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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005173
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/14 20060101AFI20230111BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20230111BHJP
   A41C 3/10 20060101ALI20230111BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A41C3/14 Z
A41C3/00 B
A41C3/10 Z
A41C3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106924
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】一場 綾
(72)【発明者】
【氏名】坂下 真琴
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 愛
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA14
3B131AB03
3B131AB04
3B131AB05
3B131AB06
3B131AB07
3B131BA22
3B131BA24
3B131BA41
3B131BB05
3B131BB27
3B131BB28
3B131BB34
3B131CA01
3B131CA11
3B131CA22
(57)【要約】
【課題】ノンワイヤー型のブラジャーにおいて、カップ部の造形性が効率的に向上する。
【解決手段】 ブラジャー1は、バストを被覆するノンワイヤータイプの一対のカップ部2と、一対のカップ部2を背側で接続するバック部3と、一対のカップ部2の上側で接続するとともに、背側でバック部3に接続する一対の肩ストラップ部4を備える。カップ部2は、カップ部2より伸縮性の低い帯状部5を有する。帯状部5は、カップくり21の前中心側からカップトップを経由してカップ部2の脇側上辺22に配設され、カップトップを通る垂直方向において帯状部5の下辺52は、カップくり21よりも上方に形成され、上辺51は、カップ部2の上端よりも下方に形成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バストを被覆するノンワイヤータイプの一対のカップ部と、
前記一対のカップ部を背側で接続する一対のバック部と、
前記一対のカップ部の上側で接続するとともに、背側で前記バック部に接続する一対の肩ストラップ部を備え、
前記カップ部は、前記カップ部より伸縮性の低い帯状部を有し、
前記帯状部は、カップくりの前中心側からカップトップを経由して前記カップ部の脇側上辺に配設され、
カップトップを通る垂直方向において前記帯状部の下辺は、カップくりよりも上方に形成され、上辺は、カップ部の上端よりも下方に形成される
カップ部を有する衣類。
【請求項2】
前記帯状部は、長手方向において前記カップ部より伸縮性が低い
請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項3】
前記カップ部は、モールド成型カップにより形成され、
前記帯状部は、前記カップ部内に形成される
請求項1または2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項4】
前中心側において、
前記帯状部の上辺とカップくりは、カップくりの前中心端で重畳し、
前記帯状部の下辺とカップくりは、カップくりの前記前中心端から最下端までのカップくりに沿う長さを全長としたときに、前記カップくりの前記前中心端から1/3を超え、2/3を超えない位置で重畳する
請求項1~3のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
脇側において、
前記帯状部の上辺と前記カップ部の脇側上辺は、前記脇側上辺に沿う長さを全長としたときに、前記カップ部とバック部の連結部の上端から1/4を超え、1/2を超えない位置で重畳し、
前記帯状部の下辺と前記連結部は、前記連結部に沿う長さを全長としたときに、前記連結部の上端から1/10を超え1/3を超えない位置で重畳する
請求項1~4のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項6】
前記カップ部の脇側に脇サポート部
をさらに備える請求項1~5のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項7】
前記脇サポート部は、前記カップ部内に形成される
