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特開2023-51831冷媒検出アセンブリ、および冷蔵コンテナシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051831
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】冷媒検出アセンブリ、および冷蔵コンテナシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20230404BHJP
   G01M 3/04 20060101ALI20230404BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230404BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F25B49/02 520M
G01M3/04 T
F25D11/00 101D
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154399
(22)【出願日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】63/250,391
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.バーンクラント
(72)【発明者】
【氏名】マーシン ピエチ
【テーマコード(参考)】
2G067
3L045
【Fターム(参考)】
2G067AA11
2G067BB12
2G067BB22
2G067CC01
2G067DD17
2G067DD18
3L045AA05
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】 改良された冷媒検出アセンブリを提供する。
【解決手段】 空気と混合された冷媒を検出するように動作可能な冷媒検出アセンブリは、ハウジングを取り囲む周囲大気と開口部を介して流体接続された内部空洞を有するハウジングを含む。内部空洞内に取り付けられたサブアセンブリは、内部空洞と流体接続された空気室、空気室に動作可能に結合された非分散型赤外線センサ、プリント回路基板、及びプリント回路基板に機械的及び熱的に結合された熱伝導プレートを含む。サブアセンブリの一部分とハウジングとの間の位置で内部空洞内に少なくとも1つの断熱材が配置される。シェルは、開口部と重なる配置でハウジングに接続可能である。シェルには少なくとも1つのシェル開口部が中に形成されており、それにより流路がシェル開口部からハウジングに形成された開口部を通って内部空洞へと延び、空気室に入る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気と混合された冷媒を検出するように動作可能な冷媒検出アセンブリであって、
ハウジングであって、開口部を介して前記ハウジングを取り囲む周囲大気と流体接続された内部空洞を有する、前記ハウジングと、
前記内部空洞内に取り付けられたサブアセンブリであって、
前記内部空洞と流体接続されている空気室と、
前記空気室に動作可能に結合された非分散型赤外線センサと、
前記非分散型赤外線センサに動作可能に結合されたプリント回路基板と、
前記プリント回路基板に機械的及び熱的に結合された熱伝導プレートと、
を備える、前記サブアセンブリと、
前記サブアセンブリの一部分と前記ハウジングとの間の位置で前記内部空洞内に配置された少なくとも1つの断熱材と、
前記開口部と重なる配置で前記ハウジングに接続可能なシェルであって、その中に形成された少なくとも1つのシェル開口部を有し、それにより流路が前記シェル開口部から前記ハウジング内に形成された前記開口部を通って前記内部空洞へと延び、前記空気室に入る、前記シェルと、
を備える、前記冷媒検出アセンブリ。
【請求項2】
前記非分散型赤外線センサが光源及び検出器要素を含み、前記光源及び前記検出器要素は前記プリント回路基板に取り付けられている、請求項1に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項3】
前記空気室が前記プリント回路基板の第1の側に隣接して配置され、前記熱伝導プレートが前記プリント回路基板の第2の、対向する側に隣接して配置される、請求項1に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項4】
前記サブアセンブリが、前記非分散型赤外線センサに動作可能に結合された少なくとも1つの能動加熱要素をさらに備える、請求項1に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項5】
前記空気室が、上部センサカバーと下部センサカバーとの間に画定され、前記上部センサカバー及び前記下部センサカバーのうちの少なくとも1つは、その中に形成された穴を有し、前記サブアセンブリが、前記穴と重なり合うように配置されたフィルムをさらに備え、前記フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である、請求項4に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項6】
