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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051625
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/06 20060101AFI20230404BHJP
   A42B 3/12 20060101ALI20230404BHJP
   A42B 3/32 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
A42B3/06
A42B3/12
A42B3/32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021175951
(22)【出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】593007567
【氏名又は名称】阿部 薫
(71)【出願人】
【識別番号】599125559
【氏名又は名称】阿部 能理満
(71)【出願人】
【識別番号】599125548
【氏名又は名称】阿部 益喜啓
(71)【出願人】
【識別番号】511022948
【氏名又は名称】阿部 由佳
(72)【発明者】
【氏名】阿部 薫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 能里満
(72)【発明者】
【氏名】阿部 益喜啓
(72)【発明者】
【氏名】阿部 由佳
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107AA04
3B107BA03
3B107BA05
3B107BA08
3B107DA03
3B107DA04
3B107DA18
3B107DA19
3B107DA21
3B107EA14
(57)【要約】
【課題】 全方向からの衝撃を緩和することができる安全なヘルメットを提供すること。
頭部を冷やし、汗の発生やムレを抑えた快適なヘルメットを提供すること。
【解決手段】 主軸によって回転可能に支持したヘルメット本体と、ヘルメット本体の内側に設けられて放射状に分割された板バネと、この板バネの内側に合成樹脂で袋状に成形したエアークッションを設けたもの。
前記エアークッションの下部に、保冷材を保持する保冷材保持部を形成し、この保冷材保持部を頭部に接触させるようにしたもの。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸によって回転可能に支持したヘルメット本体と、ヘルメット本体の内側に設けられ、放射状に分割された板バネと、この板バネの内側に合成樹脂で袋状に成形したエアークッションとから構成したヘルメット。
【請求項2】
前記請求項1記載のヘルメットにおいて、
前記板バネの先端をヘルメットの内側に接触させたヘルメット。
【請求項3】
前記請求項1記載のヘルメットにおいて、
前記エアークッションの下部に、保冷材を保持する保冷材保持部を形成し、この保冷材保持部又は保冷材を頭部に接触させるようにしたヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルメットに関し、落下物や構造物等から受ける衝撃を緩和することができるヘルメットに関し、衝撃を緩和し、頭部に衝撃が伝わらないようにした安全なヘルメットに関する。
【0002】
更に詳しくは、回転可能なヘルメット本体の内側に板バネとエアークッションを設け、両者の相乗効果によって衝撃を緩和するヘルメットに関するものである。
加えて、夏季など暑い環境内で使用する場合は、頭部を冷やし、熱中症を防止することができるヘルメットに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、衝撃を緩和するヘルメットは存在している。
一般的に知られているのは、ヘルメットの裏側にスポンジやウレタンフォームを張り付け、スポンジやウレタンフォームの弾力によって衝撃を緩和しようとするものである。
スポンジやウレタンフォームは、その弾力の範囲内では衝撃力を緩和することができるが、それ以上圧縮されるとスポンジは固くなり、弾性効果が失われる。
スポンジやウレタンフォームが固くなると、ヘルメットの衝撃が頭部に直接伝わり、頭部を損傷する虞がある。又、横方向への衝撃に対しては緩衝できず、むち打ち症を発症する原因ともなっている。
【0004】
このように、スポンジやウレタンフォームを用いて衝撃を緩和するヘルメットは知られているが、極めて強い衝撃に対しては弾力効果がなくなり、安全とは言えないものである。
