IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

特開2023-51419位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法
<>
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図1
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図2
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図3
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図4
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図5
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図6A
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図6B
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図6C
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図6D
  • 特開-位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051419
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
E02D27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162067
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】島袋 孝博
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA03
(57)【要約】
【課題】建物の基礎を施工するにあたって、柱の芯位置を容易に確認することが可能な位置確認治具を提供する。
【解決手段】位置決め治具30は、基礎コンクリートに複数のアンカーボルトF2を突出させた状態で埋設するためのアンカー吊り下げ治具20の上部に取り付けられ、複数のアンカーボルトF2によって支持される柱の芯位置を確認するための治具である。位置決め治具30は、柱の芯位置となる部分を通過し、上面視において複数のアンカーボルトのうち、第1アンカーボルトF2A及び第2アンカーボルトF2Bを連結するように延びている第1延出部31と、柱の芯位置となる部分において第1延出部31と連結され、第1延出部31の延出方向とは交差する方向に延出し、上面視において第1延出部31及び第3アンカーボルトF2Cを連結するように延びている第2延出部32と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎コンクリート上に複数のアンカーボルト及び柱支持具を一部埋設させた状態で設置する際に用いられ、前記基礎コンクリート上において前記柱の芯位置となる部分に前記柱支持具を設置するための位置決め治具であって、
前記位置決め治具は、
前記基礎コンクリート上に複数のアンカーボルトを設置するためのアンカー吊り下げ治具に取り付けられ、前記柱の芯位置となる部分を通るように設けられた位置合わせ部材と、
前記位置合わせ部材に取り付けられ、前記位置合わせ部材のうち、前記柱の芯位置となる部分に前記柱支持具を下方へ取り外し可能となるように吊り下げる吊り下げ部材と、を備えていることを特徴とする位置決め治具。
【請求項2】
前記位置合わせ部材は、前記アンカー吊り下げ治具に架設される金属製の部材であって、
前記吊り下げ部材は、
永久磁石又は永久磁石を有する部材であって、
前記位置合わせ部材のうち、前記柱の芯位置となる部分の底面に取り付けられ、前記位置合わせ部材及び金属製の前記柱支持具の上下方向の間に介在していることを特徴とする請求項1に記載の位置決め治具。
【請求項3】
前記位置合わせ部材は、前記位置合わせ部材のうち前記柱の芯位置となる部分に上下方向に貫通した貫通孔を有する金属製の位置合わせプレートであって、
前記吊り下げ部材は、
上下方向に貫通した貫通孔を有するリング形状の永久磁石であって、
前記位置合わせ部材の貫通孔と、前記吊り下げ部材の貫通孔とを上下方向に連通させた状態で、前記位置合わせ部材及び金属製の前記柱支持具の間に介在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置決め治具。
【請求項4】
前記位置合わせ部材の上方から前記位置合わせ部材の貫通孔と、前記吊り下げ部材の貫通孔とを上下方向に貫通するように挿入され、前記柱支持具を下方に向けて押し出すためのピン状又は棒状の押し出し部材をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の位置決め治具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の位置決め治具と、前記アンカー吊り下げ治具と、を備え、建物の基礎を施工するための基礎施工治具であって、
