(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051685
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
B60P1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045985
(22)【出願日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021162088
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】口塚 尚宏
(57)【要約】
【課題】荷受台の回動力助勢のための捩りばねの一端を保持するばねホルダが、昇降支持枠に対する固定位置を荷受台の枢軸の軸線回りに角変位可能とする位置調節機構を介して昇降支持枠に取付けられ荷受台昇降装置において、ばねホルダをこれの固定位置調節のために角変位させる場合に、荷受台の重量が作用して大きい回動摩擦抵抗を受ける枢軸から独立して(即ちその大きい回動摩擦抵抗の影響されずに)ばねホルダを軽快に回動させられるようにし、その回動操作性を高める。
【解決手段】荷受台昇降装置Lにおいて、昇降支持枠14には、捩りばねSの一端Saを保持するばねホルダHが固定され、ばねホルダHは、これの昇降支持枠14に対する固定位置を荷受台1の枢軸Pの軸線回りに角変位可能とする位置調節機構Aを介して昇降支持枠14に取付けられ、且つ上記角変位の際にはばねホルダHと枢軸Pとの相対回転が許容されるように配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台(V)、又は荷台(V)を固定支持する支持体(F)に昇降駆動機構(D)を介して昇降駆動可能に設けられる昇降支持枠(14)と、この昇降支持枠(14)に枢軸(P)を介して回動可能に支持されて所定の起立位置(1A)と該起立位置(1A)より略水平に展開する張出位置(1B)との間で回動操作可能な荷受台(1)と、その荷受台(1)及び前記昇降支持枠(14)に両端部がそれぞれ固定されて該荷受台(1)を起立方向に付勢可能な捩りばね(S)とを備えた荷受台昇降装置において、
前記昇降支持枠(14)には、前記捩りばね(S)の一端(Sa)を保持するばねホルダ(H)が固定され、
前記ばねホルダ(H)は、これの前記昇降支持枠(14)に対する固定位置を前記枢軸(P)の軸線回りに角変位可能とする位置調節機構(A)を介して前記昇降支持枠(14)に取付けられ、且つ前記角変位の際には該ばねホルダ(H)と前記枢軸(P)との相対回転が許容されるように配置されることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記ばねホルダ(H)は、前記枢軸(P)の一端部(Pi)に相対回転可能に嵌合、支持されることを特徴とする、請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記枢軸(P)に設けた係合部(Pg,Pf)と、その係合部(Pg,Pf)に対応して前記ばねホルダ(H)に設けた被係合部(68)とが、該枢軸(P)に対する該ばねホルダ(H)の該枢軸(P)回りの回転は許容するが軸方向移動は規制するように互いに係合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記係合部は、前記枢軸(P)の外周部に凹設した係合溝(Pg)であり、また前記被係合部は、前記ばねホルダ(H)の、前記枢軸(P)が貫通する板部(Hm)に設けられて前記係合溝(Pg)に係合する切欠き部(68)であることを特徴とする、請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記係合部は、前記枢軸(P)の外周部に突設したフランジ部(Pf)であり、また前記被係合部は、前記ばねホルダ(H)の、前記枢軸(P)が貫通する板部(Hm)に設けられて前記フランジ部(Pf)に係合する切欠き部(68)であることを特徴とする、請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置、特に荷台、又は荷台を固定支持する支持体に昇降駆動機構を介して昇降駆動可能に設けられる昇降支持枠と、この昇降支持枠に枢軸を介して回動可能に支持されて所定の起立位置とその起立位置より略水平に展開する張出位置との間で回動操作可能な荷受台と、その荷受台及び昇降支持枠に両端部がそれぞれ固定されて荷受台を起立方向に付勢して荷受台の回動操作荷重を軽減可能な捩りばねとを備えた荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した荷受台昇降装置は、例えば特許文献1に開示されるように従来公知であり、この公知のものでは、昇降支持枠としての昇降部材13に、捩りばねとしてのトーションバー29の一端を保持するばねホルダ(調整板38)が固定される。
【0003】
ところでトーションバー29は、長年の使用に因るへたりにより十分なばね力が発揮されなくなる場合があり、また荷受台の重量変更等に応じてばね力を調整する必要が生じる場合もある。
