(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051777
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】レーダーデータ送受信装置、測距方法およびレーザーレーダー
(51)【国際特許分類】
G01S 7/483 20060101AFI20230404BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20230404BHJP
G01S 7/28 20060101ALI20230404BHJP
G01S 13/10 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G01S7/483
G01S17/10
G01S7/28
G01S13/10
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142640
(22)【出願日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】202111163725.9
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518372316
【氏名又は名称】深セン市速騰聚創科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 昌盛
(72)【発明者】
【氏名】杜 亜軍
【テーマコード(参考)】
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AC02
5J070AH19
5J070AK22
5J084AA05
5J084AD01
5J084CA03
5J084CA18
5J084CA32
5J084CA49
5J084CA64
5J084CA68
5J084EA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーダーの製造コストを効果的に削減し、レーダーの消費電力を低減できる、レーダーデータ送受信装置、測距方法およびレーザーレーダーを提供する。
【解決手段】レーダーデータ送受信装置は、同期信号を生成して同期信号をそれぞれ送信モジュールと受信モジュールに発送するための同期モジュール、および同期モジュールに接続され、プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行って送信信号を生成してからこの送信信号を発送するための送信モジュール、および同期モジュールに接続され、反射信号を受信して反射信号と同期信号からヒストグラムを生成し、n回の測定で得られたヒストグラムを重ね合わせてエコー信号を生成するための受信モジュールを備える。同期信号の微細ジッタリングを行い複数回送信される送信信号に一定の時間差を持たせ、受信された複数回の反射信号に対応するヒストグラムを重ね合わせ測距精度を向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダーデータ送受信装置であって、
同期信号を生成して同期信号をそれぞれ送信モジュールと受信モジュールに発送するための同期モジュール、および
前記同期モジュールに接続され、プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行って送信信号を生成してから前記送信信号を発送するための送信モジュール、および
前記同期モジュールに接続され、反射信号を受信して前記反射信号と同期信号からヒストグラムを生成し、n回の測定で得られたヒストグラムを重ね合わせてエコー信号を生成するための受信モジュールを備え、
ここで、nは2以上の整数であることを特徴とするレーダーデータ送受信装置。
【請求項2】
前記送信モジュールは、
プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行い、送信パルス信号を生成するための送信微細ジッタリングコンポーネント、および
前記送信微細ジッタリングコンポーネントに接続され、送信パルス信号を駆動して電気信号を生成し、電気信号をレーザー送信機に出力するための駆動回路、および
前記駆動回路に接続され、電気信号に基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信するためのレーザー送信機を備えることを特徴とする、請求項1に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項3】
前記送信微細ジッタリングコンポーネントは、
同期信号のディレイを行い、送信パルス信号を生成するためのタイムディレイモジュール、および
前記タイムディレイモジュールに接続され、プリセットディレイポリシーを確定するためのディレイポリシー選択モジュールを備えることを特徴とする、請求項2に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項4】
前記タイムディレイモジュールは、nセグメントのPCB配線とスイッチ選択部品を備えることを特徴とする、請求項3に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項5】
前記タイムディレイモジュールは、入力ピン、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、キャリーチェーンモジュール、出力ディレイユニット、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備えることを特徴とする、請求項3に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項6】
