(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051372
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】人力駆動車用の取付装置、および、人力駆動車用の取付システム
(51)【国際特許分類】
B62J 7/06 20060101AFI20230404BHJP
B62J 50/22 20200101ALI20230404BHJP
B62J 11/04 20200101ALI20230404BHJP
B62J 6/03 20200101ALI20230404BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20230404BHJP
【FI】
B62J7/06
B62J50/22
B62J11/04
B62J6/03
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161991
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】守屋 利昭
(72)【発明者】
【氏名】三木 良晃
(72)【発明者】
【氏名】福岡 福治
(57)【要約】
【課題】人力駆動車用のコンポーネントを簡便に人力駆動車に取り付けできる人力駆動車用の取付装置、および、人力駆動車用の取付システムを提供する。
【解決手段】第1取付部を備え、第1取付部は、取付面と、ガイド部と、取付状態において、被係合部に係合し、第1方向のうちコンポーネントおよび車体の一方の相対的な取り外し方向へのコンポーネントおよび車体の一方の相対的な移動を規制する第1係合部と、を備え、第1係合部は、コンポーネントおよび車体の一方がガイド部に案内されている状態において、第1方向に非平行な第2方向の一方にコンポーネントおよび車体の一方を相対的に移動させることによって、被係合部に係合するように構成され、被係合部が第1係合部に係合している状態において、第2方向の他方にコンポーネントおよび車体の一方を相対的に移動させることによって、被係合部が離脱するように構成される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の取付装置であって、
人力駆動車用のコンポーネントおよび前記人力駆動車の車体の一方を着脱可能に構成される第1取付部を備え、
前記第1取付部は、
前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方が取り付けられた取付状態において、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方に対向する取付面と、
前記取付面に実質的に平行な第1方向に延び、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方を前記第1方向に相対的に案内するように構成されるガイド部と、
前記取付状態において、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方が有する被係合部に係合し、前記第1方向のうち前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方の相対的な取り外し方向への前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方の相対的な移動を規制する第1係合部と、を備え、
前記第1係合部は、
前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方が前記ガイド部に案内されている状態において、前記第1方向に非平行な第2方向の一方に前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方を相対的に移動させることによって、前記被係合部に係合するように構成され、
前記被係合部が前記第1係合部に係合している状態において、前記第2方向の他方に前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方を相対的に移動させることによって、前記被係合部が離脱するように構成される、取付装置。
【請求項2】
前記第2方向は、前記取付面に実質的に平行である、請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記第1係合部は、凹部および凸部の一方を含み、
前記被係合部は、前記凹部および前記凸部の他方を含む、請求項1または2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記凹部を含み、
前記被係合部は、前記凸部を含み、
前記取付面には、前記第1方向に延び、前記凹部に前記凸部を案内するような溝が形成される、請求項3に記載の取付装置。
【請求項5】
前記溝は、前記第2方向における幅が、前記コンポーネントの取付方向の上流側から下流側に向かうにつれて減少するように構成される、請求項4に記載の取付装置。
【請求項6】
前記被係合部が前記第1係合部に係合している状態において、前記第2方向の前記他方への前記コンポーネントの移動を規制する第1規制部をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項7】
前記第1規制部は、付勢部材、および、弾性部材の少なくとも1つを含む、請求項6に記載の取付装置。
【請求項8】
前記付勢部材は、コイルばね、および、板ばねの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の取付装置。
【請求項9】
前記第1規制部は、前記第1係合部に一体的に形成される、請求項6に記載の取付装置。
【請求項10】
前記第1規制部は、前記被係合部に着脱可能に構成されるファスナを含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項11】
前記ファスナは、磁石を含む、請求項10に記載の取付装置。
【請求項12】
前記ガイド部は、前記第2方向に間隔をあけて配置される一対のレール部を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項13】
前記取付状態において、前記第1方向のうち前記コンポーネントの取付方向への前記コンポーネントの移動を規制する第2規制部をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項14】