【0004】
そこで、特許文献1の荷受台昇降装置では、トーションバー29のばね力を随時調整可能とするために、調整板38は、これの昇降部材13に対する固定位置を荷受台の枢軸として機能するゲートピン26の軸線回りに角変位可能とする位置調節機構(ねじ孔39,ボルト40)を介して、昇降部材13に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが特許文献1の荷受台昇降装置では、調整板38をこれの固定位置調節のために角変位させる際に、荷受台の枢軸として機能するゲートピン26を一体的に連動回転させる必要がある。ところがゲートピン26には、荷受台としてのゲート板15の重量が作用するので、これを回動させる際の回動摩擦抵抗が大きくなって、調整板38を角変位させる操作荷重も増大し、操作性が良好でないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来装置の問題を簡単な構造で解決可能とした荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、荷台、又は荷台を固定支持する支持体に昇降駆動機構を介して昇降駆動可能に設けられる昇降支持枠と、この昇降支持枠に枢軸を介して回動可能に支持されて所定の起立位置と該起立位置より略水平に展開する張出位置との間で回動操作可能な荷受台と、その荷受台及び前記昇降支持枠に両端部がそれぞれ固定されて該荷受台を起立方向に付勢可能な捩りばねとを備えた荷受台昇降装置において、前記昇降支持枠には、前記捩りばねの一端を保持するばねホルダが固定され、前記ばねホルダは、これの前記昇降支持枠に対する固定位置を前記枢軸の軸線回りに角変位可能とする位置調節機構を介して前記昇降支持枠に取付けられ、且つ前記角変位の際には該ばねホルダと前記枢軸との相対回転が許容されるように配置されることを第1の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記ばねホルダは、前記枢軸の一端部に相対回転可能に嵌合、支持されることを第2の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記枢軸に設けた係合部と、その係合部に対応して前記ばねホルダに設けた被係合部とが、該枢軸に対する該ばねホルダの該枢軸回りの回転は許容するが軸方向移動は規制するように互いに係合することを第3の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記係合部は、前記枢軸の外周部に凹設した係合溝であり、また前記被係合部は、前記ばねホルダの、前記枢軸が貫通する板部に設けられて前記係合溝に係合する切欠き部であることを第4の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記係合部は、前記枢軸の外周部に突設したフランジ部であり、また前記被係合部は、前記ばねホルダの、前記枢軸が貫通する板部に設けられて前記フランジ部に係合する切欠き部であることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の特徴によれば、荷受台の回動助勢用の捩りばねの一端を固定するばねホルダが、これの昇降支持枠に対する固定位置を荷受台枢軸の軸線回りに角変位可能とする位置調節機構を介して昇降支持枠に取付けられた荷受台昇降装置において、ばねホルダは、上記角変位の際には枢軸とばねホルダとの相対回転が許容されるように配置されるので、ばねホルダをこれの昇降支持枠に対する固定位置調整のために角変位させる場合には、荷受台の重量が作用して大きい回動摩擦抵抗を受ける枢軸から独立して(即ちその大きい回動摩擦抵抗に影響されずに)、ばねホルダを軽快に回動操作することができ、その回動操作性が頗る良好であることから、作業能率の向上に寄与することができる。
【0014】
また第2の特徴によれば、ばねホルダは、前記枢軸の一端部に相対回転可能に嵌合、支持されるので、ばねホルダをこれの固定位置調節のために角変位させる場合に、荷受台の枢軸を利用してばねホルダを回動操作でき、その操作性が更に良好となる。しかも荷受台の枢軸が、ばねホルダの回動支点に兼用されるため、それだけ装置の構造簡素化、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0015】
また第3の特徴によれば、枢軸に設けた係合部と、その係合部に対応してばねホルダに設けた被係合部とが、枢軸に対するばねホルダの枢軸回りの回転は許容するが軸方向移動は規制するように互いに係合するので、ばねホルダをこれの昇降支持枠に対する固定位置調整のために枢軸回りに角変位させる場合に、上記係合により、ばねホルダが枢軸より脱落するのを確実に防止可能となり、そのばねホルダの固定位置調整作業を容易且つ的確に行うことができる。
【0016】
また第4の特徴によれば、係合部は、枢軸の外周部に凹設した係合溝であり、また被係合部は、ばねホルダの、枢軸が貫通する板部に設けられて係合溝に係合する切欠き部であるので、切欠き部の開口を通して枢軸を支障なく挿入できて、切欠き部に係合溝を係合させることができる。しかも枢軸外周には係合溝を単に凹設するだけでよいから、枢軸材料の歩留りも良好である。