前記タイムディレイモジュールは、遅延分解能モジュール、キャリーチェーンモジュール、出力ディレイユニット、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備えることを特徴とする、請求項3に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項7】
前記タイムディレイモジュールは、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、出力ディレイユニット、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備えることを特徴とする、請求項3に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項8】
前記タイムディレイモジュールは、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、キャリーチェーンモジュール、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備えることを特徴とする、請求項3に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項9】
前記受信モジュールは、
受信した反射信号を電気信号に変換するための光電変換器、および
前記光電変換器に接続され、電気信号の拡大処理、電流信号から電圧信号への変換処理およびフィルタリング処理を行ってから、TDC採集コンポーネントに出力するための調整回路、および
調整回路に接続され、調整回路によって処理された信号および同期信号によって反射信号に対応するヒストグラムを生成するためのTDC採集コンポーネント、および
TDC採集コンポーネントに接続され、TDC採集コンポーネントのn回の出力したヒストグラムを重ね合わせ、重ね合わせたヒストグラムを取得してからそれに基づいて対応するエコー信号を確定するためのデータ処理コンポーネントを備えることを特徴とする、請求項1に記載されるレーザーデータ送受信装置。
【請求項10】
測距方法であって、
反射信号を受信すること、並びに前記反射信号はプリセットディレイポリシーに基づいて送信された送信信号が目標物に届いた後の反射信号であること、並びに
同期信号と反射信号によってヒストグラムを生成すること、並びに
n回の測定で取得したヒストグラムを重ね合わせ、重ね合わせたヒストグラムを得ること、並びにここでnは2以上の整数であること、並びに
重ね合わせたヒストグラムに基づいて復調を行い、重ね合わせたヒストグラムに対応するエコー信号を得ること、並びに
前記エコー信号に基づく距離測定・計算を含むことを特徴とする、請求項1-9のいずれか1項に記載されるレーザーデータ送受信装置に適用する測距方法。
【請求項11】
レーザーレーダーであって、請求項1-9のいずれか1項に記載されるレーダーデータ送受信装置を備えることを特徴とするレーザーレーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、レーダー技術分野に関し、特にレーダーデータ送受信装置、測距方法およびレーザーレーダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザーレーダーは、高解像度、高感度、耐干渉性、暗さに影響されないなどの利点から、自動運転、物流車両、ロボット、公共知能交通などの分野でよく利用されている。
【0003】
レーザーレーダーは、通常、単一光子アバランシェダイオード (single photon avalanche diode,SPAD) で構成された受信モジュールを使用してエコー信号を受信する。SPAD を使用すると、測距精度はタイムデジタルコンバーター (time-to-digital converter,TDC) のサンプリング精度によって制限される。TDCのサンプリング頻度が1GHz(つまりサンプリング間隔が1ns)の場合、測距精度は約15cm(測距精度=C*1ns/2、ここでCは光速)となる。この測距精度は、多くの応用シーンにおけるニーズを満たすことができない。
【0004】
レーザーレーダーの測距精度を向上させるには、TDCのサンプリング頻度を上げることができるが、TDCのサンプリング頻度を高くするほど、受信モジュール(チップに内蔵できる)の発熱も増加し、消費電力が増えるとともに、チップの信頼性と安定性に対する要求も高くなるし、サンプリング頻度の高いTDCは、製造コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、レーダーデータ送受信装置、測距方法及レーザーレーダーを提供しており、TDCのサンプリング頻度を上げることなく測距精度を向上させている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願の実施例は、レーダーデータ送受信装置を提供しており、
同期信号を生成して同期信号をそれぞれ送信モジュールと受信モジュールに発送するための同期モジュール、および
【0007】
前記同期モジュールに接続され、プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行って送信信号を生成してから前記送信信号を発送するための送信モジュール、および
【0008】
前記同期モジュールに接続され、反射信号を受信して前記反射信号と同期信号からヒストグラムを生成し、n回の測定で得られたヒストグラムを重ね合わせてエコー信号を生成するための受信モジュールを備え、
ここで、nは2以上の整数である。
第1の態様の実施形態では、前記送信モジュールは、
プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行い、送信パルス信号を生成するための送信微細ジッタリングコンポーネント、および
【0009】
