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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051619
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】エネルギー設備の提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230404BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169031
(22)【出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2021160524
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】平山 由佳理
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 惇
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法を提供する。
【解決手段】建物が有するエネルギー設備の提案方法であって、建物に必要な仕様に関する要望を抽出する第一段階(ステップS1)と、第一段階に基づいて、建物において必要であるエネルギー量及び蓄電システム20の蓄電池容量を算出する第二段階(ステップS7)と、複数の蓄電システム20のうち、第一段階及び第二段階に基づいた蓄電システム20を選択する第三段階(ステップS8~S9、S19)と、複数の発電システム10のうち、第一段階及び第二段階に基づいた発電システム10を選択する第四段階(ステップS9、S12、S19)と、を有し、第三段階において、蓄電システム20として、少なくともモビリティ搭載型蓄電池22を選択する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物が有するエネルギー設備の提案方法であって、
前記建物に必要な仕様に関する要望を抽出する第一段階と、
前記第一段階に基づいて、前記建物において必要であるエネルギー量及び蓄電システムの蓄電池容量を算出する第二段階と、
複数の前記蓄電システムのうち、前記第一段階及び前記第二段階に基づいた蓄電システムを選択する第三段階と、
複数の発電システムのうち、前記第一段階及び前記第二段階に基づいた発電システムを選択する第四段階と、
を有し、
前記第三段階において、前記蓄電システムとして、少なくともモビリティ搭載型蓄電池を選択することを特徴とするエネルギー設備の提案方法。
【請求項2】
前記第四段階において、前記発電システムとして、再生可能エネルギーによる発電システムを選択することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー設備の提案方法。
【請求項3】
前記建物に配備される予定のモビリティのうち、少なくとも一台以上は前記モビリティ搭載型蓄電池を搭載しているモビリティであることを特徴とする請求項1または2に記載のエネルギー設備の提案方法。
【請求項4】
前記第四段階において、前記発電システムとして、少なくとも一つ以上のコージェネレーションシステムを選択可能にすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法。
【請求項5】
前記第一段階において、前記建物が、非常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく、所定期間分のエネルギーを確保することができるエネルギー設備を備えることを要望されている場合、前記第二段階において、前記建物において必要であるエネルギー量を、非常時における所定時間ごとの前記建物における事業の消費エネルギー量、及び非常時における所定時間ごとの前記建物を避難所としたときの消費エネルギー量に基づいて算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法。
【請求項6】
前記第一段階において、前記建物が、平常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく前記建物における事業を可能にするエネルギー設備を備えることを要望されている場合、前記第二段階において、前記建物において必要であるエネルギー量を、平常時の前記建物における事業の消費エネルギー量に基づいて算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法。
【請求項7】
前記第三段階において選択された前記蓄電システム、及び前記第四段階において選択された前記発電システムに基づいて、コストを算出する第五段階を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法。
【請求項8】