請求項6に記載のカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ部を有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
カップくりにワイヤーを収容しないノンワイヤー型のブラジャーがある。ノンワイヤー型のブラジャーは、ワイヤー入りのブラジャーに比べて、カップの造形性が劣るとの考えがある。これに対し、ノンワイヤー型のブラジャーのカップ部に当て材を設けることにより、バストの造形性と安定感を実現する技術がある(特許文献1)。特許文献1において当て材は、カップ部のストラップ取り付け位置、バストトップ点、前中心部分の上端を結ぶラインの下側領域に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-180495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノンワイヤー型のブラジャーを胴体に巻き付けて着用する際、カップ部分が周方向に引っ張られることにより、カップ部の造形性が低下すると考えられる。ノンワイヤー型のブラジャーに、周方向に引っ張られるパワーに対抗する形状維持性を与えることで、カップ部の造形性の向上が期待される。
【0005】
従って本発明の目的は、ノンワイヤー型のブラジャーにおいて、カップ部の造形性が向上する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の特徴は、バストを被覆するノンワイヤータイプの一対のカップ部と、一対のカップ部を背側で接続する一対のバック部と、一対のカップ部の上側で接続するとともに、背側でバック部に接続する一対の肩ストラップ部を備え、カップ部は、カップ部より伸縮性の低い帯状部を有し、帯状部は、カップくりの前中心側からカップトップを経由してカップ部の脇側上辺に配設され、カップトップを通る垂直方向において帯状部の下辺は、カップくりよりも上方に形成され、上辺は、カップ部の上端よりも下方に形成される。
【0007】
帯状部は、長手方向においてカップ部より伸縮性が低いことが好ましい。
【0008】
カップ部は、モールド成型カップにより形成され、帯状部は、カップ部内に形成されることが好ましい。
【0009】
前中心側において、帯状部の上辺とカップくりは、カップくりの前中心端で重畳し、帯状部の下辺とカップくりは、カップくりの前中心端から最下端までのカップくりに沿う長さを全長としたときに、カップくりの前中心端から1/3を超え、2/3を超えない位置で重畳することが好ましい。
【0010】
脇側において、帯状部の上辺とカップ部の脇側上辺は、脇側上辺に沿う長さを全長としたときに、カップ部とバック部の連結部の上端から1/4を超え、1/2を超えない位置で重畳し、帯状部の下辺と連結部は、連結部に沿う長さを全長としたときに、連結部の上端から1/10を超え1/3を超えない位置で重畳することが好ましい。
【0011】
カップ部の脇側に脇サポート部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
脇サポート部は、カップ部内に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノンワイヤー型のブラジャーにおいて、カップ部の造形性が向上する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るブラジャーを着用した状態を正面から観察した図である。
図2】ブラジャーの肌側を上面にして平置きした状態を観察した図である。
図3】カップ部を拡大して説明する図である。
図4】カップ部のA-A’の断面を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態にかかるブラジャーを着用した状態と、比較品を着用した状態を説明する図である。
図6】変形例に係るカップ部を拡大して説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0016】
本発明の実施の形態において上下左右等の方向は、特別な説明がない限り、ブラジャー1を着用者が着用した状態を基準に説明する。
【0017】
(実施の形態)
図1ないし図4を参照して、バストを被覆するノンワイヤータイプのカップ部を有する衣類の一例として、本発明の実施の形態に係るブラジャー1を説明する。ブラジャー1は、一対のカップ部2、一対のバック部3および一対の肩ストラップ部4を備える。一対のカップ部2、一対のバック部3および一対の肩ストラップ部4は、左右対称に形成される。
【0018】