前記送信微細ジッタリングコンポーネントに接続され、送信パルス信号を駆動して電気信号を生成し、電気信号をレーザー送信機に出力するための駆動回路、および
前記駆動回路に接続され、電気信号に基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信するためのレーザー送信機を備える。
第1の態様の実施形態では、前記送信微細ジッタリングコンポーネントは、
同期信号のディレイを行い、送信パルス信号を生成するためのタイムディレイモジュール、および
前記タイムディレイモジュールに接続され、プリセットディレイポリシーを確定するためのディレイポリシー選択モジュールを備える。
第1の態様の実施形態では、前記タイムディレイモジュールは、nセグメントのPCB配線和スイッチ選択部品を備える。
【0010】
第1の態様の実施形態では、前記タイムディレイモジュールは、入力ピン、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、キャリーチェーンモジュール、出力ディレイユニット、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備える。
【0011】
第1の態様の実施形態では、前記タイムディレイモジュールは、入力ピン、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、キャリーチェーンモジュール、出力ディレイユニット、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備える。
【0012】
第1の態様の実施形態では、前記タイムディレイモジュールは、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、出力ディレイユニット、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備える。
【0013】
第1の態様の実施形態では、前記タイムディレイモジュールは、入力ディレイユニット、遅延分解能モジュール、キャリーチェーンモジュール、出力ピンおよびディレイマッピング割り当て表を備える。
第1の態様の実施形態では、前記受信モジュールは、
受信した反射信号を電気信号に変換するための光電変換器、および
【0014】
前記光電変換器に接続され、電気信号の拡大処理、電流信号から電圧信号への変換処理およびフィルタリング処理をおこなってから、TDC採集コンポーネントに出力するための調整回路、および
調整回路に接続され、調整回路で処理された信号と同期信号によって反射信号に対応するヒストグラムを生成するためのTDC採集コンポーネント、および
【0015】
TDC採集コンポーネントに接続され、TDC採集コンポーネントのn回の出力したヒストグラムを重ね合わせ、重ね合わせたヒストグラムを取得し、重ね合わせたヒストグラムに基づいて対応するエコー信号を確定するためのデータ処理コンポーネントを備える。
【0016】
第2の態様では、本願の実施例は、第1の態様に記載のレーダーデータ送受信装置に適用される測距方法を提供しており、前記測距方法は、
反射信号を受信すること、並びに前記反射信号はプリセットディレイポリシーに基づいて送信された送信信号が目標物に届いた後の反射信号であること、並びに
同期信号と反射信号によってヒストグラムを生成すること、並びに
【0017】
n回の測定で取得したヒストグラムを重ね合わせ、重ね合わせたヒストグラムを得ること、並びにここでnは2以上の整数であること、並びに
重ね合わせたヒストグラムに基づいて復調を行い、重ね合わせたヒストグラムに対応するエコー信号を得ること、並びに
前記エコー信号に基づく距離測定・計算を含む。
第3の態様では、本願の実施例はレーザーレーダーを提供し、前記レーザーレーダーは第1の態様に記載のレーダーデータ送受信装置を備えている。
本願の実施例は、既存の技術と比較すると、以下のような有益な効果を有する。
【0018】
本願によって提供されるレーダーデータ送受信装置、測距方法およびレーザーレーダーは、同期信号の微細ジッタリングを行うことで複数回送信される送信信号に一定の時間差を持たせ、受信された複数回の反射信号に対応するヒストグラムを重ね合わせることで測距精度を向上させるので、TDCのサンプリング頻度を上げることなく測距精度を向上させることにより、レーダーの製造コストを効果的に削減し、レーダーの消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施例における技術的解決策をより明確に説明するために、以下は、実施例または既存技術の説明に必要な添付図面を簡単に説明する。以下に説明される図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては、何の創造的努力なしにこれらの図面に基づいてほかの図面を得ることができることは明らかである。
【
図1】は、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置の構造を示す図である。
【
図2】は、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置のエコー信号確定を示す図である。
【
図3】は、既存のヒストグラムを重ね合わせる図である。
【
図4】は、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置によってヒストグラムを重ね合わせて得られた信号を示す図である。
【
図5】は、本願の実施例によって提供されるもう一つのレーダーデータ送受信装置の構造を示す図である。
【
図6】は、本願の実施例によって提供される送信微細ジッタリングコンポーネントの構造を示す図である。
【
図7】は、本願の実施例によって提供されるタイムディレイモジュールの構造を示す図である。
【
図8】は、本願の実施例によって提供されるもう一つのタイムディレイモジュールの構造を示す図である。