前記アンカー吊り下げ治具は、
基礎用型枠の上部に架設され、前記アンカーボルトの水平方向における位置決めを行うためのアンカー定規と、
上下方向に長尺に延びており、前記アンカー定規と前記アンカーボルトを連結し、前記アンカー定規に対して前記アンカーボルトの高さ位置を変更可能な状態で取り付けられるアンカー高さ調整部材と、を有し、
前記位置合わせ部材は、
複数の前記アンカーボルトそれぞれに取り付けられた前記アンカー高さ調整部材の上端部によって支持され、
前記アンカー定規よりも上方位置に配置され、
前記吊り下げ部材は、前記アンカー定規の枠内に配置され、前記アンカー定規の枠内において前記柱支持具を下方へ脱落可能となるように吊り下げることを特徴とする基礎施工治具。
【請求項6】
基礎コンクリート上に複数のアンカーボルト及び柱支持具を一部埋設させた状態で設置する際に用いられ、前記基礎コンクリート上において前記柱の芯位置となる部分に前記柱支持具を設置するための位置決め治具を用いた建物の基礎施工方法であって、
基礎用型枠を組み立てる型枠組み立て工程と、
前記基礎用型枠の上部にアンカー吊り下げ治具を架設する治具架設工程と、
前記アンカー吊り下げ治具に前記アンカーボルトを吊り下げるように組み付けるアンカー組み付け工程と、
前記アンカー吊り下げ治具に前記位置決め治具を取り付ける治具取り付け工程と、
前記位置決め治具に前記柱支持具を吊り下げる柱支持具吊り工程と、を含み、
前記治具取り付け工程では、前記アンカー吊り下げ治具に、前記柱の芯位置となる部分を通るように設けられた前記位置決め治具を取り付け、
前記柱支持具吊り工程では、前記位置決め治具のうち前記柱の芯位置となる部分に、前記柱支持具を下方へ取り外し可能となるように吊り下げることとを特徴とする基礎施工方法。
【請求項7】
前記柱支持具吊り工程の後に、前記柱支持具を前記基礎コンクリート上に落下させる柱支持具落下工程をさらに含み、
前記柱支持具吊り工程では、前記柱の芯位置となる部分に上下方向に貫通し、前記柱支持具の上面まで達している貫通孔を有する前記位置決め治具に、前記柱支持具を下方へ脱落可能となるように吊り下げ、
前記柱支持具落下工程では、
前記位置決め治具の上方から前記貫通孔に挿入され、前記柱支持具を押し出すためのピン状又は棒状の押し出し部材を前記貫通孔に挿入し、
挿入した前記押し出し部材を前記柱支持具の上面に当接させて、前記柱支持具を下方へ落下させることを特徴とする請求項6に記載の基礎施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法に係り、特に、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具を設置するための位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物(鉄筋コンクリート製の建物)の基礎を施工する際に、基礎用型枠の上部に架設され、基礎コンクリート上に複数のアンカーボルトを一部埋設させた状態で設置するために用いられるアンカー吊り下げ治具が知られている。
具体的には、アンカー吊り下げ治具は、基礎用型枠の上面に架設され、アンカーボルトの水平方向における位置決めを行うアンカー定規と、上下方向に長尺に延びており、アンカー定規とアンカーボルトを連結し、アンカー定規に対してアンカーボルトの高さ位置を変更可能な状態で取り付けられるアンカー高さ調整部材と、から主に構成されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-057408号公報
【特許文献2】特開2004-211480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物の基礎を施工するにあたっては、複数のアンカーボルトによって支持される柱(柱脚)の芯位置を正確に、かつ、容易に確認する技術が求められていた。
詳しく説明すると、建物の基礎に対し柱(柱脚)を連結させるために、基礎コンクリート内に複数のアンカーボルトを突出させた状態で埋設するとともに、打設された基礎コンクリートが固まる前に、基礎コンクリート上に柱支持具(シア金物)を一部埋設した状態で設置する施工作業が行われている。当該柱支持具を設置することで、柱脚にブレースからのせん断力が加わった場合であっても柱支持具が基礎を支圧し、当該せん断力を基礎へと効率良く伝達することが可能となる。
このとき、基礎に対し柱を鉛直に連結させるためには、上記柱支持具を柱の芯位置に設置する必要がある。そのため、柱の芯位置を容易に確認し、柱の芯位置に柱支持具を正確に設置するための技術が求められていた。