一対のカップ部2は、バストを被覆するノンワイヤータイプである。一対のカップ部2は、左右のバストを立体的に被覆し、側面視および上面視において釣鐘形状を有する。本発明の実施の形態においてカップ部2は、ウレタンなどの樹脂発泡体、不織布等に表布と裏布を重ねて、モールド成型カップに形成される。カップ部2は、複数の生地を縫い合わせて、立体的に形成されるなど他の方法で形成されても良い。本発明の実施の形態においてカップ部2は、着用者のバージスラインの下方まで延伸して形成され、いわゆる土台部と一体形成される。他の実施例において、カップ部2と土台部が個別に形成され、縫着等により接続されても良い。カップ部2のうち土台部に対応する部分、具体的には、カップくり21より前中心線側、下方側および脇側は、バストを被覆する部分よりも難伸縮性ないし非伸縮性を有し、着用者の肌に密着するように形成される。
【0019】
本発明の実施の形態に係るカップ部2は、左側カップ部と右側カップ部をそれぞれ個別に形成し、前中心線Lにおいて縫着およびテープで連結する場合を説明するがこれに限らない。左右のカップ部2は、一体に形成されても良い。
【0020】
一対のバック部3は、一対のカップ部2の脇側にそれぞれ接続し、一対のカップ部2を背側で接続する。バック部3は、着用者の背面に配設され、着用者の前側に配設されるカップ部2とともに、着用者の胴の周方向に巻き付く。またバック部3は、伸縮性によりカップ部2を引いてカップ部2とバストを密着させ、着用者に安定して配設することを可能にする。
【0021】
一対のバック部3は、一対のバック部3を背側で接続するバック接続部(図示せず)を有する。バック接続部は例えば、雌ホックと雄ホックである。雌ホックに雄ホックを係止することにより、一対のバック部3を着脱可能に接続することができる。本発明の実施の形態において、背側でバック部3を接続する場合を説明するが、これに限られない。他の実施例においてブラジャーは、一対のカップ部の間に接続部を設けるフロントホックブラであっても良い。またスポーツブラのように、ブラジャーは、カップ部2およびバック部3が一体に形成され、頭部から被って着用しても良い。
【0022】
一対の肩ストラップ部4は、それぞれ、一対のカップ部2の上側で接続するとともに、肩の稜線を超えて、背側でバック部3に接続する。肩ストラップ部4は、肩の稜線からカップ部2を引き上げることにより、バスト位置を高く維持し、バストの造形を実現する。肩ストラップ部4は、エイト鐶等により長さ調節可能に形成されても良い。
【0023】
本発明の実施の形態においてカップ部2は、カップ部2より伸縮性の低い帯状部5を有する。帯状部5は、例えばマーキゼット等の伸縮性の低い生地で形成される。帯状部5は、長手方向が周方向に近づくように配設される。帯状部5は、カップくり21の前中心側からカップトップを経由してカップ部2の脇側上辺22に配設される。カップトップは、カップ部2の最突出点である。カップトップに、着用者のバストトップが対応するように、カップ部2は設計される。
【0024】
カップトップを通る垂直方向において帯状部5の下辺52は、カップくり21よりも上方に形成され、上辺51は、カップ部2の上端(前中心側上辺23)よりも下方に形成される。
【0025】
帯状部5は、長手方向が周方向に近づくように配設され、かつカップ部2よりも伸縮性が低い。帯状部5は、カップ部2の釣鐘形状を潰すことなく、釣鐘形状に沿うように、ブリッジ形状に配設される。
【0026】
一般的なノンワイヤー型のブラジャーを胴体に巻き付ける際、カップ部が周方向に引っ張られることによりカップ部の形が崩れ、造形性が劣ることになる。これに対し帯状部5は、カップ部2が周方向に引っ張られるパワーに対抗する形状維持性(保形性または保形力)を発揮する。帯状部5は、カップ部2よりも伸縮性が低く、カップ部2の剛性を高めて張り・こしを向上させる。着用時にカップ部2が周方向に引っ張られ釣鐘形状が周方向に広がろうとする際、帯状部5は、カップ部2が周方向に引っ張られるパワーに抗う。これによりカップ部2は、周方向に広がることなく、カップトップの高さを維持するので、カップ形状を維持する。本発明の実施の形態に係るブラジャー1は、帯状部5により、カップ部2の造形性を発揮することができる。
【0027】
また帯状部5が、カップくり21の前中心側からカップトップを経由してカップ部2の脇側上辺22に配設される。帯状部5は、カップくり21の前中心端21a、カップトップ、およびカップくり21の脇端に重なるように形成される。カップくりの脇端は、バージスラインの脇端に対応し、カップ部2とバック部3との連結部24の上端24a近傍に位置する。これにより帯状部5は、カップ部2内において周方向に引っ張られた際に変形が最も大きくなる方向に沿って配設されることとなる。帯状部5の変形が最も大きくなる方向に沿って配設されることにより、カップ部2が周方向に引っ張られるパワーに対して、より大きな形状維持性を発揮することができる。
【0028】
帯状部5は、長手方向においてカップ部2より伸縮性が低い。帯状部5の長手方向は、周方向に近くなるように配設されるので、帯状部5は、カップ部2が周方向に引っ張られるパワーに対して、効率的に対抗することができる。