【
図9】は、本願の実施例によって提供されるキャリーチェーンモジュールの構造を示す図である。
【
図10A】は、本願の実施例によって提供されるトリミングされたタイムディレイモジュールの構造を示す図である。
【
図10B】は、本願の実施例によって提供されるもう一つのトリミングされたタイムディレイモジュールの構造を示す図である。
【
図10C】は、本願の実施例によって提供されるまたもう一つのトリミングされたタイムディレイモジュールの構造を示す図である。
【
図11】は、本願の実施例によって提供されるカスケード接続のタイムディレイモジュールの構造を示す図である。
【
図12】は、本願の実施例における同期信号と送信パルス信号のタイムディレイを示す図である。
【
図13】は、本願の実施例によって提供されるデータ処理コンポーネントの構造を示す図である。
【
図14】は、本願の実施例によって提供されるヒストグラム重ね合わせユニットの動作原理を示す図である。
【
図15】は、本願の実施例によって提供されるもう一つのデータ処理コンポーネントの構造を示す図である。
【
図16】は、本願の実施例によって提供される測距方法の実施プロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明においては、示されている特定のシステム構造、技術などの具体的な詳細は、本願の実施形態を十分に理解するために、例示の目的で示されるものであり、限定されるものではない。しかしながら、本願の他の実施形態は、これらの具体的な詳細を採用しない他の実施形態でも本願を実現できることは、当業者にとって明らかであるはずである。その他の場合においては、不要な詳細が本願の説明を妨げないように、周知のシステム、装置、回路や方法の詳細な説明を省略する。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「および/または」という用語は、それに関連して列挙された項目の1つか複数の任意の組み合わせおよび全ての可能な組み合わせを意味し、それらの組み合わせを含むことが理解されたい。さらに、本明細書及び添付の特許請求の範囲の記載では、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を明示したり暗示したりするものと解釈されるべきではない。
【0022】
また、本願の明細書に記載される「一つの実施例」または「いくつかの実施例」などへの言及はは、本願の1つまたは複数の実施例が、その実施例に関連して説明される特定の特徴、構造または特性を含むことを意味すると理解されるべきである。そのため、本明細書の各箇所における「一つの実施例では」、「いくつかの実施例では」、「他の実施例では」、「もう一つの実施例では」などの言葉は、必ずしもすべてが同じ実施例を指すとは限らないが、特に強調されない限り、「1つまたは複数の実施例であるが、すべての実施例ではない」ことを意味する。 「含む」、「含む」、「持つ」という用語やそれらの変形は、特に強調されない限り、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する。
【0023】
レーザーレーダーは、レーザーを発光光源として使用し、光電検出技術を用いて検出を行う自動リモートセンシング装置である。レーザーレーダーは、送信ユニット、受信ユニット、スキャンコントロールシステムやデータ処理システムなどを含んでよい。レーザーレーダーの動作原理は、検出信号を目標物に送信し、検出信号が目標物に当たった後、目標物は検出信号を反射してエコー信号を形成し、受信ユニットはエコー信号を受信してから受信したエコー信号を処理することにより、目標物の距離、大きさ、速度、反射率などの情報を取得するものである。
【0024】
図1をご参照ください。
図1は、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置の構造を示す図である。前記レーダーデータ送受信装置はレーザーレーダーに設置可能である。
図1に示すように、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置は、同期モジュール110、送信モジュール120および受信モジュール130を備えて良い。
前記同期モジュール110は、同期信号を生成し、同期信号をそれぞれ送信モジュール120と受信モジュール130に送信するためのものである。
【0025】
前記送信モジュール120は、同期モジュール110に接続され、プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行い、送信信号を生成し、前記送信信号を送信するためのものである。
【0026】
前記受信モジュール130は、反射信号を受信し、反射信号と同期信号によってヒストグラムを生成し、n回の測定で得られたヒストグラムを重ね合わせてエコー信号を生成するためのものである。
【0027】
本願の実施例では、前記同期信号は、同期クロックによって生成される同期クロックパルス信号であってもよく、測定周期に達すると、同期クロックは前記同期信号を生成し、その同期信号をそれぞれ送信モジュール120と受信モジュール130に送信する。
【0028】
送信モジュール120が送信する送信信号は、同期信号に基づいて生成されるものであり、具体的には、送信モジュール120は、同期クロックパルス信号に基づいて送信パルス信号を生成し、送信パルス信号をレーザー信号に変換してからレーザー送信機で送信する。
【0029】
前記測定周期は、レーダーデータ送受信装置にプリセットされた送信周期を指す。つまり、測定周期が到来するたびに、レーダーデータ送受信装置はレーダー信号を送信することで目標物を検出する。前記測定周期は実際の応用ニーズに応じて設定でき、本願ではこれを制限しない。
【0030】
