(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051374
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】人力駆動車用のドライブユニット
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20230404BHJP
F16C 19/16 20060101ALI20230404BHJP
F16C 35/067 20060101ALI20230404BHJP
F16C 3/06 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B62M6/55
F16C19/16
F16C35/067
F16C3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161993
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】北原 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】野田 慎一朗
【テーマコード(参考)】
3J033
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3J033AA02
3J033BA01
3J033GA08
3J033GA12
3J117AA01
3J117AA05
3J117DA01
3J117DB01
3J701AA03
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA71
3J701BA77
3J701FA44
3J701FA46
3J701FA60
3J701GA04
3J701GA11
3J701GA24
(57)【要約】
【課題】回転軸の軸方向における支持部材に対する第1軸受の位置を決めやすい人力駆動車用のドライブユニットを提供する。
【解決手段】人力駆動車用のドライブユニットは、前記人力駆動車のフレームとは別体に形成される支持部材と、前記支持部材を貫通する回転軸と、前記支持部材に設けられて前記人力駆動車に推進力を付与するように構成される電気モータ、および、前記支持部材に設けられて前記回転軸に接続される変速装置、の少なくとも1つと、前記支持部材に設けられ、前記回転軸の回転中心軸心に関して、前記回転軸を回転可能に支持する第1軸受と、前記回転中心軸心に平行な第1方向において移動可能に前記支持部材に設けられ、かつ、前記第1方向において、前記第1軸受を前記支持部材に対して位置決めするように構成される第1部材と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のドライブユニットであって、
前記人力駆動車のフレームとは別体に形成される支持部材と、
前記支持部材を貫通する回転軸と、
前記支持部材に設けられて前記人力駆動車に推進力を付与するように構成される電気モータ、および、前記支持部材に設けられて前記回転軸に接続される変速装置、の少なくとも1つと、
前記支持部材に設けられ、前記回転軸の回転中心軸心に関して、前記回転軸を回転可能に支持する第1軸受と、
前記回転中心軸心に平行な第1方向において移動可能に前記支持部材に設けられ、かつ、前記第1方向において、前記第1軸受を前記支持部材に対して位置決めするように構成される第1部材と、を備える、ドライブユニット。
【請求項2】
前記回転軸は、クランク軸と、前記クランク軸の径方向外側に、前記クランク軸と同軸に配置され、前記クランク軸に入力される回転力が伝達される出力回転軸と、の少なくとも1つを含み、
前記第1軸受は、前記クランク軸または前記出力回転軸を直接的に支持する、請求項1に記載のドライブユニット。
【請求項3】
前記支持部材は、収容空間を形成するハウジングを含み、
前記第1部材は、前記ハウジングの外部から操作可能に前記ハウジングに設けられる、請求項1または2に記載のドライブユニット。
【請求項4】
前記第1軸受は、
前記回転軸に連結される内輪と、
前記回転軸の径方向において前記支持部材に接触する外輪と、
前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の転動体と、を含み、
前記第1部材は、前記第1方向における前記外輪の第1端面に対向する対向面を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【請求項5】
前記内輪は、前記回転軸に圧入される、請求項4に記載のドライブユニット。
【請求項6】
前記支持部材に設けられ、前記回転中心軸心に関して、前記回転軸を回転可能に支持する第2軸受をさらに備え、
前記第2軸受は、前記第1方向において前記第1軸受から間隔をあけて配置され、
前記第1軸受の前記外輪の前記第1端面は、前記第1方向において前記第2軸受とは反対側を向く、請求項4または5に記載のドライブユニット。
【請求項7】
前記第1部材は、前記回転中心軸心に実質的に同軸に配置される第1筒状部を有し、
前記第1筒状部には、第1ねじが形成され、
前記支持部材は、前記回転中心軸心に実質的に同軸に配置される第2筒状部を有し、
前記第2筒状部には、前記第1ねじに結合される第2ねじが形成され、
前記第1ねじおよび前記第2ねじの一方は、雄ねじであり、
前記第1ねじおよび前記第2ねじの他方は、雌ねじである、請求項4から6のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【請求項8】
前記第1部材は、前記第1筒状部の内周面から前記第1筒状部の径方向内側に向けて突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記対向面を有する、請求項7に記載のドライブユニット。
【請求項9】
前記第1方向において、前記支持部材に対する前記第1部材の移動を規制する第2部材をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【請求項10】
前記第1方向において、前記支持部材に対する前記第1部材の移動を規制する第2部材をさらに備え、
