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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005179
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230111BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G09F9/00 324
G09F9/00 342
G09F9/00 366A
G09F9/30 308A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106938
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 健史
(72)【発明者】
【氏名】細川 克也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 光昌
(72)【発明者】
【氏名】成田 侑也
【テーマコード(参考)】
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
5C094BA27
5C094BA43
5C094DA06
5C094FB20
5G435AA07
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE04
5G435GG42
5G435HH20
(57)【要約】
【課題】より安全かつ自由な形状に、ディスプレイを変形させて維持することができる表示装置を提供すること。
【解決手段】可撓性表示パネルと、応力の付与により変形し、かつ前記応力の付与を停止すると前記変形された形状を維持しようとする形状維持性能を有する保持部材と、を有する。前記保持部材は、応力の付与により前記可撓性表示パネルを変形させ、その後、前記応力の付与を停止したときに、前記応力を付与する前の形状とも前記応力の付与により変形された形状とも異なる形状で前記可撓性表示パネルを保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性表示パネルと、
応力の付与により変形し、かつ前記応力の付与を停止すると前記変形された形状を維持しようとする形状維持性能を有する保持部材と、を有し、
前記保持部材は、応力の付与により前記可撓性表示パネルを変形させ、その後、前記応力の付与を停止したときに、前記応力を付与する前の形状とも前記応力の付与により変形された形状とも異なる形状で前記可撓性表示パネルを保持する、
表示装置。
【請求項2】
前記可撓性表示パネルへのユーザーの入力動作を検知する検知部を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記検知部は、タッチセンサーである、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記可撓性表示パネルの表示面の裏側に配置された、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記保持部材を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記保持部材は、長尺状である、請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記長尺状の保持部材は、前記可撓性表示パネルの長手方向に沿って配置された、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置の、90°曲げによる戻り角θ’が60°以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記保持部材は、合成樹脂製である、請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記合成樹脂は、密度が950kg/m以上、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が5以上15以下である、その全質量に対する炭素数が3以上6以下のα-オレフィンの含有量が2質量%未満であるエチレン単独重合体またはエチレン・α-オレフィン共重合体を含む、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屈曲可能な柔軟性を有するフレキシブルディスプレイの開発が進められている。しかし、フレキシブルディスプレイには、柔軟であるため自由な形状に変形させることはできるものの、変形後の形状を維持できないという問題がある。
【0003】
変形後の形状を維持するための方法として、特許文献1には、熱によって伸展する第1形状記憶ワイヤと、熱によって屈曲する第2形状記憶ワイヤとを有する、表示装置が記載されている。特許文献1に記載の表示装置は、第1形状記憶ワイヤを通電加熱することによりディスプレイを丸まった状態から拡げて使用できるようにし、一方で第2形状記憶ワイヤを通電加熱することによりディスプレイを広げた状態から丸めて携帯しやすい状態にできる、とされている。
【0004】