前記開口部と重なり合うように配置されたフィルムをさらに備え、前記フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である、請求項1に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項7】
前記ハウジングがカバー及び底部をさらに備え、前記少なくとも1つの断熱材が、前記サブアセンブリと前記カバーとの間に配置された第1の断熱材及び前記サブアセンブリと前記カバーとの間に配置された第2の断熱材をさらに備える、請求項1に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の断熱材及び前記第2の断熱材のうちの少なくとも1つが、その中に受容可能な前記サブアセンブリの対応する部分と相補的な溝を有する、請求項7に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの断熱材が、前記シェルと前記ハウジングとの間に配置されたシェル断熱材をさらに備える、請求項1に記載の冷媒検出アセンブリ。
【請求項10】
冷蔵コンテナシステムであって、
内部を循環する冷媒を有する閉ループ冷媒回路を含む冷蔵システムと、
前記冷蔵システムと流体連通して配置された貨物領域を有するコンテナと、
空気と混合された前記閉ループ冷媒回路からの冷媒を検出するように動作可能な冷媒検出アセンブリであって、
内部空洞及び開口部を有し、それにより流路が前記開口部から前記内部空洞内に延びる、ハウジングと、
前記内部空洞内に配置されたサブアセンブリであって、
前記内部空洞に流体接続された空気室と、
前記空気室に動作可能に結合された非分散型赤外線センサと、
前記非分散型赤外線センサに動作可能に結合されたプリント回路基板と、
前記プリント回路基板に熱的に結合された熱伝導プレートと、
を含む、前記サブアセンブリと、
前記サブアセンブリを前記内部空洞内に取り付けるための少なくとも1つの断熱材と、
を備える、前記冷媒検出アセンブリと、
を備える、前記冷蔵コンテナシステム。
【請求項11】
前記冷蔵システムが蒸発器コイルを含み、前記冷媒検出アセンブリが前記蒸発器コイルに隣接して取り付けられる、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項12】
前記蒸発器コイルが、蒸発器ハウジング内に配置された少なくとも1つのチューブを含み、前記冷媒検出アセンブリが前記蒸発器ハウジングに取り付けられる、請求項11に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項13】
前記コンテナが、船舶によって輸送可能な貨物コンテナである、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項14】
前記冷媒検出アセンブリが、可燃性下限の100%にさらされてから10秒以内に前記閉ループ冷媒回路内の漏れを検出するように動作可能である、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項15】
前記非分散型赤外線センサによって測定された前記冷媒が可燃性下限の少なくとも25%であるとき、前記冷媒検出アセンブリが前記閉ループ冷媒回路内の漏れを検出する、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項16】
前記非分散型赤外線センサが前記プリント回路基板と一体的に形成される、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項17】
前記サブアセンブリが、前記非分散型赤外線センサに動作可能に結合された少なくとも1つの能動加熱要素をさらに備える、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項18】
前記空気室が、上部センサカバーと下部センサカバーとの間に画定され、前記上部センサカバー及び前記下部センサカバーのうちの少なくとも1つは、その中に形成された穴を有し、前記サブアセンブリが、前記穴と重なり合うように配置されたフィルムをさらに備え、前記フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である、請求項17に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項19】
前記冷媒検出アセンブリが、前記開口部と重なる配置で前記ハウジングに接続可能なシェルであって、その中に形成された少なくとも1つのシェル開口部を有し、それにより流路が前記シェル開口部から前記ハウジング内に形成された前記開口部を通って前記内部空洞へと延び、前記空気室に入る、前記シェルをさらに備える、請求項10に記載の冷蔵コンテナシステム。
【請求項20】
前記シェルと前記ハウジングとの間に配置された少なくとも1つのシェル断熱材と、
