(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051768
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ミスト発生装置及びそれを備えたミスト発生システム
(51)【国際特許分類】
F24F 6/12 20060101AFI20230404BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20230404BHJP
A61H 33/10 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F24F6/12 101
F24F6/00 A
F24F6/00 H
A61H33/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138302
(22)【出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021160611
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 元太
(72)【発明者】
【氏名】大江 俊春
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】碇 洋平
(72)【発明者】
【氏名】牧 愛子
【テーマコード(参考)】
3L055
4C094
【Fターム(参考)】
3L055BB11
3L055DA01
3L055DA04
4C094AA01
4C094BA21
4C094BB14
4C094DD09
4C094EE17
4C094EE33
4C094GG03
(57)【要約】
【課題】効率良くミストを生成することができると共に、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】本発明は、水回り機器に用いられるミスト発生装置(1)であって、ミスト発生装置本体(8)と、このミスト発生装置本体内に設けられ、ミストにすべき水を貯留した貯水部(12)と、この貯水部の中に設けられ、貯水部に貯留された水に超音波を照射して、貯水部内に貯留された水の水面上に液柱を形成してミストを発生させる超音波振動子(18)と、水回り機器の、上方が開放されたミスト滞留空間(4)に、ミストを吐出させるミスト吐出通路(10)と、を有し、ミスト発生装置本体には、ミスト発生装置本体内に外気を取り込む吸気通路(8e)が設けられていることを特徴としている。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水回り機器に用いられるミスト発生装置であって、
ミスト発生装置本体と、
このミスト発生装置本体内に設けられ、ミストにすべき水を貯留した貯水部と、
この貯水部に貯留された水に超音波を照射して、上記貯水部内に貯留された水の水面上に液柱を形成してミストを発生させる超音波振動子と、
上記水回り機器の、上方が開放されたミスト滞留空間に、ミストを吐出させるミスト吐出通路と、を有し、
上記ミスト発生装置本体には、上記ミスト発生装置本体内に外気を取り込む吸気通路が設けられていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
上記ミスト吐出通路の溢れ高さは、上記貯水部の水面よりも高く、且つ上記水面の上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さよりも低く形成され、上記吸気通路は、その吸気高さが、上記ミスト吐出通路の溢れ高さよりも高く形成されており、上記吸気通路から吸入された外気が上記ミスト吐出通路から流出する流れが形成される請求項1記載のミスト発生装置。
【請求項3】
上記貯水部の水面上には、上記超音波振動子を作動させることにより液柱が形成され、上記ミスト発生装置本体内には、上記液柱の周囲を取り囲む周囲壁面が設けられ、上記吸気通路から取り込まれた外気は、エジェクター効果により上記液柱と上記周囲壁面の間に引き込まれ、上記ミスト発生装置本体内で生成されたミストと共に上記ミスト吐出通路から流出する請求項1記載のミスト発生装置。
【請求項4】
上記ミスト吐出通路の溢れ高さは、上記貯水部の水面よりも高く、且つ上記水面の上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さよりも低く形成されている請求項3記載のミスト発生装置。
【請求項5】
上記ミスト発生装置本体内には、上記貯水部の上方に天井面が設けられ、この天井面の、上記超音波振動子の鉛直上方の部分は、上記貯水部の水面よりも高く、上記ミスト生成高さよりも低く形成されている請求項2記載のミスト発生装置。
【請求項6】
上記天井面の、上記超音波振動子の鉛直上方の部分は、上記貯水部の水面上に形成可能な液柱の、非霧化部分の高さよりも高く形成されている請求項5記載のミスト発生装置。
【請求項7】
上記天井面の、上記超音波振動子の鉛直上方の部分は、上記貯水部の水面上に形成可能な液柱の1/2以上の高さに形成されている請求項6記載のミスト発生装置。
【請求項8】
上記天井面には、上記天井面に当たった水が上記天井面に沿って上記ミスト吐出通路に流れるのを抑制する堰き止め部が形成されている請求項5記載のミスト発生装置。
【請求項9】
上記ミスト発生装置本体内には、上記堰き止め部によって堰き止められた水を上記貯水部内に誘導する誘導壁部が設けられている請求項8記載のミスト発生装置。
【請求項10】
上記ミスト発生装置本体内には、上記超音波振動子が複数設けられ、上記堰き止め部によって堰き止められた水が上記超音波振動子の間に流下するように、上記各超音波振動子の間には仕切り壁が設けられている請求項8記載のミスト発生装置。
【請求項11】
上記ミスト発生装置本体内には、上記貯水部に水を補給するように、外部から水が供給される給水部が設けられ、この給水部は、上記貯水部の水面よりも下方で、上記貯水部と連通している請求項2記載のミスト発生装置。
【請求項12】
上記ミスト発生装置本体内には、上記貯水部内の水を外部に排水するように、排水部が設けられ、この排水部は、上記貯水部の水面よりも下方で、上記貯水部と連通している請求項2記載のミスト発生装置。
【請求項13】
上記ミスト発生装置本体内には、上記貯水部の上方に天井面が設けられ、この天井面の、上記超音波振動子の鉛直上方の部分は、生成されたミストを上記ミスト吐出通路に導くように傾斜面にされている請求項2乃至12の何れか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項14】
上記ミスト発生装置本体内には、上記傾斜面の下端から下方に延びる通気壁部が設けられ、この通気壁部は、上記超音波振動子の鉛直上方の空間と上記吸気通路内の空間を区切ると共に、上記超音波振動子の鉛直上方の空間と上記吸気通路内の空間を連通させる通気孔を備えている請求項13記載のミスト発生装置。
【請求項15】
上記ミスト吐出通路の溢れ高さは、上記貯水部の水面よりも高く、且つ上記水面の上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さよりも低く形成され、上記ミスト発生装置本体内には、上記貯水部の上方に天井面が設けられ、この天井面の、上記超音波振動子の鉛直上方の部分には、生成されたミストを上記ミスト吐出通路に導く傾斜面が設けられ、上記吸気通路から吸入された外気が上記ミスト吐出通路から流出する流れが形成される請求項1記載のミスト発生装置。
【請求項16】
上記吸気通路は、その吸気高さが、上記ミスト吐出通路の溢れ高さよりも低く構成されている請求項15記載のミスト発生装置。
【請求項17】
ミスト発生システムであって、
請求項2乃至16の何れか1項に記載のミスト発生装置と、
このミスト発生装置から吐出されたミストを滞留させるミスト滞留空間を備えた水回り機器と、
を有することを特徴とするミスト発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に関し、特に、水回り機器に用いられるミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-018130号公報(特許文献1)には、浴槽サウナ装置が記載されている。この浴槽サウナ装置では、浴槽蓋で覆われた浴槽本体の中に、ミストが送り込まれ、浴槽本体内をサウナ空間とし、浴槽本体の中でサウナ浴をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の浴槽サウナ装置では、浴槽本体の中をサウナ空間とするために、浴槽本体の上に浴槽蓋を配置する必要があり、これにより、使用者の位置が拘束されてしまい、使用者に十分な快適性を与えることができないという問題がある。即ち、浴槽蓋を配置しない状態で浴槽本体内をサウナ空間とするためには、浴槽本体内に滞留するようなミストを生成する必要があると共に、大量のミストを浴槽本体内に送り込む必要がある。しかしながら、大量のミストを生成するミスト発生装置は、非常に大がかりなものとなり、高価な装置になってしまうという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、生成したミストを効率良く送り出すことができると共に、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができるミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水回り機器に用いられるミスト発生装置であって、ミスト発生装置本体と、このミスト発生装置本体内に設けられ、ミストにすべき水を貯留した貯水部と、この貯水部に貯留された水に超音波を照射して、貯水部内に貯留された水の水面上に液柱を形成してミストを発生させる超音波振動子と、水回り機器の、上方が開放されたミスト滞留空間に、ミストを吐出させるミスト吐出通路と、を有し、ミスト発生装置本体には、ミスト発生装置本体内に外気を取り込む吸気通路が設けられていることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によれば、ミスト発生装置本体に、ミスト発生装置本体内に外気を取り込む吸気通路が設けられているので、ミスト発生装置本体内で発生したミストを、効率良くミスト吐出通路に送り込むことができ、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができる。即ち、ミストを吐出するミスト吐出通路とは別に、吸気通路を設けることにより、吸気通路からミスト吐出通路に向かう空気の流れを自然に形成することができ、ミスト発生装置本体内で生成されたミストを効率良く送り出すことができる。この結果、装置を大がかりなものにすることなく大量のミストをミスト滞留空間に滞留させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、ミスト吐出通路の溢れ高さは、貯水部の水面よりも高く、且つ水面の上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さよりも低く形成され、吸気通路は、その吸気高さが、ミスト吐出通路の溢れ高さよりも高く形成されており、吸気通路から吸入された外気がミスト吐出通路から流出する流れが形成される。
【0009】
このように構成された本発明によれば、ミスト吐出通路の溢れ高さは、貯水部の水面よりも高く、ミスト生成高さよりも低く形成され、吸気通路の吸気高さは、ミスト吐出通路の溢れ高さよりも高く形成されている。このため、ミスト吐出通路の溢れ高さを越えて降下するミストの流れが、吸気通路から外気を引き込む空気の流れを誘発するので、ファン等の送風手段を設けることなく、吸気通路から流入し、ミスト吐出通路から流出する空気の流れを自然に形成することができ、多量のミストを効率良く吐出させることができる。また、自然に発生する空気の流れによりミストを吐出させるので、送風手段で生成された風により、ミスト滞留空間内でのミストの滞留が妨げられるのを防止することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、貯水部の水面上には、超音波振動子を作動させることにより液柱が形成され、ミスト発生装置本体内には、液柱の周囲を取り囲む周囲壁面が設けられ、吸気通路から取り込まれた外気は、エジェクター効果により液柱と周囲壁面の間に引き込まれ、ミスト発生装置本体内で生成されたミストと共にミスト吐出通路から流出する。
【0011】
このように構成された本発明によれば、エジェクター効果により液柱と周囲壁面の間に外気が引き込まれ、生成されたミストと共にミスト吐出通路から流出する。このため、ミスト発生装置本体内で生成される液柱の作用により、外気を吸気通路から取り込む流れを形成することができ、ミスト吐出通路から効率良くミストを吐出させることができる。また、送風手段を設ける必要がないため、送風手段で生成された風により、ミスト滞留空間内でのミストの滞留が妨げられるのを防止することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、ミスト吐出通路の溢れ高さは、貯水部の水面よりも高く、且つ水面の上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さよりも低く形成されている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、ミスト吐出通路の溢れ高さが、ミスト生成高さよりも低く形成されているので、ミスト発生装置本体内で生成されたミストが、重力によりミスト吐出通路の中に流入し、ミストの流れを自然に形成することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、貯水部の上方に天井面が設けられ、この天井面の、超音波振動子の鉛直上方の部分は、貯水部の水面よりも高く、ミスト生成高さよりも低く形成されている。
【0015】
このように構成された本発明によれば、天井面が、貯水部の水面よりも高く、ミスト生成高さよりも低く形成されているので、液柱の周囲で生成されたミストが、天井面によってミスト吐出通路の方へ押し出され、ミストを効率良くミスト吐出通路に流入させることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、天井面の、超音波振動子の鉛直上方の部分は、貯水部の水面上に形成可能な液柱の、非霧化部分の高さよりも高く形成されている。
【0017】
このように構成された本発明によれば、天井面が、液柱の非霧化部分の高さよりも高く形成されているので、ミスト発生装置本体内で形成された液柱から確実にミストを発生させることができ、ミスト吐出通路からミストを吐出させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、天井面の、超音波振動子の鉛直上方の部分は、貯水部の水面上に形成可能な液柱の1/2以上の高さに形成されている。
【0019】
このように構成された本発明によれば、天井面が、液柱の1/2以上の高さに形成されているので、液柱から効率良くミストを生成させることができるとともに、重力を活用してミストを効率良く吐出通路に流入させることができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、天井面には、天井面に当たった水が天井面に沿ってミスト吐出通路に流れるのを抑制する堰き止め部が形成されている。
【0021】
このように構成された本発明によれば、天井面に堰き止め部が形成されているので、天井面に当たった水が天井面に沿ってミスト吐出通路に流れるのを抑制することができ、ミスト吐出通路から水滴が吐出されてしまうのを抑制することができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、堰き止め部によって堰き止められた水を貯水部内に誘導する誘導壁部が設けられている。
【0023】
堰き止め部によって堰き止められた水がそのまま落下すると、生成されたミストに水滴が当たってミストが水滴に戻り、ミストの量が減少してしまう。上記のように構成された本発明によれば、堰き止め部によって堰き止められた水を貯水部内に誘導する誘導壁部が設けられているので、堰き止められた水がそのまま落下してミストを水滴に戻るのを抑制することができる。
【0024】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、超音波振動子が複数設けられ、堰き止め部によって堰き止められた水が超音波振動子の間に流下するように、各超音波振動子の間には仕切り壁が設けられている。
【0025】
このように構成された本発明によれば、各超音波振動子の間に設けられた仕切り壁により、堰き止め部によって堰き止められた水が超音波振動子の間に流下する。このため、堰き止め部によって堰き止められた水が、超音波振動子の上方の液柱から発生するミストに悪影響を与えるのを防止することができる。
【0026】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、貯水部に水を補給するように、外部から水が供給される給水部が設けられ、この給水部は、貯水部の水面よりも下方で、貯水部と連通している。
【0027】
