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特開2023-51404デジタルアナログ変換器、及びデジタルアナログ変換器回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051404
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】デジタルアナログ変換器、及びデジタルアナログ変換器回路
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/76 20060101AFI20230404BHJP
   G05F 3/26 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H03M1/76
G05F3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162038
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊田 博之
【テーマコード(参考)】
5H420
5J022
【Fターム(参考)】
5H420BB13
5H420CC02
5H420DD02
5H420EA12
5H420EA18
5H420NA17
5H420NC02
5H420NC23
5J022AB06
5J022BA07
5J022DD01
(57)【要約】
【課題】デジタルアナログ変換回路の出力における電流供給能力の自由度に優れたデジタルアナログ変換回路を提供する。
【解決手段】デジタルアナログ変換器は、受けた電圧信号に応じた電流を発生する電圧-電流変換回路からの該電流をシフト電流源からのシフト電流に加算した加算電流を受ける第1ミラー電流回路とシフト電流を受ける第2ミラー電流回路とに接続されるデジタルアナログ変換回路を備え、デジタルアナログ変換回路は電流切り替え回路を含む。各電流切り替え回路は、第1ミラー電流回路及び第2ミラー電流回路の一方からのミラー電流を提供する第1ミラー電流源と、第1ミラー電流回路及び第2ミラー電流回路の他方からのミラー電流を提供する第2ミラー電流源と、当該電流切り替え回路の第1ミラー電流源及び第2ミラー電流源がD/A出力におけるアナログ信号の値に寄与するか否かをデコード信号値に応答して規定するスイッチ回路を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルアナログ変換器であって、
デジタル値を有するデジタル信号を受けて複数のデコード信号を提供するデコーダと、
電圧信号を受けると共に該電圧信号に応じた電流を発生する電圧-電流変換回路と、
シフト電流を生成するシフト電流源と、
前記電圧-電流変換回路からの前記電流を前記シフト電流に総和した加算電流を受ける第1ミラー電流回路と、
前記シフト電流源から前記シフト電流を受ける第2ミラー電流回路と、
前記第1ミラー電流回路及び前記第2ミラー電流回路に接続され、前記デジタル値に対応するアナログ信号を提供するD/A出力を有するデジタルアナログ変換回路と、
を備え、
前記デジタルアナログ変換回路は、複数の電流切り替え回路を含み、
前記電流切り替え回路の各々は、
前記D/A出力に接続された出力と、
当該電流切り替え回路の前記出力に電流を供給するための第1ミラー電流源と、
当該電流切り替え回路の前記出力から電流を放出するための第2ミラー電流源と、
を含み、
前記電流切り替え回路の各々は、更に、当該電流切り替え回路の前記第1ミラー電流源及び前記第2ミラー電流源が前記D/A出力におけるアナログ信号の値に寄与するか否かを前記デコード信号のうちの1つに応答して規定するスイッチ回路を含み、
前記電流切り替え回路は、一群の前記電流切り替え回路及び別群の前記電流切り替え回路を含み、
前記一群の前記電流切り替え回路のうちの各電流切り替え回路は、前記第1ミラー電流源が前記第1ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能であると共に、前記第2ミラー電流源が前記第2ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能であり、
前記別群の前記電流切り替え回路のうちの各電流切り替え回路は、前記第1ミラー電流源が前記第2ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能であると共に、前記第2ミラー電流源が前記第1ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能である、
デジタルアナログ変換器。
【請求項2】
前記電流切り替え回路の各々において、前記第1ミラー電流源は、当該電流切り替え回路の前記出力と高電位電源線との間に電気的に接続され、前記第2ミラー電流源は、当該電流切り替え回路の前記出力と低電位電源線との間に電気的に接続される、
請求項1に記載されたデジタルアナログ変換器。
【請求項3】
前記スイッチ回路は、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含み、
前記第1スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と前記高電位電源線との間に、前記第1ミラー電流源に直列に接続され、
前記第2スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と前記低電位電源線との間に、前記第2ミラー電流源に直列に接続される、
請求項2に記載されたデジタルアナログ変換器。
【請求項4】
前記D/A出力に接続された出力回路を更に備え、
前記出力回路は、電流-電圧変換回路を含み、
前記電流-電圧変換回路は、前記デジタルアナログ変換回路の前記D/A出力に接続された負入力、及び基準電圧源からの基準電圧を提供する基準電圧線に接続される正入力を有する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記負入力と前記演算増幅器の出力とを接続する抵抗器とを有する、
請求項1又は請求項2に記載されたデジタルアナログ変換器。
【請求項5】
前記電流切り替え回路の各々における前記第1ミラー電流源及び前記第2ミラー電流源は、当該電流切り替え回路の前記第1ミラー電流源及び前記第2ミラー電流源が前記D/A出力におけるアナログ信号の値に寄与しない場合において、前記基準電圧源からの基準電圧を提供する基準電圧線に接続される、
請求項4に記載されたデジタルアナログ変換器。
【請求項6】
前記スイッチ回路は、第1スイッチ素子、第2スイッチ素子、第3スイッチ素子、第4スイッチ素子、及び前記基準電圧線に接続される参照入力を更に含み、
前記第1スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と高電位電源線との間に、前記第1ミラー電流源に直列に接続され、
前記第2スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と低電位電源線との間に、前記第2ミラー電流源に直列に接続され、
