複数の貫通孔が形成され、
前記オプション用保護部材には、前記ベース部材に固定されるための複数のオプション用貫通孔が形成され、
前記複数の貫通孔の位置と前記複数のオプション用貫通孔の位置とが揃っている、ワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
前記オプションハーネスは、前記第3コネクタに接続される第1オプションハーネスと、前記第1オプションハーネスに接続される第2オプションハーネスとを有する、ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスと、
前記座席に取付けられるベース部材と、
を備え、
前記保護部材が前記ベース部材に取付けられている、ベース部材付きワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤーハーネス及びベース部材付きワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の座席に取付けられるワイヤーハーネスを開示している。特許文献に記載のワイヤーハーネスにおいて、端末部間が粘着テープによって束ねられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の座席において、ユーザーが選択できるオプション機器が増えた場合、ワイヤーハーネスの製造及び配索が複雑化する恐れがある。
【0005】
そこで、車両の座席において、ユーザーが選択できるオプション機器が増えた場合でも、ワイヤーハーネスの製造及び配索が簡易となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤーハーネスは、車両の座席に取付けられるワイヤーハーネスであって、複数の電線と、前記複数の電線の中間部を覆う保護部材とを有するベースハーネスを備え、前記複数の電線は、前記保護部材の内部において3つ以上の分岐線に分岐すると共に、前記保護部材によって扁平に保たれており、前記3つ以上の分岐線は、上流側から電源供給を受けるための第1コネクタが設けられた第1分岐線と、前記第1コネクタが受け取った電源を前記座席に設けられる機器に供給するための第2コネクタが設けられた第2分岐線と、前記第1コネクタが受け取った電源を前記座席に設けられるオプション機器に供給するための第3コネクタが設けられた第3分岐線と、を有する、ワイヤーハーネスである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両の座席において、ユーザーが選択できるオプション機器が増えた場合でも、ワイヤーハーネスの製造及び配索が簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかるワイヤーハーネス及びこれが取付けられる座席を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は実施形態1にかかるワイヤーハーネスの分解平面図である。
【
図4】
図4はワイヤーハーネスの回路構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】
図5はベースハーネスを製造する様子を示す説明図である。
【
図6】
図6はベースハーネスを製造する様子を示す説明図である。
【
図7】
図7はベースハーネスを製造する様子を示す説明図である。
【
図8】
図8はベースハーネスを製造する様子を示す説明図である。
【
図9】
図9はワイヤーハーネスの回路構成の変形例を示す概略ブロック図である。
【
図10】
図10はワイヤーハーネスの回路構成の別の変形例を示す概略ブロック図である。
【
図11】
図11はワイヤーハーネスの回路構成のさらに別の変形例を示す概略ブロック図である。
【
図12】
図12はベース部材付きワイヤーハーネスの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のワイヤーハーネスは、次の通りである。
【0011】
(1)車両の座席に取付けられるワイヤーハーネスであって、複数の電線と、前記複数の電線の中間部を覆う保護部材とを有するベースハーネスを備え、前記複数の電線は、前記保護部材の内部において3つ以上の分岐線に分岐すると共に、前記保護部材によって扁平に保たれており、前記3つ以上の分岐線は、上流側から電源供給を受けるための第1コネクタが設けられた第1分岐線と、前記第1コネクタが受け取った電源を前記座席に設けられる機器に供給するための第2コネクタが設けられた第2分岐線と、前記第1コネクタが受け取った電源を前記座席に設けられるオプション機器に供給するための第3コネクタが設けられた第3分岐線と、を有する、ワイヤーハーネスである。オプション機器に電源を供給するためのワイヤーハーネスが第3コネクタを備えることによって、オプション機器が搭載される場合に、第3コネクタ及びこれに接続されるオプションハーネスを介してオプション機器に電源が供給されることができる。また、オプション機器が搭載されない場合に、オプションハーネスが省略されることによって、その分、車両の重量増加が抑制されることができる。ワイヤーハーネスにおいて、保護部材が設けられた部分が扁平に保たれているため、保護部材の上などに、オプションハーネスを配置するためのスペースをあけることができる。
【0012】