このように構成された本発明によれば、給水部が貯水部の水面よりも下方で、貯水部と連通しているので、給水部から流入した水が貯水部の水面を波立たせ、液柱の形成を阻害するのを防止することができる。また、給水部から流入する水の水流により、ミスト発生装置本体内に気流が生じて、ミストの吐出が阻害されるのを防止することができる。
【0028】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、貯水部内の水を外部に排水するように、排水部が設けられ、この排水部は、貯水部の水面よりも下方で、貯水部と連通している。
【0029】
このように構成された本発明によれば、排水部が貯水部の水面よりも下方で、貯水部と連通しているので、排水部へ流出する水が貯水部の水面を波立たせ、液柱の形成を阻害するのを防止することができる。また、排水部へ流出する水の水流により、ミスト発生装置本体内に気流が生じて、ミストの吐出が阻害されるのを防止することができる。
【0030】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、貯水部の上方に天井面が設けられ、この天井面の、超音波振動子の鉛直上方の部分は、生成されたミストをミスト吐出通路に導くように傾斜面にされている。
【0031】
このように構成された本発明によれば、天井面の超音波振動子の鉛直上方の部分が傾斜面にされているので、生成されたミストをミスト吐出通路に導くことができ、効率良くミスト吐出通路からミストを吐出させることができる。
【0032】
本発明において、好ましくは、ミスト発生装置本体内には、傾斜面の下端から下方に延びる通気壁部が設けられ、この通気壁部は、超音波振動子の鉛直上方の空間と吸気通路内の空間を区切ると共に、超音波振動子の鉛直上方の空間と吸気通路内の空間を連通させる通気孔を備えている。
【0033】
このように構成された本発明によれば、傾斜面の下端から通気壁部が延びているので、貯水部内の水位が低下して、液柱の高さが低くなった場合でも、通気壁部の下端を回り込んだ吸気により、ミスト発生装置本体内で発生したミストを、ミスト吐出通路から効率良く吐出させることができる。一方、貯水部内の水位が適正水位であり、十分な高さの液柱が形成されている場合には、通気壁部の近傍に形成された液柱により、通気壁部の通気孔を介して吸気通路から外気が取り込まれ、ミスト吐出通路からミストを効率良く吐出させることができる。
【0034】
本発明において、好ましくは、ミスト吐出通路の溢れ高さは、貯水部の水面よりも高く、且つ水面の上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さよりも低く形成され、ミスト発生装置本体内には、貯水部の上方に天井面が設けられ、この天井面の、超音波振動子の鉛直上方の部分には、生成されたミストをミスト吐出通路に導く傾斜面が設けられ、吸気通路から吸入された外気がミスト吐出通路から流出する流れが形成される。
【0035】
このように構成された本発明によれば、天井面の超音波振動子の鉛直上方の部分が傾斜面にされているので、生成されたミストをミスト吐出通路に導くことができ、効率良くミスト吐出通路からミストを吐出させることができる。
【0036】
本発明において、好ましくは、吸気通路は、その吸気高さが、ミスト吐出通路の溢れ高さよりも低く構成されている。
【0037】
このように構成された本発明によれば、天井面の超音波振動子の鉛直上方の部分が傾斜面にされているので、吸気通路の吸気高さが、ミスト吐出通路の溢れ高さよりも低い場合でも、ミスト吐出通路から吐出されるミストの流れを形成することができる。このため、吸気通路の設計の自由度を広げることができる。
【0038】
また、本発明は、ミスト発生システムであって、本発明のミスト発生装置と、このミスト発生装置から吐出されたミストを滞留させるミスト滞留空間を備えた水回り機器と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0039】
本発明のミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムによれば、生成したミストを効率良く送り出すことができると共に、発生したミストを水回り機器のミスト滞留空間に滞留させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置を、水回り機器である浴槽装置に適用したミスト発生システムの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるミスト発生システムを側面から見た側面断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【
図11】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【
図12】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置によるミスト温度の測定結果の一例を示す図である。
【
図13】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミスト吐出通路からミスト滞留空間に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差の範囲を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置におけるミストの粒径の計測装置の概略図である。
【
図15】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置における粒子径分布測定装置の概略図である。
【
図16】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、粒子径分布測定装置により測定された粒子径分布データの一例を示している。
【
図17】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、度差と粒径との関係を説明する図である。
【
図18】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置における仮想滞留空間内の状態を観察する箱状観察装置を示す図である。
【
図19】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置における温度差と、ザウター平均粒径との組み合わせについて、仮想滞留空間内のミストの状態を、比較して示す図である。
【
図20】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、浴槽本体内のミスト滞留空間で、ミストが滞留状態となっているか否かの判定装置を示す図である。
【
図21】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の縦断面図である。
【
図22】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の斜視断面図である。
【
図23】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト吐出通路を取り外した状態で示す、ミスト発生装置本体の斜視図である。
【
図24】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体の内部構造を示す斜視断面図である。
【
図25】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の、斜め下方から見た斜視断面図である。
【
図26】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置からの排水経路を示す浴槽本体6の断面図である。
【
図27】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、タンクの水面上に形成される液柱と、その周囲に生成されるミストを模式的に示す図である。
【
図28A】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、水面上に形成された液柱を撮影した画像の一例である。
【
図28B】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、水面上に形成された液柱を撮影した画像の一例である。
【
図28C】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、水面上に形成された液柱を撮影した画像の一例である。
【
図29】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、水面上に形成された液柱の周囲に生成されたミストを撮影した画像の一例である。
【
図30A】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、撮影されたミストに画像処理を施した画像の一例である。
【
図30B】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、撮影されたミストに画像処理を施した画像の一例である。
【
図30C】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、撮影されたミストに画像処理を施した画像の一例である。
【
図31】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、液柱の高さ及びミスト生成高さの測定方法を説明する図である。
【
図32】比較例によるミスト発生装置において、ミスト生成高さと、ミスト吐出通路から吐出されるミストの流れの関係を説明する図である。
【
図33】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミスト生成高さと、ミスト吐出通路から吐出されるミストの流れの関係を説明する図である。
【
図34】本発明の第1実施形態によるミスト発生装置において、ミスト生成高さと、ミスト吐出通路から吐出されるミストの流れの関係を説明する図である。
【
図35】本発明の第2実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の側面断面図である。
【
図36】本発明の第2実施形態によるミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の斜視断面図である。
【
図37A】本発明の第2実施形態によるミスト発生装置における吸気高さと溢れ高さの関係を模式的に示す図である。
【
図37B】本発明の第2実施形態によるミスト発生装置における吸気高さと溢れ高さの関係を模式的に示す図である。
【
図37C】比較例によるミスト発生装置における吸気高さと溢れ高さの関係を模式的に示す図である。
【
図38】本発明の第3実施形態のミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の側面断面図である。
【
図39】本発明の第3実施形態のミスト発生装置及び比較例のミスト発生装置本体内におけるミストの流れを模式的に示した図である。
【
図40】本発明の第4実施形態のミスト発生装置のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の斜視断面図である。
【
図41】本発明の第4実施形態のミスト発生装置において、ミスト発生装置本体内で発生したミストの流れを模式的に示す図である。
【
図42】本発明の第5実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【
図43】本発明の第6実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【
図44】本発明の第7実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【
図45】本発明の第8実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態のミスト発生装置、及びそれを備えたミスト発生システムを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるミスト発生装置を、水回り機器である浴槽装置に適用したミスト発生システムの斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態によるミスト発生システムを側面から見た側面断面図である。
【0042】
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるミスト発生装置1を適用した水回り機器である浴槽装置2は、浴室3に設けられている。浴室3は、箱型の空間であり、内部で水を使用するため一定程度密閉された室内空間5を形成している。水には、外気温(常温)より温度の高い水、加熱された水(いわゆる湯)も含む。浴室3内には、ミスト発生装置1を操作する操作部28が設けられている。なお、本実施形態において、ミスト発生装置1と浴槽装置2の組み合わせは、ミスト発生システムとして機能する。
【0043】
操作部28は、浴槽装置2への水の貯水操作、温度設定等も行うことができる。操作部28は、供給されるミストの温度を設定できる操作機能、供給されるミストの粒径を設定できる操作機能等を有していてもよい。操作部28は、浴室3外に設けられてもよく、又は、リモコン等の遠隔操作部でもよい。浴槽装置2には、水の供給を行う供給装置7が設けられている。浴槽装置2は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間4を形成する浴槽本体6を備えている。なお、本実施形態のミスト発生装置1を適用可能な水回り機器としては、浴室、トイレ、洗面所、キッチン等を挙げることができる。この場合、ミスト発生装置1は、水回り機器の浴槽本体、浴室の洗い場床、シャワールーム、手洗いボウル、洗面台ボウル、キッチンシンク等にミストを供給するように設けられる。また、浴室3は、浴槽本体6のみが配置される部屋に限られず、トイレ、手洗い機器、洗面台、又はこれらの組合せを備えていてもよい。
【0044】
浴槽本体6は、浴槽装置2の浴槽本体6が配置される室内空間5に向けて上方が開放されたミスト滞留空間4を形成する。浴槽本体6は、浴槽(湯船)であり、内側のミスト滞留空間4内に水が貯水できるようになっている。浴槽本体6は、上面視で長方形に形成され、長方形の長辺側に長辺側部分6dが形成され、短辺側に短辺側部分6eが形成されている。
【0045】
ミスト滞留空間4は、浴槽本体6の内側において概ね直方体形状に形成される空間である。
図2に示すように使用者Aが入浴する際には、ミスト滞留空間4の下部側に34℃乃至45℃の水Bが貯水され、使用者Aが座った状態で入浴することができる。なお、後述するように、
図2においては、ミスト滞留空間4内の水Bの上方にはミストが滞留した状態(ミストの滞留層Cが形成されている状態)となっている。ミスト滞留空間4は、浴槽本体6の上端部6aまで形成され、上方が開口されている。本実施形態のミスト発生装置1は、浴槽本体6に、ミスト滞留空間4の天面を覆う浴槽蓋を配置しない状態であっても、ミスト滞留空間4内にミストを滞留させることができるように構成されている。
【0046】
なお、ミスト滞留空間4内に水Bを貯水せずに、ミストのみを滞留させてもよい。浴槽本体6の形状は実施形態のような箱状に限定されず、滞留空間を形成できる形状であればよい。例えば、浴槽本体6が上面視で円形や楕円形に形成され、内側にボウル状のミスト滞留空間が形成されていてもよい。浴槽本体6の底面は使用者が寝浴姿勢や座り姿勢に近い姿勢をとれるように斜めに形成されていてもよく、底面に段部が形成されていてもよく又は形成されていなくてもよい。また、浴槽本体6の上縁は、一定の高さで水平に形成されている必要はなく高さが変化するように形成されていてもよい。例えば、浴槽本体6の上縁が、側面視で、斜め上方又は下方に延びる形状、一部が下方に凹む弓状に延びる形状や、略直角を形成するような形状とされてもよい。
【0047】
ミスト発生装置1は、内部でミストが生成されるミスト発生装置本体8と、ミストを上方が開放された浴槽本体6内のミスト滞留空間に吐出させるミスト吐出通路10とを備えている。
ミスト発生装置本体8内では、加熱された水からミストが生成される。また、ミスト発生装置本体8は、浴槽本体6の短辺側の短辺側部分6eに配置されている。短辺側部分6eの上部には、ミスト発生装置本体8を配置する台状の部分が形成されている。
【0048】
ミスト発生装置本体8内には、ミストにすべき水を貯溜する貯水部であるタンク12が設けられ、このタンク12に給水源から水を供給する給水路14と、タンク12から水を排水管に排水する排水路16が接続されている。また、タンク12の内側には、超音波振動子18、ヒーター20、水温検知手段である水温計測器22が設けられている。さらに、タンク12の外側には気温検知手段である室内温度計測器24が設けられている。また、超音波振動子18及びヒーター20は、制御部26によって制御される。
【0049】
ミスト発生装置本体8内には、直方体形状のタンク12が形成され、ミスト発生装置本体8の側壁には、給水路14及び排水路16が接続されている。また、ミスト発生装置本体8の側壁には、ミスト吐出通路10が接続されている。さらに、給水路14には、給水路14を開閉する給水路開閉弁30が設けられている。排水路16には、排水路16を開閉する排水路開閉弁32が設けられている。なお、ミスト発生装置本体8内の具体的構造については後述する。