この問題に着目し、衝撃を緩和する発明が、次の公開特許公報で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-350232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下説明すると、前記公開特許公報に記載された発明は、ヘルメット本体2を四つのピースに分割し、このピース21を組み合わせてヘルメット本体2を構成し、このヘルメット本体2の内側に空間5を介して衝撃防止部材3を取り付けたものである。
【0006】
衝撃緩衝部材3は合成樹脂で形成され、天部31から放射状に8本の取付脚部32を形成し、取付脚部32をヘルメット本体2の周縁内側に取付ける(明細書の項目番号0011参照)、と記載されている。
【0007】
前記構成による効果として、「このヘルメット本体2と衝撃防止部材3との間に適度な空間5設け、着用者の頭部が直接にヘルメット本体2内面に接することを防止する」(項目番号0017参照)、と記載されている。
【0008】

このように、前掲の発明は、ヘルメット本体2と衝撃防止部材3との間に空間5を設けて衝撃が直接頭部に伝わないようにしたものであるが、衝撃防止部材3自体は弾性を有していないので、衝撃防止部材3のみによる衝撃効果は期待できない。
更に、強い衝撃によりヘルメットに凹みが生じて空間がなくなると、衝撃は直接頭部に伝わり、頭部を損傷することになる。
【0009】
又、緩衝防止部材3は、ヘルメット本体2の中央部に、締め付けネジ12とナット14とによって強固に回転しないように取り付けている。
そのため、ヘルメット本体2に衝撃が加わると、その衝撃は直接頭部に伝わるようになり、特に、ヘルメット本体2に横方向の衝撃が加わると、ヘルメット本体2と衝撃防止部材が一体になり、首に急激な回転力(ねじり)が加わり、損傷する虞を有する。
又、急激に前後の強い衝撃が加わると、頭部も急激に傾動し、むち打ち症を発症する虞を有している。
【0010】
本発明は、前記で述べた従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その主たる目的は、ヘルメットを回転可能に構成し、ヘルメットの内部に設けた板バネとエアークッションの相乗効果によって、上方や横方向(回転方向)の衝撃、すなわち全方向からの衝撃を緩和し、頭部の損傷とむち打ち症を防止することができる安全なヘルメットを提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、エアークッションに保冷材を設け、ヘルメットを暑い環境内や夏季に装着使用しても、頭部が冷され、汗の発生を防止し、ムレを抑えた快適なヘルメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主たる目的は、主軸によって回転可能に支持されたヘルメット本体と、ヘルメット本体の内側に設けられて放射状に分割された板バネと、この板バネの内側に合成樹脂で袋状に成形したエアークッションを設けたことによって達成される。
【0013】
本発明の第2の目的は、前記エアークッションの内側下部に、頭部に接触するようにしたて保冷材を保持する保冷材保持部を形成したことによって達成される。
【発明の効果】
【0014】
前記手段により本発明は、回転可能なヘルメット本体の内側に板バネとエアークッションを設けたので、両者の相乗効果によって、全方向からの強い衝撃を緩和することができ、頭部の損傷と、むち打ち症の発症を防止できる効果を有する。
又、本発明によれば、暑い環境や夏季に使用しても、頭部が冷され、発汗やムレを軽減することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】耐衝撃型ヘルメット正断面図。
図2図1の下面図。
図3図1の上面図。
図4】ヘルメットの正面図。
図5図4の下面図。
図6図4の上面図。
図7】耐衝撃板バネの正面図。
図8図7の下面図。
図9図7の上面図。
図10】エアークッション型保冷部受部
図11図10の下面図。
図12図10の上面図。
図13】エアークッション型保冷部正面図。
図14図13の上面図。
図15図13の下面図。
図16】主軸の正面図。
図17図16の上面図。
図18図16の下面図。
図19】主軸受蓋の正断面図。
図20図19の上面図。
図21図19の下面図。
図22】保冷材の正面図。
図23図22の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図23に基づいて説明する。