(2)(1)のワイヤーハーネスにおいて、前記オプション機器用のオプションハーネスをさらに備え、前記オプションハーネスの中間部が前記保護部材上に重なりつつ、端部のコネクタが前記第3コネクタと接続されてもよい。これにより、オプションハーネスが設けられる場合でも、配置スペースが大きくなることが抑制される。
【0013】
(3)(2)のワイヤーハーネスにおいて、前記オプションハーネスの前記中間部がオプション用保護部材によって扁平に形成されており、前記保護部材及び前記オプション用保護部材が重なっていてもよい。これにより、オプションハーネスが設けられる場合でも、配置スペースが大きくなることが抑制される。
【0014】
(4)(3)のワイヤーハーネスにおいて、前記保護部材には、前記ベース部材に固定されるための複数の貫通孔が形成され、前記オプション用保護部材には、前記ベース部材に固定されるための複数のオプション用貫通孔が形成され、前記複数の貫通孔の位置と前記複数のオプション用貫通孔の位置とが揃っていてもよい。これにより、ベース部材の共通の位置に保護部材及びオプション用保護部材を固定できる。
【0015】
(5)(2)から(4)のいずれか1つのワイヤーハーネスにおいて、前記オプションハーネスは、前記第3コネクタに接続される第1オプションハーネスと、前記第1オプションハーネスに接続される第2オプションハーネスとを有してもよい。これにより、複数のオプション機器をグループ分けして、車両に搭載されるグループのオプション機器に対応するオプションハーネスのみが車両に搭載されることができる。
【0016】
(6)また、本開示のベース部材付きワイヤーハーネスは、(1)から(5)のいずれか1つのワイヤーハーネスと、前記座席に取付けられるベース部材と、を備え、前記保護部材が前記ベース部材に取付けられている、ベース部材付きワイヤーハーネスである。これにより、保護部材がベース部材に取付けられているため、ベース部材が座席に取付けられることによって、ワイヤーハーネスの中間部が座席において所定の経路に沿って配置された状態となることができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤーハーネス及びベース部材付きワイヤーハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるワイヤーハーネスについて説明する。
【0019】
まず
図1を参照しつつ、ワイヤーハーネスが取付けられる座席について説明する。
図1は実施形態1にかかるワイヤーハーネス20及びこれが取付けられる座席10を示す概略平面図である。
【0020】
座席10は、通常、座面部分11と、座面部分11に回転可能に連結された背もたれ部分12とを有する。座席10は、例えば、座面部分11の下方に設けられたフレーム13を介して車体に対してスライド移動可能に取付けられる。フレーム13は、一対のレール14と一対のスライダ15とベース部材16とを有する。一対のレール14は、車体のフロア部分に固定される。一対のレール14は、通常、車両の前後方向に延びると共に、車両の左右方向に間隔をあけて配される。各レール14に、スライダ15が取付けられている。スライダ15は、レール14に対してレール14の延在方向に沿ってスライド移動可能に連結されている。座席10は、スライダ15に固定されるなどして、スライダ15と一体的に動く。これにより、座席10は車体に対して車両の前後方向にスライド移動可能できる。
【0021】
ベース部材16は、一対のスライダ15の並ぶ方向に延びる。ベース部材16は、スライダ15と共にレール14に対してスライド移動可能である。ベース部材16は、一対のスライダ15を連結している。本開示のベース部材16は、ワイヤーハーネス20を支持する。ベース部材16は、ワイヤーハーネス20の接続先となる機器19を支持してもよい。かかる機器19は、例えば、モータ又はECU(電子制御ユニット)などであってもよい。ベース部材16は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。ベース部材16は、剛性部材であると良い。これにより、ベース部材16がワイヤーハーネス20などをしっかり支持できる。
【0022】
図1に示す例では、ベース部材16は、本体部17と一対の腕部18とを有する。本体部17は、一対のスライダ15の間に配置される。本体部17は座席10において、座面部分11の下方の空間(座面部分11と車体のフロア部分との間の空間)に配置される。一対の腕部18は、本体部17から両側方にそれぞれ延び出る。各腕部18の先端部がスライダ15に固定される。
【0023】
本体部17は支持面17aを有する。支持面17a上にワイヤーハーネス20の保護部材40が支持される。
図1に示す例では、本体部17の上面が支持面17aとされる。本体部17の下面が支持面17aとされてもよい。
図1に示す例では、支持面17aは、平坦面である。支持面17aは、傾斜面を有していてもよい。支持面17aは、高さの異なる複数の平坦面を有していてもよい。複数の平坦面が傾斜面によって連結されていてもよい。また
図1に示す例では、平面視において、支持面17aは矩形状である。平面視において、支持面17aは矩形状以外の形状であってもよい。
【0024】
支持面17aには、ワイヤーハーネス20を取付けるための被取付部が設けられてもよい。
図1に示す例では、被取付部として取付孔17hが設けられている。被取付部は複数箇所に設けられてもよい。ワイヤーハーネス20の複数箇所が複数の被取付部にそれぞれ取付けられことにより、ワイヤーハーネス20が所定の姿勢でベース部材16に取付けられる。
