(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051838
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】インク組成物、及び該インク組成物によって製造された層を含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230404BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230404BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230404BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230404BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20230404BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20230404BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230404BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H05B33/02
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
G02B5/20
G02B1/111
G09F9/30 349A
G02B5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154850
(22)【出願日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130283
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】キム スドン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム スジン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2K009
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H148AA01
2H148AA07
2H148BD25
2H148BD28
2K009CC03
2K009CC09
2K009CC21
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC37
3K107EE22
3K107EE24
3K107EE28
3K107EE32
3K107FF03
3K107FF06
3K107FF07
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA13
5C094ED03
5C094FB01
5C094GB01
5C094JA13
(57)【要約】
【課題】インク組成物、及び該インク組成物によって製造された層を含むディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態のディスプレイ装置は、散乱体、モノマー及び分散剤を含むインク組成物を及びそれによって製造された層を含み、前記インク組成物によって製造された層は、1.1~1.5の屈折率を有する。さらに、前記分散剤は、Si部分を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、Si部分を含むポリエチレン系化合物又はそれらの任意組み合わせを含み、前記モノマーは、Si部分を含むアクリレート系モノマーである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散乱体、モノマー及び分散剤を含むインク組成物であり、
前記インク組成物によって製造された層が、1.1~1.5の屈折率を有する、前記インク組成物。
【請求項2】
前記分散剤は、Si部分を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、Si部分を含むポリエチレン系化合物、又はそれらの任意組み合わせを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
前記Si部分を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、又はSi部分を含むポリエチレン系化合物が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を含む、請求項2に記載のインク組成物。
【請求項4】
前記モノマーが、Si部分を含むアクリレート系モノマーである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項5】
前記インク組成物の蒸気圧が、133.3224×10-6~133.3224×10-3Paである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
前記インク組成物の表面エネルギーが、1×10-3~20×10-3N/mである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
前記インク組成物の粘度が、1×10-3Pa・s~40×10-3Pa・sである、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項8】
前記インク組成物は、溶媒を含まない、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項9】
前記散乱体は、金属酸化物、非金属酸化物又はそれらの任意組み合わせを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項10】
前記散乱体は、チタン、銀、アルミニウム又はそれらの任意組み合わせの酸化物を含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項11】
前記インク組成物が、屈折率1.1~1.5の粒子をさらに含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項12】
前記粒子が、SiO2粒子、MgF2粒子又はそれらの任意組み合わせを含む、請求項11に記載のインク組成物。
【請求項13】
前記インク組成物が、屈折率1.1~1.5の粒子と、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物と、をさらに含み、
前記散乱体及び/又は前記粒子の表面は、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物で表面処理された、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項14】
複数の発光素子が配置された第1基板と、
前記第1基板上に、前記複数の発光素子に対応する複数の光制御手段と、
前記複数の光制御手段間に配置された複数のバンクと、を含み、
前記光制御手段のうち少なくとも一つが、散乱体、モノマー及び分散剤を含むインク組成物によって製造された層を含み、
前記層が、1.1~1.5の屈折率を有する、ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記光制御手段は、カラーフィルタ層、量子ドット層、散乱層又はそれらの任意組み合わせを含む、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記ディスプレイ装置が、屈折率1.1~1.5の低屈折率層を含み、
前記低屈折率層、及び前記インク組成物によって製造された層が隣接する、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記ディスプレイ装置が無機キャッピング層をさらに含む、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記ディスプレイ装置が、屈折率1.1~1.5の低屈折率層と、
無機キャッピング層と、をさらに含み、
前記無機キャッピング層が、前記低屈折率層と直接接触し、
前記無機キャッピング層が、前記インク組成物によって製造された層と直接接触する、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記インク組成物が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物をさらに含み、
前記散乱体の表面が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物で表面処理され、バンク表面に吸着された、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項20】
前記インク組成物が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物と、
屈折率1.1~1.5の粒子と、をさらに含み、
前記散乱体及び/又は前記粒子の表面が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物で表面処理され、バンク表面に吸着された、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に係り、特に、量子ドット層を使用するディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機発光表示装置のようなディスプレイ装置は、アノードとカソードとに注入される正孔と電子とが、発光層で再結合して発光する原理によって光を生成し、画像を実現することにより、例えば、赤色、緑色及び青色のうちいずれか一色で発光する画素を具備し、発光する画素の色の組み合わせにより、所望する色が認識される。