前記コンポーネントが有する少なくとも1つの電気端子と電気的に接続可能に構成される少なくとも1つの第1端子をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項15】
前記コンポーネントと無線通信するように構成される第1無線通信部を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項16】
前記コンポーネントおよび前記車体の他方に取付可能に構成される第2取付部をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項17】
前記第1取付部が、前記車体の一部に一体に形成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項18】
前記コンポーネントは、表示装置、スイッチ、無線通信装置、ランプ、および、ボトルケージの少なくとも1つを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項19】
人力駆動車用の取付システムであって、
請求項1から18のいずれか一項に記載の取付装置と、
前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方に設けられる前記被係合部と、
を備える、取付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の取付装置、および、人力駆動車用の取付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示される人力駆動車には、取付装置を介して人力駆動車用のコンポーネントが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、人力駆動車用のコンポーネントを簡便に人力駆動車に取り付けできる人力駆動車用の取付装置、および、人力駆動車用の取付システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う取付装置は、人力駆動車用の取付装置であって、人力駆動車用のコンポーネントおよび前記人力駆動車の車体の一方を着脱可能に構成される第1取付部を備え、前記第1取付部は、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方が取り付けられた取付状態において、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方に対向する取付面と、前記取付面に実質的に平行な第1方向に延び、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方を前記第1方向に相対的に案内するように構成されるガイド部と、前記取付状態において、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方が有する被係合部に係合し、前記第1方向のうち前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方の相対的な取り外し方向への前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方の相対的な移動を規制する第1係合部と、を備え、前記第1係合部は、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方が前記ガイド部に案内されている状態において、前記第1方向に非平行な第2方向の一方に前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方を相対的に移動させることによって、前記被係合部に係合するように構成され、前記被係合部が前記第1係合部に係合している状態において、前記第2方向の他方に前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方を相対的に移動させることによって、前記被係合部が離脱するように構成される。
第1側面の取付装置によれば、人力駆動車のコンポーネント、および、人力駆動車の車体を、第1方向に非平行な第2方向の一方に相対移動させることによって、コンポーネントを簡便に人力駆動車に取り付けできる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の取付装置において、前記第2方向は、前記取付面に実質的に平行である。
第2側面の取付装置によれば、第1方向と第2方向とが、取付面に実質的に平行、かつ、互いに非平行であるため、取付面に平行な方向に移動することによって、コンポーネントを好適に人力駆動車に取り付けできる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の取付装置において、前記第1係合部は、凹部および凸部の一方を含み、前記被係合部は、前記凹部および前記凸部の他方を含む。
第3側面の取付装置によれば、第1係合部は凹部および凸部の一方を含み、被係合部は凹部および凸部の他方を含むため、第1係合部と被係合部とを簡単な構造にできる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の取付装置において、前記第1係合部は、前記凹部を含み、前記被係合部は、前記凸部を含み、前記取付面には、前記第1方向に延び、前記凹部に前記凸部を案内するような溝が形成される。
第4側面の取付装置によれば、第1係合部の凹部に被係合部の凸部を案内するような溝によって、被係合部を第1係合部に好適に案内できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の取付装置において、前記溝は、前記第2方向における幅が、前記コンポーネントの取付方向の上流側から下流側に向かうにつれて減少するように構成される。
第5側面の取付装置によれば、第2方向における溝の幅が、コンポーネントの取付方向の上流側から下流側に向かうにつれて減少するため、コンポーネントの取付方向の上流側において被係合部を溝に案内しやすい。第5側面の取付装置によれば、コンポーネントの取付方向の下流側において、被係合部が溝においてコンポーネントの取付方向と交差する方向に移動しにくいため、被係合部を第1係合部に好適に案内できる。
【0010】
本開示の第1から第5側面に従う第6側面の取付装置において、前記被係合部が前記第1係合部に係合している状態において、前記第2方向の前記他方への前記コンポーネントの移動を規制する第1規制部をさらに備える。