特に、基礎コンクリート上に柱支持具を設置する際には、基礎コンクリートが柔らかい状態(粘性がある状態)であるため、柱支持具を一度設置してしまうと設置位置を調整することが難しかった。そのため、基礎コンクリート上に柱支持具を最初に設置する場所を正確に決定する技術が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、建物の基礎を施工するにあたって、柱の芯位置を容易に確認することが可能な位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具(シア金物)を正確に、かつ、容易に設置することが可能な位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の位置決め治具によれば、基礎コンクリート上に複数のアンカーボルト及び柱支持具を一部埋設させた状態で設置する際に用いられ、前記基礎コンクリート上において前記柱の芯位置となる部分に前記柱支持具を設置するための位置決め治具であって、前記位置決め治具は、前記基礎コンクリート上に複数のアンカーボルトを設置するためのアンカー吊り下げ治具に取り付けられ、前記柱の芯位置となる部分を通るように設けられた位置合わせ部材と、前記位置合わせ部材に取り付けられ、前記位置合わせ部材のうち、前記柱の芯位置となる部分に前記柱支持具を下方へ取り外し可能となるように吊り下げる吊り下げ部材と、を備えていること、により解決される。
上記構成により、建物の基礎を施工するにあたって、柱の芯位置を容易に確認し、柱の芯位置に柱支持具を正確に設置することが可能な位置決め治具を実現することができる。
詳しく述べると、位置決め治具は、位置合わせ部材と、位置合わせ部材のうち柱の芯位置となる部分に柱支持具を下方へ取り外し可能となるように吊り下げる吊り下げ部材と、を備えている。そのため、柱の芯位置となる部分に柱支持具を予め吊り下げておき、柱支持具を基礎コンクリート上に設置するときに柱支持具を下方へ取り外す(脱落させる)ことができる。そうすることで、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具を比較的正確に、かつ、容易に設置する(落下させる)ことができる。
【0007】
このとき、前記位置合わせ部材は、前記アンカー吊り下げ治具に架設される金属製の部材であって、前記吊り下げ部材は、永久磁石又は永久磁石を有する部材であって、前記位置合わせ部材のうち、前記柱の芯位置となる部分の底面に取り付けられ、前記位置合わせ部材及び金属製の前記柱支持具の上下方向の間に介在していると良い。
上記構成により、位置合わせ部材のうち柱の芯位置となる部分に、永久磁石を利用して柱支持具を容易に吊り下げることができる。
また、永久磁石の磁力を調整することで、位置合わせ部材から柱支持具を下方に向けて(基礎コンクリートに向けて)容易に取り外す(落下させる)ことができる。
なお、従来の基礎コンクリート上に柱支持具を設置するための施工作業では、作業スペースが狭いため作業員の手が届き難いという困難性があった。そこで、上記のように柱支持具を落下させることで、柱支持具の設置作業を格段に容易にすることが可能となった。また、柱支持具の設置位置を繰り返し確認する作業を減らすことも可能となった。また、作業員が基礎コンクリートに誤って触れてしまう機会も減らすことが可能となった。
【0008】
このとき、前記位置合わせ部材は、前記位置合わせ部材のうち前記柱の芯位置となる部分に上下方向に貫通した貫通孔を有する金属製の位置合わせプレートであって、前記吊り下げ部材は、上下方向に貫通した貫通孔を有するリング形状の永久磁石であって、前記位置合わせ部材の貫通孔と、前記吊り下げ部材の貫通孔とを上下方向に連通させた状態で、前記位置合わせ部材及び金属製の前記柱支持具の間に介在していると良い。
また、前記位置合わせ部材の上方から前記位置合わせ部材の貫通孔と、前記吊り下げ部材の貫通孔とを上下方向に貫通するように挿入され、前記柱支持具を下方に向けて押し出すためのピン状又は棒状の押し出し部材をさらに備えていると良い。
上記構成により、例えばピン状又は棒状の押し出し部材を利用して、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具を正確に、かつ、容易に設置することができる。すなわち、柱支持具を正確な位置に落下(自由落下)させることができる。
特に、基礎コンクリート上に柱支持具を最初に設置する場所を正確に決定することができる。
【0009】
また前記課題は、上記位置確認治具と、上記アンカー吊り下げ治具と、を備え、建物の基礎を施工するための基礎施工治具であって、前記アンカー吊り下げ治具は、基礎用型枠の上部に架設され、前記アンカーボルトの水平方向における位置決めを行うためのアンカー定規と、上下方向に長尺に延びており、前記アンカー定規と前記アンカーボルトを連結し、前記アンカー定規に対して前記アンカーボルトの高さ位置を変更可能な状態で取り付けられるアンカー高さ調整部材と、を有し、前記位置合わせ部材は、複数の前記アンカーボルトそれぞれに取り付けられた前記アンカー高さ調整部材の上端部によって支持され、前記アンカー定規よりも上方位置に配置され、前記吊り下げ部材は、前記アンカー定規の枠内に配置され、前記アンカー定規の枠内において前記柱支持具を下方へ脱落可能となるように吊り下げることを特徴とする基礎施工治具によっても解決される。
上記構成により、柱の芯位置を容易に確認し、柱の芯位置に柱支持具を正確に設置することが可能な基礎施工治具を実現できる。
また上記構成により、位置決め治具(位置合わせ部材)と、枠状のアンカー定規との上下方向の間にスペース(間隔)を形成することができる。当該スペースを利用することで、作業員が位置決め治具に柱支持具を吊り下げる作業が容易になる。