前記第2部材は、第3筒状部を有し、
前記第3筒状部には、前記第2ねじに結合される第3ねじが形成され、
前記第1ねじは、雌ねじであり、
前記第2ねじは、雄ねじであり、
前記第3ねじは、雌ねじである、請求項7または8に記載のドライブユニット。
【請求項11】
前記第1方向において、前記支持部材に対する前記第1部材の移動を規制する第2部材をさらに備え、
前記第2部材は、第3筒状部を有し、
前記第3筒状部には、前記第1ねじに結合される第3ねじが形成され、
前記第1ねじは、雄ねじであり、
前記第2ねじは、雌ねじであり、
前記第3ねじは、雌ねじである、請求項7または8に記載のドライブユニット。
【請求項12】
前記第2部材は、工具を係合可能な第2工具係合部を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【請求項13】
前記第1部材は、工具を係合可能な第1工具係合部を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【請求項14】
前記支持部材は、前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる取付部を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用のドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されるドライブユニットは、回転軸の軸方向における支持部材に対する軸受の位置が、支持部材に形成される段差によって決められるが、軸受と支持部材との間に隙間が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、回転軸の軸方向における支持部材に対する第1軸受の位置を決めやすい人力駆動車用のドライブユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従うドライブユニットは、人力駆動車用のドライブユニットであって、前記人力駆動車のフレームとは別体に形成される支持部材と、前記支持部材を貫通する回転軸と、前記支持部材に設けられて前記人力駆動車に推進力を付与するように構成される電気モータ、および、前記支持部材に設けられて前記回転軸に接続される変速装置、の少なくとも1つと、前記支持部材に設けられ、前記回転軸の回転中心軸心に関して、前記回転軸を回転可能に支持する第1軸受と、前記回転中心軸心に平行な第1方向において移動可能に前記支持部材に設けられ、かつ、前記第1方向において、前記第1軸受を前記支持部材に対して位置決めするように構成される第1部材と、を備える。
第1側面のドライブユニットによれば、回転中心軸心に平行な第1方向において第1部材によって支持部材に対して第1軸受を好適に位置決めできる。したがって、回転中心軸心に平行な第1方向における支持部材に対する第1軸受の位置を決めやすい。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面のドライブユニットにおいて、前記回転軸は、クランク軸と、前記クランク軸の径方向外側に、前記クランク軸と同軸に配置され、前記クランク軸に入力される回転力が伝達される出力回転軸と、の少なくとも1つを含み、前記第1軸受は、前記クランク軸または前記出力回転軸を直接的に支持する。
第2側面のドライブユニットによれば、第1軸受によってクランク軸または出力回転軸を好適に支持できる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面のドライブユニットにおいて、前記支持部材は、収容空間を形成するハウジングを含み、前記第1部材は、前記ハウジングの外部から操作可能に前記ハウジングに設けられる。
第3側面のドライブユニットによれば、ハウジングの外部から第1部材を操作することによって、第1方向において支持部材に対して第1軸受を好適に位置決めできる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面のドライブユニットにおいて、前記第1軸受は、前記回転軸に連結される内輪と、前記回転軸の径方向において前記支持部材に接触する外輪と、前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の転動体と、を含み、前記第1部材は、前記第1方向における前記外輪の第1端面に対向する対向面を有する。
第4側面のドライブユニットによれば、対向面が第1端面に対向することによって、第1方向において支持部材に対して第1軸受を好適に位置決めできる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面のドライブユニットにおいて、前記内輪は、前記回転軸に圧入される。
第5側面のドライブユニットによれば、内輪が回転軸に圧入されるため、第1軸受が回転軸にしっかり取り付けられる。
【0010】
本開示の第4または5側面に従う第6側面のドライブユニットにおいて、前記支持部材に設けられ、前記回転中心軸心に関して、前記回転軸を回転可能に支持する第2軸受をさらに備え、前記第2軸受は、前記第1方向において前記第1軸受から間隔をあけて配置され、前記第1軸受の前記外輪の前記第1端面は、前記第1方向において前記第2軸受とは反対側を向く。
第6側面のドライブユニットによれば、第1軸受および第2軸受によって回転軸を好適に支持できる。
【0011】
本開示の第4から6側面のいずれか1つに従う第7側面のドライブユニットにおいて、前記第1部材は、前記回転中心軸心に実質的に同軸に配置される第1筒状部を有し、前記第1筒状部には、第1ねじが形成され、前記支持部材は、前記回転中心軸心に実質的に同軸に配置される第2筒状部を有し、前記第2筒状部には、前記第1ねじに結合される第2ねじが形成され、前記第1ねじおよび前記第2ねじの一方は、雄ねじであり、前記第1ねじおよび前記第2ねじの他方は、雌ねじである。
第7側面のドライブユニットによれば、第1筒状部の第1ねじおよび第2筒状部の第2ねじを結合させることによって、支持部材に対する第1部材の位置を好適に調整できる。
【0012】