前記第四段階において選択された前記発電システムにおいて、前記建物における総発電量に占める再生可能エネルギーによる発電量である再エネ率を算出する第六段階を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー設備の提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地球温暖化防止や省エネルギーの観点から、建物におけるエネルギー利用の効率化や光熱費の削減を図るための技術や、あるいは災害発生等による非常時の建物やその周辺地域におけるエネルギー管理が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、居住者の生活様式に関する要望や住宅の立地環境における気象条件を考慮しつつ、電気エネルギー及びガスエネルギーの利用方式について複数の方式を総合的に比較検討して、エネルギーの利用効率が高く、環境に対する負荷や光熱費を低減させうる最善のエネルギー活用計画を提案するように構成される住宅のエネルギー設計システムについて記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、主に工場とその周辺地域のエネルギー管理を対象とし、平常時の工場省エネルギー運用と、災害発生等による非常時のエネルギー融通方法として、工場とその周辺地域の復旧を並行して行うことを可能とする方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-330225号公報
【特許文献2】特開2013-118722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、激甚化する自然災害の発生や系統電源のような巨大インフラを維持するコストを勘案すると、エネルギーの自立性が求められる。特に、事業を行うことを目的とした施設や商業ビルにおいて、非常時(停電時や電力逼迫時等)にも事業を継続することが求められる。また、日本の地方をはじめ、人口が減少していく地域などのまちづくりにおいては、平常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく事業を可能にすることが求められる。
また、エネルギーの自立性を極力高めるためや地球温暖化防止の観点から、上記施設や商業ビルにおいて消費されるエネルギーを極力再生可能エネルギーによって供給することが求められる。しかし、上記施設や商業ビルにおけるエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーによる発電量が100%以上となるようなシステムと、非常時に事業を継続することが可能、もしくは平常時においても電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく事業を可能にするのに必要なシステムとを両立させようとすると、初期費用が膨大になるという課題があった。
また、上記施設や商業ビルのような建物を、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることができ、エネルギー消費量を減らすことできる(省エネルギーを実現することができる)、ZEB(Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル))基準を満たす建物とすることが求められている。しかし、上記施設や商業ビルのような建物においては複数のモビリティ(乗り物全般)が配備されるのが一般的であるが、ZEB基準にはモビリティの要素が含まれていないため、真の省エネルギーを実現するエネルギー設備の提案ができていないという課題があった。
上記の特許文献1においては、災害発生等による非常時のエネルギー管理や平常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく事業を可能にすることについては記載されていない。
また、特許文献2に記載の発明では、工場とその周辺地域のエネルギー管理を対象としており、巨大インフラの維持が課題となるような人口が減少していく地域における施設は対象ではなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、エネルギー設備の提案方法であって、例えば図2及び図3に示すように、
建物が有するエネルギー設備の提案方法であって、
前記建物に必要な仕様に関する要望を抽出する第一段階と、
前記第一段階に基づいて、前記建物において必要であるエネルギー量及び蓄電システムの蓄電池容量を算出する第二段階と、
複数の前記蓄電システムのうち、前記第一段階及び前記第二段階に基づいた蓄電システムを選択する第三段階と、
複数の発電システムのうち、前記第一段階及び前記第二段階に基づいた発電システムを選択する第四段階と、
を有し、
前記第三段階において、前記蓄電システムとして、少なくともモビリティ搭載型蓄電池を選択することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法は、建物について要望された、コストを含む仕様に基づいて、再生可能エネルギー発電システムまたは化石燃料発電システムを含む発電システム、及び定置型蓄電池より容量当たりのイニシャルコストが安価であるモビリティ搭載型蓄電池を含む蓄電システムの選択を提案できる。これにより、コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1に記載のエネルギー設備の提案方法おいて、
前記第四段階において、前記発電システムとして、再生可能エネルギーによる発電システムを選択することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法は、地球温暖化防止に寄与できる再生可能エネルギーによる発電を提案することができる。これにより、地球温暖化防止に寄与できる建物を実現することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1または2に記載のエネルギー設備の提案方法において、