前記開口部と重なり合うように配置されたフィルムであって、気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である前記フィルムと、
をさらに備える、請求項19に記載の冷蔵コンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、冷蔵システムに関し、より具体的には、検出アセンブリ、及び中度から低度の地球温暖化係数(GWP)冷媒の漏れを検出するためにこの検出アセンブリを組み込んだ冷蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発冷却、対流冷却、または電熱冷却などの固体冷却を含むがこれらに限定されない、冷却用途のための多種多様な技術が存在する。住宅用及び商業用の冷蔵及び空調に使用されている最も一般的な技術の1つは、蒸気圧縮冷媒熱伝達ループである。歴史的に、R134AやR410Aなど、このようなシステムで一般的に使用されている冷媒は、高いGWPを有している。これらの冷媒は効果的な冷却剤であるが、環境に与え得る影響により、GWP値が中度から低度の新しい冷媒を代わりに使用するという要件が制定されている。
【0003】
しかしながら、中度から低度のGWP冷媒(つまり、A2L冷媒)は軽度の可燃性である可能性があるため、空調システムでの使用は対処が必要なリスクをもたらす可能性がある。特に、空調システムで冷媒漏れが発生する可能性がある限り、A2L冷媒が暖房、換気、空調、及び冷蔵(HVAC&R)製品及びその他の同様のシステムにおいて使用されているときは、環境的に堅牢な漏れ検出システムを備えることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点が改良された、冷媒検出アセンブリおよび冷凍コンテナシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、空気と混合された冷媒を検出するように動作可能な冷媒検出アセンブリは、ハウジングを取り囲む周囲大気と開口部を介して流体接続された内部空洞を有するハウジングを含む。内部空洞内に取り付けられたサブアセンブリは、内部空洞と流体接続された空気室、空気室に動作可能に結合された非分散型赤外線センサ、非分散型赤外線センサに動作可能に結合されたプリント回路基板、及びプリント回路基板に機械的及び熱的に結合された熱伝導プレートを含む。サブアセンブリの一部分とハウジングとの間の位置で内部空洞内に少なくとも1つの断熱材が配置される。シェルは、開口部と重なる配置でハウジングに接続可能である。シェルには少なくとも1つのシェル開口部が中に形成されており、それにより流路がシェル開口部からハウジングに形成された開口部を通って内部空洞へと延び、空気室に入る。
【0006】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、非分散型赤外線センサは、光源及び検出器要素を含み、光源及び検出器要素はプリント回路基板に取り付けられる。
【0007】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、空気室はプリント回路基板の第1の側に隣接して配置され、熱伝導プレートはプリント回路基板の第2の、対向する側に隣接して配置される。
【0008】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、サブアセンブリは、非分散型赤外線センサに動作可能に結合された少なくとも1つの能動加熱要素をさらに備える。
【0009】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、上部センサカバー及び下部センサカバーとの間に空気室が画定され、上部センサカバー及び下部センサカバーのうちの少なくとも1つはその中に形成された穴を有し、サブアセンブリは、穴と重なり合うように配置されたフィルムをさらに備え、フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である。
【0010】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、開口部と重なり合うように配置されたフィルムを備え、フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である。
【0011】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、ハウジングはカバー及び底部をさらに備え、少なくとも1つの断熱材は、サブアセンブリとカバーとの間に配置された第1の断熱材及びサブアセンブリとカバーとの間に配置された第2の断熱材をさらに備える。
【0012】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、第1の断熱材及び第2の断熱材の少なくとも1つは、その中に受容可能なサブアセンブリの対応する部分と相補的な溝を有する。