【0003】
そのために、各画素には、白色又は青色のような単色光を生成する発光素子と、その単色光を、赤色、緑色及び青色のうち、所望する色に変換して出光させるための光制御手段として、量子ドット層(quantum dot layer)やカラーフィルタなどが具備されている。すなわち、各画素の発光素子が単色光を生成すれば、その単色光が、量子ドット層とカラーフィルタとを通過しながら、赤色、緑色、青色のうち1つの色に変換されて出光され、そのように、適正色に出光された画素の色の組み合わせにより、所望するカラーの画像を実現するのである
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許出願公開第10-2020-0032294号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第10-2019-0066109号明細書
【特許文献3】特開2013-254093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、1.1~1.5の屈折率を有する層の製造に使用されるインク組成物、及びそれによって製造された層を含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、
散乱体、モノマー及び分散剤を含むインク組成物であり、
前記インク組成物によって製造された層が、1.1~1.5の屈折率を有するインク組成物が提供される。
【0007】
前記分散剤は、Si部分(moiety)を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、Siモイエティを含むポリエチレン系化合物、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0008】
前記Si部分を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、又はSi部分を含むポリエチレン系化合物が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を含むものであってよい。
【0009】
前記モノマーが、Si部分を含むアクリレート系モノマーであってよい。
【0010】
前記インク組成物の蒸気圧が、133.3224×10-6~133.3224×10-3Pa(10-6~10-3mmHg)であってよい。
【0011】
前記インク組成物の表面エネルギーが、1×10-3~20×10-3N/m(1~20dyne/cm)であってよい。
前記インク組成物の粘度が、1×10-3Pa・s~40×10-3Pa・s(1~40cps)であってよい。
【0012】
前記インク組成物は、溶媒を含まない。
【0013】
前記散乱体は、金属酸化物、非金属酸化物、又はそれらの任意組み合わせを含んでよい。
【0014】
前記散乱体は、チタン、銀、アルミニウム、又はそれらの任意組み合わせの酸化物であってよい。
【0015】
前記インク組成物が、屈折率1.1~1.5の粒子をさらに含んでよい。
【0016】
前記粒子が、SiO2粒子、MgF2粒子、又はそれらの任意組み合わせを含んでよい。
【0017】
前記インク組成物が、屈折率1.1~1.5の粒子;及びカルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物と、をさらに含み、
前記散乱体及び/又は前記粒子の表面が、カルボキシル酸基及び/又はアミノ基を有する前記化合物によっても表面処理される。
【0018】
他の態様によれば、
複数の発光素子が配置された第1基板と、
前記第1基板上に、前記複数の発光素子に対応する複数の光制御手段と、
前記複数の光制御手段間に配置された複数のバンクと、を含み、
前記光制御手段のうち少なくとも一つが、散乱体、モノマー及び分散剤を含むインク組成物によって製造された層を含み、
前記層が、1.1~1.5の屈折率を有するディスプレイ装置が提供される。
前記光制御手段は、カラーフィルタ層、量子ドット層、散乱層、又はそれらの任意組み合わせを含んでよい。
【0019】
前記ディスプレイ装置が、屈折率1.1~1.5の低屈折率層を含み、
前記低屈折率層、及び前記インク組成物によって製造された層は、隣接してよい。
前記ディスプレイ装置が無機キャッピング層をさらに含んでよい。
【0020】
前記ディスプレイ装置が、屈折率1.1~1.5の低屈折率層、及び無機キャッピング層をさらに含み、
前記無機キャッピング層が、前記低屈折率層と直接接触し、
前記無機キャッピング層が、前記インク組成物によって製造された層と直接接触してよい。
【0021】
前記インク組成物が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物をさらに含んでよく、
前記散乱体の表面が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物で表面処理され、該バンク表面にも吸着される。
【0022】
前記インク組成物が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物と、
屈折率1.1~1.5の粒子と、をさらに含み、
前記散乱体及び/又は前記粒子の表面が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物で表面処理され、該バンク表面にも吸着されてよい。
【0023】
前述以外の側面、特徴、利点が、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施態様によるインク組成物によって製造された層は、1.1~1.5の低屈折率を有することにより、それを含むディスプレイ装置は、側面輝度が改善されうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施態様によるディスプレイ装置の断面図である。
【
図2A】
図1に図示されたディスプレイ装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【
図2B】
図1に図示されたディスプレイ装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【
図2C】
図1に図示されたディスプレイ装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【
図2D】
図1に図示されたディスプレイ装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【
図2E】
図1に図示されたディスプレイ装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【
図2F】
図1に図示されたディスプレイ装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【
図3】本発明の他の実施態様によるディスプレイ装置の断面図である。
【
図4】本発明の他の実施態様によるディスプレイ装置において、側面輝度が改善された結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施態様を有することができるが、特定の実施態様を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施態様を参照すれば、明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下で開示される実施態様に限定されるのではなく、多様な形態にて実現される。
【0027】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施態様について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それに係る重複説明は、省略する。
【0028】
以下の実施態様において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用されている。
以下の実施態様において、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0029】
以下の実施態様において、「含む」又は「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴又は構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴又は構成要素が付加される可能性を事前に排除するものではない。
図面としては、説明の便宜のために、構成要素が、その大きさが誇張されてもあり、縮小されてもいる。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたものに限定されるものではない。
【0030】
ある実施態様が異なって実現可能である場合、特定の工程順序は、説明される順序と異なるようにも遂行される。例えば、連続して説明される2つの工程が、実質的に同時に遂行され、又は説明される順序と反対の順序にも進められる。
【0031】
以下の実施態様において、膜、領域、構成要素などが連結されているとするとき、膜、領域、構成要素が直接連結されている場合だけではなく、膜、領域、構成要素の中間に他の膜、領域、構成要素が介在され、間接連結されている場合も含む。例えば、本明細書において、膜、領域、構成要素などが電気的に連結されているとするとき、膜、領域、構成要素などが直接電気的に連結されている場合だけではなく、その中間に、他の膜、領域、構成要素などが介在され、間接的に電気的連結されている場合も含む。
【0032】
図1は、本発明の一実施態様によるディスプレイ装置の断面図である。ここにおいては、赤色、緑色、青色の3色画素の1セットだけ図示されているが、実際の製品には、そのような3色画素のセットが多数個分布されているとするものである。
【0033】
