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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051486
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】強誘電性液晶パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20230404BHJP
   G02F 1/141 20060101ALI20230404BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G02F1/13 101
G02F1/141
G02F1/1337 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162206
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英治
【テーマコード(参考)】
2H088
2H290
【Fターム(参考)】
2H088FA10
2H088FA20
2H088GA04
2H088HA01
2H088HA03
2H088HA06
2H088JA19
2H088MA18
2H290AA67
2H290BF13
2H290BF64
2H290BF65
(57)【要約】
【課題】ジグザグ欠陥を効率良く除去することが可能な強誘電性液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】互いに貼り合わされた第一基板と第二基板との間に充填された強誘電性液晶を等方相に相転移する第一温度まで加熱し、強誘電性液晶に直流電圧もしくは直流成分を含む交流電圧を印可しながら強誘電性液晶を第一温度からSmC相に相転移する温度まで冷却する第一の配向処理と、強誘電性液晶をSmA相もしくはN相に相転移する第二温度まで加熱し、強誘電性液晶に直流成分を含まない交流電圧を印加しながら、もしくは強誘電性液晶に電圧を印可しないまま、強誘電性液晶を第二温度からSmC相に相転移する温度まで冷却する第二の配向処理と、を有し、第一の配向処理と第二の配向処理をこの順番で行う、強誘電性液晶パネルの製造方法である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに貼り合わされた第一基板と第二基板との間に充填された強誘電性液晶を等方相に相転移する第一温度まで加熱し、前記強誘電性液晶に直流電圧もしくは直流成分を含む交流電圧を印可しながら前記強誘電性液晶を前記第一温度からSmC相に相転移する温度まで冷却する第一の配向処理と、
前記強誘電性液晶をSmA相もしくはN相に相転移する第二温度まで加熱し、前記強誘電性液晶に直流成分を含まない交流電圧を印加しながら、もしくは前記強誘電性液晶に電圧を印可しないまま、前記強誘電性液晶を前記第二温度からSmC相に相転移する温度まで冷却する第二の配向処理と、を有し、
前記第一の配向処理と前記第二の配向処理をこの順番で行う、
ことを特徴とする強誘電性液晶パネルの製造方法。
【請求項2】
前記第一の配向処理が終了してから前記第二の配向処理が開始されるまでの間、前記強誘電性液晶をSmC相となる温度に保つ、ことを特徴とする請求項1に記載の強誘電性液晶パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第二温度は、前記強誘電性液晶がSmA相に相転移する温度である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電性液晶パネルの製造方法。
【請求項4】
前記第二温度は、前記強誘電性液晶がN相に相転移する温度である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電性液晶パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強誘電性液晶パネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置内に搭載される液晶パネルは、薄型化、小型化が可能であり、低消費電力で駆動できること等々の利点があることから、近年ではモバイル機器やプロジェクター、ビューファインダー、HMD、HUD等の小型電子機器の分野で広く使用されている。
【0003】
液晶パネルに使用される液晶のうち強誘電性液晶は、その液晶分子が有する自発分極の強さにより、基板間に印加される電界との相互作用が強いことから、一般的に多くの製品に使用されているネマティック液晶よりも極めて早い応答性を有する。
【0004】