【0010】
また前記課題は、基礎コンクリート上に複数のアンカーボルト及び柱支持具を一部埋設させた状態で設置する際に用いられ、前記基礎コンクリート上において前記柱の芯位置となる部分に前記柱支持具を設置するための位置決め治具を用いた建物の基礎施工方法であって、基礎用型枠を組み立てる型枠組み立て工程と、前記基礎用型枠の上部にアンカー吊り下げ治具を架設する治具架設工程と、前記アンカー吊り下げ治具に前記アンカーボルトを吊り下げるように組み付けるアンカー組み付け工程と、前記アンカー吊り下げ治具に前記位置決め治具を取り付ける治具取り付け工程と、前記位置決め治具に前記柱支持具を吊り下げる柱支持具吊り工程と、を含み、前記治具取り付け工程では、前記アンカー吊り下げ治具に、前記柱の芯位置となる部分を通るように設けられた前記位置決め治具を取り付け、前記柱支持具吊り工程では、前記位置決め治具のうち前記柱の芯位置となる部分に、前記柱支持具を下方へ取り外し可能となるように吊り下げることとを特徴とする基礎施工方法によっても解決される。
【0011】
このとき、前記柱支持具吊り工程の後に、前記柱支持具を前記基礎コンクリート上に落下させる柱支持具落下工程をさらに含み、前記柱支持具吊り工程では、前記柱の芯位置となる部分に上下方向に貫通し、前記柱支持具の上面まで達している貫通孔を有する前記位置決め治具に、前記柱支持具を下方へ脱落可能となるように吊り下げ、前記柱支持具落下工程では、前記位置決め治具の上方から、前記柱支持具を押し出すためのピン状又は棒状の押し出し部材を前記貫通孔に挿入し、挿入した前記押し出し部材を前記柱支持具の上面に当接させて、前記柱支持具を下方へ落下させると良い。
上記構成により、建物の基礎を施工するにあたって、柱の芯位置を容易に確認することができる。また、ピン状又は棒状の押し出し部材を利用して、基礎コンクリート上の正確な位置に柱支持具を自由落下させて容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法によれば、建物の基礎を施工するにあたって、柱の芯位置を容易に確認することが可能となる。
また、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具(シア金物)を正確に、かつ、容易に設置することが可能となる。特に、基礎コンクリート上に柱支持具を最初に設置する場所を正確に決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基礎施工治具を示す斜視図であって、アンカー吊り下げ治具にアンカーボルトが組み付けられた状態を示す図である。
図2図1の要部拡大図であって、アンカー吊り下げ治具に位置決め治具が取り付けられ、位置決め治具に柱支持具が吊り下げられた状態を示す図である。
図3】アンカー吊り下げ治具(アンカー定規、アンカー高さ調整部材)、アンカーボルトを示す分解斜視図である。
図4図3の組み立て斜視図である。
図5】アンカー吊り下げ治具、位置決め治具(位置合わせ部材、吊り下げ部材)及びを柱支持具示す上面図である。
図6A】アンカー吊り下げ治具にアンカーボルトが組み付けられ、位置決め治具に柱支持具が吊下げられた状態を示す斜視図である。
図6B】基礎コンクリートを打設した状態を示す斜視図である。
図6C】基礎コンクリート上に柱支持具を落下させ、柱支持具を設置した状態を示す斜視図である。
図6D】基礎施工治具を取り外した状態を示す斜視図である。
図7】建物の基礎施工方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について図1図7を参照して説明する。
本実施形態は、基礎コンクリート上に複数のアンカーボルト及び柱支持具を一部埋設させた状態で設置する際に用いられ、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具を設置するための「位置決め治具」の発明に関するものである。
また、当該位置決め治具を備えた「基礎施工治具」の発明、当該基礎施工治具を用いた「基礎施工方法」の発明に関するものである。
【0015】
<基礎施工治具>
本実施形態の基礎施工治具1は、図1図2に示すように、鉄筋コンクリート製の建物の基礎を施工する際に用いられる治具であって、例えば、露出型固定柱脚工法による基礎の施工の際に用いられる治具である。
具体的には、基礎施工治具1は、基礎コンクリートを打設する際に用いられ、基礎の形状に合わせて組まれた基礎用型枠10と、基礎用型枠10の上部に架設され、基礎コンクリート上に複数のアンカーボルトF2を設置するためのアンカー吊り下げ治具20と、アンカー吊り下げ治具20の上部に架設され、基礎コンクリート上において柱(柱脚)の芯位置となる部分に柱支持具F3(シア金物)を設置するための位置決め治具30と、から主に構成されている。
【0016】
なお、基礎内部には、図1図6Bに示すように、基礎地盤上に設置されるプレート状のアンカー支持具F1と、アンカー支持具F1によって支持され、基礎と柱(柱脚)を連結するための複数のアンカーボルトF2と、アンカー支持具F1によって支持され、複数のアンカーボルトF2を囲むように配置される不図示の鉄筋ユニット(柱型鉄筋ユニット)とが埋設されることになる。
