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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005180
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20230111BHJP
   F24C 7/06 20060101ALI20230111BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20230111BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F24C7/04 B
F24C7/06 B
H05B3/10 B
H05B3/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106939
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】390018315
【氏名又は名称】メトロ電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】川合 誠治
(72)【発明者】
【氏名】吉原 寛美
【テーマコード(参考)】
3K092
3L087
【Fターム(参考)】
3K092PP03
3K092QA02
3K092QB14
3K092QB33
3K092QB45
3K092RA03
3K092RC02
3K092SS32
3K092VV40
3L087AA03
3L087CA13
3L087CB02
3L087CB07
3L087CC03
3L087CC09
3L087DA07
(57)【要約】
【課題】熱量が向上した赤外線ヒータに係る加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器1は、通電により赤外線を放射する炭素質発熱体22を2枚有する各赤外線ヒータ6を、複数備えている。更に、各赤外線ヒータ6に、防水加工が施されている。又、加熱調理器1は、各赤外線ヒータ6を保持するシャーシ2と、シャーシ2に保持される各耐火レンガ4と、を備えている。加えて、各炭素質発熱体22は、蛇行する形状を有している。又、各赤外線ヒータ6は、石英ガラス製の外管20及び内管23を有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により赤外線を放射する炭素質発熱体を有する赤外線ヒータ
を備えている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記赤外線ヒータに防水加工が施されている
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記赤外線ヒータを保持するシャーシと、
前記シャーシに保持される耐火レンガと、
を備えている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記シャーシは、開閉可能なリッドを有している
ことを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記炭素質発熱体は、蛇行する形状を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記赤外線ヒータは、石英ガラス製の管を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記炭素質発熱体は、第1発熱部と、当該第1発熱部より発熱量の大きい第2発熱部と、を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記赤外線ヒータへの電力をユーザの足での操作により調整するフットスイッチが設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中華鍋等の被加熱物を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
主ヒータとして渦巻状のシーズヒータを有する加熱調理器として、実開平2-137608号公報(特許文献1)に記載された電気クッキングヒータが知られている。