前記建物に配備される予定のモビリティのうち、少なくとも一台以上は前記モビリティ搭載型蓄電池を搭載しているモビリティであることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法は、定置型蓄電池より容量当たりのイニシャルコストが安価であるモビリティ搭載型蓄電池を搭載しているモビリティを備える建物を実現することができるため、エネルギー設備におけるイニシャルコストを下げることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法において、
前記第四段階において、前記発電システムとして、少なくとも一つ以上のコージェネレーションシステムを選択可能にすることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法は、発電時に発生する熱を給湯などに利用するため他の発電システムよりも総合効率が高いコージェネレーションシステムによる発電を提案することができる。これにより、建物において省エネルギーを実現することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1から4のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法において、
前記第一段階において、前記建物が、非常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく、所定期間分のエネルギーを確保することができるエネルギー設備を備えることを要望されている場合、前記第二段階において、前記建物において必要であるエネルギー量を、非常時における所定時間ごとの前記建物における事業の消費エネルギー量、及び非常時における所定時間ごとの前記建物を避難所としたときの消費エネルギー量に基づいて算出することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法は、抽出された建物に必要な仕様に関する要望に基づいて、非常時における所定時間ごとの消費エネルギー量をより適切に算出することができる。これにより、建物をレジリエント型の建物とする場合の発電システム及び蓄電システムの選択を提案できる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1から5のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法において、
前記第一段階において、前記建物が、平常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく前記建物における事業を可能にするエネルギー設備を備えることを要望されている場合、前記第二段階において、前記建物において必要であるエネルギー量を、平常時の前記建物における事業の消費エネルギー量に基づいて算出することを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法は、抽出された建物に必要な仕様に関する要望に基づいて、平常時における消費エネルギー量をより適切に算出することができる。これにより、建物をオフグリッド型の建物とする場合の発電システム及び蓄電システムの選択を提案できる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1から6のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法において、
前記第三段階において選択された前記蓄電システム、及び前記第四段階において選択された前記発電システムに基づいて、コストを算出する第五段階を有することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法において、エネルギー設備のイニシャルコストまたはランニングコストを算出する。これにより、コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法を提供することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、例えば図2及び図3に示すように、請求項1から7のいずれか一項に記載のエネルギー設備の提案方法において、
前記第四段階において選択された前記発電システムにおいて、前記建物における総発電量に占める再生可能エネルギーによる発電量である再エネ率を算出する第六段階を有することを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、エネルギー設備の提案方法において、再エネ率を算出する。これにより、レジリエンス性やエネルギーの自立性と環境配慮性のバランスを容易に把握しながら計画を進めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】デイサービス施設内の設備を示すブロック図である。
図2】エネルギー設備の提案方法の各段階を示す図である。
図3】エネルギー設備の提案方法の流れを示すフローチャートである。
図4】太陽光発電システムの1日当たりの発電量(kWh/kW)の年間変動の例を示す図である。
図5A】1kW当たりの発電量が日平均で1kWhと計算される地域において発電量が不足する連続日数の発生回数を示す図である。
図5B】1kW当たりの発電量が日平均で1.9kWh(年間発電量の平均値の約半分)と計算される地域において発電量が不足する連続日数の発生回数を示す図である。
図5C】1kW当たりの発電量が日平均で2.9kWh(年間発電量の平均値)と計算される地域において発電量が不足する連続日数の発生回数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0027】