本願の実施例では、レーダーデータ送受信装置は、特定の目標物の位置を測定するために、連続してn回の送信信号を送信し、次にn回の反射信号を受信し、n回の受信したヒストグラムを重ね合わせることで、対応するエコー信号を取得し、エコー信号に基づいて距離測定・計算を行うことができる。なお、n回の受信したヒストグラムを重ね合わせるプロセスについては、受信モジュールの詳細な説明を参照することができるので、ここでは重複を避けるために省略する。また、送信信号が連続してn回送信される前に、プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行い、各測定周期に対応する送信信号を得ることに留意されたい。ここで、nは2以上の整数である。
本願の実施例では、前記送信信号と前記同期信号との間にはディレイがある。ディレイの長さは、プリセットディレイポリシーに従って確定できる。
【0031】
前記プリセットディレイポリシーは、第1の測定周期で 1 つのディレイ単位の持続時間を遅延させ、第2の測定周期で2つのディレイ単位の持続時間を遅延させ、第3目の測定周期で3つのディレイ単位の持続時間を遅延させる、といったように類推すると、第nの測定周期では、n単位のディレイ時間を遅延させるわけである。前記のディレイ単位は、実際の応用ニーズに基づいて設定されたジッタ持続時間であり、実際の応用状況に従って設定することができ、本願ではこれを制限しないことに留意されたい。
前記プリセットディレイポリシーは、測定周期ごとに1つのディレイ単位の持続時間を遅延させてもよい。
【0032】
また、前記プリセットディレイポリシーは、最初のm個の測定周期で1つのディレイ単位の持続時間を遅延させ、次のn-m個の測定周期でn個のディレイ単位を遅延させるものであってよい。
【0033】
前記プリセットディレイポリシーは他のポリシーであってもよい。言い換えると、前記プリセットディレイポリシーは、送信される送信信号が微細ジッタリングの要求を満たすように、測定精度の要求に応じて設定できることが理解されたい。
【0034】
本願の実施例では、前記受信モジュール130が受信する反射信号は、送信モジュール120が送信した送信信号が目標物に届いた後に反射して戻ってきた光信号である。受信モジュール130が前記光信号を受信した後、それを電気信号に変換する必要があり、その後、受信モジュール130のTDC採集コンポーネントを介してこの反射信号に対応するヒストグラムを取得する。次に、n回の受信したヒストグラムを重ね合わせることで重ね合わせたヒストグラムを得る。
【0035】
重ね合わせたヒストグラムを復調することにより、対応するエコー信号が得られる。具体的には、閾値を設定することができる。ヒストグラムが設定された閾値を超えることを検出した場合は、エコー信号が識別されたと判断する。例としては、
図2に示すように、重ね合わせたヒストグラムが閾値を超えた場合は、エコー信号が検出されたと判断するので、
図2では2つのエコー信号(即ち、図中の第1のエコー信号と第2のエコー信号)が検出されたことになる。なお、前記閾値は経験値に基づいて決定することができ、異なる精度要求に応じて異なる閾値を設定することが可能であり、本願ではこれを制限しないことに留意されたい。
【0036】
本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置の役割をより具体的に表すために、
図3は、微細ジッタリングを行わずヒストグラムを重ね合わせること(すなわち、既存技術)を示す図であり、
図4は、本願の実施例におけるレーダーデータ送受信装置により測距して重ね合わせた後のヒストグラムを示す図である。
【0037】
図3および
図4からわかるように、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置により、送信信号がジッタリング(ディレイ)されるため、重ね合わせたヒストグラムがより多くの目標物の距離情報を反映して測定精度を上げることができる。つまり、TDCの動作頻度を上げることなくにレーダー測距の精度を効果的に向上させ、製造コストを効果的に削減し、消費電力を低減することができる。
【0038】
図5をご参照ください。
図5は、本願の実施例によって提供されるもう一つのレーダーデータ送受信装置の構造を示す図である。
図5に示すように、前記送信モジュール120は、送信微細ジッタリングコンポーネント121、駆動回路122およびレーザー送信機123を含んでよい。
【0039】
前記送信微細ジッタリングコンポーネント121は、プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行い、送信パルス信号を生成するためのものである。
【0040】
前記駆動回路122は、前記送信微細ジッタリングコンポーネント121に接続され、送信パルス信号を駆動して電気信号を生成し、電気信号をレーザー送信機123に出力するためのものである。
前記レーザー送信機123は、前記駆動回路122に接続され、電気信号に基づいて送信信号を生成し、前記送信信号を送信するためのものである。
ここで、前記送信信号はレーザー信号である。
【0041】
前記送信微細ジッタリングとは、実際に送信される送信パルスと同期パルスとの間の小さなジッタを指す。前記送信微細ジッタリングコンポーネント121を介しては、送信パルスと同期パルスとの間にプリセットディレイに対応する小さなジッタが存在することが可能となる。
【0042】
図6をご参照ください。
図6は、本願の実施例によって提供される送信微細ジッタリングコンポーネントの構造を示す図である。本願の実施例では、
図6に示すように,前記送信微細ジッタリングコンポーネント121は、タイムディレイモジュール1211およびディレイポリシー選択モジュール1212を備える。
【0043】
タイムディレイモジュール1211は、同期信号のディレイを行い、送信パルス信号を生成するためのものである。