前記第3スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記参照入力と前記高電位電源線との間に、前記第1ミラー電流源に直列に接続され、
前記第4スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記参照入力と前記低電位電源線との間に、前記第2ミラー電流源に直列に接続され、
前記第1スイッチ素子及び前記第4スイッチ素子は、第1切り替え信号を受け、
前記第2スイッチ素子及び前記第3スイッチ素子は、第2切り替え信号を受け、
前記第1切り替え信号は、前記第2切り替え信号の相補信号である、
請求項5に記載されたデジタルアナログ変換器。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された第1デジタルアナログ変換器と、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された第2デジタルアナログ変換器と、
前記第1デジタルアナログ変換器の前記D/A出力及び前記第2デジタルアナログ変換器の前記D/A出力に接続された出力回路と、
を備える、
デジタルアナログ変換器回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアナログ変換器、及びデジタルアナログ変換器回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、デジタルアナログ変換器を開示する。このデジタルアナログ変換器は、固定の電流値を提供する電流源、R-2R型の抵抗ラダー、及び抵抗ラダーを切り替える複数のスイッチを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-104026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のデジタルアナログ変換回路は、デジタル値に対応する電圧を生成するために抵抗ラダーを用いる。
【0005】
特許文献1のデジタルアナログ変換回路は、デコーダからの信号に応答して抵抗ラダー内の抵抗を切り替えると共に、定電流源からの電流を切り替えられた抵抗ラダーに流す。定電流源は、固定の基準電圧を受ける演算アンプとバイポーラトランジスタとを含む。抵抗ラダーの利用は、デジタルアナログ変換回路の出力における電流駆動能力を制限する。
【0006】
一方、電流型の変換回路は、デコーダからの信号に応答して単位電流を加算すると共に、加算された単位電流を流す抵抗を用いてアナログ電圧を生成する。電流加算型の方式は、デジタルアナログ変換回路の出力における電流駆動能力の自由度の観点で改善されることが求められる。
【0007】
本発明は、デジタルアナログ変換回路の出力における電流供給能力の自由度に優れたデジタルアナログ変換器及びデジタルアナログ変換器回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1態様に係るデジタルアナログ変換器は、デジタル値を有するデジタル信号を受けて複数のデコード信号を提供するデコーダと、電圧信号を受けると共に該電圧信号に応じた電流を発生する電圧-電流変換回路と、シフト電流を生成するシフト電流源と、前記電圧-電流変換回路からの前記電流を前記シフト電流に加算した加算電流を受ける第1ミラー電流回路と、前記シフト電流源から前記シフト電流を受ける第2ミラー電流回路と、前記第1ミラー電流回路及び前記第2ミラー電流回路に接続され、前記デジタル値に対応するアナログ信号を提供するD/A出力を有するデジタルアナログ変換回路と、を備え、前記デジタルアナログ変換回路は、複数の電流切り替え回路を含み、前記電流切り替え回路の各々は、前記D/A出力に接続された出力と、当該電流切り替え回路の前記出力に電流を供給するための第1ミラー電流源と、当該電流切り替え回路の前記出力から電流を放出するための第2ミラー電流源と、を含み、前記電流切り替え回路の各々は、更に、当該電流切り替え回路の前記第1ミラー電流源及び前記第2ミラー電流源が前記D/A出力におけるアナログ信号の値に寄与するか否かを前記デコード信号のうちの1つに応答して規定するスイッチ回路を含み、前記電流切り替え回路は、一群の前記電流切り替え回路及び別群の前記電流切り替え回路を含み、前記一群の前記電流切り替え回路のうちの各電流切り替え回路は、前記第1ミラー電流源が前記第1ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能であると共に、前記第2ミラー電流源が前記第2ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能であり、前記別群の前記電流切り替え回路のうちの各電流切り替え回路は、前記第1ミラー電流源が前記第2ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能であると共に、前記第2ミラー電流源が前記第1ミラー電流回路からのミラー電流を生成可能である。
【0009】
このデジタルアナログ変換器によれば、電流切り替え回路の各々では、デコード信号のいずれか1つに応答するスイッチ回路が、当該電流切り替え回路の第1ミラー電流源及び第2ミラー電流
源がD/A出力におけるアナログ信号の値に寄与するか否かを特定する。電流切り替え回路において、第1ミラー電流源は、第1ミラー電流回路及び第2ミラー電流回路の一方からのミラー電流を提供すると共に、第2ミラー電流源は、第1ミラー電流回路及び第2ミラー電流回路の他方からのミラー電流を提供する。第1ミラー電流回路は、加算電流を受け、第2ミラー電流回路は、シフト電流を受ける。電流切り替え回路の各々は、当該電流切り替え回路へのデコード信号に応答して、単位電流を放出し又は吸い込むことのいずれかの寄与を為す。D/A出力は、電流切り替え回路のうちの複数の回路からの寄与を受ける。
【0010】
単位電流は、電圧-電流変換回路に与えられる電圧信号が可変又は固定のいずれの場合でも、該電圧信号に応じた電流に関連付けられる。
【0011】
また、このデジタルアナログ変換器は、電流切り替え回路にキャパシタ及び抵抗器を必須のものとして求めない。
【0012】
一群の電流切り替え回路では、各電流切り替え回路の第1ミラー電流源は、加算電流を提供する。第2ミラー電流源は、シフト電流を提供する。第1ミラー電流源と第2ミラー電流回路との電流差によって、該電流切り替え回路は、シフト電流を基準にして、単位電流の加算にとしてD/A出力におけるアナログ電圧へ寄与する。
【0013】
別群の電流切り替え回路では、各電流切り替え回路の第1ミラー電流源は、シフト電流を提供する。第2ミラー電流回路は、加算電流を提供する。第1ミラー電流源と第2ミラー電流回路との電流差によって、該電流切り替え回路は、シフト電流を基準にして、単位電流の減算にとしてD/A出力におけるアナログ電圧へ寄与する。
【0014】