図示されているように、本実施態様のディスプレイ装置は、発光素子120が配置された第1基板110と、光制御手段である量子ドット層230R,230G、散乱層230W及びカラーフィルタ層220R,220G,220Bが配置された第2基板210とが、充填材300を介在させて組み合わされた構造によってなる。
【0034】
他の一実施形態によれば、光制御手段である量子ドット層230R,230G、散乱層230W及びカラーフィルタ層220R,220G,220Bが、発光素子120上に直接積層されてよい。例えば、第1基板に配置された発光素子120上に、光制御手段を直接積層した後、第1基板と第2基板とを組み合わせ、ディスプレイ装置を作製することができる。その場合、該光制御手段間には、バンクが存在する。
【0035】
さらに他の一実施形態によれば、第1基板に配置された発光素子120上に、光制御手段である量子ドット層230R,230G、散乱層230W及びカラーフィルタ層220R,220G,220Bを直接積層した後、第2基板なしにディスプレイ装置を作製することもできる。
【0036】
まず、前記発光素子120は、第1電極122と第2電極124との間に、発光層を含む中間層123が介在された構造を有し、2つの電極122,124から注入される正孔と電子とが、中間層内の発光層で再結合して発光する原理によって光を生成する。そのときに生成される光は、例えば、赤色画素、緑色画素、青色画素のいずれもが同一青色光を生成する。すなわち、発光素子120においては同一青色光を生成し、それを、赤色、緑色、青色に変換させる役割は、各画素の前記光制御手段が担当することになる。発光素子120に係る具体的な内容は、後述する。
【0037】
参照符号121は、第1電極122と連結された画素回路を示し、薄膜トランジスタ及びキャパシタのような要素が含まれる。そして、参照符号130は、発光素子120を覆って保護する薄膜封止層を示し、有機膜又は無機膜の単層膜でもあり、有機膜と無機膜とが相互に積層された多層膜でもある。前記無機膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素などを含むものでもあり、前記有機膜は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ヘキサメチルジシロキサン、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸など)、又はそれらの任意組み合わせ(any combination thereof)を含むものでもある。
【0038】
前記光制御手段は、量子ドット層、カラーフィルタ層、散乱層又はそれらの任意組み合わせを含むものでもある。
【0039】
前記光制御手段としては、量子ドット層230R,230G、散乱層230W及びカラーフィルタ層220R,220G,220Bが提供されるが量子ドット層230R,230Gは、発光素子120で生成された青色光を、赤色又は緑色の所望する色に変換させる役割を行い、カラーフィルタ層220R,220G,220Bは、変換された色に一部混じってもいる雑光をフィルタリングし、色純度を高める役割を行う。ここで、赤色画素と緑色画素とには、量子ドット層230R,230Gとカラーフィルタ層220R,220Gとがいずれも具備されているのに比べ、青色画素には、散乱層230W及び青色カラーフィルタ層220Bが具備されている理由は、発光素子120で生成される光が、例えば、青色光であるためである。すなわち、青色画素としては、光を変色させる必要がなく、散乱層230Wを通過させさえすればよいので、雑光フィルタリングのための青色カラーフィルタ層220Bだけ具備されているのである。
【0040】
参照符号260は、屈折率約1.2の低屈折率層を示す。従来技術の画素の量子ドット層230R,230G及び散乱層230Wは、約1.6の屈折率を有する層であった。量子ドット層230R,230G、散乱層230Wを通過した側面散乱光は、量子ドット層230R,230G及び散乱層230Wと、低屈折率層260との屈折率差により、低屈折率層260界面において全反射され、量子ドット層230R,230G及び散乱層230W内部で再散乱される。前記低屈折率層260は、側面散乱を正面散乱に変え、輝度を上昇させるための目的であった。
【0041】
しかし、画素内部において、全方向発光する量子ドット層230R,230Gと、下部光源を散乱させる散乱層230Wとの側面散乱程度において違いが生じた。その結果、正面から側面に行くほど輝度が低減されるのが、青色光の場合が、緑色光よりさらに大きいという問題点が生じた(視野角制限)。
【0042】
その制限に対処するため、散乱層230Wの屈折率と、低屈折率層260の屈折率とのマッチングさせることにより、散乱層230Wと低屈折率層260との臨界角の増大が実現され、青色画素からの青色光の側面視野角が改善された。
【0043】
本発明の一実施形態によるインク組成物は、前記組成物に含まれるモノマー又は分散剤に、屈折率を低くすることができる部分(例えば、Si部分)を含めるか、あるいは前記組成物に屈折率が低い粒子をさらに含めることにより、それによって製造された散乱層230Wの屈折率を低くし、散乱層230Wと低屈折率層260との臨界角の増大を実現し、青色画素からの青色光の側面視野角を改善した。
【0044】
一実施形態によれば、前記分散剤は、Si部分を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、Si部分を含むポリエチレン系化合物、又はそれらの任意組み合わせを含むものでもある。
【0045】
前記分散剤は、前記散乱体表面をコーティングするか、あるいはインク組成物上にそれだけで存在しうる。
【0046】
前記ポリアクリレート系化合物、ポリウレタン系化合物及びポリエチレン系化合物に含まれるSi部分は、インク組成物が硬化されて形成された層の屈折率を低くする役割を行うことができる。
【0047】
一実施形態によれば、前記Si部分を含むポリアクリレート系化合物、Si部分を含むポリウレタン系化合物、又はSi部分を含むポリエチレン系化合物は、カルボキシル基及び/又はアミノ基を含むものでもある。
【0048】
カルボキシル基及び/又はアミノ基を含むことにより、前記分散剤は、散乱体表面をコーティングすることもできる。本明細書において、「表面処理される」、「表面に吸着される」という表現は、「コーティングされる」という表現と同等の意味を有する。
前記分散剤の含有量は、モノマー100重量%を基準に、0.01~2重量%であってよい。該分散剤含有量は、組成物内における他成分の含有量及び分散剤としての役割を考慮するとき、前記範囲が適切でもある。
【0049】
一実施形態によれば、前記モノマーは、Si部分を含むアクリレート系モノマーであってよい。
【0050】
該アクリレート系モノマーがSi部分を含むことにより、インク組成物が硬化され、形成された層の屈折率を低くする役割を行うことができる。
【0051】
例えば、該Si部分を含む前記アクリレート系モノマーは、下記化学式1の化合物であってよい。
【0052】
【化1】
前記化学式1で、R
1、R
2は互いに独立して水素、重水素、少なくとも1つのR
10aで置換もしくは非置換のC
1-C
60アルキル基、少なくとも1つのR
10aで置換もしくは非置換のC
2-C
60アルケニル基、少なくとも1つのR
10aで置換もしくは非置換のC
2-C
60アルキニル基、少なくとも1つのR
10aで置換もしくは非置換のC
1-C
60アルコキシ基、少なくとも1つのR
10aで置換もしくは非置換のC
3-C
60炭素環基、少なくとも1つのR
10aで置換もしくは非置換のC
1-C
60ヘテロ環基であってよい。
【0053】
前記モノマーが、Si部分を含むアクリレート系モノマーである場合、分散剤は、一般的に使用されるポリアミン系分散剤を含むものであってよい。
【0054】
一実施形態によれば、前記インク組成物の蒸気圧が、133.3224×10-6~133.3224×10-3Pa(10-6~10-3mmHg)であってよい。
【0055】
一実施形態によれば、前記インク組成物の表面エネルギーが、1×10-3~20×10-3N/m(1~20dyne/cm)であってよい。
【0056】
一実施形態によれば、前記インク組成物の粘度が、1×10-3Pa・s~40×10-3Pa・s(1~40cps)であってよい。
【0057】
前記インク組成物の蒸気圧、表面エネルギー及び粘度が前記範囲である場合、前記インク組成物は溶液工程、例えばインクジェット工程に適する。
【0058】
前記インク組成物は、溶媒、例えば有機溶媒を含むものでもあってよいが、好ましくは溶媒を含まない。
【0059】
一実施形態によれば、前記散乱体は、金属酸化物、非金属酸化物又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0060】
一実施形態によれば、前記散乱体は、チタン、銀、アルミニウム又はそれらの任意組み合わせの酸化物を含むものであってよい。
【0061】
例えば、前記散乱体の大きさは、50~300nmであってよい。該散乱体サイズが前記範囲である場合、青色光の散乱に最適である。
【0062】
前記散乱体の含有量は、モノマー100重量%を基準に、1~10重量%でよい。散乱層230Wとしての役割及び組成物内における他成分の含有量を考慮するとき、前記範囲が適切である。
【0063】
一実施形態によれば、前記インク組成物が、屈折率1.1~1.5の粒子をさらに含むものであってよい。例えば、前記粒子は、SiO2粒子、MgF2粒子、又はそれらの任意組み合わせを含むものでよい。
【0064】
例えば、前記粒子の大きさは、1~300nmでよい。前記粒子の含有量は、モノマー100重量%を基準に、0.1~20重量%でよい。
一実施形態によれば、前記インク組成物が、屈折率1.1~1.5の粒子と、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物と、をさらに含み、
前記散乱体及び/又は前記粒子の表面が、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物によっても表面処理される。
【0065】
カルボキシル基を有する化合物は、酸価が5mgKOH/g以上である化合物であってよい。該酸価は、カルボキシル基を有する化合物1g中に含有されているCOOHを中和するのに必要となるKOHのmg数を言う。