〔建物内の設備について〕
図1は、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備を有する建物内の設備を示すブロック図である。本実施形態において、当該建物は、デイサービス施設1である。
デイサービス施設1は、在宅の利用者がデイサービス施設1に通所して、心身機能の維持・向上、家族の介護負担の軽減をはかることを目的としており、入浴、食事、機能訓練、介護方法の指導等のサービスを提供する施設である。
また、デイサービス施設1は、災害発生時において避難所として活用される。
【0028】
デイサービス施設1に設置する発電システム10として、再生可能エネルギー発電システム11、コージェネレーションシステム12、化石燃料発電システム13から選択することができる。再生可能エネルギー発電システム11、コージェネレーションシステム12、及び化石燃料発電システム13の全てを設置してもよいし、デイサービス施設1に必要な仕様に関する要望あるいはイニシャルコスト(初期費用)やランニングコストに応じて選択して設置してもよい。
【0029】
再生可能エネルギー発電システム11は、太陽光発電、風力発電、地熱発電等の再生可能エネルギーによる発電システムである。再生可能エネルギー発電システム11は、温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化防止に寄与できるシステムである。
また、再生可能エネルギー発電システム11のランニングコストは実質ゼロであり、つまりコージェネレーションシステム12のランニングコストより低い。
【0030】
コージェネレーションシステム12は、例えば都市ガスやLPガス等から作りだした水素と空気中の酸素を化学反応させる燃料電池やエンジンを利用して発電を行うシステムである。また、コージェネレーションシステム12は、発電時に発生する熱を給湯などに利用するため、他の発電システムよりも総合効率が高く省エネルギーを実現することができる。
【0031】
化石燃料発電システム13は、化石燃料であるLPガス、軽油、ガソリン、灯油、都市ガス、重油等を使用して発電するシステムである。
化石燃料発電システム13のイニシャルコストは、コージェネレーションシステム12のイニシャルコストより低い。
【0032】
また、デイサービス施設1は、デイサービス施設1で発電されるエネルギーを蓄える蓄電システム20を備える。
蓄電システム20は、図1に示すように定置型蓄電池21と、モビリティ搭載型蓄電池22から選択することができる。定置型蓄電池21及びモビリティ搭載型蓄電池22の両方を設置してもよいし、デイサービス施設1に必要な仕様に関する要望あるいはイニシャルコストコストやランニングコストに応じて選択して設置してもよい。
定置型蓄電池21は、デイサービス施設1内に設置される。
モビリティ搭載型蓄電池22は、デイサービス施設1において利用者の送迎を行うための乗用車やマイクロバス等の乗り物全般であるモビリティに搭載されている。本実施形態において、当該モビリティは車両であり、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、またはプラグインハイブリッド自動車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)である。EVとPHVにおいてどちらか一方だけを設置してもよいし、両方を設置してもよい。
EVのランニングコストは、再生可能エネルギー発電システム11により発電された電力を用いればガソリンを使わないので、PHVと比較して低い。
また、モビリティ搭載型蓄電池22に蓄えられたエネルギーをデイサービス施設1で使用することが可能である。
モビリティ搭載型蓄電池22の容量当たりのイニシャルコストは、定置型蓄電池21のイニシャルコストより低い。
【0033】
また、デイサービス施設1には、図1に示すように、蓄電池を搭載していないモビリティ30が配備されてもよい。
【0034】
〔エネルギー設備の提案方法について〕
図2に、デイサービス施設1における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法の各段階を示す図を示す。また、図3にデイサービス施設1における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法の流れを示すフローチャートを示す。
本実施形態では、デイサービス施設1は、ZEB基準を参考にした省エネ(省エネルギー)仕様を満たす建物とする。これによって、デイサービス施設1において、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることができ、エネルギー消費量を減らすことできるため、デイサービス施設1を地球温暖化対策やエネルギー需給の安定化が実現された建物とすることができる。
【0035】
まず、第一段階として、デイサービス施設1に必要な仕様に関する要望を抽出する(ステップS1)。当該要望は、デイサービス施設1のオーナーや事業主、近隣住民、その他ガイドライン等から抽出する。具体的には、
(1)デイサービス施設1を、停電時や電力逼迫時のような非常時において、電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく、所定期間分のエネルギーを確保することができるエネルギー設備を備える、所謂レジリエント型の建物にするか、あるいはさらに自立性を高め、平常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく事業を可能にするエネルギー設備を備える、所謂オフグリッド型の建物にするか
