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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051430
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】超純水製造システム、超純水製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230404BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20230404BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20230404BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20230404BHJP
   C02F 9/00 20230101ALI20230404BHJP
   C02F 5/08 20230101ALI20230404BHJP
   C02F 5/10 20230101ALI20230404BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20230404BHJP
【FI】
C02F1/44 J
B01D61/08
B01D61/10
B01D61/58
C02F9/02
C02F9/04
C02F9/06
C02F9/12
C02F5/08 F
C02F5/10 620A
C02F5/10 620Z
C02F1/50 510C
C02F1/50 531S
C02F1/50 531T
C02F1/50 531U
C02F1/50 532C
C02F1/50 532D
C02F1/50 532H
C02F1/50 532J
C02F1/50 550C
C02F1/50 550L
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162092
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000245531
【氏名又は名称】野村マイクロ・サイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝尾 英昭
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 貴次
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規彦
(72)【発明者】
【氏名】鳥村 修平
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA66Z
4D006JA67Z
4D006KA03
4D006KA52
4D006KA54
4D006KA56
4D006KB04
4D006KB12
4D006KB14
4D006KD06
4D006KD30
4D006PA01
4D006PB02
4D006PB04
4D006PB05
4D006PB06
4D006PC03
(57)【要約】
【課題】ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入する場合と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下が抑制される超純水製造システムを得る。
【解決手段】超純水製造システムは、主流路を流れる被処理水が透過するフィルターが設けられた過装置と、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側に配置され、逆浸透膜が設けられた逆浸透膜装置と、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流部分の前記主流路にスライムコントロール剤を注入する第一注入部と、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流部分で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流部分の前記主流路にスケール防止剤を注入する第二注入部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路を流れる被処理水が透過するフィルターが設けられたろ過装置と、
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側に配置され、逆浸透膜が設けられた逆浸透膜装置と、
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤を注入する第一注入部と、
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流側にスケール防止剤を注入する第二注入部と、
を備える超純水製造システム。
【請求項2】
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側に配置された活性炭装置を、備え、
前記第一注入部は、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側で、かつ、前記活性炭装置の下流側にスライムコントロール剤を注入する、
請求項1に記載の超純水製造システム。
【請求項3】
前記第一注入部及び第二注入部は、それぞれのエジェクタによりタンク中の薬剤を吸い出して前記主流路の注入する構成であり、
被処理水の流れ方向において前記逆浸透膜装置の下流側から分岐する分岐流路から前記第一注入部及び第二注入部のそれぞれのエジェクタに駆動水を供給する共通のポンプを備え、
前記第一注入部のエジェクタは、一端が前記分岐流路に接続されると共に他端が前記ろ過装置の上流側に接続される第一固有流路に配置され、前記第二注入部のエジェクタは、一端が前記分岐流路に接続されると共に他端が前記ろ過装置の下流側で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流側に接続される第二固有流路に配置されている、
請求項1又は2に記載の超純水製造システム。
【請求項4】