この電気クッキングヒータは、円筒状の断熱材と、その内周側に螺旋状に配されたハロゲンヒータとから成る補助ヒータを備えている。補助ヒータは、主ヒータの上方で主ヒータを取り囲むように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-137608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電気クッキングヒータでは、補助ヒータのハロゲンヒータにより、主ヒータのみの場合に比べて熱量を上げ、又断熱材により、鍋等を置いたときに密閉に近い加熱空間を形成して、断熱材無しの場合に比べて熱効率を上げることができる。
しかし、主ヒータがシーズヒータであり、又補助ヒータがハロゲンヒータであるため、断熱材により熱効率を上げたとしても、ガス調理器に比べて熱量に劣る。特に、中華料理の調理のように、例えば20000kcal(キロカロリー)程度の高加熱量が求められている場合、シーズヒータ及び補助ヒータがハロゲンヒータでは、現実的な大きさにおいて同程度の熱量を提供することは困難である。
【0005】
そこで、本発明の主な目的は、熱量が向上した赤外線ヒータに係る加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、通電により赤外線を放射する炭素質発熱体を有する赤外線ヒータを備えていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記赤外線ヒータに防水加工が施されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記赤外線ヒータを保持するシャーシと、前記シャーシに保持される耐火レンガと、を備えていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記シャーシは、開閉可能なリッドを有していることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記炭素質発熱体は、蛇行する形状を有していることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記赤外線ヒータは、石英ガラス製の管を有していることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記炭素質発熱体は、第1発熱部と、当該第1発熱部より発熱量の大きい第2発熱部と、を有していることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明において、前記赤外線ヒータへの電力をユーザの足での操作により調整するフットスイッチが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果は、熱量が向上した赤外線ヒータに係る加熱調理器が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1形態に係る加熱調理器及びその台の前面図である。
図2図1の左側面図である。
図3図1の上面図である。
図4図1の加熱調理器の模式的な断面図である。
図5図1の加熱調理器における赤外線ヒータの上面図である。
図6】(A)は図5の赤外線ヒータの左端部の側面拡大図であり、(B)は(A)の上面図であり、(C)は(B)からがいしを取った状態の図である。
図7】本発明の第2形態に係る加熱調理器及びその台の前面図である。
図8図7の左側面図である。
図9図7の上面図である。
図10図7の加熱調理器における赤外線ヒータの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の例が、その変更例と共に、適宜図面に基づいて説明される。
尚、当該形態は、下記の例及び変更例に限定されない。
【0010】
[第1形態]
図1は、本発明の第1形態に係る加熱調理器1及びその台STの前面図である。図2は、図1の左側面図である。図3は、図1の上面図である。図4は、加熱調理器1の模式的な断面図である。尚、図1図2図4における上が加熱調理器1の上であり、左が加熱調理器1の左である。又、図3における上が加熱調理器1の右であり、右が加熱調理器1の前である。かような加熱調理器1の方向は、説明の便宜上定められたものであり、各種の部材及び部分の移動並びに設置の態様等により、変化することがある。
加熱調理器1は、台STに置かれている。尚、台STは、加熱調理器1の構成要素に含められても良い。
加熱調理器1は、シャーシ2と、五徳3と、複数の耐火レンガ4と、複数(6本)の赤外線ヒータ6と、点灯スイッチ8と、消灯スイッチ10と、発熱量調整スイッチ12と、制御部14と、を有する。
【0011】