本開示の第7側面に従う第8側面のドライブユニットにおいて、前記第1部材は、前記第1筒状部の内周面から前記第1筒状部の径方向内側に向けて突出する突出部を有し、前記突出部は、前記対向面を有する。
第8側面のドライブユニットによれば、突出部が対向面を有するため、対向面を好適に形成できる。
【0013】
本開示の第1から8側面のいずれか1つに従う第9側面のドライブユニットにおいて、前記第1方向において、前記支持部材に対する前記第1部材の移動を規制する第2部材をさらに備える。
第9側面のドライブユニットによれば、第2部材によって支持部材に対する第1部材の移動を好適に規制できる。
【0014】
本開示の第7または8側面に従う第10側面のドライブユニットにおいて、前記第1方向において、前記支持部材に対する前記第1部材の移動を規制する第2部材をさらに備え、前記第2部材は、第3筒状部を有し、前記第3筒状部には、前記第2ねじに結合される第3ねじが形成され、前記第1ねじは、雌ねじであり、前記第2ねじは、雄ねじであり、前記第3ねじは、雌ねじである。
第10側面のドライブユニットによれば、第2ねじの雄ねじに、第1ねじの雌ねじおよび第3ねじの雌ねじを結合させることによって、支持部材に対する第2部材の位置を好適に調整できる。第10側面のドライブユニットによれば、第2ねじの雄ねじに、第1ねじの雌ねじおよび第3ねじの雌ねじが結合できるため、第2部材の構成を簡単にできる。
【0015】
本開示の第7または8側面に従う第11側面のドライブユニットにおいて、前記第1方向において、前記支持部材に対する前記第1部材の移動を規制する第2部材をさらに備え、前記第2部材は、第3筒状部を有し、前記第3筒状部には、前記第1ねじに結合される第3ねじが形成され、前記第1ねじは、雄ねじであり、前記第2ねじは、雌ねじであり、前記第3ねじは、雌ねじである。
第11側面のドライブユニットによれば、第1ねじの雄ねじに、第2ねじの雌ねじおよび第3ねじの雌ねじを結合させることによって、支持部材に対する第2部材の位置を好適に調整できる。第11側面のドライブユニットによれば、第1ねじの雄ねじに、第2ねじの雌ねじおよび第3ねじの雌ねじが結合できるため、第2部材の構成を簡単にできる。
【0016】
本開示の第9から11側面のいずれか1つに従う第12側面のドライブユニットにおいて、前記第2部材は、工具を係合可能な第2工具係合部を含む。
第12側面のドライブユニットによれば、工具によって第2部材を操作できるため、第2部材を支持部材に取り付けやすくなる。
【0017】
本開示の第1から12側面のいずれか1つに従う第13側面のドライブユニットにおいて、前記第1部材は、工具を係合可能な第1工具係合部を含む。
第13側面のドライブユニットによれば、工具によって第1部材を操作できるため、第1部材を支持部材に取り付けやすくなる。
【0018】
本開示の第1から13側面のいずれか1つに従う第14側面のドライブユニットにおいて、前記支持部材は、前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる取付部を有する。
第14側面のドライブユニットによれば、ドライブユニットをフレームに好適に取り付けできる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の人力駆動車用のドライブユニットによれば、回転中心軸心に平行な第1方向における支持部材に対する第1軸受の位置を決めやすい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用のドライブユニットの斜視図である。
【
図2】
図1の人力駆動車用のドライブユニットの側面図である。
【
図4】
図3の第1軸受およびその周辺の拡大断面図である。
【
図5】第2実施形態の人力駆動車用のドライブユニットの第1軸受およびその周辺の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
図1から
図4を参照して、第1実施形態の人力駆動車用のドライブユニット10が説明される。以下、実施形態において、人力駆動車用のドライブユニット10をドライブユニット10と呼称する。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータ16の駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータ16によって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車は電動アシスト自転車として説明される。
【0022】
ドライブユニット10は、支持部材12と、回転軸14と、電気モータ16、および、変速装置18、の少なくとも1つと、第1軸受20と、第1部材22と、を備える。ドライブユニット10は、人力駆動車のフレームに取り付けられる。
【0023】
支持部材12は、人力駆動車のフレームとは別体に形成される。例えば、支持部材12は、収容空間24Aを形成するハウジング24を含む。ハウジング24は、人力駆動車のフレームとは別体に形成されて、人力駆動車のフレームに取り付けられる。ハウジング24は、第1ハウジング26および第2ハウジング28を含む。第1ハウジング26および第2ハウジング28は、第1方向X1に配置される。例えば、第1方向X1は、クランク軸30の軸方向に沿う方向である。第1ハウジング26および第2ハウジング28は、ボルト24Bによって互いに取り付けられる。ハウジング24は、第1孔26Aおよび第2孔28Aを含む。第1孔26Aは、第1ハウジング26に設けられる。第2孔28Aは、第2ハウジング28に設けられる。
【0024】
収容空間24Aは、第1ハウジング26、および、第2ハウジング28の間に設けられる。収容空間24Aには、回転軸14、電気モータ16、および、変速装置18の少なくとも1つが収容される。例えば、収容空間24Aには、回転軸14の一部、電気モータ16、および、変速装置18が収容される。電気モータ16は、少なくとも一部が収容空間24Aに収容されるように構成されてもよい。変速装置18は、少なくとも一部が収容空間24Aに収容されるように構成されてもよい。
【0025】