【0017】
また第5の特徴によれば、係合部は、枢軸の外周部に突設したフランジ部であり、また被係合部は、ばねホルダの、枢軸が貫通する板部に設けられてフランジ部に係合する切欠き部であるので、切欠き部の開口を通して枢軸を支障なく挿入できて、切欠き部にフランジ部を係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の荷受台昇降装置を備えた荷役車両の第1実施形態を示す全体側面図と荷箱後部の斜視図
【
図2】
図1の2X矢視より見た荷受台昇降装置の斜視図
【
図3】荷受台昇降装置を
図2の3X-3X線に沿う断面で縦断して示す、荷役車両後部の側面図
【
図4】
図2の4X矢視部においてクロスメンバーの一部の内部構造を示す斜視図
【
図5】昇降スライダが上限位置に在り且つ荷受台が起立位置に在る場合の荷受台下部を、昇降支柱を省略して示す要部後面図(
図1の5X矢視図)
【
図6】
図5の6X矢視部の拡大断面図(
図7(A)の6X-6X線拡大断面図)
【
図7】(A)は、ばねホルダが昇降スライダに対し初期設定位置にある状態を示す
図5の7X-7X線断面図、また(B)は、ばねホルダが昇降スライダに対し最大角度、角変位させた位置に調整した状態を示す
図7(A)対応断面図
【
図8】
図7(A)の8X矢視方向から見た、昇降スライダ、荷受台の枢軸及びばねホルダ位置調節機構を示す分解斜視図
【
図9】捩りばねとしてのトーションバー(自由状態)を単独で示す部品図
【
図10】第2実施形態に係る荷受台昇降装置の要部を示す
図6対応断面図
【
図12】第2実施形態における枢軸とばねホルダとの係合状態を示す斜視図
【
図14】第3実施形態における枢軸とばねホルダとの係合状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0020】
この実施の形態は、本発明の荷受台昇降装置を荷役車両に実施した場合である。
【0021】
図1~
図5において、荷役車両の車体枠F上には、上面及び後面が開放した荷箱Vが固定、支持されており、この荷箱Vの後端部には、垂直昇降式の荷受台昇降装置Lが設けられる。この荷受台昇降装置Lによって、地面と荷箱Vの床面間で、荷受台1が略水平姿勢に保持されたまま昇降作動され、これにより、荷受台1上に載置される荷物を地上と荷箱V間で積み降ろしすることができる。
【0022】
而して、荷箱Vは、荷台の一例である。尚、荷箱Vとしては、上面が非開放のボックス状の荷箱を使用してもよい。
【0023】
荷受台1は、平面視で横長の矩形状に形成され且つ上面が基本的に平坦な表板1tを主要部とする。この表板1tの上面は、荷物を載せる荷受け面として機能し、そこには必要に応じて滑り止め用の粗面(例えば縞模様の細かい凹凸)が形成される。さらに表板1tの上面先部には、荷物の積み降ろしをスムーズにする斜面が形成される。また表板1tには、これと大部分が上下に重なり合う矩形状の裏板1bが結合(例えばボルト止め、溶接等)される。この裏板1bには、縦横に延びる補強枠1rが結合(例えばボルト止め、溶接等)されるか、或いは一体に形成される。
【0024】
尚、補強枠1rは、表板1tと裏板1bとの間に挟持、固定するようにしてもよい。また裏板1bには、補強枠1rとは別に、補強用の凹凸部(即ちスチフナ)を一体に形成してもよい。
【0025】
荷受台1の基部の左右コーナ部には切欠き部1kが形成されており、その切欠き部1kの周壁には、U字状のコーナ補強枠18が固定(例えば溶接)される。また荷受台1の基部の左右側壁には、その左右外側面に沿って帯板状に延びるヒンジプレート19の基部が複数のビス41で固定される。このヒンジプレート19の中間部は、コーナ補強枠18の外側壁18oに重なり合うよう隣接しており、更に先部は、外側壁18oの先端よりも長く延出していて、後述するストッパアーム部19aを構成する。
【0026】
また
図5及び
図6で明らかなように、表板1tの基部の左右コーナ部は、切欠き部1k(従ってコーナ補強枠18)の一部を被覆しているが、その被覆部1taは、これと後記ばねホルダH及び位置調節機構Aとの干渉を回避すべく階段状に切欠かれた切欠き部1takを有している。また、上記コーナ補強枠18の外側壁18oとヒンジプレート19とには、荷受台1の後述する枢軸Pを相対回転自在に嵌挿させる軸受孔18h,19h(
図6参照)が同軸上に形成される。
【0027】
前記荷受台昇降装置Lは、荷箱Vの後端の左右両側縁にそれぞれ固定されて鉛直方向に延びる左右の昇降支柱2,2と、その両昇降支柱2,2に昇降可能に支持されて荷受台1の基部両側を軸支する昇降支持枠としての左右の昇降スライダ14と、荷箱Vの後端部と左右の昇降スライダ14との間に介設されて昇降スライダ14を昇降駆動可能な左右の昇降駆動機構Dとを備える。次に昇降駆動機構Dの具体的構成を説明する。
【0028】