シャーシ2は、金属製であり、上面中央部が開放された箱状である。シャーシ2の下面の中央部には、リッド18が設けられる。リッド18は、矩形状であり、後辺の周りで開閉可能である。リッド18は、ロック(図示略)を外して、下方に開く。リッド18は、折り畳み可能な板状のリッド脚18Fを有する。又、シャーシ2の上面の三方を囲むように起立するフード19が設けられている(図1図3)。尚、リッド18及びフード19の少なくとも一方は、省略されても良い。
五徳3は、中央部に孔を有する金属製の板である。五徳3は、シャーシ2の上面開口部に嵌められる。五徳3の孔は、中華鍋CP1(の中央部)、及び鍋CP2(のフランジ部より下方の部分)に適合する。中華鍋CP1及び鍋CP2は、加熱対象CP(図中に符号無し)の例である。図1図4において、図2に鍋CP2が記載され、他の図に中華鍋CP1が記載される。中華鍋CP1(の下部)、及び鍋CP2(の下面)は、シャーシ2内の各赤外線ヒータ6に隣接する。尚、加熱対象CPは、中華鍋CP1及び鍋CP2以外であっても良い。加熱対象CPは、赤外線ヒータ6と接触しても良い。又、五徳3が省略されても良い。この場合、シャーシ2の上面開口部が加熱対象CPに適合した形状とされても良い。
各耐火レンガ4は、シャーシ2の内面を覆うように並べて設けられる。各耐火レンガ4は、シャーシ2に保持される。リッド18の上の耐火レンガ4は、リッド18と共に開閉する。
【0012】
各赤外線ヒータ6は、左右方向に延び、同一仮想平面内において前後方向に並べられている。尚、各赤外線ヒータ6は、同一仮想平面に属さないように前後方向に並べられても良い。例えば、各赤外線ヒータ6は、中華鍋CP1の下面に沿うような仮想曲面に属するように、即ち側方から見て“U”字状の配置となるように並べられても良い。
【0013】
図5は、赤外線ヒータ6の上面図である。
各赤外線ヒータ6は、石英ガラス製の外管20と、炭素質発熱体22と、石英ガラス製の複数(2本)の内管23と、がいし24と、複数(4本)の内部導線26と、内部接続部27と、複数(2本)のヒータ導線28と、を有する。
【0014】
外管20は、左右に延びる管状であり、より詳しくは円筒状である。外管20の左端部は、水平な平板状部20Fを有する。
外管20内には、不活性ガス(例えばアルゴンガス)が封入される。
外管20は、赤外線を通す。
尚、外管20における平板状部20F及び不活性ガスの封入の少なくとも一方は、省略されても良い。
【0015】
炭素質発熱体22は、外管20内に配置される。炭素質発熱体22は、外管20より内部配線スペース分だけ短い長さを有している。
炭素質発熱体22は、複数(2つ)の炭素質板22Pから形成される。炭素質発熱体22は、水平な姿勢となっている。尚、炭素質発熱体22の姿勢は、水平以外であっても良い。例えは、各赤外線ヒータ6が上述の変更例のように仮想曲面に沿って側面視“U”字状に並べられる場合、炭素質発熱体22の姿勢は、当該仮想曲面に沿うものとされても良い。又、複数の炭素質板22Pの一部の姿勢が、他の一部の姿勢と異なるものとされても良い。炭素質板22Pは、赤外線ヒータ6毎に1個であっても良いし、3個以上であっても良い。
各炭素質板22Pは、内管23内に配置される。赤外線ヒータ6は、外管20と各内管23により、二重管構造を具備する。各内管23により、隣接する炭素質板22P間でのショートが抑制され、又炭素質板22Pが個別に保護される。各内管23内には、不活性ガス(例えばアルゴンガス)が封入される。尚、外管20と内管23との間において、不活性ガスが封入されなくても良い。内管23における不活性ガスの封入は、省略されても良い。炭素質発熱体22は、一重管構造あるいは三重以上の管構造で保護されても良い。
各炭素質板22Pは、左右端部を除く全体において前後両側から等間隔で交互に同じ長さのスリットが入れられる。よって、各炭素質板22Pの中央部、即ち炭素質発熱体22の中央部は、蛇行する形状となっている。2つの炭素質板22Pは、前後に並べられている。尚、蛇行形状は、炭素質発熱体22の中央部に配置されなくても良い。又、蛇行形状の配置は、炭素質板22P毎に異なっても良い。蛇行形状は、1つの炭素質板22Pにおいて、複数箇所配置されても良い。
炭素質発熱体22は、通電により赤外線を放射する。炭素質発熱体22は、特に蛇行形状部分において電気抵抗が他の部分より増すため、主に蛇行形状部分において、赤外線を放射し、発熱する。
【0016】
がいし24は、円柱状である。がいし24は、耐熱性及び絶縁性を有する。
がいし24は、外管20の平板状部20Fの外側に設けられる。
