特開 2023-51473 液体吐出装置、および制御方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023051473

(43)【公開日】2023-04-11

(54)【発明の名称】液体吐出装置、および制御方法

(51)【国際特許分類】

   B41J 2/165 20060101AFI20230404BHJP

   B41J 2/17 20060101ALI20230404BHJP

【ＦＩ】

B41J2/165 303

B41J2/17 207

B41J2/165 211

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021162180

(22)【出願日】2021-09-30

(71)【出願人】

【識別番号】000201113

【氏名又は名称】船井電機株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100148460

【弁理士】

【氏名又は名称】小俣 純一

(74)【代理人】

【識別番号】100168125

【弁理士】

【氏名又は名称】三藤 誠司

(72)【発明者】

【氏名】小林 武司

【テーマコード（参考）】

2C056

【Ｆターム（参考）】

2C056EA16

2C056EC11

2C056EC23

2C056EC31

2C056EC35

2C056EC54

2C056FA10

2C056JB04

2C056JB08

2C056JB10

2C056JC23

2C056JC25

(57)【要約】

【課題】コンタミネーションの発生を抑制できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置１０は、それぞれが液体を吐出する複数のノズル３４を有し、第１方向に移動可能であるカートリッジ２４と、第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能なメンテナンスステーション２６と、移動機構５４とを備え、メンテナンスステーション２６は、それぞれが複数のノズル３４の少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃと、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを第１方向と直交しかつ第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材３８とを有し、移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃの少なくとも１つを支持部材３８に対して第３方向に移動させる。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

それぞれが液体を吐出する複数のノズルを有し、第１方向に移動可能である吐出部と、
前記第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、前記複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な受け部と、
移動機構とを備え、
前記受け部は、それぞれが前記複数のノズルの少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材と、前記複数のワイパ部材のそれぞれを前記第１方向と直交しかつ前記第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材とを有し、
前記移動機構は、前記複数のワイパ部材の少なくとも１つを前記支持部材に対して前記第３方向に移動させる、
液体吐出装置。

【請求項2】

前記移動機構は、それぞれが前記複数のワイパ部材のうち対応するワイパ部材を前記支持部材に対して前記第３方向に移動させる複数の電磁石を有する、
請求項１に記載の液体吐出装置。

【請求項3】

前記支持部材は、それぞれが前記複数のワイパ部材のうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための複数の凹部と、それぞれが前記複数のワイパ部材のうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を前記複数の凹部のうち当該ワイパ部材に対応する凹部に導く流路を形成する複数の流路形成部とを有する、
請求項１または２に記載の液体吐出装置。

【請求項4】

前記受け部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材を有する、
請求項１から３のいずれか１項に記載の液体吐出装置。

【請求項5】

前記取付部材は、前記支持部材に代えて、前記複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な部材が着脱可能に取り付けられることが可能である、
請求項４に記載の液体吐出装置。

【請求項6】

液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出装置は、それぞれが液体を吐出する複数のノズルを有し、第１方向に移動可能である吐出部と、前記第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、前記複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な受け部と、移動機構とを備え、前記受け部は、それぞれが前記複数のノズルの少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材と、前記複数のワイパ部材のそれぞれを前記第１方向と直交しかつ前記第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材とを有し、前記移動機構は、前記複数のワイパ部材の少なくとも１つを前記支持部材に対して前記第３方向に移動させ、
前記吐出部を前記第１方向に移動させ、前記吐出部を前記複数のワイパ部材によって前記複数のノズルのそれぞれに付着している液体を拭き取ることが可能な位置に位置させる第１ステップと、
前記受け部を前記第２方向に移動させ、前記位置に位置している前記吐出部の前記複数のノズルのそれぞれに付着している液体を拭き取る第２ステップとを含み、
前記第２ステップにおける前記受け部を前記第２方向に移動させる速度は、前記第１ステップにおける前記吐出部を前記第１方向に移動させる速度よりも遅い、
制御方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、液体を吐出する液体吐出装置、および制御方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、液体を吐出する液体吐出装置が知られている。たとえば、液体吐出装置の一例として、特許文献１には、吐出面を有する液体吐出ヘッドと、ワイパを吐出面と直交する方向に移動させるワイパ移動機構を有するワイパユニットと、ワイパが吐出面に接触しつつ吐出面に沿った払拭方向に移動するようにワイパユニットを移動させるユニット移動機構とを備える液体吐出記録装置が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特許第５２６２３６５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、特許文献１の液体吐出記録装置では、ワイパユニットによって拭き取られた液体が他の液体と混ざり合う恐れがあり、コンタミネーションが発生する恐れがあるという課題がある。

【0005】

本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、コンタミネーションの発生を抑制できる液体吐出装置等を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、それぞれが液体を吐出する複数のノズルを有し、第１方向に移動可能である吐出部と、前記第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、前記複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な受け部と、移動機構とを備え、前記受け部は、それぞれが前記複数のノズルの少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材と、前記複数のワイパ部材のそれぞれを前記第１方向と直交しかつ前記第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材とを有し、前記移動機構は、前記複数のワイパ部材の少なくとも１つを前記支持部材に対して前記第３方向に移動させる。

【0007】

本態様によれば、第２方向に移動可能な受け部が複数のワイパ部材を有しているので、受け部を第２方向に移動させることによって複数のノズルのそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【0008】

たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記移動機構は、それぞれが前記複数のワイパ部材のうち対応するワイパ部材を前記支持部材に対して前記第３方向に移動させる複数の電磁石を有するように構成してもよい。

【0009】

本態様によれば、複数の電磁石によって複数のワイパ部材のそれぞれを第３方向に容易に移動させることができるので、複数のノズルのそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができる。

【0010】

たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記支持部材は、それぞれが前記複数のワイパ部材のうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための複数の凹部と、それぞれが前記複数のワイパ部材のうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を前記複数の凹部のうち当該ワイパ部材に対応する凹部に導く流路を形成する複数の流路形成部とを有するように構成してもよい。

【0011】

本態様によれば、複数のワイパ部材のそれぞれによって拭き取られた液体を当該ワイパ部材に対応する凹部に容易に導くことができるので、複数のワイパ部材のそれぞれによって拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことをさらに抑制でき、コンタミネーションの発生をさらに抑制できる。

【0012】

たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記受け部は、前記支持部材が着脱可能に取り付けられる取付部材を有するように構成してもよい。

【0013】

本態様によれば、支持部材を取付部材から取り外すことによって、複数のワイパ部材のそれぞれによって拭き取られた液体を適切に処理できる。たとえば、支持部材を取付部材から取り外して容易に水洗いすることができるので、コンタミネーションの発生をさらに抑制できる。

【0014】

たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記取付部材は、前記支持部材に代えて、前記複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な部材が着脱可能に取り付けられることが可能であるように構成してもよい。

【0015】

本態様によれば、複数のワイパ部材による液体の拭き取りが不要な場合等には、支持部材に代えて、複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な部材を取り付けて使用することができる。

【0016】

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制御方法は、液体吐出装置の制御方法であって、前記液体吐出装置は、それぞれが液体を吐出する複数のノズルを有し、第１方向に移動可能である吐出部と、前記第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、前記複数のノズルのそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な受け部と、移動機構とを備え、前記受け部は、それぞれが前記複数のノズルの少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材と、前記複数のワイパ部材のそれぞれを前記第１方向と直交しかつ前記第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材とを有し、前記移動機構は、前記複数のワイパ部材の少なくとも１つを前記支持部材に対して前記第３方向に移動させ、前記吐出部を前記第１方向に移動させ、前記吐出部を前記複数のワイパ部材によって前記複数のノズルのそれぞれに付着している液体を拭き取ることが可能な位置に位置させる第１ステップと、前記受け部を前記第２方向に移動させ、前記位置に位置している前記吐出部の前記複数のノズルのそれぞれに付着している液体を拭き取る第２ステップとを含み、前記第２ステップにおける前記受け部を前記第２方向に移動させる速度は、前記第１ステップにおける前記吐出部を前記第１方向に移動させる速度よりも遅い。