また、特許文献2には、軟化温度が室温よりも高い樹脂により形成された形状記憶性の樹脂基板と、電熱変換素子と、を有するフレキシブルディスプレイが記載されている。特許文献2に記載のフレキシブルディスプレイは、電熱変換素子に電圧を印加したときに発生する熱によって樹脂基板を変形させ、その後樹脂の軟化温度よりも低い温度に冷却することで変形された基板の形状を維持することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-036392号公報
【特許文献2】特開2017-116782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの知見によると、特許文献1に記載の表示装置は、丸まった状態と拡げた状態の2通りの形状しか取ることができず、ディスプレイを任意の形状に変形させて維持することができない。また、特許文献1に記載の表示装置も特許文献2に記載のフレキシブルディスプレイも、通電(電圧の印加)および加熱により変形を行うものであるため、使用時には感電および発熱などに十分注意しないといけない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、より安全かつ自由な形状に、ディスプレイを変形させて維持することができる表示装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に関する表示装置は、可撓性表示パネルと、応力の付与により変形し、かつ前記応力の付与を停止すると前記変形された形状を維持しようとする形状維持性能を有する保持部材と、を有する。前記保持部材は、応力の付与により前記可撓性表示パネルを変形させ、その後、前記応力の付与を停止したときに、前記応力を付与する前の形状とも前記応力の付与により変形された形状とも異なる形状で前記可撓性表示パネルを保持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より安全かつ自由な形状に、ディスプレイを変形させて維持することができる表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に関する表示装置の例示的な構成を示す分割斜視図である。
図2図2は、表示装置の戻り角θ’を求める方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に関する表示装置の例示的な構成を示す分割斜視図である。
【0012】
表示装置100は、フロントカバー110、可撓性表示パネル120、ノイズ抑制シート130、フレキシブル基板140、保持部材150、およびリアカバー160を有する。
【0013】
フロントカバー110は、表示装置100の表示面を被覆する透光性のフィルム状部材である。フロントカバー110は、少なくとも可視光領域の光に対して十分な透過率を有し、柔軟性を有し、かつ可撓性表示パネル120などの表示装置100内部の部材の保護機能を有するものであればよい。フロントカバー110は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリアリレートなどのポリエステル樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、シクロオレフィン(共)重合体、ならびにポリウレタン樹脂などの成型体とすることができる。これらのうち、上記の特性に優れることから、ポリウレタン樹脂の成型体が好ましい。
【0014】
可撓性表示パネル120は、画像または映像などの情報を表示する可撓性の表示パネルである。可撓性表示パネル120は、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)パネル、液晶パネルおよび電子ペーパーなどの公知の表示素子を有するパネルとすることができる。たとえば、透明基板上に透明電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層および透明電極がこの順番に積層された、公知の可撓性有機ELパネルを使用すればよい。
【0015】
本実施形態において、可撓性表示パネル120は、可撓性表示パネルへのユーザーの入力動作を検知する検知部として作用するタッチセンサーを含む。タッチセンサーの構成は特に限定されず、たとえば上記の表示素子の表示面側(観察者側)に、封止層を介して、格子状に配線が配置された第1の配線層、絶縁層、および平面視において第1の配線層と直交するような格子状に配線が配置された第2の配線層、がこの順番に配置された構成とし、人の指等が接触することによる静電容量の変化から当該接触を検知する構成としてもよい。
【0016】
ノイズ抑制シート130は、フレキシブル基板140からのノイズ(不要輻射)による他の素子の動作不良を抑制する。ノイズ抑制シート130は、カーボン、フェライト粉末、および各種合金粉末などの電磁波を吸収する材料を、各種ゴムや可撓性を有する樹脂中に分散させた、公知のノイズ抑制シートとし得る。ノイズ抑制シート130は柔軟性が高いものを好ましく用いることができる。
【0017】
フレキシブル基板140は、可撓性表示パネル120を駆動するための配線基板である。フレキシブル基板140は、ポリイミド樹脂などの高い絶縁性および可撓性を有する樹脂のフィルムと、銅箔などにより形成された配線パターンと、配線パターンの少なくとも一部を被覆するカバーレイフィルムと、を有する公知の配線基板とすることができる。