【0066】
アミノ基を有する化合物は、アミン価が5mgKOH/g以上である化合物であってよい。アミン価は、アミノ基を有する化合物1g当たり滴定されたKOH消費量のmg数を言う。
【0067】
カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物の酸価及びアミン価が前記範囲である場合、前記散乱体及び/又は前記粒子の表面に配位子に結合し、表面をコーティングすることができる。
【0068】
カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物で表面処理された、例えば、表面コーティングされた前記散乱体及び/又は前記粒子は、例えば、インクジェット工程においてバンク表面に移動し、該バンク表面に吸着される。すなわち、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する前記化合物により、該バンク表面は、前記散乱体及び/又は前記粒子によってもコーティングされる。
【0069】
前記散乱体及び/又は前記粒子によってコーティングされたバンクは、反射、全反射、屈折などを介し、該バンク内に吸収される光を減らし、該バンク外部に抽出される光を増やす。それにより、輝度が上昇し、散乱角度が増大しうる。
【0070】
前述のカルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物の含有量は、モノマー100重量%を基準に、0.1~10重量%でもある。散乱体含有量及び屈折率1.1~1.5の粒子の含有量を考慮するとき、前述のカルボキシル基及び/又はアミノ基を有する化合物の含有量範囲は、前記範囲が適切である。
【0071】
本発明の一実施形態による、ディスプレイ装置は、
複数の発光素子が配置された第1基板と、
前記第1基板上に、前記複数の発光素子に対応する複数の光制御手段と、
前記複数の光制御手段間に配置された複数のバンクと、を含み、
前記光制御手段のうち少なくとも一つが、散乱体、モノマー及び分散剤を含むインク組成物によって製造された層を含み、
前記層が、1.1~1.5の屈折率を有しうる。
【0072】
一実施形態によれば、前記光制御手段は、カラーフィルタ層、量子ドット層、散乱層、又はそれらの任意組み合わせを含むものでもある。
【0073】
前記インク組成物によって製造された前記層は、赤色画素、緑色画素又は青色画素の上部又は下部のうち少なくともいずれか1以上の領域に位置しうる。例えば、前記インク組成物によって製造された前記層は、
図1において、前記散乱層230Wであってよい。
【0074】
参照符号250は、各画素間において、遮光用に配置されたブラックマットリックスを示し、参照符号240は、各画素の光制御手段の間ごとに、境界をなすバンクを示す
【0075】
一実勢形態によれば、バンク240及びブラックマットリックス250は、一体にも形成されてもよい。その場合、バンク240及びブラックマットリックス250を含む一体型が、黒色顔料及び散乱剤を含む。
【0076】
前記バンク240は、第1基板110側と対面する一側表面が、疎水性である特性を有する。
【0077】
光源(例えば、有機発光素子)から生成された光(例えば、単色光)は、量子ドット層とカラーフィルタとを通過しながら、赤色、緑色、青色のうち1つの色に変換されて出光される。
【0078】
一方、バンク240は、バンク組成物を基板上に塗布して硬化させた後、フォトリソグラフィ工程を経ることになる。
【0079】
該バンク組成物は、硬化可能な高分子、フォトレジスト化合物、フッ素含有ポリマー、黒色顔料、散乱剤などと、溶媒とを含み、該バンク組成物を硬化させる場合、該溶媒は、いずれも蒸発する。
【0080】
次に、前記第1基板110と第2基板210との間には、2枚の基板110,210間に適正間隔を維持するギャップ維持部の機能と、結合材の機能とを兼ねる充填材300が介在されている。従って、2枚の基板110,21の間に充填材300を塗布して組み合わせれば、その充填材300が、2枚の基板110,210間のギャップを適切に維持しながら、堅固に結合させる役割を行う。
【0081】
前述の構造のディスプレイ装置は、
図2A~
図2Fに図示されているような過程により製造されでもよい。
【0082】
まず、
図2Aに図示されているように、第1基板110上に発光素子120を形成し、薄膜封止層130で覆う。
【0083】
そして、前記第2基板210には、
図2Bのように、フォトリソグラフィ工程を介し、ブラックマットリックス250とカラーフィルタ層220R,220G,220Bとをそれぞれ形成する。カラーフィルタ層220R,220G,220Bは、各発光素子120と対応する位置に形成される。
【0084】
次に、
図2Cのように、カラーフィルタ層220R,220G,220Bとブラックマットリックス250との上に、例えば中空シリカ材料を準備し、低屈折率層260を形成する。前記低屈折率層260は、1.1~1.5の屈折率を有し、0.1~5μmの厚みを有しうる。
【0085】
選択的には、前記低屈折率層260上に、気相化学蒸着法により、無機キャッピング層270を形成することができる。
【0086】
前記無機キャッピング層270は、Si、N、又はそれらの任意組み合わせの酸化物を含む層であり、100~1,000nmの厚みを有しうる。前記無機キャッピング層270は、インク組成物によって製造された前記層と同一屈折率を有するか、あるいは屈折率差が0.5以下でもよい。前記無機キャッピング層は省くことができる。その場合、散乱層230W及び低屈折率層260は、直接接触する。
【0087】
次に、
図2Dのように、バンク240が、各画素間のカラーフィルタ層220R,220G,220B間の位置ごとに残るようにパターニングする。
【0088】
その後、
図2Eのように、赤色画素と緑色画素とには量子ドット層230R,230Gを形成し、青色画素には、散乱層230Wを形成する。そのとき、量子ドット層230R,230Gは、カラーフィルタ層220R,220Gと互いに重なる位置に形成される。散乱層230Wは、カラーフィルタ層220Bと互いに重なる位置に形成される。量子ドット層230R,230G及び散乱層230Wは、インクジェット工程によって形成することができる。
【0089】
なお、前記量子ドット層230R,230Gに含まれた光変色粒子である量子ドット又はコアは、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;III-VI族半導体化合物;I-III-VI族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素又はその化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものでよい。
【0090】
前記II-VI族半導体化合物の例は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgSのような二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnSのような三元素化合物;CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeのような四元素化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものでよい。
【0091】
前記III-V族半導体化合物の例は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbのような二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InNP、InAlP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSbのような三元素化合物;GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbのような四元素化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものでもある。一方、前記III-V族半導体化合物は、II族元素をさらに含むものでもある。II族元素をさらに含むIII-V族半導体化合物の例は、InZnP、InGaZnP、InAlZnPなどを含むものでよい。
【0092】
前記III-VI族半導体化合物の例は、GaS、GaSe、Ga2Se3、GaTe、InS、InSe、In2S3、In2Se3、InTeのような二元素化合物;InGaS3、InGaSe3のような三元素化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものでよい。
【0093】
前記I-III-VI族半導体化合物の例は、AgInS、AgInS2、CuInS、CuInS2、CuGaO2、AgGaO2、AgAlO2のような三元素化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものでよい。
【0094】
前記IV-VI族半導体化合物の例は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeのような二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeのような三元素化合物;SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeのような四元素化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものでよい。
【0095】
前記IV族元素又はその化合物は、Si、Geのような単一元素化合物;SiC、SiGeのような二元素化合物;又はそれらの任意組み合わせを含むものでよい。
前述の二元素化合物、三元素化合物及び四元素化合物のような多元素化合物に含まれたそれぞれの元素は、均一な濃度又は不均一な濃度で、粒子内に存在しうる。
【0096】