前記第一注入部は、前記主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入する、
請求項1~3の何れか1項に記載の超純水製造システム。
【請求項5】
前記第二注入部は、前記主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入する、
請求項1~4の何れか1項に記載の超純水製造システム。
【請求項6】
主流路を流れる被処理水に対するろ過処理によって懸濁物質を除去し、
前記ろ過処理で生じた被処理水に対する逆浸透膜処理によって塩類を除去し、
被処理水の流れ方向において、前記ろ過処理の上流側にスライムコントロール剤を注入し、
被処理水の流れ方向において、前記ろ過処理の下流側で、かつ、前記逆浸透膜処理の上流側にスケール防止剤を注入する超純水製造方法。
【請求項7】
被処理水の流れ方向において前記ろ過処理の上流側で、被処理水に対する吸着処理によって天然有機物を除去し、
被処理水の流れ方向において、前記吸着処理の下流側にスライムコントロール剤を注入する、
請求項6に記載の超純水製造方法。
【請求項8】
前記主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入する、
請求項6又は7に記載の超純水製造方法。
【請求項9】
前記主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入する、
請求項6~8の何れか1項に記載の超純水製造方法。
































【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、超純水製造システム、及び超純水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の超純水製造システムでは、スライムコントロール剤及びスケール防止剤は、薬注ポンプによって貯留タンク内に注入される。貯留タンクの前処理水は、配管を経て高圧ポンプにより逆浸透膜分離装置に流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-126624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超純水製造システムは、前処理システム、1次純水システム、及び2次純水システムで構成されている。1次純水システムでは、例えば、前処理システムで処理された被処理水が貯留される被処理水ピット、ピットの貯留水を吐出する供給ポンプ、被処理水から懸濁物質を除去するフィルターが設けられたろ過装置、高圧ポンプ、及び逆浸透膜が設けられた逆浸透膜装置が、被処理水の流れ方向の上流側から順に並んでいる。また、1次純水システムは、必要に応じて、紫外線照射装置、イオン交換装置、電気脱イオン装置(EDI)、膜脱気装置、及び脱気装置(DG)等を備える。
【0005】
従来の超純水製造システムでは、逆浸透膜にスライムが付着するのを抑制するスライムコントロール剤、及び逆浸透膜にスケールが付着するのを抑制するスケール防止剤をピットの貯留水を吐出する供給ポンプの上流側、又は逆浸透膜装置に被処理水を供給する高圧ポンプの上流側に注入していた。
【0006】
一般的に、スライムコントロール剤、及びスケール防止剤は、その性能を十分発揮させるために、被処理水に対して均一に混合させる必要があると考えられている。このため、例えば、ポンプに対して上流側にスライムコントロール剤、及びスケール防止剤を注入する場合がある。さらに、スライムコントロール剤、及びスケール防止剤の注入位置に対して下流側にインラインミキサー等の薬剤の混合を促進する装置を設置する場合がある。
【0007】
また、一般的に、スライムコントロール剤、及びスケール防止剤の注入位置ついては、ほぼ同じ場所にする場合が多い。これは、スライムコントロール剤、及びスケール防止剤の供給系を同じ場所に設置することで、供給系の配管が短くなる。さらに、供給系の配管が短くなることで、配管系でのトラブルが減り、さらに、運転管理やメンテナンスが容易となる。
【0008】
このように逆浸透膜に対して前述した2種類の薬剤を注入する構成において、逆浸透膜装置の上流側にろ過装置を設けると、ろ過装置のフィルターがスライム(汚濁物)で詰まってしまうことがしばしば生じた。このフィルターの詰まりを抑制しなければならない、という課題があった。
【0009】
また、被処理水ピット(貯留タンク)、又は供給ポンプの直前に2種類の薬剤を注入すると、ろ過装置のフィルターが詰まりやすいという傾向も明らかとなってきた。これは、スケール防止剤が、菌の養分となり、菌が増殖してフィルターに付着するためと思われる。そして、菌が増殖してフィルターに付着することにより、長期連続運転において、フィルターの詰まりが生じることで、フィルターの透過水量が低下してしまうと考えられる。
【0010】
本願の課題は、ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入する場合と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、誠意検討を行った結果、スケール防止剤、及びスライムコントロール剤の注入位置がろ過装置のフィルターの詰まりに著しく影響することを見出した。そして、最適な注入位置にすることで、フィルターの詰まりをほぼ抑制できることに至り、発明を完成させたものである。
【0012】
第1態様の超純水製造システムは、主流路を流れる被処理水が透過するフィルターが設けられたろ過装置と、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側に配置され、逆浸透膜が設けられた逆浸透膜装置と、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤を注入する第一注入部と、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流側にスケール防止剤を注入する第二注入部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
第1態様では、第一注入部は、被処理水の流れ方向においてろ過装置の上流側にスライムコントロール剤を注入する。これにより、菌が増殖してろ過装置に設けられたフィルターに付着するのが抑制されることで、フィルターに対するスライムの付着が抑制される。