【0018】
保持部材150は、可撓性表示パネル120の表示面の裏側(観察者側とは反対側)に配置されて可撓性表示パネル120を裏側で保持する。
【0019】
本実施形態において、保持部材150は、応力の付与により自由に変形し、かつ当該応力の付与を停止すると、停止時における当該変形された形状を維持しようとする性能(形状維持性能)を有する部材である。そして、保持部材150は、上記応力付与時の変形により表示装置100の全体(可撓性表示パネル120を含む)を変形させ、その後、上記応力付与を停止したときに、表示装置100の全体を、上記応力を付与する前の形状形状(以下、単に「第1の形状」ともいう。)とも、上記応力の付与により変形された形状(以下、単に「第2の形状」ともいう。)とも異なる形状(以下、単に「第3の形状」ともいう。)となるように保持する。これにより、保持部材150は、たとえば人の手や道具などにより表示装置100(可撓性表示パネル120)を変形したときに、上記第3の形状を維持してそのまま可撓性表示パネル120を観察することを可能にする。また、保持部材150は、表示装置100を複数回変形させても、そのたびに上記第3の形状を維持することができる。たとえば、保持部材150は、応力の付与により元の形状(第1の形状)に戻して、当該元の形状を維持することもできる。なお、上記第3の形状は、第1の形状および第2の形状のいずれとも異なる形状であればよいが、第2の形状を維持しようとするが第1の形状に形状が戻ることによって生じる形状、すなわち、第2の形状から第1の形状へと変形する中間の形状である。
【0020】
保持部材150の数および形状は特に限定されない。また、保持部材150の配置も、可撓性表示パネル120を第3の形状まま保持できる限りにおいて、特に限定されない。たとえば、保持部材150は、可撓性表示パネル120の裏側の全面を被覆するように配置されてもよいし、裏側の一部のみに配置されてもよい。また、保持部材150は、可撓性表示パネル120を含む変形する部材に(本実施形態ではフレキシブル基板140に)両面テープや接着剤などにより接着されていてもよいし、単にこれらに接触しているだけでもよい。第3の形状の維持性をより向上させる観点から、保持部材150は、隣接する層に両面テープ又は接着剤で接着されていることが好ましい。
【0021】
保持部材150は、1つのみが配置されてもよいし、複数個配置されてもよい。複数個の保持部材150で可撓性表示パネル120を保持することで、たとえばそれぞれの保持部材150が異なる形状に変形して、可撓性表示パネル120を複雑な形状に変形させて保持することが可能である。また、可撓性表示パネル120の形状を維持するために必要な数だけの保持部材150を用いることで表示装置100の重量や製造コストを減らすこともできる。可撓性表示パネル120の形状を十分に維持する観点からは、保持部材150は、可撓性表示パネル120の裏面の面積に対して30%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下、さらに好ましくは70%以上100%以下の面積を被覆するように配置されることが好ましい。
【0022】
保持部材150の形状は特に限定されないが、表示装置100の厚みを薄くして変形させやすくする観点からは、薄膜状(シート状もしくは帯状)または繊維状であることが好ましい。
【0023】
保持部材150は、長尺状(帯状)の、1個または複数個の保持部材150とすることができる。長尺状の保持部材は、一方向への折り曲げが容易であり、かつ折り曲げた後に元に戻る中間の形状を強固に維持できる。そのため、表示装置100を特定の方向に折り曲げて使用することが多いときには、保持部材150を長尺状とすることが、表示装置100を折り曲げやすくし、かつ折り曲げた後に表示装置100がとる第3の形状の維持性を高める観点から好ましい。
【0024】
このとき、複数個の長尺状の保持部材150を同じ方向に配列させることで、上記折り曲げやすさおよび折り曲げた後に表示装置100がとる第3の形状の維持性をより高めることができる。このときの配列の方向は特に限定されないが、可撓性表示パネル120が長方形や楕円形などの一方向に延びた形状を有するときは、その長手方向(長尺方向・長径方向)に沿って配列することが好ましい。また、長尺状の保持部材150が配列する方向が互いに異なる複数の層を形成することで、各層の配列方向に応じた複数の方向への折り曲げやすさおよび折り曲げた後に表示装置100がとる第3の形状の維持性をより高めることもできる。このとき、様々な方向への変形を容易にする観点からは、3層以上の構成とし、かつ1の層に対する他の層の角度がこれらの角度の組み合わせとしてもよい。このときの複数の層間の配列方向がなす角度は、0°より大きく90°以下の任意の角度とすることができ、可撓性表示パネル120の形状や使用時の態様によって決めればよいが、30°、45°、60°および90°が好ましい、
【0025】
上記配列された複数個の長尺状の保持部材150は、互いに接して隙間なく配置されてもよいが、互いの間に隙間を空けて配置されてもよい。また、それぞれの長尺状の保持部材150は、当該保持部材150が配置される位置における可撓性表示パネル120の一方向側の端部から反対方向側の端部まで延在する長さを有することが好ましいが、使用時に折り曲げられる部位の近傍のみに配置されてもよい。