また、基礎内部には、図2、6Cに示すように、打設された基礎コンクリートF4が固まる前に、基礎コンクリートF4上に金属製の柱支持具F3が一部埋設された状態で設置されることになる。
【0017】
アンカー支持具F1は、図1に示すように、基礎地盤上の所定位置に設置されるプレート状の支持ベースF1aと、支持ベースF1a上に設けられ、アンカーボルトF2を下方から支持する複数のアンカー支持部F1bと、支持ベースF1a上に設けられ、鉄筋ユニットを側方及び下方から支持する複数の鉄筋支持部F1cと、を備えている。
なお、アンカー支持部F1bの上端部には、アンカーボルトF2の下端部に設けられた被係合部に着脱可能に係合する係合部が形成されている。
アンカー支持部F1b、鉄筋支持部F1cは、それぞれ支持ベースF1aの外縁部分に所定の間隔を空けて設けられている。詳しく述べると、アンカー支持部F1bと鉄筋支持部F1cが、交互に並ぶように配置されている。
【0018】
アンカーボルトF2は、図1図3に示すように、アンカーボルトF2の本体部となる上下方向に長尺なアンカー本体部F2aと、アンカー本体部F2aから連続して上方に延びているアンカーネジ部F2bと、アンカー本体部F2aの下端部に設けられた円板状のアンカー定着部F2cと、から主に構成されている。
柱支持具F3は、図6Cに示すように、基礎コンクリートF4上において柱の芯位置となる部分に設置されるプレート状の支持プレートF3aと、支持プレートF3a上から上方に突出するようにそれぞれ設けられ、柱の下端部(ベースプレート)に連結する枠状連結部F3bと、枠状連結部F3bの内部に配置される軸連結部F3cと、支持プレートF3aの底面から下方に突出し、基礎コンクリートF4内に埋設される埋設部F3dと、から主に構成されている。
【0019】
上記構成において、図6Dに示すように、基礎の施工完了後には、基礎コンクリートF4上に複数のアンカーボルトF2及び柱支持具F3が一部突出した状態で固定される。そして、複数のアンカーボルトF2及び柱支持具F3に対し、柱(柱脚)の下端部に設けられたベースプレートが連結され、柱を鉛直に立設することができる。
【0020】
基礎用型枠10は、図1に示すように、基礎(基礎となる空間)の幅方向の両側部分に対向するようにそれぞれ設けられ、基礎の延出方向に沿って配置される型枠である。
組み立てられた基礎用型枠10の上面には、基礎の延出方向に沿ってアンカー吊り下げ治具20(アンカー定規21)が組み付けられる。
なお、図1において基礎用型枠10が一部省略されている。
【0021】
アンカー吊り下げ治具20は、図1図4に示すように、基礎用型枠10(具体的には、基礎用型枠10A、10B)の上面に架設され、アンカーボルトF2の水平方向における位置決めを行うためのアンカー定規21と、上下方向に長尺に延びており、アンカー定規21とアンカーボルトF2を連結し、アンカー定規21に対してアンカーボルトF2の高さ位置を変更可能な状態で取り付けられるアンカー高さ調整部材22と、を備えている。
【0022】
アンカー定規21は、図1図2に示すように、所定の幅を有する平板を組み合わせた枠状体からなり、基礎用型枠10の上面に締結部材を用いて固定されている。
具体的には、アンカー定規21は、基礎用型枠10の上面に固定される枠状の型枠固定部21aと、型枠固定部21aよりも内側位置に配置され、複数のアンカー高さ調整部材22を支持する枠状のアンカー支持部21bと、型枠固定部21a及びアンカー支持部21bを連結する複数の連結部21cと、を有している。
アンカー支持部21bは、矩形枠状からなり、アンカー支持部21bの四隅には、アンカー高さ調整部材22を組み付けるための組み付け穴21dがそれぞれ形成されている。
【0023】
アンカー高さ調整部材22は、図3図4に示すように、上下方向に延びてアンカー定規21(組み付け穴21d)を貫通している長尺ボルト22aと、長尺ボルト22aに螺合され、アンカー定規21を上下方向で挟み込む挟持ナット22b、22cと、長尺ボルト22aに下部から螺合され、上下方向に延びている高さ調整ナット22d(長ナット)と、から主に構成されている。
また、高さ調整ナット22dの下部には、アンカーボルトF2のアンカーネジ部F2bが螺合されており、高さ調整ナット22d及びアンカーボルトF2が一体となって連結されている。
【0024】
上記構成において、アンカー高さ調整部材22は、長尺ボルト22aに対して高さ調整ナット22dの螺合位置を調整することで、アンカー定規21に対するアンカーボルトF2の高さ位置を変更することが可能である。
【0025】
位置決め治具30は、図2図5に示すように、アンカー吊り下げ治具20のうち、複数の長尺ボルト22aの上端部に取り付けられ、柱の芯位置を確認するための治具である。
また、位置決め治具30は、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具F3を設置するための治具である。
【0026】
具体的には、位置決め治具30は、金属製の位置合わせ部材31と、位置合わせ部材31のうち、柱の芯位置となる部分の底面に着脱可能となるように取り付けられる吊り下げ部材32と、位置合わせ部材31の上方から位置合わせ部材31及び吊り下げ部材32を上下方向に貫通するように取り付けられるピン状の押し出し部材33と、を備えている。