第6側面の取付装置によれば、第1規制部によって第2方向の他方へのコンポーネントの移動を好適に規制できる。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の取付装置において、前記第1規制部は、付勢部材、および、弾性部材の少なくとも1つを含む。
第7側面の取付装置によれば、第1規制部は、付勢部材、および、弾性部材の少なくとも1つによって、第2方向の他方へのコンポーネントの移動を好適に規制できる。
【0012】
本開示の第7側面に従う第8側面の取付装置において、前記付勢部材は、コイルばね、および、板ばねの少なくとも1つを含む。
第8側面の取付装置によれば、コイルばね、および、板ばねの少なくとも1つによって第2方向の他方へのコンポーネントの移動を好適に規制できる。
【0013】
本開示の第6側面に従う第9側面の取付装置において、前記第1規制部は、前記第1係合部に一体的に形成される。
第9側面の取付装置によれば、第1規制部は、第1係合部に一体的に形成されるため、部品点数を削減できる。
【0014】
本開示の第6から第9側面に従う第10側面の取付装置において、前記第1規制部は、前記被係合部に着脱可能に構成されるファスナを含む。
第10側面の取付装置によれば、ファスナによって第2方向の他方へのコンポーネントの移動を好適に規制できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の取付装置において、前記ファスナは、磁石を含む。
第11側面の取付装置によれば、磁石によって第2方向の他方へのコンポーネントの移動を好適に規制できる。
【0016】
本開示の第1から第11側面に従う第12側面の取付装置において、前記ガイド部は、前記第2方向に間隔をあけて配置される一対のレール部を含む。
第12側面の取付装置によれば、第2方向に間隔をあけて配置される一対のレール部によって、人力駆動車用のコンポーネントおよび人力駆動車の車体の一方を好適に案内できる。第12側面の取付装置によれば、一対のレール部が第2方向に間隔をあけて配置され、コンポーネントが第2方向に移動しにくいため、コンポーネントを好適に案内できる。
【0017】
本開示の第1から第12側面に従う第13側面の取付装置において、前記取付状態において、前記第1方向のうち前記コンポーネントの取付方向への前記コンポーネントの移動を規制する第2規制部をさらに備える。
第13側面の取付装置によれば、第2規制部によって、コンポーネントの取付方向へのコンポーネントの移動を規制できる。
【0018】
本開示の第1から第13側面に従う第14側面の取付装置において、前記コンポーネントが有する少なくとも1つの電気端子と電気的に接続可能に構成される少なくとも1つの第1端子をさらに備える。
第14側面の取付装置によれば、少なくとも1つの電気端子と少なくとも1つの第1端子とによって取付装置とコンポーネントとを電気的に接続できる。
【0019】
本開示の第1から第14側面に従う第15側面の取付装置において、前記コンポーネントと無線通信するように構成される第1無線通信部を備える。
第15側面の取付装置によれば、第1無線通信部によってコンポーネントと通信できる。
【0020】
本開示の第1から第15側面に従う第16側面のコンポーネントにおいて、前記コンポーネントおよび前記車体の他方に取付可能に構成される第2取付部をさらに備える。
第16側面の取付装置によれば、第2取付部によって取付装置と、コンポーネントおよび車体の他方とを好適に取り付けできる。
【0021】
本開示の第1から第15側面に従う第17側面の取付装置において、前記第1取付部が、前記車体の一部に一体に形成される。
第17側面の取付装置によれば、第1取付部が車体の一部に一体に形成されるため、部品点数を削減できる。
【0022】
本開示の第1から第17側面に従う第18側面の取付装置において、前記コンポーネントは、表示装置、スイッチ、無線通信装置、ランプ、および、ボトルケージの少なくとも1つを含む。
第18側面の取付装置によれば、表示装置、スイッチ、無線通信装置、ランプ、および、ボトルケージの少なくとも1つを取り付けできる。
【0023】
本開示の第19側面に従う取付システムは、人力駆動車用の取付システムであって、第1側面から第18側面のいずれか1つに記載の取付装置と、前記コンポーネントおよび前記車体の前記一方に設けられる前記被係合部と、を備える。
第19側面の取付システムによれば、コンポーネントおよび車体の一方に設けられる被係合部によって、コンポーネントおよび車体の一方が取付装置に取り付けられるため、コンポーネントを簡便に人力駆動車に取り付けできる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の人力駆動車用の取付装置、および、人力駆動車用の取付システムによれば、人力駆動車用のコンポーネントを簡便に人力駆動車に取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用の取付装置、および、人力駆動車用の取付システムを含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図1のハンドルバーの一部、人力駆動車用の取付装置の一部、および、コンポーネントの正面図である。
【
図3】
図2のハンドルバーの一部、および、人力駆動車用の取付装置の正面図である。
【
図4】
図1の人力駆動車用の取付装置、コンポーネント、他のコンポーネント、および、バッテリの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図3の人力駆動車用の取付装置の頂面図である。
【
図6】
図3の人力駆動車用の取付装置の第1側面図である。
【
図7】
図3の人力駆動車用の取付装置の第2側面図である。
【
図8】
図2の人力駆動車用のコンポーネントの背面図である。
【
図9】
図1の人力駆動車用のコンポーネントの人力駆動車用の取付装置への取付方法の第1工程を示す模式図である。
【
図10】
図1の人力駆動車用のコンポーネントの人力駆動車用の取付装置への取付方法の第2工程を示す模式図である。
【
図11】
図1の人力駆動車用のコンポーネントの人力駆動車用の取付装置への取付方法の第3工程を示す模式図である。
【
図12】
図1の人力駆動車用のコンポーネントの人力駆動車用の取付装置への取付方法の第4工程を示す模式図である。
【
図13】
図3の人力駆動車用の取付装置の第1規制部およびその周辺の正面図である。
【
図14】第2実施形態の人力駆動車用の取付装置の第1規制部およびその周辺の正面図である。
【
図15】第3実施形態の人力駆動車用の取付装置の第1規制部およびその周辺の正面図である。
【
図16】第4実施形態の人力駆動車用の取付装置の第1規制部およびその周辺の正面図である。