第1形態に係るデジタルアナログ変換器では、前記スイッチ回路は、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を含み、前記第1スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と前記高電位電源線との間に前記第1ミラー電流源と直列に接続され、前記第2スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と前記低電位電源線との間に前記第2ミラー電流源と直列に接続される。
【0015】
このデジタルアナログ変換器によれば、第1ミラー電流源に直列して接続された第1スイッチ素子は、第1ミラー電流源を基準に出力に近く又は高電位電源線に近くに配置されることができる。また、第2ミラー電流源に直列して接続された第2スイッチ素子は、第2ミラー電流源を基準に出力に近く又は低電位電源線に近くに配置されることができる。
【0016】
第1形態に係るデジタルアナログ変換器は、前記D/A出力に接続された出力回路を更に備え、前記出力回路は、電流-電圧変換回路を含み、前記電流-電圧変換回路は、前記デジタルアナログ変換回路の前記D/A出力に接続された負入力、及び基準電圧源からの基準電圧を提供する基準電圧線に接続される正入力を有する演算増幅器と、前記演算増幅器の前記負入力と前記演算増幅器の出力とを接続する抵抗器とを有する。
【0017】
このデジタルアナログ変換器によれば、簡易な構成により電流-電圧変換回路を提供でき、電流-電圧変換回路は、デジタルアナログ変換回路からの電流を出力できる。
【0018】
第1形態に係るデジタルアナログ変換器では、前記電流切り替え回路の各々における前記第1ミラー電流源及び前記第2ミラー電流源は、当該電流切り替え回路の前記第1ミラー電流源及び前記第2ミラー電流源が前記D/A出力におけるアナログ信号の値に寄与しない場合において、前記基準電圧源からの基準電圧を提供する基準電圧線に接続されることができる。
【0019】
このデジタルアナログ変換器によれば、デジタルアナログ変換回路のD/A出力におけるグリッチを低減できる。
【0020】
第1形態に係るデジタルアナログ変換器では、前記スイッチ回路は、第1スイッチ素子、第2スイッチ素子、第3スイッチ素子、第4スイッチ素子、及び前記基準電圧線に接続される参照入力を更に含み、前記第1スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と前記高電位電源線との間に、前記第1ミラー電流源に直列に接続され、前記第2スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記出力と前記低電位電源線との間に、前記第2ミラー電流源に直列に接続され、前記第3スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記参照入力と前記高電位電源線との間に、前記第1ミラー電流源に直列に接続され、前記第4スイッチ素子は、当該電流切り替え回路の前記参照入力と前記低電位電源線との間に、前記第2ミラー電流源に直列に接続され、前記第1スイッチ素子及び前記第4スイッチ素子は、第1切り替え信号を受け、前記第2スイッチ素子及び前記第3スイッチ素子は、第2切り替え信号を受け、前記第1切り替え信号は、前記第2切り替え信号の相補信号である。
【0021】
このデジタルアナログ変換器によれば、2組のスイッチが、2本の切り替え信号により開閉される。
【0022】
本発明の第2態様に係るデジタルアナログ変換器回路は、第1態様のいずれかの一つに記載された第1デジタルアナログ変換器と、第1態様のいずれかの一つに記載された第2デジタルアナログ変換器と、前記第1デジタルアナログ変換器の前記D/A出力及び前記第2デジタルアナログ変換器の前記D/A出力に接続された出力回路と、を備える。
【0023】
このデジタルアナログ変換器回路によれば、出力回路の入力において、複数のデジタルアナログ変換器のD/A出力が接続される。この接続によれば、複数のデジタルアナログ変換器のうちの第1デジタルアナログ変換器からの電流及び第2デジタルアナログ変換器からの電流の加算又は減算といった演算が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の上記の態様によれば、デジタルアナログ変換回路の出力における電流供給能力の自由度に優れたデジタルアナログ変換回路、及びデジタルアナログ変換器回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本実施の形態に係るデジタルアナログ変換器を概略的に示す図面である。
図2図2は、加算電流及びシフト電流のうちのシフト電流を受けるミラー電流回路を示す回路図である。
図3図3は、加算電流及びシフト電流のうちの加算電流を受けるミラー電流回路を示す回路図である。
図4図4は、シフト電流の生成のための電圧源回路の一例を示す回路図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、電流切り替え回路の具体例を示す回路図である。
図6図6は、本実施の形態に係るデジタルアナログ変換回路の電圧-電流変換回路の例示を示す回路図である。
図7図7は、本実施の形態に係るデジタルアナログ変換回路のD/A出力に接続される電流-電圧変換回路の例示を示す回路図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、本実施の形態に係る別の電流切り替え回路の例示を示す回路図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係るデジタルアナログ変換器回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係るデジタルアナログ変換器を概略的に示す図面である。
【0028】
デジタルアナログ変換器11は、デジタル値(例えば、nビット)を有するデジタル信号Sdgtを受けて、該デジタル信号Sdgtに対応するアナログ信号Sangを提供する。
【0029】
デジタルアナログ変換器11は、電圧信号Vsigを受けて該電圧信号Vsigに応じた電流を生成する第1回路15と、シフト電流Idcを生成するシフト電流源17と、電流源回路20と、デジタルアナログ変換回路23を備える。第1回路15は、電圧信号Vsig(V+、V-)を受ける入力15aと、該電圧信号Vsigに応じた電流Iinを提供する出力15bとを有しており、第1回路15は、例えば電圧-電流変換回路であることができる。
【0030】
デジタルアナログ変換器11は、デコーダ25を更に含む。デコーダ25は、デジタル値(例えば、nビット)を有するデジタル信号Sdgtを受けて複数のデコード信号Sdecを提供する。
【0031】
電流源回路20は、第1ミラー電流回路19及び第2ミラー電流回路21を含む。デジタルアナログ変換回路23は、複数の入力23b、23c、23d、23eを含む。これらの入力23b、23c、23d、23eは、第1ミラー電流回路19及び第2ミラー電流回路21に接続される。また、デジタルアナログ変換回路23は、D/A出力23aを有する。D/A出力23aは、デジタル信号Sdgtに対応するアナログ信号Sangを生成する。
