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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051450
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】アクチュエータ及び水上バイク
(51)【国際特許分類】
   B63B 34/10 20200101AFI20230404BHJP
   B63H 11/11 20060101ALI20230404BHJP
   B63H 25/46 20060101ALI20230404BHJP
   B63H 25/24 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B63B34/10
B63H11/11
B63H25/46
B63H25/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162129
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊介
(72)【発明者】
【氏名】青山 宏文
(57)【要約】
【課題】モータの回転量を検出する装置を分解することなく、リバースゲートなどの水流方向変更部を正確に制御すること。
【解決手段】アクチュエータは、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続され、モータの回転によって前記水流方向変更部の角度を調整するロッドを、進退移動させるロッド駆動部と、磁束の変化に基づきモータの回転量を検出するセンサと、前記モータの回転量に基づき、前記ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、前記駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、前記駆動ストローク総量の測定を開始する基準位置を修正する基準位置修正部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続され、モータの回転によって前記水流方向変更部の角度を調整するロッドを、進退移動させるロッド駆動部と、
磁束の変化に基づきモータの回転量を検出するセンサと、
前記モータの回転量に基づき、前記ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、
前記駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、前記駆動ストローク総量の測定を開始する基準位置を修正する基準位置修正部と、
を備えるアクチュエータ。
【請求項2】
前記センサは、モータに内蔵されているホールICである請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体を前進又は後進させるリバースゲートである、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体の水平方向に対する傾斜角度を変更するトリムゲートである、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載のアクチュエータを備えた水上バイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ及び水上バイクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水上バイクの船体に設けられているリバースゲートのアクチュエータに不具合が生じた場合でも、ノズルから噴射された水がリバースゲートに遮られないように制御して、水上バイクを前進させる技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているアクチュエータは、リバースゲートから伸びるロッドの端部に接続され、回転運動をロッドが直線移動する直線運動に変換することで、当該ロッドを進退移動させるロッド駆動部と、該ロッド駆動部を回転させるモータと、ロッド駆動部の回転量を検出する検出装置とを備えている。検出装置は、ポテンショメータなどで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-080041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているアクチュエータは、ロッド駆動部の回転量を機械式の検出装置で検出するため、検出装置を構成している部品が劣化すると、検出装置で検出される回転量に誤差が含まれるようになり、リバースゲートを正確に制御することが困難である。
【0006】
この誤差を補正するためには船体からアクチュエータを取り外した上、検出装置を構成する部品を分解して交換するなどの作業が発生する。このため、運用を開始した船体からアクチュエータを取り外すことなく、リバースゲートなどの水流方向変更部をいかに正確に制御できるかが重要な課題となっている。
【0007】
本発明の目的は、モータの回転量を検出する装置を分解することなく、リバースゲートなどの水流方向変更部を正確に制御できるアクチュエータ及び水上バイクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアクチュエータは、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続され、モータの回転によって前記水流方向変更部の角度を調整するロッドを、進退移動させるロッド駆動部と、磁束の変化に基づきモータの回転量を検出するセンサと、前記モータの回転量に基づき、前記ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、前記駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、前記駆動ストローク総量の測定を開始する基準位置を修正する基準位置修正部と、を備える。
【0009】
本発明の水上バイクは、上記のアクチュエータを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータの回転量を検出する装置を分解することなく、リバースゲートなどの水流方向変更部を正確に制御できるアクチュエータ及び水上バイクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る水上バイク100の構成例を示す図
図2】船体1が前進状態であるときの推進機構3の構成例を示す図
図3】船体1が後退状態であるときの推進機構3の構成例を示す図
図4】アクチュエータ10の構成例を示す図
図5】ロッド駆動部11の構成例を示す図
図6】ロッド駆動部12の構成例を示す図
図7】本発明の実施の形態に係るECU13の構成例を示す図
図8A】アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート
図8B】アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート
図9】ロッド11a、12aの駆動ストロークの測定を開始する基準位置を修正するECU13Aの構成例を示す図
図10A】アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート
図10B】アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート
図10C】アクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャート
図11】フォワードポジションPが所定の位置に設定された後、リバースポジションPが所定の位置に設定される場合の動作を説明するためのフローチャート
図12A】リバースポジションPが所定の位置に設定される場合の動作を説明するための図
図12B】リバースポジションPが所定の位置に設定される場合の動作を説明するための図
図12C】リバースポジションPが所定の位置に設定される場合の動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[水上バイク100]
図1は本発明の実施の形態に係る水上バイク100の構成例を示す図である。水上バイク100は、船体1、原動機2、推進機構3、及びアクチュエータ10を備えている。
【0014】
[原動機2]
原動機2は、推進機構3を駆動するモータ、内燃機関などである。原動機2は、船体1の内部に設けられているドライブシャフト4を介して、推進機構3に接続されている。
【0015】
[ドライブシャフト4]