がいし24は、2つの内部導線26を支持する内部導線支持部である。又、がいし24は、2つのヒータ導線28を支持するヒータ導線支持部である。
尚、がいし24は、平板状部20Fの外側以外に配置されても良い。
【0017】
各内部導線26は、導電性を有する。各内部導線26は、外管20内に配置される。又、各内部導線26の左右方向における内方側部分は、対応する内管23内に配置される。各内管23は、対応する各内部導線26により支持される。
第1の内部導線26は、炭素質発熱体22の後の炭素質板22Pの左端部に対し、後の内管23の左部内で電気的に接続される。第2の内部導線26は、炭素質発熱体22の後の炭素質板22Pの右端部に対し、後の内管23の右部内で電気的に接続される。第3の内部導線26は、炭素質発熱体22の前の炭素質板22Pの右端部に対し、前の内管23の右部内で電気的に接続される。第2の内部導線26と第3の内部導線26とは、各内管23外であって外管20内に配置された内部接続部27で接続されている。内部接続部27は、外管20に支持され、炭素質板22P、各内部導線26、及び各内管23の少なくとも何れかを直接又は間接的に支持する。第4の内部導線26は、炭素質発熱体22の前の炭素質板22Pの左端部に対し、前の内管23の左部内で電気的に接続される。
第1の内部導線26及び第2の内部導線26は、後の内管23に対応する。第3の内部導線26及び第4の内部導線26は、前の内管23に対応する。
第1の内部導線26の左端部と第4の内部導線26の左端部とは、平板状部20F内に配置されている。2つの炭素質板22Pは、各内部導線26及び内部接続部27により、直列に接続される。
【0018】
各ヒータ導線28は、被覆部及びその内部に配置された導線部を有する。各導線部は、導電性を有する。
第1のヒータ導線28の導線部は、第1の内部導線26と電気的に接続されている。第1のヒータ導線28は、第1の内部導線26との接続部からがいし24(平板状部20F)内を通過し、左方に延びる。
第2のヒータ導線28の導線部は、第4の内部導線26と電気的に接続されている。第2のヒータ導線28は、第4の内部導線26との接続部からがいし24(平板状部20F)内を通過し、左方に延びる。
尚、各ヒータ導線28の配置は、上述のもの以外であっても良い。例えば、ヒータ導線28と内部導線26との接続部は、平板状部20F内以外に配置されても良い。又、各ヒータ導線28は、上下に配置されても良い。
【0019】
各赤外線ヒータ6の炭素質発熱体22は、各ヒータ導線28及び各内部導線26を通じて電力の供給を受けると、点灯して赤外線を放射し、電力量に応じた発熱量で発熱する。
外管20、内管23、各がいし24、各内部導線26、及び各ヒータ導線28は、非発熱部である。即ち、電力により積極的に発熱する炭素質発熱体22以外のものは、炭素質発熱体22から熱を受けて間接的に発熱するものの、発熱部とはならない。
【0020】
図6(A)は、赤外線ヒータ6の左端部の側面拡大図である。図6(B)は、図6(A)の上面図である。図6(C)は、図6(B)からがいし24を取った状態の図である。
各赤外線ヒータ6におけるがいし24と外管20(平板状部20F)の間(図6(A)~(C)におけるハッチングを施した部分)には、防水加工が施されている。防水加工は、シリコン樹脂をコーティングすることで施される。シリコン樹脂は、防水性、及び耐熱性を有する。
尚、防水加工は、シリコン樹脂以外のもので施されても良い。又、防水加工の施工部分は、上述のもの以外であっても良い。更に、各赤外線ヒータ6の一部のみに防水加工が施されても良い。例えば、前後方向における中央4本の赤外線ヒータ6のみに防水加工が施されても良い。
【0021】
シャーシ2は、左右の耐火レンガ4を介して、各赤外線ヒータ6を保持する。
シャーシ2の左右の各内面内に配置された耐火レンガ4は、赤外線ヒータ6が通過するための孔を有している。尚、シャーシ2が、耐火レンガ4に代えて、あるいは耐火レンガ4と共に、赤外線ヒータ6を直接保持しても良い。
【0022】
点灯スイッチ8は、前方への押下により、順次オンオフに繰り返し切り替わるスイッチである。
消灯スイッチ10は、前方への押下により、順次オンオフに繰り返し切り替わるスイッチである。
発熱量調整スイッチ12は、円柱状でありその前後方向の中心軸周りで回転可能なつまみ40を有する。発熱量調整スイッチ12は、つまみ40の回転量(回転位置)に応じて切り替わる。発熱量調整スイッチ12は、各赤外線ヒータ6への電力を調整し、各赤外線ヒータ6の発熱量を調整して、加熱対象CPに対する加熱量を調整する。