図1に示す例では、矩形状の支持面17aの4隅それぞれに被取付部が設けられている。
【0025】
図1に加えて、
図2から
図4を参照しつつワイヤーハーネス20について説明する。
図2は
図1のII-II線に沿った概略断面図である。
図2において、ワイヤーハーネス20はベース部材16に取付けられた状態が示されている。
図3は実施形態1にかかるワイヤーハーネスの分解平面図である。
図4はワイヤーハーネスの回路構成を示す概略ブロック図である。
【0026】
ワイヤーハーネス20は、座席10に関連する機器19に接続される。かかる機器19は、車種、グレード、オプションなどによって適宜設定される。機器19の一例として、エアバック、ベルトリマインダ、着座センサ、ECU、電動シートのモータ、ヒータ、ベンチレータ、マッサージ、生体センサ、スピーカー、マイク、USBポート等が想定される。
【0027】
機器19は、共通機器19A、オプション機器19Bに分けられてもよい。共通機器19Aは、車の走行安全との関係性が高い機器又は需要が大きい機器などである。共通機器19Aは、例えば、エアバック、ベルトリマインダ、着座センサ、ECU等が想定される。オプション機器19Bは、車の走行安全との関係性が低い機器又は需要がそれほど高くない機器である。オプション機器19Bは、例えば、電動シートのモータ、ヒータ、ベンチレータ、マッサージ、生体センサ、スピーカー、マイク、USBポート等が想定される。
【0028】
各機器19は、座席10において自身の機能に応じた位置に配される。一部の機器19はベース部材16に支持されてもよい。ワイヤーハーネス20は、これらの機器19に電力を供給したり、これらの機器19と外部機器との間の信号を送ったりする。ワイヤーハーネス20は、ベースハーネス22とオプションハーネス60とを備える。ベースハーネス22は、共通機器19Aに電源を供給する。オプションハーネス60は、オプション機器19Bに電源を供給する。オプションハーネス60の電源は、ベースハーネス22から供給される。ベースハーネス22は、複数の電線30と保護部材40とを有する。
【0029】
各電線30は、被覆電線である。被覆電線は、芯線と芯線を覆う被覆とを有する。各電線30は、導電路が1つの単心電線である。電線30として、複数の導電路を有する多心電線が用いられてもよい。多心電線は、複数の芯線が共通の被覆に覆われた構成であってもよい。多心電線は、複数の被覆電線と複数の被覆電線を覆うシースとを有する構成であってもよい。電線30の端部にはコネクタが設けられる。電線30は、機器19に電源を供給する電源線を含む。電線30は、機器19と外部機器との間の信号を送る信号線を含んでもよい。
【0030】
複数の電線30の中間部は保護部材40によって覆われる。複数の電線30は、保護部材40の内部で3つ以上の分岐線32、34、36に分岐している。複数の電線30は、保護部材40によって、扁平に保たれている。3つ以上の分岐線32、34、36は、第1分岐線32と第2分岐線34と第3分岐線36とを有する。
【0031】
第1分岐線32には第1コネクタ33が設けられている。第1コネクタ33は、上流側から電源供給を受けるためのコネクタである。
図4に示すように、第1コネクタ33は、上流側の相手側ワイヤーハーネス90の相手側コネクタ92と接続される。ワイヤーハーネス20は、相手側ワイヤーハーネス90を介してバッテリなどと接続される。第1分岐線32及び第1コネクタ33は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0032】
第2分岐線34には、第2コネクタ35が設けられている。第2コネクタ35は第1コネクタ33が受け取った電源を座席10に設けられる共通機器19Aに供給するためのコネクタである。
図4に示すように、第2コネクタ35は、共通機器19Aと接続される。第2分岐線34及び第2コネクタ35は1つであってもよいし、複数であってもよい。第2分岐線34及び第2コネクタ35の数は、共通機器19Aの数に応じて設定される。
【0033】
第3分岐線36には、第3コネクタ37が設けられている。第3コネクタ37は、第1コネクタ33が受け取った電源を座席10に設けられるオプション機器19Bに供給するためのコネクタである。第3分岐線36及び第3コネクタ37は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0034】
3つ以上の分岐線32、34、36のすべてが保護部材40の外縁41から外側に延び出ている。少なくとも第2分岐線34が保護部材40の外縁41から外側に延び出ているとよい。第1分岐線32は保護部材40の外縁41から外側に延び出ていてもよいし、第1コネクタ33が保護部材40の外縁に位置していてもよい。第3分岐線36は保護部材40の外縁41から外側に延び出ていてもよいし、第3コネクタ37が保護部材40の外縁41に位置していてもよい。
【0035】
保護部材40は、複数の電線30を扁平な状態に保つ。本例の保護部材40は、第1シート部材48及び第2シート部材54を含む。第1シート部材48及び第2シート部材54は、複数の電線30の中間部を挟む。本例では、第1シート部材48及び第2シート部材54は、互いに別の部材として分かれた状態に成形された後に組み合わされる。例えば、第1シート部材48及び第2シート部材54のそれぞれは、大きなシート材が打ち抜き加工されるなどして形成されることができる。