ドライブシャフト4は、推進機構3から延伸しているインペラシャフト31に接続されている。インペラシャフト31は、原動機2の回転力をインペラに伝達するためのシャフトである。
【0016】
[アクチュエータ10]
アクチュエータ10は、推進機構3が備えている水流方向変更部の角度を調整するための装置である。なお、アクチュエータ10と水流方向変更部の詳細は後述する。
【0017】
アクチュエータ10は、ロッド11a及びロッド12aを介して、水流方向変更部に接続されている。ロッド11a及びロッド12aは、水流方向変更部の角度を調整するための進退移動部材である。
【0018】
[推進機構3]
推進機構3は、原動機2の回転力によって、船体1の周囲の水を吸引し、吸引した水を噴射することによって、船体1を推進させるための推進力を発生する機構である。
【0019】
次に図2及び図3を参照して推進機構3の構成例を説明する。図2は船体1が前進状態であるときの推進機構3の構成例を示す図、図3は船体1が後退状態であるときの推進機構3の構成例を示す図である。
【0020】
推進機構3は、インペラシャフト31、インペラ32、ノズル33、トリムゲート34、及びリバースゲート35を備えている。
【0021】
[インペラシャフト31]
インペラシャフト31は、インペラ32に接続されている。インペラ32は、インペラシャフト31とともに回転することによって水を吸引し、吸引した水をノズル33から噴出する動翼である。
【0022】
[ノズル33]
ノズル33は、インペラ32が回転することで吸引された水を特定の方向に噴出する排水口である。
【0023】
[トリムゲート34]
トリムゲート34は、図1に示す船体1の水平方向に対する傾斜角度を変更するために、ノズル33が噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部の一例である。トリムゲート34は、ノズル33の後方に配置されている。
【0024】
トリムゲート34には、図1に示すアクチュエータ10から伸びているロッド11aが接続されている。
【0025】
ロッド11aが進退移動することにより、トリムゲート34は、ノズル33から噴出する水流の方向を転換するように動作する。
【0026】
例えば、ロッド11aがトリムゲート34に向かって前進した場合、トリムゲート34の吹き出し口が下側に傾くため、ノズル33から噴出する水流は、斜め下方向に流れる。
【0027】
ロッド11aがトリムゲート34から図1に示すアクチュエータ10に向かって後退した場合、トリムゲート34の吹き出し口が上側に傾くため、ノズル33から噴出する水流は、斜め上方向に流れる。
【0028】
[リバースゲート35]
リバースゲート35は、トリムゲート34から噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部の一例である。リバースゲート35は、船体1の船首からトリムゲート34を見て、トリムゲート34の後方に配置されている。
【0029】
リバースゲート35には、図1に示すアクチュエータ10から伸びているロッド12aが接続されている。ロッド12aが進退移動することにより、ロッド12aに接続されているリバースゲート35は、トリムゲート34から噴出する水流の方向を転換するように動作する。
【0030】
例えば、ロッド12aがリバースゲート35から図1に示すアクチュエータ10に向かって後退した場合、リバースゲート35は、図2に示すように、トリムゲート34の吹き出し口を開放するように回転する。
【0031】
この場合、トリムゲート34から噴出する水流WFは、図1に示す船体1の後方に向かって流れる。これにより船体1を前進させることができる。
【0032】
この状態から、ロッド12aがリバースゲート35に向かって前進した場合、リバースゲート35は、図3に示すように、トリムゲート34の吹き出し口を塞ぐように回転する。
【0033】
この場合、トリムゲート34から噴出する水流WFは、船体1の斜め前方に流れる。これにより、船体1を後退させることができる。
【0034】
次に図4を参照してアクチュエータ10の構成例を説明する。図4はアクチュエータ10の構成例を示す図である。
【0035】
アクチュエータ10は、ロッド11aを進退移動させるロッド駆動部11と、ロッド12aを進退移動させるロッド駆動部12と、ロッド駆動部11及びロッド駆動部12を制御するためのECU(Electronic Control Unit)13と、ケース14とを備えている。
【0036】
ロッド11aにはロッド駆動部11が連結され、ロッド12aにはロッド駆動部12が連結されている。
【0037】
次に図5を参照してロッド駆動部11の構成を具体的に説明する。図5はロッド駆動部11の構成例を示す図である。
【0038】
[ロッド駆動部11]
ロッド駆動部11は、第1モータ11bと、第1モータ11bによって回転する回転部材11cと、第1モータ11bの回転量を検出するセンサ11dと、駆動部11eとを備えている。
【0039】
第1モータ11bは駆動部11eに接続されている。駆動部11eは、出力軸11e1、ハウジング11e2、ハウジング11e2に収納されている不図示の減速機構などを備えている。
【0040】
当該減速機構は、第1モータ11bの回転力を減速して出力軸11e1に伝達するためのウォームギヤ、ウォームホイールなどを組み合わせた機構である。
【0041】
出力軸11e1には回転部材11cが接続され、回転部材11cにはロッド11aの端部が連結されている。出力軸11e1とともに回転部材11cが回転することによって、第1モータ11bの回転運動を、ロッド11aが直線移動する直線運動に変換することができる。
【0042】
回転部材11cは、回転部材11cの回転方向におけるニュートラルポジションPを中心にして、第1回転方向CDに回転し、又は、第1回転方向とは反対側の第2回転方向CCDに回転する。
【0043】
ニュートラルポジションPは、回転部材11cがアップポジションPからダウンポジションPまで回転するときの中間位置である。
【0044】
アップポジションPは、図2に示されるトリムゲート34の吹き出し口が斜め上方に向かうように、トリムゲート34の角度を所定角度に設定する位置である。
【0045】
アップポジションPは、例えば、図1に示される水上バイク100に設けられている不図示のボタンなどが押された場合に設定される回転部材11cの回転方向における基準位置に等しい。
【0046】
また、アップポジションPは、例えば図1に示される船体1へアクチュエータ10を組み付けるために、船体1の組立て工場に向けてアクチュエータ10を出荷するときに設定される回転位置である。
【0047】
ダウンポジションPは、図2に示されるトリムゲート34の吹き出し口が斜め下方に向かうように、トリムゲート34の角度を所定角度に設定する位置である。
【0048】
第1回転方向CDは、図5に示す回転部材11cを時計回り方向に回転させる方向である。
【0049】
回転部材11cがニュートラルポジションPから第1回転方向CDに向かってアップポジションPまで回転したときの回転角度θは、回転部材11cがニュートラルポジションPから第2回転方向CCDに向かってダウンポジションPまで回転したときの回転角度θと等しい。
【0050】
回転部材11cの基準位置は、第1モータ11bの回転量に基づき、後述する基準位置設定部によって、所定の位置に設定される。基準位置を設定する方法の詳細は後述する。
【0051】
センサ11dは、第1モータ11bの回転量を検出する回転量検出手段である。
【0052】
例えば、センサ11dは、第1モータ11bの不図示のロータに設置された回転量検出用マグネットから発生する磁束の変化を検出し、磁束の変化に対応した電圧を、パルス信号として図4に示すECU13に送信する。
【0053】
第1モータ11bの回転量は、第1モータ11bが回転するときにセンサ11dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値に基づき、図4に示すECU13によって算出される。パルスカウント値は、第1モータ11bの回転量に対応している。
【0054】
なお、第1モータ11bの回転量は、第1モータ11bが回転するときのパルスカウント値に代えて、第1モータ11bが回転するときに計測される時間に基づき算出されてもよい。
【0055】
この場合、例えば、第1モータ11bの回転量は、回転部材11cが、アップポジションPからダウンポジションPまで、又は、ダウンポジションPからアップポジションPまでの回転時間に対する第1モータ11bの回転時間の比に基づき、図4に示すECU13によって算出される。
【0056】