【0050】
超音波振動子18は、タンク12内の底面に上方に向けて取り付けられ、タンク12内に貯留された水の水面に向けて超音波を照射するように構成されている。超音波振動子18により超音波が照射されると、超音波振動子18の鉛直上方の、タンク12の水面上に液柱が形成され、この液柱の周囲に微粒子状にされた水の、所定の粒径のミスト(霧)が生成される。超音波振動子18は、制御部26と電気的に接続され、超音波振動子18の超音波の発振出力、周波数等を調整することにより、発生させるミストの粒径を変更できるようになっている。また、本実施形態においては、5個の超音波振動子18が、タンク12内に一直線に配列されている。
【0051】
制御部26は、ヒーター20に電流を流すことにより、タンク12内の水を加熱するように構成され、タンク12内の水の温度を所定温度に制御する。例えば、ヒーター20は、供給された水(例えば20℃程度の室温)を室温以上の60℃以上まで加熱することができる。また、例えば、制御部26は、ヒーター20により一旦60℃以上に加熱された水を、室温と水温の温度差が所定温度になるように温度制御することができる。よって、ミスト発生装置本体8においては、60℃以上に加熱された水が温度制御されると共に、温度制御された水からミストが生成される。なお、ミスト発生装置本体8に、給湯器において60℃以上に加熱された水を供給し、その水からミストを生成するように本発明を構成することもできる。
【0052】
制御部26は、タンク12内の水を室温以上の温度に加熱し、室温以上の温度で上昇気流を生じさせるようなミストを生成することができ、ミストの温度を、ミストの粒径等の状態に応じて、ミストが滞留しやすいようにコントロールする機能を有する。なお、水を60℃以上に加熱するので、少なくとも一部の菌(例えばレジオネラ菌)の繁殖を抑制する対策も可能となる。なお、ヒーター20が水(又はミスト)を一旦60℃以上に加熱する工程を省略し、この工程の代わりに他の菌抑制手段、例えば、UV光による除菌手段、除菌剤を添加する菌抑制手段等が設けられてもよい。
【0053】
なお、ヒーター20を、タンク12内の水の水位よりも高い位置に設け、水から生成されたミストが加熱されるように本発明を構成することもできる。このとき、ヒーター20は、水から生成されたミストを60℃以上に加熱することができる。また、例えば、制御部26は、ヒーター20により、60℃以上に加熱されたミストを、ミストの温度と室温の温度差が所定温度になるように、ミストの温度を温度制御することができる。
【0054】
水温計測器22は、タンク12内の水の水温を検知する。制御部26は、水温計測器22と電気的に接続され、制御部26がタンク12内の水の水温を認識できる。
室内温度計測器24は、浴槽本体6が配置される室内空間5のミスト発生装置本体8の外側の空気の温度を検知する。制御部26は、室内温度計測器24と電気的に接続され、制御部26が室内空間5の空気の温度を認識できる。なお、ミストの供給開始前(ミスト発生装置1が作動される前)の状態においては、室内空間5の空気の温度と、ミスト滞留空間4内の空気の温度とはほぼ等しい又は比較的近い温度であると仮定されるので、制御部26は、室内温度計測器24が測定した室内空間5の空気の温度を、ミスト滞留空間4内の空気の温度と推定できる。
【0055】
制御部26は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいてミストの発生を実行する。制御部26は、超音波振動子18、ヒーター20、水温計測器22、室内温度計測器24、操作部28等と電気的に接続されている。制御部26は、さらに、給水路14に設けられた給水路開閉弁30と、排水路に設けられた排水路開閉弁32とも電気的に接続され、これらを制御する。
【0056】
ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体8により生成されたミストを、浴槽本体6が配置された室内に向けて吐出させ、上方が開放された浴槽本体6内のミスト滞留空間4に流入させる。ミスト吐出通路10は、
図2に示す流路の断面により示されるように、ミスト発生装置本体8からミスト滞留空間4の一端の上部まで延びる通路である。ミスト吐出通路10の開口部は、浴槽本体6の短辺側部分6eに沿って横長の長方形に形成されている。開口部は、短辺側部分6eのほぼ全体にわたる幅を有するように形成されている。ミスト吐出通路10は浴槽本体6内の水の溢れ部6cより上方に配置される。本実施形態においては、この溢れ部6cは、浴槽本体6の溢れ面6bである。変形例として溢れ部6cは、浴槽本体6内に設けられたオーバーフロー口でもよい。
【0057】
ミスト発生装置1は、1L(リットル)のミスト滞留空間4に対し、例えば0.03mL/min~1.5mL/minの流量でミストを供給するように構成されている。例えば、体積330Lのミスト滞留空間4を有する浴槽本体6に対し、ミスト発生装置1は、11mL/minの流量でミストを供給する。また、ミストの流量(供給量)は、超音波振動子18の個数、出力、超音波を照射する向き、タンク12内の水位、又は、ミスト発生装置本体8内やミスト吐出通路10内の流路形状等により制御することができる。
【0058】
ミスト発生装置本体8内では、加温された状態のミストが生成されると共に、ミストの温度を制御し、このミストをミスト滞留空間4内に滞留させやすくする。この内容について説明する。
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の、水回り機器が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、ミスト吐出通路10から供給されたミストが浴槽本体6のミスト滞留空間4内に滞留されるように構成される。また、ミスト発生装置1は、温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミスト吐出通路10から吐出されたミストの粒径に応じたミストの重さを超えないような、温度差を生じるように構成される。想定される室内空間5の空気の温度範囲に応じてミスト発生装置本体8に供給される水の温度、ヒーター20による加熱温度、又は超音波振動子18の周波数を予め設定することで、室内温度計測器24を用いず(室内温度計測器24の計測結果に依ることなく)、このようなミスト供給が達成されてもよい。また、供給時の設定の調整によりこのようなミスト供給が達成されてもよい。ミスト発生装置1は、温度差が、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは45℃以下とされるように構成される。ミスト発生装置1は、加温された状態のミストを生成すると共に、ミストの粒径を制御し、このミストをミスト滞留空間4内に滞留させやすくする。
【0059】
次に、
図2、
図3乃至
図8により、上述した本発明の第1実施形態によるミスト発生装置の動作を説明する。
図3乃至
図8は、ミストの吐出開始後、ミスト滞留空間4全体にミストが滞留するまでの様子を示す図である。
図3乃至
図8に示すミスト発生装置1の基本構造は、
図2に示すミスト発生装置1の基本構造とほぼ同じであるので、
図3乃至
図8においても
図2と同様の符号を付して説明する。
【0060】
図2に示すように、ミスト発生装置1の動作の開始前の待機状態において、浴槽本体6のミスト滞留空間4の下半分には約38℃の水が貯溜された状態となっている。浴室3内の室内空間5の空気の温度とミスト滞留空間4内の空気の温度とはほぼ等しい温度となっている。また、待機状態において、給水路開閉弁30及び排水路開閉弁32は閉弁され、タンク12内には水が無い状態となっている。超音波振動子18及びヒーター20は停止された状態になっている。
【0061】
使用者が操作部28を操作しミスト発生装置1のミストの供給制御を開始させる。ミストの供給開始前に、室内温度計測器24は、室内空間5の空気の温度を測定し、室内空間5の空気の温度が制御部26に入力される。制御部26は、給水路開閉弁30を開弁させ、水を給水路14からタンク12内に供給する。なお、排水路開閉弁32は閉弁されたままにされている。タンク12内に予め決められた水量の水が貯溜されると、給水路開閉弁30は閉弁される。次に、制御部26は、ヒーター20を作動させ、水を給水された水の水温から60℃以上まで加熱する。制御部26は、水が60℃以上まで加熱された後、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度と、ミストの供給開始前の浴室3内の温度との温度差が、0℃以上とされるように、タンク12内の水の温度をヒーター20の起動及び停止により調整する。次いで、制御部26は、超音波振動子18を作動させ、タンク12内にミストを生じさせる。
【0062】
図3は、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4内へのミストの供給が開始された直後の状態を示している。
ミスト発生装置本体8内に生じたミストは、ミスト吐出通路10から浴槽本体6内のミスト滞留空間4に供給される。ミストは、ミスト吐出通路10から自然に溢れ出し、矢印F1に示すように、ミストの自重により自由落下しながらミスト滞留空間4内に供給される。このように、ミストが下方への移動速度以外の他の方向への移動速度を持つことが抑制されている。従って、ミストがミスト滞留空間4内において、撹拌、拡散、上昇等の移動をしにくくされている。
図4においては、ミストの供給開始から約数秒経過後の状態が示される。ミスト供給部10から滞留空間4へのミストの供給は継続されている。供給されたミストは、水Bの水面の上方且つ滞留空間4内の低い部分に滞留を開始している。上昇気流によってミストを上昇させようとする力が、ミスト供給部10から供給されたミストの重さを超えないことによりミストが滞留空間4内に滞留しやすくなっている。よって、ミストは、滞留空間4内の比較的低い部分に滞留する。ミストは、ミスト供給部10側から徐々に供給及び追加され、滞留空間4内の水面上又は底部上においてミスト供給部10側から反対側の短辺に向けて徐々に進む。
【0063】
図5においては、
図4の状態から、ミストが浴槽本体6の反対側の短辺まで到達した状態が示される。ミスト供給部10から滞留空間4へのミストの供給は継続されている。
【0064】
図6は、ミストの供給開始から約10秒経過後の状態を示している。
図6に示すように、立上雲状体R(例えば浴槽本体6の上縁である溢れ面6bを超えてさらに上昇する所定の密度のミストの集合体)が溢れ面6bより約5cm~約30cmの範囲内の高さ程度上方まで立ち上がった後、一部のミストは浮遊や放散し、大半のミストは上昇気流からミストが受ける力よりも重力が大きくなり、再び徐々に浴槽本体6内の滞留空間4に向けて戻るように下降する、また一部のミストは移動の途中で気化して消滅する。
【0065】
図7に示すように、
図6の状態からさらにミストが滞留空間4内に供給されるとともに、立上雲状体Rから下降するミストが滞留空間4内に再び戻って滞留している。なお、ミスト装置1は、ミストの立上雲状体を形成せずにミストの滞留層Cを形成してもよい。
【0066】
図8は、ミストの供給開始から約20秒経過後の状態を示している。
ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4へのミストの供給が継続され、ミスト滞留空間4内に供給されたミストが、ミスト滞留空間4内の頂部(浴槽本体6の上端部6a)に近い部分まで滞留されている。ミストは、主にミスト滞留空間4内において水Bの水面より上方且つミスト滞留空間4内の頂部より下方の領域に滞留している。ミストは水Bに落下して吸収され、又は浴槽本体6の壁面に水滴となって付着され消失する、又は浴槽本体6の上端部6aの縁を超えて拡散する。消失するまでの時間はミストの粒径によって異なる。このようにミストは消失又は拡散されるものの、消失や拡散するまでに新しいミストが供給されることにより、滞留空間4内にミストの滞留層を形成できる。すなわち、ミストは、ミスト滞留空間4内において緩やかに流動しつつもミスト滞留空間4から拡散するには至らず安定的な滞留層Cを形成する。滞留層Cは、水Bの水面より上方において、一定以上の密度のミストが単位空間内に存在することにより形成される。滞留層は、白い雲状に認識される。滞留層は下部側においてミストの密度が比較的高く、上部側においてミストの密度が比較的低くなるように形成されている。滞留層の存在により、ミスト滞留空間4の頂部までミストが満たされているように視認される。
【0067】
滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体6の溢れ面6bの高さ(高さ位置M0(
図2))に、上記浴槽本体6の深さL1に相当する高さを加えた高さ位置M1(
図2)よりも下方に形成される。滞留境界面66はミストが空気中に一定以上の濃度となっている滞留層Cと、ミストが空気中に一定未満の濃度となっている空気層Jとの間の境界領域を示している。滞留境界面66は、ミストが滞留しながらある程度動いているため、上下方向にやや高さを持った領域で規定されると共に、水平方向に広がる領域として規定される。なお、浴槽本体6の溢れ面6bは、浴槽本体6の側壁のうち最も高さが低い部分、すなわち水が浴槽本体6の上限まで溜まると最初に溢れ出す部分である。
【0068】
また、滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体6の溢れ面6bの高さ位置M0よりも上方に形成されている。さらに、滞留されたミストの上部側の滞留境界面66は、浴槽本体6の溢れ面6bの高さ(高さ位置M0)に、100mm~200mmの間の数値を加えた高さ位置(高さ位置M2~高さ位置M3(
図2))よりも下方に形成されている。滞留境界面66が浴槽本体6の溢れ面6bの高さよりも高い位置となる場合には、使用者は浴槽を越える位置までのミスト入浴効果、すなわち湯船より高い高さまでの温浴効果を得ることができる。ミスト発生装置1を作動(使用)させている間は、ミストが浴槽本体6内に供給されミストの滞留が継続されている。
ミスト発生装置1は、滞留境界面66の高さ位置が、上述のような所定の高さ位置になるような、ミストの温度と室内の温度との温度差、ミストの粒径、ミストの供給量等を規定するように構成されている。
【0069】
次に、
図9乃至
図11を参照して、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度、及びミストの供給開始前の浴槽装置2が使用される室内の温度のそれぞれの計測方法について説明する。
図9乃至
図11は、ミストの温度、及びミストの供給開始前の室内の温度の計測方法を示す図である。
【0070】
ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度は、想定される水回り機器の形状に対応する箱状装置35を使用して測定される。箱状装置35は、想定される水回り機器のミスト滞留空間の形状を模擬した仮想滞留空間34と、仮想滞留空間34の中央に配置され且つ温度を測定するK熱電対36とを備えている。
【0071】
仮想滞留空間34は実際のミスト滞留空間4の形状を模擬しつつもサイズを小さくして形成されている。仮想滞留空間の大きさ及び形状は、想定される水回り機器により決定され、浴槽装置2の場合の浴槽、浴室の洗い場床、シャワールーム、洗面台の場合の洗面シンク、キッチンの場合のキッチンシンク等の大きさ及び形状に対応するように決定される。仮想滞留空間34は、例えば、上面視で、短辺が120mm、長辺が300mmの長方形を形成し、正面視で、高さが120mm、長辺が300mmの直方体を形成する。箱状装置35の仮想滞留空間34は、天井面が省略されて開口されている。このような仮想滞留空間34の中心位置に、K熱電対36の感温部が配置され、仮想滞留空間34内の空気の温度を測定している。
【0072】
K熱電対36は、上面視で、短辺に沿う方向において側壁から内側に60mmの位置、且つ長辺に沿う方向において側壁から内側に150mmの位置、且つ高さ方向において底部から上方に60mmの位置に位置する。例えば、K熱電対の感温部サイズは、φ4.5mm×50mmとされている。K熱電対36は、温度ロガー(図示せず)に電気的に接続される。例えば、K熱電対36(アズワン社製型番L-TN-4-K)の測定データを温度ロガー(キーエンス社製NR-500シリーズNR-TH08)で測定、記録し、温度ロガーの情報をパソコンに記録する。なお、ミストを生じさせるもととなる水は水道水であり、ミストを生じさせるもととなる水の水質は水道水の水質に基づく。さらに、各計測方法(測定方法)が実施される室内においては、室内に空気の流れを生じさせるような空調等の風は供給されない状態である。
【0073】
次に、
図12は、ミスト温度の測定結果の一例を示している。
図12においては、縦軸は仮想滞留空間34内のK熱電対36が計測した温度(ミスト雰囲気温度)[℃]であり、横軸は計測開始からの経過時間[s]である。
図12に示すように、K熱電対36により測定される温度は、本実施形態のミスト発生装置1から箱状装置35の仮想滞留空間34内に、ミストの供給を開始すると上昇し始め、十分に時間が経過(例えば2500[s]経過)すると、ほぼ一定値となる。本実施形態においては、測定される温度の上昇がほぼ止まった際の最高温度であるミスト雰囲気温度T1(