強誘電性液晶では、その液晶分子が形成する層構造の境界に「ジグザグ欠陥」と呼ばれる配向欠陥が発生することがある。ジグザグ欠陥は、液晶パネルに注入された強誘電性液晶を等方相(Isotropic相)に相転移する温度まで加熱し、強誘電性液晶に電圧を印可しながら強誘電性液晶をSmC相へ相転移する温度まで徐々に冷却するという配向処理を行うことにより除去される場合がある。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-52081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような配向処理を行ってもジグザグ欠陥を完全に除去できるとは限らず、完全に除去できたとしても完全に除去するまでに同様の配向処理を何度も繰り返したりする必要があり、ジグザグ欠陥を効率良く除去することができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、ジグザグ欠陥を効率良く除去することが可能な強誘電性液晶パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
互いに貼り合わされた第一基板と第二基板との間に充填された強誘電性液晶を等方相に相転移する第一温度まで加熱し、前記強誘電性液晶に直流電圧もしくは直流成分を含む交流電圧を印可しながら前記強誘電性液晶を前記第一温度からSmC相に相転移する温度まで冷却する第一の配向処理と、前記強誘電性液晶をSmA相もしくはN相に相転移する第二温度まで加熱し、前記強誘電性液晶に直流成分を含まない交流電圧を印加しながら、もしくは前記強誘電性液晶に電圧を印可しないまま、前記強誘電性液晶を前記第二温度からSmC相に相転移する温度まで冷却する第二の配向処理と、を有し、前記第一の配向処理と前記第二の配向処理をこの順番で行う、強誘電性液晶パネルの製造方法である。
【0009】
前記第一の配向処理が終了してから前記第二の配向処理が開始されるまでの間、前記強誘電性液晶をSmC相となる温度に保つ、強誘電性液晶パネルの製造方法であっても良い。
【0010】
前記第二温度は、前記強誘電性液晶がSmA相に相転移する温度である、強誘電性液晶パネルの製造方法であっても良い。
【0011】
前記第二温度は、前記強誘電性液晶がN相に相転移する温度である、強誘電性液晶パネルの製造方法であっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ジグザグ欠陥を効率良く除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る強誘電性液晶パネルの縦断面図
図2】本発明の実施例に係る強誘電性液晶パネルの液晶分子の配向状態を示す縦断面図
図3】強誘電性液晶の液晶分子のスイッチングを示す図
図4(a)】強誘電性液晶の液晶分子の方向(ドメイン)が一様に揃っている状態を示す図
図4(b)】強誘電性液晶の液晶分子の方向(ドメイン)が一様に揃っていない(混在している)状態を示す図
図5】本発明に実施例に係る強誘電性液晶パネルの製造方法を示すフローチャート
図6】本発明の実施例に係る配向処理を行う際の温度プロファイルと液晶分子の配向状態の遷移を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る強誘電性液晶パネルを示す縦断面図である。図1に示す液晶パネルは、第一基板101(例えば、ガラス基板)と、第二基板102(例えば、シリコン基板)と、第一基板101及び第二基板102の互いに対向する面のそれぞれに形成された電極膜と、これらの電極膜のそれぞれの上に形成された有機配向膜103と、第一基板101と第二基板102とを接着する枠状のシール材と、このシール材で囲まれた領域の第一基板101と第二基板102との間の隙間(セルギャップ)に充填された強誘電性液晶と、を備えている。
【0016】
有機配向膜103の表面には、ラビング等により異方性が付与されている。有機配向膜103の成膜方法としては、いくつかの方法が考えられるが、例えばスピンコート法や蒸着法などが挙げられる。また、有機配向膜103の替わりに、感光性有機材料からなる光配向膜を用いたり、無機材料からなる無機配向膜を用いたりすることも可能である。
【0017】
図2は、本発明の実施例に係る強誘電性液晶パネルの液晶分子の配向状態を示す縦断面図、図3は、強誘電性液晶の液晶分子のスイッチングを示す図である。図2に示すように、強誘電性液晶パネルでは、基板間隔(セルギャップ)を例えば1μm以下に制御することにより、強誘電性液晶の特徴である螺旋構造が消失し、液晶分子104は、強誘電性液晶の層方向の略垂直方向(ラビング等の方向)を挟んで左右にそれぞれ所定の角度で安定する。液晶分子104は、その左右の2方向間をスイッチングすることによって、入射する光の偏光状態を変え、ポラライザーに光を透過させるか否かを決定させる。強誘電性液晶パネルは、液晶分子104に対する駆動電圧のON、OFFを行うだけのきわめて単純な駆動で光の偏光状態を制御することが可能である。
【0018】