【0029】
図3を参照して、帯状部5が配設される位置を詳述する。
【0030】
前中心側において、帯状部5の上辺51とカップくり21は、カップくり21の前中心端21aで重畳して、接続する。左右のカップ部2の前中心端21a間は、難伸縮性または非伸縮性を有し、左右の前中心端21a間の距離は大きく変化しないようにしているため、カップくり21の前中心側の端部は、ブラジャー着用時にカップ部2が周方向に広がる前中心側の支点となる。この支点に帯状部5を重畳することにより、前中心端21aが脇方向に移動するのを回避することができる。
【0031】
また前中心側において、帯状部5の下辺52とカップくり21は、カップくり21の前中心端21aから最下端21bまでのカップくりのカーブに沿う長さを全長としたときに、カップくり21の前中心端21aから1/3を超え、2/3を超えない位置で重畳して、接続する。帯状部5の短手方向の幅がカップくり21の前中心端21aから1/3を超え、2/3を超えない程度になることにより、帯状部5は、バストを潰すことなく、カップ部2の保形性に貢献する。本発明の実施の形態において帯状部5は、前中心線上のカップ部2の幅と同様の幅を有する。
【0032】
脇側において、帯状部5の上辺51とカップ部2の脇側上辺22は、脇側上辺22のカーブに沿う長さを全長としたときに、カップ部2とバック部3の連結部24の上端24aから1/4を超え、1/2を超えない位置で重畳して、接続する。帯状部5が、脇側上辺22に重なるように配設されることで、カップ部2が周方向に引っ張られるパワーに対抗することが可能になる。
【0033】
また脇側において、帯状部5の下辺52と連結部24は、連結部24に沿う長さを全長としたときに、連結部24の上端24aから1/10を超え1/3を超えない位置で重畳する。カップ部2は、連結部24を介してバック部3に引っ張られるので、帯状部5を連結部24に重畳して接続することにより、カップ部2が周方向に引っ張られるパワーに対抗することができる。
【0034】
図4を参照して、カップ部2の、図1のA-A’断面を説明する。本発明の実施の形態においてカップ部2は、モールド成型カップにより形成され、帯状部5は、カップ部2内に形成される。帯状部5は、カップ部2の表布と裏布の間に形成される。図4に示すように、カップ部2は、表側から、表布Y1、表側モールド成型カップY2、帯状部5、肌側モールド成型カップY3および裏布Y4が重なって形成される。帯状部5は、カップトップを含み、帯状部5の上辺51および下辺52は、カップ部2内に収まる。肌側モールド成型カップY3および裏布Y4は、通気性を担保するためにメッシュ状に形成されても良い。
【0035】
帯状部5が、表側モールド成型カップY2と、肌側モールド成型カップY3の間に形成される場合を説明するがこれに限らない。帯状部5は、表布Y1と表側モールド成型カップY2の間、あるいは肌側モールド成型カップY3および裏布Y4の間などに形成されても良い。帯状部5は、カップ部2に形成されればよい。
【0036】
本発明の実施の形態において帯状部5は、帯状の生地で形成され、表側モールド成型カップY2と肌側モールド成型カップY3の間に、収容されるが、これに限らない。帯状部5は、例えば、ウレタンなどの樹脂発泡体で形成されても良い。帯状部5は、表側モールド成型カップY2および肌側モールド成型カップY3と同様の素材をY2およびY3間に追加してモールド成型することにより、高圧縮部を設けて帯状部5としても良い。
【0037】
図5を参照して、本発明の実施の形態に係る帯状部5による効果を説明する。図5は、一人の着用者が、本発明の実施の形態に係る帯状部5を備えるブラジャー1を着用した側面図、第1の比較品101を備えるブラジャー91を着用した側面図、および第2の比較品102を備えるブラジャー92を着用した側面図を示す。第1の比較品101および第2の比較品102は、それぞれ、帯状部5とは異なる形状を有する。
【0038】
図5に示される一点鎖線の三角形は、ブラジャー1を着用した側面図におけるカップ部2のカップトップに対応する頂点P1、カップ部2と肩ストラップ部4の接続部に対応する頂点P2、およびバージスラインに対応する頂点P3を有する。ブラジャー91および92を着用した側面図において表示される一点鎖線の三角形は、ブラジャー1を着用した状態における一点鎖線の三角形と同一形状である。ブラジャー91および92を着用した側面図の三角形は、ブラジャー1の着用時の側面図と同じ高さに配置される。また、ブラジャー91および92を着用した側面図の三角形は、ブラジャー1の着用時のカップトップに対応する頂点P1の左右方向の位置が、各比較品の側面図におけるカップトップの左右方向の位置となるように配置される。
【0039】