【0013】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、少なくとも1つの断熱材は、シェルとハウジングとの間に配置されたシェル断熱材をさらに備える。
【0014】
一実施形態によれば、冷蔵コンテナシステムは、内部を循環する冷媒を有する閉ループ冷媒回路を含む冷蔵システムと、冷蔵システムと流体連通して配置された貨物領域を有するコンテナとを含む。冷媒検出アセンブリは、空気と混合された閉ループ冷媒回路からの冷媒を検出するように動作可能である。冷媒検出アセンブリは、内部空洞及び開口部を有するハウジングと、内部空洞内に配置されたサブアセンブリとを含み、それにより流路が開口部から内部空洞内に延在する。サブアセンブリは、内部空洞に流体接続された空気室、空気室に動作可能に結合された非分散型赤外線センサ、非分散型赤外線センサに動作可能に結合されたプリント回路基板、及びプリント回路基板に熱的に結合された熱伝導プレートを含む。サブアセンブリを内部空洞内に取り付けるために、少なくとも1つの断熱材が使用される。
【0015】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、冷蔵システムは蒸発器コイルを含み、冷媒検出アセンブリは蒸発器コイルに隣接して取り付けられる。
【0016】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、蒸発器コイルは、蒸発器ハウジング内に配置された少なくとも1つのチューブを含み、冷媒検出アセンブリは蒸発器ハウジングに取り付けられる。
【0017】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、コンテナは船舶によって輸送可能な貨物コンテナである。
【0018】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、冷媒検出アセンブリは、可燃性下限の100%にさらされてから10秒以内に閉ループ冷媒回路内の漏れを検出するように動作可能である。
【0019】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、非分散型赤外線センサによって測定された冷媒が可燃性下限の少なくとも25%であるとき、冷媒検出アセンブリは、閉ループ冷媒回路内の漏れを検出する。
【0020】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、非分散型赤外線センサは、プリント回路基板と一体的に形成される。
【0021】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、サブアセンブリは、非分散型赤外線センサに動作可能に結合された少なくとも1つの能動加熱要素をさらに備える。
【0022】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、上部センサカバー及び下部センサカバーとの間に空気室が画定され、上部センサカバー及び下部センサカバーのうちの少なくとも1つはその中に形成された穴を有し、サブアセンブリは、穴と重なり合うように配置されたフィルムをさらに備え、フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である。
【0023】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、冷媒検出アセンブリは、開口部と重なる配置でハウジングに接続可能なシェルをさらに備え、シェルにはその中に少なくとも1つのシェル開口部が形成されて、それにより流路がシェル開口部から、ハウジングに形成された開口部を通って内部空洞へ、そして空気室へと延びる。
【0024】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または前述の実施形態のいずれかの代替として、シェルとハウジングとの間に配置された少なくとも1つのシェル断熱材と、開口部と重なり合うように配置されたフィルムとを備え、フィルムは気体に対して透過性であり、液体に対して不透過性である。
【0025】
以下の説明は、決して限定と見なされるべきではない。添付の図面を参照すると、同様の要素には同様の番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】輸送用冷蔵ユニットの一例の概略図である。
図2】コンテナの貨物領域を冷却するための例示的な冷蔵システムの概略図である。
図3】一実施形態による例示的な冷蔵検出アセンブリの斜視図である。
図4】一実施形態による例示的な冷蔵検出アセンブリの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
開示される装置及び方法の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明が、図面を参照して、限定ではなく例証によって本明細書に提示される。
【0028】