【0014】
また、第二注入部は、被処理水の流れ方向においてろ過装置の下流側で、かつ、逆浸透膜装置の上流側にスケール防止剤を注入する。これにより、スケール防止剤が、菌の養分となり、菌が増殖してフィルターに付着する恐れがない。
【0015】
以上より、ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入する場合と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することができる。
【0016】
第2態様の超純水製造システムは、第1態様に記載の超純水製造システムにおいて、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側に配置された活性炭装置を、備え、前記第一注入部は、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側で、かつ、前記活性炭装置の下流側にスライムコントロール剤を注入することを特徴とする。
【0017】
第2態様では、第一注入部は、被処理水の流れ方向においてろ過装置の上流側で、かつ、活性炭装置の下流側にスライムコントロール剤を注入する。これにより、活性炭装置の吸着処理によって、スライムコントロール剤が活性炭に吸着されることがない。このため、少量の薬剤によって、菌が増殖してフィルターに付着するのが抑制される。
【0018】
以上より、被処理水の流れ方向において、活性炭装置の上流側にスライムコントロール剤を注入する場合と比して、少量の薬剤によって、菌が増殖してフィルターに付着するのを抑制することができる。
【0019】
第3態様の超純水製造システムは、第1又は第2態様に記載の超純水製造システムにおいて、前記第一注入部及び第二注入部は、それぞれのエジェクタによりタンク中の薬剤を吸い出して前記主流路の注入する構成であり、被処理水の流れ方向において前記逆浸透膜装置の下流側から分岐する分岐流路から前記第一注入部及び第二注入部のそれぞれのエジェクタに駆動水を供給する共通のポンプを備え、前記第一注入部のエジェクタは、一端が前記分岐流路に接続されると共に他端が前記ろ過装置の上流側に接続される第一固有流路に配置され、前記第二注入部のエジェクタは、一端が前記分岐流路に接続されると共に他端が前記ろ過装置の下流側で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流側に接続される第二固有流路に配置されていることを特徴とする。
【0020】
第3態様では、共通のポンプによって、被処理水が、分岐流路を流れ、さらに、第一固有流路及び第二固有流路を流れる。スラムコントロール剤は、第一注入部のタンクのから流出してエジェクタに流れ、第一固有流路に合流する。合流したスライムコントロール剤は、第一固有流路を流れ、ろ過装置の上流側に注入される。
【0021】
一方、スケール防止剤は、第二注入部のタンクのから流出してエジェクタに流れ、第二固有流路に合流する。合流したスケール防止剤は、第二固有流路を流れ、ろ過装置の下流側で、かつ、逆浸透膜装置の上流側に注入される。
【0022】
以上より、第一注入部のタンクのから薬剤を吸い出すポンプ、及び第二注入部のタンクのから薬剤を吸い出すポンプの両方を有する場合と比して、ポンプの数を少なくすることができる。
【0023】
第4態様の超純水製造システムは、第1~第3態様の何れか1態様に記載の超純水製造システムにおいて、前記第一注入部は、前記主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入することを特徴とする。
【0024】
第4態様では、主流路を流れる被処理水に対して1ppm以上100ppm以下の濃度のスライムコントロール剤が注入される。これにより、菌が増殖してフィルターに付着するのが効果的に抑制されることで、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することができる。
【0025】
第5態様の超純水製造システムは、第1~第4態様の何れか1態様に記載の超純水製造システムにおいて、前記第二注入部は、前記主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入することを特徴とする。
【0026】
第5態様では、主流路を流れる被処理水に対して1ppm以上100ppm以下の濃度のスケール防止剤が注入される。これにより、逆浸透膜に対するスケールの付着が効果的に抑制されることで、長期連続運転において、逆浸透膜の透過水量の低下を抑制することができる。
【0027】
第6態様の超純水製造方法は、主流路を流れる被処理水に対するろ過処理によって懸濁物質を除去し、前記ろ過処理で生じた被処理水に対する逆浸透膜処理によって塩類を除去し、被処理水の流れ方向において、前記ろ過処理の上流側にスライムコントロール剤を注入し、被処理水の流れ方向において、前記ろ過処理の下流側で、かつ、前記逆浸透膜処理の上流側にスケール防止剤を注入することを特徴とする。
【0028】
第6態様では、被処理水の流れ方向において、ろ過処理の上流側にスライムコントロール剤を注入する。これにより、ろ過装置に設けられたフィルターに菌が増殖して付着するのが抑制されることで、フィルターに対するスライムの付着が抑制される。
【0029】
また、被処理水の流れ方向において、ろ過処理の下流側で、かつ、逆浸透膜処理の上流側にスケール防止剤を注入する。これにより、スケール防止剤が、ろ過装置のフィルターを透過することがない。つまり、スケール防止剤が、菌の養分となり、菌が増殖してフィルターに付着する恐れがない。
【0030】
以上より、ろ過処理の上流側にスライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入する場合と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することができる。
【0031】
第7態様の超純水製造方法は、第6態様に記載の超純水製造方法において、被処理水の流れ方向において前記ろ過処理の上流側で、被処理水に対する吸着処理によって天然有機物を除去し、被処理水の流れ方向において、前記吸着処理の下流側にスライムコントロール剤を注入することを特徴とする。
【0032】