【
図17】第5実施形態の人力駆動車用の取付装置の第1規制部およびその周辺の正面図である。
【
図18】第6実施形態の人力駆動車用の取付装置の第1規制部およびその周辺の正面図である。
【
図19】第1変形例の人力駆動車の取付システムにおいて、人力駆動車用のコンポーネントがランプを含む場合の人力駆動車を示す側面図である。
【
図20】第2変形例の人力駆動車の取付装置を示す正面図である。
【
図21】第3変形例の人力駆動車用の取付装置、コンポーネント、および、他のコンポーネントの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図22】第4変形例の人力駆動車用の取付装置の正面図である。
【
図23】第5変形例の人力駆動車用のコンポーネント、および、被係合部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
図1から
図18を参照して、人力駆動車用の取付システム50、および、人力駆動車用の取付装置60が説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車は自転車として説明される。
【0027】
人力駆動車10は、人力駆動力が入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を、さらに備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18、フロントフォーク20、ハンドルバー22、および、ステム24を含む。車体16は、サスペンション、および、荷台の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。それぞれのクランクアーム12Bには、ペダル26がそれぞれ連結される。
【0028】
後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12は、駆動機構28によって後輪14Aと連結される。駆動機構28は、クランク軸12Aに連結される第1回転体30を含む。クランク軸12Aは、第1回転体30と一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体30を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体30との相対回転を許容するように構成される。第1回転体30は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構28は、第2回転体32と、連結部材34とをさらに含む。連結部材34は、第1回転体30の回転力を第2回転体32に伝達する。連結部材34は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0029】
第2回転体32は、後輪14Aに連結される。第2回転体32は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体32と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体32が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体32が後転した場合に、第2回転体32と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。
【0030】
フレーム18には、フロントフォーク20を介して前輪14Bが取り付けられる。フロントフォーク20には、ハンドルバー22がステム24を介して連結される。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構28によってクランク12に連結される。後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構28によってクランク12に連結されてもよい。
【0031】
好ましくは、人力駆動車10は、バッテリ36をさらに含む。バッテリ36は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。例えば、バッテリ36は、第1制御装置42Aに電力を供給するように構成される。例えば、バッテリ36は、第1制御装置42Aの第1制御部42Bと有線または無線によって通信可能に接続される。バッテリ36は、例えば電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって第1制御部42Bと通信可能である。
【0032】
人力駆動車用の取付システム50は、取付装置60と、被係合部40と、を備える。被係合部40は、取付装置60の第1係合部62と係合する。第1係合部62は、コンポーネント38および車体16の一方に設けられる。コンポーネント38および車体16の一方は、被係合部40を有する。例えば、被係合部40と、コンポーネント38および車体16の一方は、一体的に形成される。例えば、コンポーネント38に被係合部40が設けられる場合、被係合部40を取付装置60に取り付けることによって、コンポーネント38を人力駆動車10に取り付けできる。例えば、車体16に被係合部40が設けられる場合、被係合部40を取付装置60に取り付けることによって、車体16を人力駆動車10に取り付けできる。本実施形態では、被係合部40は、コンポーネント38に設けられる。
【0033】
例えば、コンポーネント38は、表示装置38A、スイッチ38B、無線通信装置38C、ランプ38D、および、ボトルケージ38Eの少なくとも1つを含む。本実施形態では、コンポーネント38は、表示装置38A、スイッチ38B、無線通信装置38Cを有するサイクルコンピュータ44として説明される。
【0034】
例えば、人力駆動車10は、コンポーネント38とは異なる他のコンポーネント42をさらに含む。他のコンポーネント42は、例えば、第1制御装置42Aを含む。第1制御装置42Aは、例えば、人力駆動車10のドライブユニットのハウジングに設けられる。例えば、ドライブユニットは、人力駆動車10に推進力を付与するモータを含む。
【0035】
第1制御装置42Aは、第1制御部42Bを含む。第1制御部42Bは、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。第1制御部42Bに含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。第1制御部42Bに含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。例えば、演算処理装置の一部は、人力駆動車10に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。第1制御部42Bは、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0036】