例えば、支持部材12は、人力駆動車のフレームに取り付けられる取付部12Aを有する。例えば、支持部材12は、人力駆動車のフレームに着脱可能に取り付けられる。取付部12Aは、第1ハウジング26および第2ハウジング28の少なくとも1つに設けられる。例えば、支持部材12は、複数の取付部12Aを有する。複数の取付部12Aは、ドライブユニット10の外周部に間隔をあけて配置される。取付部12Aは、雌ねじ部12Bを含む。フレームを貫通するボルトが、雌ねじ部12Bにねじ込まれることによって支持部材12がフレームに取り付けられる。取付部12Aは、雌ねじ部12B以外によってフレームに取り付けられてもよい。
【0026】
回転軸14は、支持部材12を貫通する。回転軸14は、第1孔26Aおよび第2孔28Aを貫通する。例えば、回転軸14は、クランク軸30と、出力回転軸32と、の少なくとも1つを含む。本実施形態では、回転軸14はクランク軸30と出力回転軸32との両方を含む。
【0027】
クランク軸30は、第1ハウジング26および第2ハウジング28を貫通する。クランク軸30は、第1孔26Aおよび第2孔28Aを貫通する。クランク軸30は、人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて回転する。クランク軸30は、回転軸14の回転中心軸心C1と実質的に同軸に設けられる。クランク軸30は、第1方向X1に関する第1端部30A、第2端部30B、および、中央部30Cを含む。第1端部30Aおよび第2端部30Bには、それぞれクランクアームが設けられる。クランクアームには、人力駆動力が入力されるペダルが取り付けられる。ペダルに人力駆動力が入力されるとクランク軸30が回転する。
【0028】
例えば、出力回転軸32は、クランク軸30の径方向X2外側に、クランク軸30と同軸に配置され、クランク軸30に入力される回転力が伝達される。出力回転軸32は、第2ハウジング28を貫通する。出力回転軸32は、第2孔28Aを貫通する。出力回転軸32は、フロントスプロケット、チェーン、および、リアスプロケットを経由して、人力駆動車の車輪に回転力を伝達する。出力回転軸32は、クランク軸30に圧入される。出力回転軸32は、クランク軸30と一体に回転する。クランク軸30と出力回転軸32との間には、ワンウェイクラッチが設けられていてもよい。
【0029】
例えば、出力回転軸32には、出力回転軸32に加えられるトルクを検出する検出部34が設けられる。検出部34は、例えば磁歪センサである。磁歪センサは、歪みゲージの歪みに関する情報を検出する。歪みゲージは、出力回転軸32の外周部に設けられる。
【0030】
電気モータ16は、支持部材12に設けられて人力駆動車に推進力を付与するように構成される。電気モータ16は、人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて、人力駆動車に推進力を与える。電気モータ16のトルクは、出力回転軸32に伝達される。電気モータ16は、出力軸16Aを含む。電気モータ16は、いわゆるブラシレスモータである。本実施形態では、電気モータ16の出力軸16Aが、クランク軸30と平行する。電気モータ16は、出力軸16Aがクランク軸30と直交するものでもよい。
【0031】
例えば、変速装置18は、支持部材12に設けられて回転軸14に接続される。変速装置18は、電気モータ16から出力回転軸32までの間に設けられる。変速装置18は、出力軸16Aの回転力を、出力回転軸32に伝達する。変速装置18は、出力軸16Aの回転速度に対する出力回転軸32の回転速度の比を変更する。
【0032】
変速装置18は、1段階以上にわたって出力軸16Aの回転速度を減速または増速する。本実施形態の変速装置18は、減速機である。変速装置18は、増速機であってもよい。本実施形態では、2段階にわたって出力軸16Aの回転速度を減速する。変速装置18は、プーリによって構成されていてもよい。
【0033】
変速装置18は、少なくとも1つの歯車および少なくとも1つの歯車軸を含む。本実施形態では、変速装置18は、第1歯車18A、第2歯車18B、第3歯車18C、第4歯車18D、および、歯車軸18Eを含む。第1歯車18Aは、出力軸16Aに設けられる。第2歯車18Bは、歯車軸18Eに設けられる。第2歯車18Bは、歯車軸18Eと一体に回転する。第3歯車18Cは、歯車軸18Eのうちの第2歯車18Bとは異なる部分に設けられる。第3歯車18Cは、歯車軸18Eと一体に回転する。第4歯車18Dは、出力回転軸32と同軸に、出力回転軸32に設けられる。
【0034】
第1歯車18Aは、出力軸16Aの回転力を第2歯車18Bに伝達する。第1歯車18Aの歯数は、第2歯車18Bの歯数よりも少ない。第2歯車18Bに伝達された出力軸16Aの回転力によって、歯車軸18Eが回転する。第2歯車18Bの歯数は、第3歯車18Cの歯数よりも多い。第3歯車18Cは、歯車軸18Eの回転力を、第4歯車18Dに伝達する。第3歯車18Cの歯数は、第4歯車18Dの歯数よりも少ない。第4歯車18Dに伝達された歯車軸18Eの回転力によって、出力回転軸32が回転する。
【0035】
例えば、ドライブユニット10は、ワンウェイクラッチ36を含む。ワンウェイクラッチ36は、変速装置18に設けられる。ワンウェイクラッチ36は、第1回転方向A1に出力回転軸32が回転する場合に、電気モータ16への出力回転軸32の回転力の伝達を抑制するように構成される。第1回転方向A1に出力回転軸32が回転する場合、人力駆動車は前進する。
【0036】
例えば、ワンウェイクラッチ36は、ローラクラッチを含む。例えば、ワンウェイクラッチ36は、出力回転軸32の外周部と第4歯車18Dの内周部との間に設けられる。ワンウェイクラッチ36は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に設けられる複数のローラと、を含む。例えば、内輪は、出力回転軸32の外周部に設けられる。例えば、内輪は、出力回転軸32の外周部と一体に形成される。例えば、外輪は、第4歯車18Dの内周部に設けられる。例えば、外輪は、第4歯車18Dの内周部と一体に形成される。ワンウェイクラッチ36は、爪式クラッチ、または、スプラグクラッチを含んでいてもよい。ドライブユニット10は、ワンウェイクラッチ36を含まなくてもよい。