ディレイポリシー選択モジュール1212は、タイムディレイモジュール1211に接続され、プリセットディレイポリシーを確定するためのものである。
【0044】
具体的には、複数のプリセットディレイポリシーをあらかじめ設定することができ、ユーザー選択によりプリセットディレイポリシーを確定してもよいし、レーダーデータ送受信装置により測距精度に応じてプリセットディレイポリシーを自動的に選択してもよく、本願ではこれを限定しない。
【0045】
同期信号はタイムディレイモジュール121を介してディレイを行われる。前記タイムディレイモジュール121は、ハードウェア回路(PCB基板配線)またはプログラマブルロジックデバイス(FPGA)を使用して実装することができる。
図7をご参照ください。
図7は、本願の実施例によって提供されるタイムディレイモジュール1211の構造を示す図である。
【0046】
図7に示すように、前記タイムディレイモジュール1211は、nセグメントのPCB配線和スイッチ選択部品を備える。ここで、スイッチ選択部品が同期信号と第1のディレイノードを選択した場合、同期パルス信号と送信パルス信号のタイムディレイは1ディレイ単位となり、スイッチ選択部品が同期信号と第2のディレイノードを選択した場合、同期パルス信号と送信パルス信号のタイムディレイは2ディレイ単位となる、といったように類推すると、スイッチ選択部品が同期信号と第nのディレイノードを選択する場合は、同期パルス信号と送信パルス信号の間のタイムディレイはnディレイ単位になる。
【0047】
スイッチ選択部品の選択は、ディレイポリシー選択モジュールによって確定されたプリセットディレイポリシーに従って決定することができる。即ち、n個の測定周期における送信信号のタイムディレイの長さは、プリセットディレイポリシーに基づいて決定されることに留意されたい。プリセットディレイポリシーの関連内容は、既に前述の内容で説明されているので、繰り返しを避けるために、ここでは省略する。
【0048】
また、各セグメントのPCB配線の長さは、ディレイ単位の持続時間に従って決定できること、即ち、L=t*Cであり、ここでLは各セグメントのPCB配線のの長さ、tはディレイ単位の持続時間、Cは光速であることに留意されたい。なお、タイムディレイモジュールが備えるPCB配線セグメントの数は、必要とされる最大数のディレイ単位の長さに応じて決定することができ、即ち、最大n個のディレイ単位が必要とされる場合は、タイムディレイモジュールは、nセグメントのPCB配線を備える。
図8をご参照ください。
図8は、本願のもう一つの実施例によって提供されるタイムディレイモジュール1211の構造を示す図である。
【0049】
図8に示すように、前記タイムディレイモジュール1211は、入力ピン、入力ディレイユニット(IDELAY)、遅延分解能モジュール(IDELYCTRL)、キャリーチェーンモジュール、出力ディレイユニット(ODELAY)、出力ピン1218およびディレイマッピング割り当て表を備える。
【0050】
ここで、入力ピンと出力ピンはFPGAチップの物理的なピンであり、ここで入力ピンを省略してもよい。その同期信号を内部のFPGAチップに基づいて導入することができる、即ち、同期信号が後続のコンポーネントに直接入力されるのである。 入力ディレイユニット(IDELAY)、遅延分解能モジュール(IDELYCTRL)、出力ディレイユニット(ODELAY)は、FPGAチップ内部に統合された固定の基本ユニットであり、これらはすべてFPGAチップ内部におけるピン信号のディレイ変動のための基本ユニットを指す。これらの基本ユニットの動作原理は既存のFPGAチップを参照することができるので、本願では繰り返して説明しない。
【0051】
前記キャリーチェーンモジュールの構造は、
図9に示す構造図をご参照ください。
図9に示すように、n個のディレイ単位が必要な場合、n個のキャリーチェーンモジュールを設定できる。各キャリーチェーンモジュールは1個または複数のキャリーチェーンユニットを備えることができる。必要なタイムディレイに応じて異なるキャリーチェーンユニットの数を設計できる。キャリーチェーンユニットの数は次の式で設定できる:num=t/(t
carry+t
wire)。ここで、numはキャリーチェーンユニット数、tはディレイ単位の長さ、t
carry は各キャリーチェーンユニットのタイムディレイ、t
wire は2つのキャリーチェーンユニット間のタイムディレイである。
【0052】
実際の応用では、
図8に示すタイムディレイモジュール1211の構造は、遅延が必要とされる時間範囲に基づいて調整することもできる。例えば、小さな遅延だけが必要な場合、入力ディレイユニット(IDELAY) 、キャリーチェーンモジュール、出力ディレイユニット (ODELAY) の間でトリミングすることができる。
【0053】
具体的には、入力ディレイユニット (IDELAY) 1214 または出力ディレイユニット (ODELAY) を備えていない一部の FPGA チップでは、キャリーチェーンモジュールのみを使用してディレイを実現できる (即ち、図 9 に示す構造を使用してディレイを実現)。
【0054】
トリミングされたタイムディレイモジュール1211の構造は、
図10A、
図10Bと
図10Cに示す。ここで,
図10Aは入力ディレイユニットをトリミングして得られたタイムディレイモジュール1211であり、入力ディレイユニットに対応する遅延分解能モジュール(IDELYCTRL)もそれに応じてトリミングされることになる。
図10Bはキャリーチェーンモジュールをトリミングして得られたタイムディレイモジュール1211である。
図10Cは出力ディレイユニットをトリミングして得られたタイムディレイモジュール1211であり、出力ディレイユニットに対応する遅延分解能モジュール(IDELYCTRL)はそれに応じてトリミングされることになる。
【0055】
大きな遅延が必要な場合は、複数のタイムディレイモジュール1211をカスケード接続することができる。