一方、前記量子ドットは、当該量子ドットに含まれたそれぞれの元素の濃度が均一な単一構造又はコア・シェルの二重構造を有しうる。例えば、前記コアに含まれた物質と、前記シェルに含まれた物質は、互いに異なってよい。
【0097】
前記量子ドットのシェルは、前記コアの化学的変性を防止し、半導体特性を維持するための保護層の役割、及び/又は量子ドットに電気泳動特性を付与するためのチャージング層(charging layer)の役割を遂行することができる。前記シェルは、単層又は多重層でよい。該コアと該シェルとの界面は、該シェルに存在する元素の濃度が、中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有しうる。
【0098】
前記量子ドットのシェルの例としては、金属・半金属又は非金属の酸化物、半導体化合物、又はそれらの組み合わせなどを挙げることができる。前述の金属、半金属又は非金属の酸化物の例は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZnO、MnO、Mn2O3、Mn3O4、CuO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、NiOのような二元素化合物;MgAl2O4、CoFe2O4、NiFe2O4、CoMn2O4のような三元素化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものであってよい。前記半導体化合物の例は、本明細書に記載されたような、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;III-VI族半導体化合物;I-III-VI族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;又はそれらの任意組み合わせ;を含むものであってよい。例えば、前記半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSb、又はそれらの任意組み合わせを含むものでよい。
【0099】
該量子ドットは、約45nm以下、具体的には、約40nm以下、さらに具体的には、約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(FWHM:full width of half maximum)を有し、その範囲において、色純度や色再現性を向上させることができる。また、そのような量子ドットを介して発光される光は、全方向に放出されるが、光視野角が向上されうる。
また、該量子ドットの形態は、具体的には、球形、ピラミッド形、多重枝状(multi-arm)又は立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノファイバ、ナノ板状粒子のような形態であってよい。
【0100】
前記量子ドットの大きさを調節することにより、エネルギーバンドギャップの調節が可能であるので、該量子ドット発光層において、多様な波長帯の光を得ることができる。従って、互いに異なる大きさの量子ドットを使用することにより、さまざまな波長の光を発光する発光素子を実現できる。具体的には、前記量子ドットの大きさは、赤色、緑色及び/又は青色光が発光されるようにも選択される。また、前記量子ドットの大きさは、多様な色の光が結合され、白色光を発光するように構成されてよい。
【0101】
そのような量子ドット層230R,230Gを形成した後には、
図2Fのように、第1基板110と第2基板210との間に充填材300を塗り、2枚の基板110,210を組み合わせる。それにより、
図1に示されているように、発光素子120、量子ドット層230R,230G及びカラーフィルタ層220R,220G,220Bが具備されたディスプレイ装置が実現される。
【0102】
なお、本実施態様としては、発光素子120の発光層を含む中間層123が、全体画素領域にわたって共通層として形成される場合を例示したが、
図3に示されているように、各画素に分離されて形成される変形例も可能である。すなわち、発光層を含む中間層123は、共通層として形成することもでき、各画素に分離された状態になるように形成することができることを示している。
【0103】
前記発光層は、有機発光物質又は発光物質を含むものであってよい。
【0104】
発光素子120につき、さらに具体的に説明する。
【0105】
[第1電極122]
図1の第1電極122の下部、又は第2電極124の上部には、基板が追加して配置されうる。前記基板としては、ガラス基板又はプラスチック基板を使用することができる。
【0106】
前記第1電極122は、例えば、前記基板上部に、第1電極用物質を、蒸着法又はスパッタリング法などを利用して提供することによっても形成される。前記第1電極122がアノードである場合、第1電極用物質として、正孔注入が容易である高仕事関数物質を利用することができる。
【0107】
前記第1電極122は、反射型電極、半透過型電極又は透過型電極であってよい。透過型電極である第1電極122を形成するために、第1電極用物質として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、又はそれらの任意組み合わせを利用することができる。又は、半透過型電極又は反射型電極である第1電極122を形成するために、第1電極用物質として、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム・リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム・インジウム(Mg-In)、マグネシウム・銀(Mg-Ag)、又はそれらの任意組み合わせを利用することができる。
【0108】
前記第1電極122は、単一層によってなる(consist of)単層構造又は複数の層を含む多層構造を有しうる。例えば、前記第1電極122は、ITO/Ag/ITOの3層構造を有してよい。
【0109】
[中間層123]
前記第1電極122上部には、中間層123が配置されている。前記中間層123は発光層を含む。
【0110】
前記中間層123は、前記第1電極122と前記発光層との間に配置された正孔輸送領域(hole transport region)、及び前記発光層と前記第2電極124との間に配置された電子輸送領域(electron transport region)をさらに含むものであってよい。
【0111】
前記中間層123は、各種有機物以外に、有機金属化合物のような金属含有化合物、量子ドットのような無機物などをさらに含むものであってよい。
【0112】
一方、前記中間層123は、i)前記第1電極122と前記第2電極124との間に順次に積層されている2以上の発光単位(emitting unit)、及びii)前記2個の発光単位間に配置された電荷生成層(chrge generation layer)を含むものであってよい。前記中間層123が、前述のような発光単位及び電荷生成層を含む場合、前記発光素子120は、タンデム(tandem)発光素子であってよい。
【0113】
[中間層123内の正孔輸送領域]
前記正孔輸送領域は、i)単一物質によってなる単一層によってなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質を含む単一層によってなる単層構造、又はiii)複数の互いに異なる物質を含む複数の層を含む多層構造を有しうる。
【0114】
前記正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、電子阻止層、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0115】
例えば、前記正孔輸送領域は、第1電極122から順に積層された正孔注入層/正孔輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/発光補助層、正孔注入層/発光補助層、正孔輸送層/発光補助層又は正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層の多層構造を有しうる。
【0116】
前記正孔輸送領域は、下記化学式201で表される化合物、下記化学式202で表される化合物、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい:
【0117】
【0118】
【0119】
前記化学式201及び202で、
L201~L204は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
L205は、*-O-*’、*-S-*’、*-N(Q201)-*’、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C20アルキレン基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC2-C20アルケニレン基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
xa1~xa4は、互いに独立して、0~5の整数のうち一つであり、
xa5は、1~10の整数のうち一つであり、
R201~R204、及びQ201は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
R201とR202は、選択的に(optionally)、単一結合、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C5アルキレン基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC2-C5アルケニレン基を介して互いに連結され、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC8-C60多環基(例えば、カルバゾリル基など)を形成することができ、 R203とR204は、選択的に、単一結合、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C5アルキレン基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC2-C5アルケニレン基を介して互いに連結され、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC8-C60多環基を形成することができ、