【0032】
具体的には、第1ミラー電流回路19は、第1回路15からの電流Iinをシフト電流Idcに加算した加算電流Iadd及びシフト電流Idcのいずれか一方、本実施例ではシフト電流Idcを受ける。第2ミラー電流回路21は、加算電流Iadd及びシフト電流Idcのいずれか他方、本実施例では加算電流Iaddを受ける。
【0033】
デジタルアナログ変換回路23は、複数の電流切り替え回路29を含む。電流切り替え回路29の各々は、D/A出力23aに接続された出力29a、第1ミラー電流源29b、及び第2ミラー電流源29cを含む。第1ミラー電流源29bは、第1ミラー電流回路19又は第2ミラー電流回路21のいずれか一方からのミラー電流を提供する。第2ミラー電流源29cは、第1ミラー電流回路19又は第2ミラー電流回路21のいずれか他方からのミラー電流を提供する。
【0034】
電流切り替え回路29の各々は、スイッチ回路31を更に含む。スイッチ回路31は、をデコード信号Sdecのうちの1つを受ける。スイッチ回路31は、受けたデコード信号Sdecに応答して、当該電流切り替え回路29の第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cがD/A出力23aにおけるアナログ信号Sangの値に寄与するか否か、を規定する。
【0035】
電流切り替え回路29の各々において、第1ミラー電流源29bは、当該電流切り替え回路29の出力29aと高電位電源線VHLとの間に電気的に接続される。第2ミラー電流源29cは、当該電流切り替え回路29の出力29aと低電位電源線VLLとの間に電気的に接続される。
【0036】
デジタルアナログ変換器11は、デジタルアナログ変換回路23のD/A出力23aに接続された入力16aを有する出力回路16を更に備える。出力回路16は、例えば、D/A出力23aにおける電流に応じた電圧信号Voutを生成することができる。この電圧信号は、出力12に提供される。
【0037】
電流切り替え回路29の各々では、第1ミラー電流源29bは、第1ミラー電流回路19及び第2ミラー電流回路21の一方からのミラー電流を提供する。また、第2ミラー電流源29cは、第1ミラー電流回路19及び第2ミラー電流回路21の他方からのミラー電流を提供する。具体的には、ある電流切り替え回路29では、第1ミラー電流源29bが第1ミラー電流回路19からのミラー電流を提供すると共に第2ミラー電流源29cが第2ミラー電流回路21からのミラー電流を提供する。また、別の電流切り替え回路29では、第1ミラー電流源29bが第2ミラー電流回路21からのミラー電流を提供すると共に第2ミラー電流源29cが第1ミラー電流回路19からのミラー電流を提供する。例えば、第1ミラー電流回路19は、加算電流Iaddを受け、第2ミラー電流回路21は、シフト電流Idcを受ける。
【0038】
電流切り替え回路29の各々は、当該電流切り替え回路29へのデコード信号Sdecに応答して、単位電流I0の供給又は吸い出しのいずれかの寄与を為す。D/A出力23aは、電流切り替え回路29からの寄与を受ける。
【0039】
また、このデジタルアナログ変換器11は、デジタル値をアナログ値に変換するための素子として、電流切り替え回路29にキャパシタ及び抵抗器を求めない。
【0040】
図2は、加算電流Iadd及びシフト電流Idcのうちのシフト電流Idcを受けるミラー電流回路、つまり第1ミラー電流回路19の回路図を示す。図3は、加算電流Iadd及びシフト電流Idcのうちの加算電流Iaddを受けるミラー電流回路、つまり第2ミラー電流回路21の回路図を示す。引き続いて説明される回路は、MOS型トランジスタを用いるけれども、本実施の形態に係る回路は、MOS型トランジスタの使用に限定されず、例えばバイポーラ型トランジスタを含むことができ、更には、MOS型トランジスタ及びバイポーラ型トランジスタの両方を含むことができる。MOS型トランジスタは、ソース電極S、ドレイン電極D、ゲート電極Gを有する。ミラー電流回路は、ミラー比(例えば、トランジスタのサイズ比)を変更することによって、入力側のミラー電流をミラー比に応じて変更されたミラー電流を生成することができる。限定ではなく例示として、引き続く説明において、第1ミラー電流回路19及び第2ミラー電流回路21の各々のミラー比は1として設定される。
【0041】
図2を参照すると、一実施例に係るシフト電流源17が示される。シフト電流源17は、シフト電流Idcの生成のための電圧源回路18と、シフト電流Idcのミラー電流を生成する第1導電型(例えば、p型)のトランジスタMPCS1、MPCS2と、第1電流出力17aと、第2電流出力17bとを含む。第1電流出力17aは、トランジスタMPCS1のドレイン電極Dに接続されシフト電流Idcを提供する。第2電流出力17bは、トランジスタMPCS2のドレイン電極Dに接続されシフト電流Idcを提供する。
トランジスタMPC1のゲート電極G及びトランジスタMPC2のゲート電極Gは、電圧源回路18の出力18aに接続されて、電圧源回路18内のトランジスタと電流ミラー回路を構成する。
【0042】
第1ミラー電流回路19は、第1電流出力17aからのシフト電流Idcを受ける電流入力19a、第1電圧出力19b、及び第2電圧出力19cを有する。電流入力19aからのシフト電流Idcは、ミラー電流回路MR19aに入力され、このミラー電流回路MR19aは、トランジスタMNC11及びトランジスタMNC12を含む。具体的には、ミラー電流回路MR19aでは、第2導電型(例えば、n型。ここで第1導電型は第2導電型と異なる)のトランジスタMNC11は、シフト電流Idcをドレイン電極Dに受ける。トランジスタMNC11のドレイン電極Dは、トランジスタMNC11のゲート電極Gに接続される。トランジスタMNC11のドレイン電極D及びゲート電極Gは、トランジスタMNC12のゲート電極Gに接続される。トランジスタMNC11のゲート電極Gは、第1電圧出力19bに接続される。
【0043】
ミラー電流回路MR19aは、ミラー電流出力回路MR19bに接続される。ミラー電流出力回路MR19bでは、トランジスタMPC11のドレイン電極Dは、トランジスタMNC12のドレイン電極Dに接続される。トランジスタMPC11のドレイン電極Dは、トランジスタMPC11のゲート電極Gに接続される。トランジスタMPC11のゲート電極Gは、第2電圧出力19cに接続される。
【0044】
ミラー電流回路MR19a及びミラー電流出力回路MR19bは、それぞれ、ミラー電流を生成可能な電圧信号を第1電圧出力19b及び第2電圧出力19c上に提供する。具体的には、第1ミラー電流回路19は、第1電圧出力19b上の電圧信号VM1Nを受けるゲート電極を有するトランジスタが、シフト電流Idcを生成する電流源として機能することを可能にする。また、第1ミラー電流回路19は、第2電圧出力19c上の電圧信号VM1Pを受けるゲート電極を有するトランジスタが、シフト電流Idcを生成する電流源として機能することを可能にする。
【0045】