例えば、第1制御装置42Aは、第1記憶部42Cをさらに含む。第1記憶部42Cには、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。第1記憶部42Cは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0037】
コンポーネント38は、第2制御装置38Fを含む。第2制御装置38Fは、第2制御部38Gを含む。第2制御部38Gは、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。第2制御部38Gに含まれる演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。第2制御部38Gに含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。例えば、演算処理装置の一部は、人力駆動車10に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。第2制御部38Gは、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0038】
例えば、第2制御装置38Fは、第2記憶部38Hをさらに含む。第2制御装置38Fには、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。第2制御装置38Fは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0039】
例えば、コンポーネント38は、被取付面44Aを有する。コンポーネント38がサイクルコンピュータ44を含む場合、例えば、被取付面44Aは、サイクルコンピュータ44の外面のうちのディスプレイが設けられる面とは異なる面に設けられる。例えば、被係合部40は、被取付面44Aに設けられる。
【0040】
人力駆動車用の取付装置60は、第1取付部64を備える。第1取付部64は、人力駆動車用のコンポーネント38および人力駆動車10の車体16の一方を着脱可能に構成される。本実施形態では、第1取付部64は、コンポーネント38を着脱可能に構成される。例えば、第1取付部64は、サイクルコンピュータ44を着脱可能に構成される。第1取付部64は、取付面66と、ガイド部68と、第1係合部62と、を備える。取付面66は、コンポーネント38および車体16の一方が取り付けられた取付状態において、コンポーネント38および車体16の一方に対向する。本実施形態では、取付面66は、コンポーネント38が取り付けられた取付状態において、コンポーネント38に対向する。例えば、取付面66は、サイクルコンピュータ44が取り付けられた取付状態において、サイクルコンピュータ44に対向する。取付面66と、ガイド部68と、第1係合部62とは、例えば合成樹脂によって一体に形成される。
【0041】
ガイド部68は、コンポーネント38および車体16の一方が取り付けられた取付状態において、取付面66に実質的に平行な第1方向A1に延び、コンポーネント38および車体16の一方を第1方向A1に相対的に案内するように構成される。本実施形態では、ガイド部68は、コンポーネント38が取り付けられた取付状態において、取付面66に実質的に平行な第1方向A1に延び、コンポーネント38を取付装置60に対して、第1方向A1に相対的に案内するように構成される。
【0042】
例えば、ガイド部68は、第2方向A2に間隔をあけて配置される一対のレール部70を含む。第2方向A2は、第1方向A1に非平行である。例えば、第2方向A2は、取付面66に実質的に平行である。例えば、第1方向A1および第2方向A2は取付面66に実質的に平行であり、かつ、互いに非平行な方向である。例えば、第1方向A1と、第2方向A2とは、互いに直交する。例えば、第1方向A1は取付装置60の長手方向であり、第2方向A2は取付装置60の横手方向である。第2方向A2は、実質的に直線状に延びる。
【0043】
例えば、一対のレール部70は、第1レール部70A、および、第2レール部70Bを含む。例えば、一対のレール部70は、取付面66に設けられる。例えば、一対のレール部70は、取付面66の第2方向A2における両端部に設けられる。例えば、一対のレール部70は、取付面66から突出する。
【0044】
コンポーネント38の被係合部40は、被ガイド部40Aを含む。被ガイド部40Aは、ガイド部68に案内される。例えば、被ガイド部40Aは、一対のレール部70に案内される。被ガイド部40Aは、被取付面44Aから突出する凸部40Bに設けられる。被ガイド部40Aは、例えば、凸部40Bの第2方向A2における両端部に設けられる。被ガイド部40Aは、第1被ガイド部40Cおよび第2被ガイド部40Dを含む。第1被ガイド部40Cは、凸部40Bの第2方向A2における一方の端部に設けられる。第2被ガイド部40Dは、凸部40Bの第2方向A2における他方の端部に設けられる。第1被ガイド部40Cは、第1方向A1と実質的に平行する。第2被ガイド部40Dは、第1方向A1と実質的に平行する部分と、第1方向A1に対して僅かに傾斜する部分とを有する。凸部40Bの第1方向A1における一方の端部の第2方向A2の寸法L11は、凸部40Bの第1方向A1における他方の端の第2方向A2の寸法L12よりも短い。
【0045】
第2方向A2において、一対のレール部70の間隔は、段階的に変化する。第2方向A2において、一対のレール部70の間隔は、第1間隔L21および第2間隔L22を有する。第1間隔L21は、第2間隔L22よりも短い。一対のレール部70の最小間隔である第1間隔L21は、凸部40Bの第2方向A2の最大寸法である寸法L12よりも僅かに大きい。例えば、一対のレール部70の間隔は、コンポーネント38が一対のレール部70の間に配置された状態において、コンポーネント38を第1方向A1に移動可能な長さに形成される。例えば、コンポーネント38が取り付けられた取付状態において、ガイド部68は、一対のレール部70の間に凸部40Bが挿入されることによって、コンポーネント38を取付装置60に対して第1方向A1に相対的に案内する。
【0046】