点灯スイッチ8、消灯スイッチ10及び発熱量調整スイッチ12は、シャーシ2の前面右上に設けられている。シャーシ2の前面右上は、操作部42となっている。
尚、点灯スイッチ8、消灯スイッチ10及び発熱量調整スイッチ12の少なくとも何れかは、他の形式とされても良い。例えば、点灯スイッチ8及び消灯スイッチ10は、共通のシーソースイッチとされても良い。又、発熱量調整スイッチ12は、発熱量を強くする「+」のスイッチと、発熱量を弱くする「-」のスイッチとから成っても良い。
【0023】
制御部14は、シャーシ2外に設けられる。尚、制御部14は、シャーシ2と一体に設けられても良い。又、制御部14は、加熱調理器1の構成要素に含められなくても良い。
制御部14は、各赤外線ヒータ6と、各ヒータ導線28を介して電気的に接続されている。制御部14は、各赤外線ヒータ6への電力の供給を制御する。電力は、図示されない電源から供給される。尚、制御部14は、各赤外線ヒータ6と、端子台を介して接続されても良い。端子台は、シャーシ2内に設けられても良いし、シャーシ2外に設けられても良い。
又、制御部14は、点灯スイッチ8、消灯スイッチ10及び発熱量調整スイッチ12と、それぞれ電気的に接続されている。
制御部14は、点灯スイッチ8の押下に応じ、各赤外線ヒータ6へ最大の電力を供給し、各赤外線ヒータ6をオンにする。尚、制御部14は、点灯スイッチ8の押下に応じ、最大の電力以外の電力を供給しても良い。
制御部14は、消灯スイッチ10の押下に応じ、各赤外線ヒータ6への電力の供給を停止して、赤外線ヒータ6をオフにする。
制御部14は、発熱量調整スイッチ12におけるつまみ40の状態に応じ、各赤外線ヒータ6へ供給される電力の大きさを変更して、赤外線ヒータ6の点灯強度を調節する。
【0024】
台STは、金属製であり、上中下3段の空間部を有する。
台STの上段には、加熱調理器1のシャーシ2が設置される。
台STの中段には、開いたリッド18が配置される。リッド18が開かれると、リッド脚18Fが、上下左右に広がる姿勢となり、台STの中段の底板に接触して、リッド18を開いた状態で保持する。図1に、開いた状態のリッド18が示される。他の図では、リッド18は、リッド脚18Fを含め、閉じている。
台STの下段には、制御部14が設置される。台STの下段の下方にも空間が存在し、制御部14は床から離れる。
尚、台STの上段後側等において、水道の蛇口が設けられても良い。
【0025】
台STの右後には、柱Pを介して電力計WMが設置されている。電力計WMは、左右方向の軸を中心とした回転により姿勢変化可能に設けられる(図2の二点鎖線参照)。
電力計WMは、現在の消費電力を報知するものである。電力計WMは、制御部14と接続されている。
尚、電力計WMの配置は、右後の柱P上以外であっても良い。又、電力計WMは、回転可能でなくても良い。更に、電力計WMは、メモリーボタン及びメモリー表示ボタンを備えても良く、メモリーボタンの押下時の消費電力を記憶し、メモリー表示ボタンの押下により所定時間記憶された消費電力を表示しても良い。又、電力計WMは、時刻を表示する時計、及び設定時間の経過を放置するタイマーの少なくとも一方であっても良い。更に、制御部14は、電力計WMの状態に応じ、各種の制御を実行しても良い。例えば、制御部14は、電力計WMにおいて現在の消費電力が所定値以上となると、各赤外線ヒータ6を消灯したり減灯したりしても良い。
【0026】
以下、このような加熱調理器1等の動作例が説明される。
ユーザは、所望の加熱対象CPを五徳3上に置き、点灯スイッチ8を操作する。すると、各赤外線ヒータ6が、最大の電力において点灯する。
この場合、赤外線ヒータ6には、何れも、1500W(ワット)の電力が印加される。6本の赤外線ヒータ6により、9kW相当の熱が発せられる。各赤外線ヒータ6における電力から熱への変換効率は、炭素質発熱体22の採用等により、100%に近く、極めて良好である。又、各赤外線ヒータ6は、炭素質発熱体22の採用等により、電力供給の開始後、極めて短時間で最大熱量に到達する。更に、各赤外線ヒータ6は、石英ガラス製の外管20及び内管23並びに炭素質発熱体22の採用等により、シーズヒータで見られるようなオーバーシュートを起こし難いし、シーズヒータより軽量となる。
又、炭素質発熱体22の姿勢が水平であるから、各赤外線ヒータ6から放射される赤外線は、上下方向に集中する。その内、上方に放射される赤外線は、加熱対象CPの加熱に直接寄与する。又、下方等に放射される赤外線は、各耐火レンガ4の加熱に寄与し、間接的に加熱対象CPの加熱に寄与する。各耐火レンガ4は、赤外線による輻射熱を蓄積し、徐放する。