(2)デイサービス施設1をレジリエント型の建物にする場合、非常時において調整可能な事業の項目、調整可能な事業を調整するための削減率、事業を継続する日数、受け入れる避難者の人数、避難者1人当たりに提供するサービス内容、及び避難者の受け入れ日数
(3)エネルギー設備のイニシャルコスト・ランニングコスト
(4)再生可能エネルギー発電システム11による発電量が設定値を下回る場合に事業を継続する日数
(5)デイサービス施設1における総発電量に占める再生可能エネルギー発電システム11による発電量である再エネ率の許容範囲等において要望を抽出する。
また、当該仕様とは、上記したように、(1)デイサービス施設1をレジリエント型の建物にするか、あるいはオフグリッド型の建物にするか、(2)デイサービス施設1をレジリエント型の建物にする場合、非常時において調整可能な事業の項目、調整可能な事業を調整するための削減率、事業を継続する日数、受け入れる避難者の人数、避難者1人当たりに提供するサービス内容、及び避難者の受け入れ日数、(3)エネルギー設備のイニシャルコスト・ランニングコスト、(4)再生可能エネルギー発電システム11による発電量が設定値を下回る場合に事業を継続する日数、(5)デイサービス施設1における総発電量に占める再生可能エネルギー発電システム11による発電量である再エネ率の許容範囲等である。
【0036】
次に、ステップS1において抽出した要望に基づいて、デイサービス施設1を、A:レジリエント型の建物にするか、あるいはB:オフグリッド型の建物にするかのどちらであるかを判断する(ステップS2)。
【0037】
デイサービス施設1をレジリエント型の建物にする場合(ステップS2;A)、デイサービス施設1において、エネルギー収支を左右するZEB基準を参考にした省エネ仕様の設定をする(ステップS3)。具体的には、デイサービス施設1における外皮断熱、日射遮蔽、空調、照明、換気、給湯、昇降機設備等における仕様を設定する。ここで、ZEB基準を満たす仕様を設定してもよいし、ZEB基準相当を満たす他の省エネ仕様を設定してもよい。
【0038】
次に、非常時における所定時間ごとの事業継続における消費エネルギー量を算出する(ステップS4)。具体的には、デイサービス施設1の調整できない事業の所定時間(例えば、1時間)ごとの消費エネルギー量、デイサービス施設1の調整可能な事業の所定時間(例えば、1時間)ごとの消費エネルギー量、調整可能な事業を調整するための削減率、及び事業を継続する日数等に基づいて、非常時における所定時間(例えば、1時間)ごとの事業継続の消費エネルギー量を算出する。また、調整可能な事業の項目、調整可能な事業を調整するための削減率、及び事業を継続する日数等はステップS1において抽出した要望に基づいて決定する。なお、上記所定時間は1時間に限らず、任意に設定することができる。
ここで、調整できない事業とは、例えばデイサービス施設1の換気やエアコン等の利用者の生命にかかわるような事業である。また、調整可能な事業とは、例えばデイサービス施設1の風呂やリハビリ用マシーン等を使用するような利用者の生命にかかわらない事業である。また、調整可能な事業を調整するための削減率とは、例えば、通常時において毎日使用している風呂を、非常時において2日に1回の頻度で使用する場合、削減率は50%である。
次に、非常時における所定時間ごとの避難所としての消費エネルギー量を算出する(ステップS5)。具体的には、非常時においてデイサービス施設1を避難所とする場合に、デイサービス施設1で受け入れる避難者の人数、避難者一人の所定時間(例えば、1時間)ごとの消費エネルギー量、及び避難者の受け入れ日数等に基づいて、非常時における所定時間(例えば、1時間)ごとの避難所としての消費エネルギー量を算出する。また、受け入れる避難者の人数、避難者1人当たりに提供するサービス内容、及び避難者の受け入れ日数等はステップS1において抽出した要望に基づいて決定する。なお、上記所定時間は1時間に限らず、任意に設定することができる。
【0039】
また、デイサービス施設1をオフグリッド型の建物にする場合(ステップS2;B)、平常時の事業における消費エネルギー量を算出する(ステップS6)。
【0040】
次に、ステップS3において設定した仕様、及びステップS4とステップS5で算出した消費エネルギー量に基づいて、デイサービス施設1がレジリエント型の建物となるように、デイサービス施設1において必要な再生可能エネルギー発電システム11の発電量、及び蓄電システム20の蓄電池容量を算出する。あるいは、ステップS6で算出した消費エネルギー量に基づいて、デイサービス施設1がオフグリッド型の建物となるように、デイサービス施設1において必要な再生可能エネルギー発電システム11の発電量、及び蓄電システム20の蓄電池容量を算出する(ステップS7)。
当該ステップS7が、第一段階に基づいて、建物において必要であるエネルギー量及び蓄電システム20の蓄電池容量を算出する第二段階である。
【0041】
ここで、再生可能エネルギー発電システム11として、太陽光発電システム(PVシステム)を選択した場合の発電量の算出、及び蓄電システム20の蓄電池容量の算出について例を示す。
まず、図4に沖縄県の2010年標準年EA気象データに基づく、南向き20度の傾きで設置した太陽光発電システムの1日当たりの発電量(kWh/kW)の年間変動の例を示す図を示す。図4に示すように、太陽光発電システムの1日当たりの発電量は、最大で5.2kWh、最低で0.2kWh発電する。
また、雨天/曇天時には、太陽光発電システムの1日当たりの発電量は、概ね1kWh未満である。