【0017】

本態様によれば、第２方向に移動可能な受け部が複数のワイパ部材を有しているので、受け部を第２方向に移動させることによって複数のノズルのそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。また、第２ステップにおける受け部を第２方向に移動させる速度は、第１ステップにおける吐出部を第１方向に移動させる速度よりも遅いので、吐出部をより早く上記位置に位置させることができるとともに、複数のワイパ部材で拭き取られた液体が飛び散ることを抑制できる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【0018】

なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える液体吐出装置として実現することができるだけでなく、液体吐出装置に含まれる特徴的な処理部が実行する処理をステップとする制御方法として実現することができる。また、液体吐出装置に含まれる特徴的な処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは制御方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、ＣＤ－ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ－Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。

【発明の効果】

【0019】

本発明の一態様に係る液体吐出装置等によれば、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】図１は、実施の形態１に係る液体吐出装置の外観を示す斜視図である。

【図2】図２は、図１の液体吐出装置の内部構造を示す斜視図である。

【図3】図３は、図２におけるキャリッジ駆動部等を省略した状態を示す斜視図である。

【図4】図４は、図１の液体吐出装置のカートリッジ等を示す模式図である。

【図5】図５は、図１の液体吐出装置のカートリッジおよびメンテナンスステーション等を示す模式図である。

【図6】図６は、図５のＶＩ－ＶＩ線における断面図である。

【図7】図７は、図５のＶＩＩ－ＶＩＩ線における断面図である。

【図8】図８は、図１の液体吐出装置の機能構成を示すブロック図である。

【図9】図９は、図１の液体吐出装置の動作の一例を示すフローチャートである。

【図10】図１０は、ノズルに付着した液体を拭き取る際のメンテナンスステーションの動きを示す断面図である。

【図11】図１１は、実施の形態２に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。

【図12】図１２は、実施の形態３に係る液体吐出装置の移動機構等を示す断面図である

【図13】図１３は、実施の形態４に係る液体吐出装置の移動機構等を示す断面図である。

【図14】図１４は、実施の形態５に係る液体吐出装置の移動機構等を示す断面図である。

【図15】図１５は、実施の形態６に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。

【図16】図１６は、実施の形態７に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。

【図17】図１７は、実施の形態８に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。

【図18】図１８は、実施の形態９に係る液体吐出装置のメンテナンスステーションを示す模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図は、必ずしも各寸法または各寸法比等を厳密に図示したものではない。

【0022】

（実施の形態１）
図１は、実施の形態１に係る液体吐出装置１０の外観を示す斜視図である。図２は、図１の液体吐出装置１０の内部構造を示す斜視図である。図３は、図２におけるキャリッジ駆動部２０等を省略した状態を示す斜視図である。具体的には、図３は、図２におけるキャリッジ駆動部２０、キャリッジ２２、およびカートリッジ２４を省略した状態を示す斜視図である。図１から図３を参照して、液体吐出装置１０の全体構成について説明する。

【0023】

図１から図３に示すように、液体吐出装置１０は、液体を吐出する装置であり、筐体１２と、トレイ支持部１４と、トレイ１６と、ウェルプレート１８と、キャリッジ駆動部２０と、キャリッジ２２と、カートリッジ２４と、メンテナンスステーション２６と、メンテナンスステーション駆動部２８とを備えている。本実施の形態では、液体吐出装置１０は、液体を分注する液体分注装置であり、液体は、薬液である。なお、たとえば、液体吐出装置１０は、印刷装置であってもよく、液体は、インクであってもよい。

【0024】

なお、以下の説明では、キャリッジ２２が移動する方向を第１方向とし、メンテナンスステーション２６が移動する方向を第２方向とし、第１方向と直交しかつ第２方向と直交する方向を第３方向として説明する。本実施の形態では、第２方向は、第１方向と直交している。第１方向は、図１等におけるＸ軸で示す方向であり、第２方向は、図１等におけるＹ軸で示す方向であり、第３方向は、図１等におけるＺ軸で示す方向である。

【0025】

筐体１２は、トレイ支持部１４、キャリッジ駆動部２０、キャリッジ２２、カートリッジ２４、メンテナンスステーション２６、およびメンテナンスステーション駆動部２８等を収容している。筐体１２は、第２方向における一方側（Ｙ軸方向のマイナス側）の側面において開口部３０を有している。また、筐体１２は、第２方向における他方側（Ｙ軸方向のプラス側）の側面において開口部（図示せず）を有している。

【0026】

トレイ支持部１４は、トレイ１６を第２方向に摺動可能に支持している。トレイ１６は、ウェルプレート１８を着脱可能に支持している。ウェルプレート１８は、それぞれがカートリッジ２４から吐出された液体を貯留する複数のウェル３２を有している。トレイ１６を開口部３０から第２方向の一方側に引き出した状態において、トレイ１６に対してウェルプレート１８を着脱できる。

【0027】

キャリッジ駆動部２０は、キャリッジ２２を第１方向に移動させる。たとえば、キャリッジ駆動部２０は、モータおよび駆動軸等を有しており、モータおよび駆動軸等によってキャリッジ２２を第１方向に移動させる。キャリッジ２２は、カートリッジ２４を着脱可能に収容している。

【0028】

カートリッジ２４は、それぞれが液体を吐出する複数のノズル３４（図４を参照）を有し、第１方向に移動可能である吐出部の一例である。カートリッジ２４は、複数のノズル３４のそれぞれから吐出される液体を保持している。カートリッジ２４は、キャリッジ２２に収容された状態において、キャリッジ２２とともに第１方向に移動可能である。複数のノズル３４は、第３方向の一方側（Ｚ軸方向のマイナス側）に液体を吐出する。

【0029】

メンテナンスステーション２６は、第２方向に移動可能であり、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受けることが可能な受け部の一例である。たとえば、空吐出とは、ノズル３４が詰まることを抑制するための当該ノズル３４からの液体の吐出である。たとえば、液体吐出装置１０が液体分注装置である場合、空吐出は、液体の分注に寄与しない液体の吐出である。また、たとえば、液体吐出装置１０が印刷装置である場合、空吐出は、印刷に寄与しない液体の吐出である。メンテナンスステーション２６は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃと、支持部材３８と、取付部材４０とを有している。

【0030】

複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれは、複数のノズル３４の少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能である。支持部材３８は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを第３方向に移動可能に支持している。取付部材４０は、支持部材３８が着脱可能に取り付けられている部材である。メンテナンスステーション２６の詳細については後述する。

【0031】

メンテナンスステーション駆動部２８は、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させる。たとえば、メンテナンスステーション駆動部２８は、モータおよび駆動軸４２等を有しており、モータおよび駆動軸４２等によってメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させる。

【0032】

また、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させる際はカートリッジ２４を第１方向へ移動させるよりも低速にすることができるので、モータ等の駆動時の振動を抑え一定圧力で液体を拭き取ることができ、かつ、摩擦による発熱を低減することができる。これにより、ノズル３４の表面にある液体の拭き取り漏れや飛び散り、加えて、熱による液体の変性を防ぐことができる。たとえば、駆動時のモータの振動を抑えるのであれば、メンテナンスステーション２６の速度を２ｍｍ／ｓ以下にするのが望ましい。

【0033】

以上、液体吐出装置１０の全体構成について説明した。

【0034】

図４は、図１の液体吐出装置１０のカートリッジ２４等を示す模式図である。具体的には、図４は、カートリッジ２４等を第３方向の他方側から見た模式図である。図４を参照して、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６について説明する。

【0035】

図４に示すように、カートリッジ２４は、第３方向の一方側の面において、複数のノズル３４を有している。複数のノズル３４は、第１方向および第２方向に並んでいる。

【0036】

複数のノズル３４は、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６に分けられている。本実施の形態では、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６は、複数の第１グループＡ１～Ａ６と、複数の第２グループＢ１～Ｂ６と、複数の第３グループＣ１～Ｃ６とを含んでいる。