na1は、1~4の整数のうち一つであってよい。
【0120】
例えば、前記化学式201及び202それぞれは、下記化学式CY201~CY217で表された基のうち少なくとも一つを含むものであってよい:
【化4】
【0121】
前記化学式CY201~CY217で、R10b及びR10cに係る説明は、それぞれ本明細書において、R10aに係る説明を参照されたい、環CY201~環CY204は、互いに独立して、C3-C20炭素環基又はC1-C20ヘテロ環基であり、前記化学式CY201~CY217において、少なくとも1つの水素は、本明細書に記載されたようなR10aで置換又は非置換されうる。
【0122】
前記正孔輸送領域の厚みは、約5nm~約1,000nm、例えば、約10nm~約400nmであってよい。前記正孔輸送領域が、正孔注入層、正孔輸送層又はそれらの任意組み合わせを含む場合、前記正孔注入層の厚みは、約10nm~約900nm、例えば、約10nm~約100nmであり、前記正孔輸送層の厚みは、約5nm~約200nm、例えば、約10nm~約150nmであってよい。前述の正孔輸送領域、正孔注入層及び正孔輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性を得ることができる。
【0123】
前記発光補助層は、発光層から発光される光の波長による光共振距離を補償し、発光効率を上昇させる役割を行う層であり、前記電子阻止層は、発光層から、正孔輸送領域からの電子流出を防止する役割を行う層である。前述の正孔輸送領域に含まれうる物質が、該発光補助層及び該電子阻止層にも含まれる。
【0124】
[p-ドーパント]
前記正孔輸送領域は、前述のような物質以外に、導電性向上のために、電荷生成物質を含むものであってよい。前記電荷生成物質は、前記正孔輸送領域内に、均一又は不均一に分散(例えば、電荷生成物質によってなる単一層形態)されることができる。
前記電荷生成物質は、例えば、p-ドーパントであってよい。
【0125】
例えば、前記p-ドーパントのLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギーレベルは、-3.5eV以下であってよい。
一実施形態によれば、前記p-ドーパントは、キノン誘導体、シアノ基含有化合物、元素EL1含有化合物及び元素EL2含有化合物又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0126】
前記キノン誘導体の例は、TCNQ、F4-TCNQなどを含むものであってよい。
前記シアノ基含有化合物の例は、HAT-CN、下記化学式221で表された化合物などを含むものであってよい。
【化5】
【化6】
【0127】
前記化学式221で、
R221~R223は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
前記R221~R223のうち少なくとも一つは、互いに独立して、シアノ基;-F;-Cl;-Br;-I;シアノ基、-F、-Cl、-Br、-I、又はそれらの任意組み合わせで置換されたC1-C20アルキル基;又はそれらの任意組み合わせ;で置換された、C3-C60炭素環基又はC1-C60ヘテロ環基であってよい。
【0128】
前述の元素EL1含有化合物及び元素EL2含有化合物において、元素EL1は、金属、半金属、又はそれらの組み合わせであり、元素EL2は、非金属、半金属、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0129】
[中間層123内の発光層]
前記発光素子120がフルカラー発光素子である場合、発光層は、個別の副画素別に、赤色発光層、緑色発光層及び/又は青色発光層にパターニングされてよい。又は前記発光層は、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層のうち2以上の層が、接触又は離隔されて積層された構造を有するか、あるいは赤色発光物質、緑色発光物質及び青色発光物質のうち2以上の物質が、層区分混合された構造を有し、白色光を発光してもよい。
【0130】
前記発光層は、ホスト及びドーパントを含むものであってよい。前記ドーパントは、リン光ドーパント、蛍光ドーパント又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
前記発光層におけるドーパント含有量は、ホスト100重量部に対し、約0.01~約15重量部であってよい。
【0131】
又は、前記発光層は、量子ドットを含むものであってよい。該量子ドットに係る内容は、前述の箇所を参照されたい。
【0132】
一方、前記発光層は、遅延蛍光物質を含むものであってよい。前記遅延蛍光物質は、発光層において、ホスト又はドーパントの役割を行うことができる。
【0133】
前記発光層の厚みは、約10nm~約100nm、例えば、約20nm~約60nmであってよい。前記発光層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、すぐれた発光特性を示しうる。
【0134】
[ホスト]
前記ホストは、下記化学式301で表される化合物を含むものであってよい:
【0135】
【0136】
前記化学式301で、
Ar301及びL301は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
xb11は、1、2又は3であり、
xb1は、0~5の整数のうち一つであり、
R301は、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60アルキル基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC2-C60アルケニル基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC2-C60アルキニル基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60アルコキシ基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基、-Si(Q301)(Q302)(Q303)、-N(Q301)(Q302)、-B(Q301)(Q302)、-C(=O)(Q301)、-S(=O)2(Q301)、又はP(=O)(Q301)(Q302)であり、
xb21は、1~5の整数のうち一つであり、
Q301~Q303に係る説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係る説明を参照されたい。
【0137】
例えば、前記化学式301で、xb11が2以上である場合、2以上のAr301は、単一結合を介して互いに連結されることができる。
他の例として、前記ホストは、下記化学式301-1で表された化合物、下記化学式301-2で表された化合物、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい:
【0138】
【0139】
【0140】
前記化学式301-1~301-2で、
環A301~環A304は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
X301は、O、S、N-[(L304)xb4-R304]、C(R304)(R305)、又はSi(R304)(R305)であり、
xb22及びxb23は、互いに独立して、0、1又は2であり、
L301、xb1及びR301に係る説明は、それぞれ本明細書に記載をを参照し、
L302~L304に係る説明は、互いに独立して、前記L301に係る説明を参照し、
xb2~xb4に係る説明は、互いに独立して、前記xb1に係る説明を参照し、
R302~R305、及びR311~R314に係る説明は、それぞれ前記R301に係る説明を参照する。
【0141】
[リン光ドーパント]
前記リン光ドーパントは、中心金属として、少なくとも1つの遷移金属を含むものであってよい。
【0142】
前記リン光ドーパントは、単座(monodentate)配位子、二座配位子、三座配位子、四座配位子、五座配位子、六座配位子、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0143】
前記リン光ドーパントは、電気的に中性(neutral)であってよい。
例えば、前記リン光ドーパントは、下記化学式401で表される有機金属化合物を含むものであってよい:
【0144】
【0145】
【0146】
前記化学式401及び402で、
Mは、遷移金属(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)又はツリウム(Tm))であり、
L401は、前記化学式402で表される配位子であり、xc1は、1、2又は3であり、xc1が2以上である場合、2以上のL401は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
L402は、有機配位子であり、xc2は、0、1、2、3又は4であり、xc2が2以上である場合、2以上のL402は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
X401及びX402は、互いに独立して、窒素又は炭素であり、
環A401及び環A402は、互いに独立して、C3-C60炭素環基又はC1-C60ヘテロ環基であり、
T401は、単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-N(Q411)-、-C(Q411)(Q412)-、-C(Q411)=C(Q412)-、-C(Q411)=又は=C=であり、