図3を参照すると、第2ミラー電流回路21は、第1回路15の出力及び第2電流出力17aからの加算電流Iaddを受ける電流入力21a、第1電圧出力21b、及び第2電圧出力21cを有する。電流入力21aからの加算電流Iaddは、ミラー電流回路MR21aに入力され、このミラー電流回路MR21aは、トランジスタMNC21及びトランジスタMNC22を含む。具体的には、ミラー電流回路MR21aでは、トランジスタMNC21は、加算電流Iaddをドレイン電極Dに受ける。トランジスタMNC21のドレイン電極Dは、トランジスタMNC21のゲート電極G及びトランジスタMNC22のゲート電極Gに接続される。トランジスタMNC21のゲート電極Gは、第1電圧出力21bに接続される。
【0046】
ミラー電流回路MR21aは、ミラー電流出力回路MR21bに接続される。ミラー電流出力回路MR21bでは、トランジスタMPC21のドレイン電極Dは、トランジスタMNC22のドレイン電極Dに接続される。トランジスタMPC21のドレイン電極Dは、トランジスタMPC21のゲート電極Gに接続される。トランジスタMPC21のゲート電極Gは、第2電圧出力21cに接続される。
【0047】
ミラー電流回路MR21a及びミラー電流出力回路MR21bは、それぞれ、ミラー電流を生成可能な電圧信号を第1電圧出力21b及び第2電圧出力21c上に提供する。具体的には、第2ミラー電流回路21は、第1電圧出力21b上の電圧信号VM2Nを受けるゲート電極を有するトランジスタが、加算電流Iaddを生成する電流源として機能することを可能にする。また、第2電圧出力21c上の電圧信号VM2Pを受けるゲート電極を有するトランジスタが、加算電流Iaddを生成する電流源として機能することを可能にする。
【0048】
図4は、シフト電流Idcのための電圧源回路18の一例を示す。電圧源回路18は、定電流Idc0を生成する電流源回路18aを有しており、必要な場合には、電流源回路18aの電流値を規定する電圧参照値Vref0を受ける電圧入力18dを有することができる。
【0049】
電流源回路18aからの定電流Idc0は、ミラー電流回路MR17aに入力され、ミラー電流回路MR17aは、トランジスタMNC31及びトランジスタMNC32を含む。具体的には、ミラー電流回路MR17aでは、トランジスタMNC31は、電流Idc0をドレイン電極Dに受ける。トランジスタMNC31のドレイン電極Dは、トランジスタMNC31のゲート電極G及びトランジスタMNC31のドレイン電極Dは、トランジスタMNC32のゲート電極Gに接続される。トランジスタMNC32のゲート電極Gは、シフト電流Idc0を流すトランジスタMNC31のゲート電極G及びドレイン電極Dに接続される。
【0050】
ミラー電流回路MR17aは、ミラー電流出力回路MR17bに接続される。ミラー電流出力回路MR17bは、トランジスタMPC31を含む。具体的には、トランジスタMPC21は、電流Idc0をドレイン電極Dに受ける。トランジスタMPC31のドレイン電極Dは、トランジスタMPC31のゲート電極Gに接続される。トランジスタMPC31のゲート電極Gは、電圧出力18bに接続される。
【0051】
電圧源回路18は、電圧出力18b上にミラー電流を生成可能な電圧信号を提供する。具体的には、電圧源回路18は、電圧出力18b上の電圧信号VM3Pを受けるゲート電極を有するトランジスタがシフト電流Idcを生成する電流源として機能することを可能にする。
【0052】
シフト電流源17では、トランジスタMPCS1、MPCS2が電圧源回路18の電圧出力18bに接続されて、電圧信号VM3Pを受ける。
【0053】
再び図1を参照すると、複数の電流切り替え回路29は、一群の複数の電流切り替え回路29pと別群の複数の電流切り替え回路29nとを含むことができる。
【0054】
図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、電流切り替え回路29p及び電流切り替え回路29nの例示を示す。
【0055】
一群の電流切り替え回路29pでは、第1ミラー電流源29bが加算電流Iaddのための電圧信号VM2Pを受けると共に第2ミラー電流源29cがシフト電流Idcのための電圧信号VM1Nを受ける。
【0056】
このデジタルアナログ変換器11では、一群は、複数の電流切り替え回路29pを含む。具体的には、該電流切り替え回路29pの第1ミラー電流源29bは、該電流切り替え回路29pの出力29aと高電位電源線VHLとの間に電気的に接続される。また、第2ミラー電流源29cは、該電流切り替え回路29pの出力29aと低電位電源線VLLとの間に電気的に接続される。第1ミラー電流源29bは、加算電流Iaddを生成すると共に、第2ミラー電流源29cは、シフト電流Idcを生成する。第1ミラー電流源29bと第2ミラー電流源29cとの電流差によって、該電流切り替え回路29pが、シフト電流Idcを基準にして、デジタル信号の1/2ビット分の単位電流I0の加算にとしてD/A出力23aにおけるアナログ信号へ寄与する。
【0057】
別群の電流切り替え回路29nでは、第1ミラー電流源29bがシフト電流Idcのための電圧信号VM1Pを受けると共に第2ミラー電流源29cが加算電流Iaddのための電圧信号VM2Nを受ける。
【0058】
このデジタルアナログ変換器11によれば、別群は、複数の電流切り替え回路29nを含む。具体的には、該電流切り替え回路29nの第1ミラー電流源29bは、該電流切り替え回路29nの出力29aと高電位電源線VHLとの間に電気的に接続される。また、第2ミラー電流源29cは、該電流切り替え回路29nの出力29aと低電位電源線VLLとの間に電気的に接続される。第1ミラー電流源29bは、シフト電流Idcを提供すると共に、第2ミラー電流源29cは、加算電流Iaddを提供する。第1ミラー電流源29bと第2ミラー電流源29cとの電流差によって、該電流切り替え回路29nは、シフト電流Idcを基準にして、デジタル信号の1/2ビット分の単位電流I0の減算にとしてD/A出力23aにおけるアナログ信号へ寄与する。
【0059】
電流切り替え回路29p及び電流切り替え回路29nの各々において、スイッチ回路31は、電流切り替え回路29p及び電流切り替え回路29nにおいて、第1状態、及び第2状態を生成するように構成される。第1状態では、第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cの両方からの電流差分が出力29aに現れる。第2状態では、第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cの両方からの電流が出力29aに現れない。
【0060】
図5(a)及び図5(b)の例示は、スイッチ回路31が、高電位電源線VHL及び低電位電源線VLLを基準にして第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cより内側に(出力29aの近くに)接続される。しかしながら、スイッチ回路31は、第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cを基準して外側に(高電位電源線VHL及び低電位電源線VLLの近くに)接続されることができる。