【0037】

２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６は、少なくとも第２方向に並んでいる。具体的には、複数の第１グループＡ１～Ａ６は、第２方向に並んでいる。複数の第２グループＢ１～Ｂ６は、第２方向に並んでおり、第１方向において複数の第１グループＡ１～Ａ６と並んでいる。複数の第３グループＣ１～Ｃ６は、第２方向に並んでおり、第１方向において複数の第１グループＡ１～Ａ６および複数の第２グループＢ１～Ｂ６と並んでいる。複数の第３グループＣ１～Ｃ６は、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に対して複数の第１グループＡ１～Ａ６側とは反対側に位置している。

【0038】

たとえば、複数の第１グループＡ１～Ａ６、複数の第２グループＢ１～Ｂ６、および複数の第３グループＣ１～Ｃ６は、相互に異なる種類の液体を吐出するグループである。具体的には、たとえば、複数の第１グループＡ１～Ａ６、複数の第２グループＢ１～Ｂ６、および複数の第３グループＣ１～Ｃ６は、相互に異なる薬剤を吐出するグループである。なお、たとえば、液体吐出装置１０が印刷装置である場合、複数の第１グループＡ１～Ａ６、複数の第２グループＢ１～Ｂ６、および複数の第３グループＣ１～Ｃ６は、相互に異なる色のインクを吐出するグループである。具体的には、たとえば、複数の第１グループＡ１～Ａ６は、シアンのインクを吐出するグループであり、複数の第２グループＢ１～Ｂ６は、マゼンタのインクを吐出するグループであり、複数の第３グループＣ１～Ｃ６は、イエローのインクを吐出するグループである。このように、相互に異なる種類の液体を吐出する複数のノズル３４が、第１方向に並んでいる。

【0039】

２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６のそれぞれには、複数のノズル３４のうち１つ以上のノズル３４が属している。つまり、複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれ、複数の第２グループＢ１～Ｂ６のそれぞれ、および複数の第３グループＣ１～Ｃ６のそれぞれには、複数のノズル３４のうち１つ以上のノズル３４が属している。

【0040】

以上、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６について説明した。

【0041】

図５は、図１の液体吐出装置１０のカートリッジ２４およびメンテナンスステーション２６等を示す模式図である。具体的には、図５は、カートリッジ２４およびメンテナンスステーション２６等を第３方向の他方側から見た模式図である。図６は、図５のＶＩ－ＶＩ線における断面図である。図７は、図５のＶＩＩ－ＶＩＩ線における断面図である。なお、図５では、複数のノズル３４の図示を省略している。図５から図７を参照して、メンテナンスステーション２６等について説明する。

【0042】

図５から図７に示すように、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃは、第１方向に並んでいる。複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれは、第３方向における他方側に露出している。複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれは、支持部材３８よりも第３方向の他方側に突出している。

【0043】

複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃは、第１方向に並びかつそれぞれに１つ以上のノズル３４が属している複数のグループに対応して設けられている。本実施の形態では、ワイパ部材３６ａは、第１グループＡ１～Ａ６に対応して設けられ、ワイパ部材３６ｂは、第２グループＢ１～Ｂ６に対応して設けられ、ワイパ部材３６ｃは、第３グループＣ１～Ｃ６に対応して設けられている。複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれは、複数のグループのうち当該ワイパ部材に対応するグループに属する１つ以上のノズル３４に付着している液体を拭き取る。

【0044】

複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれは、第２方向に移動することによって、ノズル３４に付着している液体を拭き取る。本実施の形態では、ワイパ部材３６ａは、第２方向に移動することによって、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。ワイパ部材３６ｂは、第２方向に移動することによって、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。ワイパ部材３６ｃは、第２方向に移動することによって、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。

【0045】

支持部材３８は、複数の凹部４４ａ～４４ｃと、複数の支持孔４６ａ～４６ｃと、収容凹部４８とを有している。

【0046】

複数の凹部４４ａ～４４ｃは、第１方向に並んでいる。複数の凹部４４ａ～４４ｃのそれぞれは、第３方向における他方側に開口している。複数の凹部４４ａ～４４ｃは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃに対応して設けられており、複数の凹部４４ａ～４４ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための凹部である。つまり、複数の凹部４４ａ～４４ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれによって拭き取られた液体を貯留する。

【0047】

本実施の形態では、凹部４４ａは、ワイパ部材３６ａに対応し、第２方向におけるワイパ部材３６ａの一方側に設けられており、ワイパ部材３６ａによって拭き取られた液体が流れ込み、当該液体を貯留する。また、凹部４４ｂは、ワイパ部材３６ｂに対応し、第２方向におけるワイパ部材３６ｂの一方側に設けられており、ワイパ部材３６ｂによって拭き取られた液体が流れ込み、当該液体を貯留する。また、凹部４４ｃは、ワイパ部材３６ｃに対応し、第２方向におけるワイパ部材３６ｃの一方側に設けられており、ワイパ部材３６ｃによって拭き取られた液体が流れ込み、当該液体を貯留する。

【0048】

また、凹部４４ａは、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部４４ｂは、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部４４ｃは、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受ける。

【0049】

複数の支持孔４６ａ～４６ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを支持するための孔である。具体的には、支持孔４６ａにワイパ部材３６ａが挿通されることによって、支持部材３８は、ワイパ部材３６ａを第３方向に移動可能に支持している。また、支持孔４６ｂにワイパ部材３６ｂが挿通されることによって、支持部材３８は、ワイパ部材３６ｂを第３方向に移動可能に支持している。また、支持孔４６ｃにワイパ部材３６ｃが挿通されることによって、支持部材３８は、ワイパ部材３６ｃを第３方向に移動可能に支持している。

【0050】

収容凹部４８は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃを第３方向に移動させる移動機構５４を構成する複数の永久磁石５６ａ～５６ｃ等を収容している。収容凹部４８は、第３方向における一方側に開口している。

【0051】

取付部材４０は、支持部材３８が着脱可能に取り付けられている。たとえば、取付部材４０は、磁石（図示せず）を有し、支持部材３８は、当該磁石と引き合う磁石（図示せず）を有し、これらの磁石が相互に引き合うことによって、取付部材４０と支持部材３８とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材４０は、爪部（図示せず）を有し、支持部材３８は、当該爪部と着脱可能に係り合う溝部（図示せず）を有し、当該爪部と当該溝部とが係り合うことによって、取付部材４０と支持部材３８とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材４０は、凸部（図示せず）を有し、支持部材３８は、当該凸部と着脱可能に嵌まり合う凹部（図示せず）を有し、当該凸部と当該凹部とが嵌まり合うことによって、取付部材４０と支持部材３８とが着脱可能に取り付けられる。取付部材４０は、摺動孔５０と、複数の収容孔５２ａ～５２ｃとを有している。

【0052】

摺動孔５０は、駆動軸４２が摺動可能に挿通される孔である。これによって、メンテナンスステーション２６は、駆動軸４２に沿って第２方向に移動可能となっている。本実施の形態では、第２方向から見たとき、摺動孔５０は、略矩形状である。

【0053】

複数の収容孔５２ａ～５２ｃのそれぞれは、移動機構５４を構成する複数の電磁石５８ａ～５８ｃのそれぞれを収容する孔である。具体的には、収容孔５２ａは、電磁石５８ａを収容する孔であり、収容孔５２ｂは、電磁石５８ｂを収容する孔であり、収容孔５２ｃは、電磁石５８ｃを収容する孔である。

【0054】

液体吐出装置１０は、移動機構５４をさらに備えている。移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃの少なくとも１つを支持部材３８に対して第３方向に移動させる。本実施の形態では、移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを支持部材３８に対して第３方向に移動させる。また、本実施の形態では、移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃを個別に支持部材３８に対して第３方向に移動させる。移動機構５４は、複数の永久磁石５６ａ～５６ｃと、複数の電磁石５８ａ～５８ｃとを有している。