【0036】
第1シート部材48をなすシート材及び第2シート部材54をなすシート材の構造は特に限定されるものではない。例えばシート材は、編布、織布又は不織布等の繊維材シートであってもよい。また例えば、シート材は、発泡シート等であってもよい。また例えばシート材は、一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)であってもよい。シート材の材料は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、シート材の材料は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などの樹脂であってもよい。かかる樹脂の種類は特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等であってもよい。第1シート部材48及び第2シート部材54が互いに別部材とされる場合、第1シート部材48及び第2シート部材54は、互いに同じ材料、構造で形成されてもよいし、互いに異なる材料、構造で形成されてもよい。
【0037】
保護部材40の外縁41において、各分岐線32、34、36が保護部材40の外に延び出る部分が延出口42とされる。保護部材40の外縁41には、3つ以上の延出口42が設けられる。保護部材40の外縁41における延出口42の隣に固定部44が設けられている。固定部44において、第1シート部材48及び第2シート部材54が互いに固定されている。1つの延出口42の両隣に固定部44が設けられる。固定部44によって延出口42が仕切られる。第1シート部材48及び第2シート部材54は、延出口42において電線30を挟み込む。第1シート部材48及び第2シート部材54は、固定部44において互いに接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0038】
図3に示す例では、複数の電線30は、保護部材40の内部で7つの分岐線32、34、36に分岐している。7つの分岐線32、34、36が外縁41における互いに別の部分から保護部材40の外に延び出ている。保護部材40の外縁41には、延出口42が7つ設けられる。
【0039】
保護部材40の外縁41の形状は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、保護部材40の外縁41の形状は、矩形状、多角形状、矩形の一部が切りかかれた形状などであってもよい。保護部材40の外縁41の形状は、支持面17aに応じた形状であってもよい。
図2に示す例では、保護部材40は長方形状に形成されている。
【0040】
保護部材40における複数の延出口42の位置は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
図2に示す例では、保護部材40の4辺のすべてに延出口42が設けられている。保護部材40において、延出口42が設けられていない辺があってもよい。延出口42において、分岐線32、34、36と保護部材40とが固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
【0041】
本例の固定部44は、折返し固定部44である。折返し固定部44は、第1シート部材48及び第2シート部材54の一方が折返されて、他方の外面に重なるように固定された部分である。折返し固定部44における第1シート部材48及び第2シート部材54の固定態様は、特に限定されるものではなく、接着又は融着など適宜設定可能である。かかる固定態様は、第1シート部材48及び第2シート部材54が両側から強くプレスされる必要がない固定態様であることが好ましく、例えば、接着剤、両面粘着テープなどによる接着であるとよい。これにより、第1シート部材48及び第2シート部材54が間に電線30が噛み込んだ状態で両側からプレスされても、電線30が傷つきにくくなる。
【0042】
保護部材40には、保護部材40をベース部材16に固定するための貫通孔46が形成されている。貫通孔46は、取付孔17hに対応する位置に形成される。保護部材40は、取付孔17hに対応する位置に貫通孔46が配置可能な形状に形成される。
【0043】
貫通孔46は、第1シート部材48及び第2シート部材54が重なる位置に形成される。貫通孔46は、第1シート部材48及び第2シート部材54の両方を貫通している。これにより、貫通孔46が強化される。複数の貫通孔46の1つを固定した後に他を固定する際、保護部材40が引っ張られても、貫通孔46の周縁が裂けたりしにくくなる。
【0044】
貫通孔46は、固定部44に設けられるとよい。これにより、貫通孔46の位置において、第1シート部材48及び第2シート部材54がばらばらに動くことが抑制され、貫通孔46にピン70などを差しやすくなる。
【0045】
貫通孔46は、折返し固定部44に設けられるとよい。貫通孔46が形成される位置に折返し固定部44が設けられているとよい。これにより、貫通孔46の位置において、第1シート部材48及び第2シート部材54が3層以上に重なり、より貫通孔46が強化される。本例では、第1シート部材48及び第2シート部材54が4層に重なる折返し固定部44に貫通孔46が設けられている。
【0046】