ここで図1を参照すると、輸送用冷蔵システム20の例が示されている。図示の非限定的な実施形態では、輸送用冷蔵システムはトレーラシステムとして示されている。図示のように、冷蔵コンテナシステム20は、オペレータのコンパートメントまたはキャブ26を含み、システム20のドライブトレインシステムとして機能するエンジン(図示せず)も含むトラクタ24によって牽引またはそうでなければ輸送される、貨物コンテナまたはトレーラ22を含む。冷蔵ユニット30は、コンテナ22の貨物スペースを冷却することによって、コンテナ22内に置かれた貨物を選択された温度に維持するように構成される。図示のように、冷蔵ユニット30は通常、コンテナ22の前壁28に取り付けられる。冷蔵ユニット30及び貨物コンテナ22は一緒に、冷蔵コンテナシステムを形成することができる。本明細書に記載の実施形態は、例えば、鉄道、海上(船舶を介して)または任意の他の適切なコンテナによって輸送される輸送用コンテナなどの、任意の輸送冷蔵システムにトラクタ24を使用せずに適用できることを当業者は理解するはずである。
【0029】
図2を参照すると、冷蔵ユニット30の基本的な冷蔵回路が示されている。冷蔵ユニット30は、凝縮器セクション30aと蒸発器セクション30bの2つのセクションに分割される。凝縮器セクション30aは、コンテナ22の前壁のほぼ前方に配置することができ、トレーラ22及び冷蔵ユニット30の外部の周囲大気と流体連通して配置され、空気及び熱を交換する。蒸発器セクション30bは、トレーラ22内の温度を制御するために周囲大気と流体連通していない。冷蔵ユニット30は、閉ループシステムを形成するように互いに流体接続された圧縮機32、凝縮器コイル34、膨張装置36、及び蒸発器コイル38を含む。例えば冷媒などの流体Rは、圧縮機32から凝縮器コイル34、膨張装置36、及び蒸発器コイル38に直列に流れるように構成される。凝縮器モータ(図示せず)によって駆動されるような凝縮器ファン40は、凝縮器コイル34の外部を横切って空気の流れを移動させるように構成され、蒸発器モータ(図示せず)によって駆動されるような蒸発器ファン42を使用して、蒸発器コイル38の外部を横切って流体(空気)の流れを駆動することができる。
【0030】
一実施形態では、冷蔵ユニット30内を循環する冷媒Rは、A2L冷媒である。冷媒の分類は、American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning (ASHRAE) Standard 34に基づいている。この規格は、各冷媒の可燃性と毒性を評価し、文字と数字の組み合わせとして参照されるクラスを与える。この文字は冷媒の毒性を示しており、特定の冷媒の職業暴露限界(occupational exposure limit、OEL)に基づいている。文字に隣接する数字は冷媒の可燃性を表し、特定の冷媒の燃焼速度(burning velocity、BV)、燃焼熱(heat of combustion、HOC)、及び可燃性下限(lower flammability limits、LFL)に基づいている。
【0031】
引き続き図2を参照すると、冷蔵ユニット30の閉ループ冷媒回路内の冷媒Rは、まれに漏れることがある。冷蔵ユニット30でA2L冷媒を利用するとき、冷媒Rの漏れは、A2L冷媒の穏やかな可燃性のために、望ましくない結果をもたらす可能性がある。したがって、一実施形態では、冷蔵ユニット30は、その中の冷媒漏れを検出するように動作可能な少なくとも1つの冷媒検出アセンブリ50を含む。例えば、蒸発器セクション30bは、少なくとも1つの冷媒検出アセンブリ50を含む。少なくとも1つの冷媒検出アセンブリ50は、蒸発器コイル38の少なくとも1つのチューブ44の外部に位置する気体冷媒を検出するために、蒸発器コイル38の蒸発器ハウジングに取り付けることができる。しかしながら、冷蔵ユニット30またはコンテナ22に対して任意の適切な位置に冷媒検出アセンブリ50が代替的または追加的に配置され、その中の漏れを検出する実施形態は、本開示の範囲内である。一実施形態では、冷媒検出アセンブリ50は、100%可燃性下限(LFL)にさらされてから10秒以内に漏れを検出することを可能にする。別の実施形態では、冷媒検出アセンブリ50は、25%可燃性下限(LFL)にさらされてから30秒以内に漏れを検出することを可能にする。冷媒の可燃性下限(LFL)は、冷媒が潜在的に可燃性になるために必要な最小濃度限界である。本明細書に記載の冷媒検出アセンブリ50は、冷媒検出アセンブリ50がサンプル中の少なくとも5~50%のLFLを検出するとき、少なくとも1つのA2L冷媒の漏れを検出可能であり得ることが想定される。
【0032】
冷媒検出アセンブリ50の例が、図3~4により詳細に示されている。冷媒検出アセンブリ50は、ハウジング52を含む。図示の非限定的な実施形態では、冷媒検出アセンブリ50は、ハウジング52上の取り付け穴52bを使用して、冷媒ユニット30に機械的に一体化または結合するように構成される。さらに、冷媒検出アセンブリ50は、ハウジング52上のコネクタ52aを介して冷媒ユニット30と電気的に一体化するように構成され得る。一例として、取り付け穴52b及びコネクタ52aは、材料52の連続片として形成される。
【0033】