第7態様では、被処理水の流れ方向において、吸着処理の下流側にスライムコントロール剤を注入する。これにより、活性炭装置の吸着処理によって、スライムコントロール剤が活性炭に吸着されることがない。このため、少量の薬剤によって、菌が増殖してフィルターに付着するのが抑制される。
【0033】
以上より、被処理水の流れ方向において、吸着処理の上流側にスライムコントロール剤を注入する場合と比して、少量の薬剤によって、菌が増殖してフィルターに付着するのを抑制することができる。
【0034】
第8態様の超純水製造方法は、第6又は第7態様に記載の超純水製造方法において、前記主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入することを特徴とする。
【0035】
第8態様では、主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下である。これにより、菌が増殖してフィルターに付着するのが効果的に抑制され、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することができる。
【0036】
第9態様の超純水製造方法は、第6~第8態様の何れか1態様に記載の超純水製造方法において、前記主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入することを特徴とする。
【0037】
第9態様では、主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下である。これにより、逆浸透膜に対するスケールの付着が効果的に抑制され、長期連続運転において、逆浸透膜の透過水量の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0038】
本願では、ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入する場合と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本実施形態に係る超純水製造システムを示した概略構成図である。
図2】本実施形態に係る実施例、及び実施例に対する比較例についての評価グラフを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本実施形態に係る超純水製造システム10、及び超純水製造方法について、図1図2に従って説明する。この超純水製造システム10は、一次純水装置12と二次純水装置112とを備えている。
【0041】
(一次純水装置12)
一次純水装置12は、図1に示されるように、被処理水が貯留される被処理水ピット14、第一ポンプ18、流量計(FIQ)20、熱交換器(HEX)22、活性炭装置(AC)24、紫外線酸化装置(UV)26、及びろ過装置30を備えている。さらに、一次純水装置12は、第二ポンプ34、第一逆浸透膜装置(RO)38、脱イオン水ピット40、電気式脱イオン装置(EDI)42、イオン交換樹脂装置(MB)44、及び純水タンク46を備えている。
【0042】
そして、被処理水が流れる流れ方向の上流側から順に、被処理水が流れる主流路100に沿って被処理水ピット14、第一ポンプ18、流量計20、熱交換器22、活性炭装置24、紫外線酸化装置26、ろ過装置30、第二ポンプ34、第一逆浸透膜装置38、脱イオン水ピット40、電気式脱イオン装置42、イオン交換樹脂装置44、及び純水タンク46が並んでいる。第一逆浸透膜装置38は、逆浸透膜装置の一例である。
【0043】
また、一次純水装置12は、第一逆浸透膜装置38から分岐する分岐流路102に配置された第二逆浸透膜装置(RO)48、及び主流路100に薬剤を注入する薬剤注入システム60を備えている。
【0044】
以下各装置について説明する。
被処理水ピット14は、被処理水(超純水までの液)を貯留する。被処理水は、原水であって、被処理水としては、工業用水、水道水、地下水、河川水などが挙げられる。第一ポンプ18は、被処理水ピット14に貯留された被処理水を、主流路100に沿って、被処理水の流れ方向(以下「水流れ方向」という場合がある)の下流側へ流す。
【0045】
流量計20は、主流路100を流れる被処理水の流量を計測する。熱交換器22は、被処理水の温度を熱交換によって調整する。活性炭装置24は、吸着処理によって、被処理水から、天然有機物、残留塩素、及びトリハロメタン等を除去する。紫外線酸化装置26は、紫外線照射により、被処理水に含まれる生菌、バクテリアなどを分解して殺菌処理する。
【0046】
ろ過装置30には、被処理水が透過するフィルター(プレフィルター)が設けられている。そして、ろ過装置30は、ろ過処理によって、残留塩素、遊離塩素、又は微粒子等の懸濁物質を除去する。ここで、被処理水がフィルターを透過することで、フィルターを透過しない細菌や藻類などの微生物がフィルターによって除去される。通常、ろ過装置30の上流側に配置された紫外線酸化装置26によって、細菌や藻類の増殖が抑制されるため問題を起こすことはない。しかし、条件によっては、増殖が抑制されていない一部の細菌や藻類(微生物)によってスライム(汚濁物)が形成される恐れがある。
【0047】
なお、プレフィルターとしては、除濁用のマイクロフィルターを使用することができる。デプスタイプ、又は表層ろ過タイプのいずれのフィルターも使用可能である。ろ過精度としては、0.5~50μm、好ましくは、1~10μmが好ましい。形状については、カートリッジ式、不織布式、糸巻式、プリーツ式、バグタイプ等が使用可能である。素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機ポリマーの素材やステンレス等の金属素材が使用可能である。具体的には、Micro-Wind 糸巻き式フィルターカートリッジ、NWシリーズ(住友スリーエム株式会社製)、Micro-Klean(TM) 糸巻きフィルターカートリッジ、Dシリーズ(住友スリーエム株式会社製)、糸巻き式フィルターカートリッジ、WFシリーズ(BJY コーポレーション社製)、バグ式フィルター、BFシリーズ(BJY コーポレーション社製)が例示される。活性炭フィルターやイオン交換フィルター等の吸着性能を付加させたフィルターは、スライムコントロール剤やスケール防止剤を吸着させる恐れがあるので好ましくない。
【0048】