【0026】
保持部材150は、応力の付与により可撓性表示パネル120を第1の形状から第2の形状に変形させ、その後、上記応力の付与を停止したときに、表示装置100を第3の形状に変形させ、かつ当該第3の形状を維持させるように、可撓性表示パネル120を保持する。このとき、可撓性表示パネル120の表示面が鉛直方向上方を向くように表示装置100を水平に配置し(第1の形状)、長尺方向先端部(円形または正方形のときは任意に定めた一の端部または辺)から100mmの部位を、rが40mmとなるように90°屈曲させて垂直に持ち上げ(第2の形状)、支持をすることなくこの状態を5分間維持させた後に、上記先端部が上記水平方向に移動した距離(a)と、屈曲させた部分の長さ(b:100mm)とから、上記持ち上げた部分が水平方向に近づくように移動した角度(第3の形状)を表示装置100の戻り角θ’(図2参照:図2では、屈曲させた直後の形状を実線で、5分間維持させた後の形状を点線で、それぞれ示す)とすると、表示装置100の戻り角θ’は60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましく、40°以下であることがさらに好ましい。表示装置100の戻り角θ’は、保持部材150の材料の選択およびその配置によって調整できるほか、その他の各部材の重量、形状およびその配置などによっても調整することができる。表示装置100の戻り角θ’の最小値は特に限定されないが、0°以上とすることができ、5°以上とすることもできる。
【0027】
また、保持部材150のみを取り出して同様に測定した、保持部材150の戻り角θ’’は、25°以下であることが好ましく、15°以下であることがより好ましく、10°以下であることがさらに好ましい。保持部材150の戻り角θ’’の最小値は特に限定されないが、0°以上とすることができる。
【0028】
保持部材150は、金属、天然樹脂および合成樹脂のいずれでもよいが、軽量であり、変形させやすく、変形された後にとる形状の維持性に優れ、劣化しにくく、かつ破断が生じにくく繰り返しの変形への耐性が高いことから、合成樹脂が好ましい。
【0029】
保持部材150として使用できる上記合成樹脂の例には、ポリエチレンを含む樹脂組成物、およびポリ乳酸系樹脂とポリエステル樹脂との混合物などが含まれる。これらは延伸せずに成形されてもよいが、変形された後にとる形状の維持性を高める観点からは、延伸されていることが好ましい。延伸手法は特に限定されず溶融延伸でも固相延伸でもよい。
【0030】
上記ポリエチレンを含む樹脂組成物の例には、密度が950kg/m以上(好ましくは955kg/m以上970kg/m以下)、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が5以上15以下の、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3以上6以下のα-オレフィンとの共重合体(αーオレフィンの含有量は共重合体の全質量に対して2質量%未満、好ましくは0.05質量%以上1.5質量%以下)を含む樹脂組成物(以下、「樹脂組成物A」とする。)が含まれる。樹脂組成物Aは、その全質量に対して10質量%以下の無機充填材や、その全質量に対して5質量%以下のワックスなどの、他の成分を含んでいてもよい。
【0031】
上記ポリエチレンを含む樹脂組成物の他の例には、重量平均分子量(Mw)が100,000以上500,000以下、密度が945kg/m以上960kg/m以下のポリエチレン樹脂100質量部と、エチレンと炭素数4以上10以下のα-オレフィンとの共重合体であって、密度が935kg/m以上960kg/m以下であり上記ポリエチレン樹脂との密度の差が±20kg/mであるエチレン・α-オレフィン共重合体3質量部以上50質量部以下と、を含む樹脂組成物(以下、「樹脂組成物B」とする。)が含まれる。樹脂組成物Bは、他の成分を含んでいてもよい。
【0032】
上記ポリ乳酸系樹脂とポリエステル樹脂との混合物の例には、ポリ乳酸系樹脂とポリエステル樹脂との合計量100質量%に対して、30質量%以上90質量%以下の量のポリ乳酸系樹脂と、10質量%以上70質量%以下の量のポリエステル樹脂(脂肪族ポリエステルでもよいし、芳香族成分を含んでいてもよい)と、を含む樹脂組成物(以下、「樹脂組成物C」とする。)が含まれる。樹脂組成物Cは、これらの合計100質量部に対して40質量部以下の量のその他の熱可塑性樹脂などの、他の成分を含んでいてもよい。
【0033】
リアカバー160は、表示装置の裏面を保護する。また、本実施形態において、リアカバー160の可撓性表示パネル120側には、可撓性表示パネル120の表示面の形状に応じたトレイ部162(窪み)があり、当該トレイ部162に保持部材150を収容する。これにより、リアカバー160は、保持部材150を位置ずれや脱離しないように確実に保持することができる。
【0034】
リアカバー160は、柔軟性を有し、かつ可撓性表示パネル120などの表示装置100内部の部材の保護機能を有するものであればよい。リアカバー160は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリアリレートなどのポリエステル樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、シクロオレフィン(共)重合体、ならびにポリウレタン樹脂などの成型体とすることができる。これらのうち、上記の特性に優れることから、ポリウレタン樹脂の成型体が好ましい。