1μm以下のようにセルギャップの小さい、いわゆるSSFLCD(表面安定化強誘電性液晶表示素子)においては、自発分極による強い液晶分子間の相互作用から、液晶分子を所定の方向に配向させるための強い配向規制力が必要であり、配向膜103からの相互作用が重要となる。SSFLCDにおいては、液晶分子104の捩れ構造が発生する。この際、液晶層間の間隔が広くなるが、その間隔を埋めるため、液晶層には「くの字」の形状となる、いわゆる「シェブロン構造」が発生する。図3に示すように、シェブロン構造105では、液晶分子104のコーン角軌道106の中心線がコーン頂点から基板側に傾いているC2配向と呼ばれる配向状態と、液晶分子104のコーン角軌道106の中心線がコーン頂点からセルギャップ中心側に傾いているC1配向と呼ばれる配向状態をとり得る。第一基板101と第二基板102との間に封入された強誘電性液晶の液晶分子104は、第一基板101と第二基板102に形成された配向膜103の異方性に従い適宜配向するが、このとき配向膜103の表面付近の液晶分子104は、配向膜103によるプレティルトおよび液晶分子104自体がもつプレティルトに基づき、C1配向とC2配向のいずれかをとり、その配向に基づきシェブロン構造106が形成される。そして、C1配向とC2配向が混在する場合には、C1配向とC2配向の境界にジグザグ欠陥が発生する。
【0019】
図4(a)は、強誘電性液晶の液晶分子の方向(ドメイン)が一様に揃っている状態を示す図、図4(b)は、強誘電性液晶の液晶分子の方向(ドメイン)が一様に揃っていない(混在している)状態を示す図である。液晶分子104の配向状態は、配向膜103の表面付近と、セルギャップの中央付近とで互いに異なり、配向膜103の表面付近の液晶分子104は、配向膜103の表面の影響により、本来のコーン角軌道106に沿って動くことができず、動きが制限される。通常、SSFLCの液晶分子104は、コーン角軌道106の中心線から左右2方向のいずれかの方向へ配向するが、どちらになるかは不定であり、一つの液晶パネル内で、図4(a)に示すように液晶分子104の方向が一様に揃うこともあるが、図4(b)に示すように液晶分子104の方向が一様に揃わない(2方向の配向が混在する)こともあり得る。液晶分野では特定の配向方向を持つ領域のことをドメインと呼ぶことがあり、通常、ドメインは、電圧を印可することにより、電界の方向に応じてどちらか一方向に揃うが、コーン角が固定されている領域では、ドメインを変化させる電圧(閾値)が高く、スイッチングし難い。図4(b)に示すようにドメインが混在した状態は、画像表示におけるムラ(ドメインムラ)として使用者に視認され、表示品位を損なう要因となり得る。ドメインが混在している場合、異なったドメイン部分では、光の複屈折(偏光状態)が異なり、表示ムラ等が視認される。
【0020】
ジグザグ欠陥とドメインムラの発生は、液晶分子104と配向膜103との相互作用と関わりがあり、特に液晶分子104の配向膜103に対する傾き、いわゆる「プレティルト」に依存する。通常、プレティルトが高いと、配向膜103に固定される液晶分子104の領域が広くなり表示ムラが強くなる傾向がある。また、シェブロン構造では、C2配向が比較的安定的だが、プレティルトが高くなると、C1配向が顕著になっていき、C1配向とC2配向が混在しやすい状態となり、ジグザグ欠陥が生じやすくなる。よって、配向品質を高くするにはプレティルトの制御が重要であるが、プレティルトは配向膜103の材料、ラビング法などの異方性の付与方法に大きく依存し、これらの材料や方法の選定には限りがあることから、低プレティルトを得ることは困難な場合も多い。また、SSFLC構造の液晶パネルにおいて、配向膜103の表面付近の液晶分子104はスイッチングに対し高い閾値電圧を有するため、ジグザグ欠陥とドメインムラは通常の電圧を印加しただけでは除去することができない。
【0021】
これに対し、本発明の実施例に係る強誘電性液晶パネルの製造方法によれば、ジグザグ欠陥とドメインムラを効率良く除去することができる。以下、その具体的な手順について説明する。
【0022】
図5は、本発明の実施例に係る強誘電性液晶パネルの製造方法を示すフローチャートである。図5に示す強誘電性液晶パネルの製造方法では、STEP1~4のプロセスを順次行う。
【0023】
<STEP1>
まず、第一基板101と第二基板102を液晶注入口が設けられた枠状のシール材を介して貼り合わせる基板貼り合わせ工程を実施する。
【0024】
<STEP2>
次に、第一基板101と第二基板102との間の隙間に液晶注入口を介して強誘電性液晶を充填する液晶充填工程を実施する。この際、強誘電性液晶は、等方相へ相転移する温度まで加熱された状態で充填され、その後、常温まで徐々に冷却される。強誘電性液晶は、常温まで冷却される途中で適宜配向するが、その際にジグザグ欠陥とドメインムラが発生することがある(ここでは、それらが発生したと仮定する)。液晶注入口は、強誘電性液晶が充填された後に必要に応じて封止材で封止される。
【0025】
<STEP3>