更に、赤外線の性質により、ガス火による加熱に比べ、周囲に逃げる熱が少ない。よって、6本の赤外線ヒータ6による9kW相当での加熱対象CPの加熱は、20000kcalのガス火による加熱を上回る。
【0027】
ユーザは、適宜発熱量調整スイッチ12を操作して熱量を調整し、加熱対象CPによる加熱調理を行う。各赤外線ヒータ6における発熱量調整スイッチ12の切替に対する追従性(電力変化への追従性)は、炭素質発熱体22の採用等により、迅速である。又、ユーザは、炭素質発熱体22の明るさ等により、熱量の度合を体感可能である。
制御部14は、発熱量調整スイッチ12の切替に応じ、各赤外線ヒータ6への電力を均等に増減する。尚、制御部14は、各赤外線ヒータ6への電力を不均等に増減しても良い。例えば、制御部14は、前後方向における中央2本の赤外線ヒータ6への電力を、他の赤外線ヒータ6への電力に比べて先に減少させても良い。
加熱対象CPは、赤外線により、電磁誘導加熱(IH)に比べて非局所的に加熱される。ユーザは、ガス火の場合と同様に全体的に加熱された加熱対象CPにより、調理をより良好に行える。
又、ユーザは、電力計WMの使用により、消費電力等を把握可能である。
【0028】
ユーザは、加熱対象CPによる加熱調理に区切りがついたら、消灯スイッチ10を操作する。すると、各赤外線ヒータ6が消灯する。
各赤外線ヒータ6の消灯は、炭素質発熱体22の採用等により、迅速である。
更に、各赤外線ヒータ6の再点灯が素早く行えること、又耐火レンガ4が熱を徐放することにより、ユーザは、ガス火の場合のように保温のため加熱対象CPを弱火で熱し続ける必要がなく、こまめに各赤外線ヒータ6をオフにできる。よって、加熱調理器1は、より安全で経済的なものとなる。
加えて、加熱調理器1は、かようにこまめなオフが可能であること、又周囲に逃げる熱が少ないことにより、調理場の温度上昇を起こし難い。よって、ユーザは、ガス火の場合に比べ、より暑くない環境で調理することができる。
【0029】
又、ユーザは、耐火レンガ4が冷めた場合等において、リッド18を開き、耐火レンガ4の外面に落下した食材を取り除く等、加熱調理器1の内部を清掃することができる。
【0030】
かような第1形態に係る加熱調理器1は、次のような作用効果を奏する。
即ち、加熱調理器1は、通電により赤外線を放射する炭素質発熱体22を有する各赤外線ヒータ6を備えている。よって、シーズヒータ及びハロゲンヒータより熱量が向上し、中華料理用ガスコンロの熱量に匹敵しあるいはその熱量を実質的に上回る加熱調理器1が提供される。
更に、各赤外線ヒータ6(がいし24と外管20の接続部)に防水加工が施されている。よって、各赤外線ヒータ6に食材等が接触したとしてもより容易に除去可能であり、加熱調理器1の清掃がより容易である。
又、各赤外線ヒータ6を保持するシャーシ2と、シャーシ2に保持される各耐火レンガ4と、を備えている。よって、各赤外線ヒータ6がオフにされても、食材を焦がさない程度、又環境温度を上昇させない程度に調整可能な保温が提供され、各赤外線ヒータ6がこまめにオフにされた場合の使い勝手がより良くなる。
又更に、シャーシ2は、開閉可能なリッド18を有している。よって、加熱調理器1の清掃がより容易である。
加えて、各炭素質発熱体22は、蛇行する形状を有している。よって、より熱量が向上した加熱調理器1が提供される。
又、各赤外線ヒータ6は、石英ガラス製の外管20及び各内管23を有している。石英ガラス製の外管20及び各内管23の各融点は、約1600℃である。よって、高温にも十分耐えられる赤外線ヒータ6、ひいては加熱調理器1が提供される。
【0031】
[第2形態]
赤外線ヒータの一部及び操作部を除いて上記第1形態と同様に成る本発明の第2形態が、以下説明される。第1形態と同様の部材及び部分等について、第1形態と同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
図7は、本発明の第2形態に係る加熱調理器101及びその台STの前面図である。図8は、図7の左側面図である。図9は、図7の上面図である。
加熱調理器101は、台STに置かれている。
【0032】
加熱調理器101は、2本の赤外線ヒータ6と、4本の赤外線ヒータ106を有している。最前方及び最後方の赤外線ヒータ6の間に、4本の赤外線ヒータ106が配置されている。
図10にも示される各赤外線ヒータ106は、炭素質発熱体22が炭素質発熱体122とされたことを除き、第1形態の赤外線ヒータ6と同様に成る。尚、赤外線ヒータ106は、第1形態の赤外線ヒータ6と同様の変更例を適宜有する。