図12の例では43℃)を、ミスト発生装置1からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度としている。
【0074】
図12に示すミスト雰囲気温度の計測例においては、開始時の室内の温度T0=-5℃、ミスト発生装置本体8内において生成された当初のミスト温度が60℃である。ミスト吐出通路10からミスト滞留空間に供給されたミストの温度はやや低下された温度となっており、この温度をミスト雰囲気温度として測定する。ミスト供給が開始された後、時間経過とともに、仮想滞留空間34内の温度が上昇し、温度上昇がほぼ一定の値T1に収束する。ミスト発生装置1からのミストの供給が継続している場合、仮想滞留空間34内で測定される温度が収束する値は、ミスト吐出通路10から仮想滞留空間34に供給されたミストの温度となる。よって、実際にミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されるミストの温度は仮想滞留空間34において測定されたミストの温度(ミスト雰囲気温度)となると想定される。
【0075】
次に、ミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度の計測方法について説明する。ミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度は、水回り機器が使用される室内のうち仮想滞留空間34の外側に配置された室温用K熱電対50(
図9乃至
図11)により測定される。仮想滞留空間34の外側の室温用K熱電対50は、箱状装置35と同じ室内空間内に配置され、室内温度計測器24を模擬している。よって、室温用K熱電対50により測定された温度が室内温度計測器24により測定された室内の温度に対応する。仮想滞留空間等を用いたシミュレーション等においてはこの室温用K熱電対50により測定された温度を室内の温度として使用する。室温用K熱電対50は、仮想滞留空間34の頂部の高さに配置され、上面視で、短辺に沿う方向において側壁から外側に60mm離れた位置、且つ長辺に沿う方向において仮想滞留空間34の一端の側壁から内側方向に150mmの位置に位置する。室温用K熱電対50は、仮想滞留空間34の外側に延びる支持部38により仮想滞留空間34の外部で固定されている。水回り機器が使用される室内の温度は、ミスト供給が仮想滞留空間34に開始される前に、室温用K熱電対50により測定される。室温用K熱電対は、仮想滞留空間内のK熱電対36と同じK熱電対を使用している。室温用K熱電対50は、このような場所に限られず、ミスト発生装置本体8の外側且つ近傍の位置に配置しても良い。また、室温用K熱電対50は、ミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度を測定できればよいので、仮想滞留空間34内に配置されたK熱電対36によりミストの供給開始前の仮想滞留空間34内の空気の温度を計測してもよい。
【0076】
次に、
図13を参照して、ミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差の範囲(
図13中の点が付された領域により示す)について説明する。
上述のようにしてミスト吐出通路10からミスト滞留空間4に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度とが規定できる。よって、これらのミストの温度と室内の温度との温度差が規定できる。この温度差を0℃以上とすることにより、加熱後に調整されるミストの温度がミストの供給開始前の室温と同じ温度かより高い温度に設定される。
【0077】
図13においては、縦軸にミストの温度[℃]を示し、横軸に室内の温度[℃]を示している。さらに、
図13の線C1は、ミストの温度と室内の温度との温度差が0℃となる線である。よって、線C1よりも上方の領域が、温度差が0℃以上となる範囲である。また、線C2は、ミストの温度と室内の温度との温度差が100℃となる線である。ミスト発生装置1は、温度差が、0℃以上且つ100℃以下とされるように構成される。温度差が100℃までとなる比較的高温のミストの温度を設定できることにより、水回り機器の浴槽本体6の洗浄にミストを使用する時に、ミストの洗浄性や汚れを落としやすくする能力を向上させることができる。例えば、水が沸騰する温度に近い高温のミストを利用して比較的高い洗浄性能を奏することができる。なお、ミストは沸騰温度(例えば100℃)になると、水蒸気の態様に変化してミストの霧の粒が消失するので、ミスト吐出通路10から供給されたミスト温度は100℃以下とされる(線C5以下の領域により示す)。
【0078】
また、ミスト発生装置1のは、上記温度差が、0℃以上且つ60℃以下とされるように構成される。ミストの温度と室内の温度との温度差が60℃となる線C3が示される。温度差が60℃までとなるような比較的高温のミストの使用を抑制することにより、水回り機器の浴槽本体6の洗浄にミストを使用する時に、火傷する可能性をより低減しつつもミストの洗浄性を向上させることができる。
【0079】
また、ミスト発生装置1のミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10は、上記温度差が、0℃以上且つ45℃以下とされるように構成される。ミストの温度と室内の温度との温度差が45℃となる線C4が示される。温度差が45℃までに比較的低温のミストを使用することにより、水回り機器の使用者がミストにより火傷する可能性をほぼなくすことができる。
【0080】
また、
図13において、ミストの温度が、35度以上(線D1により示す)且つ45度以下(線D2により示す)に設定されれば、使用者の体温程度又は体温より温かい温度に設定しつつ、使用者がミストにより火傷する可能性をほぼなくすことができる。
【0081】
次に、
図14乃至
図16を参照して、ミスト吐出通路10から供給されるミストの粒径の計測装置及び計測方法について説明する。
図14は、ミストの粒径の計測装置の概略図である。
図14に示すように、ミストの粒径の計測装置37は、前述と同じ大きさ及び形状の仮想滞留空間34を設定する箱状装置39と、粒子径分布測定装置53とを備えている。この箱状装置39の側壁、すなわち仮想滞留空間34の側方の壁の中央近傍に、20mm×20mmの正方形の開口52を形成し、この開口52に蓋55が取り付けられている。
【0082】
図15に示すように、粒子径分布測定装置53は、粒径計測レーザー54を備え、粒径計測レーザー54は、粒径計測レーザーの計測領域Eが開口52の近傍且つ正面に位置するように配置されている。粒径計測レーザー54は、上面視で、粒径計測レーザー54のレーザー光が仮想滞留空間34の長辺と平行になるように配置されている。粒径計測レーザー54から発信されるレーザー光が通過する計測領域Eが、開口52の正面に位置している。計測領域Eは、開口52から150mmの距離に位置する。粒子径分布測定装置53は、計測レンズ56を備え、この計測レンズ56は、レーザー光の回折・散乱光を検出するように構成されている。
【0083】
まず、開口52に蓋55を取付けた状態で、仮想滞留空間34内にミストの供給を開始する。ミスト吐出通路10からのミストの供給口は図示を省略している。ミストの供給開始から1分後に蓋55を開放し、ミストを粒径計測レーザー54の計測領域Eに向けて漏出させる。粒径計測レーザー54の透過率が60%~90%となる状態で計測レンズ56により散乱光分布を計測する。例えば、粒径計測レーザー54及び計測レンズ56は、マイクロトラック・ベル株式会社製のスプレー粒子径分布測定装置のエアロトラック LDSA-SPRシリーズのLDSA-SPR1500Aを使用する。粒子径分布データを10回測定し、この粒子径分布データをPCに記録する。PCにおいて10回の粒子径分布データを平均化する。
【0084】
図16は、粒子径分布測定装置53により測定された粒子径分布データの一例を示している。
図16においては、左側縦軸に頻度[%]を示し、右側縦軸に累積[%]を示し、横軸に粒径[μm]を示している。例えば、PCは、このように得られた粒子径分布データを分析し、この粒子径分布データの20%タイル値粒径G、ザウター平均粒径Hを粒径データとして取得する。ザウター平均粒径は、全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒径を示す。ザウター平均粒径により平均粒径をもとめることにより少ない数の大粒径を有する粒子による測定値への影響を抑制できる。
【0085】
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10から供給されるミストの大部分の粒径が、3.1μm以上且つ40μm以下となるように構成されている。この範囲の上限及び下限において、少ない数の大粒径の粒子や小粒径の粒子の測定に与える影響等を受けにくくするため、ミストのザウター平均粒径が、40μm以下であると共に、ミストのザウター平均粒径が、3.1μm以上とされる、このような条件を満たすようにミストの粒径を規定している。
【0086】
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10から供給されるミストの大部分の粒径が、3.6μm以上且つ20μm以下となるように構成されている。この範囲の上限及び下限において、少ない数の大粒径の粒子や小粒径の粒子の測定に与える影響等を受けにくくするため、ミストのザウター平均粒径とザウター平均粒径との平均値が、3.6μm以上であると共に、ミスト供給部から供給されるミストのザウター平均粒径が、20μm以下とされる、このような条件を満たすようにミストの粒径を規定している。
【0087】
ミスト発生装置1は、ミスト吐出通路10から供給されるミストの大部分の粒径が、4.1μm以上且つ10μm以下となるように構成されている。この範囲の上限及び下限において、少ない数の大粒径の粒子や小粒径の粒子の影響等を受けにくくするため、ミストのザウター平均粒径が、4.1μm以上であり且つ10μm以下とされる、このような条件を満たすようにミストの粒径を規定している。
【0088】
次に、
図17を参照して、温度差と粒径との関係を説明する。
図17においては、縦軸に粒径[μm]を示し、横軸に温度差ΔT[℃]を示している。
図17は、これらの粒径と温度差ΔTとの好ましい範囲を、点状の領域により示している。ミスト発生装置1により、ミストの温度と室内の温度との温度差が0℃以上且つ100℃以下となる範囲において所定の温度差を設定することができる。上述したように、温度差は0℃以上且つ60℃以下、0℃以上且つ45℃以下等に変更可能である。
【0089】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、40μm以下となるように構成されている。よってミストの大部分の粒径が40μm以下となっている。
なお、仮にミストの粒径が40μmである場合には、終端速度vは以下の計算により、45.3mm/sと求められる。水滴の終端速度vの算定方法については、次のように表すことができる。空気の分子粘性係数をμ、水滴の半径(ミストの粒径の半分)をrとすると、ρ=103kg/m-3、g=9.8m/s2、μ=1.8X10-5N・sec/m2(15℃)より、
V(∞)=(2ρgr2)/(9μ)=1.2×108r2
となり、終端速度v(∞)は水滴の半径の2乗に比例する。なお、この式が適用できる範囲は、Re<1、すなわちr<0.1mmの範囲である。
【0090】
ミストの粒径が40μmであることによりミストの終端速度が45.3mm/sとなる場合、供給されたミストはおよそ10秒でミスト滞留空間の底部に到達(例えばミスト吐出通路10からミスト滞留空間4の底部まで45cmとする)し、ミストが消失すると仮定される。すなわちミストの供給から消失まで少なくとも10秒前後ミストが滞留することになる。このように10秒前後ミストが滞留すれば、この間にさらに新しくミストが供給でき、ミストの滞留層Cが維持しやすくなる。
図17において、ザウター平均粒径が40μmよりも大きくなる場合には、ミストの消失までの平均時間がより短くなるため、ミストの消失によりミストの滞留層が形成されにくくなる。
【0091】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、20μm以下となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が20μm以下となっている。仮にミストの粒径が20μmである場合には、終端速度vは11.3mm/sと求められ、供給されたミストがミスト滞留空間の底部に到達するまでに少なくともおよそ40秒を要することになり、ミスト滞留空間4の底へ比較的早期に落下するミストの割合をより減少できる。
【0092】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、10μm以下となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が10μm以下となっている。仮にミストの粒径が10μmである場合には、終端速度vは2.8mm/sと求められ、供給されたミストがミスト滞留空間4の底部に到達するまでに少なくともおよそ160秒を要することになり、ミスト滞留空間4内に滞留されるミストの継続時間をより長くでき、ミスト滞留空間4の底へ比較的早期に落下するミストの割合をさらに減少できる。
【0093】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、3.1μm以上となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が3.1μm以上となっている。ミスト吐出通路10から供給されたミストの内、ミスト滞留空間4内に滞留されずにミスト滞留空間4外へ拡散するミストの割合を減少できるとともにミストがミスト滞留空間4内に滞留される割合を増加させ、ミストがミスト滞留空間4内に効率的に滞留される。
【0094】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、3.6μm以上となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が3.6μm以上となっている。ミスト吐出通路10から供給されたミストの内、ミスト滞留空間4内に滞留されずにミスト滞留空間4外へ拡散するミストの割合をより減少できるとともにミストがミスト滞留空間4内に滞留される割合をより増加させ、ミストがミスト滞留空間4内により効率的に滞留される。
【0095】
ミスト発生装置1は、ミストのザウター平均粒径が、4.1μm以上となるように構成されてもよい。このときミストの大部分の粒径が4.1μm以上となっている。ミスト吐出通路10から供給されたミストの内、ミスト滞留空間4内に滞留されずにミスト滞留空間4外へ拡散するミストの割合をさらに減少できるとともにミストがミスト滞留空間4内に滞留される割合をさらに増加させ、ミストがミスト滞留空間4内にさらに効率的に滞留される。
【0096】
次に、
図18及び
図19を参照して、温度差と、粒径と、仮想滞留空間58内のミストの状態との関係を、さらに説明する。
図18は、仮想滞留空間内の状態を観察する箱状観察装置を示している。
図19は、温度差と、ザウター平均粒径との9通りの組み合わせについて、仮想滞留空間58内のミストの状態を、比較して示している。
【0097】
図19に示すように、仮想滞留空間58内のミストの状態は、想定される水回り機器の形状に対応する箱状観察装置55により測定できる。箱状観察装置55は、想定される水回り機器のミスト滞留空間の形状を模擬した仮想滞留空間58と、仮想滞留空間58内のミストの様子を観察、記録するカメラ62とを備えている。
図18に示すように、箱状観察装置55の仮想滞留空間58は、短辺が120mm、長辺が300mm、高さが240mmである。仮想滞留空間58は、天井面が省略されて上方に開口されている。箱状観察装置55の仮想滞留空間58の1つの側壁は透明板60により形成され、箱状観察装置55の斜め上方に配置されたカメラ62により仮想滞留空間58の内部を観察、記録できるようになっている。箱状観察装置55の仮想滞留空間58の短辺側の側壁の高さ120mmの位置に横幅70mm、高さ40mmの供給口64が形成されている。この供給口64がミスト吐出通路10に接続されている。
【0098】
図19は、ミスト吐出通路10から所定の粒径及び温度差を生じるミストを供給し、滞留状態をカメラ62により撮影した写真を9つのパターンで比較して示している。各パターンの写真図において、参考として滞留境界面が生じると想定される位置を、点線により示している。
図19においては、縦軸にミスト吐出通路10から供給されるミストのザウター平均粒径を示し、横軸に、ミストの温度と室内の温度との温度差ΔTを示している。
【0099】
図19のパターン例Aは、ミストのザウター平均粒径が50μm~60μm、且つ温度差5℃(ミストの温度20℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Aにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において比較的早く底部に向けて落下し、消失するため、ミストが仮想滞留空間58内に滞留していない。この写真の撮影のタイミングはミストの供給開始後2分を経過した時刻である。よって、パターン例Aでは、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0100】