図1乃至図6は、衝撃を緩和できるヘルメットを示しており、1はヘルメット本体で頭部に合わせて碗形に成形されている。ヘルメット本体1は、アルミニウム合金や強化プラスチックなど強固な材料で成形され、外部からの衝撃に耐える強さにしている。ヘルメット1の裏面中央部には環状突起2を一体に形成している(図5参照)。
ヘルメット本体1は、後述する構成によって、回転可能に支持されている。
【0017】
3は外部からの衝撃を緩和する板バネで、この板バネ3は、図16乃至図18に示す頭付き主軸4と、前記環状突起2に取り付けられた図19乃至図21に示す蓋体5と、主軸4に螺合するボルト6と、このボルト6に被篏されたワッシャー7によって取り付けられている。主軸4の軸には雌ねじが切られており、この雌ねじに前記ボルト6が螺合され、板バネ3は支持される。
【0018】
前記蓋体5は、主軸4を通す穴51と一対の二個の小孔52を有しており、蓋体5は、この小孔52を貫通するネジ(図示せず)によって、ヘルメット本体1の環状突起2にねじ止めされる。
ヘルメット本体1は、前記のように固定された蓋体5遊合された主軸4で回転可能に支持されている。そして、ヘルメット本体1に横方向の衝撃が加わると、ヘルメットは回転し、衝撃を緩和する。
【0019】
板バネ3は、前記ヘルメット本体1と同様に主軸4に僅かな隙間をもって遊合されている。ヘルメット本体1に横方向の力が加わると、板バネ3は、後述のように、その先端がヘルメットの内面に接触していることからヘルメット本体3に追随して回転する。
【0020】
板バネ3は、強いバネ性を有する燐青銅板で、図7乃至図9に示す如く放射状に6本の足を形成しており、その先端を前記ヘルメット本体1の内面に接触させるようにしている。板バネ3の強さは経験に基づいて任意に設定される。
又、板バネ3は、ヘルメット本体1との間に僅かな空間Sを有しており、ヘルメット本体1が急激に空間S以上に凹んでも、板バネ3が衝撃を緩衝し、頭部に強い衝撃が加わらないようになっている。
このように、本発明は、回転可能なヘルメット本体1と板バネ3によって衝撃を緩衝する構成を基本とする。
【0021】
次に、エアークッションを用いた衝撃緩和構成について説明する。
11は、柔らかい合成樹脂、好ましくは粘弾性のシリコン樹脂で袋状に成形されたエアークッションで、板バネ3と共に蓋体5に共締めで支持されている。
エアークッション11の下面には、4個のエアー抜け穴12が設けられている。そして、エアークッション11に外部からの力が急激に付与された場合、エアー抜け穴12が衝撃に対してダンパーとなる。この大きさはクッションの性能に応じて個数や絞り量が自由に設定できる。
尚、エアー抜け穴12は、エアークッション11が樹脂、一実施例では粘弾性シリコン樹脂で形成しているので、急激な衝撃で拡張後は元の大きさに迅速に復元する。
従って、衝撃がヘルメット本体1に複数回付与されても、その都度バンパー機能が働き、安全である。
【0022】
13は、図13乃至図15に示しているように、前記エアークッション11内部に設けた保冷クッションである。この保冷クッション13は、前記エアークッション11と一体でもよいし、保冷クッション13を単独に成形し、エアークッション11に接着するようにしてもよい。
14は、エアークッション11に形成した6個のエアー抜け穴で、前述と同様に個数や大きさ任意である。
【0023】
15は、保冷材16を保持する保冷材保持部で、前記保冷クッション13に一体的に形成している。17は、保冷材16の出し入れをする出し入れ口である
保冷材16は、冷凍庫や冷蔵庫で冷却されるジェル状のもので、保冷効果の状態により前記出し入れ口17から出したり、入れたりし、適宜交換する。
又、保冷材16は、直接的に頭部に接触させてもよいし、保冷材保持部15を接触させるようにしてもよい。
前者の場合は、保冷材16を保冷材保持部15より大きい寸法とし、保冷材16が保冷材保持部から露出するようにする。
後者の場合は、保冷材保持部15の頭部に接触する部分を極力薄くして、保冷材16の冷熱を頭部に伝わるようにすればよい。いずれを選択するかは任意である。
18は、図1に示したようにエアークッション11の下縁周部に形成した頭部への装着部で、これによってヘルメットを装着することができる。
【0024】
このように、回転可能なヘルメット本体1と、ヘルメット本体1の内部に設けた板バネと、板バネ3の内部に設けたエアークッションを設けて衝撃を緩和する構成が第1の発明である。
前記に加えて、エアークッション11の下方に、保冷材16を有する保冷材保持部15を設け、熱中症を発症しないようにした構成が第2の発明である。
【0025】
次に、前記構成に基づいて作用について説明
前述のように、ヘルメット本体1は、主軸4に遊合状態で支持されているので、横方向の外力が加わると回転し、頭部や首を保護する。