帯状部5を備えるブラジャー1を着用した側面図において、頂点P1から頂点P2にかけての斜辺よりも上方にバストの上側の盛り上がりを有する。頂点P1から頂点P3にかけての斜辺とバストの輪郭との距離が頂点P1から頂点P2にかけての斜辺よりも小さい。ブラジャー1の着用によって、バストが盛り上がり、カップ部2の造形が担保できていることがわかる。
【0040】
第1の比較品101を備えるブラジャー91を着用した側面図を説明する。第1の比較品101は、帯状部5と同様にカップくりの前中心端に接続するが、脇側において、帯状部5が脇側上辺22に接続する部分よりも上方であって肩ストラップ部との接続部に接続する。ブラジャー91を着用した側面図において、カップトップは、頂点P1よりも下方にあり、カップ部と肩ストラップ部の接続部は、頂点P2よりも下方にある。ブラジャー1を着用したときと比べて、カップ部の輪郭と頂点P1とP2を結ぶ斜辺との距離はほぼ同じであるものの、カップ部の輪郭と頂点P1とP3を結ぶ斜辺との距離は大きい。ブラジャー91の着用により、バストをしっかりと支えることができず、カップ部が下方にたわんでしまっている(図中、矢印の方向)。このことから、帯状部5が連結部24の上端24aに接続することにより、カップ部2の保形が向上することがわかる。
【0041】
第2の比較品102を備えるブラジャー92を着用した側面図を説明する。第2の比較品102は、帯状部5と同様に脇側において連結部の上端に接続するが、前中心側において、カップくりの前中心端に接続することなくカップ部の下辺に接続する。ブラジャー92を着用した側面図において、カップトップは、頂点P1よりも下方にあり、カップ部と肩ストラップ部の接続部は、頂点P2よりも下方にある。カップ部の輪郭は、頂点P1とP2を結ぶ斜辺とほぼ同じまたは内側に位置し、ブラジャー1を着用したときと比べて、カップ部の輪郭と頂点P1とP3を結ぶ斜辺との距離は大きい。カップ部が周方向に引っ張られて脇側方向に流れ(図中、矢印の方向)、カップトップよりも上方のバストを押さえてしまうため、ブラジャー92の着用により、バストのボリュームが、カップトップよりも上方において減り、カップトップよりも下方に溜まっている。このことから、帯状部5がカップくり21の前中心端21aに接続することにより、カップ部2の保形が向上することがわかる。
【0042】
本発明の実施の形態に係る帯状部5は、カップくりの前中心側からカップトップを経由してカップ部2の脇側上辺22に配設される。ノンワイヤータイプのブラジャー1の着用時にカップ部2が周方向に引かれるところ、帯状部5が、周方向に引かれるパワーに対抗する形状維持性発揮することで、カップ部2の保形性を向上することができる。
【0043】
(変形例)
図6を参照して変形例に係るカップ部2aを説明する、カップ部2aは、カップ部2aの脇側に脇サポート部6をさらに備える。脇サポート部6は、帯状部5の上辺51が脇側上辺に接続する位置の近傍からカップ部2aの下辺まで、徐々に前中心側方向に近づく斜辺よりも脇側に形成される。脇サポート部6は、伸縮性の低い生地で形成され、脇側下方向から前中心側上方向にバストを寄せることで、バストの造形性を実現する。
【0044】
脇サポート部6は、例えばカップ部2a内に形成される。脇サポート部6は、カップ部2aが形成される樹脂発泡体とは異なる生地で、樹脂発泡体内部に形成されても良いし、樹脂発泡体の表側または肌側に配設されても良い。脇サポート部6は、表側モールド成型カップY2と肌側モールド成型カップY3の間に形成されても良いし、表布Y1と表側モールド成型カップY2の間、あるいは肌側モールド成型カップY3および裏布Y4の間などに形成されても良い。また脇サポート部6は、表側モールド成型カップY2および肌側モールド成型カップY3と一体に形成されても良い。脇サポート部6は、表側モールド成型カップY2および肌側モールド成型カップY3と同じ素材で、表側モールド成型カップY2よりも高圧縮に、かつ肌側モールド成型カップY3よりも高圧縮に形成されても良い。
【0045】
脇サポート部6は、周方向に引っ張られるパワーに対抗する帯状部5によって造形されたバストを、さらに前中心側に寄せることにより、バストの更なる造形を実現する。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0046】
例えば、本発明の実施の形態において、カップ部を有する衣類は、ブラジャーである場合を説明したが、水着、レオタード、ボディスーツ、カップ付きインナーなどカップ部を有する衣類にも同様に適用することができる。
【0047】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 ブラジャー
2 カップ部
3 バック部
4 肩ストラップ部
5 帯状部
6 脇サポート部
21 カップくり
21a 前中心端
21b 最下端
22 脇側上辺
23 前中心側上辺
24 連結部
24a 上端
51 上辺
52 下辺
L 前中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6