第二ポンプ34は、高圧ポンプであって、ろ過装置30によって不純物が除去された被処理水を、第一逆浸透膜装置38へ流す。
【0049】
第一逆浸透膜装置38には、被処理水が透過する逆浸透膜が設けられ、第一逆浸透膜装置38は、逆浸透膜処理によって、イオン、塩類を除去した透過水と、濃縮水とに被処理水を分離する。このように、被処理水が逆浸透膜を透過することで、逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかったシリカ、カルシウム等のスケールが付着する恐れがある。また、逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかった細菌や藻類など微生物により形成されたスライム(汚濁物)が付着する恐れがある。なお、スケールとは、液中に溶け込んでいるカルシウムやシリカなどが析出して固まったものである。
【0050】
脱イオン水ピット40は、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過した透過水を一時的に貯留する。電気式脱イオン装置42は、被処理水(透過水)を電気的に再生しながら、脱イオン処理を行う。イオン交換樹脂装置44は、アニオン樹脂とカチオン樹脂の混床式のイオン交換装置であり、被処理水から無機イオンを除去する。純水タンク46は、一次純水装置12によって製造された一次純水を貯留する。
【0051】
〔第二逆浸透膜装置48〕
第二逆浸透膜装置48は、図1に示されるように、第一逆浸透膜装置38から分岐する分岐流路102の途中に配置されている。分岐流路102は、第一逆浸透膜装置38によって分離した濃縮水が流れる流路であって、一端が第一逆浸透膜装置38に接続され、他端が被処理水ピット14に接続されている。
【0052】
第二逆浸透膜装置48には、濃縮水が透過する逆浸透膜が設けられ、第二逆浸透膜装置48は、逆浸透膜処理によって、第一逆浸透膜装置38によって分離した濃縮水からイオン、塩類を除去した処理水と、排水(酸化水)とに分離する。排水は、排水ピット52に貯留され、処理水は、被処理水ピット14に戻される。
【0053】
このように、濃縮水が第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜を透過することで、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかったシリカ、カルシウム等のスケールが付着する恐れがある。さらに、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜には、逆浸透膜を透過しなかった細菌や藻類など微生物により形成されたスライム(汚濁物)が付着する恐れがある。
【0054】
〔薬剤注入システム60〕
薬剤注入システム60は、図1に示されるように、第三ポンプ50、第一注入部62、及び第二注入部82を備えている。第三ポンプ50は、一端が脱イオン水ピット40に接続された分岐流路104aに配置されている。第三ポンプ50は、ポンプの一例である。
【0055】
-第一注入部62-
第一注入部62は、一端が分岐流路104aの他端に接続され、他端が主流路100において紫外線酸化装置26とろ過装置30との間の部分の流路100aに接続される第一固有流路104bに配置された第一エジェクタ64を備えている。さらに、第一注入部62は、液状のスライムコントール剤が貯留される第一タンク70、第一流量計(FIQ)66、及び第一流量調整弁(FCV)68を備えている。
【0056】
また、第一流量計66、及び第一流量調整弁68は、第一タンク70から第一エジェクタ64の吸入口64aまでを繋ぐ第一注入流路106に配置されている。具体的には、第一タンク70から第一エジェクタ64の吸入口64aへ向かって、第一流量計66、及び第一流量調整弁68は、この順に配置されている。
【0057】
なお、第一タンク70に貯留されるスライムコントロール剤は、主に、ヒドラジン系、有機窒素系、芳香族系、銀イオン系に大別される。具体的には、スライムコントロール剤としては、2,2-ジブロモ-3-ニトロプロピオンアシド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Cl-MIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT),4,5-ジクロロ-1,2-ジチオラン-3-オン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ベンゾイソチアゾリン-3-オン、グルタールアルデヒド、硝酸銀、硫酸銀等の銀化合物、硫酸銅、硝酸銅等の銅化合物、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等のニッケル化合物などが挙げられる。
【0058】
この構成において、第一流量計66の計測データ及び流量計20の計測データに基づいて第一流量調整弁68を制御する。これにより、主流路100を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤が、第一注入流路106を流れて第一エジェクタ64を通って第一固有流路104bに合流する。さらに、第一固有流路104bに合流して流れるスライムコントール剤は、紫外線酸化装置26とろ過装置30との間の部分の流路100aに注入される。換言すれば、第一注入部62は、紫外線酸化装置26とろ過装置30との間の部分の流路100aにスライムコントール剤を注入する。なお、紫外線酸化装置26が設置されない場合には、第一注入部62は、活性炭装置24とろ過装置30との間の部分の流路100aにスライムコントール剤を注入する。
【0059】
そして、スライムコントロール剤は、流路100aを流れる被処理水に含有される。被処理水に含有されたスライムコントール剤は、主流路100を流れてろ過装置30のフィルターを透過し、第一逆浸透膜装置38に到達する。第一逆浸透膜装置38に到達したスライムコントール剤は、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく濃縮水に含有し、分岐流路102を流れる。ここで、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく濃縮水に含有するスライムコントール剤の濃度は、第一逆浸透膜装置38に到達する前の状態のスライムコントール剤の濃度と比して高くなる。