第1係合部62は、コンポーネント38および車体16の一方が取り付けられた取付状態において、被係合部40に係合し、第1方向A1のうちコンポーネント38および車体16の一方の相対的な取り外し方向X1へのコンポーネント38および車体16の一方の相対的な移動を規制する。本実施形態では、第1係合部62は、コンポーネント38が取り付けられた取付状態において、被係合部40に係合し、第1方向A1のうちコンポーネント38の相対的な取り外し方向X1へのコンポーネント38の相対的な移動を規制する。例えば、第1係合部62は、サイクルコンピュータ44が取付装置60に取り付けられた取付状態において、サイクルコンピュータ44の取付装置60に対する相対的な取り外し方向X1への移動を規制する。取り外し方向X1は、第2方向A2と実質的に平行な方向である。
【0047】
第1係合部62は、コンポーネント38および車体16の一方がガイド部68に案内されている状態において、第2方向A2の一方にコンポーネント38および車体16の一方を相対的に移動させることによって、被係合部40に係合するように構成される。本実施形態では、第1係合部62は、コンポーネント38がガイド部68に案内されている状態において、第2方向A2の一方にコンポーネント38を取付装置60に対して、相対的に移動させることによって、被係合部40に係合するように構成される。被係合部40が第1係合部62に係合している状態において、第2方向A2の他方にコンポーネント38および車体16の一方を相対的に移動させることによって、被係合部40が離脱するように構成される。本実施形態では、被係合部40が第1係合部62に係合している状態において、第2方向A2の他方にコンポーネント38を取付装置60に対して、相対的に移動させることによって、被係合部40が離脱するように構成される。
【0048】
例えば、第1係合部62は、凹部62Aおよび凸部の一方を含む。被係合部40は、凹部および凸部40Eの他方を含む。例えば、第1係合部62は、凹部62Aを含む。例えば、被係合部40は、凸部40Eを含む。取付面66には、第1方向A1に延び、凹部62Aに凸部40Eを案内するような溝72が形成される。凸部40Eは、溝72を移動できる寸法を有する。凸部40Eは、例えば、第1方向A1における被取付面44Aの端部に設けられる。第1係合部62が凸部を含み、被係合部40が凹部を含む場合、第1方向A1に延び、凹部62Aに凸部40Eを案内するような溝は、被取付面44Aに形成されてもよい。
【0049】
溝72は、第1部分72Aと、第2部分72Bと、を含む。第1部分72Aは第1方向A1に沿って延びる。取付装置60が人力駆動車10に取り付けられた状態において、第1部分72Aは第1方向A1に対して若干傾斜するように伸びる。第2部分72Bは、第1部分72Aと連続する。第2部分72Bは、第2方向A2に沿って延びる。第2部分72Bは、第1部分72Aよりも短い。第2部分72Bのうちの、第1部分72Aとは反対側の端部は、凹部62Aによって形成される。
【0050】
例えば、溝72は、第2方向A2における幅が、コンポーネント38の取付方向X2の上流側から下流側に向かうにつれて減少するように構成される。取付方向X2の上流側から下流側に向かう方向は、第1部分72Aから第2部分72Bに向かう方向である。例えば、第1部分72Aのうちの第2部分72Bとは反対側の端部において、第2方向A2における幅が、コンポーネント38の取付方向X2の上流側から下流側に向かうにつれて減少するように構成される。第1部分72Aのうちの第2部分72Bとは反対側の端部と、第2部分72Bとを接続する中間部分は、第2方向A2における幅が一定になるように構成されていてもよい。
【0051】
例えば、取付装置60は、第1規制部74をさらに備える。第1規制部74は、被係合部40が第1係合部62に係合している状態において、第2方向A2の他方へのコンポーネント38の移動を規制する。第2方向A2の他方は、取り外し方向X1を含む。
【0052】
例えば、第1規制部74は、付勢部材76、および、弾性部材78の少なくとも1つを含む。例えば、付勢部材76は、コイルばね76A、および、板ばね76Bの少なくとも1つを含む。
図13では、第1規制部74は、付勢部材76を含み、付勢部材76は、コイルばね76Aを含む。例えば、第1規制部74は、溝72の第2部分72Bに設けられる。
【0053】
コイルばね76Aは、被係合部40を取付方向X2へ付勢するように構成される。例えば、コイルばね76Aは第1端部62Bに設けられる。第1端部62Bは、溝72の第2部分72Bのうちの第1部分72Aとの接続部分と対応する。コイルばね76Aの端部には、接触部76Cが設けられる。接触部76Cは、被係合部40の凸部40Eと接触可能に構成される。接触部76Cは、コイルばね76Aによって、溝72の幅方向の中央に向かって付勢される。接触部76Cに凸部40Eが接触することによって、接触部76Cが溝72を定義する側壁部に向かって押され、凸部40Bが移動しやすくなる。接触部76Cがコイルばね76Aによって溝72の幅方向の中央に向かって付勢されることによって、溝72のうちの凸部40Eの通路が狭くなるため、接触部76Cを乗り超えるようなコンポーネント38の移動が規制される。
【0054】
例えば、取付装置60は、第2規制部80をさらに備える。第2規制部80は、取付状態において、第1方向A1のうちコンポーネント38の取付方向X2へのコンポーネント38の移動を規制する。例えば、第2規制部80は、取付面66から突出する。例えば、第2規制部80は、第1レール部70Aと第2レール部70Bとを接続する。例えば、第2規制部80は、取付面66のうちの第1方向A1の端部に設けられる。例えば、第1レール部70A、第2レール部70B、および、第2規制部80によって、上方が開口したU字状の凹部が形成される。取付状態において、コンポーネント38の凸部40Bは、凹部に嵌め込まれる。
【0055】
例えば、取付装置60は、少なくとも1つの第1端子82をさらに備える。少なくとも1つの第1端子82は、コンポーネント38が有する少なくとも1つの電気端子38Kと電気的に接続可能に構成される。例えば、取付装置60は、第1端子82を2つ含む。例えば、第1端子82は、取付面66に第2方向A2に間隔をあけて配置される。例えば、電気端子38Kは、第1端子82と接触するようにコンポーネント38に設けられる。例えば、コンポーネント38は電気端子38Kを2つ含む。例えば、電気端子38Kは第1端子82に接触するようにコンポーネント38に配置される。例えば、第1端子82を通じて電気端子38Kにバッテリ36からの電力が送信され、コンポーネント38に供給される。
【0056】