ヘルメットへ本体1への垂直方向の衝撃は、板バネ3の弾力、及び板バネ3とヘルメット間の摩擦で緩衝し、頭部を保護する。
【0025】
このとき、板バネ3はヘルメット本体1との間に僅かな空間Sがあるので、凹みが生じてもこの空間Sで逃げて頭部に直接影響されることはない。
空間S以上の大きな衝撃力が加わると、板バネ3のみで吸収できないので、衝撃が、板バネ3を介してエアークッション11に達する。エアークッション11は衝撃を吸収し、頭部を保護する。
エアークッション11の周縁には装着部18が形成されており、エアークッション11は伸縮する軟質の樹脂で成形されているので、ヘルメットは確実に装着される。
又、エアークッション11に保冷材16を設けているので、夏季において頭を冷やすことができ、熱中症の発生を防止することができる。
【0026】
以上のように本発明によれば、ヘルメットを回転可能に支持し、板バネとエアークッションによる二重の衝撃防止構造としたので、安全で頭部を保護することができるヘルメットを提供することができる。
更に本発明のヘルメットは、保冷材を備えているので熱中症を防止することができる。
【符号の説明】
【0027】
1…ヘルメット本体 2…環状突起 3…板バネ 4…主軸 5…蓋体
6…ボルト 7…ワッシャー 11…エアークッション 12…エアー抜け穴
13…保冷クッション 14…エアー抜け穴 15…保冷材保持部
16…保冷材 17…出入り口 18…装着部 S…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着され、外部から頭部に受ける衝撃を緩和し、保護するヘルメットであって、
頭部の上面に軟らかい合成樹脂で袋状に形成したエアークッションを装着し、そのエアークッションの上部中央部に放射状に成形した板バネを主軸によって回転自在に取り付け、更に、この板バネの上方に、前記主軸によってヘルメット本体を所定の空間を介して回転自在に取り付けたヘルメット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットに関し、落下物や構造物等から受ける衝撃を緩和することができるヘルメットに関し、特に、作業者が装着するヘルメットに、突発的に過大な衝撃を受けた場合でも頭部や首を保護することにあります
【0002】
更に詳しくは、回転可能なヘルメット本体の内側に板バネとエアークッションを設け、両者の相乗効果によって衝撃を緩和しようとするものです。
【背景技術】
【0003】
従来、衝撃を緩和するヘルメットは存在している。
一般的に知られているのは、ヘルメットの裏側にスポンジやウレタンフォームを張り付け、スポンジやウレタンフォームの弾力によって衝撃を緩和しようとするものである。
スポンジやウレタンフォームは、その弾力の範囲内では衝撃力を緩和することができるが、それ以上圧縮されるとスポンジは固くなり、弾性効果が失われる。
スポンジやウレタンフォームが固くなると、ヘルメットの衝撃が頭部に直接伝わり、頭部を損傷する虞がある。
【0004】
このように、スポンジやウレタンフォームを用いて衝撃を緩和するヘルメットは知られているが、極めて強い衝撃に対しては弾力効果がなくなり、安全とは言えないものである。
この問題に着目し、衝撃を緩和する発明が、次の公開特許公報で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-350232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下説明すると、前記公開特許公報に記載された発明は、ヘルメット本体2を四つのピースに分割し、このピース21を組み合わせてヘルメット本体2を構成し、このヘルメット本体2の内側に空間5を介して衝撃防止部材3を取り付けたものである。
【0007】
衝撃緩衝部材3は合成樹脂で形成され、天部31から放射状に8本の取付脚部32を形成し、取付脚部32をヘルメット本体2の周縁内側に取付ける(明細書の項目番号0011参照)、と記載されている。
【0008】
前記構成による効果として、「このヘルメット本体2と衝撃防止部材3との間に適度な空間5設け、着用者の頭部が直接にヘルメット本体2内面に接することを防止する」(項目番号0017参照)、と記載されている。
【0009】

このように、前掲の発明は、ヘルメット本体2と衝撃防止部材3との間に空間5を設けて衝撃が直接頭部に伝わないようにしたものであるが、衝撃防止部材3自体は弾性を有していないので、衝撃防止部材3のみによる衝撃防止効果は期待できない。
更に、強い衝撃によりヘルメットに凹みが生じて空間がなくなると、衝撃は直接頭部に伝わり、頭部を損傷することになる。
【0010】