【0060】
さらに、高濃度となったスライムコントール剤を含有する濃縮水は、分岐流路102を流れて第二逆浸透膜装置48に到達する。第二逆浸透膜装置48に到達したスライムコントール剤は、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜を透過することなく排水に含有し、排水ピット52に排出される。
【0061】
-第二注入部82-
第二注入部82は、一端が分岐流路104aの他端に接続され、他端が主流路100においてろ過装置30と第二ポンプ34との間の部分の流路100bに接続されている第二固有流路104cに配置された第二エジェクタ84を備えている。さらに、第二注入部82は、液状のスケール防止剤が貯留される第二タンク90、第二流量計(FIQ)86、及び第二流量調整弁(FCV)88を備えている。
【0062】
また、第二流量計86、及び第二流量調整弁88は、第二タンク90から第二エジェクタ84の吸入口84aまでを繋ぐ第二注入流路108に配置されている。具体的には、第二タンク90から第二エジェクタ84の吸入口84aへ向かって、第二流量計86、及び第二流量調整弁88は、この順に配置されている。
【0063】
なお、スケール防止剤は、主に、ホスホン酸系、ポリカルボン酸系、アクリル酸系に大別される。具体的には、スケール防止剤としては、オルガノ株式会社製の「オルパージョン」シリーズ、BWA Water Additives社製の「Flocon(登録商標)」シリーズ、Nalco社製の「PermaTreat(登録商標)」シリーズ、ゼネラル・エレクトリック社製の「Hypersperse(登録商標)」シリーズ、栗田工業株式会社製の「クリバーター( 登録商標) 」シリーズなどが挙げられる。
【0064】
この構成において、第二流量計86の計測データ及び流量計20の計測データに基づいて第二流量調整弁88を制御する。これにより、主流路100を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤が、第二注入流路108を流れて第二エジェクタ84を通って第二固有流路104cに合流する。さらに、第二固有流路104cに合流して流れるスケール防止剤は、ろ過装置30と第二ポンプ34と間の部分の流路100bに注入される。換言すれば、第二注入部82は、ろ過装置30と第二ポンプ34と間の部分の流路100bにスケール防止剤を注入する。
【0065】
そして、スケール防止剤は、流路100bを流れる被処理水に含有される。被処理水に含有されたスケール防止剤は、主流路100を流れて第一逆浸透膜装置38に到達する。第一逆浸透膜装置38に到達したスケール防止剤は、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく濃縮水に含有し、分岐流路102を流れる。ここで、第一逆浸透膜装置38の逆浸透膜を透過することなく濃縮水に含有するスケール防止剤の濃度は、第一逆浸透膜装置38に到達する前の状態のスケール防止剤の濃度と比して高くなる。
【0066】
さらに、高濃度となったスケール防止剤を含有する濃縮水は、分岐流路102を流れて第二逆浸透膜装置48に到達する。第二逆浸透膜装置48に到達したスケール防止剤は、第二逆浸透膜装置48の逆浸透膜を透過することなく排水に含有し、排水ピット52に排出される。
【0067】
(二次純水装置112)
二次純水装置112は、図1に示されるように、水流れ方向において、純水タンク46の下流側に配置されている。
【0068】
この構成において、二次純水装置112は、一次純水からさらに不純物を取り除く。そして、二次純水装置112によって得られた超純水は、使用場所であるユースポイント120へ送られる。ユースポイント120へ送られた超純水のうち、使用されなかった超純水はそのまま純水タンク46へ戻され、一次純水と一緒に純水タンク46に貯留される。
【0069】
(実施例1、比較例1、比較例2)
次に、本願を実施例1、及び実施例1に対する比較例1、比較例2によって、さらに詳細に説明する。ただし、本願は、以下の実施例の内容に限定されるものでない。
【0070】
〔比較例1〕
比較例1では、水流れ方向においてろ過装置30の下流側に、スケール防止剤及びスライムコントール剤を注入する。具体的には、図1に示す流路100bにスケール防止剤及びスライムコントール剤を注入する。
【0071】
〔比較例2〕
比較例2では、水流れ方向においてろ過装置30の上流側に、スケール防止剤及びスライムコントール剤を注入する。具体的には、図1に示す流路100aにスケール防止剤及びスライムコントール剤を注入する。
【0072】
〔比較例3〕
比較例3では、水流れ方向においてろ過装置30の上流側にスケール防止剤を注入し、ろ過装置30の下流側にスライムコントール剤を注入する。具体的には、図1に示す流路100aにスケール防止剤を注入し、流路100bにスライムコントール剤を注入する。
【0073】
〔実施例1〕
実施例1では、水流れ方向においてろ過装置30の上流側にスライムコントール剤を注入し、ろ過装置30の下流側にスケール防止剤を注入する。具体的には、図1に示す流路100aにスライムコントール剤を注入し、流路100bにスケール防止剤を注入する。
【0074】
〔評価条件〕
フラックス 20m/h、ろ過精度(公称) 1μm、フィルター型式 バグタイプ。
なお、薬剤の注入位置以外の他の評価条件についても、比較例1、比較例2、実施例1において全て同様とする。
【0075】
〔評価結果〕
図2には、比較例1及び実施例1の評価結果がグラフで示されている。グラフの縦軸は、ろ過装置30の上流側の水圧と下流側の水圧との差(通水差圧)であって、横軸は、ろ過装置30に被処理水を透過させた時間(通水時間)である。
【0076】
比較例1については、図2のグラフに示されるように、概ね7日間の運転継続で、通水差圧の変化が大きくなる。これは、機能的に問題が生じるレベルであり、運転停止又はフィルターの交換となる。
【0077】
比較例2については、比較例1と同様に、概ね7日間の運転継続で、通水差圧の変化が大きくなる。これは、機能的に問題が生じるレベルであり、運転停止又はフィルターの交換となる。
【0078】
比較例3については、比較例1と同様に、概ね7日間の運転継続で、通水差圧の変化が大きくなる。これは、機能的に問題が生じるレベルであり、運転停止又はフィルターの交換となる。