センサ11dは、例えば第1モータ11bに内蔵されているホールIC(Integrated Circuit)である。第1モータ11bに内蔵されているセンサ11dを用いることによって、第1モータ11bの周囲に、回転量検出手段を設けるためのスペースを確保する必要がなくなる。このため、アクチュエータ10の設計の自由度が向上し、アクチュエータ10の設計変更に要する時間を短縮することができる。
【0057】
なお、センサ11dには、第1モータ11bに内蔵されている回転量検出手段に代えて、第1モータ11bの外部に設けられている回転量検出手段を用いてもよい。この場合、当該回転量検出手段は、第1モータ11bの回転軸の回転量を検出して、検出した回転量を示す信号をECU13に送信する。
【0058】
次に図6を参照してロッド駆動部12の構成例を説明する。図6はロッド駆動部12の構成例を示す図である。
【0059】
[ロッド駆動部12]
ロッド駆動部12は、第2モータ12bと、第2モータ12bによって回転する回転部材12cと、第2モータ12bの回転量を検出するセンサ12dと、駆動部12eとを備えている。
【0060】
第2モータ12bは、駆動部12eに接続されている。駆動部12eは、出力軸12e1、ハウジング12e2、ハウジング12e2に収納されている不図示の減速機構などを備えている。
【0061】
当該減速機構は、第2モータ12bの回転力を減速して出力軸12e1に伝達するためのウォームギヤ、ウォームホイールなどを組み合わせた機構である。
【0062】
出力軸12e1には回転部材12cが接続され、回転部材12cにはロッド12aの端部が連結されている。出力軸12e1とともに回転部材12cが回転することによって、第2モータ12bの回転運動を、ロッド12aが直線移動する直線運動に変換することができる。
【0063】
回転部材12cは、回転部材12cの回転方向におけるニュートラルポジションPから、第1回転方向CDに回転し、又は、第1回転方向CDとは反対側の第2回転方向CCDに回転する。
【0064】
ニュートラルポジションPは、回転部材12cがリバースポジションPからフォワードポジションPまで回転するときの中間位置である。
【0065】
フォワードポジションPは、図2に示されるリバースゲート35がトリムゲート34の吹き出し口を開放するように、リバースゲート35の角度を所定角度に設定する位置である。
【0066】
リバースポジションPは、図2に示されるリバースゲート35がトリムゲート34の吹き出し口を塞ぐように、リバースゲート35の角度を所定角度に設定する位置である。
【0067】
リバースポジションPは、例えば、図1に示される水上バイク100に設けられている不図示のボタンなどが押された場合に設定される回転部材12cの回転方向における基準位置である。
【0068】
また、リバースポジションPは、例えば、図1に示される船体1へアクチュエータ10を組み付けるために、船体1の組み立て工場に向けてアクチュエータ10を出荷するときに設定される回転位置である。
【0069】
第1回転方向CDは、図6に示す回転部材12cを時計回り方向に回転させる方向である。
【0070】
回転部材12cがニュートラルポジションPから第1回転方向CDに向かってリバースポジションPまで回転したときの回転角度θは、回転部材12cがニュートラルポジションPから第2回転方向CCDに向かってフォワードポジションPまで回転したときの回転角度θと等しい。
【0071】
回転部材12cの基準位置は、第2モータ12bの回転量に基づき、後述する基準位置設定部によって、所定の位置に設定される。
【0072】
センサ12dは、第2モータ12bの回転量を検出する回転量検出手段である。
【0073】
例えば、センサ12dは、第2モータ12bの不図示のロータに設置されている回転量検出用マグネットから発生する磁束の変化を検出し、磁束の変化に対応した電圧を、パルス信号として図4に示すECU13に送信する。
【0074】
第2モータ12bの回転量は、第2モータ12bが回転するときにセンサ12dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値に基づき、図4に示すECU13によって算出される。パルスカウント値は、第2モータ12bの回転量に対応している。
【0075】
なお、第2モータ12bの回転量は、第2モータ12bが回転するときのパルスカウント値に代えて、第2モータ12bが回転するときに計測される時間に基づき算出されてもよい。
【0076】
この場合、例えば、第2モータ12bの回転量は、回転部材12cが、フォワードポジションPからリバースポジションPまで、又は、リバースポジションPからフォワードポジションPまでの回転時間に対する第2モータ12bの回転時間の比に基づき、図4に示すECU13によって算出される。
【0077】
センサ12dは、例えば、第2モータ12bに内蔵されているホールICである。第2モータ12bに内蔵されているセンサ12dを用いることによって、第2モータ12bの周囲に、回転量検出手段を設けるためのスペースを確保する必要がなくなる。このため、アクチュエータ10の設計の自由度が向上し、アクチュエータ10の設計変更に要する時間を短縮することができる。
【0078】
なお、センサ12dには、第2モータ12bに内蔵されている回転量検出手段に代えて、第2モータ12bの外部に設けられている回転量検出手段が用いられてもよい。この場合、当該回転量検出手段は、第2モータ12bの回転軸の回転量を検出して、検出した回転量を示す信号をECU13に送信する。
【0079】
次に図7を参照してECU13の構成例を説明する。図7は本発明の実施の形態に係るECU13の構成例を示す図である。
【0080】
[ECU13]
ECU13は、CPU(Central Processing Unit)、メモリなどを含むマイクロコンピュータで構成される。ECU13は、判定処理部13A及び記憶部13dを備えている。判定処理部13Aは、第1モータ制御部13a、第2モータ制御部13b、及び基準位置設定部13cを備えている。
【0081】
[第1モータ制御部13a]
第1モータ制御部13aは、不図示のトリム操作部から送信されるトリム操作信号に基づき、第1モータ11bの回転量を調整する。不図示のトリム操作部は、図2に示すトリムゲート34の角度を調整するための人が操作するスイッチである。
【0082】
[第2モータ制御部13b]
第2モータ制御部13bは、不図示のノズル操作部から送信されるノズル操作信号に基づき、第2モータ12bの回転量を調整する。ノズル操作部は、図2に示すリバースゲート35の角度を、前進シフト位置、後退シフト位置などに設定するためのスイッチである。
【0083】
前進シフト位置に設定するとは、図6に示される回転部材12cの回転位置をフォワードポジションPに設定することである。
【0084】
後退シフト位置に設定するとは、図6に示される回転部材12cの回転位置をリバースポジションPに設定することである。
【0085】
[記憶部13d]
記憶部13dは、図5に示される回転部材11cの回転方向におけるニュートラルポジションP、アップポジションP、及びダウンポジションPを示す情報と、これらの情報以外の情報とを記憶する。
【0086】
また記憶部13dは、図6に示される回転部材12cの回転方向におけるニュートラルポジションP、フォワードポジションP、及びリバースポジションPを示す情報と、これらの情報以外の情報とを記憶する。
【0087】
また記憶部13dは、センサ11dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値と、センサ12dから送信されるパルス信号をカウントした値であるパルスカウント値とを記憶する。
【0088】
[基準位置設定部13c]
基準位置設定部13cは、第1モータ11bの回転量に基づき、図5に示すロッド駆動部11の回転方向における基準位置であるアップポジションPを、所定の位置に設定する。基準位置設定部13cは、記憶部13dに保存されているアップポジションPに関する情報を、所定の位置に更新する。
【0089】
また、基準位置設定部13cは、第2モータ12bの回転量に基づき、図6に示すロッド駆動部12の回転方向における基準位置であるリバースポジションPを、所定の位置に設定する。基準位置設定部13cは、記憶部13dに保存されているリバースポジションPに関する情報を、所定の位置に更新する。
【0090】
次に、図8A及び図8Bを参照してアクチュエータ10の動作を説明する。ここでは、図5に示すロッド駆動部11の回転方向における基準位置を所定の位置に設定する場合における、アクチュエータ10の動作を説明する。
【0091】
図8A及び図8Bはアクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0092】