互いに固定される前の第1シート部材48及び第2シート部材54に、貫通孔46に相当する孔が形成されていると良い。これにより、貫通孔46に相当する孔がワイヤーハーネス20の製造時に治具を通す孔としても用いられることができる。
【0047】
保護部材40は扁平である。座面部分11の下方の空間は、高さ方向に狭い空間である。保護部材40が扁平であることにより、座面部分11の下方の空間に、保護部材40が収容されやすくなる。
【0048】
保護部材40のうち外縁41よりも内側領域において、第1シート部材48及び第2シート部材54は互いに固定されておらず、フリーな状態である。第1シート部材48のうち電線30側を向く内面と、第2シート部材54のうち電線30を向く内面とは互いに固定されておらず、フリーな状態である。
【0049】
保護部材40のうち外縁41よりも内側領域において、複数の電線30は結束されておらず互いにばらばらに延びる。また保護部材40のうち外縁41よりも内側領域において、複数の電線30は第1シート部材48及び第2シート部材54に固定されておらず、自由な経路で延びる。保護部材40のうち外縁41よりも内側領域において、各電線30は、他の電線30、第1シート部材48及び第2シート部材54のいずれにも拘束されない。
【0050】
電線30の一端部は、1つの延出口42から延び出て、他端部は別の延出口42から延び出る。電線30は、保護部材40の内部において、電線30ごとに所定の2つの延出口42の間を延びる。電線30は、この2つの延出口42の間を最短経路よりも長い経路で延びる。最短経路は、2つの延出口42を結ぶ直線に沿った経路である。電線30は、この2つの延出口42の間を曲がって延びている。これにより、電線の余長部分が保護部材40の内部にしまわれることができる。
【0051】
オプションハーネス60は、複数のオプション用電線62(以下、単に電線62と称する)とオプション用保護部材68(以下、単に保護部材68と称する)とを有する。
【0052】
電線62は、オプション機器19Bに電源を供給する電源線を含む。電線62は、オプション機器19Bと外部機器との間の信号を送る信号線を含んでもよい。上記電線30で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り電線62に適用できる。例えば、電線62は、上記電線30と同様に被覆電線であってもよい。電線62の端部にはオプション用第1コネクタ64(以下、単に第1コネクタ64と称する)及びオプション用第2コネクタ65(以下、単に第2コネクタ65と称する)が設けられる。第1コネクタ64が第3コネクタ37と接続される。第2コネクタ65がオプション機器19Bと接続される。
【0053】
保護部材68は、電線62の中間部を覆う。上記保護部材40で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り保護部材68に適用できる。例えば、保護部材68は、上記保護部材40と同様に2つのシート部材によって構成されてもよい。
【0054】
オプションハーネス60の中間部が保護部材40上に重なる。ここではオプションハーネス60の中間部が保護部材68によって扁平に形成されている。保護部材40及び保護部材68が重なっている。
【0055】
保護部材68には、複数のオプション用貫通孔69(以下、単に貫通孔69と称する)が形成される。貫通孔69は、ベース部材16に固定されるための孔である。複数の貫通孔46の位置と複数の貫通孔69の位置とが揃っている。
【0056】
<製造方法>
図5から
図8はベースハーネス22を製造する様子を示す説明図である。なお
図4から
図7はいずれも平面図である。
【0057】
まずは、互いに組み合わされる前の第1シート部材48及び第2シート部材54が用意される。以下では、互いに組み合わされる前の第1シート部材48及び第2シート部材54について、それぞれ符号Sが付されて説明されることがある。
図5には、第2シート部材54と組み合わされる前の第1シート部材48Sが示されている。第1シート部材48Sは、平坦なシート状に形成される。第1シート部材48Sは、第1本体部分49と複数の第1突出部分50とを有する。第1本体部分49は、保護部材40の本体をなす部分である。各第1突出部分50は、第1本体部分49の外縁から外側に突出する。各第1突出部分50は、折返し固定部44となる部分である。第1本体部分49には、4つの第1貫通孔52が形成されている。一部の第1突出部分50にも第1貫通孔53が形成されている。第1本体部分49の第1貫通孔52と第1突出部分50の第1貫通孔53とは、第1突出部分50が所定の折目51で折返されたときに重なる。
図5には各第1突出部分50において、当該折目51が一点鎖線で示されている。
【0058】
この第1シート部材48Sが、
図5に示すように、治具80に保持される。第1本体部分49の4つの第1貫通孔52にピン状の治具80が挿し込まれることによって、第1シート部材48Sが治具80に保持される。
【0059】
次に、
図5に示すように、複数の電線30の中間部が第1シート部材48上に配置される。この際、複数の電線30が所定の配線形態に沿って配置されることによって、複数の分岐線32、34、36が第1本体部分49の外縁における所定の位置(ここでは第1突出部分50の間)から延び出る。例えば、複数の電線30の端部のコネクタ33、35、37が所定の位置に保持されることによって、複数の電線30が所定の配線形態に沿って配置されることができる。
【0060】
次に、