なお、位置決め治具30は、複数の長尺ボルト22aの上端部にそれぞれ組み付けられた支持ナット34によって支持されている。そのため、各支持ナット34の高さ位置を微調整することで、位置決め治具30の水平出し(レベル出し)を容易に行うことができる。
【0027】
位置合わせ部材31は、図2図5に示すように、T字形状の位置合わせプレートからなり、アンカー定規21よりも上方位置に浮かせた状態で配置されている。
位置合わせ部材31は、柱の芯位置となる部分を通過し、上面視において複数のアンカーボルトF2のうち、第1アンカーボルトF2A及び第2アンカーボルトF2Bを連結するように延びている第1延出部31aと、柱の芯位置となる部分において第1延出部31aと連結され、第1延出部31aの延出方向とは交差する方向に延出し、上面視において第1延出部31a及び第3アンカーボルトF2Cを連結するように延びている第2延出部31bと、を備えている。
【0028】
詳しく述べると、第1延出部31aは、上面視において複数のアンカーボルトF2のうち、対角線上に位置する第1アンカーボルトF2A及び第2アンカーボルトF2Bを連結するように直線状に延びている。
第2延出部31bは、第1延出部とは直交する方向に延びており、上面視において第1アンカーボルトF2A及び第2アンカーボルトF2Bそれぞれと隣り合う第3アンカーボルトF2Cを連結するように延びている。
位置合わせ部材31において第1延出部31a及び第2延出部31bの連結部分が、位置合わせ部材31の中心部分(中央部分)となっており、かつ、柱の芯位置となる部分となっている。
位置合わせ部材31のうち、柱の芯位置となる部分には、上下方向に貫通した貫通孔31dが形成されている。
【0029】
第1延出部31aにおいて第1アンカーボルトF2A、第2アンカーボルトF2Bに対応する位置には、それぞれ長尺ボルト22aを貫通させて組み付けるための組み付け穴31cが形成されている。
また、第2延出部31bにおいて第3アンカーボルトF2Cに対応する位置にも同様に、組み付け穴31cが形成されている。
これら組み付け穴31cは、位置合わせ部材31の中心部分(貫通孔31d)から等距離の位置に配置されている。
【0030】
吊り下げ部材32は、図2図5に示すように、リング形状の永久磁石であって、位置合わせ部材31及び柱支持具F3の上下方向の間に介在し、位置合わせ部材31に柱支持具F3を下方へ取り外し可能となるように吊り下げるものである。
言い換えれば、吊り下げ部材32は、位置合わせ部材31の底面に柱支持具F3を上下方向において着脱可能となるように取り付けるものである。
【0031】
吊り下げ部材32は、その中心軸において上下方向に貫通した横断面円形状の貫通孔32aを有している。
貫通孔32aは、図6Aに示すように、吊り下げ部材32の上端部(開口部)から下方へ向かうに従って幅狭となるように形成された逆テーパー形状の第1孔部と、当該第1孔部から連続して、吊り下げ部材32の下端部に向けて均一な幅で形成された第2孔部と、を有している。
位置合わせ部材31の貫通孔31dと、吊り下げ部材32の貫通孔32aとは、上下方向において連通している。また、貫通孔31dの幅径と、貫通孔32aの第2孔部の幅径とは同一の大きさとなっている。あるいは、貫通孔31dの幅径は、貫通孔32aの第2孔部の幅径よりも幾分大きくなっている。
なお、連通した状態の貫通孔31d、32aは、位置決め治具30の上端から柱支持具F3の上面まで達する位置まで延びている。
【0032】
押し出し部材33は、図2図6A、Cに示すように、ピン形状を有する長尺な金属製の部材である。
押し出し部材33は、位置合わせ部材31の上方から位置合わせ部材31の貫通孔31dと、吊り下げ部材32の貫通孔32aとを上下方向に貫通するように挿入され、柱支持具Fを下方に向けて押し出すための部材である。
なお、押し出し部材33は、ピン形状に限られず、ピン形状よりも幅径が大きくなる棒形状の押し出し部材であっても良い。すなわち、押し出し部材33の幅径は、貫通孔31d及び貫通孔31dの幅径の大きさに合わせて適宜大きくしても良い。
【0033】
上記構成により、図6A図6Dに示すように、位置決め治具30を利用することで、柱の芯位置を容易に確認することが可能となる。また、基礎コンクリートF4上において柱の芯位置となる部分に柱支持具F3(シア金物)を正確に、かつ、容易に設置することが可能となる。
詳しく述べると、図6A、Bに示すように、位置合わせ部材31及び吊り下げ部材32(永久磁石)を用いて柱支持具F3を容易に吊り下げることができる。また、図6Cに示すように、押し出し部材33を用いて基礎コンクリートF4上において柱の芯位置となる部分に柱支持具F3を自由落下させることができる。
【0034】
また上記構成において、図2に示すように、位置合わせ部材31は、T字形状のプレート体からなり、アンカー定規21よりも上方位置に配置されている。
そのため、位置合わせ部材31と、アンカー吊り下げ治具20(アンカー定規21)との上下方向の間に作業スペース(隙間)を形成することができる。当該作業スペースを利用することで、図6B、Cに示すように、柱支持具F3を容易に吊り下げることができる。すなわち、他の部材と干渉することなく、柱支持具F3を吊り下げることができ、また柱支持具F3を設置することができる。