【0055】

複数の永久磁石５６ａ～５６ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち対応するワイパ部材を第３方向に移動させるための永久磁石である。永久磁石５６ａは、ワイパ部材３６ａに対応し、第３方向におけるワイパ部材３６ａの一方側の端部に設けられている。永久磁石５６ｂは、ワイパ部材３６ｂに対応し、第３方向におけるワイパ部材３６ｂの一方側の端部に設けられている。永久磁石５６ｃは、ワイパ部材３６ｃ対応し、第３方向におけるワイパ部材３６ｃの一方側の端部に設けられている。

【0056】

複数の電磁石５８ａ～５８ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち対応するワイパ部材を支持部材３８に対して第３方向に移動させる電磁石である。電磁石５８ａは、ワイパ部材３６ａに対応し、第３方向における永久磁石５６ａの一方側に設けられている。電磁石５８ｂは、ワイパ部材３６ｂに対応し、第３方向における永久磁石５６ｂの一方側に設けられている。電磁石５８ｃは、ワイパ部材３６ｃに対応し、第３方向における永久磁石５６ｃの一方側に設けられている。

【0057】

複数の電磁石５８ａ～５８ｃのそれぞれに電流を流すことによって、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち当該電磁石に対応するワイパ部材を支持部材３８に対して第３方向に移動させることができる。たとえば、電磁石５８ａと永久磁石５６ａとが反発するように、電磁石５８ａに電流を流して電磁石５８ａを磁化させることによって、ワイパ部材３６ａを永久磁石５６ａとともに第３方向の他方側に移動させることができる。また、電磁石５８ａと永久磁石５６ａとが引き合うように、電磁石５８ａに電流を流して電磁石５８ａを磁化させることによって、ワイパ部材３６ａを永久磁石５６ａとともに第３方向の一方側に移動させることができる。電磁石５８ｂおよび電磁石５８ｃについても同様である。このように、移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃを個別に支持部材３８に対して第３方向に移動させることができる。

【0058】

以上、メンテナンスステーション２６等について説明した。

【0059】

図８は、図１の液体吐出装置１０の機能構成を示すブロック図である。図８を参照して、液体吐出装置１０の機能構成について説明する。

【0060】

図８に示すように、液体吐出装置１０は、制御部６０をさらに備えている。

【0061】

制御部６０は、カートリッジ２４、メンテナンスステーション２６、および複数の電磁石５８ａ～５８ｃのそれぞれを制御する。制御部６０は、キャリッジ制御部６２と、メンテナンスステーション制御部６４と、電磁石制御部６６とを備えている。たとえば、制御部６０は、プロセッサ等によって実現される。

【0062】

キャリッジ制御部６２は、キャリッジ駆動部２０を制御することによって、キャリッジ２２の移動を制御する。たとえば、キャリッジ制御部６２は、複数のノズル３４のいずれかから液体を空吐出させる場合、キャリッジ駆動部２０を制御し、キャリッジ２２をメンテナンス領域まで移動させる。たとえば、キャリッジ制御部６２は、エンコーダ等によって検出されたキャリッジ２２の位置情報に基づいて、キャリッジ２２の位置を制御する。

【0063】

メンテナンスステーション制御部６４は、メンテナンスステーション駆動部２８を制御することによって、メンテナンスステーション２６の移動を制御する。たとえば、メンテナンスステーション制御部６４は、複数のノズル３４のいずれかから液体を空吐出させる場合、メンテナンスステーション駆動部２８を制御し、複数の第１グループＡ１～Ａ６の下方に凹部４４ａが位置し、複数の第２グループＢ１～Ｂ６の下方に凹部４４ｂが位置し、複数の第３グループＣ１～Ｃ６の下方に凹部４４ｃが位置するように、メンテナンスステーション２６を移動させる。たとえば、メンテナンスステーション制御部６４は、エンコーダ等によって検出されたメンテナンスステーション２６の位置情報に基づいて、メンテナンスステーション２６の位置を制御する。

【0064】

電磁石制御部６６は、複数の電磁石５８ａ～５８ｃのそれぞれに供給する電流等を制御することによって、複数の電磁石５８ａ，５８ｂ，５８ｃのそれぞれを制御する。

【0065】

また、制御方法については、印刷時に使用されるソフトウエア上の選択画面でユーザーが入力した試薬等の情報から自動選択する方法でも、読み取ったカートリッジの情報に基づいて自動選択する方法でも、ユーザーが指定する方法でもよい。

【0066】

たとえば、電磁石制御部６６は、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る場合、電磁石５８ａに電流を供給してワイパ部材３６ａを第３方向における他方側に移動させた状態でメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させることによって、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。

【0067】

また、たとえば、電磁石制御部６６は、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る場合、電磁石５８ｂに電流を供給してワイパ部材３６ｂを第３方向における他方側に移動させた状態でメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させることによって、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。

【0068】

また、たとえば、電磁石制御部６６は、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る場合、電磁石５８ｃ電流を供給してワイパ部材３６ｃを第３方向における他方側に移動させた状態でメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させることによって、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。

【0069】

以上、液体吐出装置１０の機能構成について説明した。

【0070】

図９は、図１の液体吐出装置１０の動作の一例を示すフローチャートである。図１０は、ノズル３４に付着した液体を拭き取る際のメンテナンスステーション２６の動きを示す断面図である。図９および図１０を参照して、液体吐出装置１０の動作の一例について説明する。

【0071】

図９に示すように、まず、制御部６０は、カートリッジ２４をメンテナンス位置に移動させる（第１ステップ）（ステップＳ１）。具体的には、制御部６０は、カートリッジ２４を第１方向に移動させ、カートリッジ２４をメンテナンス位置に位置させる。本実施の形態では、メンテナンス位置は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃによって複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取ることが可能な位置である。具体的には、本実施の形態では、メンテナンス位置は、ワイパ部材３６ａによって複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取ることが可能であり、かつワイパ部材３６ｂによって複数の第２グループＢ１～Ｂ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取ることが可能であり、かつワイパ部材３６ｃによって複数の第３グループＣ１～Ｃ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取ることが可能な位置である。たとえば、制御部６０は、第１方向において、複数の第１グループＡ１～Ａ６の位置と凹部４４ａの位置とが揃い、複数の第２グループＢ１～Ｂ６の位置と凹部４４ｂの位置とが揃い、複数の第３グループＣ１～Ｃ６の位置と凹部４４ｃの位置とが揃う位置に、カートリッジ２４を移動させる。

【0072】

次に、制御部６０は、ワイパ部材を移動させる（ステップＳ２）。たとえば、制御部６０は、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６のうち、液体を拭き取るグループに応じて、ワイパ部材を移動させる。たとえば、制御部６０は、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る場合、ワイパ部材３６ａを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、制御部６０は、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る場合、ワイパ部材３６ｂを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、制御部６０は、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る場合、ワイパ部材３６ｃを第３方向の他方側に移動させる。

【0073】

次に、制御部６０は、メンテナンスステーション２６を移動させる（第２ステップ）（ステップＳ３）。具体的には、制御部６０は、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させ、メンテナンス位置に位置しているカートリッジ２４の複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る。本実施の形態では、制御部６０は、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させ、ワイパ部材３６ａによって複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取り、ワイパ部材３６ｂによって複数の第２グループＢ１～Ｂ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取り、ワイパ部材３６ｃによって複数の第３グループＣ１～Ｃ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取る。

【0074】

本実施の形態では、制御部６０は、ノズル３４に付着している液体を拭き取る際のメンテナンスステーション２６の第２方向への移動速度を、カートリッジ２４をメンテナンス位置に位置させる際のカートリッジ２４の第１方向への移動速度よりも遅くする。つまり、本実施の形態では、第２ステップにおけるメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させる速度は、第１ステップにおけるカートリッジ２４を第１方向に移動させる速度よりも遅い。これによって、カートリッジ２４をより早くメンテナンス位置に位置させることができるとともに、拭き取られた液体が飛び散ること等を抑制できる。