左右の昇降支柱2は、中空の角筒体よりなり、その開口上端に天板2aが固定され、また昇降支柱2内の中央部には、中間板2bが縦方向に一体に設けられる。昇降支柱2,2の後壁には、昇降スライダ14を昇降案内するための縦スリット4が開口されている。また各昇降支柱2の下端には、後述のインナコラム3の昇降作動を案内するための、一対の案内ローラ5が回転自在に軸支され、さらに、昇降支柱2,2の上端には、後述するワイヤ32,33をそれぞれ案内するためのトップ固定シーブ36,37が回転自在に軸支される。また昇降支柱2,2の下端には、インナコラム3の下端が当接するストッパ10,10が固定されている。
【0029】
一対の昇降支柱2,2内には、左右一対のインナコラム3,3がそれぞれ昇降自在に嵌挿される。各インナコラム3は、中空の角筒体により構成され、その後壁に昇降支柱2の縦スリット4と一致するように他の縦スリット7が開口されている。
図3に示すように、各インナコラム3の上端には、ブラケット9を介して一対の案内ローラ8,8が回転自在に軸支され、これらの案内ローラ8,8は、インナコラム3,3の昇降作動時に、昇降支柱2,2の後壁内面を転動してインナコラム3,3の昇降を案内する。
【0030】
図3に示すように、各インナコラム3の下端にはブラケット11を介して弾性ストッパ12が設けられ、このストッパ12は、昇降支柱2下端のストッパ10に当接してインナコラム3の昇降支柱2に対する上限位置を規制する。
【0031】
一対のインナコラム3,3には昇降スライダ14,14がそれぞれ昇降自在に挿入されている。それらの昇降スライダ14,14の後縁は、インナコラム3,3および昇降支柱2,2の各後側壁にそれぞれ形成した縦スリット4,4;7,7を貫通してそれらの後方に延出しており、それらの縦スリット4,4;7,7に案内されて昇降支柱2,2およびインナコラム3,3に対して昇降可能である。昇降スライダ14,14の上、下部には、上、下案内ローラ15,16が回転自在に軸支され、これらの案内ローラ15,16は、昇降スライダ14,14がインナコラム3,3に対して昇降するとき、インナコラム3,3の内面を転動する。
【0032】
各昇降スライダ14の上縁には、ストッパゴム17が設けられ、このストッパゴム17は、インナコラム3,3のベースプレート3aと係合して昇降スライダ14のインナコラム3に対する上限位置が規制される。
【0033】
図5~
図8も併せて参照して、各昇降スライダ14の後端面下部には、ヒンジブラケットBの中間壁部Bmが固定(例えば溶接)される。そのヒンジブラケットBは、中間壁部Bmと、これから後方に各々延びて互いに平行する一対の側壁部Bsi,Bsoとを一体に有して平面視で略コ字状に形成される。その一対の側壁部Bsi,Bsoの、昇降スライダ14下端よりも下側に延びる下部には、枢軸Pを回動可能に嵌合、支持させる支持孔Bh,Bhが同軸上に形成される。而して、ヒンジブラケットBの一対の側壁部Bsi,Bsoには、荷受台1のコーナ補強枠18の外側壁18o及びヒンジプレート19が前記軸受孔18h,19h及び枢軸Pを介して回動可能に枢支、連結される。
【0034】
これにより、荷受台1は、略鉛直な起立位置1A(即ち格納位置)と、その起立位置1Aより略水平に展開した張出位置1B(即ち使用位置)との間を枢軸P回りに回動可能となる。枢軸Pは、これの外端部外周にストッパプレートPcが固定(例えば溶接)されており、このストッパプレートPcは、ヒンジブラケットBの外側壁BsoにボルトPbを以て固定される。また枢軸Pは、これの内端部PiがヒンジブラケットBの内側壁部Bsiを貫通してその内側方に張出しており、その張出軸部が、後述するばねホルダHを回動可能に嵌合、支持する支持軸を兼ねる。
【0035】
また、各昇降スライダ14の下端部に固定したステー21には、荷受台1に固定のヒンジプレート19の先部、即ちストッパアーム部19aと係合して、荷受台1を張出位置1Bに固定するためのストッパボルト22が螺挿され、それの螺挿位置(上下位置)を調節可能とし且つ固縛するのに用いるロックナット23が、ストッパボルト22のねじ軸部に螺合される。
【0036】
左右一対の昇降支柱2,2の上下方向下方寄りの中間部には、荷箱Vの床面と略一致した位置に横方向に延びるクロスメンバー24が横架固定されている。このクロスメンバー24は、
図4で明らかなように、中空の角筒体により構成されており、横断面コ字状のクロスメンバー本体24Aの後方側の開口面に、カバー体24Bを複数のボルト・ナット23で一体に固定して構成される。
【0037】
そして、クロスメンバー24の内部に、昇降駆動機構Dのアクチュエータとして機能する油圧シリンダCYが設けられている。この油圧シリンダCYは、クロスメンバー24の内において、その長手方向に沿って配設されており、そのシリンダバレル26の基端が、クロスメンバー24の一端(左端)内部に溶接したリブプレート25に連結ピン28およびボルト29を以て取付けられている。このリブプレート25は、クロスメンバー24内の一端(
図4左端)の幅方向中央部を上下方向に延び、その上下縁が、クロスメンバー24の上下内面に溶接される。
【0038】
また、油圧シリンダCYのシリンダロッド27の先端は、クロスメンバー24の途中まで延びていて、そこにブラケット30を介して車幅方向に移動可能な左右可動シーブ31l,31rが並列して回転自在に取付けられる。そのブラケット30は、クロスメンバー24内に長手方向に沿って固定されるガイドレール38に摺動可能に支持される。