炭素質発熱体122は、各炭素質板122Pにおけるスリットのピッチが中央部と他の部分とで変えられており、中央部のピッチが広く、他の部分のピッチが狭くされている。よって、各炭素質板122Pの中央部の蛇行形状部分の幅が比較的に大きく(幅広部122B)、各炭素質板122Pの中央部以外の蛇行形状部分の幅が比較的に小さくなっている(左右の幅狭部122N)。幅広部122Bの電気抵抗(発熱量)は、各幅狭部122Nの電気抵抗(発熱量)より小さく、幅広部122Bの定格発熱量は300Wであり、幅広部122Bの定格発熱温度は950℃であり、各幅狭部122Nの定格発熱量は600Wであり、各幅狭部122Nの定格発熱温度は1075℃である。
幅広部122Bは、第1発熱部に相当し、各幅狭部122Nは、第1発熱部より発熱量の大きい第2発熱部に相当する。
各炭素質板122Pは、赤外線ヒータ6の炭素質板22Pと同様、内管23に覆われる。
赤外線ヒータ106全体の電圧,電力は、200V,1500Wである。
尚、炭素質板122Pの幅の大小以外により、第1発熱部及び第2発熱部が形成されても良い。又、第1発熱部の配置は、第2発熱部の間に限られない。更に第2発熱部より発熱量の大きい第3発熱部が設けられても良く、同様にして第k発熱部より発熱量の大きい第k+1発熱部(k=[3]又は[3,4]又は[3,4,5]・・・)が設けられても良い。
【0033】
合計6本の赤外線ヒータ6,106が前後に並ぶことで、矩形状となる幅広部122Bの集合(第1発熱部群)を取り囲む、幅狭部122Nの集合及び炭素質発熱体22(第1発熱部群より発熱量の大きい第2発熱部群)が設けられる。
特に、合計6本の赤外線ヒータ6,106による第1発熱部群及びこれより発熱量の大きい第2発熱部群の設置は、下面の丸い中華鍋CP1に対して有効である。即ち、中華鍋CP1は、その中央部に対し比較的に近い距離で向かい合う第1発熱部群と、その周辺部に対し比較的に遠い距離で向かい合う第2発熱部群とで加熱され、より均一に加熱される。又、第1発熱部群及び第2発熱部群の設置は、平底の鍋CP2に対しても、炎口を円形に配置したバーナーと同様である、効率良い加熱をもたらす。
尚、第1発熱部群及び第2発熱部群の各形状は、上記のものに限られない。例えば、第1発熱部群は、楕円状であっても良い。
【0034】
加熱調理器101の操作部142は、ユーザの手元の本体操作部142Aと、ユーザの足元の外部操作部142Bとに分かれている。
本体操作部142Aは、シャーシ2の前面右上に配置され、発熱量調整スイッチ112を有する。発熱量調整スイッチ112は、制御部14に接続されている。発熱量調整スイッチ112は、前方への短押し(所定時間(例えば1秒間)未満の押し操作)により、4段階で切り替わる。発熱量調整スイッチ112の切り替わりは、短押し毎に、1段階目、2段階目、3段階目、4段階目となり、更に1段階目に戻って適宜繰り返される。他方、発熱量調整スイッチ112は、前方への長押し(所定時間以上にわたり係属される押し操作)により、長押しモードに切り替わる。
外部操作部142Bは、制御部14又はその周囲に配置され、点灯スイッチ108及び消灯スイッチ110、並びにフットスイッチ111を含む。尚、フットスイッチ111は、省略されても良い。点灯スイッチ108,消灯スイッチ110は、制御部14の前面に設けられることを除き、第1形態の点灯スイッチ8,消灯スイッチ10と同様に成る。フットスイッチ111は、ユーザの足で操作可能なスイッチであり、床に置かれ、制御部14にコードを介して接続され、発熱量調整スイッチ112と共通して段階を切り替える。但し、前方への押下操作が、足の踏み込みによる押し操作に代わる。
【0035】
以下、加熱調理器101の動作例が説明される。
制御部14は、点灯スイッチ108の操作により加熱調理器101の電源をオンとし、各赤外線ヒータ6,106を点灯する。制御部14は、電源オン時、発熱量調整スイッチ112及びフットスイッチ111の切替状態を1段階目とする。制御部14は、発熱量調整スイッチ112等の1段階目の切替状態において、各赤外線ヒータ6,106に最大の電力を供給する。各赤外線ヒータ6,106は、最大の発熱量で発熱する。
ユーザが発熱量調整スイッチ112又はフットスイッチ111を短押し操作すると、発熱量調整スイッチ112等の切替状態が2段階目となる。制御部14は、2段階目に対応して、各赤外線ヒータ6,106の発熱量を中程度とする。
更にユーザが発熱量調整スイッチ112又はフットスイッチ111を短押し操作すると、発熱量調整スイッチ112等の切替状態が3段階目となる。制御部14は、3段階目に対応して、各赤外線ヒータ6,106の発熱量を更に弱くする。