次に、第二基板102を回路基板に実装する実装工程を実施する。第一基板101と第二基板102は、導電性接着剤やワイヤー等により回路基板と電気的に接続される。
【0026】
<STEP4>
次に、第一基板101と第二基板102との間に充填されている強誘電性液晶に第一の配向処理と第二の配向処理をこの順番で行う配向処理工程を実施する。具体的には、以下の通りである。
【0027】
図6は、本発明の実施例に係る配向処理を行う際の温度プロファイルと液晶分子の配向状態の遷移を示す図である。STEP4では、まず、強誘電性液晶のドメインを一方向に揃えるために第一の配向処理を行う。第一の配向処理では、まず、強誘電性液晶を常温から等方相(Isotropic相)に相転移する温度まで加熱する。強誘電性液晶が等方相に相転移する温度は例えば110℃である。強誘電性液晶を加熱する手段としては箱型の加熱炉や板状のヒーター等を用いることができる。次いで、強誘電性液晶を等方相となる温度に一定時間保持したまま強誘電性液晶に直流電圧もしくは直流成分を含む交流電圧を印可する。電圧の大きさや波形は適宜選択される。その後、その電圧を強誘電性液晶に印加しながら強誘電性液晶をSmC相に相転移する温度まで徐々に冷却する。強誘電性液晶がSmC相となる温度の範囲は例えば-35℃~80℃である。そして、強誘電性液晶がSmC相に相転移した後の任意のタイミングで強誘電性液晶への電圧の印加を解除する。ドメインは、強誘電性液晶が等方相からSmC相まで相転移する間に形成されるが、この時に強誘電性液晶に印加される電圧の直流成分の作用により、配向膜103の表面付近の液晶分子104は、一様に一方向を向いた状態で固定される。これにより、ドメインムラは完全に除去される。但し、ジグザグ欠陥は多少除去されたとしても完全には除去されない。第一の配向処理では、強誘電性液晶を冷却する際に強誘電性液晶に直流電圧もしくは直流成分を含む交流電圧を印加しているため、ドメインを一方向へ効率良く揃えることができる。この効果は、強誘電性液晶に直流電圧を印可した場合の方が、強誘電性液晶に直流成分を含む交流電圧を印加した場合よりも、比較的大きい。
【0028】
次に、第一の配向処理が終了してから第二の配向処理が開始されるまでの間、ドメインが一方向に揃った状態で強誘電性液晶をSmC相となる温度に保持する。これにより、ドメインがよりいっそう安定化される。但し、このプロセスは必須ではなく、省略することが可能である。
【0029】
次に、ジグザグ欠陥を完全に除去するために第二の配向処理を行う。第二の配向処理では、まず、強誘電性液晶をSmA相に相転移する温度まで加熱する。強誘電性液晶がSmA相となる温度範囲は例えば80℃~90℃である。次いで、強誘電性液晶をSmA相となる温度に一定時間保持したまま、強誘電性液晶に直流成分を含まない交流電圧を印可する、もしくは電圧を印加せずに放置する。電圧を印加する場合、電圧の大きさや波形は適宜選択される。その後、その電圧を強誘電性液晶に印加しながら、もしくは電圧を印加しないまま、強誘電性液晶をSmC相に相転移する温度まで徐々に冷却する。そして、強誘電性液晶に電圧を印加していた場合には、強誘電性液晶がSmC相に相転移した後の任意のタイミングで強誘電性液晶への電圧の印加を解除する。ジグザグ欠陥は、強誘電性液晶がSmA相に相転移する温度まで加熱された時点で全て消失し、その後、強誘電性液晶がSmA相からSmC相へ相転移する際には新たに発生し難いため、強誘電性液晶がSmC相になった時点ではジグザグ欠陥が完全に除去された状態になる。ドメインは、強誘電性液晶が等方相になる温度まで加熱されなければ、一方向へ揃った状態がそのまま保持される。ドメインが一方向へ揃った状態で第二の配向処理を行うことで、新たなジグザグ欠陥の発生が効果的に抑制される。また、第二の配向処理では、強誘電性液晶を冷却する際に強誘電性液晶に直流成分を含まない交流電圧を印可している、もしくは電圧を印加していないため、新たなジグザグ欠陥の発生が効果的に抑制される。この効果は、強誘電性液晶に直流成分を含まない交流電圧を印可した場合の方が、強誘電性液晶に電圧を印加しない場合よりも、比較的大きい。
【0030】
以上のように第一の配向処理と第二の配向処理をこの順番で行うことで、ドメインムラを除去しつつ、ジグザグ欠陥を効率良く除去することができる。ドメインムラとジグザグ欠陥が除去された状態は、強誘電性液晶をSmA相へ相転移する温度以上に再び加熱しない限り持続される。
【0031】
本発明は、上記の実施例には限定されない。例えば、第二の配向処理においては、強誘電性液晶をN相(ネマティック相)に相転移する温度まで加熱しても良い。また、必要に応じて第二の配向処理を複数回繰り返し行っても良い。
【符号の説明】
【0032】
101 第一基板
102 第二基板
103 配向膜
104 液晶分子
105 シェブロン構造
106 コーン角軌道
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6