【0079】
実施例1については、図2のグラフに示されるように、50日間の運転継続で、通水差圧の変化が小さい。つまり、比較例1及び比較例2と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下が抑制されている。これは、機能的に問題が生じるレベルではなく、運転継続が可能となる。
【0080】
(まとめ)
以上説明したように、第一注入部62は、紫外線酸化装置26とろ過装置30との間の部分の流路100aにスライムコントール剤を注入する。そして、被処理水に含有されたスライムコントール剤は、主流路100を流れてろ過装置30のフィルターを透過する。これにより、フィルターに付着しる菌が増殖するのが抑制される。
【0081】
なお、一般的に、純水装置に薬剤を注入する場合には、薬剤を均一に混合することが求められる。このため、例えば、薬剤は、ポンプに対して上流側で注入される。しかし、本発明の方法の場合、注入されたスライムコントロール剤は、均一に混合されることなくフィルターに到達することで、より高いスライム発生の抑制効果が得られる。これは高濃度のスライムコントロール剤と接触したフィルターメディアでスライムの発生を抑制する高い効果が得られると推測される。なお、高濃度のスライムコントロール剤は、フィルターメディアに順次接触するため、最終的にフィルター全体でスライムの発生を抑制できる。
【0082】
上記効果を発揮させるために、薬剤の注入位置の下流側とろ過装置30と間には、インラインミキサー等の薬剤の混合を促進させる装置やポンプを設置しないことがより好ましい。
【0083】
一方、第二注入部82は、ろ過装置30と第二ポンプ34と間の部分の流路100bにスケール防止剤を注入する。これにより、スケール防止剤が、ろ過装置のフィルターを透過することがない。つまり、スケール防止剤が、菌の養分となり、菌が増殖してフィルターに付着する恐れがない。
【0084】
以上より、超純水製造システム10及び超純水製造方法においては、ろ過装置30の上流側にスライムコントロール剤及びスケール防止剤を注入する場合と比して、長期連続運転において、フィルターの透過水量の低下を抑制することができる。
【0085】
また、第一注入部62は、水流れ方向において活性炭装置24の下流側の流路100aにスライムコントロール剤を注入する。このため、スライムコントロール剤が、活性炭装置24を通過することがない。つまり、活性炭装置24の吸着処理によって、スライムコントロール剤が活性炭に吸着されることがない。このため、少量の薬剤によって、菌がフィルターで増殖するのが抑制される。
【0086】
同様に、紫外線酸化装置26が設置されている場合には、紫外線酸化装置26におけるスライムコントロール剤の紫外線分解を避けるため、紫外線酸化装置26に対して下流側にスライムコントロール剤を注入することが好ましい。なお、本開示の方法を用いると、フィルターでの菌の増殖がスライムコントロール剤によって抑制されるため、紫外線酸化装置26を設置しなくても良い。
【0087】
以上より、超純水製造システム10及び超純水製造方法においては、被処理水の流れ方向において、活性炭装置24の上流側にスライムコントロール剤を注入する場合と比して、少量の薬剤によって、菌が増殖してフィルターに付着するのを著しく抑制することができる。
【0088】
また、第三ポンプ50は、一端が脱イオン水ピット40に接続された分岐流路104aに配置されている。さらに、第三ポンプ50は、脱イオン水ピット40に貯留された被処理水の一部を、第一固有流路104b及び第二固有流路104cへ流す。そして、スライムコントロール剤は、第一注入流路106を流れて第一エジェクタ64を通って第一固有流路104bに合流する。また、スケール防止剤が、第二注入流路108を流れて第二エジェクタ84を通って第二固有流路104cに合流する。
【0089】
このように、共通の第三ポンプ50によって、被処理水は、第一固有流路104b及び第二固有流路104cを流れる。
以上より、第一注入部62の第一タンク70のからスライムコントロール剤を吸い出すポンプ、及び第二注入部82の第二タンク90のからスケール防止剤を吸い出すポンプの両方を有する場合と比して、ポンプの数を少なくすることができる。
【0090】
また、被処理水に含有されたスライムコントール剤は、主流路100を流れてろ過装置30のフィルターを透過し、第一逆浸透膜装置38に到達する。さらに、被処理水に含有されたスケール防止剤は、主流路100を流れて第一逆浸透膜装置38に到達する。
【0091】
以上より、超純水製造システム10及び超純水製造方法においては、第一逆浸透膜装置38に設けられた逆浸透膜に対するスライムの付着が抑制される。さらに、第一逆浸透膜装置38に設けられた逆浸透膜に対するスケールの付着が抑制される。これにより、長期連続運転において、第一逆浸透膜装置38に設けられた逆浸透膜の透過水量の低下を抑制することができる。
【0092】
また、高濃度となったスライムコントール剤を含有する濃縮水が、第二逆浸透膜装置48に到達する。さらに、高濃度となったスケール防止剤を含有する濃縮水が、第二逆浸透膜装置48に到達する。
【0093】
以上より、超純水製造システム10及び超純水製造方法においては、第二逆浸透膜装置48に設けられた逆浸透膜に対するスライムの付着が抑制される。さらに、第二逆浸透膜装置38に設けられた逆浸透膜に対するスケールの付着が抑制される。これにより、長期連続運転において、第二逆浸透膜装置48に設けられた逆浸透膜の透過水量の低下を抑制することができる。
【0094】
また、第一注入部62は、主流路100を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入する。このため、ろ過装置30に設けられたフィルターに対するスライムの付着、第一逆浸透膜装置38に設けられた逆浸透膜に対するスライムの付着、及び第二逆浸透膜装置48に設けられた逆浸透膜に対するスライムの付着を、効果的に抑制することができる。なお、本開示の効果を十分に発揮するためには、スライムコントロール剤の濃度は、2~20ppmがより好ましい。4~10ppmがさらに好ましい。
【0095】