【0035】
また上記構成において、図2に示すように、吊り下げ部材32は、アンカー定規21の枠内に配置され、アンカー定規21の枠内において柱支持具F3を下方へ脱落可能となるように吊り下げている。
そのため、作業員が柱支持具F3を吊り下げる作業を行うときに作業スペースを確保し易くなる。また、作業員が柱支持具F3を落下させる作業を行うときにも作業スペースを確保し易くなる。つまり、基礎コンクリートF4上に柱支持具F3を設置する施工作業が従来よりも格段に効率化される。
【0036】
<基礎施工方法>
次に、建物の基礎施工方法について図7に基づいて説明する。
まずは、図1に示すように、基礎工の作業者が、基礎地盤上にアンカー支持具F1を設置し、不図示の固定部材(例えば、コンクリート釘)を用いて固定する「アンカー支持具設置工程」(ステップS1)から始まる。
このとき、基礎地盤上に予め描かれた墨出し線を目印とすることで、アンカー支持具F1を基礎地盤上の所定位置(柱の立設位置)に精度良く設置できる。
【0037】
その後、作業者が、アンカー支持具F1上にアンカーボルトF2を設置する「アンカー設置工程」を行い(ステップS2)、さらに不図示の鉄筋ユニットを組み立てる「鉄筋組み立て工程」を行う(ステップS3)。
このとき、設置された複数のアンカーボルトF2を側方から保持するように不図示の鉄筋ユニットを組み立てると良い。なお、上記ステップS2とステップS3の順番を入れ替えても良い。その場合には、鉄筋ユニットを設置し、当該鉄筋ユニットによって囲まれた領域に上方からアンカーボルトF2を設置すると良い。
【0038】
その後、図1に示すように、作業者が、基礎となる空間の幅方向の両側部分に基礎用型枠10A、10Bを対向するように組み立てる「型枠組み立て工程」を行い(ステップS4)、さらに基礎用型枠10の上部にアンカー吊り下げ治具20を架設する「治具架設工程」を行う(ステップS5)。
【0039】
その後、図1図3図4に示すように、作業者が、アンカー吊り下げ治具20にアンカーボルトF2を吊り下げるように組み付ける「アンカー組み付け工程」を行う(ステップS6)。
このとき、長尺ボルト22aに対し高さ調整ナット22dの螺合位置を調整することで、アンカー定規21に対するアンカーボルトF2の高さ位置を変更することが可能である。
上記ステップS1~S6の工程を行うことで、アンカーボルトF2が位置決めされる。具体的には、アンカー支持具F1及びアンカー定規21によってアンカーボルトF2の水平方向における位置決めを行うことができる。また、アンカー高さ調整部材22によってアンカーボルトF2の高さ方向における位置決めを行うことができる。
【0040】
その後、図2図6Aに示すように、作業者が、アンカー吊り下げ治具20の上部に位置決め治具30を取り付ける「治具取り付け工程」を行う(ステップS7)。
詳しく述べると、プレート状の位置合わせ部材31を、柱の芯位置となる部分を通過し、上面視において第1アンカーボルトF2A、第2アンカーボルトF2B及び第3アンカーボルトF2Cによって支持されるように取り付ける。具体的には、アンカー高さ調整部材22の上端部に位置合わせ部材31を取り付ける。
【0041】
その後、図2図6Aに示すように、位置合わせ部材31に柱支持具F3を吊り下げる「柱支持具吊り工程」を行う(ステップS8)。
詳しく述べると、まず、柱支持具F3の上面の中心部分となる位置に吊り下げ部材32を取り付ける(ステップS8-1)。
そして、位置合わせ部材31の中心部分に形成された貫通孔31dに向かって上方から押し出し部材33を挿入し、押し出し部材33を貫通させる(ステップS8-2)。
そして、押し出し部材33をガイドとして利用しながら、吊り下げ部材32付きの柱支持具F3を位置合わせ部材31の裏面に向けて上方へ移動させる(ステップS8-3)。このとき、押し出し部材33は、吊り下げ部材32の貫通孔32aを貫通し、柱支持具F3の上面に当接した状態となっている。なお、柱支持具F3を上方へ移動させることで、押し出し部材33も上方へ持ち上げられることになる。
そして、位置合わせ部材31のうち、柱の芯位置となる部分の裏面に柱支持具F3を吊り下げるように取り付ける(ステップS8-4)。
上記ステップS8-1からS8-4を経て図6Aに示す状態となる。
このとき、吊り下げ部材32が位置合わせ部材31及び柱支持具F3の間に介在している。また、位置合わせ部材31の中心軸と、吊り下げ部材32の中心軸と、柱支持具F3の中心軸とが同軸上にセットされている。
【0042】
その後、図6Bに示すように、作業者が、基礎用型枠10内に基礎コンクリートF4を打設する「コンクリート打設工程」を行う(ステップS9)。
その後、図6Cに示すように、打設された基礎コンクリートF4が固まる前に、基礎コンクリートF4上に柱支持具F3を一部埋設した状態で設置する「柱支持具落下工程」を行う(ステップS10)。
詳しく述べると、位置合わせ部材31の上方から挿入された押し出し部材33を柱支持具F3の上面に当接させた状態で、柱支持具F3を下方へ押し出し、柱支持具F3を自由落下させる(ステップS10-1)。