図8Aに示すステップS1において、基準位置設定部13cは、第1モータ制御部13aを制御することによって、回転部材11cを第1回転方向CDに回転させる。その後、基準位置設定部13cは、ステップS2の処理を実行する。
【0093】
ステップS2において、基準位置設定部13cは、回転部材11cを第1回転方向CDに回転させながら、センサ11dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS3の処理を実行する。
【0094】
ステップS3において、基準位置設定部13cは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
【0095】
拘束電流は、例えば、第1回転方向CDに回転する回転部材11cが、駆動することができない突き当て位置まで回転したときに、第1モータ11bが過負荷状態の場合、第1モータ11bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
【0096】
第1モータ11bに流れる電流は、例えばアクチュエータ10に内蔵されている不図示の電流センサによって検出される。
【0097】
基準位置設定部13cは、不図示の電流センサによって検出された電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
【0098】
拘束電流を検出していない場合(ステップS3,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0099】
拘束電流を検出した場合(ステップS3,YES)、基準位置設定部13cは、ステップS4の処理を実行する。
【0100】
拘束電流を検出した場合、ステップS4において、基準位置設定部13cは、回転部材11cが突き当て位置まで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。
【0101】
なお、基準位置設定部13cは、ステップ3において、第1モータ11bが過負荷状態であることを判定できればよく、拘束電流に代えて、ホールセンサ信号を検出してもよい。ホールセンサは、第1モータ11bに設けられている磁石から発生する磁束の変化を検出するセンサである。ホールセンサ信号は、磁束の変化に対応した信号である。
【0102】
この場合、基準位置設定部13cは、ホールセンサ信号が途絶していない場合、ステップS1以降の処理を繰り返し、ホールセンサ信号が途絶した場合、第1モータ11bが過負荷状態であると判定して、ステップS4の処理を実行する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS5の処理を実行する。
【0103】
ステップS5において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値を0にリセットした位置を突き当て位置に設定する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS6の処理を実行する。
【0104】
ステップS6において、基準位置設定部13cは、回転部材11cを第2回転方向CCDに回転させながら、センサ11dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS7の処理を実行する。
【0105】
ステップS7において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値が第1規定値に達したか否かを判定する。
【0106】
第1規定値は、回転部材11cを突き当て位置から所定距離離れた位置まで第2回転方向CCDに回転させた位置を、前述した回転部材11cの基準位置に設定するための値である。
【0107】
パルスカウント値が第1規定値に達していない場合(ステップS7,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS6以降の処理を繰り返す。
【0108】
パルスカウント値が第1規定値に達した場合(ステップS7,YES)、基準位置設定部13cは、図8Bに示すステップS8の処理を実行する。
【0109】
パルスカウント値が第1規定値に達した場合、ステップS8において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させる。その後、基準位置設定部13cは、ステップS9の処理を実行する。
【0110】
ステップS9において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させた位置を、前述した基準位置に設定する。これにより、回転部材11cのアップポジションPは、基準位置として設定される。その後、基準位置設定部13cは、ステップS10の処理を実行する。
【0111】
ステップS10において、基準位置設定部13cは、基準位置を設定するまでに計測したパルスカウント値を、記憶部13dに記憶させる。
【0112】
例えば、図1に示す水上バイク100が備える不図示のボタンなどが押された後、トリムゲート34の吹き出し口が斜め上方に向かうように、前述したトリム操作部が操作された場合、図7に示される第1モータ制御部13aは、記憶部13dに記憶された当該パルスカウント値を読み出す。そして、第1モータ制御部13aは、読み出したパルスカウント値に基づき、回転部材11cの回転位置を基準位置に設定する。これにより、トリムゲート34の吹き出し口が斜め上方に傾くように、トリムゲート34が制御される。
【0113】
基準位置設定部13cは、ステップS10の処理の後、ステップS11の処理を実行する。
【0114】
ステップS11において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの第2回転方向CCDへの回転を再開させる。その後、基準位置設定部13cは、ステップS12の処理を実行する。
【0115】
ステップS12において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値が第2規定値に達したか否かを判定する。
【0116】
第2規定値は、回転部材11cが、ステップS9で設定された基準位置から所定距離離れた位置まで第2回転方向CCDに回転した位置を、前述した回転部材11cのニュートラルポジションPに設定するための値である。
【0117】
パルスカウント値が第2規定値に達していない場合(ステップS12,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0118】
パルスカウント値が第2規定値に達した場合(ステップS12,YES)、基準位置設定部13cは、ステップS13の処理を実行する。
【0119】
パルスカウント値が第2規定値に達した場合、ステップS13において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させる。その後、ステップS14の処理を実行する。
【0120】
ステップS14において、基準位置設定部13cは、回転部材11cの回転を停止させた位置を、前述したニュートラルポジションPに設定する。その後、基準位置設定部13cは、ステップS15の処理を実行する。
【0121】
ステップS15において、基準位置設定部13cは、ニュートラルポジションPを設定するまでに計測したパルスカウント値を、記憶部13dに記憶させる。その後、基準位置設定部13cは、一連の処理を終了する。
【0122】
例えば、図1に示す水上バイク100が備える不図示のボタンなどが押されたとき、図7に示される第1モータ制御部13aは、記憶部13dに記憶された当該パルスカウント値を読み出す。そして、第1モータ制御部13aは、読み出したパルスカウント値に基づき、回転部材11cの回転位置をアップポジションPに設定する。
【0123】
なお、図8A及び図8Bでは、回転部材11cの基準位置を設定する方法について説明したが、回転部材12cの基準位置を設定する方法も同様であるため、その説明を省略する。
【0124】
次に図9を参照して、ロッド11a、12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を修正するECU13の構成例について説明する。図9は上記基準位置を修正するECU13の構成例を示す図である。
【0125】
[ECU13]
ECU13は、CPU、メモリなどを含むマイクロコンピュータで構成される。ECU13は、上述した判定処理部13Aに代えて判定処理部13Bを備えている。判定処理部13Bは、上述した第1モータ制御部13a、第2モータ制御部13b、及び基準位置設定部13cに加え、判定部13e及び基準位置修正部13fを備えている。
【0126】
[判定部13e]