【0037】
支持部材12は、回転中心軸心C1に実質的に同軸に配置される第2筒状部42を有する。第2筒状部42の内周部には、ハウジング24の第1孔26Aが設けられる。例えば、第2筒状部42は、第1ハウジング26と一体に形成される。
【0038】
第1軸受20は、支持部材12に設けられ、回転軸14の回転中心軸心C1に関して、回転軸14を回転可能に支持する。第1軸受20は、第1ハウジング26に設けられる。第1軸受20は、第1孔26Aに設けられる。例えば、第1軸受20は、第2筒状部42の内部に配置される。第1軸受20は、例えばころ軸受である。例えば、第1軸受20は、回転中心軸心C1に関して、クランク軸30を回転可能に支持する。例えば、第1軸受20は、クランク軸30または出力回転軸32を直接的に支持する。本実施形態では、第1軸受20はクランク軸30を直接的に支持する。第1軸受20は、出力回転軸32を直接的に支持するように構成されてもよい。第1軸受20が出力回転軸32を直接的に支持するように構成される場合、第1軸受20および第1部材22が第2ハウジング28に設けられ、第2軸受38が第1ハウジング26に設けられる。
【0039】
例えば、第1軸受20は、内輪20Aと、外輪20Bと、複数の転動体20Cと、を含む。例えば、内輪20Aは、回転軸14に連結される。例えば、内輪20Aは、回転軸14に圧入される。本実施形態では、内輪20Aは、クランク軸30の外周部に圧入される。内輪20Aは、クランク軸30と一体に回転する。例えば、外輪20Bは、回転軸14の径方向X2において支持部材12に接触する。外輪20Bは、支持部材12に隙間嵌めされる。外輪20Bは、第1方向X1における第1端面20Dを有する。第1端面20Dは、第1方向X1において、クランク軸30の中央部30Cから第1端部30Aに向かう方向に面する。例えば、複数の転動体20Cは、内輪20Aおよび外輪20Bの間に配置される。
【0040】
例えば、ドライブユニット10は、第2軸受38をさらに備える。第2軸受38は、支持部材12に設けられ、回転中心軸心C1に関して、回転軸14を回転可能に支持する。第2軸受38は、第1方向X1において第1軸受20から間隔をあけて配置される。例えば、第1軸受20の外輪20Bの第1端面20Dは、第1方向X1において第2軸受38とは反対側を向く。第2軸受38は、第2ハウジング28に設けられる。第2軸受38は、第2孔28Aに設けられる。第2軸受38は、例えばころ軸受である。本実施形態では、第2軸受38は、回転中心軸心C1に関して、出力回転軸32を回転可能に支持する。
【0041】
例えば、第2軸受38は、内輪38Aと、外輪38Bと、複数の転動体38Cと、を含む。外輪38Bは、支持部材12に隙間嵌めされる。外輪38Bは、第1方向X1における第2端面38Dを有する。内輪38Aは、回転軸14に連結される。内輪38Aは、回転軸14に圧入される。本実施形態では、内輪38Aは、出力回転軸32の外周部に圧入される。内輪38Aは、出力回転軸32と一体に回転する。外輪38Bは、回転軸14の径方向X2において支持部材12に接触する。第2端面38Dは、第1方向X1において、クランク軸30の中央部30Cから第2端部30Bに向かう方向に面する。複数の転動体38Cは、内輪38Aおよび外輪38Bの間に配置される。
【0042】
第1部材22は、回転中心軸心C1に平行な第1方向X1において移動可能に支持部材12に設けられ、かつ、第1方向X1において、第1軸受20を支持部材12に対して位置決めするように構成される。例えば、第1部材22は、回転中心軸心C1に実質的に同軸に配置される第1筒状部40を有する。例えば、第1部材22には、クランク軸30が貫通する。第1軸受20は、第1筒状部40の内部に配置される。第1部材22は、第1軸受20と第1方向X1において接するように設けられる。第1部材22は、第1方向X1において第1部材22に対する第1軸受20の移動を規制するように構成される。第1部材22は、第1方向X1においてクランク軸30の中央部30Cから第1端部30Aに向かう方向における第1軸受20の移動を規制する。第1部材22は、第1軸受20が第1部材22よりも第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30A側に移動できないように、第1軸受20の移動を規制する。
【0043】
例えば、第1部材22は、第1方向X1における外輪20Bの第1端面20Dに対向する対向面22Aを有する。例えば、第1部材22は、第1筒状部40の内周面から第1筒状部40の径方向X2内側に向けて突出する突出部22Bを有する。突出部22Bは、対向面22Aを有する。
【0044】
突出部22Bは、対向面22Aが径方向X2に対して平行になるように、径方向X2内側に突出する。突出部22Bは、第1部分22Cと第2部分22Dとを含む。第1部分22Cは、第1筒状部40とは反対側の端部と連続する。第1部分22Cは、径方向X2の内側に向かって延びる。第1部分22Cは、対向面22Aを含む。第2部分22Dは、第1部分22Cのうちの径方向X2の内側の端部と連続する。第2部分22Dは、第1方向X1に延びる部分と、径方向X2に対して平行に延びる部分とを含む。第2部分22Dのうちの第1方向X1に延びる部分の内径は、第1筒状部40の内径よりも小さい。第1部材22は、第2部分22Dを含まないように構成されてもよい。第2部分22Dの内周面には、シール部材23が配置される。シール部材23は、第1部材22とクランク軸30との間に配置される。例えば、シール部材23は、弾性体によって形成される。シール部材23は、例えば、合成ゴムによって構成される。シール部材23は、第2部分22Dの内周面と、クランク軸30の外周面とにそれぞれ接触する。
【0045】
対向面22Aは、第1端面20Dに接するように設けられる。対向面22Aは、第1端面20Dに、第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向の力を付与する。対向面22Aは、外輪20Bの第1端面20Dのうちの少なくとも一部と接するように構成される。対向面22Aは、外輪20Bに接すれば、径方向X2における寸法が外輪20Bの厚さよりも小さくてもよい。