そして、自由落下させた柱支持具F3を基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に設置する(ステップS10-2)。このとき、一度で柱支持具F3を所定位置に設置することができなかった場合には、柱支持具F3の設置位置を微調整する。
上記ステップS10の工程を終えて、一連の作業工程を終了する。
なお、上記作業工程の終了後には、基礎施工治具1を取り外す(図6D参照)。
【0043】
上記基礎施工方法であれば、建物の基礎を施工するにあたって、柱の芯位置を容易に確認することが可能となる。
また、基礎コンクリート上において柱の芯位置となる部分に柱支持具(シア金物)を正確に、かつ、容易に設置することが可能となる。
【0044】
なお、上記基礎施工方法において、各作業工程の順番を適宜入れ替えても良い。
例えば、S1の「アンカー支持具固定工程」、S2の「アンカー設置工程」、S3の「鉄筋組み立て工程」の前に、S4の「型枠組み立て工程」、S5の「治具架設工程」を先に行っても良い。
また例えば、アンカー吊り下げ治具20に位置決め治具30を予め組み付けておいても良い。すなわち、S5の「治具架設工程」にて、位置決め治具30付きのアンカー吊り下げ治具20を架設することとしても良い。その場合には、S7の「治具取り付け工程」を省くことができる。
また例えば、S8の「柱支持具吊り工程」をS9の「コンクリート打設工程」の後に行っても良い。すなわち、先に基礎コンクリートF4を打設し、基礎コンクリートF4が柔らかい状態のときに柱支持具F3を吊り下げることとしても良い。
【0045】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図2に示すように、位置合わせ部材31が、平板状のプレート体として形成されているが、特に限定されることなく変更可能である。
すなわち、位置合わせ部材31は、できる限りコンパクトな形状であることが好ましいが、所定の形状を有するものであっても良い。
【0046】
上記実施形態では、図2図5に示すように、位置合わせ部材31が、T字形状からなり、3つのアンカーボルトF2(厳密には、3つの長尺ボルト22a)によって3点支持されているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、位置合わせ部材31が、十字形状からなり、4つのアンカーボルトF2によって4点支持されていても良い。その場合には、位置合わせ部材31をより安定して組み付けることができる。
あるいは、位置合わせ部材31が、2つのアンカーボルトF2によって2点支持されていても良い。その場合であっても、位置合わせ部材31と、アンカー吊り下げ治具20との上下方向の間にスペース(隙間)を形成することができる。
【0047】
上記実施形態では、図2に示すように、吊り下げ部材32が、永久磁石そのものであったが、特に限定されず、永久磁石を有する部材であっても良い。
例えば、吊り下げ部材32が、永久磁石を有するホルダ部材であっても良い。その場合には、吊り下げ部材32が、柱支持具F3を両側から保持するように構成されていると良い。そうすることで、柱支持具F3をより正確に自由落下させることができる。
【0048】
上記実施形態では、図2に示すように、吊り下げ部材32が、永久磁石(永久磁石を有する部材)であったが、特に限定されず、永久磁石による着脱手段以外の手段を有する部材であっても良い。
例えば、吊り下げ部材32が、ボルトナット機構を有し、位置合わせ部材31の底面に柱支持具F3を上下方向に着脱可能となるように吊り下げることとしても良い。
【0049】
上記実施形態では、図3図4に示すように、アンカー高さ調整部材22が、長尺ボルト22a及び高さ調整ナット22dから構成される「高さ調整手段」を備えているが、当該高さ調整手段について特に限定されることなく変更可能である。
例えば、機械的構造による公知な高さ調整手段を採用しても良い。
【0050】
上記実施形態では、主として本発明に係る位置決め治具、基礎施工治具及び基礎施工方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
F 基礎
F1 アンカー支持具
F1a 支持ベース
F1b アンカー支持部
F1c 鉄筋支持部
F2 アンカーボルト
F2A 第1アンカーボルト
F2B 第2アンカーボルト
F2C 第3アンカーボルト
F2a アンカー本体部
F2b アンカーネジ部
F2c アンカー定着部
F3 柱支持具(シア金物)
F3a 支持プレート
F3b 枠状連結部
F3c 軸連結部
F3d 埋設部
F4 基礎コンクリート
1 基礎施工治具
10(10A、10B) 基礎用型枠
20 アンカー吊り下げ治具
21 アンカー定規
21a 型枠固定部
21b アンカー支持部
21c 連結部
21d 組み付け穴
22 アンカー高さ調整部材
22a 長尺ボルト
22b、22c 挟持ナット
22d 高さ調整ナット
30 位置決め治具
31 位置合わせ部材(位置合わせプレート)
31a 第1延出部
31b 第2延出部
31c 組み付け穴
31d 貫通孔
32 吊り下げ部材(永久磁石)
32a 貫通孔
33 押し出し部材
34 支持ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7