デイサービス施設1において必要な蓄電システム20の蓄電池容量は、太陽光発電システムにおける1kWあたりの発電量の設定値、当該設定値を下回る場合に事業を継続する日数に基づいて算出する。当該設定値は、太陽光発電システムの仕様に基づいて決定する。当該設定値を下回る場合に事業を継続する日数は、ステップS1において抽出した要望に基づいて決定する。
ここで、図5Aに1kW当たりの発電量が日平均で1kWhと計算される地域において発電量が不足する連続日数の発生回数を示す。図5Bに1kW当たりの発電量が日平均で1.9kWh(年間発電量の平均値の約半分)と計算される地域において発電量が不足する連続日数の発生回数を示す。図5Cに1kW当たりの発電量が日平均で2.9kWh(年間発電量の平均値)と計算される地域において発電量が不足する連続日数の発生回数を示す。
図5Aに示す場合では、最大で4日間連続して発電量が不足する頻度が年に1回、3日以上連続して発電量が不足する頻度が年に2回、2日以上連続して発電量が不足する頻度が年に10回である。
図5Bに示す場合では、最大で5日間連続して発電量が不足する頻度が年に1回、4日以上連続して発電量が不足する頻度が年に3回、3日以上連続して発電量が不足する頻度が年に9回である。
図5Cに示す場合では、最大で8日間連続して発電量が不足する頻度が年に1回、7日以上連続して発電量が不足する頻度が年に4回、6日以上連続して発電量が不足する頻度が年に7回、5日以上連続して発電量が不足する頻度が年に15回である。
そして、例えば、デイサービス施設1のオーナーまたは事業主は図5A図5Cにおいて事業を継続する日数を検討し、当該オーナーまたは事業主が要望する、発電量の設定値を下回る場合に事業を継続する日数に基づいて、図5A図5Cから読み取れる発電量不足の発生リスクを踏まえて、デイサービス施設1において必要な蓄電システム20の蓄電池容量を算出する。
【0042】
次に、モビリティ搭載型蓄電池22の放電量・蓄電池容量を算出する(ステップS8)。ここで、デイサービス施設1において使用される車両を全てモビリティ搭載型蓄電池22が搭載された車両としてもよいし、デイサービス施設1において使用される車両の一部をモビリティ搭載型蓄電池22が搭載された車両とし、残りの車両は蓄電池を搭載していないモビリティ30、例えば、ガソリン車としてもよい。
次に、ステップS7において算出したデイサービス施設1において必要な再生可能エネルギー発電システム11の発電量、及び蓄電システム20の蓄電池容量、及びステップS8において算出したモビリティ搭載型蓄電池22の放電量・蓄電池容量に基づいて、デイサービス施設1におけるエネルギー設備を仮設定する(ステップS9)。具体的には、デイサービス施設1に設置する発電システム10として、再生可能エネルギー発電システム11の設備の種類や台数等を仮設定する。また、ステップS7において算出した蓄電システム20の蓄電池容量から、ステップS8において算出したモビリティ搭載型蓄電池22の蓄電池容量を差し引き、当該差分を定置型蓄電池21で賄うとして定置型蓄電池21の種類や台数等を仮設定する。ここでは、デイサービス施設1に設置する発電システム10として、再生可能エネルギー発電システム11のみを設定しているため、再エネ率は100%である。
【0043】
次に、ステップS9において仮設定したエネルギー設備のイニシャルコスト・ランニングコストは、ステップS1において抽出した要望における予算(エネルギー設備のイニシャルコスト・ランニングコスト)を超過しているか否かを判断する(ステップS10)。ここで、デイサービス施設1において使用される車両の一部をモビリティ搭載型蓄電池22が搭載された車両とし、残りの車両は蓄電池を搭載していないモビリティ30とした場合は、当該イニシャルコスト・ランニングコストに蓄電池を搭載していないモビリティ30の費用も含める。
エネルギー設備のイニシャルコスト・ランニングコストが予算を超過していない場合(ステップS10;NO)、ステップS9において仮設定したエネルギー設備を確定し(ステップS11)、処理を終了する。
【0044】
また、エネルギー設備のイニシャルコスト・ランニングコストが予算を超過している場合(ステップS10;YES)、デイサービス施設1に設置する発電システム10として、再生可能エネルギー発電システム11の他に、コージェネレーションシステム12及び化石燃料発電システム13を選択する(ステップS12)。
次に、ステップS12において選択したコージェネレーションシステム12における発電に使用されるガス消費量・発電量を算出する(ステップS13)。コージェネレーションシステム12は、それぞれの設備によって1日当たりの自己消費分を含む正味発電量が予め定められている。
次に、ステップS12において選択した化石燃料発電システム13における化石燃料消費量・発電量を算出する(ステップS14)。具体的には、化石燃料発電システム13におけるLPガス使用量、軽油使用量、ガソリン使用量、灯油使用量、都市ガス使用量、及び重油使用量等に基づいて化石燃料消費量・発電量を算出する。
次に、ステップS7において算出したデイサービス施設1において必要な再生可能エネルギー発電システム11による発電量から、ステップS13において算出したコージェネレーションシステム12による発電量、及びステップS14において算出した化石燃料発電システム13による発電量を差し引いて、補正した再生可能エネルギー発電システム11による発電量を算出する。そして、当該算出した発電量に基づいて、再生可能エネルギー発電システム11の設備の種類や台数等を仮設定する。(ステップS15)。
【0045】