X403及びX404は、互いに独立して、化学結合(例えば、共有結合又は配位結合)、O、S、N(Q413)、B(Q413)、P(Q413)、C(Q413)(Q414)又はSi(Q413)(Q414)であり、
前述のQ411~Q414に係る説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係る説明を参照されたい、
R401及びR402は、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C20アルキル基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C20アルコキシ基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基、-Si(Q401)(Q402)(Q403)、-N(Q401)(Q402)、-B(Q401)(Q402)、-C(=O)(Q401)、-S(=O)2(Q401)又は-P(=O)(Q401)(Q402)であり、
前述のQ401~Q403に係る説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係る説明を参照されたい、
xc11及びxc12は、互いに独立して、0~10の整数のうち一つであり、
前記化学式402で*及び*’は、それぞれ前記化学式401で、Mとの結合サイトである。
【0147】
例えば、前記化学式402で、i)X401は、窒素であり、X402は、炭素であるか、あるいはii)X401とX402とがいずれも窒素であってよい。
【0148】
他の例として、前記化学式402で、xc1が2以上である場合、2以上のL401において、2個の環A401は、選択的に連結基であるT402を介して互いに連結されるか、あるいは2個の環A402は、選択的に連結基であるT403を介して互いに連結されうる(下記化合物PD1~PD4、及びPD7参照)。
前述のT402及びT403に係る説明は、それぞれ本明細書において、T401に係る説明を参照されたい。
【0149】
前記化学式401でL402は、任意の有機配位子であってよい。例えば、前記L402は、ハロゲン基、ジケトン基(例えば、アセチルアセトネート基)、カルボキシル基(例えば、ピコリネート基)、-C(=O)、イソニトリル基、-CN基、ホスホロス基(例えば、ホスフィン(phosphine)基、ホスファイト(phosphite)基など)、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0150】
[蛍光ドーパント]
前記蛍光ドーパントは、アミノ基含有化合物、スチリル基含有化合物、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0151】
例えば、前記蛍光ドーパントは、下記化学式501で表される化合物を含むものであってよい:
【0152】
【0153】
前記化学式501で、
Ar501、L501~L503、R501及びR502は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
xd1~xd3は、互いに独立して、0、1、2又は3であり、
xd4は、1、2、3、4、5又は6であってよい。
【0154】
例えば、前記化学式501でAr501は、3個以上の単環基が互いに縮合された縮合環基(例えば、アントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基など)を含むものであってよい。
他の例として、前記化学式501でxd4は、2であってよい。
【0155】
[遅延蛍光物質]
前記発光層は、遅延蛍光物質を含むものであってよい。
【0156】
本明細書において遅延蛍光物質は、遅延蛍光放出メカニズムにより、遅延蛍光を放出することができる任意の化合物のうちからも選択される。
【0157】
前記発光層に含まれた遅延蛍光物質は、前記発光層に含まれた他物質の種類により、ホスト又はドーパントの役割を行うことができる。
【0158】
一実施形態によれば、前記遅延蛍光物質の三重項エネルギーレベル(eV)と、前記遅延蛍光物質の一重項エネルギーレベル(eV)との差は、0eV以上及び0.5eV以下であってよい。前記遅延蛍光物質の三重項エネルギーレベル(eV)と、前記遅延蛍光物質の一重項エネルギーレベル(eV)との差が、前述のような範囲を満足することにより、前記遅延蛍光物質において、三重項状態から重項状態への逆エネルギー移動(up-conversion)が効果的になされ、前記発光素子120の発光効率などが向上されうる。
【0159】
例えば、前記遅延蛍光物質は、i)少なくとも1つの電子ドナー(例えば、カルバゾリル基のようなπ電子過剰C3-C60環式基(π electron-rich C3-C60 cyclic group))、及び少なくとも1つの電子アクセプタ(例えば、スルホキシド基、シアノ基又はπ電子欠乏性含窒素C1-C60環式基(π electron-deficient nitrogen-containing C1-C60 cyclic group))を含む物質、ii)ホウ素(B)を共有しながら、2以上の環式基が縮合されたC8-C60多環基含有物質などを含むものであってよい。
【0160】
[中間層123内の電子輸送領域]
前記電子輸送領域は、i)単一物質によってなる単一層によってなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質を含む単一層によってなる単層構造、又はiii)複数の互いに異なる物質を含む複数の層を含む多層構造を有しうる。
【0161】
前記電子輸送領域は、バッファ層、正孔阻止層、電子調節層、電子輸送層、電子注入層、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0162】
例えば、前記電子輸送領域は、発光層から順に積層された電子輸送層/電子注入層、正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層、電子調節層/電子輸送層/電子注入層、又はバッファ層/電子輸送層/電子注入層などの構造を有しうる。
【0163】
前記電子輸送領域(例えば、前記電子輸送領域における、バッファ層、正孔阻止層、電子調節層又は電子輸送層)は、少なくとも1つのπ電子欠乏性含窒素C1-C60環式基を含む金属非含有(metal-free)化合物を含むものであってよい。
【0164】
例えば、前記電子輸送領域は、下記化学式601で表された化合物を含むものであってよい。
【0165】
【0166】
前記化学式601において、
Ar601及びL601は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
xe11は、1、2又は3であり、
xe1は、0、1、2、3、4又は5であり、
R601は、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基、-Si(Q601)(Q602)(Q603)、-C(=O)(Q601)、-S(=O)2(Q601)又は-P(=O)(Q601)(Q602)であり、
前述のQ601~Q603に係る説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係る説明を参照されたい、
xe21は、1、2、3、4又は5であり、
前述のAr601、L601及びR601のうち少なくとも一つは、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のπ電子欠乏性含窒素C1-C60環式基であってよい。
例えば、前記化学式601において、xe11が2以上である場合、2以上のAr601は、単一結合を介して互いに連結されうる。
【0167】
他の例として、前記化学式601においてAr601は、置換もしくは非置換のアントラセニル基であってよい。
【0168】
さらに他の例として、前記電子輸送領域は、下記化学式601-1で表された化合物を含むものであってよい:
【0169】
【0170】
前記化学式601-1で、
X614は、N又はC(R614)であり、X615は、N又はC(R615)であり、X616は、N又はC(R616)であり、X614~X616のうち少なくとも一つは、Nであり、
L611~L613に係る説明は、それぞれ前記L601に係る説明を参照されたい、
xe611~xe613に係る説明は、それぞれ前記xe1に係る説明を参照されたい、
R611~R613に係る説明は、それぞれ前記R601に係る説明を参照されたい、
R614~R616は、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1-C20アルキル基、C1-C20アルコキシ基、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、又は少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であってよい。
【0171】
例えば、前記化学式601及び601-1で、xe1、及びxe611~xe613は、互いに独立して0、1又は2であってよい。
【0172】
前記電子輸送領域の厚みは、約10nm~約500nm、例えば、約16nm~約400nmであってよい。前記電子輸送領域が、バッファ層、正孔阻止層、電子調節層、電子輸送層、又はそれらの任意組み合わせを含む場合、前述のバッファ層、正孔阻止層又は電子調節層の厚みは、互いに独立して、約2nm~約100nm、例えば、約3nm~約30nmで、前記電子輸送層の厚みは、約10nm~約100nm、例えば、約15nm~約50nmであってよい。前記バッファ層、正孔阻止層、電子調節層、電子輸送層及び/又は電子輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子輸送特性を得ることができる。
【0173】
前記電子輸送領域(例えば、前記電子輸送領域内の電子輸送層)は、前述のような物質以外に、金属含有物質をさらに含むものであってよい。
【0174】