図11に示すように、各レベルの出力は次のレベルの入力に接続され、タイムディレイモジュール1211の数は、必要とするタイムディレイに応じて確定することができる。本願ではこれについて詳しく説明しない。もちろん、カスケード接続されたタイムディレイモジュール1211は、その内部の入力ディレイユニット (IDELAY)、キャリーチェーンモジュールおよび出力ディレイユニット (ODELAY) トリミングすることもできる。如何にトリミングするかは、上記の実施例を参照できるので、ここで繰り返して説明しない。
【0056】
さらに、ディレイ単位の持続時間はT未満であり、一つの実施形態では、前記ディレイ単位の持続時間は1/2T未満であることに留意されたい。ここで、Tは動作頻度に対応する周期である。即ち、TDCの動作頻度は fであり、T=1/f と仮定する。n回の測定周期のヒストグラムを積み重ねる場合は、n回のディレイタイムにはランダムな値または正則値を使用でき、特定のディレイタイムは、プリセットディレイポリシーに基づいて確定できる。前記ディレイマッピング割り当て表も、プリセットディレイポリシーに基づいて確定される。
【0057】
例として、
図12に示すように、n個の測定周期に対応して同期信号と送信パルス信号のディレイは、それぞれ{t1,t2,t3,......,tn}である。ここで、{t1,t2,t3,......,tn}の値は、等間隔で規則的な値であってよい。例えば、値はそれぞれ{1/2n*T,2/2n*T,......,n/2n*T}とされる。{t1,t2,t3,......,tn}の値は、等間隔で規則的な値の順を崩してランダムな値を使用することもでき、それらの一部を遅延させたり一部を遅延させなかったりすることができる。具体的には、プリセットディレイポリシーに基づいて確定することができる。
【0058】
引き続き
図5をご参照ください。前記受信モジュール130は、光電変換器131、調整回路132、TDC採集コンポーネント133、データ処理コンポーネント134を備えて良い。
前記光電変換器131は、受信した反射信号を電気信号に変換するためのものである。
【0059】
前記調整回路132は、光電変換器131に接続され、電気信号の拡大処理、電流信号から電圧信号への変換処理およびフィルタリング処理を行ってから、TDC採集コンポーネントに出力するためのものである。
【0060】
前記TDC採集コンポーネント133は、調整回路132に接続され、調整回路132で処理された信号と同期信号によって反射信号に対応するヒストグラムを生成するためのものである。
【0061】
前記データ処理コンポーネント134は、TDC採集コンポーネント133に接続され、TDC採集コンポーネントがn回出力したヒストグラムを重ね合わせることで、重ね合わせたヒストグラムを取得し、重ね合わせたヒストグラムに基づいて対応するエコー信号を確定するためのものである。
【0062】
本願の実施例では、前記TDC採集コンポーネントは、既存のTDCを採用して実装することができる。同期信号と受信信号に基づいてヒストグラムを取得する方法も、既存のヒストグラム生成方法を参照できるので、本願では繰り返して説明しない。
【0063】
図13をご参照ください。本願の実施例では、前記データ処理コンポーネント134は、ヒストグラム重ね合わせユニット1341、復調ユニット1342、定時時刻算出ユニット1343と時間距離測定・計算ユニット1344を備えて良い。
【0064】
前記ヒストグラム重ね合わせユニット1341は、TDC採集コンポーネント133が採集したn回のヒストグラムを重ね合わせるためのものであり、重ね合わせる回数はディレイ送信の回数と同じである。
【0065】
本願の実施例では、前記ヒストグラム重ね合わせユニット1341の動作原理は
図14に示すように、即ち、ヒストグラムの重ね合わせは、同じ時刻のデータを積み重ねることで行われる(
図4に重ね合わせたヒストグラムを示す)。
前記復調ユニット1342は、重ね合わせたヒストグラムによって復調し、エコー信号を検出するためのものである。
具体的な応用では、閾値を設定することができる。閾値を超えると、エコー信号の検出を確定する。
【0066】
前記定時時刻算出ユニット1343は、定時時刻を算出するためのものである。具体的には、定比タイミング法による計算、半値計算法による計算、重心計算法による計算、閾値計算法による計算が可能である。もちろん、他の方法を使用してエコー信号の定時時刻を計算してもよい。
【0067】
前記時間距離測定・計算ユニット1344は、定時時刻により目標物の測定距離を確定するためのものである。具体的には、既存の測定・計算方法を使用して測定・計算を行うことができる。本願ではこれを限定しない。
本願の実施例では、
図15をご参照ください。前記データ処理コンポーネント134は、さらにデジタルフィルタリングユニット1345を備える。
前記デジタルフィルタリングユニット1345は、ヒストグラム波形をフィルタリングし、ヒストグラム波形の整形とノイズ除去を行うためのものである。
【0068】
上記からわかるように、本願の実施例によって提供されるレーダーデータ送受信装置は、同期信号の微細ジッタリングを行うことで複数回送信される送信信号に一定の時間差を持たせ、受信された複数回の反射信号に対応するヒストグラムを重ね合わせることで測距精度を向上させるので、TDCのサンプリング頻度を上げることなく測距精度を向上させることにより、レーダーの製造コストを効果的に削減し、レーダーの消費電力を低減することができる。
【0069】
本願の実施例は、さらにレーザーレーダーを提供しており、レーザーレーダーは前記実施例におけるレーダーデータ送受信装置を備えている。前記レーザーレーダーは、平面アレイ型レーザーレーダー製品やアレイ型レーザーレーダーであってもよく、ほかの種類のレーザーレーダーであってもよい。
【0070】