以上の強中弱のどの段階においても、各赤外線ヒータ6,106は、幅狭部122Nの集合の発熱量よりその周囲の発熱量が大きい状態で発熱する。
又更にユーザが発熱量調整スイッチ112又はフットスイッチ111を短押し操作すると、発熱量調整スイッチ112等の切替状態が4段階目となる。制御部14は、4段階目に対応して、各赤外線ヒータ6,106への電力供給を停止し、消灯スイッチ110の操作時と同様、加熱調理器101の電源をオフにする。
更にユーザが発熱量調整スイッチ112又はフットスイッチ111を短押し操作すると、発熱量調整スイッチ112等の切替状態が1段階目に戻る。
【0036】
他方、段階にかかわらず、発熱量調整スイッチ112又はフットスイッチ111が長押し操作により長押しモードに切り替わると、制御部14は、加熱調理器101の電源をオフにする。
尚、各種の操作、段階、及び制御の少なくとも何れかは、上記のものから変更することができる。例えば、発熱量調整スイッチ112及びフットスイッチ111による切替の段階数は、3以下であっても良いし、5以上であっても良い。発熱量調整スイッチ112とフットスイッチ111とで異なる制御がなされても良い。長押しによるモード切替が省略されても良い。押し操作に代えて、引き操作が用いられても良い。押し操作と引き操作とが可能とされ、引き操作時に長押しモードに相当するモードに切り替えられても良い。制御部14は、発熱量調整スイッチ112又はフットスイッチ111による4段階目への切替及び長押しモードへの切替時に、各赤外線ヒータ6,106以外の通電を確保した待機状態とし、消灯スイッチ110の操作時に、加熱調理器101全体の通電を停止した完全な電源オフ状態としても良い。長押しモード時に、長押しが維持される時間内において、各赤外線ヒータ6,106の発熱量が無段階で切り替わっても良い。
【0037】
かような第2形態に係る加熱調理器101は、第1形態と同様の作用効果を奏する他、更に次のような作用効果を奏する。
即ち、加熱調理器101では、各炭素質発熱体122は、幅広部122Bと、幅広部122Bより発熱量の大きい各幅狭部122Nと、を有している。よって、複数の発熱量に係る発熱部分が提供され、主な加熱対象CPをより効率良く加熱するための各種発熱部分の配置が可能となる。
又、各赤外線ヒータ6,106への電力を、ユーザの足での操作により調整するフットスイッチ111が設けられている。よって、ユーザの両手が加熱対象CPの操作といった調理等により塞がれていた場合においても、各赤外線ヒータ6,106の発熱量を調整することができ、より操作性の良好な加熱調理器101が提供される。
【0038】
尚、本発明の上記形態又は変更例は、更に次の変更例を適宜有する。
シャーシ2が耐熱プラスチック製とされる等、各種の部材又は部分の材質が変更されても良い。
赤外線ヒータ6,106の合計が5個以下あるいは7個以上とされたり、耐火レンガ4がシャーシ2の底面のみに配置されたりする等、各種の部材又は部分の個数及び配置の少なくとも一方が変更されても良い。各種の部材又は部分の個数の変更には、0個とすること、即ち各種の部材又は部分の省略が含まれても良い。
第2形態において、1以上の赤外線ヒータ106のみが用いられても良いし、赤外線ヒータ6,106と異なる1以上の別種の赤外線ヒータ、即ち3種以上の赤外線ヒータが用いられても良い。
第1形態において第2形態の各種の構成要素の何れかが導入されても良いし、第2形態において第1形態の各種の構成要素の何れかが導入されても良い。例えば、第2形態において、第1形態の電力計WMが設けられても良い。第1形態において、赤外線ヒータ106が用いられても良い。第1形態において、第2形態の発熱量調整スイッチ112及びフットスイッチ111の少なくとも一方が設けられても良い。第1形態の発熱量調整スイッチ12が、第2形態の発熱量調整スイッチ112に差し替えられても良い。第2形態において、発熱量調整スイッチ112が、第1形態の発熱量調整スイッチ12に差し替えられ、あるいは第1形態の発熱量調整スイッチ12と共に設けられても良い。
【符号の説明】
【0039】
1,101・・加熱調理器、2・・シャーシ、4・・耐火レンガ、6,106・・赤外線ヒータ、18・・リッド、20・・石英ガラス管、22,122・・炭素質発熱体、111・・フットスイッチ、122B・・幅広部(第1発熱部)、122N・・幅狭部(第2発熱部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10