次に、ステップS13において算出したコージェネレーションシステム12による発電量、ステップS14において算出した化石燃料発電システム13による発電量、及びステップS15において算出した再生可能エネルギー発電システム11による発電量に基づいて、再エネ率を算出する(ステップS16)。これにより、レジリエンス性やエネルギーの自立性と環境配慮性のバランスを容易に把握しながら計画を進めることができる。
当該ステップS16が、第四段階において選択された発電システムにおいて、建物における総発電量に占める再生可能エネルギーによる発電量である再エネ率を算出する第六段階である。
【0046】
次に、ステップS16において算出した再エネ率は、ステップS1において抽出した要望における再エネ率の許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS17)。
ステップS16において算出した再エネ率が許容範囲内である場合(ステップS17;YES)、デイサービス施設1において使用される車両、選択したコージェネレーションシステム12及び化石燃料発電システム13、及びステップS15において仮設定した再生可能エネルギー発電システム11におけるイニシャルコスト・ランニングコストは、ステップS1において抽出した要望における予算を超過しているか否かを判断する(ステップS18)。当該ランニングコストは、デイサービス施設1において使用される車両におけるランニングコスト、ステップS13において算出したコージェネレーションシステム12における発電に使用されたガス消費量、及びステップS14において算出した化石燃料発電システム13における化石燃料消費量に基づいて算出する。
イニシャルコスト・ランニングコストが予算を超過していない場合(ステップS18;NO)、ステップS11に移行する。
【0047】
また、ステップS16において算出した再エネ率が許容範囲内でない場合(ステップS17;NO)、あるいはイニシャルコスト・ランニングコストが予算を超過している場合(ステップS18;YES)、選択している発電システム10及び蓄電システム20を変更し(ステップS19)、ステップS13に移行する。
ステップS19における発電システム10及び蓄電システム20の変更とは、例えば、イニシャルコストが超過している場合、蓄電システム20としての定置型蓄電池21の台数を減らして、それよりも容量当たりのイニシャルコストが低いモビリティ搭載型蓄電池22の台数を増やす。また、発電システム10としてのコージェネレーションシステム12による発電を、それよりもイニシャルコストが低い化石燃料発電システム13による発電に変更する。
また、例えば、ランニングコストが超過している場合、発電システム10としてのコージェネレーションシステム12による発電を、それよりもランニングコストが低い再生可能エネルギー発電システム11による発電に変更する。または、デイサービス施設1で使用される車両においてPHVの台数を減らして、それよりもランニングコストが低いEVの台数が増えるように変更する。
【0048】
この場合、ステップS13において、ステップS19の変更に基づいて、コージェネレーションシステム12における発電に使用されるガス消費量・発電量を算出する。また、ステップS14において、ステップS19の変更に基づいて、化石燃料消費量・発電量を算出する。
【0049】
ステップS8~S9、S19が、複数の蓄電システム20のうち、第一段階及び第二段階に基づいた蓄電システム20を選択する第三段階である。
また、ステップS9、S12、S19が、複数の発電システム10のうち、第一段階及び第二段階に基づいた発電システム10を選択する第四段階である。
また、ステップS10、S18が、第三段階において選択された蓄電システム20、及び第四段階において選択された発電システム10に基づいて、コストを算出する第五段階である。
【0050】
なお、上記エネルギー設備の提案方法において、発電システム10として、再生可能エネルギー発電システム11のみを選択して、再エネ率100%を実現してもよいし、再生可能エネルギー発電システム11と、コージェネレーションシステム12及び/又は化石燃料発電システム13とを選択してもよいし、再生可能エネルギー発電システム11を選択せずに、コージェネレーションシステム12及び/又は化石燃料発電システム13を選択してもよい。
【0051】
以上のように、本実施の形態によれば、エネルギー設備の提案方法は、建物(デイサービス施設1)が有するエネルギー設備の提案方法であって、建物に必要な仕様に関する要望を抽出する第一段階(ステップS1)と、第一段階に基づいて、建物において必要であるエネルギー量及び蓄電システム20の蓄電池容量を算出する第二段階(ステップS7)と、複数の蓄電システム20(定置型蓄電池21、モビリティ搭載型蓄電池22)のうち、第一段階及び第二段階に基づいた蓄電システム20を選択する第三段階(ステップS8~S9、S19)と、複数の発電システム10(再生可能エネルギー発電システム11、コージェネレーションシステム12、化石燃料発電システム13)のうち、第一段階及び第二段階に基づいた発電システム10を選択する第四段階(ステップS9、S12、S19)と、を有し、第三段階において、蓄電システム20として、少なくともモビリティ搭載型蓄電池22を選択することを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備の提案方法は、建物について要望された、コストを含む仕様に基づいて、定置型蓄電池21より容量当たりのイニシャルコストが安価であるモビリティ搭載型蓄電池22を含む蓄電システム20、及び発電システムの選択を提案できる。これにより、コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法を提供することができる。