例えば、取付装置60は、コネクタ84をさらに備える。例えば、コネクタ84は、取付装置60に複数設けられる。例えば、コネクタ84は、取付装置60に3つ設けられる。例えば、コネクタ84は、取付装置60と他のコンポーネント42の第1制御部42Bと、を接続する。取付装置60は、コネクタ84を通じて、バッテリ36から電力を供給される。取付装置60は、コネクタ84を通じて第1制御部42Bと通信可能に構成されてもよい。取付装置60は、第1制御部42Bと直接接続されてもよいし、バッテリ36と直接接続されてもよい。
【0057】
取付装置60は、第2取付部86をさらに備える。第2取付部86は、コンポーネント38および車体16の他方に取付可能に構成される。例えば、取付装置60は、第1側面部60Aおよび第2側面部60Bを含む。例えば、第2取付部86は、第1側面部60A、および、第2側面部60Bにそれぞれ設けられる。例えば、第1側面部60A、および、第2側面部60Bは、取付装置60の外面のうちの、第2方向A2と交差する面である。
【0058】
例えば、第2取付部86は、ハンドルバー取付部86Aと、取付装置取付部86Bと、を含む。ハンドルバー取付部86Aは、第2取付部86の第1端部86Cに設けられる。ハンドルバー取付部86Aは、クランプ部86Dを含む。クランプ部86Dは、締結部86Eを含む。クランプ部86Dにはハンドルバー22が挿入される。クランプ部86Dにハンドルバー22が挿入された状態において、締結部86Eにボルト等が挿入されることによってクランプ部86Dがハンドルバー22を締め付けるため、取付装置60がハンドルバー22に取り付けられる。
【0059】
取付装置取付部86Bは、第2取付部86の第2端部86Fに設けられる。取付装置取付部86Bは、例えば、孔を含む。ボルトが取付装置取付部86Bの孔に挿入され、かつ、取付装置60の第1側面部60Aまたは第2側面部60Bに設けられる雌ねじ部に係合することによって、第2取付部86が取付装置60に取り付けられる。取付装置取付部86Bは、第2取付部86を取付装置60に取り付けることができる構成であれば、適宜変更できる。
【0060】
図9から
図12を参照して、コンポーネント38の取付装置60への取付方法が説明される。コンポーネント38は、第1工程、第2工程、第3工程、および、第4工程を経て、取付装置60に取り付けられる。
【0061】
第1工程は、被ガイド部40Aがガイド部68に嵌め込まれる工程を含む。第1工程によって、被ガイド部40Aがガイド部68に案内可能になり、かつ、溝72に凸部40Eが配置される。第1工程において、コンポーネント38は、溝72の第1部分72Aの延びる方向と対応するように傾斜した状態において被ガイド部40Aがガイド部68に嵌め込まれる。
【0062】
第2工程は、被ガイド部40Aがガイド部68に案内される工程を含む。第2工程によって、凸部40Eが溝72に沿って移動することによって、凸部40Eが溝72の第1部分72Aと第2部分72Bとの接続部分まで移動する。第2工程によって、凸部40Eが接触部76Cと接触した状態において、作業者がコンポーネント38を第2部分72Bに向かって押すことによって、凸部40Eが接触部76Cを移動させるため、凸部40Eが第2部分72Bに向かって移動可能になる。
【0063】
第3工程は、凸部40Eが第2部分72Bに移動する工程を含む。凸部40Eが第2部分72Bに移動することによって、被係合部40が第1係合部62と係合する。凸部40Eが第2部分72Bに移動すると、接触部76Cが付勢部材76の付勢力によって、凸部40Eの通路が狭くなるように移動するため、凸部40Eの取り外し方向X1への移動が規制される。
【0064】
第4工程は、第1係合部62が被係合部40と係合する工程を含む。第4工程において、作業者は、コンポーネント38を凸部40Eまわりに取付面66と平行する方向に旋回させながら、移動させる。第4工程によって、コンポーネント38が取付装置60に取り付けられる。第3工程と第4工程とは、同時に行われてもよい。
【0065】
コンポーネント38を取付装置60から取り外す場合、コンポーネント38の取付装置60への取付方法とは逆の手順によって、コンポーネント38が取付装置60から取り外される。
【0066】
<第2実施形態>
図2、および、
図14を参照して、第2実施形態の取付システム50、および、取付装置60が説明される。第2実施形態の取付システム50、および、取付装置60は、第1規制部74のコイルばね76Aおよび接触部76Cに代えて、板ばね76Bを含む点以外は第1実施形態の取付システム50、および、取付装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0067】
第2実施形態の第1規制部74は付勢部材76を含み、付勢部材76は板ばね76Bを含む。板ばね76Bは、被係合部40を取付方向X2へ付勢するように構成される。例えば、板ばね76Bは、第1端部62Bに設けられる。板ばね76Bは、被係合部40の凸部40Eと接触可能に構成される。板ばね76Bは、溝72の幅方向の中央に向かって突出するように構成される。板ばね76Bに凸部40Eが接触することによって、板ばね76Bが溝72を定義する側壁部に向かって押され、凸部40Bが移動しやすくなる。板ばね76Bが溝72の幅方向の中央に向かって突出することによって、溝72のうちの凸部40Eの通路が狭くなるため、板ばね76Bを乗り超えるようなコンポーネント38の移動が規制される。
【0068】
<第3実施形態>
図2、および、
図15を参照して、第3実施形態の取付システム50、および、取付装置60が説明される。第3実施形態の取付システム50、および、取付装置60は、コイルばね76Aおよび接触部76Cに代えて、弾性部材78を含む点以外は第1実施形態の取付システム50、および、取付装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0069】
第3実施形態において、第1規制部74は、弾性部材78を含む。例えば、弾性部材78は、合成樹脂によって形成される。弾性部材78は、ゴムによって形成されてもよい。
【0070】
弾性部材78は、第1端部62Bに設けられる。弾性部材78は、被係合部40の凸部40Eと接触可能に構成される。弾性部材78は、溝72の幅方向の中央に向かって突出するように構成される。弾性部材78に凸部40Eが接触することによって、弾性部材78が溝72を定義する側壁部に向かって押され、凸部40Eが移動しやすくなる。弾性部材78が溝72の幅方向の中央に向かって突出することによって、溝72のうちの凸部40Eの通路が狭くなるため、弾性部材78を乗り超えるようなコンポーネント38の移動が規制される。
【0071】
<第4実施形態>
図2、および、