【0039】
図2に示すように、クロスメンバー24の左端には、一対の左右サイド固定シーブ34l,34rが並列して回転自在に取り付けられる。またクロスメンバー24の右端には、右サイド固定シーブ35が回転自在に取り付けられ、さらに、左右の昇降支柱2,2の上部には、左右トップ固定シーブ36,37がそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0040】
図2~
図4に示すように、油圧シリンダCYには、左右2系統のワイヤ32,33が連接されている。すなわち、左系統のワイヤ32は、その一端がクロスメンバー24の中間部に結着32aされてクロスメンバー24に沿って延びており、左可動シーブ31l、左サイド固定シーブ34lおよび左固定トップシーブ36を順次に巻き掛けられて、その他端が左側の昇降スライダ14に結着されている。同じく右系統のワイヤ33は、その一端が、クロスメンバー24の中間部に結着33aされてクロスメンバー24に沿って延びており、右可動シーブ31r、右サイド固定シーブ34r,35および右固定トップシーブ37を順次に巻き掛けられて、その他端が右側の昇降スライダ14に結着される。
【0041】
したがって、油圧シリンダCYを伸長・収縮作動すれば、2系統のワイヤ32,33を介して左右一対の昇降スライダ14,14が同調して上昇・下降作動され、これに連結、支持される荷受台1を昇降作動することができる。
【0042】
ところで荷受台1と昇降スライダ14との間には、荷受台1を起立位置1Aの方向に付勢することで、荷受台1の格納操作(即ち展開位置1Bから起立位置1Aへの回動操作)を助勢する捩りばねとしてのトーションバーSが介装されており、このトーションバーSは、直線状に延びるバー本体部分の中心線が枢軸Pの延長軸線上に位置するように荷受台1内に配置される。そのトーションバーSの取付構造の一例を、
図5~
図9を併せて参照して、次に説明する。
【0043】
昇降スライダ14(具体的にはヒンジブラケットBの内側壁Bsi)には、トーションバーSの一端部Saを係止、固定可能なばねホルダHが固定される。このばねホルダHは、これの昇降スライダ14への固定位置を枢軸Pの軸線回りに角変位可能とする位置調節機構Aを介して昇降スライダ14に取付けられ、且つ上記角変位の際にはばねホルダHと枢軸Pとの相対回転が許容されるように配置されている。
【0044】
より具体的に説明すれば、ばねホルダHは、
図8で明らかなように、ヒンジブラケットBの内側壁Bsiに重なり合うように隣接配置される板状のベース板Hmと、このベース板Hmの内側面に固定(例えば溶接)したU字状の保持枠Hcとを備えており、ベース板Hmの下部には、
図6で明らかなように、枢軸Pの内端部Piに相対回動可能に嵌合させる支持孔66が形成される。また保持枠Hcの中間壁部にはボルト挿通孔Hchが形成され、そのボルト挿通孔Hchには、ばね固定用ボルト61のねじ軸部が挿通される。
【0045】
そして、ばね固定用ボルト61と、これが貫通し且つ保持枠Hcに相対回転不能に嵌合される保持板62と、ばね固定用ボルト61に螺合したナット63とが互いに協働して、トーションバーSの屈曲した一端部SaをばねホルダHに固定(より具体的には保持枠Hcと保持板62間に挟持、固定)する。
【0046】
図7で明らかなように、ヒンジブラケットBの内側壁Bsiには、調節ボルト65が螺挿可能なねじ孔状の複数の位置調節用ボルト孔14h1~14h5が設けられており、一方、ベース板Hmには、調節ボルト65が挿通可能なボルト挿通孔Hh1~Hh3が設けられる。而して、それらボルト孔14h1~14h5の1つとボルト挿通孔Hh1~Hh3の1つとを適宜に選定して、その選定した両孔を貫くよう調節ボルト65を締め付けることで、ばねホルダHの昇降スライダ14(ヒンジブラケットB)に対する固定位置を枢軸Pの軸線回りに任意に角変位調節可能である。
【0047】
例えば、
図7(A)では、ボルト孔14h1とボルト挿通孔Hh1とを選定して同軸に並べ、その間を調節ボルト65で緊締することで、ばねホルダHの初期固定位置が設定される。尚、この初期固定位置は、荷受台昇降装置Lの工場出荷段階で設定すべきばねホルダHの最初の固定位置である。
【0048】
また
図7(B)では、ボルト孔14h5とボルト挿通孔Hh2とを選定して同軸に並べ、その間を調節ボルト65で緊締することで、ばねホルダHの最大変位角度(即ち初期固定位置からの角変位量が最も大きい角度、換言すれば初期固定位置から枢軸P回りに最も傾倒した調節角度)での固定位置が設定される。
【0049】
また図示はしないが、その他の孔(例えばボルト孔14h3とボルト挿通孔Hh3と)を組み合わせ選定して同軸に並べ、その間を調節ボルト65で緊締することで、ばねホルダHの中間固定位置が段階的に設定される。かくして、ばねホルダHのヒンジブラケットB(内側壁Bsi)への固定位置を、枢軸P回りに少しずつ多段階に角変位させることが可能となり、それに伴い、トーションバーSのばね力調整を小刻みに増減調整することができる。
【0050】