図6に示すように、第1シート部材48S及び電線30の上に第2シート部材54Sを重ねる。
図6には、第1シート部材48Sと組み合わされる前の第2シート部材54Sが示されている。第2シート部材54Sは、第2本体部分55を有する。第2本体部分55は、保護部材40の本体をなす部分である。第2本体部分55は、第1本体部分49と対応する形状に形成される。第2本体部分55には、4つの第2貫通孔56が形成されている。4つの第2貫通孔56にピン状の治具80が挿し込まれることによって、第2シート部材54Sが治具80に保持され、第1シート部材48S及び電線30の上に配置された状態に維持される。
【0061】
次に、
図7に示すように、第1突出部分50を折り返して第2シート部材54の外面に重ねる。第1貫通孔52が形成された第1突出部分50については、第1貫通孔52に治具80を挿し込む。そして、第1突出部分50と第2シート部材54とを接着剤などによって固定する。これにより、折返し固定部44が形成される。折返し固定部44が形成されることによって、折返し固定部44の間が延出口42とされる。
【0062】
第1シート部材48及び第2シート部材54は、延出口42において電線30を挟み込みつつ、その隣の固定部44に向けて、分岐線32に沿って曲がることができる程度の柔軟性を有していると良い。これにより、延出口42が小さくなり、分岐線32が暴れにくくなる。また、平坦な第1シート部材48S及び第2シート部材54Sを用いて、電線30に応じた立体的な保護部材40が形成されることができる。
【0063】
そして治具80が抜かれることによって、治具80が差さっていた孔が保護部材40における貫通孔46として現れる。以上より、複数の電線30に保護部材40が取付けられてベースハーネス22が製造される。オプションハーネス60についても、ベースハーネス22と同様に、2つのシート部材を用いて形成されることができる。
【0064】
<ベース部材への取付>
次にベース部材16へのワイヤーハーネス20の取付け態様について説明する。本例では、ピン70を用いてベース部材16にワイヤーハーネス20が取付けられる。本例では、ベース部材16、保護部材40及び保護部材68がこの順に重なる。保護部材40及び保護部材68の配置順は逆であってもよい。
【0065】
保護部材40がベース部材16の支持面17aに載置される。保護部材68が保護部材40の上に載置される。ピン70は、保護部材40の貫通孔46及び保護部材68の貫通孔69を貫通して、ベース部材16の取付孔17hに係止する。このとき、ベース部材16に機器19が取付けられてもよく、当該機器19にワイヤーハーネス20の端部のコネクタが接続されてもよい。
図2に示す例では、ベース部材16の支持面17aとは反対側の面に機器19Aが設けられる。そして、第2分岐線34のコネクタ35が機器19Aに接続される。
【0066】
なおベース部材16の被取付部は、取付孔17hである必要は無く、例えばスタッドボルトなどであってもよい。この場合、スタッドボルトが保護部材40の貫通孔46及び保護部材68の貫通孔69を貫通することによって、ベース部材16にワイヤーハーネス20が取付けられる。
【0067】
ベース部材16への取付が完了すると、ワイヤーハーネス20の保護部材40及び保護部材68が所定の位置に取付けられる。この後、保護部材40から延び出る分岐線32、34、36及び保護部材68から延び出る電線62を接続相手の位置まで配索することによって、ワイヤーハーネス20の配索が完了する。
【0068】
図1に示す例では、座席10に設けられたベース部材16にワイヤーハーネス20が取付けられる様子が示されている。座席10に設けられる前のベース部材16にワイヤーハーネス20が取付けられてもよい。この場合、ベース部材16付きワイヤーハーネス20は、ワイヤーハーネス20とベース部材16とを備える。かかるベース部材16付きワイヤーハーネス20のベース部材16が座席10に取付けられることによって、座席10へのベース部材16の取付工程とワイヤーハーネス20の取付工程とが共通の工程で行われることができる。ベース部材16付きワイヤーハーネス20は、ベース部材16に取付けられる機器19をさらに備えていてもよく、当該機器19にワイヤーハーネス20のコネクタが接続されていてもよい。
【0069】
<効果等>
以上のように構成されたワイヤーハーネス20及びこれを備えるベース部材16付きワイヤーハーネス20によると、オプション機器19Bに電源を供給するための第3コネクタ37をワイヤーハーネス20が備えることによって、オプション機器19Bが搭載される場合に、第3コネクタ37及びこれに接続されるオプションハーネス60を介してオプション機器19Bに電源が供給されることができる。これにより、オプション機器19Bに応じてオプションハーネス60が設けられることができる。ワイヤーハーネス20において、保護部材40が設けられた部分が扁平に保たれているため、保護部材40の上などに、オプションハーネス60を配置するためのスペースをあけることができる。
【0070】
また、ワイヤーハーネス20はオプション機器19B用のオプションハーネス60をさらに備え、オプションハーネス60の中間部が保護部材40上に重なりつつ、端部のコネクタ64が第3コネクタ37と接続される。これにより、オプションハーネス60が設けられる場合でも、配置スペースが大きくなることが抑制される。
【0071】