図16を参照して、第4実施形態の取付システム50、および、取付装置60が説明される。第4実施形態の取付システム50、および、取付装置60は、第1規制部74のコイルばね76Aおよび接触部76Cに代えて、ファスナ88を含む点以外は第1実施形態の取付システム50、および、取付装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0072】
第4実施形態において、第1規制部74は、被係合部40に着脱可能に構成されるファスナ88を含む。例えば、ファスナ88は、磁石88Aを含む。ファスナ88が磁石88Aを含む場合、被係合部40は磁性体によって構成される。被係合部40が磁石を含み、かつ、ファスナ88が磁性体を含んでもよい。ファスナ88は、面ファスナを含んでいてもよい。ファスナ88が面ファスナを含む場合、被係合部40は、面ファスナと結合可能に構成される。第1規制部74は、第1係合部62に一体的に形成されてもよい。例えば、ファスナ88が磁石88Aを含む場合、溝72を定義する側壁部に磁石88Aが埋め込まれてもよい。
【0073】
ファスナ88は、溝72の第2部分72Bの端部に設けられる。被係合部40が溝72の第2部分72Bに移動すると、被係合部40が磁力によってファスナ88に引き付けられるため、コンポーネント38の移動が規制される。
【0074】
<第5実施形態>
図2、および、
図17を参照して、第5実施形態の取付システム50、および、取付装置60が説明される。第5実施形態の取付システム50、および、取付装置60は、第1規制部74、コイルばね76Aおよび接触部76Cに代えて、弾性部90を含む点以外は第1実施形態の取付システム50、および、取付装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0075】
第1規制部74は、第1係合部62に一体的に形成される。第1規制部74は、弾性部90を含む。弾性部90は、第1端部62Bに設けられる。弾性部90は、溝72の幅が狭くなる部分である。弾性部90は、合成樹脂によって形成され、弾性変形可能に構成される。弾性部90は、取付面66に一体に形成される。例えば、弾性部90は、凸部40Eが移動可能な寸法、かつ、凸部40Eの最大径よりも僅かに小さい寸法を有する。弾性部90によって、溝72のうちの凸部40Eの通路が狭くなるため、第1規制部74を乗り超えるようなコンポーネント38の移動が規制される。
【0076】
<第6実施形態>
図2、および、
図18を参照して、第6実施形態の取付システム50、および、取付装置60が説明される。第6実施形態の取付システム50、および、取付装置60は、第1規制部74の弾性部90が板ばね90Aによって構成される点以外は第5実施形態の取付システム50、および、取付装置60と同様であるので、第5実施形態と共通する構成については、第5実施形態と同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0077】
板ばね90Aは、第1端部62Bに設けられる。板ばね90Aは、溝72の第2部分72Bにおいて互いに対向するように設けられる2つの板ばね90Aを含んでいてもよい。例えば、溝72のうちの板ばね90Aが設けられる部分は、板ばね90Aに外力が付与されない状態において、凸部40Eの最大径よりも小さい寸法を有する。例えば、溝72のうちの板ばね90Aが設けられる部分は、板ばね90Aに外力が付与される状態において、凸部40Eが移動可能な寸法を有する。
【0078】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の取付システム、および、人力駆動車用の取付装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の取付システム、および、人力駆動車用の取付装置は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明が省略される。
【0079】
・
図19に示されるように、コンポーネント38はランプ38Dを含んでもよい。コンポーネント38がランプ38Dを含む場合、ランプ38Dは、ハンドルバー22の前方に配置されるように取付装置60が構成されてもよい。
【0080】
・
図20、および、
図21に示されるように、取付装置60は、コンポーネント38と無線通信するように構成される第1無線通信部92を備えてもよい。取付装置60が、第1無線通信部92を備える場合、例えば、コンポーネント38は第2無線通信部38Lを備える。第1無線通信部92は、他のコンポーネント42の第1制御部42Bと通信可能に接続される。第1無線通信部92は、他のコンポーネント42の第1制御部42Bと有線接続されてもよく、無線接続されてもよい。第2無線通信部38Lは、コンポーネント38の第2制御部38Gと通信可能に接続される。第1無線通信部92、および、第2無線通信部38Lは、互いに無線通信を行う。
【0081】
・
図22に示されるように、第1取付部64は、車体16の一部に一体に形成されてもよい。例えば、第1取付部64は、ハンドルバー22に形成される。第1取付部64がハンドルバー22に形成される場合、例えば、取付装置60から第2取付部86が省略される。
【0082】
・
図1、
図19、および、
図23に示されるように、被係合部40はコンポーネント38および車体16の一方と別体に形成されてもよい。被係合部40がコンポーネント38および車体16の一方とは別体に形成される場合、被係合部40は、コンポーネント38に着脱可能に構成されてもよい。例えば、被係合部40は、接着剤、面ファスナ、および、磁石等によって、コンポーネント38に着脱可能に構成される。
【0083】
・取付装置60から第1規制部74を省略してもよい。取付装置60から第1規制部74を省略される場合も、溝72の第1部分72Aの延びる方向と第2部分72Bの延びる方向とが異なるため、被係合部40が第1係合部62から離脱しにくい。
【0084】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0085】
10…人力駆動車、16…車体、22…ハンドルバー、38…コンポーネント、38A…表示装置、38B…スイッチ、38C…無線通信装置、38D…ランプ、38E…ボトルケージ、38K…電気端子、40…被係合部、40E…凸部、50…取付システム、60…取付装置、62…第1係合部、62A…凹部、64…第1取付部、66…取付面、68…ガイド部、70…レール部、72…溝、74…第1規制部、76…付勢部材、76A…コイルばね、76B…板ばね、78…弾性部材、80…第2規制部、82…第1端子、86…第2取付部、88…ファスナ、88A…磁石、92…第1無線通信部。