【0061】
図5(a)及び図5(b)を参照しながら、電流切り替え回路29p及び電流切り替え回路29nのそれぞれを具体的に説明する。
【0062】
図5(a)に示される電流切り替え回路29pでは、第1ミラー電流源29bは、ゲート電極Gに電圧信号VM2P(ミラー電流電圧)を受けるp型トランジスタMSPP1を含む。スイッチ回路31は、p型トランジスタMSPP1に直列して接続されるp型トランジスタMSPP2を含む。例えば、p型トランジスタMSPP2は、p型トランジスタMSPP1を基準に外側(高電位電源線VHLに近く)に、或いは内側(出力29aに近く)に配置されることができる。
【0063】
また、第2ミラー電流源29cは、ゲート電極Gに電圧VM1N(ミラー電流電圧)を受けるn型トランジスタMSPN1を含む。スイッチ回路31は、n型トランジスタMSPN1に直列して接続されるn型トランジスタMSPN2を含む。例えば、n型トランジスタMSPN2は、n型トランジスタMSPN1を基準に外側(低電位電源線VLLに近く)に、或いは内側(出力29aの近く)に配置されることができる。
【0064】
電流切り替え回路29pにおいて、スイッチ回路31の第1状態では、スイッチ回路31内のトランジスタMSPP2、MSPN2のゲート電極Gには、トランジスタMSPP2及びトランジスタMSPN2を共に導通させるそれぞれの信号が与えられる。また、スイッチ回路31の第2状態では、トランジスタMSPP2、MSPN2のゲート電極Gには、トランジスタMSPP2及びトランジスタMSPN2を共に非導通にさせるそれぞれの信号が与えられる。
【0065】
図5(b)に示される電流切り替え回路29nでは、第1ミラー電流源29bは、ゲート電極Gに電圧信号VM1P(ミラー電流電圧)を受けるp型トランジスタMSNP1を含む。スイッチ回路31は、p型トランジスタMSNP1に直列して接続されるp型トランジスタMSNP2を含む。例えば、p型トランジスタMSNP2は、p型トランジスタMSNP1を基準に外側(高電位電源線VHLに近く)に、或いは内側(出力29aに近く)に配置されることができる。
【0066】
また、第2ミラー電流源29cは、ゲート電極Gに電圧信号VM2N(ミラー電流電圧)を受けるn型トランジスタMSNN1を含む。スイッチ回路31は、n型トランジスタMSNN1に直列して接続されるn型トランジスタMSNN2を含む。例えば、n型トランジスタMSNN2は、n型トランジスタMSNN1を基準にして外側(低電位電源線VLLの近く)に、或いは内側(出力29aの近く)に配置されることができる。
【0067】
電流切り替え回路29nにおいて、スイッチ回路31の第1状態では、これらのトランジスタMSNP2及びトランジスタMSNN2のゲート電極Gに、トランジスタMSPN2及びトランジスタMSNN2を共に導通させるそれぞれの信号が与えられる。スイッチ回路31の第2状態では、これらのトランジスタMSNP2及びトランジスタMSNN2のゲート電極Gに、トランジスタMSNP2及びトランジスタMSNN2を共に非導通にさせるそれぞれの信号が与えられる。
【0068】
デジタルアナログ変換回路23には、デジタル信号Sdgtがnビットを有するとき、2n+1個の電流切り替え回路29が提供される。具体的には、電流切り替え回路29pの数が2個であり、電流切り替え回路29nの数が2個である。デコーダ25は、2本のデコード信号(デコード信号の値及びデコード信号の反転値)Sdecを生成する。
【0069】
デジタルアナログ変換回路23の変換動作を説明する。
【0070】
デジタル信号Sdgtが2ビット(n=2)であるとき、電流切り替え回路29pの数が4個であり、電流切り替え回路29nの数が4個である。電流切り替え回路29pが活性化されるとき、出力29aに単位電流I0が流れ込む。電流切り替え回路29nが活性化されるとき、出力29aから単位電流I0が吸い出される。
【0071】
2ビットのデジタル信号Sdgtの値は、例えば(00)、(10)、(01)及び(11)として記載される。アナログ値は、単位電流I0を用いて電流総和として記載される。
デジタル入力 活性化数(29n) 活性化数(29p) アナログ値(電流の総和)
(00) 4 1 -3×I0
(10) 3 2 -1×I0
(01) 2 2 +1×I0
(11) 1 4 +3×I0
【0072】
デコーダ25は、デジタル入力値(00)において4個の電流切り替え回路29nを活性化させると共に、1個の電流切り替え回路29pを活性化させる。デコーダ25は、デジタル入力値が(10)であるとき、3個の電流切り替え回路29nを活性化させると共に、2個の電流切り替え回路29pを活性化させる。デコーダ25は、デジタル入力値が(01)であるとき、2個の電流切り替え回路29nを活性化させると共に、3個の電流切り替え回路29pを活性化させる。デコーダ25は、デジタル入力値が(11)であるとき、1個の電流切り替え回路29nを活性化させると共に、4個の電流切り替え回路29pを活性化させる。
【0073】
デコーダ25の出力は、入力デジタル信号Sdgtの入力に応じて、4つの電流切り替え回路29n(具体的にはn1、n2、n3、n4)及び4つの電流切り替え回路29p(具体的にはp1、p2、p3、p4)の活性化(「ON」と記す)及び不活性化(「OF」と記す)を切り替えるように、例えば、以下のように生成される。
【0074】
デコーダ入力 電流切り替え回路29n 電流切り替え回路29p 電流総和
n1 n2 n3 n4 p1 p2 p3 p4
(00) ON ON ON ON ON OF OF OF -3×I0
(10) ON ON ON OF ON ON OF OF -1×I0
(01) ON ON OF OF ON ON ON OF +1×I0
(11) ON OF OF OF ON ON ON ON +3×I0
【0075】
デジタル信号Sdgtが3ビット(n=3)であるとき、電流切り替え回路29pの数が8個であり、電流切り替え回路29nの数が8個である。電流切り替え回路29pが活性化されるとき、D/A出力23aに単位電流I0が流れ込む。電流切り替え回路29nが活性化されるとき、D/A出力23aから単位電流I0が吸い出される。
【0076】
3ビットのデジタル信号Sdgtの値は、2ビットのデジタル信号Sdgtの類似の記載法に従って例えば(000)、(100)、(101)・・・及び(111)として記載される。
デジタル入力 活性化数(29n) 活性化数(29p) アナログ値(電流の総和)
(000) 8 1 -7×I0
(100) 7 2 -5×I0
(010) 6 3 -3×I0
(110) 5 4 -1×I0
(001) 4 5 +1×I0
(101) 3 6 +3×I0
(011) 2 7 +5×I0
(111) 1 8 +7×I0
【0077】
デコーダ入力と8個の電流切り替え回路29p(p1~p8)の活性化との関係を示す。
デコーダ入力 電流切り替え回路29p 電流総和
p1 p2 p3 p4 p5 p6 p7 p8
(000) OF OF OF OF OF OF OF ON -7×I0