判定部13eは、第1モータ11bの回転量に基づき、図5に示すロッド駆動部11の回転部材11cに接続されているロッド11aの駆動ストローク総量が、所定範囲内にあるか否かを判定する。
【0127】
また、判定部13eは、第2モータ12bの回転量に基づき、図6に示すロッド駆動部12の回転部材12cに接続されているロッド12aの駆動ストローク総量が、所定範囲内にあるか否かを判定する。
【0128】
[基準位置修正部13f]
基準位置修正部13fは、判定部13eによる判定の結果、ロッド11aの駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、ロッド11aの駆動ストローク総量の測定を開始する基準位置を修正する。当該基準位置は、図5に示されるアップポジションPに相当する。
【0129】
また基準位置修正部13fは、判定部13eによる判定の結果、ロッド12aの駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、ロッド12aの駆動ストローク総量の測定を開始する基準位置を修正する。当該基準位置は、図6に示されるリバースポジションPに相当する。
【0130】
次に図10A図10B、及び図10Cを参照して、図9に示すECU13を備えているアクチュエータ10の動作を説明する。
【0131】
ここでは図6に示す回転部材12cの基準位置であるリバースポジションPを修正する場合における、アクチュエータ10の動作例を説明する。
【0132】
図10A図10B及び図10Cはアクチュエータ10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0133】
図10Aに示すステップS21において、基準位置修正部13fは、原動機2が停止したか否かを判定する。例えば、図1に示す水上バイク100が備えている不図示のボタンなどが押されたとき、基準位置修正部13fは原動機2が停止したと判定する。
【0134】
原動機2が停止していない場合(ステップS21,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0135】
原動機2が停止した場合(ステップS21,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS22の処理を実行する。
【0136】
ステップS22において、基準位置修正部13fは、まず、回転部材12cの回転位置をリバースポジションPに設定し、回転部材12cをリバースポジションPに向けて回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS23の処理を実行する。
【0137】
ステップS23において、基準位置修正部13fは、第2モータ制御部13bを制御することによって、突き当て位置PREに向けて回転部材12cを第1回転方向CDに回転させる。
【0138】
突き当て位置PREは、回転部材12cの第1回転方向CDへの最大回転位置である。その後、基準位置修正部13fは、ステップS24の処理を実行する。
【0139】
ステップS24において、基準位置修正部13fは、回転部材12cを第1回転方向CDに回転させながら、センサ12dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS25の処理を実行する。
【0140】
ステップS25において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
【0141】
拘束電流は、例えば、第1回転方向CDに回転する回転部材12cが、突き当て位置PREまで回転したときに、第2モータ12bが過負荷状態の場合、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。第2モータ12bに流れる電流は、例えばアクチュエータ10に内蔵されている不図示の電流センサによって検出される。
【0142】
基準位置修正部13fは、不図示の電流センサによって検出された電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
【0143】
拘束電流を検出していない場合(ステップS25,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS23以降の処理を繰り返す。
【0144】
拘束電流を検出した場合(ステップS25,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS26の処理を実行する。
【0145】
拘束電流を検出した場合、ステップS26において、基準位置修正部13fは、回転部材12cが突き当て位置PREまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値に基づき、回転部材12cの回転量、すなわち回転部材12cのリバースポジションPから突き当て位置PREまでの第1駆動ストローク量を算出する。
【0146】
なお、基準位置修正部13fは、ステップS25において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PREに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。その後、判定部13eは、ステップS27の処理を実行する。
【0147】
ステップS27において、判定部13eは、ステップS26で算出した第1駆動ストローク量にアクチュエータ10などの製造公差を合算した第1駆動ストローク総量を算出し、第1駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えているか否かを判定する。
【0148】
第1駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えていない場合(ステップS27,NO)、基準位置修正部13fは、図10Cに示すステップS38以降の処理を実行する。
【0149】
例えば、所定範囲が10.0mm~9.0mmであり、第1駆動ストローク総量の上限値が9.5mmの場合、第1駆動ストローク総量の上限値は所定範囲内に収まっているといえる。
【0150】
ただし、ここでは、第1駆動ストローク総量の下限値が不明なため、基準位置修正部13fは、第1駆動ストローク総量の下限値が所定範囲内に収まっているか否かを確認するため、図10Cに示すステップS38以降の処理を実行する。ステップS38以降の処理に関しては後述する。
【0151】
第1駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えている場合(ステップS27,YES)、基準位置修正部13fは、第1駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えた原因を特定するため、図10Bに示すステップS28以降の処理を実行する。
【0152】
当該原因は、原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が増加することによるリバースポジションPの突き当て位置PFE側への位置ずれ、異物の挟み込みによるアクチュエータ10の故障などである。
【0153】
例えば、所定範囲が10.0mm~9.0mmであり、第1駆動ストローク総量の上限値10.5mmである場合、基準位置修正部13fは、リバースポジションPが突き当て位置PFE側に、僅かにずれていると判定する。
【0154】
突き当て位置PFEは、回転部材12cの第2回転方向CCDへの最大回転位置である。
【0155】
図10Bに示すステップS28において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値を0にリセットする。その後、基準位置修正部13fは、ステップS29の処理を実行する。
【0156】
ステップS29において、基準位置修正部13fは、第2モータ制御部13bを制御することによって、回転部材12cを突き当て位置PFEに向けて第2回転方向CCDに回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS30の処理を実行する。
【0157】
ステップS30において、基準位置修正部13fは、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させながら、センサ12dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS31の処理を実行する。
【0158】
ステップS31において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
【0159】