又、緩衝防止部材3は、ヘルメット本体2の中央部に、締め付けネジ12とナット14とによって強固に回転しないように取り付けている。
そのため、ヘルメット本体2に衝撃が加わると、その衝撃は直接頭部に伝わるようになり、特に、ヘルメット本体2に横方向の衝撃が加わると、ヘルメット本体2と衝撃防止部材が一体になり、首に急激な回転力(ねじり)が加わり、損傷する虞を有する。
又、急激に前後の強い衝撃が加わると、頭部も急激に傾動し、むち打ち症を発症する虞を有している。
【0011】
本発明は、前記で述べた従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ヘルメットを回転可能に構成し、ヘルメットの内部に設けた板バネとエアークッションの相乗効果によって、上方や横方向(回転方向)の衝撃、すなわち全方向からの衝撃を緩和し、頭部の損傷とむち打ち症を防止することができる安全なヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、頭部に装着され、外部から頭部に受ける衝撃を緩和し、保護するヘ ルメットであって、頭部の上面に軟らかい合成樹脂で袋状に形成したエアークッションを装着し、そのエアークッションの上部中央部に放射状に成形した板バネを主軸によって回転自在に取り付け、更に、この板バネの上方に、前記主軸によってヘルメット本体を所定の空間を介して回転自在に取り付けたヘルメット、によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
前記手段によりますと本発明は、衝撃を、最初、線形のバネ定数を有する板バネで受け、次いで、前記板バネで吸収できない衝撃をエアークッションの非線形の撓み力で受けるようにし、両者の特徴を生かしながら時系列的に組み合わせて過大な衝撃を吸収し、結果として頭部を保護することができたものである
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】耐衝撃型ヘルメット正断面図。
図2図1の下面図。
図3図1の上面図。
図4】ヘルメットの正面図。
図5図4の下面図。
図6図4の上面図。
図7】耐衝撃板バネの正面図。
図8図7の下面図。
図9図7の上面図。
図10】エアークッション型保冷部受部
図11図10の下面図。
図12図10の上面図。
図13】エアークッション型保冷部正面図。
図14図13の上面図。
図15図13の下面図。
図16】主軸の正面図。
図17図16の上面図。
図18図16の下面図。
図19】主軸受蓋の正断面図。
図20図19の上面図。
図21図19の下面図。
図22】保冷材の正面図。
図23図22の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図23に基づいて説明する。
図1乃至図6は、衝撃を緩和できるヘルメットを示しており、1はヘルメット本体で頭部に合わせて碗形に成形されている。ヘルメット本体1は、アルミニウム合金や強化プラスチックなど強固な材料で成形され、外部からの衝撃に耐え得る強さになっている。ヘルメット1の裏面中央部には環状突起2が一体に形成されている(図5参照)。
ヘルメット本体1は、後述する構成によって、回転可能に支持されている。
【0016】
3は外部からの衝撃を緩和する板バネで、この板バネ3は、図16乃至図18に示す頭付き主軸4と、前記環状突起2に取り付けられた図19乃至図21に示す蓋体5と、主軸4に螺合するボルト6と、このボルト6に被篏されたワッシャー7によって取り付けられている。主軸4の軸には雌ねじが切られており、この雌ねじに前記ボルト6が螺合され、板バネ3は支持される。
【0017】
前記蓋体5は、主軸4を通す穴51と一対の二個の小孔52を有しており、蓋体5は、この小孔52を貫通するネジ(図示せず)によって、ヘルメット本体1の環状突起2にねじ止めされる。
ヘルメット本体1は、前記のように固定された蓋体5遊合された主軸4で回転可能に支持されている。そして、ヘルメット本体1に横方向の衝撃が加わると、ヘルメットは回転し、衝撃を緩和する。
【0018】
板バネ3は、前記ヘルメット本体1と同様に主軸4に僅かな隙間をもって遊合されている。ヘルメット本体1に横方向の力が加わると、板バネ3は、後述のように、その先端がヘルメットの内面に接触していることからヘルメット本体3に追随して回転する。
【0019】
板バネ3は、撓み量に比例して弾力を生成するバネ特性を備えた燐青銅板で、図7乃至図9に示す如く放射状に6本の足を形成しており、その先端を前記ヘルメット本体1の内面に接触させるようにしている。板バネ3の強さは経験に基づいて任意に設定される。