図示の非限定的な実施形態では、ハウジング52は、サイズ及び形状が全般に相補的な別個のカバー54及びベース56から形成される。カバー54及びベース56は、例えばプラスチックまたは樹脂などの耐久性のある材料から形成することができる。カバー54は、複数のファスナを介するなどしてベース56に取り外し可能に結合されてもよいし、あるいは、ベース56に永続的に取り付けられてもよい。一実施形態では、ベース56は、底部58と、底部58から延びる複数の側壁60を有し、それにより底部58と複数の側壁60との間に内部空洞62が画定される。したがって、カバー54は、空洞62を密閉するために、複数の側壁60の遠位端に結合するように構成され得る。しかしながら、空洞62がカバー54に形成される実施形態、及び空洞62がカバー54とベース56との組み合わせによって画定される実施形態もまた、本明細書において企図されることを理解されたい。
【0034】
サブアセンブリ64は、ハウジング52の空洞62内に設置することができる。サブアセンブリ64は、内部空気室を画定するハウジング65を含む。一実施形態では、ハウジング65は、取り外し可能にまたは永続的に結合された上部センサカバー66及び対応する下部センサカバー68から形成される。上部センサカバー66及び下部センサカバー68の少なくとも1つは、その中に形成された開口部または穴70を有する。結合された構成では、上部及び下部センサカバー66、68は、その間に空気室72を画定し、空気室72は開口部70と流体接続される。
【0035】
さらに、例えば、非分散型赤外線(NDIR)センサなどのセンサを空気室72に関連付けることができる。当技術分野で知られているように、NDIRセンサは、光、例えば赤外光を使用して、光路内の気体分子の吸収特性を評価するように構成されている。気体濃度と吸収強度の関係(ランベルト・ベールの法則)を利用して、気体分子を同定し、気体分子の濃度を求めることができる。一実施形態では、NDIRセンサは、例えばA2L冷媒などの冷媒分子の存在を検出するように構成される。したがって、漏れが存在するとき、空気室72内のサンプルは、空気と冷媒の混合物を含む。
【0036】
プリント回路基板74は、例えばハウジング65の底面などの部分に全般に隣接して配置される。ハウジング65内の空気室72はセンサの光路の反射空洞として機能するが、プリント回路基板74にはセンサの動作に関連する回路及び/またはコンポーネントが含まれている。一実施形態では、プリント回路基板74は、赤外線光源(図示せず)及び少なくとも1つの対応する検出器要素(図示せず)を含む。プリント回路基板74は、信号増幅及び調整電子機器をさらに含むことができる。一実施形態では、プリント回路基板74の赤外線光源及び/または他の電気部品によって生成される熱は、センサを周囲温度より高い温度に維持して結露及び/または着霜を防止するのに十分であり得る。しかしながら、他の実施形態では、プリント回路基板74は、ハウジング65全体に隣接して配置された1つまたは複数の加熱要素をさらに含む。
【0037】
プリント回路基板74は、電源に直接接続されてもよく、あるいは、冷媒検出アセンブリ50を長時間動作させるための電力を供給するのに十分な1つまたは複数のバッテリを受け入れるように適合されてもよい。そのような実施形態では、バッテリによって提供される電力は、冷媒検出アセンブリ50を動作させるために使用される唯一の電力源であってもよいし、あるいは、例えば電源での電力の障害または喪失の場合に、電源を補うものであってもよい。プリント回路基板74は、センサとコネクタ52bとの間のインタフェースを形成して、冷蔵ユニット30に、または冷蔵ユニット30から、電力及びデータを提供するように構成される。
【0038】
一実施形態では、熱伝導プレート76は、ハウジング65の対向する側のプリント回路基板74に永続的または取り外し可能に接続される。熱伝導プレート76は、1つまたは複数の加熱要素75と直接接触していてもよく、または当該加熱要素75に間接的に結合されていてもよい。熱伝導プレート76は、センサ及び/またはプリント回路基板74を周囲よりも高い温度に保ち、それによって結露及び凍結状態を防止するために、例えばアルミニウムなどの高い熱伝導率を有する材料から形成されてもよい。熱伝導プレート76は、さらに、コンテナ22の環境内の電気ノイズ及び放射からセンサ/プリント回路基板74を遮蔽するように構成されている。通気性フィルム78は、特定の要素に対して選択的に透過性があり、ハウジング65の一部分と重なり合う関係で取り付けられてもよい。一実施形態では、開口部70は、上部センサカバー66の上面に形成され、通気性フィルム78は、上部センサカバー66の上面と直接接触して重なり合う。通気性フィルム78を開口部70の上に配置することによって、気体はフィルム78を通って空気室72に浸透することができるが、ほこり、油滴、液体の形態の水分などの汚染物質が空気室72に入るのを防ぎ、プリント回路基板74の損傷を防ぐ。
【0039】