(100) OF OF OF OF OF OF ON ON -5×I0
(010) OF OF OF OF OF ON ON ON -3×I0
(110) OF OF OF OF ON ON ON ON -1×I0
(001) OF OF OF ON ON ON ON ON +1×I0
(101) OF OF ON ON ON ON ON ON +3×I0
(011) OF ON ON ON ON ON ON ON +5×I0
(111) ON ON ON ON ON ON ON ON +7×I0
【0078】
デコーダ入力と8個の電流切り替え回路29n(n1~n8)の活性化との関係を示す。
デコーダ入力 電流切り替え回路29n 電流総和
n1 n2 n3 n4 n5 n6 n7 n8
(000) ON ON ON ON ON ON ON ON -7×I0
(100) ON ON ON ON ON ON ON OF -5×I0
(010) ON ON ON ON ON ON OF OF -3×I0
(110) ON ON ON ON ON OF OF OF -1×I0
(001) ON ON ON ON OF OF OF OF +1×I0
(101) ON ON ON OF OF OF OF OF +3×I0
(011) ON ON OF OF OF OF OF OF +5×I0
(111) ON OF OF OF OF OF OF OF +7×I0
【0079】
上記の説明から、デジタル入力値の任意の変化に対して、活性化させる電流切り替え回路29pの数、及び活性化させる電流切り替え回路29nの数が理解される。
【0080】
上記の説明から、デジタル信号Sdgtがnビットであるとき、電流切り替え回路29pの数が2個であり、電流切り替え回路29nの数が2個である。デコーダ25は、活性化される電流切り替え回路29pの数と活性化される電流切り替え回路29nの数の和が2個であるように、現在のデジタル入力に応じて、活性化される電流切り替え回路29pの数及び活性化される電流切り替え回路29nの数を変更する。いずれのデジタル入力においても、少なくとも1つの電流切り替え回路29nが活性化されており、また少なくとも1つの電流切り替え回路29nが活性化されている。これにより、LSBビットの生成が容易になる。また、D/A出力23aが高いインピーダンス状態にならない。
【0081】
図6は、本実施の形態に係るデジタルアナログ変換器11の電圧-電流変換回路の例示を示す回路図である。第1回路15は、例えば電圧-電流変換回路35を含むことができる。電圧-電流変換回路35は、出力15bに接続された出力35a、並びに入力15aに接続された正入力35b及び負入力35cを有する。
【0082】
電圧-電流変換回路35は、電圧信号V+、V-(Vsig)を受けると共に該電圧信号の差(V+、V-)に応じた電流Iinを発生する。電圧-電流変換回路35の正入力35b及び負入力35cに、それぞれ、V+、V-が与えられると、電圧-電流変換回路35は、電流Iinを生成して、この電流Iinは、シフト電流Idcにワイヤード回路(導電線の接続)において加算されて、加算電流Iaddを生成する。例えば、電圧-電流変換回路35の正入力35b及び負入力35cに、それぞれ、V-、V+が与えられると、電圧-電流変換回路35は、電流-Iinを生成して、この電流-Iinは、シフト電流Idcにワイヤード回路(導電線の接続)において加算される。電流「+Iin」及び「-Iin」のいずれにおいても、ワイヤード回路(加算回路)の出力を加算電流Iaddとして参照する。シフト電流Idcの電流値は、電圧-電流変換回路35(第1回路15)の電流Iinの絶対値より大きい。
【0083】
電圧-電流変換回路35は、演算増幅器37、第1抵抗器39、第2抵抗器41、第3抵抗器43、第4抵抗器45、及び第5抵抗器47を有する。演算増幅器37は、出力37a、正入力37b及び負入力37cを有する。演算増幅器37の正入力37b及び負入力37cは、それぞれ、第2抵抗器41及び第3抵抗器43を介して正入力35b及び負入力35cに接続される。第4抵抗器45が、出力37aと正入力37bとの間に接続される。出力37aは、第5抵抗器47を介して出力35aに接続される。第1抵抗器39が、出力35aと正入力37bとの間に接続される。
【0084】
図7は、本実施の形態に係るデジタルアナログ変換回路のD/A出力に接続される電流-電圧変換回路を示す回路図である。
【0085】
出力回路16は、電流-電圧変換回路51を含むことができる。電流-電圧変換回路51は、入力に受けた電流に応じた電圧を生成する。電流-電圧変換回路51は、第1入力51a、第2入力51b、及び出力51c、並びに演算増幅器53及び抵抗器55を有する。演算増幅器53は、出力53a、正入力53b及び負入力53cを有する。演算増幅器53の正入力53bは、第1入力51aを介して基準電圧源57に接続されて、基準電位VRを受ける。抵抗器55が、演算増幅器53の出力53aと負入力53cとの間に接続される。演算増幅器53の負入力53cは、第2入力51bを介してD/A出力23aに接続される。D/A出力23aは、抵抗器55を介して演算増幅器53の出力53aに接続される。演算増幅器53の出力53aは、出力51aに接続される。この実施例では、負入力53c(D/A出力23a)の電位は、帰還された演算増幅器53の働きにより、安定状態では基準電位VRになる。
【0086】
このデジタルアナログ変換器11によれば、簡易な構成により電流-電圧変換回路51を提供でき、電流-電圧変換回路51は、デジタルアナログ変換回路23に係る電流を出力できる。演算増幅器53は、出力51cに電圧信号Voutを生成する。
【0087】
図8(a)及び図8(b)は、それぞれ、本実施の形態に係る別の電流切り替え回路、具体的には、電流切り替え回路29pp及び電流切り替え回路29nnの例示を示す。一群の電流切り替え回路29ppでは、電流切り替え回路29pと同じく、第1ミラー電流源29bが加算電流Iaddを受けると共に第2ミラー電流源29cがシフト電流Idcを受ける。また、別群の電流切り替え回路29では、電流切り替え回路29nと同じく、第1ミラー電流源29bがシフト電流Idcを受けると共に第2ミラー電流源29cが加算電流Iaddを受ける。
【0088】
電流切り替え回路29pp及び電流切り替え回路29nnの各々は、単一の出力を有するスイッチ回路31に替えて、スイッチ回路32を有する。スイッチ回路32は、スイッチ回路31と、追加の出力を提供する別のスイッチ回路(追加のトランジスタ)とを含む。別のスイッチ回路は、スイッチ回路31が導通するときに非導通になり、スイッチ回路31が非導通になるときに導通になる。
【0089】
図8(a)を参照すると、電流切り替え回路29ppでは、スイッチ回路32は、電流切り替え回路29pのスイッチ回路31のスイッチ素子に加えて、別のスイッチ回路のためにp型トランジスタMSPP3及びn型トランジスタMSPN3を更に含む。
【0090】
図8(b)を参照すると、電流切り替え回路29nnでは、スイッチ回路32は、電流切り替え回路29nのスイッチ回路31に加えて、別のスイッチ回路のためにp型トランジスタMSNP3及びn型トランジスタMSNN3を更に含む。