【0075】

たとえば、図１０の（ａ）に示すように、ワイパ部材３６ｂが第３方向の他方側に移動した状態で第２方向の一方側にメンテナンスステーション２６が移動すると、ワイパ部材３６ｂが、複数のノズル３４が形成されているノズル面６８と接触する。

【0076】

図１０の（ａ）に示す状態から第２方向の一方側にメンテナンスステーション２６が移動すると、図１０の（ｂ）に示すように、ワイパ部材３６ｂが、ノズル面６８と接触しながら第２方向に移動する。これによって、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体がワイパ部材３６ｂによって拭き取られる。

【0077】

図１０の（ｂ）に示す状態から第２方向の一方側にメンテナンスステーション２６が移動すると、図１０の（ｃ）に示すように、ワイパ部材３６ｂが、ノズル面６８と接触しながら第２方向にさらに移動する。これによって、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体がワイパ部材３６ｂによってさらに拭き取られる。

【0078】

ワイパ部材３６ｂによって拭き取られた液体は凹部４４ｂに貯留される。

【0079】

以上、液体吐出装置１０の動作の一例について説明した。

【0080】

上述したように、液体吐出装置１０では、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４によって吐出される液体と、複数の第２ループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４によって吐出される液体と、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４によって吐出される液体とが、別々のワイパ部材３６ａ～３６ｃによって拭き取られ、別々の凹部４４ａ～４４ｃに貯留される。したがって、これらの液体が混ざり合うことを抑制できるので、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【0081】

また、液体吐出装置１０では、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃを個別に第３方向に移動させることができるので、たとえば、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち、ワイパ部材３６ａのみで液体を拭き取ることができ、ワイパ部材３６ｂのみで液体を拭き取ることができ、ワイパ部材３６ｃのみで液体を拭き取ることができる。

【0082】

たとえば、液体吐出装置１０では、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち、所望の１つ以上のワイパ部材のみを第３方向に移動させ、当該１つ以上のワイパ部材のみでノズル３４に付着している液体の拭き取りを行うことができる。

【0083】

具体的には、たとえば、複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体の拭き取りを行う必要がある場合であって、複数の第２グループＢ１～Ｂ６のそれぞれおよび複数の第３グループＣ１～Ｃ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体の拭き取りを行う必要がない場合、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうちワイパ部材３６ａのみを第３方向の他方側に移動させることによって、複数の第１グループＡ１～Ａ６、複数の第２グループＢ１～Ｂ６、および複数の第３グループＣ１～Ｃ６のうち複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体のみを拭き取ることができる。

【0084】

たとえば、複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれに属するノズル３４から吐出される液体と、複数の第２グループＢ１～Ｂ６のそれぞれに属するノズル３４から吐出される液体とが混ざり合うと、コンタミネーションが発生する恐れがある場合、複数の第１グループＡ１～Ａ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取るタイミングと、複数の第２グループＢ１～Ｂ６のそれぞれに属するノズル３４に付着している液体を拭き取るタイミングとを異ならせることができる。これによって、これらの液体が混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【0085】

たとえば、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうちの所望の１つ以上のワイパ部材は、液体吐出装置１０の操作画面等を介して、ユーザーによって選択される。これにより、ユーザーが個別に使用したいワイパ部材の選択が可能になり任意のノズル３４の液体を拭き取ることが可能になる。したがって、拭き取り可能な液体と拭き取り不可能な液体、たとえば、試薬と細胞が含まれる混合液とを同じカートリッジで使用できるようになる。

【0086】

以上、実施の形態１に係る液体吐出装置１０について説明した。

【0087】

本実施の形態に係る液体吐出装置１０は、それぞれが液体を吐出する複数のノズル３４を有し、第１方向に移動可能であるカートリッジ２４と、第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能なメンテナンスステーション２６と、移動機構５４とを備え、メンテナンスステーション２６は、それぞれが複数のノズル３４の少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃと、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを第１方向と直交しかつ第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材３８とを有し、移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃの少なくとも１つを支持部材３８に対して第３方向に移動させる。

【0088】

これによれば、第２方向に移動可能なメンテナンスステーション２６が複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃを有しているので、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させることによって複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【0089】

また、本実施の形態に係る液体吐出装置１０において、移動機構５４は、それぞれが複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち対応するワイパ部材を支持部材３８に対して第３方向に移動させる複数の電磁石５８ａ～５８ｃを有する。

【0090】

これによれば、複数の電磁石５８ａ～５８ｃによって複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを第３方向に容易に移動させることができるので、複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができる。

【0091】

また、本実施の形態に係る液体吐出装置１０において、メンテナンスステーション２６は、支持部材３８が着脱可能に取り付けられる取付部材４０を有する。

【0092】

これによれば、支持部材３８を取付部材４０から取り外すことによって、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれによって拭き取られた液体を適切に処理できる。たとえば、支持部材３８を取付部材４０から取り外して容易に水洗いすることができたり、あるいは、個々に液体を拭き取りコンタミネーションの発生をさらに抑制できたりする。

【0093】

本実施の形態に係る制御方法は、液体吐出装置１０の制御方法であって、液体吐出装置１０は、それぞれが液体を吐出する複数のノズル３４を有し、第１方向に移動可能であるカートリッジ２４と、第１方向と直交する第２方向に移動可能であり、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能なメンテナンスステーション２６と、移動機構５４とを備え、メンテナンスステーション２６は、それぞれが複数のノズル３４の少なくとも１つに付着している液体を拭き取ることが可能な複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃと、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを第１方向と直交しかつ第２方向と直交する第３方向に移動可能に支持する支持部材３８とを有し、移動機構５４は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃの少なくとも１つを支持部材３８に対して第３方向に移動させ、カートリッジ２４を第１方向に移動させ、カートリッジ２４を複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃによって複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取ることが可能なメンテナンス位置に位置させる第１ステップと、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させ、メンテナンス位置に位置しているカートリッジ２４の複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を拭き取る第２ステップとを含み、第２ステップにおけるメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させる速度は、第１ステップにおけるカートリッジ２４を第１方向に移動させる速度よりも遅い。

【0094】

これによれば、第２方向に移動可能なメンテナンスステーション２６が複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃを有しているので、メンテナンスステーション２６を第２方向に移動させることによって複数のノズル３４のそれぞれに付着している液体を容易に拭き取ることができるとともに、拭き取られた液体を容易に受けることができる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。また、第２ステップにおけるメンテナンスステーション２６を第２方向に移動させる速度は、第１ステップにおけるカートリッジ２４を第１方向に移動させる速度よりも遅いので、カートリッジ２４をより早くメンテナンス位置に位置させることができるとともに、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃで拭き取られた液体が飛び散ることを抑制できる。したがって、拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことを抑制でき、コンタミネーションの発生を抑制できる。

【0095】

（実施の形態２）
図１１は、実施の形態２に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション７０を示す模式図である。図１１の（ｂ）は、図１１の（ａ）のＸＩｂ－ＸＩｂ線における断面図である。図１１を参照して、実施の形態２に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション７０について説明する。

【0096】

図１１に示すように、実施の形態２に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション２６とは異なるメンテナンスステーション７０を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0097】

メンテナンスステーション７０は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃとは異なる複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃと、支持部材３８とは異なる支持部材７４とを有している点において、メンテナンスステーション２６と主に異なっている。

【0098】

複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのそれぞれは、第３方向における他方側の端部が一方側の端部よりも細い点において、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれと主に異なっている。

【0099】

支持部材７４は、複数の凹部４４ａ～４４ｃとは異なる複数の凹部７６ａ～７６ｃと、複数の流路形成部７８ａ～７８ｃとを有している点において、支持部材３８と主に異なっている。