図19のパターン例Bは、ミストのザウター平均粒径が50μm~60μm、且つ温度差25℃(ミストの温度40℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Bにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において比較的早く底部に向けて落下し、消失するため、ミストが仮想滞留空間58内に滞留していない。
【0101】
図19のパターン例Cは、ミストのザウター平均粒径が50μm~60μm、且つ温度差45℃(ミストの温度60℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Cにおいても、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において比較的早く底部に向けて落下し、消失するため、ミストが仮想滞留空間58内に滞留していない。
【0102】
図19のパターン例Dは、ミストのザウター平均粒径が4μm~8μm、且つ温度差5℃(ミストの温度20℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Dにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において濃度はやや薄いながらも滞留層Cを形成している。ミストの粒径が比較的小さいため、終端速度も比較的小さく、落下速度は遅くなっている。一方で、温度差により生じる上昇気流も小さい。これにより、ミストが滞留しながら、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層が形成されている。
【0103】
図19のパターン例Eは、ミストのザウター平均粒径が4μm~8μm、且つ温度差25℃(ミストの温度40℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Eにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において濃度の高い滞留層Cを形成している。ミストの粒径が比較的小さいため、終端速度も比較的小さく、落下速度は遅くなっている。温度差により生じる上昇気流も若干生じている。ここで、温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミストの重さを超えないようにしつつも、ミストの落下を抑制してミストの滞留が比較的長く生じている。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cが形成されている。
【0104】
図19のパターン例Fは、ミストのザウター平均粒径が4μm~8μm、且つ温度差45℃(ミストの温度60℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Fにおいては、ミスト供給部から供給されたミストが仮想滞留空間58内において濃度の高い滞留層Cを形成している。ミストの粒径が比較的小さいため、終端速度も比較的小さく、落下速度は遅くなっている。さらに、温度差により生じる上昇気流が温度差25℃の場合と比べてやや強まっている。しかしながら、依然として、温度差によって生じる上昇気流がミストを上昇させようとする力がミストの重さを超えないようになっており、ミストの落下を抑制してミストの滞留が比較的長く生じている。上昇気流がやや強くなっているため、局所的にミストが滞留層Cから浮き上がるような状態となっている部分があるが、全体としてはミストの滞留層Cが引き続き維持されている。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層が形成されている。局所的にミストが上昇している部分があったとしても仮想滞留空間58の半分以上の領域において滞留境界面66が維持されている場合には、滞留境界面66が形成されているものとする。
【0105】
図19のパターン例Gは、ミストのザウター平均粒径が1.2μm、且つ温度差5℃(ミストの温度20℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Gにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において浮き上がるように拡散している。温度差により生じる上昇気流は比較的小さい。しかしながら、ミストの粒径がさらに小さいため、終端速度がさらに小さく、落下速度はさらに遅くなっている。よって、ミストの重さが軽く、わずかな上昇気流により拡散している。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0106】
図19のパターン例Hは、ミストのザウター平均粒径が1.2μm、且つ温度差25℃(ミストの温度40℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Gにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において浮き上がるように拡散している。ミストの粒径がさらに小さいため、終端速度もさらに小さく、落下速度はさらに遅くなっている。その上、温度差により生じる上昇気流がさらに強くなっている。よって、ミストの重さが軽く、より強い上昇気流により拡散している。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0107】
図19のパターン例Iは、ミストのザウター平均粒径が1.2μm、且つ温度差45℃(ミストの温度60℃且つミストの供給開始前の室内の温度15℃)の場合におけるミストの状態を示している。パターン例Iにおいては、ミスト吐出通路10から供給されたミストが仮想滞留空間58内において浮き上がるように拡散しているる。ミストの粒径がさらに小さいため、終端速度もさらに小さく、落下速度はさらに遅くなっている。その上、温度差により生じる上昇気流がさらに強くなっている。よって、ミストの重さが軽く、さらに強い上昇気流により拡散している。よって、仮想滞留空間58内において上面に滞留境界面を形成するようなミストの滞留層Cは形成されていない。
【0108】
次に、
図20を参照して、浴槽本体6内のミスト滞留空間4(又は仮想滞留空間等)において、ミストが滞留状態となっているか(上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを形成しているか)否かの判定装置及びその判定方法について説明する。
【0109】
図20に示すように、透過率の測定装置68を用いて浴槽本体6内のミスト滞留空間4内部において測定された内部透過率と、ミスト滞留空間4外部において測定された外部透過率と、を比較し、外部透過率よりも内部透過率が低い場合に、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定できる。より具体的には、内部透過率/外部透過率<1となった場合に、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定することができる。
【0110】
次に、
図20を参照して、透過率の測定装置68について説明する。
透過率の測定装置68は、ミスト滞留空間4内部に配置された第1レーザー装置70と、レーザーを受ける第1透過率計測装置72とを備えている。第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とは、ミスト滞留空間4の上端より下方側に150mmの位置(例えばミスト滞留空間4の深さに対して3割程度の深さ位置)において水平方向に150mm離れて配置されている。第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とは、上面視でミスト滞留空間4の中央近傍に配置される。第1レーザー装置70から発振されるレーザー光の強度に対し、第1透過率計測装置72で測定したレーザー光の強度を測定し、透過率を測定する。
【0111】
透過率の測定装置68は、さらに、ミスト滞留空間4外部に配置された第2レーザー装置74と、レーザーを受ける第2透過率計測装置76とを備えている。第2レーザー装置74と、第2透過率計測装置76とは、ミスト滞留空間4の上端より上方側に150mmの位置(例えばミスト滞留空間4の上端に対して。第1レーザー装置70及び第1透過率計測装置72と対称の位置)において水平方向に150mm離れて配置されている。第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とは、上面視でミスト滞留空間4の中央近傍に配置される。第2レーザー装置74から発振されるレーザー光の強度に対し、第2透過率計測装置76で測定したレーザー光の強度を測定し、透過率を測定する。なお、透過率の測定装置68は、ミスト滞留空間4内部に第1レーザー装置70と、第1透過率計測装置72とを配置しているが、ミスト滞留空間4に代えて上述のような仮想滞留空間内にこれらの装置を配置して仮想的に透過率の予想測定を行ってもよい。このときには、仮想滞留空間の外部に第2レーザー装置74と第2透過率計測装置76とが配置される。
【0112】
より具体的な装置構成としては、キーエンス社製デジタルファイバアンプFS-N11MNから発せられたレーザー光を同社製FU-77TZ(第1レーザー装置70又は第2レーザー装置74)を通して発振し、同社製FU-77TZ(第1透過率計測装置72又は第2透過率計測装置76)にて受光する。受光した光はファイバアンプFS-N11MNへと返され、光量に応じて例えば1-5Vの電圧出力を行う。出力された電圧は、同社製NR-500シリーズNR-HA08にて計測し、PC上で0~100%の値にスケーリングする。透過率のデータは例えばサンプリング周期100msにて計測される。例えば、ミストをほぼ定量で供給開始してから15分以内において、最初に定常状態と判断できる30秒間の透過率のデータを平均して算出する。
【0113】
例えば、
図19のパターン例Eに示すように、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留している状態では、内部透過率が低下する。一方で、ミストは主にミスト滞留空間4内部に留まっており、滞留境界面66より上方において測定される外部透過率は、比較的高い値となっている。よって、内部透過率/外部透過率<1となり、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定される。
【0114】
図19のパターン例Aに示すように、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留せず、ミストが主に落下して消失している状態では、内部透過率及び外部透過率は、いずれも比較的高い値のままである。よって、内部透過率/外部透過率=1となり、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定されない。
【0115】
図19のパターン例Iに示すように、ミスト滞留空間4内部から外部にミストが拡散していく状態では、内部透過率及び外部透過率は、いずれも透過率がやや低い同様の値となると考えられる。よって、内部透過率/外部透過率=1となり、ミスト滞留空間4内部にミストが滞留していると判定されない。
【0116】
次に、
図21乃至
図26を参照して、本発明の第1実施形態によるミスト発生装置1の、ミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の具体的構造を説明する。
図21は、本実施形態によるミスト発生装置1のミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の縦断面図である。
図22は、ミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の斜視断面図である。
図23は、ミスト吐出通路10を取り外した状態で示す、ミスト発生装置本体8の斜視図である。
図24は、ミスト発生装置本体8の内部構造を示す斜視断面図である。
図25は、ミスト発生装置本体8及びミスト吐出通路10の、斜め下方から見た斜視断面図である。
図26は、ミスト発生装置1からの排水経路を示す浴槽本体6の断面図である。
【0117】
図21及び
図22に示すように、ミスト発生装置1のミスト発生装置本体8は、概ね直方体の箱形に形成されており、その下部にミストにすべき水が貯留され、貯水部であるタンク12が構成されている。タンク12の底には、凹部12aが設けられ、この凹部12aの底面に超音波振動子18が、鉛直上方に向けて取り付けられている。この構造により、超音波振動子18は、タンク12の中に貯留された水の水面Wに向けて超音波を照射し、超音波振動子18の鉛直上方の水面W上に液柱LCが形成される。このように、超音波の照射によりタンク12の水面W上に液柱LCが形成され、この液柱LC周囲に、ミスト発生装置本体8の内部空間でミストが生成される。
【0118】
また、
図24に示すように、タンク12の底部には、ミスト発生装置本体8の長手方向に凹部12aが5つ配列されており、各凹部12aの底に、夫々、超音波振動子18が設けられている。即ち、ミスト発生装置本体8の底部には、5つの超音波振動子18が、一直線上に並べて配置されている。また、各凹部12a(超音波振動子18)の間には、ミスト発生装置本体8の内部を仕切る、短辺方向に延びる仕切り壁8bが夫々設けられている。さらに、タンク12の底には、ヒーター20が、ミスト発生装置本体8の長手方向に延びるように配置されている。このヒーター20は、5つの超音波振動子18の配列方向と平行に延びるように配置されている。ミスト発生装置1の作動時においては、ヒーター20により、タンク12内の水は所定温度に加熱される。
【0119】
さらに、
図21に示すように、ミスト発生装置本体8の一方の側面上部には、開口部が設けられ、この開口部を覆うようにミスト吐出通路10が取り付けられている。ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体8の一方の側面に取り付けられ、ミスト発生装置本体8から鉛直下方に延びる略長方形断面のダクトである。ミスト吐出通路10の上端部は、側面でミスト発生装置本体8の内部と連通されており、下端には、鉛直下方に向けられたミスト吐出口10aが設けられている。これにより、ミスト発生装置本体8の内部空間で生成されたミストは、ミスト吐出通路10に流入し、ミスト吐出通路10下端のミスト吐出口10aから吐出する。なお、本実施形態において、ミスト吐出通路10は鉛直方向に延びるダクト状に構成されているが、ミスト吐出通路10は実質的に長さを有しない、単なる開口であっても良い。
【0120】
一方、ミスト吐出通路10とは反対側の、ミスト発生装置本体8の上端には、吸気通路8eが設けられている。即ち、ミスト発生装置本体8の上面視において、吸気通路8eは、超音波振動子18に対して、ミスト吐出通路10の反対側に設けられている。この吸気通路8eは、ミスト発生装置本体8の上面に形成され、鉛直上方に向けて開口している。即ち、ミスト発生装置本体8の内部の空間は、吸気通路8eを介して外気と連通している。また、ミスト発生装置本体8の上面には吸気通路8eが設けられているが、超音波振動子18の鉛直上方の部分には、天井面8aが形成されている。この天井面8aは、ミスト発生装置本体8の、ミスト吐出通路10の側で高く、吸気通路8eの側で低くなるように傾斜している。即ち、天井面8aは、液柱LCが形成される超音波振動子18の鉛直上方の部分において傾斜するように構成されており、ミスト吐出通路10の近傍においては概ね水平に向けられている。この天井面8aの傾斜により、ミスト発生装置本体8内で生成されたミストが、ミスト吐出通路10の方へ導かれる。なお、本実施形態において、天井面8aの傾斜した部分は直線(平面)状に形成されているが、この傾斜面は曲線(曲面)状に形成されていても良い。
【0121】
また、天井面8aの傾斜した部分と、概ね水平に向けられた部分の間には、段差が設けられ、この段差により堰き止め部8cが構成されている。即ち、水面W上に形成された液柱LCや、液柱LCから分離した液滴LDが傾斜した天井面8aに当たって天井面8aに水滴が付着した場合に、付着した水滴がミスト吐出通路10の方へ流れるのを、堰き止め部8cによって阻止している(
図21に想像線で示す)。
【0122】
さらに、
図25に示すように、天井面8aの、堰き止め部8cに隣接した部分には、概ねドーム状に形成された誘導壁部8dが設けられている。この誘導壁部8dは、中央部が高くなったドーム状に構成され、各超音波振動子18の上方に夫々設けられている。即ち、堰き止め部8cによって堰き止められた水は、誘導壁部8dに沿って左右に流れ、ミスト発生装置本体8の内壁面や、仕切り壁8b(
図24)を伝わってタンク12内に流入する(
図25に想像線で示す)。堰き止め部8cから仕切り壁8bに沿って流下した水は、超音波振動子18の間に流下し、流下した水が液柱LCの形成を妨げるのを抑制している。
【0123】