また、オプションハーネス60の中間部が保護部材68によって扁平に形成されており、保護部材40及び保護部材68が重なっている。これにより、オプションハーネス60が設けられる場合でも、配置スペースが大きくなることが抑制される。
【0072】
また、保護部材40における複数の貫通孔46の位置と、保護部材68における複数の貫通孔69の位置とが揃っている。これにより、ベース部材16の共通の位置に保護部材40及び保護部材68を固定できる。
【0073】
また、ベース部材16付きワイヤーハーネス20によると、保護部材40がベース部材16に取付けられているため、ベース部材16が座席10に取付けられることによって、ワイヤーハーネス20の中間部が座席10において所定の経路に沿って配置された状態となることができる。
【0074】
[付記]
図9はワイヤーハーネス20の回路構成の変形例を示すブロック図である。
【0075】
これまで、ワイヤーハーネス20がオプションハーネス60を1つ備えるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ワイヤーハーネスは、複数のオプションハーネスを備えてもよい。
【0076】
図9に示す例では、ワイヤーハーネス120は、ベースハーネス122と、第1オプションハーネス160Aと、第2オプションハーネス160Bとを備えている。第1オプションハーネス160Aは、ベースハーネス122の第3コネクタ137に接続される。第2オプションハーネス160Bは、第1オプションハーネス160Aに接続される。これにより、複数のオプション機器19Bをグループ分けして、車両に搭載されるグループのオプション機器19Bに対応するオプションハーネスのみが車両に搭載されることができる。
図9に示す例では、複数のオプション機器19Bが、第1オプション機器19B1、第2オプション機器19B2の2つのグループに分けられている。複数のオプション機器19Bが、3つ以上のグループに分けられていてもよい。
【0077】
第1オプションハーネス160Aは、第1オプション機器19B1に電源を供給し、第2オプションハーネス160Bは、第2オプション機器19B2に電源を供給する。第1オプション機器19B1、第2オプション機器19B2のグループ分けの仕方は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、複数のオプション機器19Bは、需要の大きさなどによって、第1オプション機器19B1、第2オプション機器19B2に分けられてもよい。第1オプション機器19B1は、オプション機器19Bの中でも需要が大きい機器であり、例えば、電動シートのモータ、ヒータ、ベンチレータ等が想定される。第2オプション機器19B2は、オプション機器19Bの中でも需要が小さい機器であり、例えば、マッサージ、生体センサ、スピーカー、マイク、USBポート等が想定される。
【0078】
より具体的には、第1オプションハーネス160Aの第1コネクタ164がベースハーネス122の第3コネクタ137に接続されている。第3コネクタ137及び第1コネクタ164には、第1オプション機器19B1に電源を供給するための回路が設けられる。第1オプションハーネス160Aには、当該回路と接続される第1オプション機器19B1用の電線62及び第2コネクタ65が設けられる。第3コネクタ137及び第1コネクタ164には、第2オプション機器19B2に電源を供給するための回路も設けられている。第1オプションハーネス160Aには、当該回路と接続される第2オプションハーネス160B用の電線162A及びコネクタ166(オプション用第3コネクタ166)が設けられる。第1オプションハーネス160Aの保護部材168は、電線62、162Aの中間部を覆っている。第1オプションハーネス160Aにおいて、電線62、162Aは、保護部材168の内部で分岐している。第1オプションハーネス160Aの第2コネクタ65が第1オプション機器19B1に接続されている。
【0079】
第2オプションハーネス160Bは、上記オプションハーネス60と同様の構成とされる。第2オプションハーネス160Bの第1コネクタ64が、第1オプションハーネス160Aのオプション用第3コネクタ166に接続されている。第2オプションハーネス160Bの第2コネクタ65が第2オプション機器19B2に接続されている。第2オプションハーネス160Bには、さらに下流のオプションハーネスと接続されるコネクタが設けられていない。複数のオプション機器19Bが3つ以上のグループに分けられる場合、第2オプションハーネス160Bに、さらに下流の第3オプションハーネスと接続されるコネクタが設けられてもよい。このように複数のオプションハーネスが上流側のハーネスから一列に順につながってもよい。
【0080】
図10はワイヤーハーネス20の回路構成の別の変形例を示すブロック図である。
【0081】
図10に示す例では、ワイヤーハーネス220は、ベースハーネス222と、2つのオプションハーネス260A、260Bとを備えている。ベースハーネス222には、オプションハーネス260A用の第3コネクタ37と、オプションハーネス260B用の第3コネクタ37とが別に設けられる。2つのオプションハーネス260A、260Bは、上記オプションハーネス60と同様の構成とされる。オプションハーネス260Aの第2コネクタ65が第1オプション機器19B1に接続されている。オプションハーネス260Bの第2コネクタ65が第2オプション機器19B2に接続されている。このように複数のオプションハーネスが上流側のハーネスから枝分かれするようにつながってもよい。