【0100】

複数の凹部７６ａ～７６ｃのそれぞれは、複数の凹部４４ａ～４４ｃのそれぞれよりもやや小さい点において、複数の凹部４４ａ～４４ｃと主に異なっている。

【0101】

複数の流路形成部７８ａ～７８ｃは、複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃに対応して設けられており、複数の流路形成部７８ａ～７８ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を、複数の凹部７６ａ～７６ｃのうち当該ワイパ部材に対応する凹部に導く流路を形成している。つまり、複数の流路形成部７８ａ～７８ｃのそれぞれは、複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのそれぞれによって拭き取られた液体を複数の凹部７６ａ～７６ｃのそれぞれに導く流路を形成している。具体的には、流路形成部７８ａは、ワイパ部材７２ａによって拭き取られた液体を凹部７６ａに導く流路８０ａを形成している。また、流路形成部７８ｂは、ワイパ部材７２ｂによって拭き取られた液体を凹部７６ｂに導く流路８０ｂを形成している。また、流路形成部７８ｃは、ワイパ部材７２ｃによって拭き取られた液体を凹部７６ｃに導く流路８０ｃを形成している。

【0102】

ワイパ部材７２ａによって拭き取られた液体は、ワイパ部材７２ａが流路形成部７８ａに対して第３方向に移動することによって流路形成部７８ａによって拭き取られ、その後、流路８０ａに沿って流れて凹部７６ａに流れ込み、凹部７６ａに貯留される。ワイパ部材７２ｂによって拭き取られた液体は、ワイパ部材７２ｂが流路形成部７８ｂに対して第３方向に移動することによって流路形成部７８ｂによって拭き取られ、その後、流路８０ｂに沿って流れて凹部７６ｂに流れ込み、凹部７６ｂに貯留される。ワイパ部材７２ｃによって拭き取られた液体は、ワイパ部材７２ｃが流路形成部７８ｃに対して第３方向に移動することによって流路形成部７８ｃによって拭き取られ、その後、流路８０ｃに沿って流れて凹部７６ｃに流れ込み、凹部７６ｃに貯留される。

【0103】

以上、実施の形態２に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション７０について説明した。

【0104】

本実施の形態に係る液体吐出装置において、支持部材７４は、それぞれが複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を貯留するための複数の凹部７６ａ～７６ｃと、それぞれが複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのうち対応するワイパ部材によって拭き取られた液体を複数の凹部７６ａ～７６ｃのうち当該ワイパ部材に対応する凹部に導く流路を形成する複数の流路形成部７８ａ～７８ｃとを有する。

【0105】

これによれば、複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのそれぞれによって拭き取られた液体を当該ワイパ部材に対応する凹部に容易に導くことができるので、複数のワイパ部材７２ａ～７２ｃのそれぞれによって拭き取られた液体が他の液体と混ざり合うことをさらに抑制でき、コンタミネーションの発生をさらに抑制できる。

【0106】

（実施の形態３）
図１２は、実施の形態３に係る液体吐出装置の移動機構９０等を示す断面図である。図１２を参照して、実施の形態３に係る液体吐出装置の移動機構９０等について説明する。

【0107】

図１２に示すように、実施の形態３に係る液体吐出装置は、移動機構５４に代えて移動機構９０を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0108】

移動機構９０は、複数の電磁石５８ａ～５８ｃに代えて、複数のマイクロブロア９２を有している点において、移動機構５４と主に異なっている。

【0109】

複数のマイクロブロア９２は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃに対応して設けられている。複数のマイクロブロア９２のそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち当該マイクロブロアに対応するワイパ部材を第３方向に移動させる。複数のマイクロブロア９２のそれぞれは、第３方向の他方側に向かって空気を吐出する。

【0110】

たとえば、ワイパ部材３６ａに対応するマイクロブロア９２（図示せず）は、第３方向の他方側に向かって空気を吐出することによって、ワイパ部材３６ａを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、ワイパ部材３６ｂに対応するマイクロブロア９２は、第３方向の他方側に向かって空気を吐出することによって、ワイパ部材３６ｂを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、ワイパ部材３６ｃに対応するマイクロブロア９２（図示せず）は、第３方向の他方側に向かって空気を吐出することによって、ワイパ部材３６ｃを第３方向の他方側に移動させる。

【0111】

以上、実施の形態３に係る液体吐出装置の移動機構９０等について説明した。なお、たとえば、実施の形態３に係る液体吐出装置は、複数の永久磁石５６ａ～５６ｃに代えて複数の錘を備えていてもよい。

【0112】

（実施の形態４）
図１３は、実施の形態４に係る液体吐出装置の移動機構１０２等を示す断面図である。図１３を参照して、実施の形態４に係る液体吐出装置の移動機構１０２等について説明する。

【0113】

図１３に示すように、実施の形態４に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション２６に代えてメンテナンスステーション１００を備えており、移動機構５４に代えて移動機構１０２を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0114】

メンテナンスステーション１００は、取付部材４０とは異なる取付部材１０４を有している点において、メンテナンスステーション２６と主に異なっている。取付部材１０４は、複数のエアシリンダ１０８を収容する複数の収容孔１０６を有している。

【0115】

移動機構１０２は、複数の電磁石５８ａ～５８ｃに代えて、複数のエアシリンダ１０８を有している点において、移動機構５４と主に異なっている。

【0116】

複数のエアシリンダ１０８は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃに対応して設けられている。複数のエアシリンダ１０８のそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち当該エアシリンダに対応するワイパ部材を第３方向に移動させる。

【0117】

複数のエアシリンダ１０８のそれぞれは、チューブ１１０と、ピストン１１２とを有している。ピストン１１２は、チューブ１１０に対して第３方向に移動可能である。たとえば、チューブ１１０内に空気が吸引されることによって、ピストン１１２がチューブ１１０に対して第３方向の他方側に移動する。また、たとえば、チューブ１１０内から空気が排出されることによって、ピストン１１２がチューブ１１０に対して第３方向の一方側に移動する。たとえば、複数のエアシリンダ１０８のそれぞれは、単動押出式のエアシリンダ、または複動式のエアシリンダである。

【0118】

たとえば、ワイパ部材３６ａに対応するエアシリンダ１０８（図示せず）は、チューブ１１０内に空気が吸引されてピストン１１２がチューブ１１０に対して第３方向の他方側に移動することによって、ワイパ部材３６ａを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、ワイパ部材３６ｂに対応するエアシリンダ１０８は、チューブ１１０内に空気が吸引されてピストン１１２がチューブ１１０に対して第３方向の他方側に移動することによって、ワイパ部材３６ｂを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、ワイパ部材３６ｃに対応するエアシリンダ１０８（図示せず）は、チューブ１１０内に空気が吸引されてピストン１１２がチューブ１１０に対して第３方向の他方側に移動することによって、ワイパ部材３６ｃを第３方向の他方側に移動させる。

【0119】

以上、実施の形態４に係る液体吐出装置の移動機構１０２等について説明した。なお、たとえば、実施の形態４に係る液体吐出装置は、複数の永久磁石５６ａ～５６ｃに代えて複数の錘を備えていてもよい。

【0120】

（実施の形態５）
図１４は、実施の形態５に係る液体吐出装置の移動機構１２０等を示す断面図である。図１４を参照して、実施の形態５に係る液体吐出装置の移動機構１２０等について説明する。

【0121】

図１４に示すように、実施の形態５に係る液体吐出装置は、移動機構１０２に代えて移動機構１２０を備えている点において、実施の形態４に係る液体吐出装置と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態４に係る液体吐出装置との相違点を中心に説明する。

【0122】

移動機構１２０は、複数のエアシリンダ１０８に代えて、複数の油圧シリンダ１２２を有している点において、移動機構１０２と主に異なっている。

【0123】

複数の油圧シリンダ１２２は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃに対応して設けられている。複数の油圧シリンダ１２２のそれぞれは、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのうち当該油圧シリンダに対応するワイパ部材を第３方向に移動させる。

【0124】

複数の油圧シリンダ１２２のそれぞれは、チューブ１２４と、ピストン１２６とを有している。ピストン１２６は、チューブ１２４に対して第３方向に移動可能である。たとえば、チューブ１２４内に油が注入されることによって、ピストン１２６がチューブ１２４に対して第３方向の他方側に移動する。また、たとえば、チューブ１２４内から油が排出されることによって、ピストン１２６がチューブ１２４に対して第３方向の一方側に移動する。