又、板バネ3は、ヘルメット本体1との間に僅かな空間Sを有しており、ヘルメット本体1が急激に空間S以上に凹んでも、板バネ3が衝撃を吸収し、頭部に強い衝撃が加わらないようになっている。
このように、本発明は、回転可能なヘルメット本体1と板バネ3によって、回転方向の衝撃を緩衝する。
【0020】
次に、エアークッションを用いた衝撃緩和構成について説明する。
エアークッションは、空気バネであり、空気バネは、充填されている空気の体積に反比例して弾力を発生するので、空気が過大に圧縮されると急激に強い弾力を生成する。
従って、過大な衝撃に対しては強い反発力を発生し、衝撃を強い力で押さえることができる。
【0021】
11は、柔らかい合成樹脂、好ましくは粘弾性のシリコン樹脂で袋状に成形されたエアークッションで、板バネ3と共に蓋体5に共締めで支持されている。
エアークッション11の下面には、4個のエアー抜け穴12が設けられている。そして、エアークッション11に外部からの力が急激に付与された場合、エアー抜け穴12が衝撃に対してダンパーとなる。この大きさはクッションの性能に応じて個数や絞り量が自由に設定できる。
尚、エアー抜け穴12は、エアークッション11が樹脂、一実施例では粘弾性シリコン樹脂で形成しているので、拡張後は元の大きさに迅速に復元する。
従って、衝撃がヘルメット本体1に頻繁に付与されても、その都度バンパー機能が働き、安全である。
【0022】
13は、図13乃至図15に示しているように、前記エアークッション11内部に設けた保冷クッションである。この保冷クッション13は、前記エアークッション11と一体でもよいし、保冷クッション13を単独に成形し、エアークッション11に接着するようにしてもよい。
14は、エアークッション11に形成した6個のエアー抜け穴で、前述と同様に個数や大きさ任意である。
【0023】
15は、保冷材16を保持する保冷材保持部で、前記保冷クッション13に一体的に形成している。17は、保冷材16の出し入れをする出し入れ口である
保冷材16は、冷凍庫や冷蔵庫で冷却されるジェル状のもので、保冷効果の状態により前記出し入れ口17から出したり、入れたりし、適宜交換する。
又、保冷材16は、直接的に頭部に接触させてもよいし、保冷材保持部15を接触させるようにしてもよい。
前者の場合は、保冷材16を保冷材保持部15より大きい寸法とし、保冷材16が保冷材保持部から露出するようにする。
後者の場合は、保冷材保持部15の頭部に接触する部分を極力薄くして、保冷材16の冷熱を頭部に伝わるようにすればよい。いずれを選択するかは任意である。
18は、図1に示したようにエアークッション11の下縁周部に形成した頭部への装着部で、これによってヘルメットを装着することができる。
【0024】
このように、本発明は、回転可能なヘルメット本体1と、ヘルメット本体1の内部に設けた板バネと、板バネ3の内部に設けたエアークッションを設けて衝撃を緩和する構成を基本とするものである。
尚、前記に加えて、エアークッション11の下方に、保冷材16を有する保冷材保持部15を設け、熱中症を発症しないようにすることもできる
【0025】
次に、前記構成に基づいて作用について説明
前述のように、ヘルメット本体1は、主軸4に遊合状態で支持されているので、横方向の外力が加わると回転し、頭部や首を保護する。
ヘルメットへ本体1への垂直方向の衝撃は、最初に、板バネ3の弾力、及び板バネ3とヘルメット間の摩擦で緩衝し、頭部を保護する。
【0025】
、板バネ3はヘルメット本体1との間に僅かな空間Sがあるので、凹みが生じてもこの空間Sで逃げて頭部に直接影響されることはない。
空間S以上の大きな衝撃力が加わると、板バネ3のみで吸収できないので、衝撃が、板バネ3を介してエアークッション11に達する。エアークッション11は衝撃を吸収し、頭部を保護する。
エアークッション11の周縁には装着部18が形成されており、エアークッション11は伸縮する軟質の樹脂で成形されているので、ヘルメットは確実に装着される。
【0026】
以上述べたように、本発明によれば、前記構成によって、ヘルメットで受ける衝撃を、最初、線形のバネ定数を有する板バネで受け、次いで、前記板バネで吸収できない衝撃をエアークッションの非線形の撓み力で受けるようにし、両者の特徴を生かしながら両者を時系列的に組み合わせて過大な衝撃を吸収し、結果として頭部を保護することができるヘルメットを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0027】
1…ヘルメット本体 2…環状突起 3…板バネ 4…主軸 5…蓋体
6…ボルト 7…ワッシャー 11…エアークッション 12…エアー抜け穴
13…保冷クッション 14…エアー抜け穴 15…保冷材保持部
16…保冷材 17…出入り口 18…装着部 S…空間