拘束電流は、例えば、第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが、突き当て位置PFEまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
【0160】
基準位置修正部13fは、検出された電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
【0161】
拘束電流を検出していない場合(ステップS31,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS29以降の処理を繰り返す。
【0162】
拘束電流を検出した場合(ステップS31,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS32の処理を実行する。
【0163】
拘束電流を検出した場合、ステップS32において、基準位置修正部13fは、回転部材12cが突き当て位置PFEまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値に基づき、回転部材12cの回転量、すなわち回転部材12cの突き当て位置PREから突き当て位置PFEまでの第2駆動ストローク量を算出する。
【0164】
なお、基準位置修正部13fは、ステップS31において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PFEに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。その後、判定部13eは、ステップS33の処理を実行する。
【0165】
次に、ステップS33において、判定部13eは、ステップS32で算出した第2駆動ストローク量にアクチュエータ10などの製造公差を合算した第2駆動ストローク総量を算出し、第2駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えているか否かを判定する。
【0166】
第2駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えていない場合(ステップS33,YES)、ステップS34の処理が実行される。
【0167】
ステップS34において、基準位置修正部13fは、アクチュエータ10の突き当て位置PFE付近に異物が挟まっているか、前述した減速機構を構成しているギアに噛み込みが発生するなどして、アクチュエータ10が故障していると判定する。
【0168】
例えば当該所定範囲が50.0mm~48.0mmであり、第2駆動ストローク総量の上限値が40.0mmである場合、基準位置修正部13fは、アクチュエータ10が故障していると判定する。すなわち、基準位置修正部13fは、位置ずれの原因がアクチュエータ10の故障であると判定する。
【0169】
その後、基準位置修正部13fは、ステップS35の処理を実行する。
【0170】
ステップS35において、基準位置修正部13fは、例えば、回転部材12cを突き当て位置PREに向けて回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS36の処理を実行する。
【0171】
ステップS36において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
【0172】
拘束電流は、回転部材12cが、突き当て位置PREまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
【0173】
拘束電流を検出していない場合(ステップS36,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS35以降の処理を繰り返す。
【0174】
拘束電流を検出した場合(ステップS36,YES)、アクチュエータ10の点検又は交換が必要なため、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼することなく、一連の処理を終了させる。
【0175】
なお、基準位置修正部13fは、ステップS36において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PREに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。
【0176】
図10Bに示すステップS33に戻り、第2駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えている場合(ステップS33,NO)、基準位置修正部13fは、例えば原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が増加して、回転部材12cの基準位置がずれていると判定する。
【0177】
例えば、当該所定範囲が50.0mm~48.0mmであり、第2駆動ストローク総量の上限値が50.5mmである場合、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置が0.5mm程度ずれていると判定する。
【0178】
この場合、基準位置修正部13fは、ステップS37の処理を実行する。
【0179】
ステップS37において、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼する信号を送信する。
【0180】
当該信号を受信した基準位置設定部13cは、ロッド駆動部12を駆動することで検出されるパルス信号をカウントすることで得られる第2モータ12bの回転量に基づき、ロッド駆動部12のリバースポジションPを修正する。
【0181】
次に図10Cに示すステップS38以降の処理に関して説明する。
【0182】
ステップS38において、判定部13eは、図10Aに示されるステップS27で算出された第1駆動ストローク総量の下限値が、所定範囲内にあるか否かを判定する。
【0183】
第1駆動ストローク総量の下限値が所定範囲内である場合(ステップS38,YES)、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置がずれていないと判定し、ステップS39の処理を実行する。
【0184】
例えば、所定範囲が10.0mm~9.0mmであり、第1駆動ストローク総量の下限値が9.1mmの場合、第1駆動ストローク総量の下限値は所定範囲内に収まっているといえる。この場合、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置がずれていないと判定する。
【0185】
ステップS39において、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼する信号を送信することなく、ロッド駆動部12をリバースポジションPまで回転させて、一連の処理を終了する。
【0186】
ステップS38に戻り、第1駆動ストローク総量の下限値が所定範囲内ではない場合(ステップS38,NO)、基準位置修正部13fは、第1駆動ストローク総量の下限値が所定範囲内ではない原因を特定するため、ステップS40の処理を実行する。
【0187】
当該原因は、原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が減少することによるリバースポジションPの突き当て位置PRE側への位置ずれ、異物の挟み込みによるアクチュエータ10の故障などである。
【0188】
例えば、所定範囲が10.0mm~9.0mmであり、第1駆動ストローク総量の下限値8.5mmである場合、基準位置修正部13fは、リバースポジションPが突き当て位置PRE側に、僅かにずれていると判定する。
【0189】
ステップS40において、基準位置修正部13fは、図10Bに示すステップS30で計測したパルスカウント値を0にリセットする。その後、基準位置修正部13fは、ステップS41の処理を実行する。
【0190】
ステップS41において、基準位置修正部13fは、第2モータ制御部13bを制御することによって、回転部材12cを突き当て位置PFEに向けて第2回転方向CCDに回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS42の処理を実行する。
【0191】
ステップS42において、基準位置修正部13fは、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させながら、センサ12dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。その後、基準位置修正部13fは、ステップS43の処理を実行する。
【0192】