【0082】
図11はワイヤーハーネス20の回路構成のさらに別の変形例を示すブロック図である。
【0083】
図11に示す例では、ワイヤーハーネス320は、ベースハーネス322と、2つのオプションハーネス260A、260Bとを備えている。共通機器19Aとして電源分配機能を有する機器19A1が設けられている。機器19A1としては、電源分配機能を有していれば、如何なる機器であってもよいが、例えばECUなどであってもよい。ベースハーネス322には、機器19A1と第1コネクタ33とをつなぐ電線と、機器19A1と第3コネクタ37とをつなぐ電線とが設けられている。これにより、座席10において電源を分配でき、相手側ワイヤーハーネス90の電線が増えることが抑制される。
【0084】
2つのオプションハーネス260A、260Bは、上記オプションハーネス60と同様の構成とされる。オプションハーネス260Aの第2コネクタ65が第1オプション機器19B1に接続されている。オプションハーネス260Bの第2コネクタ65が第2オプション機器19B2に接続されている。
【0085】
なお、
図11に示す例では、
図10に示すワイヤーハーネス220に電源分配機能を有する機器19A1が設けられた例で説明されたが、
図9に示すワイヤーハーネス120に電源分配機能を有する機器19A1が設けられてもよい。
【0086】
図12はベース部材16付きワイヤーハーネス20の変形例を示す説明図である。
【0087】
これまで、オプションハーネス60が座席10に取付けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ユーザーがオプション機器19Bを必要としない場合などに、
図12に示すように、オプションハーネス60が省略されて、ベースハーネス22が単体で座席に取付けられてもよい。オプション機器19Bが搭載されない場合に、オプションハーネス60が省略されることによって、その分、車両の重量増加が抑制されることができる。この場合、ベースハーネス22は、第3コネクタ37が接続されないまま、座席10に取付けられる。
【0088】
このほかこれまで、オプションハーネス60が扁平に形成されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、オプションハーネス60は、粘着テープによって、断面が円形状を呈するように束ねられていてもよい。オプションハーネス60における断面が円形状を呈する部分が保護部材40の上に重なっていてもよい。
【0089】
またこれまで、保護部材40が第1シート部材48及び第2シート部材54を備えるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、保護部材は、一枚のシート部材で構成されてもよい。一枚のシート部材に電線30が配置されて固定されてもよい。シート部材と電線30とは、融着されてもよい。保護部材68についても同様である。なお、保護部材40が第1シート部材48及び第2シート部材54を備え、保護部材68が一枚のシート部材で構成されてもよい。電線62が保護部材40と一枚のシート部材からなる保護部材68とによって挟まれてもよい。
【0090】
またこれまで、第1シート部材48及び第2シート部材54が互いに別の部材であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第1シート部材48及び第2シート部材54は、一部でつながった状態に成形されると共に、つながった部分が折返されて保護部材40とされてもよい。保護部材40が第1シート部材48及び第2シート部材54に分かれたとき、第1シート部材48及び第2シート部材54の一部が融着、接着などの跡がない状態でつながっていてもよい。例えば、保護部材40のうち延出口42が設けられない長辺において、第1シート部材48及び第2シート部材54がつながっていてもよい。
【0091】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0092】
10 座席
11 座面部分
12 背もたれ部分
13 フレーム
14 レール
15 スライダ
16 ベース部材
17 本体部
17a 支持面
17h 取付孔
18 腕部
19 機器
19A、19A1 共通機器
19B オプション機器
19B1 第1オプション機器
19B2 第2オプション機器
20、120、220、320 ワイヤーハーネス
22、122、222、322 ベースハーネス
30 電線
32 第1分岐線
33 第1コネクタ
34 第2分岐線
35 第2コネクタ
36 第3分岐線
37、137 第3コネクタ
40 保護部材
41 外縁
42 延出口
44 折返し固定部
46 貫通孔
48、48S 第1シート部材
49 第1本体部分
50 第1突出部分
51 折目
52、53 第1貫通孔
54、54S 第2シート部材
55 第2本体部分
56 第2貫通孔
60、260A、260B オプションハーネス
160A 第1オプションハーネス
160B 第2オプションハーネス
62、162A オプション用電線
63 オプション用分岐線
64、164 オプション用第1コネクタ
65 オプション用第2コネクタ
166 オプション用第3コネクタ
68、168 オプション用保護部材
70 ピン
80 治具
90 相手側ワイヤーハーネス
92 相手側コネクタ