ハウジング65、プリント回路基板74、及び熱伝導プレート76によって形成されるサブアセンブリは、ハウジング52の空洞62内に受容可能である。サブアセンブリを空洞62内に配置するかまたは取り付けるために、少なくとも1つの断熱材80を使用することができる。断熱材(複数可)80に適した材料の例には、発泡スチロール及びゴムが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、少なくとも1つの第1の断熱材80が、熱伝導プレート76の遠位端とベース56の内面との間に配置される。代わりに、または加えて、少なくとも1つの第2の断熱材80がハウジング65の上部に隣接して配置されてもよい。1つまたは複数の断熱材80を含めることは、空洞62内のサブアセンブリの動きを制限し、サブアセンブリに伝達され得る振動を減衰させ、サブアセンブリの耐候性シールをさらに強化することを意図している。断熱材80はさらに、プリント回路基板74内に埋め込まれた電子機器、能動加熱要素75、及び熱伝導プレート76からの熱損失を防止することができる。
【0040】
図示のように、断熱材80は、その表面に形成された溝82を有することができ、溝82は、サブアセンブリの隣接部分と相補的である。例えば、ハウジング52のベース56に隣接して配置された断熱材80は、熱伝導プレート76とサイズ及び形状が相補的な溝82を有し、それにより熱伝導プレート76の隣接部分が溝82内に装着される。さらに、断熱材80は、1つまたは複数の加熱要素75を収容するための追加の溝を含むことができる。同様に、ハウジング52のカバー54に隣接して配置された断熱材80は、上部センサカバー66と相補的な溝を有することができ、それにより上部センサカバー66が溝内に少なくとも部分的に受け入れられる。本明細書に示され、説明される断熱材80は、例としてのみ意図されており、本明細書に説明される位置のそれぞれで2つ以上の断熱材80を使用すること、並びにサブアセンブリの周囲の他の位置に1つまたは複数の断熱材80を含めることは本開示の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0041】
ハウジング52のカバー54は、開口部と空洞62との間の流路を画定するために、その中に形成された開口部84を有する。その結果、冷媒検出アセンブリ50を取り囲む周囲大気または空気は、開口部84を通って内部空洞62及び空気室72に流れるように構成される。一実施形態では、二次カバーまたはシェル86は、ハウジング52のカバー54に接続可能である。シェル86は、開口部84と重なる配置で配置可能であり、例えば複数のファスナなどを用いて、カバー54に永続的にまたは取り外し可能に取り付けることができる。カバー54と同様に、シェル86は、その中に形成されたシェル開口部88を有し、シェル開口部88は、カバー54の開口部84と流体連通して配置される。図示の非限定的な実施形態では、シェル86は、格子を形成するように整列された複数の実質的に同一のシェル開口部88を有する。サブアセンブリを損傷や汚染からさらに保護するために、通気性フィルム90及び/または本明細書ではシェル断熱材92とも呼ばれる断熱材を、カバー54の外部とシェル86の一部分との間に配置することができる。一実施形態では、通気性フィルム90は交換可能である。
【0042】
冷媒検出アセンブリ50の構成要素は、環境堅牢性を可能にするように組み合わされている。プリント回路基板74、通気性フィルム78、90、断熱材80、及びシェル開口部88は、これらの機能を組み合わせて、水の侵入を制限し、結露の蓄積を減らすことによって、センサの動作または冷媒の検出に対する湿気の影響を減らすように設計することができる。さらに、ハウジング52の部分54、56、内部ハウジング65、シェル86、熱伝導プレート76、及び1つまたは複数の断熱材80は、結露が存在するときにそれを除去するように構成することができ、及び/または冷蔵ユニット30との流体接続を可能にしながら、機械的堅牢性を可能にするために統合されてもよい。
【0043】
「約」という用語は、出願時に利用可能である器具に基づく特定の量の測定に関連付けられた誤差の程度を含むことが意図されている。
【0044】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためのものであり、本開示を限定する意図はない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数形をも含むことが意図される。用語「備える(comprise)」及び/または「備えている(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除する訳ではないことがさらに理解されよう。
【0045】
本開示は例示の1つまたは複数の実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、均等物がその要素の代わりをする場合もあることは当業者によって理解されるであろう。加えて、本開示の必須の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正が行われる場合もある。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最適な態様として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4