【0035】
このように構成される本実施形態の表示装置100は、表示部を変形させ、かつ変形した状態を維持したまま表示部に画像および映像などの情報を表示させることができる。たとえば、表示装置100が配置される場所に応じて(たとえば表示装置100をかける壁や柱などの形状に応じて)表示部を変形(第3の形状)させて情報を表示し、表示が終了したら元の形状(第1の形状)に戻して収納することが可能である。
【0036】
あるいは、表示部の上半分を持ち上げつつ下半分を台座等に置くように表示装置100を変形させて当該変形状態を維持させ(第3の形状)、表示部の上半分に表示された情報をもとに下半分に表示されたキーボードから情報を入力することも可能である。
【0037】
[その他の実施形態]
なお、上述の各実施形態はそれぞれ本発明の一例を示すものであり、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において、他の種々多様な各実施形態も可能であることは言うまでもない。
【0038】
たとえば、上述の実施形態では、トップエミッション形式の有機ELパネルを使用する態様について説明したが、ボトムエミッション形式の有機ELパネルを使用してもよい。なお、液晶パネルおよび電子ペーパーなどの他の表示素子を使用してもよいことは言うまでもない。
【0039】
また、上述の実施形態では、静電容量式のタッチセンサーが可撓性表示パネル(有機ELパネル)と一体化されている態様について説明したが、タッチセンサーは、赤外線式、超音波式、抵抗膜式および電磁誘導式などの他の形式であってもよい。これらの形式に応じて、可撓性表示パネルと一体化されない別のタッチパネルを配置してもよいし、タッチセンサー(タッチパネル)を配置する位置を変更してもよい。また、タッチセンサーは、可撓性表示パネルへのユーザーの入力動作を検知する検知部として作用する限りにおいてその構成は限定されず、接触式でも非接触式でもよく、また非接触式であるときは、カメラなどにより表示部に対する人の指示動作を検知する構成であってもよい。
【0040】
また、上述の実施形態では、可撓性表示パネルの表示面の裏側に保持部材を配置する態様について説明したが、保持部材を配置する位置もこれには限定されず、可撓性表示パネルの表示面の周囲を取り囲むカバー部材中に配置してもよいし、可撓性表示パネルの内部に配置してもよい。あるいは、透明の保持部材を可撓性表示パネルの表示面の観察者側に配置してもよい。
【実施例0041】
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0042】
1.表示装置の作製
可撓性表示パネルとして、タッチ機能付きフレキシブルディスプレイ(ROYALE社製、製品名FDMTYPE5)を用意した。このフレキシブルディスプレイは、タッチセンサー付きのOLEDによるディスプレイであり、その寸法は、横176mm、縦129mm、厚み0.4mmだった。
【0043】
保持部材として、三井化学株式会社製、テクノロートH20000(「テクノロート」は同社の登録商標)を用意した。この保持部材は幅4.0mm、厚み0.64mmの長尺状の部材であり、これを、上記フレキシブルディスプレイの横幅にあわせて、長さ172mmに切断して用いた。
【0044】
32本の上記保持部材を、上記フレキシブルディスプレイの裏側に、保持部材の長尺方向がフレキシブルディスプレイの幅方向と平行になるように等間隔で配置し、両面テープで貼り付けた。
【0045】
2.評価
上記表示装置を、試験台に、表示面が鉛直方向上方を向くように水平に配置し(第1の形状)、横方向先端部から100mmの部位をrが40mmとなるように屈曲させた。上記部位を90°に曲げて、横方向先端部から100mmの部分を垂直に持ち上げ(第2の形状)、支持をすることなくこの状態を5分間維持させた。5分後に、横方向先端部が上記水平方向に移動した距離(a)と、屈曲させた部分の長さ(b:100mm)とから、上記持ち上げた部分が水平方向に近づくように移動した角度(表示部材の戻り角θ’)を求めた(第3の形状)。同一の上記試験装置について、試験を5回行った。
【0046】
結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、上記表示装置は、90°に屈曲させた後にとる第3の形状を維持でき、複数回の形状変化を行っても表示部材の戻り角θ’に大きな変化はなかった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に関する表示装置は、より安全かつ容易にディスプレイの形状を変形させ、かつ上記第3の形状を維持することができる。そのため、本発明は、フレキシブルディスプレイをより多様な場面に適用可能として、フレキシブルディスプレイに関する各種分野の発展に寄与すると期待される。
【符号の説明】
【0050】
100 表示装置
110 フロントカバー
120 可撓性表示パネル
130 ノイズ抑制シート
140 フレキシブル基板
150 保持部材
160 リアカバー
162 トレイ部
図1
図2