【0125】

たとえば、ワイパ部材３６ａに対応する油圧シリンダ１２２（図示せず）は、チューブ１２４内に油が注入されてピストン１２６がチューブ１２４に対して第３方向の他方側に移動することによって、ワイパ部材３６ａを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、ワイパ部材３６ｂに対応する油圧シリンダ１２２は、チューブ１２４内に油が注入されてピストン１２６がチューブ１２４に対して第３方向の他方側に移動することによって、ワイパ部材３６ｂを第３方向の他方側に移動させる。また、たとえば、ワイパ部材３６ｃに対応する油圧シリンダ１２２（図示せず）は、チューブ１２４内に油が注入されてピストン１２６がチューブ１２４に対して第３方向の他方側に移動することによって、ワイパ部材３６ｃを第３方向の他方側に移動させる。

【0126】

以上、実施の形態５に係る液体吐出装置の移動機構１２０等について説明した。なお、たとえば、実施の形態５に係る液体吐出装置は、複数の永久磁石５６ａ～５６ｃに代えて複数の錘を備えていてもよい。

【0127】

（実施の形態６）
図１５は、実施の形態６に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１３０を示す模式図である。図１５を参照して、実施の形態６に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１３０について説明する。

【0128】

図１５に示すように、実施の形態６に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション２６に代えてメンテナンスステーション１３０を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0129】

メンテナンスステーション１３０は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃとは異なる複数のワイパ部材１３２ａ～１３２ｆと、支持部材３８とは異なる支持部材１３４とを有している点において、メンテナンスステーション２６と主に異なっている。

【0130】

複数のワイパ部材１３２ａ～１３２ｃは、第１方向に並んでおり、複数のワイパ部材１３２ｄ～１３２ｆは、第１方向に並んでいる。ワイパ部材１３２ａとワイパ部材１３２ｄとは、第２方向に並んでおり、ワイパ部材１３２ｂとワイパ部材１３２ｅとは、第２方向に並んでおり、ワイパ部材１３２ｃとワイパ部材１３２ｆとは、第２方向に並んでいる。

【0131】

支持部材１３４は、複数の凹部４４ａ～４４ｃとは異なる複数の凹部１３６ａ～１３６ｆを有している点において、支持部材３８と主に異なっている。

【0132】

凹部１３６ａは、第２方向におけるワイパ部材１３２ａの一方側に設けられており、凹部１３６ｂは、第２方向におけるワイパ部材１３２ｂの一方側に設けられており、凹部１３６ｃは、第２方向におけるワイパ部材１３２ｃの一方側に設けられている。凹部１３６ｄは、第２方向におけるワイパ部材１３２ｄの一方側に設けられており、凹部１３６ｅは、第２方向におけるワイパ部材１３２ｅの一方側に設けられており、凹部１３６ｆは、第２方向におけるワイパ部材１３２ｆの一方側に設けられている。

【0133】

ワイパ部材１３２ａによって拭き取られた液体は凹部１３６ａに貯留され、ワイパ部材１３２ｂによって拭き取られた液体は凹部１３６ｂに貯留され、ワイパ部材１３２ｃによって拭き取られた液体は凹部１３６ｃに貯留される。ワイパ部材１３２ｄによって拭き取られた液体は凹部１３６ｄに貯留され、ワイパ部材１３２ｅによって拭き取られた液体は凹部１３６ｅに貯留され、ワイパ部材１３２ｆによって拭き取られた液体は凹部１３６ｆに貯留される。

【0134】

たとえば、６つのグループに分けられている複数のノズルを有するカートリッジがキャリッジ２２に装着された場合、メンテナンスステーション１３０を用いることによって、当該６つのグループのそれぞれに属するノズルに付着している液体を複数のワイパ部材１３２ａ～１３２ｄのそれぞれによって拭き取ることができる。

【0135】

以上、実施の形態６に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１３０について説明した。

【0136】

（実施の形態７）
図１６は、実施の形態７に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１４０を示す模式図である。図１６を参照して、実施の形態７に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１４０について説明する。

【0137】

図１６に示すように、実施の形態７に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション２６に代えてメンテナンスステーション１４０を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0138】

メンテナンスステーション１４０は、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃとは異なる複数のワイパ部材１４２ａ～１４２ｄと、支持部材３８とは異なる支持部材１４４とを有している点において、メンテナンスステーション２６と主に異なっている。

【0139】

ワイパ部材１４２ａとワイパ部材１４２ｂとは、第１方向に並んでおり、ワイパ部材１４２ｃとワイパ部材１４２ｄとは、第１方向に並んでいる。ワイパ部材１４２ａとワイパ部材１４２ｃとは、第２方向に並んでおり、ワイパ部材１４２ｂとワイパ部材１４２ｄとは、第２方向に並んでいる。

【0140】

支持部材１４４は、複数の凹部４４ａ～４４ｃとは異なる複数の凹部１４６ａ～１４６ｄを有している点において、支持部材３８と主に異なっている。

【0141】

凹部１４６ａは、第２方向におけるワイパ部材１４２ａの一方側に設けられており、凹部１４６ｂは、第２方向におけるワイパ部材１４２ｂの一方側に設けられている。凹部１４６ｃは、第２方向におけるワイパ部材１４２ｃの一方側に設けられており、凹部１４６ｄは、第２方向におけるワイパ部材１４２ｄの一方側に設けられている。

【0142】

ワイパ部材１４２ａによって拭き取られた液体は凹部１４６ａに貯留され、ワイパ部材１４２ｂによって拭き取られた液体は凹部１４６ｂに貯留される。ワイパ部材１４２ｃによって拭き取られた液体は凹部１４６ｃに貯留され、ワイパ部材１４２ｄによって拭き取られた液体は凹部１４６ｄに貯留される。

【0143】

たとえば、４つのグループに分けられている複数のノズルを有するカートリッジがキャリッジ２２に装着された場合、メンテナンスステーション１４０を用いることによって、当該４つのグループのそれぞれに属するノズルに付着している液体を複数のワイパ部材１４２ａ～１４２ｄのそれぞれによって拭き取ることができる。

【0144】

以上、実施の形態７に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１４０について説明した。

【0145】

（実施の形態８）
図１７は、実施の形態８に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１５０を示す模式図である。図１７を参照して、実施の形態８に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１５０について説明する。

【0146】

図１７に示すように、実施の形態８に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション２６に代えてメンテナンスステーション１５０を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0147】

メンテナンスステーション１５０は、支持部材３８に代えて、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受けることが可能な部材１５２が取付部材４０に着脱可能に取り付けられることが可能である点において、メンテナンスステーション２６と主に異なっている。つまり、取付部材４０は、支持部材３８に代えて、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な部材１５２が着脱可能に取り付けられることが可能である。

【0148】

たとえば、取付部材４０は、磁石（図示せず）を有し、部材１５２は、当該磁石と引き合う磁石（図示せず）を有し、これらの磁石が相互に引き合うことによって、取付部材４０と部材１５２とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材４０は、爪部（図示せず）を有し、部材１５２は、当該爪部と着脱可能に係り合う溝部（図示せず）を有し、当該爪部と当該溝部とが係り合うことによって、取付部材４０と部材１５２とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材４０は、凸部（図示せず）を有し、部材１５２は、当該凸部と着脱可能に嵌まり合う凹部（図示せず）を有し、当該凸部と当該凹部とが嵌まり合うことによって、取付部材４０と部材１５２とが着脱可能に取り付けられる。

【0149】

部材１５２は、複数のノズル３４のそれぞれに付着した液体を拭き取るワイパ部材を有しておらず、複数の凹部１５４ａ～１５４ｃを有している。たとえば、凹部１５４ａは、複数の第１グループＡ１～Ａ６に属する複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部１５４ｂは、複数の第２グループＢ１～Ｂ６に属する複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受け、凹部１５４ｃは、複数の第３グループＣ１～Ｃ６に属する複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受ける。