次に、
図23及び
図24に示すように、ミスト発生装置本体8の一端部には、給水部9及び排水部11が設けられている。給水部9は、給水路14(
図2)が接続される給水路接続部9aと、この給水路接続部9aから供給された水が流入する給水室9bと、を有する。給水室9bに流入した水は、ミスト発生装置本体8内のタンク12に流入するが、
図24に示すように、給水室9bとタンク12は、給水室9bに隣接して設けられた仕切り壁8bの下側の連通路9cを通って連通されている。
【0124】
仕切り壁8bの下端は、タンク12の水面Wよりも下側に位置するため、ミスト発生装置1の作動中において、連通路9cは常に水没した状態にある。即ち、給水部9の給水室9bは、超音波振動子18が超音波を照射している状態におけるタンク12の水面Wよりも下側の連通路9cを通ってタンク12内に連通している。このように、給水部9は、タンク12の水面Wよりも下側の連通路9cを介してタンク12内に連通している。このため、給水路接続部9aから給水室9bに水が流入した際に、タンク12内の水面Wが波立つのを抑制することができる。
【0125】
さらに、
図23及び
図24に示すように、排水部11は、排水路16(
図2)に接続される排水路接続部11aと、この排水路接続部11aに隣接して設けられた排水室11bと、排水路接続部11aと排水室11bの間に設けられた溢流部11cと、を有する。排水室11bは、超音波振動子18が超音波を照射している状態における水面Wよりも下側の通路(図示せず)を通って、タンク12内に連通されている。また、溢流部11cは、排水室11bと排水路接続部11aを仕切るように水平に延びる堰であり、排水室11b内の水位が溢流部11cの高さを超えると、排水室11b内の水が排水路接続部11aに排出される。さらに、タンク12と排水室11bは、水面Wよりも下側の通路によって連通されているので、タンク12内の最高水位は、溢流部11cの高さによって規定される。
【0126】
なお、
図26に示すように、排水路接続部11aに接続された排水路16は、浴室3の壁面の裏側を通って、浴槽本体6の裏側の排水パン6fまで延びており、排水部11から流出した水は、排水パン6fに排出される。なお、排水室11bは、水面Wよりも下側の通路(図示せず)を通って、タンク12内に連通されているので、ミスト発生装置本体8内で生成されたミストが、排水室11bを通って排水路16から流出することはない。
【0127】
次に、
図27乃至
図34を新たに参照して、ミスト発生装置本体8内で生成される液柱LCの高さと、ミスト吐出通路10及び吸気通路8eの構成の関係を説明する。
図27は、タンク12の水面W上に形成される液柱LCと、その周囲に生成されるミストを模式的に示す図である。
図28A乃至
図28Cは、水面W上に形成された液柱LCを撮影した画像の一例である。
図29は、水面W上に形成された液柱LCの周囲に生成されたミストを撮影した画像の一例である。
図30A乃至
図30Cは、撮影されたミストに画像処理を施した画像の一例である。
【0128】
図27に示すように、タンク12の底部に設けられた超音波振動子18を作動させることにより、タンク12に貯留された水の水面W上に、液柱LCが形成される。この水面W上に形成可能な液柱LCの高さは、超音波振動子18の出力、発振周波数、及び超音波振動子18から水面Wまでの距離により概ね規定される。本実施形態のミスト発生装置1においては、超音波振動子18の出力、及び発振周波数は一定にされ、水面Wの高さもほぼ一定に維持されるので、形成可能な液柱LCの高さもほぼ一定に維持される。また、超音波振動子18を連続的に発振させることにより、水面W上にはほぼ一定の高さの液柱LCが形成され、超音波振動子18の作動中、液柱LCは、連続的に形成、崩壊を繰り返す。さらに、液柱LCの上方には、液柱LCから千切れた液滴LDが、断続的に形成される。ミストMは、形成された液柱LC及び液滴LDの周囲に生成される。従って、水面W上に形成された液柱LCの上方に、液滴LDが飛散する最高の高さが、水面Wの上方でミストMが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さMHとなる。
【0129】
従って、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さが、ミスト生成高さMH以上である場合には、液柱LCから生成可能なミストMの全量(100%)が生成される。また、仮に、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さが、液柱LCの高さの1/3程度である非霧化部分NM以下の高さであった場合には、ミストMは殆ど生成されない。また、仮に、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さが、液柱LCの高さの1/2程度のLC1であった場合には、液柱LCから生成可能なミストM全量のうちの30%程度が生成される。さらに、仮に、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さが、液柱LC高さと同程度のLC2であった場合には、液柱LCから生成可能なミストM全量のうちの90%程度が生成される。
【0130】
従って、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さを、液柱LCの上方(超音波振動子18の上方)の部分において、ミスト生成高さMHに設定することにより、最も効率良くミストを生成することができる。また、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さをミスト生成高さMHよりも高く設定したとしても、生成されるミストの量は増加せず、体積当たりのミスト生成効率は低下する。さらに、ミスト発生装置本体8の天井面8aの、超音波振動子18の上方の部分における高さをミスト生成高さMHよりも低く設定した場合には、ミストが生成される領域が狭められるので、ミスト生成効率は低下する。
【0131】
図28A乃至
図28Cは、撮影された液柱の画像の一例である。
図28A乃至
図28Cに示すように、水を貯留した撮影用のタンク12の底面に超音波振動子18を配置し、これを作動させることにより、水面W上に液柱LCを形成している。また、液柱LCの周囲にはミストが生成されて、液柱LCを視認することができなくなるため、
図28A乃至
図28Cの撮影では、タンク12の近傍にファンFを配置している。ファンFにより、液柱LCに影響を与えない程度の微風を送って液柱LCの周囲のミストを吹き飛ばし、液柱LCを視認できるようにしている。さらに、形成される液柱LCの近傍にスケールSCを配置し、形成された液柱LCの高さを画像から計測して、液柱LCの高さを求めている。
【0132】
図29は、撮影されたミストの画像の一例である。
図29の画像を撮影した条件は
図28A乃至
図28Cと同様であるが、
図28A乃至
図28Cとは異なり、
図29ではファンFが作動されていない。このため、
図29では、液柱LCの周囲に生成されたミストMが、所定時間滞留し、画像として撮影されている。
【0133】
図30A乃至
図30Cは、
図29のようにして撮影された画像に、二値化処理を施した画像である。即ち、
図29の画像では、液柱LCの周囲で生成されたミストと、生成された後、液柱LCに漂っているミストを区別することが難しい。このため、二値化処理を行い、生成されたミストの濃い領域(ミストが生成されている領域と考えられる)と、ミストの濃度が薄い領域(生成後のミストが漂っている領域と考えられる)を区別できるようにしている。このようにして得られた、ミストが生成されている領域の高さを、近傍に配置されたスケールSCで読み取り、ミスト生成高さMHを計測している。
【0134】
次に、
図31を参照して、液柱LCの高さ及びミスト生成高さMHの測定方法を、詳細に説明する。
図31に示すように、液柱LCの高さ及びミスト生成高さMHの測定用の画像を撮影する場合には、暗室内に、測定用のタンク12(内部には超音波振動子18が配置されている)を設置し、これを黒壁を背景に動画撮影用のカメラで撮影する。また、動画撮影用のカメラの後方にはライトが配置され、タンク12の水面上に生成される液柱LCに、正面、斜め上方から光が当たるように照明されている。さらに、測定用のタンク12内には、液柱LCの高さ及びミスト生成高さMHを計測するためのスケール(
図31には図示せず)が配置されている。
【0135】
また、測定用のタンク12には、タンク12とは別に設けた貯水槽からポンプにより常に水が送り込まれている。タンク12には常に水が送り込まれているため、タンク12内の水はオーバーフローし、オーバーフローした水は戻りの水路により貯水槽に戻される。また、貯水槽内にはヒーターが設けられ、貯水槽内の水が加熱されている。さらに、暗室内の温度、及び湿度は、温度計及び湿度計によって測定され、暗室内が25℃、湿度65%に維持される。この装置により、測定用のタンク12内の水は、常に一定のオーバーフローする水位に維持されると共に、一定の温度(約60℃)に維持される。なお、タンク12内の水位は、使用する超音波振動子18に適した水位に設定するのが良く、本実施形態においては、深さ約40mmに設定した。また、液柱LCを撮影する場合には、タンク12の側面に配置されたファンから微風を送り、液柱LCを見えやすくした。
【0136】
なお、一例として、液柱LCの高さ及びミスト生成高さMHの測定には、カメラとしてSONY社製α7ii、ライトとしてレイマック社製 IHMA‐214/226WHV-V、ヒーターとしてTAITEC社製 THERMO MINDER SD mini N、ポンプとして太産工業社製 GGMN-2400、ファンとしてオリエンタルモーター社製 MDP925-24Lを使用することができる。
【0137】
ライトによる照明は、タンク12内の超音波振動子18位置で2200lxになるように設定され、動画撮影用のカメラは、フレームレート250fps、F値3.5、ISO1000、解像度1440×1080に設定されている。また、カメラのホワイトバランスは、反射率18%のグレーカードで調整した。さらに、超音波振動子18には、規定電圧を印加して超音波を発振した。なお、本実施形態において使用した超音波振動子18の規定電圧は50Vである。カメラによる撮影は、超音波振動子18の作動開始後、液柱LCが安定して形成される30秒後から40秒後まで行い、0.5秒毎に合計20枚の画像を抽出した。
【0138】
液柱LCの高さを測定する場合には、ファンを作動させて撮影を行い、撮影された画像からスケールで液柱LCの高さを読み取った。読み取られた液柱LCの高さが最も高い画像を採用し、その画像から読み取られた液柱LCの高さを液柱LCの高さとした。一方、ミスト生成高さMHを測定する場合には、ファンを作動させずに撮影を行い、撮影された画像に二値化処理を施し、二値化処理が施された画像からスケールでミスト生成高さMHを読み取った。二値化処理には、画像処理ソフトとしてGIMP Ver2.10.24を使用し、ミストの濃い部分だけが白くなるように、二値化する閾値は190~210(輝度階調0~255)に設定した。読み取られたミスト生成高さMHが最も高い画像を採用し、その画像から読み取られた高さをミスト生成高さMHとした。以上の手順により、
図28A乃至
図28C、及び
図30A乃至
図30Cの画像が取得され、液柱LCの高さ及びミスト生成高さMHが測定された。
【0139】
次に、
図21を参照して、タンク12内の水面W上に形成される液柱LC及びミストと、ミスト発生装置本体8の天井面8aの高さの関係を説明する。
まず、
図21に示すように、ミスト発生装置本体8の天井面8aは、超音波振動子18の鉛直上方の部分において、タンク12の水面Wよりも高く、ミスト生成高さMH(
図27)よりも低く形成されている。即ち、本実施形態のミスト発生装置1においては、天井面8aはミスト生成高さMHよりも低く形成されているので、天井面8aを除去したとすれば、天井面8aの位置よりも上方でもミストが生成されることになる。さらに、天井面8aは、超音波振動子18の鉛直上方の部分において、水面W上に形成可能な液柱LCの、非霧化部分NMの高さよりも高く、さらに、水面W上に形成可能な液柱LCの1/2以上の高さに形成されている。
【0140】
次に、
図32乃至
図34を新たに参照して、ミスト生成高さMHと、ミスト吐出通路10から吐出されるミストの流れの関係を説明する。
本実施形態のミスト発生装置1においては、
図21に示すように、ミストは、ミスト発生装置本体8内で形成される液柱LCの周囲に形成される。形成されたミストは、タンク12の水面Wよりも高く、ミスト生成高さMHよりも低い、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHを越えてミスト吐出通路10の中に流入する。ミスト吐出通路10の中に流入したミストは、ミスト吐出通路10内を降下して、下端のミスト吐出口10aから吐出される。
【0141】
このようにミストが流れると、ミスト発生装置本体8の上部の、溢れ高さOHよりも高い吸気高さSHに設定された吸気通路8eから、外気がミスト発生装置本体8内に引き込まれる。これにより、吸気通路8eから吸入された外気がミスト吐出通路10から流出する空気の流れが形成される。このように、本実施形態のミスト発生装置1においては、ミスト吐出通路10とは別に吸気通路8eを設けることにより、空気及びミストの流れを自然に発生させることができ、ファン等の送風手段を設けることなく、効率良くミストを吐出させることができる。
【0142】
これに対し、比較例として、
図32に示すように、ミスト発生装置本体8の吸気通路8eの吸気高さSH1が、ミスト吐出通路10の溢れ高さOH1よりも低い場合には、ミスト発生装置本体8内で生成されたミストの多くは、吸気通路8eに流れてしまう。このため、
図32に示す比較例のミスト発生装置では、ミスト吐出通路10から効率良くミストを吐出させることはできない。
【0143】
一方、
図33に示すように、ミスト発生装置本体8に設けられた開口の高さが
図32と同じであっても、吸気通路8eが上方に向けて延びている場合には、吸気高さSH2は、吸気通路8eの上端の高さになる。この場合には、吸気高さSH2が溢れ高さOH2よりも高くなるため、吸気通路8eからミスト吐出通路10へ向かう空気の流れが形成され、ミスト吐出通路10から効率良くミストを吐出させることができる。
【0144】
ここで、ミスト吐出通路の「溢れ高さ」とは、吸気通路を塞いでミスト発生装置本体8内から水を注入し、ミスト吐出通路10を通して水を流出させたとき、ミスト吐出通路10内の最高水位を規定する高さに相当する。一方、吸気通路の「吸気高さ」とは、ミスト吐出通路を塞いでミスト発生装置本体8内から水を注入し、吸気通路8eを通して水を流出させたとき、吸気通路8e内の最高水位を規定する高さに相当する。従って、例えば、
図34のように、ミスト吐出通路10及び吸気通路8eが複雑に引き回されている場合であっても、溢れ高さOH3及び吸気高さSH3は図中に示すように規定される。
図34に示す例では、吸気高さSH3が溢れ高さOH3よりも高くなっており、ミストはミスト吐出通路10から吐出される。
【0145】
本発明の第1実施形態のミスト発生装置1によれば、ミスト発生装置本体8に、ミスト発生装置本体8内に外気を取り込む吸気通路8eが設けられているので(
図21)、ミスト発生装置本体8内で発生したミストを、効率良くミスト吐出通路10に送り込むことができ、発生したミストを浴槽本体6のミスト滞留空間4に滞留させることができる。即ち、ミストを吐出するミスト吐出通路10とは別に、吸気通路8eを設けることにより、吸気通路8eからミスト吐出通路10に向かう空気の流れを自然に形成することができ、ミスト発生装置本体8内で生成されたミストを効率良く送り出すことができる。この結果、装置を大がかりなものにすることなく大量のミストをミスト滞留空間4に滞留させることができる。
【0146】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHは、タンク12の水面Wよりも高く、ミスト生成高さMH(
図27)よりも低く形成され、吸気通路8eの吸気高さSHは、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHよりも高く形成されている(
図21)。このため、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHを越えて降下するミストの流れが、吸気通路8eから外気を引き込む空気の流れを誘発するので、ファン等の送風手段を設けることなく、吸気通路8eから流入し、ミスト吐出通路10から流出する空気の流れを自然に形成することができ、多量のミストを効率良く吐出させることができる。また、自然に発生する空気の流れによりミストを吐出させるので、送風手段で生成された風により、ミスト滞留空間4内でのミストの滞留が妨げられるのを防止することができる。
【0147】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHが、ミスト生成高さMHよりも低く形成されているので、ミスト発生装置本体8内で生成されたミストが、重力によりミスト吐出通路10の中に流入し、ミストの流れを自然に形成することができる。