【0091】
電流切り替え回路29pp及び電流切り替え回路29nnの各々において、スイッチ回路32は、第1状態及び第2状態を生成するように構成される。第1状態では、第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cの両方が出力29aに接続されると共に基準電位VR(基準電圧源57)から切り離される。第2状態では、第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cの両方が出力29aから切り離されて基準電位VR(基準電圧源57)に接続される
【0092】
スイッチ回路32は、スイッチ回路31と同じく、2本のデコード信号を受ける。電流切り替え回路29ppでは、p型トランジスタMSPP3及びn型トランジスタMSPN2は、それぞれのゲート電極Gに2本のデコード信号のうちの一方を受ける。また、p型トランジスタMSPP2及びn型トランジスタMSPN3は、それぞれのゲート電極Gに2本のデコード信号のうちの他方を受ける。電流切り替え回路29nnでは、電流切り替え回路29ppでは、p型トランジスタMSNP3及びn型トランジスタMSNN2は、それぞれのゲート電極Gに2本のデコード信号のうちの一方を受ける。また、p型トランジスタMSNP2及びn型トランジスタMSNN3は、それぞれのゲート電極Gに2本のデコード信号のうちの他方を受ける。一方のデコード信号は、他方のデコード信号の相補信号である。
【0093】
電流切り替え回路29pp、29nnの各々では、当該電流切り替え回路のミラー電流源29b、29cがD/A出力23aにおけるアナログ信号の値に寄与しない場合、第1ミラー電流源29b及び第2ミラー電流源29cが、基準電圧源57に接続される。このデジタルアナログ変換器11によれば、デジタルアナログ変換回路23のD/A出力23aにおけるグリッチを低減できる。
【0094】
図9は、本発明の実施の形態に係るデジタルアナログ変換器回路の一例を示す回路図である。
【0095】
デジタルアナログ変換器回路36は、本発明の実施の形態に係るデジタルアナログ変換器(例えば、デジタルアナログ変換器11a、デジタルアナログ変換器11b、デジタルアナログ変換器11c)を含む。デジタルアナログ変換器回路36は、これらのデジタルアナログ変換器11a、11b、11cの各デジタルアナログ変換回路23のD/A出力23aに接続された出力回路16を含む。デジタルアナログ変換器11a、11b、11cは、それぞれ、デジタル信号Sdgt1、Sdgt2、Sdgt3を受ける。
【0096】
この接続によれば、第1デジタルアナログ変換器11aから電流、第2デジタルアナログ変換器11bの電流、及び第3デジタルアナログ変換器11cの電流の加算及び/又は減算といった演算が可能になる。
【0097】
デジタルアナログ変換器11の説明から理解されるように、デジタルアナログ変換器11a、11b、11cの各々には、電圧-電流変換回路35が設けられる。この電圧-電流変換回路35は、電圧信号V+、V-(Vsig)を受けると共に該電圧信号の差(V+、V-)に応じた電流Iinを発生する。電圧-電流変換回路35の正入力35b及び負入力35cに、それぞれ、V+、V-が与えられると、電圧-電流変換回路35は、電流Iinを生成して、この電流Iinは、シフト電流Idcにワイヤード回路(導電線の接続)において加算される。例えば、電圧-電流変換回路35の正入力35b及び負入力35cに、それぞれ、V-、V+が与えられると、電圧-電流変換回路35は、電流-Iinを生成する。
【0098】
具体的には、デジタルアナログ変換器11a、11b、11cは、それぞれの電圧信号Vsig11a、Vsig11b、Vsig11cを受ける。これに従って、デジタルアナログ変換器11a、11b、11cは、それぞれ、電流Iin11a、Iin11b、Iin11cを生成する。電圧信号Vsig1、Vsig2、Vsig3が互いに異なるとき、生成電流Iin1、Iin2、Iin3も互いに異なる。デジタルアナログ変換器11a、11b、11cは、それぞれのD/A出力に、電流Iin1、Iin2、Iin3に応じた加算電流を生成する。これらの電流は、出力回路16の入力においてワイヤード回路(導電線の接続)において演算される。
【0099】
出力回路16は、例えば、電流-電圧変換回路51を含むことができる。電流-電圧変換回路51は、演算された総和電流を電圧信号に変換する。
【0100】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0101】
11、11a、11b、11c・・・デジタルアナログ変換器、15・・・第1回路、
15a・・・入力、15b・・・出力、16・・・出力回路、17・・・シフト電流源、17a・・・電流出力、17b・・・電流出力、18・・・電圧源回路、18a・・・電流源回路、18b・・・電圧出力、18d・・・電圧入力、19・・・ミラー電流回路、19a・・・電流入力、19b、19c・・・電圧出力、20・・・電流源回路、21・・・ミラー電流回路、21a・・・電流入力、21b、21c・・・電圧出力、23・・・デジタルアナログ変換回路、23a・・・D/A出力、25・・・デコーダ、29、29n、29nn、29p、29pp・・・切り替え回路、29a・・・出力、29b、29c・・・ミラー電流源、31、32・・・スイッチ回路、35・・・電圧-電流変換回路、35a・・・出力、35b・・・正入力、35c・・・負入力、36・・・デジタルアナログ変換器回路、37・・・演算増幅器、37a・・・出力、37b・・・正入力、37c・・・負入力、39、41、43、45、47・・・抵抗器、51・・・電流-電圧変換回路、51a、51b・・・入力、51c・・・出力、53・・・演算増幅器、53a・・・出力、53b・・・正入力、53c・・・負入力、55・・・抵抗器、57・・・基準電圧源、D・・・ドレイン電極、G・・・ゲート電極、S・・・ソース電極、I0・・・単位電流、Iadd・・・加算電流、Idc0・・・定電流、Idc・・・シフト電流、Iin・・・電流、MNC11、MNC12、MNC21、MNC22、MNC31、MNC32、MPC11、MPC21、MPC31、MPCS1、MPCS2、MSNN1、MSNN2、MSNP1、MSNP2、MSNP3、MSPN1、MSPN2、MSPN2、MSPN3、MSPP1、MSPP2、MSPP2、MSPP3・・・トランジスタ、MR17a、MR17b、MR19a、MR21a・・・ミラー電流回路、MR19b、MR21b・・・ミラー電流出力回路、Sang・・・アナログ信号、Sdec・・・デコード信号、Sdgt・・・デジタル信号、Vout・・・電圧信号、VHL・・・高電位電源線、VLL・・・低電位電源線、VM1N、VM1P、VM2N、VM2P、VM3P・・・電圧信号、VR・・・基準電位、Vref0・・・電圧参照値、Vsig・・・電圧信号、Vsig1、Vsig2、Vsig3・・・電圧信号。
図1
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図9