ステップS43において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。
【0193】
拘束電流は、例えば、第2回転方向CCDに回転する回転部材12cが、突き当て位置PFEまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
【0194】
拘束電流を検出していない場合(ステップS43,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS41以降の処理を繰り返す。
【0195】
拘束電流を検出した場合(ステップS43,YES)、基準位置修正部13fは、ステップS44の処理を実行する。
【0196】
拘束電流を検出した場合、ステップS44において、基準位置修正部13fは、回転部材12cが突き当て位置PFEまで回転したと判定し、拘束電流を検出するまでに計測したパルスカウント値に基づき、回転部材12cの回転量、すなわち回転部材12cの突き当て位置PREから突き当て位置PFEまでの第2駆動ストローク量を算出する。
【0197】
なお、基準位置修正部13fは、ステップS43において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、回転部材12cが突き当て位置PFEに到達することで生じる、第2モータ12bの過負荷状態を判定してもよい。その後、判定部13eは、ステップS45の処理を実行する。
【0198】
ステップS45において、判定部13eは、ステップS44で算出した第2駆動ストローク量にアクチュエータ10などの製造公差を合算した第2駆動ストローク総量を算出し、第2駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えているか否かを判定する。
【0199】
第2駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えていない場合(ステップS45,YES)、ステップS46の処理が実行される。
【0200】
ステップS46において、基準位置修正部13fは、突き当て位置PFEとは反対側の突き当て位置PRE付近に、異物が挟まっているか、前述した減速機構を構成しているギアに噛み込みが発生するなどしてアクチュエータ10が故障していると判定する。
【0201】
例えば当該所定範囲が50.0mm~48.0mmであり、第2駆動ストローク総量の上限値が40.0mmである場合、基準位置修正部13fは、アクチュエータ10が故障していると判定する。
【0202】
その後、基準位置修正部13fは、ステップS47の処理を実行する。
【0203】
ステップS47において、基準位置修正部13fは、例えば、回転部材12cを突き当て位置PREに向けて回転させる。その後、基準位置修正部13fは、ステップS48の処理を実行する。
【0204】
ステップS48において、基準位置修正部13fは、拘束電流を検出したか否かを判定する。なお、基準位置修正部13fは、ステップS48において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、第2モータ12bが過負荷状態であることを判定してもよい。
【0205】
拘束電流は、回転部材12cが、突き当て位置PREまで回転したときに、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。
【0206】
拘束電流を検出していない場合(ステップS48,NO)、基準位置修正部13fは、ステップS47以降の処理を繰り返す。
【0207】
拘束電流を検出した場合(ステップS48,YES)、アクチュエータ10の点検又は交換が必要なため、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼することなく、一連の処理を終了させる。
【0208】
ステップS45に戻り、第2駆動ストローク総量の上限値が所定範囲を超えている場合(ステップS45,NO)、基準位置修正部13fは、例えば原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が減少して、回転部材12cの基準位置がずれていると判定する。
【0209】
例えば、当該所定範囲が50.0mm~48.0mmであり、第2駆動ストローク総量の上限値が50.5mmである場合、基準位置修正部13fは、回転部材12cの基準位置が0.5mm程度ずれていると判定する。
【0210】
この場合、基準位置修正部13fは、ステップS49の処理を実行する。
【0211】
ステップS49において、基準位置修正部13fは、基準位置設定部13cに対して、基準位置の修正を依頼する信号を送信する。
【0212】
当該信号を受信した基準位置設定部13cは、ロッド駆動部12を駆動することで検出されるパルス信号をカウントすることで得られる第2モータ12bの回転量に基づき、ロッド駆動部12のリバースポジションPを修正する。
【0213】
以上に説明したように、本実施の形態に係るアクチュエータ10は、磁束の変化に基づきモータの回転量を検出するセンサを備え、当該回転量に基づき、ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かを判定し、駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を修正するように構成されている。
【0214】
従来技術では、ロッド駆動部の回転量を検出する検出装置として機械式のポテンショメータなどが利用されているため、検出装置を構成している部品が劣化することによる回転量の誤差が生じる。
【0215】
これに対して、本実施の形態に係るアクチュエータ10は、磁束の変化に基づきモータの回転量を検出するセンサを備えているため、回転量の誤差が生じなくなり、運用を開始した船体からアクチュエータを取り外すことなく、水流変更部を正確に制御することができる。
【0216】
また、本実施の形態に係るアクチュエータ10は、ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かを判定し、駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を修正するように構成されている。このため、原動機2などで発生するノイズの影響によってパルスカウント値が変動した場合でも、ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かの診断をした上で、その診断の結果、駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合には、水流変更部の駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を容易に修正することができる、という効果も得られる。
【0217】
なお、例えば、以下のような態様も本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0218】
(1)アクチュエータは、噴出する水流の方向を変更する水流方向変更部に接続され、モータの回転によって前記水流方向変更部の角度を調整するロッドを、進退移動させるロッド駆動部と、磁束の変化に基づきモータの回転量を検出するセンサと、前記モータの回転量に基づき、前記ロッドの駆動ストローク総量が所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、前記駆動ストローク総量が所定範囲内にない場合、前記駆動ストローク総量の測定を開始する基準位置を修正する基準位置修正部と、を備える。
【0219】
(2)前記センサは、モータに内蔵されているホールICである。
【0220】
(3)前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体を前進又は後進させるリバースゲートである。
【0221】
(4)前記水流方向変更部は、前記アクチュエータを搭載する船体の水平方向に対する傾斜角度を変更するトリムゲートである。
【0222】
(5)水上バイクは、上記のアクチュエータを備える。
【0223】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、本開示に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0224】
なお、本実施の形態では、基準位置として、アップポジションP又はリバースポジションPを所定の位置に設定する場合について説明したが、所定の位置は、アップポジションP又はリバースポジションPに限定されるものではない。所定の位置は、例えば、アップポジションP又はリバースポジションPに代えて、ニュートラルポジションPであってもよいし、ダウンポジションP又はフォワードポジションPであってもよい。