従って、トーションバーSが長期使用によりへたりを生じて捩り力が低下した場合には、その捩り力の低下度合に応じてヒンジブラケットBに対するばねホルダHの固定位置を、初期設定位置から前記最大変位角度に順次近づくように段階的に調節することで、捩り力低下に対応することができる。
【0051】
上記した昇降スライダ14(ヒンジブラケットB)側の位置調節用ボルト孔14h1~14h5、及びばねホルダH(ベース板Hm)側のボルト挿通孔Hh1~Hh3と、調節ボルト65とは、互いに協働して前記位置調節機構Aを構成する。尚、位置調節機構Aは、外部に露出しているため、荷受台1を起立位置1Aにおいて行われる位置調節作業も外部からの目視で適当な工具を用いて実行可能である。
【0052】
また
図5で明らかなように、トーションバーSの他端部Sbは、荷受台1の基部の左右中央部付近において着脱可能に保持される。その保持機構は、トーションバーSの他端部Sbを荷受台1に対し相対回転不能に係止、固定できるものであればよく、トーションバーの固定端に対する従来周知の様々な固定手段を適宜利用可能である。
【0053】
例えば、実施形態の係止固定手段は、荷受台1の表板1t裏面に固定のU字状保持枠Hc′と、この保持枠Hc′に相対回転不能に嵌合され且つトーションバーSの他端部Sbを保持枠Hc′との間で挟持する保持板62′と、保持板62′を保持枠Hc′に固定するばね固定用ボルト61′・ナット63′とを備える。これら保持枠Hc′、保持板62′及びばね固定用ボルト61′・ナット63′は、トーションバーSの一端部SaをばねホルダHに固定するための前述の保持枠Hc、保持板62及びばね固定用ボルト61・ナット63と同様の構成としたが、特に他端部Sbの固定には、他端部Sbの屈曲形態に応じてばね固定用ボルト61′を2個用いている。
【0054】
また荷受台1の裏面には、トーションバーSの他端部Sbに対応する位置に開口71が設けられ、その開口71を通してトーションバーSの他端部Sbの荷受台1への係止、固定作業が行われる。尚、荷受台1の裏面には、開口71を通常は塞ぐ開閉カバー72(
図1の部分斜視図を参照)が着脱可能に装着される。
【0055】
また荷受台1の裏面側には、これの前後左右のコーナー部に緩衝パッド(図示せず)が必要に応じて接合される。その緩衝パッドは、荷受台1が下降したとき、これを地面に緩衝的に着座させることができる。
【0056】
また荷受台1と昇降支柱2間には、荷受台1が起立位置1Aにあるときに同位置に荷受台1を手動操作により随時にロックするための従来周知のロック機構100が設けられる。ロック機構100は、例えばロック孔を有して昇降支柱2に固設したロックブラケット108と、荷受台1内に摺動可能に設けられて荷受台1が起立位置1Aにある時にロックブラケット108のロック孔に抜差操作可能に嵌挿、係止可能なロックバーと、ロックバーに連動連結した操作レバーとを備える。
【0057】
次に第1実施形態の作用について説明する。
【0058】
荷役車両の走行時において、荷受台1は、起立位置1Aにロックされていて、荷箱Vの後端開口を閉じている。このとき、クロスメンバー24内の油圧シリンダCYは、最伸長位置に在って、インナコラム3及び昇降スライダ14(従って荷受台1)を上限位置に保持している。
【0059】
荷役車両が荷物の積み降ろし場所に到着すると、インナコラム3及び昇降スライダ14を上限位置に保持したまま、荷受台1を手動操作により、起立位置1Aから張出位置1Bまで回動させ、これに伴い、荷箱V内の荷物の荷受台1上への移替え作業が可能となる。その後で油圧シリンダCYを収縮させてインナコラム3及び昇降スライダ14を順次下降させることで、張出位置1Bの荷受台1を下降、接地させることができる。これにより、接地状態の荷受台1と地面との間で荷物の移替え作業が可能となる。
【0060】
その移替え作業が終了すると、前記とは逆の手順でインナコラム3及び昇降スライダ14を上限位置まで上昇させ、しかる後に、荷受台1を張出位置1Bから起立位置1Aまで回動操作する。その後、起立位置1Aの荷受台1は、ロック機構100により昇降支柱2にロックされる。
【0061】
前記した荷受台1の展開時、即ち起立位置1Aから張出位置1Bへの回動過程では、荷受台1と昇降スライダ14とに両端部Sa,Sbが固定されたトーションバーSは、これの中心線回りに捩り変形して捩り力を蓄勢させる。そのため、次に荷受台1を手動で格納操作、即ち張出位置1Bから起立位置1Aまで回動操作する際には、その回動操作をトーションバーSの捩り力が助勢し、従って、荷受台1の格納操作が軽快、容易になる。
【0062】
ところでトーションバーSは、長年の使用に因るへたりにより十分なばね力が発揮されなくなる場合があり、また荷受台1の仕様変更(例えば重量変更等)に応じてばね力を調整する必要が生じる場合もある。
【0063】
そこで本実施形態の荷受台昇降装置Lでは、トーションバーSのばね力を随時調整可能とするために、トーションバーSの一端部Saを昇降スライダ14(ヒンジブラケットB)に係止、固定するばねホルダHが、これの昇降スライダ14への固定位置を荷受台1の回動軸線(即ち枢軸Pの軸線)回りに角変位可能とする位置調節機構Aを介して昇降スライダ14に取付けられており、しかも、このばねホルダHは、上記角変位の際にばねホルダHと枢軸Pとの相対回転が許容されるように配置(具体的にはばねホルダHが枢軸Pに回転自在に嵌合、支持)されている。