【0150】

上述したように、実施の形態８に係る液体吐出装置では、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃによる液体の拭き取りが不要な場合等に、支持部材３８に代えて部材１５２を取付部材４０に取り付けることができる。

【0151】

以上、実施の形態８に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１５０について説明した。

【0152】

本実施の形態に係る液体吐出装置において、取付部材４０は、支持部材３８に代えて、ノズル３４から空吐出される液体を受けることが可能な部材１５２が着脱可能に取り付けられることが可能である。

【0153】

これによれば、ワイパ部材３６ａによる液体の拭き取りが不要な場合等には、支持部材３８に代えて、ノズル３４から空吐出される液体を受けることが可能な部材１５２を取り付けて使用することができる。

【0154】

（実施の形態９）
図１８は、実施の形態９に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１６０を示す模式図である。図１８を参照して、実施の形態９に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１６０について説明する。

【0155】

図１８に示すように、実施の形態９に係る液体吐出装置は、メンテナンスステーション２６に代えてメンテナンスステーション１６０を備えている点において、実施の形態１に係る液体吐出装置１０と主に異なっている。以下の説明では、実施の形態１に係る液体吐出装置１０との相違点を中心に説明する。

【0156】

メンテナンスステーション１６０は、支持部材３８に代えて、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出された液体を受けることが可能な部材１６２が取付部材４０に着脱可能に取り付けられることが可能である点において、メンテナンスステーション２６と主に異なっている。つまり、取付部材４０は、支持部材３８に代えて、複数のノズル３４のそれぞれから空吐出される液体を受けることが可能な部材１６２が着脱可能に取り付けられることが可能である。

【0157】

たとえば、取付部材４０は、磁石（図示せず）を有し、部材１６２は、当該磁石と引き合う磁石（図示せず）を有し、これらの磁石が相互に引き合うことによって、取付部材４０と部材１６２とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材４０は、爪部（図示せず）を有し、部材１６２は、当該爪部と着脱可能に係り合う溝部（図示せず）を有し、当該爪部と当該溝部とが係り合うことによって、取付部材４０と部材１６２とが着脱可能に取り付けられる。また、たとえば、取付部材４０は、凸部（図示せず）を有し、部材１６２は、当該凸部と着脱可能に嵌まり合う凹部（図示せず）を有し、当該凸部と当該凹部とが嵌まり合うことによって、取付部材４０と部材１６２とが着脱可能に取り付けられる。

【0158】

部材１６２は、複数のノズル３４のそれぞれに付着した液体を拭き取るワイパ部材を有しておらず、複数の凹部１６４ａ～１６４ｄを有している。

【0159】

たとえば、４つのグループに分けられている複数のノズルを有するカートリッジがキャリッジ２２に装着された場合、メンテナンスステーション１６０を用いることによって、当該４つのグループのそれぞれに属するノズルから空吐出される液体を複数の凹部１６４ａ～１６４ｃで受けることができる。

【0160】

上述したように、実施の形態９に係る液体吐出装置では、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃが不要な場合等に、支持部材３８に代えて部材１６２を取付部材４０に取り付けることができる。

【0161】

以上、実施の形態９に係る液体吐出装置のメンテナンスステーション１６０について説明した。

【0162】

（他の実施の形態等）
以上、本発明の実施の形態に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。

【0163】

上記実施の形態では、複数のノズル３４が、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６に分けられている場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、２つ以上のグループＡ１～Ａ６，Ｂ１～Ｂ６，Ｃ１～Ｃ６のうち、複数の第３グループＣ１～Ｃ６はなくてもよい。たとえば、この場合、メンテナンスステーション２６は、ワイパ部材３６ｃを有しておらず、凹部４４ｃを有していなくてもよい。

【0164】

また、上記実施の形態では、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれが、第３方向と平行な方向に移動する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれは、第３方向に対して斜めの方向に移動してもよい。

【0165】

また、上記実施の形態では、複数の電磁石５８ａ～５８ｃが複数のワイパ部材３６ａ～３６ｃのそれぞれを第３方向に移動させる場合等について説明したが、これに限定されない。たとえば、移動機構は、複数のワイパ部材に対応する複数の突出部を有しており、複数の突出部によって複数のワイパ部材のそれぞれを第３方向に移動させてもよい。具体的には、たとえば、複数の突出部のそれぞれは、メンテナンスステーションの駆動軸において第３方向の他方側に突出して設けられ、複数のワイパ部材のそれぞれは、メンテナンスステーションが駆動軸に沿って移動することによって、当該ワイパ部材に対応する突出部によって第３方向の他方側に押し上げられ、第３方向に移動するようにしてもよい。

【0166】

また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。ＲＡＭまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。

【0167】

さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、１個のシステムＬＳＩ（Ｌａｒｇｅ Ｓｃａｌｅ Ｉｎｔｅｇｒａｔｉｏｎ：大規模集積回路）から構成されているとしても良い。システムＬＳＩは、複数の構成部を１個のチップ上に集積して製造された超多機能ＬＳＩであり、たとえば、マイクロプロセッサ、ＲＯＭ、ＲＡＭなどを含んで構成されるコンピュータシステムを含む。この場合、ＲＯＭには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムＬＳＩは、その機能を達成する。

【0168】

さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なＩＣカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ＩＣカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ＲＯＭ、ＲＡＭなどから構成されるコンピュータシステムである。ＩＣカードまたはモジュールは、上記の超多機能ＬＳＩを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ＩＣカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このＩＣカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。

【0169】

また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。

【0170】

さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、ＣＤ－ＲＯＭ、ＭＯ、ＤＶＤ、ＤＶＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ－ＲＡＭ、ＢＤ（Ｂｌｕ－ｒａｙ（登録商標） Ｄｉｓｃ）、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。

【0171】

また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。

【0172】

また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。

【0173】

また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。

【0174】

さらに、上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。

【産業上の利用可能性】

【0175】

本発明は、液体を吐出する液体吐出装置として適用することができる。

【符号の説明】

【0176】

１０ 液体吐出装置
１２ 筐体
１４ トレイ支持部
１６ トレイ
１８ ウェルプレート
２０ キャリッジ駆動部
２２ キャリッジ
２４ カートリッジ
２６，７０，１００，１３０，１４０，１５０，１６０ メンテナンスステーション
２８ メンテナンスステーション駆動部
３０ 開口部
３２ ウェル
３４ ノズル
３６ａ，３６ｂ，３６ｃ，７２ａ，７２ｂ，７２ｃ，１３２ａ，１３２ｂ，１３２ｃ，１３２ｄ，１３２ｅ，１３２ｆ，１４２ａ，１４２ｂ，１４２ｃ，１４２ｄ ワイパ部材
３８，７４，１３４，１４４ 支持部材
４０，１０４ 取付部材
４２ 駆動軸
４４ａ，４４ｂ，４４ｃ，７６ａ，７６ｂ，７６ｃ，１３６ａ，１３６ｂ，１３６ｃ，１３６ｄ，１３６ｅ，１３６ｆ，１４６ａ，１４６ｂ，１４６ｃ，１４６ｄ，１５４ａ，１５４ｂ，１５４ｃ，１６４ａ，１６４ｂ，１６４ｃ，１６４ｄ 凹部
４６ａ，４６ｂ，４６ｃ 支持孔
４８ 収容凹部
５０ 摺動孔
５２ａ，５２ｂ，５２ｃ，１０６ 収容孔
５４，９０，１０２，１２０ 移動機構
５６ａ，５６ｂ，５６ｃ 永久磁石
５８ａ，５８ｂ，５８ｃ 電磁石
６０ 制御部
６２ キャリッジ制御部
６４ メンテナンスステーション制御部
６６ 電磁石制御部
６８ ノズル面
７８ａ，７８ｂ，７８ｃ 流路形成部
８０ａ，８０ｂ，８０ｃ 流路
９２ マイクロブロア
１０８ エアシリンダ
１１０，１２４ チューブ
１１２，１２６ ピストン
１２２ 油圧シリンダ
１５２，１６２ 部材

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】