【0225】
例えば、ロッド12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置として、フォワードポジションPを所定の位置に設定する場合、アクチュエータ10は、リバースポジションPを所定の位置に設定する制御と同様の制御を、船体1への電源投入後に行う。
【0226】
このように、フォワードポジションPを所定の位置に設定する場合、図2に示すロッド12aが船体1の内部に引き込まれる。この場合、トリムゲート34に回転可能に支持されているリバースゲート35は、船体1に形成されている隙間に入り込むように、反時計回り方向に回転する。
【0227】
このため、リバースゲート35の周囲に人がいる場合でも、リバースゲート35が時計回り方向に回転する場合(図3参照)に比べて、より安全に、ロッド12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置を、所定の位置に設定することができる。
【0228】
なおアクチュエータ10は、ロッド12aの駆動ストローク量の測定を開始する基準位置として、フォワードポジションPを所定の位置に設定した後、ユーザの操作により、図6に示す回転部材12cが第1回転方向CDへの回転を開始した際に、リバースポジションPを所定の位置に設定してもよい。
【0229】
この場合の設定動作を、図11図12A図12B、及び図12Cを参照して説明する。
【0230】
図11はフォワードポジションPが所定の位置に設定された後、リバースポジションPが所定の位置に設定される場合の動作を説明するためのフローチャートである。図12A図12B、及び図12Cのそれぞれは、リバースポジションPが所定の位置に設定される場合の動作を説明するための図である。
【0231】
リバースポジションPを基準位置に設定するため、図1に示す水上バイク100に設けられている不図示のボタンをユーザが押したとき、基準位置設定部13cは、ステップS50の処理を実行する。
【0232】
ステップS50において、基準位置設定部13cは、回転部材12cを停止させる目標位置として停止目標位置PSTを設定し(図12A参照)、設定した停止目標位置PSTに向けて、回転部材12cを第1回転方向CDに回転させる。この場合の停止目標位置PSTは、図2に示すリバースゲート35に接続されていない状態のロッド12aが最も前進したときの、回転部材12cの回転位置に等しい。
【0233】
このとき基準位置設定部13cは、回転部材12cを回転させながら、センサ11dから送信されるパルス信号に基づきパルスカウント値を計測する。
【0234】
次にステップS51において、基準位置設定部13cは、パルスカウント値を計数した値が所定の値に達していない場合、回転部材12cが停止目標位置PSTに到達していないと判定し、パルスカウント値を計数した値が所定の値に達した場合、回転部材12cが停止目標位置PSTに到達したと判定する。
【0235】
回転部材12cが停止目標位置PSTに到達していない場合(ステップS51,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS52の処理を実行する。
【0236】
ステップS52において、基準位置設定部13cは、回転部材12cが停止目標位置PSTに到達する前に、拘束電流を検出したか否かを判定する。
【0237】
拘束電流は、第2モータ12bが過負荷状態となったとき、第2モータ12bに流れる電流が所定の値にまで上昇することで検出される電流である。基準位置設定部13cは、当該電流が所定の値以下の場合、拘束電流を検出していないと判定し、当該電流が所定の値を超えた場合、拘束電流を検出したと判定する。
【0238】
拘束電流を検出していない場合(ステップS52,NO)、基準位置設定部13cは、ステップS50以降の処理を繰り返す。
【0239】
拘束電流を検出した場合(ステップS52,YES)、基準位置設定部13cは、パルスカウント値を計数した値が所定の値に達する前に、回転部材12cが船体突き当て位置P図12B参照)に到達したと判定する。
【0240】
船体突き当て位置Pは、図2に示すリバースゲート35に接続されている状態のロッド12aが最も前進したときの、回転部材12cの回転位置に等しい。船体突き当て位置Pは、停止目標位置PSTから第2回転方向CCDに所定距離離れている。
【0241】
次にステップS53において、基準位置設定部13cは、図12Cに示すように、パルスカウント値を計数した値が所定の値(例えば20パルス)となるまで、回転部材12cを第2回転方向CCDに回転させた後、回転部材12cの回転を停止させる。
【0242】
所定の値は、拘束電流が発生せず、かつ、アクチュエータ10において制御不良が生じない値に設定される。制御不良は、図2に示すノズル33から噴出する水流の圧力が、リバースゲート35及びロッド12aを介して、アクチュエータ10に作用することで生じる不具合である。
【0243】
次にステップS54において、基準位置設定部13cは、ロッド駆動部12の回転方向における基準位置であるリバースポジションPを更新する。具体的には、基準位置設定部13cは、回転部材12cの回転を停止させた停止位置PT1に、ロッド駆動部12の回転方向における基準位置であるリバースポジションPを設定する。これにより、リバースポジションPは、船体突き当て位置Pを基準とした所定位置(停止位置PT1)に更新される。
【0244】
リバースポジションPが更新された後、ユーザによって船体1の電源がオフされて、さらにユーザによってリバースポジションPを基準位置に設定する操作が実行された場合、ステップS50の処理が実行される。これにより、回転部材12cは、更新後のリバースポジションPに向けて、第1回転方向CDに回転する。
【0245】
前述したように、リバースポジションPが停止位置PT1に更新されているため、ステップS51において、基準位置設定部13cは、停止位置PT1を停止目標位置として、回転部材12cが当該停止目標位置に到達したか否かを判定する。
【0246】
回転部材12cが停止目標位置に到達した場合(ステップS51,YES)、基準位置設定部13cは、更新後のリバースポジションPに回転部材12cが到達したと判定して、一連の処理を終了する。
【0247】
なお、船体1への電源投入後に、フォワードポジションPを所定の位置に設定する代わりに、リバースポジションPを所定の位置に設定する場合には、前述したステップS53の処理が不要である。
【0248】
なお、基準位置設定部13cは、ステップS52において、ホールセンサ信号が途絶した場合に、第2モータ12bが過負荷状態であることを判定してもよい。
【0249】
図11などに示す制御の効果)
船体1へのアクチュエータ10の取付位置のばらつきなどによって、回転部材12cの停止目標位置PSTと船体突き当て位置Pとの間に、隙間が生じた場合、当該隙間の大きさに起因してアクチュエータ10の制御不良が生じる可能性がある。すなわち、リバースゲート35の回転量に大きな誤差が生じる場合がある。
【0250】
図11などに示す一連の制御によれば、船体1の電源投入時にリバースポジションPを更新することができため、上記の隙間が生じた場合でも、アクチュエータ10の制御不良が生じることを抑制できる。
【0251】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0252】
本発明に係るアクチュエータ及び水上バイクは、ロッド駆動部の基準位置を正確に設定することができる。
【符号の説明】
【0253】
1 船体
2 原動機
3 推進機構
4 ドライブシャフト
10 アクチュエータ
11 ロッド駆動部
11a ロッド
11b 第1モータ
11c 回転部材
11d センサ
11e 駆動部
11e1 出力軸
11e2 ハウジング
12 ロッド駆動部
12a ロッド
12b 第2モータ
12c 回転部材
12d センサ
12e 駆動部
12e1 出力軸
12e2 ハウジング
13 ECU
13A 判定処理部
13B 判定処理部
13a 第1モータ制御部
13b 第2モータ制御部
13c 基準位置設定部
13d 記憶部
13e 判定部
13f 基準位置修正部
14 ケース
31 インペラシャフト
32 インペラ
33 ノズル
34 トリムゲート
35 リバースゲート
100 水上バイク
CD 第1回転方向
CCD 第2回転方向
DE 突き当て位置
FE 突き当て位置
RE 突き当て位置
ST 停止目標位置
船体突き当て位置
T1 停止位置
UE 突き当て位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C