【0046】
対向面22Aは、外輪20Bの移動を規制するように構成される。対向面22Aは、第1方向X1においてクランク軸30の中央部30Cから第1端部30Aに向かう方向における外輪20Bの移動を規制する。対向面22Aは、第1方向X1において、外輪20Bが対向面22Aよりもクランク軸30の第1端部30A側に移動できないように、外輪20Bの移動を規制する。
【0047】
本実施形態では、第2筒状部42は、第1筒状部40の内部に配置される。例えば、第1筒状部40には、第1ねじ40Aが形成される。本実施形態では、第1ねじ40Aは、第1筒状部40の内周部に形成される。例えば、第1ねじ40Aは、第1筒状部40の内周部において、第1方向X1の全区間にわたり形成される。例えば、第2筒状部42には、第1ねじ40Aに結合される第2ねじ42Aが形成される。本実施形態では、第2ねじ42Aは、第2筒状部42の外周部に形成される。例えば、第2ねじ42Aは、第2筒状部42の外周部において、第1方向X1の全区間にわたり形成される。
【0048】
例えば、第1ねじ40Aおよび第2ねじ42Aの一方は、雄ねじである。第1ねじ40Aおよび第2ねじ42Aの他方は、雌ねじである。本実施形態では、第1ねじ40Aは雌ねじであり、第2ねじ42Aは雄ねじである。
【0049】
例えば、第1部材22は、ハウジング24の外部から操作可能にハウジング24に設けられる。第1部材22は、環状に形成される。第1部材22は、ハウジング24の外部から第1部材22の周方向X3に回転するように操作可能にハウジング24に設けられる。第1部材22は、作業者がハウジング24の外部から第1部材22を操作することによって第1方向X1に移動可能にハウジング24に設けられる。ハウジング24の外部は、例えば収容空間24Aの外部である。
【0050】
例えば、第1部材22は、工具を係合可能な第1工具係合部22Eを含む。第1工具係合部22Eは、平面部を含む。例えば、第1筒状部40の外周部が多角形状に形成される。第1工具係合部22Eに係合する工具は、例えばレンチである。第1部材22は、工具によって第2ねじ42Aが第1ねじ40Aにねじ込まれるように操作される。第1部材22は、工具によって周方向X3に回転される。第1部材22は、工具によって周方向X3に回転されることによって第1方向X1に移動する。第1工具係合部22Eは、第2部分22Dの外周部に設けられてもよい。
【0051】
例えば、ドライブユニット10は、第2部材44をさらに備える。第2部材44は、第1方向X1において、支持部材12に対する第1部材22の移動を規制する。第2部材44は、第1方向X1において第1部材22よりも第2端部30B側に配置される。第2部材44は、第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向における第1部材22の移動を規制する。第2部材44は、第1部材22が第2部材44よりも第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30A側に移動できないように、第1部材22の移動を規制する。第2部材44は、環状に形成される。
【0052】
第2部材44は、第1部材22に対向する接触面44Aを有する。接触面44Aは、第1部材22の端部22Fに接するように設けられる。接触面44Aは、第1方向X1においてクランク軸30の中央部30Cから第1端部30Aに向かう方向に、端部22Fに圧力を付与する。
【0053】
例えば、第2部材44は、第3筒状部46を有する。第3筒状部46には、第2ねじ42Aに結合される第3ねじ46Aが形成される。第3ねじ46Aは、第3筒状部46の内周部に形成される。例えば、第3ねじ46Aは、第3筒状部46の内周部において、第1方向X1の全区間にわたり形成される。第3筒状部46は、第1筒状部40に実質的に同軸に配置される。第3筒状部46は、第2筒状部42に実質的に同軸に配置される。本実施形態では、例えば、第1ねじ40Aは、雌ねじである。第2ねじ42Aは、雄ねじである。第3ねじ46Aは、雌ねじである。
【0054】
例えば、第2部材44は、ハウジング24の外部から操作可能にハウジング24に設けられる。第2部材44は、ハウジング24の外部から周方向X3に回転するように操作可能にハウジング24に設けられる。第2部材44は、ハウジング24の外部から第1方向X1に移動するように操作可能にハウジング24に設けられる。例えば、第2部材44は、ハウジング24の外部から工具によって操作可能にハウジング24に設けられる。例えば、第2部材44は、ロックナットである。
【0055】
例えば、第2部材44は、工具を係合可能な第2工具係合部44Bを含む。例えば、第2工具係合部44Bは、平面部を含む。例えば、第2工具係合部44Bの外周部が多角形状に形成される。第2工具係合部44Bに係合する工具は、例えばレンチである。第2部材44は、工具によって第2ねじ42Aが第3ねじ46Aにねじ込まれるように、操作される。第2部材44は、工具によって周方向X3に回転される。第2部材44は、工具によって周方向X3に回転されることによって、第1方向X1に移動する。
【0056】
ドライブユニット10への回転軸14の取り付け方法は、第1工程、第2工程、第3工程、および、第4工程を含む。
【0057】
第1工程は、回転軸14、第1軸受20、および、第2軸受38をハウジング24に配置する工程を含む。第1工程の前に、第1軸受20の内輪20Aが回転軸14に圧入される。第1工程の前に、第2軸受38の内輪38Aが回転軸14に圧入される。第1軸受20および第2軸受38が回転軸14に取り付けられた状態において、回転軸14がハウジング24の収容空間24Aに配置される。
【0058】
第2工程は、第2部材44が支持部材12に取り付けられる工程を含む。第2ねじ42Aが第3ねじ46Aにねじ込まれることによって、第2部材44が支持部材12に取り付けられる。
【0059】