【0064】
この場合、位置調節機構Aによる具体的な調節作業は、荷受台1を起立位置1Aに保持した状態で行われる。この状態であれば、ばねホルダHがトーションバーSより受ける捩り反力をゼロ乃至は最小限にできて、作業性が良好となる。このとき、荷受台1が起立位置1Aに在っても、位置調節機構Aの各部(例えば調節ボルト65)やばねホルダHは、外部に露出しているため、調節作業に支障を来たすことはない。
【0065】
上記調節作業に際しては先ず、調節ボルト65を緩めてヒンジブラケットBから離脱させた上で、トーションバーSの一端部Saと固定状態にあるばねホルダHを枢軸P回りに回動させる。そして、この回動に伴い、ヒンジブラケットB側のボルト孔14h1~14h5の他1つと、ばねホルダH側のボルト挿通孔Hh1~Hh3の1つとを新たに組み合わせて合致(即ち同軸に配列)させ、その合致した両孔間を調節ボルト65で緊締することにより、ヒンジブラケットBに対するばねホルダHの固定位置を、他の固定位置に設定変更可能となる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の荷受台昇降装置Lにおいて、トーションバーSの一端部Saを保持するばねホルダHは、これの昇降スライダ14に対する固定位置を荷受台1の枢軸Pの軸線回りに角変位させる際に、枢軸PとばねホルダHとの相対回転が許容されるように配設されている。そのため、ばねホルダHを位置調節のために角変位させる場合に、荷受台1の重量が作用して大きい回動摩擦抵抗を受ける枢軸Pから独立して(即ちその大きい回動摩擦抵抗に影響されることなく)ばねホルダHを軽快に回動させ得るので、その回動操作性が頗る良好であって、作業能率の向上に寄与することができる。
【0067】
その上、ばねホルダHは、枢軸Pの一端部Saに相対回転可能に嵌合、支持されるため、ばねホルダHを位置調節のために角変位させる場合に、荷受台1の枢軸Pを利用してばねホルダHを回動操作でき、その操作性が更に良好となる。しかも荷受台1の枢軸Pが、ばねホルダHの回動支点に兼用されることとなって、それだけ装置の構造簡素化、延いてはコスト節減が達成される。
【0068】
ところで
図10~
図12には第2実施形態が、また
図13及び
図14には第3実施形態がそれぞれ示される。先の第1実施形態では、枢軸Pが一様等径の円柱状のものを示したが、第2,第3実施形態では、枢軸Pに設けた係合部(Pg,Pf)と、その係合部(Pg,Pf)に対応してばねホルダHに設けた被係合部(68)とが、枢軸Pに対するばねホルダHの枢軸P回りの回転は許容するが軸方向移動は規制するように互いに係合する構造である。
【0069】
特に第2実施形態では、前記係合部として、枢軸Pの外周部に凹設した環状の係合溝Pgが示され、また前記被係合部として、ばねホルダHの、枢軸Pが貫通する板部としてのベース板Hmに設けられて係合溝Pgに係合する切欠き部68が示される。この切欠き部38は、上側が凸に彎曲した半円状の円弧面部と、その円弧面部の両端より下方に直線状に延びる一対の平面部とを有した下端開放の切欠孔が示される。
【0070】
而して、切欠き部38の周縁部に係合溝Pgを凹凸係合させることで、枢軸Pに対するばねホルダHの枢軸P回りの回転は許容されるが軸方向移動は規制される。尚、上記凹凸係合に伴い、枢軸Pの内端Piがベース板Hmの内側面より保持枠Hc側に張出すが、その張出し部を受容する切欠き状凹部Hckが、保持枠Hcのベース板Hmとの対向面に形成されるので、当該張出し部が保持枠Hcと干渉する虞れはない。
【0071】
また
図10で明らかなように、枢軸Pの上記張出し部は、これとベース板Hmの内側面および切欠き状凹部Hckの内面との各間に軸方向の小間隙が各々設定されている。
【0072】
また特に第3実施形態では、前記係合部として、枢軸Pの内端Pi近傍の外周部に突設した環状の外向きフランジ部Pfが示され、また前記被係合部として、第2実施形態と同様、ばねホルダHのベース板Hmに設けられてフランジ部Pfに係合する下端開放の切欠孔状の切欠き部68が示される。
【0073】
而して、切欠き部38の周縁部にフランジ部Pfを係合させることで、枢軸Pに対するばねホルダHの枢軸P回りの回転は許容されるが軸方向移動は規制される。尚、この場合も、フランジ部Pfがベース板Hmの内側面より保持枠Hc側に張出すが、そのフランジ部Pfを受容する切欠き状凹部Hckが、保持枠Hcのベース板Hmとの対向面に形成されるので、フランジ部Pfが保持枠Hcと干渉する虞れはない。
【0074】
また
図13で明らかなように、枢軸Pのフランジ部Pfは、これとベース板Hmの内側面および切欠き状凹部Hckの内面との各間に軸方向の小間隙が各々設定されている。
【0075】
第2,第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。従って、第2,第3実施形態の各構成要素には、対応する第1実施形態の構成要素の参照符号と同じものを付すにとどめ、それ以上の説明は省略する。
【0076】