【0148】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、天井面8aが、タンク12の水面Wよりも高く、ミスト生成高さMHよりも低く形成されているので、液柱LCの周囲で生成されたミストが、天井面8aによってミスト吐出通路10の方へ押し出され、ミストを効率良くミスト吐出通路10に流入させることができる。
【0149】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、天井面8aが、液柱LCの非霧化部分NM(
図27)の高さよりも高く形成されているので、ミスト発生装置本体8内で形成された液柱LCから確実にミストを発生させることができ、ミスト吐出通路10からミストを吐出させることができる。
【0150】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、天井面8aが、液柱LCの1/2以上の高さに形成されているので、液柱LCから効率良くミストを生成させることができ、十分な量のミストを生成することができる。
【0151】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、天井面8aに堰き止め部8c(
図21)が形成されているので、天井面8aに当たった水が天井面8aに沿ってミスト吐出通路10に流れるのを抑制することができ、ミスト吐出通路10から水滴が吐出されてしまうのを抑制することができる。
【0152】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、堰き止め部8cによって堰き止められた水をタンク12内に誘導する誘導壁部8d(
図25)が設けられているので、堰き止められた水がそのまま落下してミストを水滴に戻るのを抑制することができる。
【0153】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、各超音波振動子18の間に設けられた仕切り壁(
図24)により、堰き止め部によって堰き止められた水が超音波振動子の間に流下する。このため、堰き止め部8cによって堰き止められた水が、超音波振動子18の上方の液柱LCから発生するミストに悪影響を与えるのを防止することができる。
【0154】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、給水部9(
図24)がタンク12の水面Wよりも下方で、タンク12と連通しているので、給水部9から流入した水がタンク12の水面Wを波立たせ、液柱LCの形成を阻害するのを防止することができる。また、給水部9から流入する水の水流により、ミスト発生装置本体8内に気流が生じて、ミストの吐出が阻害されるのを防止することができる。
【0155】
さらに、本実施形態のミスト発生装置1によれば、排水部11(
図24)がタンク12の水面Wよりも下方で、タンク12と連通しているので、排水部11へ流出する水がタンク12の水面Wを波立たせ、液柱LCの形成を阻害するのを防止することができる。また、排水部11へ流出する水の水流により、ミスト発生装置本体8内に気流が生じて、ミストの吐出が阻害されるのを防止することができる。
【0156】
また、本実施形態のミスト発生装置1によれば、天井面8aの超音波振動子18の鉛直上方の部分が傾斜面にされているので(
図21)、生成されたミストをミスト吐出通路10に導くことができ、効率良くミスト吐出通路10からミストを吐出させることができる。
【0157】
次に、
図35乃至
図37Cを参照して、本発明の第2実施形態のミスト発生装置91を説明する。
本発明の第2実施形態のミスト発生装置91は、ミスト発生装置本体の内部構造が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図35は、本発明の第2実施形態のミスト発生装置91のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の側面断面図である。
図36は、本実施形態のミスト発生装置91のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の斜視断面図である。
【0158】
図35及び
図36に示すように、本発明の第2実施形態によるミスト発生装置91は、ミスト発生装置本体98と、ミスト吐出通路10と、を有する。ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体98の側面上部に取り付けられており、その構造は、第1実施形態と同様である。また、ミスト発生装置本体98内の下部は、水を貯留する貯水部であるタンク12として機能し、タンク12の底部に超音波振動子18が配置されている点も、第1実施形態と同様である。なお、本実施形態においても、超音波振動子18は、タンク12の底部に5つ設けられている。さらに、
図35に示すように、超音波振動子18を作動させることにより、各超音波振動子18の鉛直上方の、タンク12の水面W上には、夫々、液柱LCが形成され、液柱LCの上方には、液滴LDが形成される。
【0159】
また、本実施形態においては、ミスト発生装置本体98の内部に、各液柱LCの周囲を取り囲むように、周囲壁面98fが夫々設けられている。各周囲壁面98fは、概ね円筒状に形成されており、ミスト発生装置本体98の天井面98aよりも下方の所定の高さから、水面Wの下側まで延びている。また、各周囲壁面98fの、ミスト吐出通路10とは反対側の部分は切り欠かれており、この切欠部分は、吸気通路98eに連通している。即ち、吸気通路98eは、水面Wの上側において、円筒状の周囲壁面98fの内部と連通し、周囲壁面98fの内側は、その上端で、ミスト発生装置本体98の内部空間と連通している。
【0160】
本実施形態のミスト発生装置91においては、周囲壁面98fを備えることにより、周囲壁面98fの内側で液柱LCが形成されると、吸気通路98eから取り込まれた外気は、エジェクター効果により液柱LCと周囲壁面98fの間に引き込まれる。周囲壁面98fの中に引き込まれた空気は、液柱LCの周囲で生成されたミスト共に、ミスト発生装置本体98の内部空間を通ってミスト吐出通路10に流入する。ミスト吐出通路10に流入したミストは、下端のミスト吐出口10aから吐出される。このように、本実施形態のミスト発生装置91においては、エジェクター効果により、吸気通路98eから外気が引き込まれ、ファン等の送風手段を設けることなく、空気及びミストの流れが自然に形成される。
【0161】
なお、
図35に示すように、本実施形態においても、吸気高さSHは、溢れ高さOHよりも高く形成されているが、本実施形態のミスト発生装置91ではエジェクター効果を利用しているため、吸気高さSHは、溢れ高さOHよりも低く設定されていても良い。また、本実施形態においても、ミスト生成高さMHは、溢れ高さOHよりも高く形成されている
【0162】
図37A乃至
図37Cは、吸気高さSHと溢れ高さOHの関係を模式的に示す図である。
図37Aは、
図35に示した本実施形態と同様に、吸気高さSH1が溢れ高さOH1よりも高く形成されていると共に、エジェクター効果による気流によってもミストがミスト吐出通路10に送り出され、効率良くミストを吐出することができる。
【0163】
また、
図37Bに示す例では、吸気高さSH2が溢れ高さOH2よりも低く形成されているが、本実施形態においては、エジェクター効果により気流が形成されるため、ミストをミスト吐出通路10に送り出すことができる。しかしながら、比較例として、
図37Cに示すように、吸気高さSH3が溢れ高さOH3よりも高く形成されている場合でも、溢れ高さOH3がミスト生成高さMHよりも高く形成されている場合には、効率良くミストを吐出することができない。
【0164】
本発明の第2実施形態のミスト発生装置91によれば、周囲壁面98f(
図36)を設けることにより、エジェクター効果により液柱LCと周囲壁面98fの間に外気が引き込まれ、生成されたミストと共にミスト吐出通路10から流出する。このため、ミスト発生装置本体98内で生成される液柱LCの作用により、外気を吸気通路98eから取り込む流れを形成することができ、ミスト吐出通路10から効率良くミストを吐出させることができる。また、送風手段を設ける必要がないため、送風手段で生成された風により、ミスト滞留空間4内でのミストの滞留が妨げられるのを防止することができる。
【0165】
次に、
図38及び
図39を参照して、本発明の第3実施形態のミスト発生装置を説明する。
本発明の第3実施形態のミスト発生装置41は、ミスト発生装置本体の構造が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第3実施形態の、第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図38は、本発明の第3実施形態のミスト発生装置41のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の側面断面図である。
【0166】
図38に示すように、本発明の第3実施形態によるミスト発生装置41は、ミスト発生装置本体48と、ミスト吐出通路10と、を有する。ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体48の側面上部に取り付けられており、その構造は、第1実施形態と同様である。また、ミスト発生装置本体48内の下部は、水を貯留する貯水部であるタンク12として機能し、タンク12の底部に超音波振動子18が配置されている点も、第1実施形態と同様である。なお、本実施形態においても、超音波振動子18は、タンク12の底部に5つ設けられている。さらに、
図38に示すように、超音波振動子18を作動させることにより、各超音波振動子18の鉛直上方の、タンク12の水面W上には、夫々、液柱LCが形成され、液柱LCの上方には、液滴LDが形成される。
【0167】
一方、ミスト発生装置本体48の、ミスト吐出通路10の反対側は外気に向けて大きく開口しており、この開口が吸気通路48eとして機能する。ここで、上述した第1実施形態において、吸気通路8eは、鉛直方向に延び、上方に向けて開口した管状の通路であったのに対し、本実施形態においては、ミスト発生装置本体48の背面側に設けられた開口により吸気通路48eが構成されている。即ち、ミスト発生装置本体48の内部の空間は、吸気通路48eを構成する開口を介して外気と連通している。
【0168】
また、ミスト発生装置本体48上面の、超音波振動子18の鉛直上方の部分には、天井面48aが形成されている。この天井面48aは、ミスト発生装置本体48の、ミスト吐出通路10の側で高く、吸気通路48eの側で低くなるように傾斜している。即ち、天井面48aは、液柱LCが形成される超音波振動子18の鉛直上方の部分において傾斜するように構成されており、ミスト吐出通路10の近傍においては概ね水平に向けられている。この天井面48aの傾斜により、ミスト発生装置本体48内で生成されたミストが、ミスト吐出通路10の方へ導かれる。なお、本実施形態において、天井面48aの傾斜した部分は直線(平面)状に形成されているが、この傾斜面は曲線(曲面)状に形成されていても良い。
【0169】
ここで、本実施形態におけるミスト吐出通路10の構成は、第1実施形態と同様であるため、ミスト発生装置本体48の溢れ高さOHは、第1実施形態と同一である。一方、本実施形態において、吸気通路48eはミスト発生装置本体48背面の開口により構成されているため、この開口の下縁が吸気高さSHとなる。また、これらの溢れ高さOH及び吸気高さSHは、貯水部であるタンク12の水面Wよりも高く構成されると共に、水面Wの上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さMHよりも低く形成されている。
【0170】
従って、本実施形態においては、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHは、タンク12の水面Wよりも高く、且つ水面Wの上方でミストが生成可能な最高の高さであるミスト生成高さMHよりも低く形成される。さらに、吸気通路48eは、その吸気高さSHが、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHよりも低く構成されている。
【0171】
ここで、
図32の比較例により説明したように、吸気高さSHが溢れ高さOHよりも低い場合には、ミスト発生装置本体48内で生成されたミストを効率良くミスト吐出通路10から吐出できない場合がある。しかしながら、本実施形態においては、ミスト発生装置本体48の天井面48aの、超音波振動子18の鉛直上方の部分が傾斜面にされている。このため、吸気高さSHが溢れ高さOHよりも低く形成されていても、吸気通路48eから吸入された外気がミスト吐出通路10から流出する流れを形成することができる。この結果、ミスト発生装置本体48内で生成されたミストをミスト吐出通路10に効果的に導くことができる。
【0172】
図39は、本実施形態のミスト発生装置41及び比較例のミスト発生装置本体内におけるミストの流れを模式的に示した図である。即ち、
図39の左欄には、本実施形態のミスト発生装置41のミスト発生装置本体48内における外気及びミストの流れを示し、右欄には、比較例として、ミスト発生装置本体46の天井に傾斜面が設けられていない場合の流れを示している。
【0173】
図39の左欄に示すように、本実施形態のミスト発生装置41においては、ミスト発生装置本体48内で形成される液柱LCが傾斜した天井面48aの近傍まで延び、液柱LCから生成されたミストが、傾斜した天井面48aに沿うように流れる。この結果、生成されたミストがミスト吐出通路10の入口へ向かう流れが形成され、吸気通路48eの吸気高さSHが低い場合でも、ミストはミスト吐出通路10の方へ流れ、ミスト吐出通路10から吐出される。
【0174】
一方、
図39の右欄に示す比較例によるミスト発生装置本体46の天井に傾斜面が設けられていない場合には、ミスト発生装置本体内でミストの流れが形成されず、生成されたミストが、その場で漂うようになる。このため、ミスト発生装置本体内のミストが、溢れ高さOHよりも低い吸気高さSHを越えて、吸気通路からもミストが流出してしまう。この結果、ミスト吐出通路から吐出されるミストの量が少なくなる。
【0175】
本発明の第3実施形態のミスト発生装置41によれば、天井面48aの超音波振動子18の鉛直上方の部分が傾斜面にされているので、生成されたミストをミスト吐出通路10に導くことができ、効率良くミスト吐出通路からミストを吐出させることができる。この結果、吸気通路48eの吸気高さSHが、ミスト吐出通路10の溢れ高さOHよりも低い場合でも、ミスト吐出通路10から吐出されるミストの流れを形成することができる。このため、吸気通路48eの設計の自由度を広げることができる。
【0176】
次に、
図40及び
図41を参照して、本発明の第4実施形態のミスト発生装置を説明する。
本発明の第4実施形態のミスト発生装置51は、ミスト発生装置本体の構造が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本発明の第4実施形態の、第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。
図40は、本発明の第4実施形態のミスト発生装置51のミスト発生装置本体及びミスト吐出通路の斜視断面図である。
【0177】
図40に示すように、本発明の第4実施形態によるミスト発生装置51は、ミスト発生装置本体58と、ミスト吐出通路10と、を有する。ミスト吐出通路10は、ミスト発生装置本体58の側面上部に取り付けられており、その構造は、第1実施形態と同様である。また、ミスト発生装置本体58内の下部は、水を貯留する貯水部であるタンク12として機能し、タンク12の底部に超音波振動子18が配置されている点も、第1実施形態と同様である。なお、本実施形態においても、超音波振動子18は、タンク12の底部に5つ設けられている。さらに、
図40に示すように、超音波振動子18を作動させることにより、各超音波振動子18の鉛直上方の、タンク12の水面W上には、夫々、液柱LCが形成され、液柱LCの上方には、液滴LDが形成される。
【0178】
一方、ミスト吐出通路10とは反対側の、ミスト発生装置本体58の上端には、吸気通路58eが設けられている。即ち、ミスト発生装置本体58の上面視において、吸気通路58eは、超音波振動子18に対して、ミスト吐出通路10の反対側に設けられている。この吸気通路58eは、ミスト発生装置本体58の上面に形成され、鉛直上方に向けて開口している。即ち、ミスト発生装置本体58の内部の空間は、吸気通路58eを介して外気と連通している。また、ミスト発生装置本体58の上面には吸気通路58eが設けられているが、超音波振動子18の鉛直上方の部分には、天井面58aが形成されている。
【0179】
この天井面58aは、ミスト吐出通路10の近傍においては概ね水平に向けられ、液柱LCが形成される超音波振動子18の鉛直上方の部分においては傾斜面56にされている。即ち、傾斜面56は、ミスト発生装置本体58の、ミスト吐出通路10の側で高く、吸気通路58eの側で低くなるように傾斜している。なお、本実施形態において、天井面58aの傾斜面56は直線(平面)状に形成されているが、この傾斜面56は曲線(曲面)状に形成されていても良い。さらに、傾斜面56の下端から鉛直下方に延びるように通気壁部57が設けられており、この通気壁部57は、超音波振動子18の鉛直上方の空間と吸気通路58e内の空間を区切っている。即ち、ミスト発生装置本体58の吸気通路58eが、通気壁部57により下方に向けて延長され、ミスト発生装置本体58内で生成されたミストが、傾斜面56及び通気壁部57により、ミスト吐出通路10の方へ導かれる。