第3工程は、第1部材22が支持部材12に取り付けられる工程を含む。第2ねじ42Aが第1ねじ40Aにねじ込まれることによって、第1部材22が支持部材12に設けられる。第3工程において、対向面22Aが第1端面20Dに接するように、第1部材22が第1方向X1において支持部材12に対して移動する。第3工程において、第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向に、第1部材22が支持部材12に対して移動する。
【0060】
第3工程において、対向面22Aが第1端面20Dに接することによって、第1軸受20が第1方向X1において動かなくなるまで、第1部材22が支持部材12に対して移動する。第3工程において、第2軸受38は、回転軸14と一体に、第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向に移動する。第2軸受38が第2ハウジング28の側壁部に接すると、第1軸受20が第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向に動かなくなる。
【0061】
第4工程は、第1部材22が第2部材44によって移動が規制される工程を含む。接触面44Aが端部22Fに接するまで、第2部材44が支持部材12に対して移動する。
【0062】
人力駆動車が外装変速機を含む場合、外装変速機の変速動作によって、支持部材12に対してクランク軸30ががたつく場合がある。外装変速機は、例えばフロントディレイラである。第1部材22によって、第1方向X1における第1軸受20の移動が規制されるため、クランク軸30ががたつきにくくなる。ドライブユニット10によれば、外装変速機の変速動作によってライダが不快感を得にくいため、ライダが快適に人力駆動車を使用できる。
【0063】
ドライブユニット10は、第1部材22を外部から操作可能なため、ハウジング24に回転軸14を配置した後に、支持部材12に対する第1軸受20の位置を調整できる。したがって、ドライブユニット10の精度管理が容易になり、ドライブユニット10の生産性が向上する。
【0064】
<第2実施形態>
図5を参照して、第2実施形態のドライブユニット10が説明される。第2実施形態のドライブユニット10は、第1部材48の構成、第2筒状部50の構成、および、第2部材52の構成が第1実施形態のドライブユニット10と異なる点以外は、第1実施形態と同様の構成を有する。したがって、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0065】
本実施形態で、第1部材48は、回転中心軸心C1に実質的に同軸に配置される第1筒状部54を有する。第1筒状部54には、第1ねじ54Aが形成される。第1ねじ54Aは、第1筒状部54の外周部に形成される。第1ねじ54Aは、第1筒状部54の外周部において、第1方向X1の全区間にわたり形成される。第1部材48は、環状に形成される。
【0066】
第1部材48は、第1方向X1における端部48Bを有する。端部48Bは、対向面48Aを有する。対向面48Aは、第1実施形態の対向面22Aと同様の構成を有する。第1部材48には、端部48Bに第1筒状部54の内周面から第1筒状部54の径方向X2内側に向けて突出する突出部48Cが構成される。突出部48Cは、第1筒状部54の外周面からの厚さが、第1部材48の径方向X2における厚さと同じであるように構成される。本実施形態では、第1部材48は、径方向X2における厚さが均一に構成される。第1部材48において、端部48Bの厚さが、端部48Bを除く部分の厚さよりも大きくてもよい。端部48Bの厚さが、端部48Bを除く部分の厚さよりも大きい場合、端部48Bは、対向面48Aが径方向X2に対して平行になるように、径方向X2内側に突出する。径方向X2内側に突出する端部48Bは、突出部48Cを構成する。
【0067】
例えば、支持部材12は、回転中心軸心C1に実質的に同軸に配置される第2筒状部50を有する。第2実施形態の支持部材12は、第2筒状部42が第2筒状部50に変更される点以外は、第1実施形態の支持部材12と同様に構成される。第2筒状部50には、第1ねじ54Aに結合される第2ねじ50Aが形成される。第2筒状部50は、第1筒状部54に実質的に同軸に配置される。第2ねじ50Aは、第2筒状部50の内周部に形成される。第2ねじ50Aは、第2筒状部50の内周部において、第1方向X1の一部にわたり形成される。
【0068】
第2筒状部50は、第2筒状部50の内周部が外輪20Bの外周部に接するように構成される。第2筒状部50の内周部には、第1孔26Aが形成される。本実施形態では、第1筒状部54が、第2筒状部50の内周部に配置される。第1筒状部54が第2筒状部50の内周部に配置される場合、第1ねじ54Aは雄ねじであり、第2ねじ50Aは雌ねじである。
【0069】
例えば、第1部材48は、ハウジング24の外部から操作可能にハウジング24に設けられる。第1部材48は、ハウジング24の外部から周方向X3に回転するように操作可能にハウジング24に設けられる。第1部材48は、ハウジング24の外側から第1方向X1に移動するように操作可能にハウジング24に設けられる。ハウジング24の外部は、例えば収容空間24Aの外部を含む。
【0070】
例えば、第1部材48は、工具を係合可能な第1工具係合部48Eを含む。例えば、第1工具係合部48Eは、第1部材48の内周部に設けられる。第1工具係合部48Eの形状は特に限定されない。例えば、第1工具係合部48Eは、第1方向X1に延び、かつ、A1方向に間隔をあけて配置される複数のスプラインによって形成されてもよい。例えば、第1部材48の内周部の少なくとも一部は、第1方向X1から見て、六角形状に形成されてもよい。第1部材48は、工具によって第1ねじ54Aが第2ねじ50Aにねじ込まれるように、操作される。第1部材48は、工具によって周方向X3に回転される。第1部材48は、工具によって周方向X3に回転されることによって、第1方向X1に移動する。
【0071】
第1部材48の内周部には、径方向X2の内側に突出するフランジ49が形成されてもよい。フランジ49は、クランク軸30に接触しないように配置され、かつ、第1軸受20をカバーするように形成される。
【0072】