而して、第2,第3実施形態は、第1実施形態の前記作用効果と同様の作用効果を達成可能である。
【0077】
その上、第2,第3実施形態によれば、ばねホルダHをこれの昇降スライダ14(昇降支持枠)に対する固定位置調整のために枢軸P回りに角変位させる場合に、前記係合部(係合溝Pg,フランジ部Pf)と被係合部(切欠き部68)との係合により、ばねホルダHが枢軸Pより脱落するのを確実に防止可能となり、そのばねホルダHの固定位置調整作業を容易且つ的確に行うことができる。
【0078】
また特に第2実施形態の係合部は、枢軸Pの外周部に凹設した係合溝Pgであり、また被係合部は、ばねホルダHのベース板Hmに設けた切欠き部68であるので、切欠き部68の開口を通して枢軸Pを支障なく挿入できて、切欠き部68に係合溝Pgを係合させることができる。しかも枢軸P外周には比較的小幅の係合溝Pgを単に凹設するだけでよいから、枢軸材料の歩留りも良好である。
【0079】
また特に第3実施形態の係合部は、枢軸Pの外周部に突設したフランジ部Pfであり、また被係合部は、ばねホルダHのベース板Hmに設けた切欠き部68であるので、切欠き部68の開口を通して枢軸Pを支障なく挿入できて、切欠き部68にフランジ部Pfを係合させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0081】
例えば、前記実施形態では、荷受台昇降装置Lを荷役車両に実施した一例を示したが、本発明の荷受台昇降装置は、荷役車両以外の種々の荷役装置に実施してもよい。
【0082】
また前記実施形態では、荷受台昇降装置Lとして、荷台としての荷箱Vに対し鉛直方向に昇降可能な昇降支持枠としての昇降スライダ14を昇降駆動することで、その昇降スライダ14に支持した荷受台1を昇降させるものを例示したが、本発明は、荷台としての荷箱、又は荷箱を固定支持する支持体としての車体枠に揺動アームを介して上下揺動可能に設けた昇降支持枠を揺動駆動することで、その昇降支持枠に支持した荷受台を昇降させる荷受台昇降装置(例えば、特開2000-108758 号公報を参照)に実施してもよい。
【0083】
また前記実施形態では、荷受台1の左右両側部をそれぞれ軸支する昇降支持枠としての左右の昇降スライダ14を左右の昇降駆動機構D,Dで昇降駆動する荷受台昇降装置Lを例示したが、例えば米国特許第5984613 号明細書に開示されるように、荷受台の左右中央部を軸支する昇降支持枠を単一の昇降駆動機構で昇降駆動する荷受台昇降装置に実施してもよい。
【0084】
また前記実施形態では、荷受台昇降装置Lの昇降支柱2を、荷台としての荷箱Vに固定したものを示したが、昇降支柱2を、荷箱Vを固定支持する支持体としての車体枠Fに固定してもよい。
【0085】
また前記実施形態では、荷受台1の枢軸Pを、ばねホルダHを回動可能に嵌合、支持させる支持軸に兼用するものを例示したが、本発明の第1の特徴によれば、ばねホルダHを回動可能に嵌合、支持させる専用の(従って上記枢軸Pとは別個の)支持軸を用いてもよい。
【0086】
また前記実施形態では、位置調節機構Aを調節ボルト61と協働して構成する昇降スライダ14側の位置調節用ボルト孔14h1~14h5、及びばねホルダH側のボルト挿通孔Hh1~Hh3が各々複数ずつ設けられるものを例示したが、本発明では、位置調節用ボルト孔14h1~14h5と、ボルト挿通孔Hh1~Hh3のうち何れか一方を単一の孔だけとし、且つその何れか他方を複数の孔としてもよい。
【0087】
また第3実施形態では、枢軸Pの内端Pi外周に(即ち内端面に連続して)フランジ部Pfを突設したものを示したが、枢軸Pの、内端面より軸方向に多少離れた外周にフランジ部Pfを突設してもよい。
【0088】
また第3実施形態では、枢軸Pの外周部に突設されるフランジ部Pfが、枢軸Pに一体に形成されるものを示したが、枢軸Pとは別個に製作されて枢軸Pより大径の円板部材又はリング部材を枢軸Pに後付けで固定して、その円板部材の外周部又はリング部材をフランジ部Pfとしてもよい。特に円板部材を後付けする場合は、枢軸Pの内端面に円板部材を当接させて溶接する。またリング部材の後付けに際しては、枢軸Pの外周にリング部材を嵌合後、例えば、軸方向一方側又は他方側から枢軸P外周に溶接する固定例や、或いは枢軸Pの外周に係止した抜け止めピン又は止め輪(例えばサークリップ等)でリング部材を抜け止め固定する固定例が実施可能である。
【0089】
また前記実施形態では、ストッパプレートPcが枢軸Pの外端に溶接されるが、その溶接時期は、枢軸Pの構造にもよるが、可能であれば枢軸PをばねホルダH及び昇降スライダ14に組み付ける前でも後でもよい。
【符号の説明】
【0090】
A・・・・位置調節機構
D・・・・昇降駆動機構
F・・・・支持体としての車体枠
H・・・・ばねホルダ
L・・・・荷受台昇降装置
P・・・・枢軸
Pi・・・枢軸の一端部としての内端部
Pf・・・係合部としての係合溝
Pg・・・係合部としてのフランジ部
S・・・・捩りばねとしてのトーションバー
Sa・・・捩りばねとしてのトーションバーの一端
V・・・・荷台としての荷箱
1・・・・荷受台
1A,1B・・起立位置,張出位置
14・・・昇降支持枠としての昇降スライダ
68・・・被係合部としての切欠き部