【0052】
また、エネルギー設備の提案方法は、第四段階において、発電システム10として、再生可能エネルギーによる発電システム(再生可能エネルギー発電システム11)を選択することを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備の提案方法は、地球温暖化防止に寄与できる再生可能エネルギーによる発電を提案することができる。これにより、地球温暖化防止に寄与できる建物を実現することができる。
【0053】
また、エネルギー設備の提案方法は、建物に配備される予定のモビリティのうち、少なくとも一台以上はモビリティ搭載型蓄電池22を搭載しているモビリティであることを特徴とする。
これによれば、定置型蓄電池21より容量当たりのイニシャルコストが安価であるモビリティ搭載型蓄電池22を搭載しているモビリティを備える建物を実現することができるため、エネルギー設備におけるイニシャルコストを下げることができる。
【0054】
また、エネルギー設備の提案方法は、第四段階において、発電システム10として、少なくとも一つ以上のコージェネレーションシステム12を選択可能にすることを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備の提案方法は、発電時に発生する熱を給湯などに利用するため、他の発電システムよりも総合効率が高いコージェネレーションシステム12による発電を提案することができる。これにより、建物において省エネルギーを実現することができる。
【0055】
また、エネルギー設備の提案方法は、第一段階において、建物が、非常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく、所定期間分のエネルギーを確保することができるエネルギー設備を備えることを要望されている場合、第二段階において、建物において必要であるエネルギー量を、非常時における所定時間ごとの建物における事業の消費エネルギー量(ステップS4)、及び非常時における所定時間ごとの建物を避難所としたときの消費エネルギー量(ステップS5)に基づいて算出することを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備の提案方法は、抽出された建物に必要な仕様に関する要望に基づいて、非常時における所定時間ごとの消費エネルギー量をより適切に算出することができる。これにより、建物をレジリエント型の建物とする場合の発電システム10及び蓄電システム20の選択を提案できる。
【0056】
また、エネルギー設備の提案方法は、第一段階において、建物が、平常時において電力系統からのエネルギー供給に頼ることなく建物における事業を可能にするエネルギー設備を備えることを要望されている場合、第二段階において、建物において必要であるエネルギー量を、平常時の建物における事業の消費エネルギー量(ステップS6)に基づいて算出することを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備の提案方法は、抽出された建物に必要な仕様に関する要望に基づいて、平常時における消費エネルギー量をより適切に算出することができる。これにより、建物をオフグリッド型の建物とする場合の発電システム10及び蓄電システム20の選択を提案できる。
【0057】
また、エネルギー設備の提案方法は、第三段階において選択された蓄電システム20、及び第四段階において選択された発電システム10に基づいて、コストを算出する第五段階(ステップS10、S18)を有することを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備のイニシャルコストまたはランニングコストを算出する。これにより、コストを考慮しつつ、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備の提案方法を提供することができる。
【0058】
また、エネルギー設備の提案方法は、第四段階において選択された発電システム10において、建物における総発電量に占める再生可能エネルギーによる発電量である再エネ率を算出する第六段階(ステップS16)を有することを特徴とする。
これによれば、エネルギー設備の提案方法において、再エネ率を算出する。これにより、レジリエンス性やエネルギーの自立性と環境配慮性のバランスを容易に把握しながら計画を進めることができる。
【0059】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態において、建物における必要なエネルギーを確保することができるエネルギー設備を有する建物はデイサービス施設であるとしたがこれに限らない。当該建物は、他の施設や住宅であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態のエネルギー設備の提案方法のステップS3において、デイサービス施設1において、ZEB基準を参考にした省エネ仕様の設定をするとしたがこれに限らない。ZEB基準を参考にしない他の省エネ仕様を設定してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 デイサービス施設
10 発電システム
11 再生可能エネルギー発電システム
12 コージェネレーションシステム
13 化石燃料発電システム
20 蓄電システム
21 定置型蓄電池
22 モビリティ搭載型蓄電池
30 蓄電池を搭載していないモビリティ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C