本実施形態では、ドライブユニット10は、第2部材52をさらに備える。第2部材52は、第1方向X1において、支持部材12に対する第1部材48の移動を規制する。第2部材52は、第1方向X1において第1部材48よりも第1端部30A側に配置される。第2部材52は、第1方向X1においてクランク軸30の中央部30Cから第1端部30Aに向かう方向における第1部材48の移動を規制する。第2部材52は、第1部材48が第2部材52よりも第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30A側に移動できないように、第1部材48の移動を規制する。第2部材52は、環状に形成される。
【0073】
例えば、第2部材52は、支持部材12に接触する接触面52Aを有する。接触面52Aは、第2筒状部50に接するように、第2部材52に設けられる。接触面52Aは、第2筒状部50に、第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向に圧力を付与する。
【0074】
第2部材52は、第3筒状部58を有する。第3筒状部58には、第1ねじ54Aに結合される第3ねじ58Aが形成される。第3ねじ58Aは、第3筒状部58の外周部に形成される。例えば、第3ねじ58Aは、第3筒状部58の外周部において、第1方向X1の全区間にわたり形成される。第3筒状部58は、第1筒状部54に実質的に同軸に配置される。第3筒状部58は、第2筒状部50に実質的に同軸に配置される。本実施形態では、例えば、第1ねじ54Aは、雄ねじである。第2ねじ50Aは、雌ねじである。第3ねじ58Aは、雌ねじである。
【0075】
例えば、第2部材52は、ハウジング24の外部から操作可能にハウジング24に設けられる。第2部材52は、ハウジング24の外側から周方向X3に回転するように操作可能にハウジング24に設けられる。第2部材52は、ハウジング24の外側から第1方向X1に移動するように操作可能にハウジング24に設けられる。
【0076】
例えば、第2部材52は、工具を係合可能な第2工具係合部52Bを含む。第2工具係合部52Bは、第2部材52の外周部に設けられる。第2工具係合部52Bは、平面部を含む。例えば、第2部材52の外周部が多角形状に形成される。第2工具係合部52Bに係合する工具は、例えばレンチである。第2部材52は、工具によって第3ねじ58Aが第2ねじ50Aにねじ込まれるように操作される。第2部材52は、工具によって周方向X3に回転される。第2部材52は、工具によって周方向X3に回転されることによって第1方向X1に移動する。
【0077】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用のドライブユニットが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のドライブユニットは、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
・第1部材22は、第2軸受38に接するように設けられてもよい。第1部材22が第2軸受38に接するように設けられる場合、第1部材22は、出力回転軸32の周りに設けられる。第1部材22の対向面22Aが外輪38Bの第2端面38Dに対向する。対向面22Aは、外輪38Bの移動を規制するように構成される。対向面22Aは、第1方向X1においてクランク軸30の中央部30Cから第2端部30Bに向かう方向における外輪38Bの移動を規制する。対向面22Aは、外輪38Bが対向面22Aよりも第1方向X1においてクランク軸30の第2端部30B側に移動できないように、外輪38Bの移動を規制する。
【0079】
・第1実施形態において、第1筒状部40の内周部が、外輪20Bの外周部に接してもよい。第1筒状部40の内周部が外輪20Bの外周部に接する場合、第2筒状部42は外輪20Bの外周部に接しない。第1ねじ40Aは、第1筒状部40の外周部に形成される。第2ねじ42Aは、第2筒状部42の内周部に形成される。第3ねじ46Aは、第3筒状部46の外周部に形成される。
【0080】
・対向面22A,48Aが内輪20Aに接触するように構成されてもよい。対向面22A,48Aが内輪20Aに接触するように構成される場合、例えば、対向面22A,48Aの径方向X2の寸法を長くできるため、第1部材22によって、第1軸受20の第1方向X1における移動をより規制できる。
【0081】
・対向面22A,48Aと外輪20Bとの間に弾性部材が設けられてもよい。対向面22A,48Aと外輪20Bとの間に弾性部材が設けられる場合、弾性部材は、第1方向X1においてクランク軸30の第1端部30Aから中央部30Cに向かう方向に、外輪20Bを付勢する。弾性部材は、例えば、ウェーブワッシャである。弾性部材によって、第1軸受20が付勢されるため、支持部材12に対するクランク軸30のがたつきが減少する。
【0082】
・対向面22A,48Aに樹脂部材が設けられてもよい。対向面22A,48Aに樹脂部材が設けられる場合、樹脂部材が外輪20Bに接する。弾性部材は、例えば、ゴムである。弾性部材によって第1部材22と軸受との接触により発生する音が減少する。
【0083】
・ドライブユニット10は、人力駆動車の車輪に設けられるハブモータとして構成されていてもよい。ドライブユニット10が人力駆動車の車輪に設けられるハブモータとして構成される場合、回転軸14は、クランク軸30を含まない。ドライブユニット10が人力駆動車の車輪に設けられるハブモータとして構成される場合、回転軸14は、例えば、ハブシェルを含む。
【0084】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0085】
10…ドライブユニット、12…支持部材、12A…取付部、14…回転軸、16…電気モータ、18…変速装置、20…第1軸受、20A…内輪、20B…外輪、20C…転動体、20D…第1端面、22,48…第1部材、22A,48A…対向面、22B,48C…突出部、22E,48E…第1工具係合部、24…ハウジング、24A…収容空間、30…クランク軸、32…出力回転軸、38…第2軸受、40,54…第1筒状部、40A,54A…第1ねじ、42,50…第2筒状部、42A,50A…第2ねじ、44,52…第2部材、44B,52B…第2工具係合部、46,58…第3筒状部、46A,58A…第3ねじ。