前記レーダーデータ送受信装置に基づき、本願の実施例は、さらに前記レーダーデータ送受信装置に適用される測距方法を提供するものであり、以下、本願の実施例によって提供される測距方法について詳説する。
図16をご参照ください。
図16は、本願の実施例によって提供される測距方法の実施プロセスを示す図である。
図16に示すように、本願の実施例によって提供される測距方法は、以下に詳細に説明されるS11~S15を含んでよい。
S11:反射信号を受信する。
前記反射信号は、レーダーデータ送受信装置がプリセットディレイポリシーに基づいて送信した送信信号が、目標物に届いた後に反射された信号である。
本願の実施例では、受信される反射信号の数は測定周期の数と同じである。
S12:同期信号と反射信号によってヒストグラムを生成する。
【0071】
本願の実施例では、前記同期信号は、レーダーデータ送受信装置の同期モジュールによって生成され、上記の同期信号および反射信号に基づくヒストグラムの生成は、レーダーデータ送受信装置のTDC採集コンポーネントに基づいて実現することができる。
S13:n回の測定で得られたヒストグラムを重ね合わせることで、重ね合わせたヒストグラムを得る。
ここで、nは測定周期の数であり、具体的には、nは2以上の整数倍である。
【0072】
本願の実施例では、送信モジュールは測定周期になるたびに送信信号を発し、受信モジュールは反射信号を受信してヒストグラムを確定する。n回の測定(異なるジッタ/ディレイタイムに対応する送信信号)で得られたヒストグラムを重ね合わせることで、より高い測定精度のヒストグラムを得ることができる。
なお、ヒストグラムを重ね合わせる場合、同じ時刻のデータを積み重ねることに留意されたい。
S14:重ね合わせたヒストグラムに基づいて復調し、重ね合わせたヒストグラムに対応するエコー信号を取得する。
【0073】
具体的な応用では、閾値をあらかじめ設定することができる。重ね合わせたヒストグラムがこの閾値を超えると、それをエコー信号として識別する。具体的な実施形態は、上記のレーダデータ送受信装置の実施例の説明を参照できるので、ここでは繰り返して説明しない
S15:エコー信号によって距離の測定・計算を行う。
【0074】
具体的な応用では、まずエコー信号によって定時時刻を計算し、次に定時時刻に基づいて距離を計算することができる。具体的な実施形態は、前記レーダーデータ送受信装置の実施例における説明を参照できるので、ここでは繰り返して説明しない。
本願の実施例では、S11の前に、前記測距方法は、さらに以下のステップを含んでよい。
プリセットディレイポリシーに従った同期信号のディレイを行い、送信信号を生成し、前記送信信号を送信する。
【0075】
ディレイポリシーに基づいて同期信号を遅延させ、送信信号を生成する方法については、前記レーダーデータ送受信装置の送信モジュールの関連説明を参照してください。前記送信信号の送信は、送信モジュール内のレーザ送信機により行われることができる。
【0076】
上記からわかるように、本願の実施例によって提供される測距方法は、同様に、同期信号の微細ジッタリングを行うことで複数回送信される送信信号に一定の時間差を持たせ、受信された複数回の反射信号に対応するヒストグラムを重ね合わせることで測距精度を向上させるので、TDCのサンプリング頻度を上げることなく測距精度を向上させることにより、レーダーの製造コストを効果的に削減し、レーダーの消費電力を低減することができる。
【0077】
説明の便宜と簡略化のために、上述の各機能ユニットおよびモジュールの区分けが例だけとして示されているが、実際の応用では、必要に応じて異なる機能ユニットおよびモジュールに上述の機能を割り当てることができ、即ち、上述の機能のすべてまたは一部を実行するために、前記端末デバイスの内部構造が、異なる機能ユニットまたはモジュールに区分けられることが当業者にとって明らかである。実施例における様々な機能ユニットやモジュールは、1つの処理装置に統合されてもよく、個々のユニットが物理的に別々に存在していてもよく、2つ以上のユニットが1つの装置に統合されてもよい。上述の統合ユニットは、ハードウェア機能ユニットまたはソフトウェア機能ユニットのいずれの形態で実装されてもよい。また、各機能ユニットやモジュールの具体的な名称は、互いに区別するためのものだけであり、本願の保護範囲を限定するものではない。上記システムにおけるユニットおよびモジュールの具体的な作動プロセスは、前述の方法実施例の対応するプロセスを参照することができるので、ここでは繰り返さない。
【0078】
上記実施例では、各実施例の説明はそれぞれ重点を置いており、特定の実施形態で詳しく説明または記録されていない部分については、他の実施例の関連説明を参照することができる。
【0079】
当業者にとっては、本明細書に開示した実施例に関連して説明した様々な例におけるユニットおよびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、またはコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアの組み合わせで実現可能であることを認識することができる。これらの機能がハードウェアで実現されるか、ソフトウェアで実現されるかは、技術ソリューションの特定の用途や設計上の制約に依存する。当業者は、特定の応用によって異なる方法を用いて説明された機能を実現することができるが、そのような実現は、本願の範囲外であると考えるべきではない。
【0080】
上記の実施例は、本願の技術的解決策を説明することのみに使われ、それらを限定するものではない。本願は、上記の実施例を参照して詳細に説明されているが、上記の実施例例に記載されている技術的解決策を変更したり、その一部の技術的特徴を同等なものに置き換えることが依然として可能であり、ただし、これらの変更または置き換えによって、対応する技術的解決策の本質が本願の各実施例における精神や範囲から逸脱することなく、その全てが本願の保護範囲内に含まれるべきであることは、当業者が理解すべきである。