また、第二注入部82は、主流路100を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入する。このため、第一逆浸透膜装置38に設けられた逆浸透膜に対するスケールの付着、及び第二逆浸透膜装置48に設けられた逆浸透膜に対するスケールの付着を、効果的に抑制することができる。なお、本開示の効果を十分に発揮するためには、スケール防止剤の濃度は、2~20ppmがより好ましい。4~10ppmがさらに好ましい。
【0096】
なお、上記では、活性炭装置24の下流側の流路100aにスライムコントロール剤を注入したが、活性炭装置24の上流側にスライムコントロール剤を注入してもよい。この場合には、活性炭装置24の下流側の流路100aにスライムコントロール剤を注入することで奏する作用は奏しない。
【0097】
また、上記では、第三ポンプ50は、一端が脱イオン水ピット40に接続された分岐流路104aに配置された。また、第一固有流路104b及び第二固有流路104cは、分岐流路104aに接続された。しかし、第一固有流路が脱イオン水ピット40に接続され、かつ、第二固有流路が脱イオン水ピット40に接続されている場合には、第一固有流路及び第二固有流路の夫々にポンプを配置してもよい。この場合には、第三ポンプ50が分岐流路104aに配置されることで奏する作用は奏しない。
【符号の説明】
【0098】
10 超純水製造システム
24 活性炭装置
30 ろ過装置
38 第一逆浸透膜装置(逆浸透膜装置の一例)
50 第三ポンプ(ポンプの一例)
62 第一注入部
64 第一エジェクタ(エジェクタの一例)
70 第一タンク(タンクの一例)
82 第二注入部
84 第一エジェクタ(エジェクタの一例)
90 第二タンク(タンクの一例)
100 主流路
104a 分岐流路
104b 第一固有流路
104c 第二固有流路








































図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
(まとめ)
以上説明したように、第一注入部62は、紫外線酸化装置26とろ過装置30との間の部分の流路100aにスライムコントール剤を注入する。そして、被処理水に含有されたスライムコントール剤は、主流路100を流れてろ過装置30のフィルターを透過する。これにより、フィルターに付着する菌が増殖するのが抑制される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路を流れる被処理水が透過するフィルターが設けられたろ過装置と、
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側に配置され、逆浸透膜が設けられた逆浸透膜装置と、
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側にスライムコントロール剤を注入する第一注入部と、
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の下流側で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流側にスケール防止剤を注入する第二注入部と、
被処理水の流れ方向においてスライムコントロール剤が注入される前記主流路の部分に対して上流側に配置され、前記第一注入部によって注入されたスライムコントロール剤を前記ろ過装置へ向けて流す第一ポンプと、
を備える超純水製造システム。
【請求項2】
被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側に配置された活性炭装置を、備え、
前記第一注入部は、被処理水の流れ方向において前記ろ過装置の上流側で、かつ、前記活性炭装置の下流側にスライムコントロール剤を注入する、
請求項1に記載の超純水製造システム。
【請求項3】
前記第一注入部及び第二注入部は、それぞれのエジェクタによりタンク中の薬剤を吸い出して前記主流路に注入する構成であり、被処理水の流れ方向において前記逆浸透膜装置の透過側における下流側から分岐する分岐流路から前記第一注入部及び第二注入部のそれぞれのエジェクタに駆動水を供給する共通のポンプを備え、
前記第一注入部のエジェクタは、一端が前記分岐流路に接続されると共に他端が前記ろ過装置の上流側に接続される第一固有流路に配置され、前記第二注入部のエジェクタは、一端が前記分岐流路に接続されると共に他端が前記ろ過装置の下流側で、かつ、前記逆浸透膜装置の上流側に接続される第二固有流路に配置されている、
請求項1又は2に記載の超純水製造システム。
【請求項4】
前記第一注入部は、前記主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入する、
請求項1~3の何れか1項に記載の超純水製造システム。
【請求項5】
前記第二注入部は、前記主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入する、
請求項1~4の何れか1項に記載の超純水製造システム。
【請求項6】
主流路を流れる被処理水に対するろ過処理によって懸濁物質を除去し、
前記ろ過処理で生じた被処理水に対する逆浸透膜処理によって塩類を除去し、
被処理水の流れ方向において、前記ろ過処理の上流側にスライムコントロール剤を注入し、
被処理水の流れ方向において、スライムコントロール剤が注入される前記主流路の部分に対して上流側で、注入されたスライムコントロール剤を前記ろ過処理させる圧力が生じ、
被処理水の流れ方向において、前記ろ過処理の下流側で、かつ、前記逆浸透膜処理の上流側にスケール防止剤を注入する超純水製造方法。
【請求項7】
被処理水の流れ方向において前記ろ過処理の上流側で、被処理水に対する吸着処理によって天然有機物を除去し、
被処理水の流れ方向において、前記吸着処理の下流側にスライムコントロール剤を注入する、
請求項6に記載の超純水製造方法。
【請求項8】
前記主流路を流れる被処理水に対するスライムコントロール剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スライムコントロール剤を注入する、
請求項6又は7に記載の超純水製造方法。
【請求項9】
前記主流路を流れる被処理水に対するスケール防止剤の濃度が1ppm以上100ppm以下となるように、スケール防止剤を注入する、
請求項6~8の何れか1項に記載の超純水製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1