【0180】
また、通気壁部57には、ミスト発生装置本体58内の超音波振動子18の鉛直上方の空間と吸気通路58e内の空間を連通させる複数の通気孔57aが形成されている。これらの各通気孔57aは水平方向に細長い長方形状のスリットとして構成されていると共に、各通気孔57aの内壁面は、吸気通路58eの側が低くなるように傾斜している(
図41参照)。なお、本実施形態において、ミスト発生装置本体58の天井面58a、傾斜面56、及び通気壁部57は、一体に成形されているが、これらを適宜別の部材として構成することもできる。
【0181】
次に、
図41を参照して、本実施形態によるミスト発生装置51の作用を説明する。
図41は、ミスト発生装置本体58内で発生したミストの流れを模式的に示すものであり、左欄はタンク12内の水位が適正な場合のミストの流れを示し、右欄はタンク12内の水位が低い場合のミストの流れを示す。
【0182】
図41の左欄に示すように、タンク12内の水面Wの高さが適正な場合には、超音波振動子18を作動させると十分な高さの液柱LCが形成され、液柱LCは通気壁部57の近傍まで立ち上る。この状態では、通気壁部57の近傍に立ち上がる液柱LCによる水の流れによりエジェクター効果が発生し、吸気通路58e内の空気が吸気通路58eを通ってミスト発生装置本体58内に引き込まれる。このようにしてミスト発生装置本体58内に引き込まれた空気により、吸気通路58eからミスト吐出通路10へ向かう空気の流れが形成され、この流れに乗って、ミスト発生装置本体58内で生成されたミストがミスト吐出通路10から吐出される。
【0183】
一方、
図41の右欄に示すように、タンク12内の水面Wが低下した状態では、超音波振動子18の作動により形成される液柱LCが低く、液柱LCは通気壁部57の下端よりも低くなる。この状態では、エジェクター効果は発生せず、吸気通路58e内の空気は、主として、通気壁部57の下側を回り込んでミスト発生装置本体58内に流入する。このようにしてミスト発生装置本体58内に流入した空気により、吸気通路58eからミスト吐出通路10へ向かう空気の流れが形成され、この流れに乗ってミストが吐出される。ここで、吸気通路58e内の空気は通気壁部57の下側を回り込んで流入するため、ミスト発生装置本体58内の低い部分で生成されたミストも空気の流れに乗り、効率良くミスト吐出通路10から吐出させることができる。なお、傾斜面56の下側に通気壁部57が設けられていない場合には、吸気通路58e内の空気は、主として、高さが低下した液柱LCの上方を通ってミスト吐出通路10へ流れることとなり、発生したミストを効率良くミスト吐出通路10から吐出させることができない。
【0184】
本発明の第4実施形態のミスト発生装置51によれば、傾斜面56の下端から通気壁部57が延びているので、タンク12内の水位が低下して、液柱LCの高さが低くなった場合でも、通気壁部57の下端を回り込んだ吸気により、ミスト発生装置本体58内で発生したミストを、ミスト吐出通路10から効率良く吐出させることができる(
図41の右欄)。一方、タンク12内の水位が適正水位であり、十分な高さの液柱LCが形成されている場合には、通気壁部57の近傍に形成された液柱LCにより、通気壁部57の通気孔57aを介して吸気通路58eから外気が取り込まれ(
図41の左欄)、ミスト吐出通路10からミストを効率良く吐出させることができる。
【0185】
次に、
図42により、本発明の第5実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。本実施形態は、ミスト発生装置を適用する水回り機器が、浴室の洗い場床である点が、上述した第1実施形態とは異なる。
図42は本発明の第5実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【0186】
図42に示すように、本発明の第5実施形態によるミスト発生装置1を備えたミスト発生システム102は、浴室3に設けられる。ミスト発生システム102には、水の供給を行う供給装置107が設けられている。ミスト発生システム102は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間104を形成する洗い場床本体106を備えている。
【0187】
洗い場床本体106は、ミスト発生システム102が使用される室内空間5に向けて上方が開放されたミスト滞留空間104を形成する。洗い場床本体106は、浴室の壁面、浴槽本体の外壁、浴室のドア等により形成され、内側のミスト滞留空間104内に水が流れることができるようになっている。このような構造により、洗い場床本体106は、ミストがミスト滞留空間104内に滞留されるようになっている。滞留空間104は、例えば洗い場床本体106の壁を規定するような浴槽本体6の上端部まで形成されている。
【0188】
ミスト発生装置1は、ミスト発生システム102に用いられる。ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間104に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のミスト発生システム102が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストが洗い場床本体106のミスト滞留空間104内に滞留されるように構成される。
図42において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0189】
このように構成された本発明の第5実施形態によれば、加熱されたミストが洗い場床本体106のミスト滞留空間104内に滞留される。例えば、加熱されたミストにより洗い場床本体106を温めて洗い場床やミスト滞留空間104を暖房できる。また、加熱されたミストにより、使用者がミスト滞留空間104においてミスト浴をすることもできる。また例えば、加熱されたミストにより、洗い場床本体106を温めるとともに洗い場床本体106に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくすることができる。
【0190】
次に、
図43により、本発明の第6実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。本実施形態のミスト発生システムは、ミスト発生装置を適用する水回り機器がシャワールームである点が、上述した実施形態とは異なる。
図43は本発明の第6実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【0191】
第6実施形態によるミスト発生システムは、
図43に示すように、本発明の第6実施形態によるミスト発生装置1を、水回り機器であるシャワールーム203に適用している。シャワールーム203は、上面視で一辺が0.8m~2m程度の長方形の領域に、半円径の領域が追加された形状に形成され、比較的狭いスペースの室内を形成する。シャワールーム203に設けられたシャワールーム装置202には、水の供給を行う供給装置207が設けられている。シャワールーム装置202は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間204を形成するシャワールーム本体206を備えている。シャワールーム203は、供給装置207のみが配置される部屋に限られず、トイレ、手洗い機器、洗面台、又はこれらの組合せを備えていてもよい。
【0192】
シャワールーム本体206は、シャワールーム装置202が使用される室内空間205に向けて上方が開放されたミスト滞留空間204を形成する。シャワールーム本体206は、シャワールームの壁面、シャワールームのドア等により形成され、内側のミスト滞留空間204内に水が流れることができるようになっている。このような構造により、シャワールーム本体206は、ミストがミスト滞留空間204内に滞留されるようになっている。なお、本実施形態によれば、シャワールーム203の室内空間205とミスト滞留空間204との境が構造により明確に区画されていなくても、ミスト滞留空間204が規定できることを示している。室内空間205とミスト滞留空間204との境は、ミスト発生装置1のミスト供給能力を考慮して異なる位置に設定される。ミスト滞留空間204は、ミスト発生装置1のミスト供給能力を考慮してミストを溜めようとする空間として任意に設定できる。このようなミスト滞留空間204は、室内空間205に向けて上方が開放された滞留空間である。なお、本実施形態に限られず、室内空間205とミスト滞留空間204との境が構造により明確に区画されていなくても、ミスト滞留空間204は、同様の趣旨により設定可能である。滞留空間204は、例えば座っている使用者の顔程度の高さ(或いは例えばシャワールームの内部空間の全体の高さのうち3分の1程度の高さ)まで形成されている。
【0193】
ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間204に供給されたミストの温度とミストの供給開始前のシャワールームの温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストがシャワールーム本体206のミスト滞留空間204内に滞留されるように構成される。
図43において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0194】
このように構成された第6実施形態の構造によれば、加熱されたミストがシャワールーム本体206のミスト滞留空間204内に滞留される。例えば、加熱されたミストによりシャワールーム本体206を温めてシャワールームの床やミスト滞留空間204を暖房できる。また、加熱されたミストにより、使用者がミスト滞留空間204においてミスト浴をすることもできる。また、加熱されたミストが比較的高い位置まで滞留されることにより、使用者がミスト滞留空間204内において内部の椅子208に座った状態や立った状態でもミスト浴をできる。また例えば、加熱されたミストにより、シャワールーム本体206を温めるとともにシャワールーム本体206に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0195】
次に、
図44により、本発明の第7実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。第7実施形態は、本発明によるミスト発生装置を水回り機器である洗面装置に適用した点が、上述した実施形態とは異なる。
図44は本発明の第7実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムの斜視図である。
【0196】
図44に示すように、本発明の第7実施形態によるミスト発生装置1を適用した水回り機器である洗面装置302は、洗面室303のカウンター等に設けられる。洗面装置302には、水の供給を行う供給装置307が設けられている。洗面装置302は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間304を形成する洗面本体306を備えている。
【0197】
洗面本体306は、洗面装置302が使用される室内空間305に向けて上方が開放されたミスト滞留空間304を形成する。洗面本体306は、内側のミスト滞留空間304内に水が貯水できるようになっている。このような構造により、洗面本体306は、ミストがミスト滞留空間304内に滞留されるようになっている。滞留空間304は、例えば、洗面本体306の上端部まで形成される。
【0198】
ミスト発生装置1は、洗面装置302に用いられる。ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間304に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の洗面装置302が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストが洗面本体306のミスト滞留空間304内に滞留されるように構成される。
図44において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0199】
このように構成された第7実施形態の構造によれば、加熱されたミストが洗面本体306のミスト滞留空間304内に滞留される。例えば、加熱されたミストを洗面本体306のミスト滞留空間304内に滞留させ、使用者が顔又は手、足等の体の一部をミストに当てることにより、保湿、洗浄性能の向上、温浴、美容効果等を得られる。また、加熱されたミストにより、使用者がミスト滞留空間304において体の一部のミスト浴をすることもできる。また例えば、加熱されたミストにより、洗面本体306を温めるとともに洗面本体306内のミスト滞留空間304内に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0200】
次に、
図45により、本発明の第8実施形態によるミスト発生装置を備えたミスト発生システムを説明する。第8実施形態は、本発明によるミスト発生装置を水回り機器であるキッチンシンク装置に適用した点が上述した実施形態とは異なっている。
図45は本発明の第8実施形態によるミスト発生装置を適用したキッチンシンク装置の斜視図である。
【0201】
図45に示すように、本発明の第8実施形態によるミスト発生装置1を適用した水回り機器であるキッチンシンク装置402は、キッチン403に設けられる。キッチンシンク装置402には、水の供給を行う供給装置407が設けられている。キッチンシンク装置402は、さらに、ミスト発生装置1から供給されるミストを受け入れるミスト滞留空間404を形成するキッチンシンク本体406を備えている。滞留空間404は、例えば、キッチンシンク本体406の上端部まで形成される。
【0202】
キッチンシンク本体406は、キッチンシンク装置402が使用される室内空間405に向けて上方が開放されたミスト滞留空間404を形成する。キッチンシンク本体406は、内側のミスト滞留空間404内に水が貯水できるようになっている。このような構造により、キッチンシンク本体406は、ミストがミスト滞留空間404内に滞留されるようになっている。
【0203】
ミスト発生装置1は、ミスト滞留空間404に供給されたミストの温度とミストの供給開始前の水回り機器が使用される室内の温度との温度差が、0℃以上とされ、供給されたミストがキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留されるように構成される。
図45において上面に滞留境界面66を形成するようなミストの滞留層Cを例示している。
【0204】
このように構成された第8実施形態の構造によれば、加熱されたミストがキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留される。例えば、加熱されたミストをキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留させ、食器類、洗いたい機器等をミストに当てることにより、洗いたい対象物を温め、付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄することができる。また、加熱されたミストを洗いたい対象物に当てることで、洗浄に至らないまでも、汚れを落ちやすくできる。また、加熱されたミストをキッチンシンク本体406のミスト滞留空間404内に滞留させ、キッチンシンク本体406内の使用者の手指を温めながら、使用者が作業できる。また例えば、加熱されたミストにより、キッチンシンク本体406を温めるとともにキッチンシンク本体406内のミスト滞留空間404内に付着した汚れを比較的高い洗浄性能で洗浄又は汚れを落としやすくできる。
【0205】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0206】
1 ミスト発生装置
2 浴槽装置
3 浴室
4 ミスト滞留空間
5 室内空間
6 浴槽本体
6a 上端部
6d 長辺側部分
6e 短辺側部分
6f 排水パン
8 ミスト発生装置本体
8a 天井面
8b 仕切り壁
8c 堰き止め部
8d 誘導壁部
8e 吸気通路
9 給水部
9a 給水路接続部
9b 給水室
9c 連通路
10 ミスト吐出通路
10a ミスト吐出口
11 排水部
11a 排水路接続部
11b 排水室
11c 溢流部
12 タンク(貯水部)
12a 凹部
14 給水路
16 排水路
18 超音波振動子
20 ヒーター
22 水温計測器
24 室内温度計測器
26 制御部
28 操作部
30 給水路開閉弁
32 排水路開閉弁
41 ミスト発生装置
46 比較例によるミスト発生装置本体
48 ミスト発生装置本体
48a 天井面
48e 吸気通路
51 ミスト発生装置
56 傾斜面
57 通気壁部
57a 通気孔
58 ミスト発生装置本体
58a 天井面
58e 吸気通路
91 ミスト発生装置
98 ミスト発生装置本体
98a 天井面
98e 吸気通路
98f 周囲壁面
102 ミスト発生システム
203 シャワールーム
302 洗面装置
402 キッチンシンク装置