前記金属含有物質は、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。前記アルカリ金属錯体の金属イオンは、Liイオン、Naイオン、Kイオン、Rbイオン又はCsイオンでもあり、前記アルカリ土類金属錯体の金属イオンは、Beイオン、Mgイオン、Caイオン、Srイオン又はBaイオンであってよい。前記アルカリ金属錯体及びアルカリ土類金属錯体の金属イオンに配位された配位子は、互いに独立して、ヒドロキシキノリン、ヒドロキシイソキノリン、ヒドロキシベンゾキノリン、ヒドロキシアクリジン、ヒドロキシフェナントリジン、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシフェニルオキサジアゾール、ヒドロキシフェニルチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン、シクロペンタジエン又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0175】
例えば、前記金属含有物質は、Li錯体を含むものであってよい。前記Li錯体は、例えば、下記化合物ET-D1(LiQ)又はET-D2を含むものであってよい:
【0176】
【0177】
前記電子輸送領域は、第2電極124からの電子注入を容易にする電子注入層を含むものであってよい。前記電子注入層は、前記第2電極124と直接接触しうる。
【0178】
前記電子注入層は、i)単一物質によってなる単一層によってなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質を含む単一層によってなる単層構造、又はiii)複数の互いに異なる物質を含む複数の層を有する多層構造を有しうる。
【0179】
前記電子注入層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、希土類金属含有化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0180】
前記アルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。前記アルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、Ba、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。前記希土類金属は、Sc、Y、Ce、Tb、Yb、Gd、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0181】
前記アルカリ金属含有化合物、前記アルカリ土類金属含有化合物及び前記希土類金属含有化合物は、前記アルカリ金属、前記アルカリ土類金属及び前記希土類金属それぞれの、酸化物、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、テルリド、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0182】
前記アルカリ金属含有化合物は、Li2O、Cs2O、K2Oのようなアルカリ金属酸化物;LiF、NaF、CsF、KF、LiI、NaI、CsI、KIのようなアルカリ金属ハロゲン化物;又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。前記アルカリ土類金属含有化合物は、BaO、SrO、CaO、BaxSr1-xO(xは、0<x<1を満足する実数である)、BaxCa1-xO(xは、0<x<1を満足する実数である)のようなアルカリ土類金属化合物を含むものであってよい。前記希土類金属含有化合物は、YbF3、ScF3、Sc2O3、Y2O3、Ce2O3、GdF3、TbF3、YbI3、ScI3、TbI3、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。又は、前記希土類金属含有化合物は、ランタニド金属テルリドを含むものであってよい。前記ランタニド金属テルリドの例は、LaTe、CeTe、PrTe、NdTe、PmTe、SmTe、EuTe、GdTe、TbTe、DyTe、HoTe、ErTe、TmTe、YbTe、LuTe、La2Te3、Ce2Te3、Pr2Te3、Nd2Te3、Pm2Te3、Sm2Te3、Eu2Te3、Gd2Te3、Tb2Te3、Dy2Te3、Ho2Te3、Er2Te3、Tm2Te3、Yb2Te3、Lu2Te3などを含むものであってよい。
【0183】
前記アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体は、i)前述のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のイオンのうち一つ、及びii)前記金属イオンと結合した配位子であり、例えば、ヒドロキシキノリン、ヒドロキシイソキノリン、ヒドロキシベンゾキノリン、ヒドロキシアクリジン、ヒドロキシフェナントリジン、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシフェニルオキサジアゾール、ヒドロキシフェニルチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン、シクロペンタジエン、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0184】
前記電子注入層は、前述のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、希土類金属含有化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、又はそれらの任意組み合わせだけによってなっているか、あるいは有機物(例えば、前記化学式601で表された化合物)をさらに含むものであってよい。
【0185】
一実施形態によれば、前記電子注入層は、i)アルカリ金属含有化合物(例えば、アルカリ金属ハロゲン化物)によってなるか、あるいはii)a)アルカリ金属含有化合物(例えば、アルカリ金属ハロゲン化物)、及びb)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、又はそれらの任意組み合わせによってもなる。例えば、前記電子注入層は、KI:Yb共蒸着層、RbI:Yb共蒸着層などであってよい。
前記電子注入層が有機物をさらに含む場合、前述のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、希土類金属含有化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、又はそれらの任意組み合わせは、前記有機物を含むマトリックスに均一又は不均一に分散されてよい。
【0186】
前記電子注入層の厚みは、約0.1nm~約10nm、約0.3nmÅ~約9nmであってよい。前記電子注入層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子注入特性を得ることができる。
【0187】
[第2電極124]
前述のような中間層123上部には、第2電極124が配置されている。前記第2電極124は、電子注入電極であるカソードであってよいが、そのとき、前記第2電極124用物質としては、低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物又はそれらの任意組み合わせを使用することができる。
【0188】
前記第2電極124は、リチウム(Li)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム・リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム・インジウム(Mg-In)、マグネシウム・銀(Mg-Ag)、イッテルビウム(Yb)、銀・イッテルビウム(Ag-Yb)、ITO、IZO、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。前記第2電極124は、透過型電極、半透過型電極又は反射型電極であってよい。
【0189】
前記第2電極124は、単一層である単層構造、又は複数の層を有する多層構造を有しうる。
【0190】
[キャッピング層]
第1電極122の外側には、第1キャッピング層が配置され、及び/又は第2電極124外側には、第2キャッピング層が配置されることができる。具体的には、前記発光素子120は、第1キャッピング層、第1電極122、中間層123及び第2電極124が順に積層された構造;第1電極122、中間層123、第2電極124及び第2キャッピング層が順に積層された構造;又は第1キャッピング層、第1電極122、中間層123、第2電極124及び第2キャッピング層が順に積層された構造を有しうる。
発光素子120の中間層123において、発光層で生成された光は、半透過型電極又は透過型電極である第1電極122、及び第1キャッピング層を経て、外部にも取り出され、発光素子120の中間層123において、発光層で生成された光は、半透過型電極又は透過型電極である第2電極124、及び第2キャッピング層を経て外部に取り出されることができる。
【0191】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層は、強め合う干渉の原理(principle of constructive interference)により、外部発光効率を向上させる役割を行うことができる。それにより、前記発光素子120の光抽出効率が上昇し、前記発光素子120の発光効率が向上されうる。
【0192】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層それぞれは、1.6以上の屈折率(589nmにおけるもの)を有する物質を含むものであってよい。
【0193】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層は、互いに独立して、有機物を含む有機キャッピング層、無機物を含む無機キャッピング層又は有機物及び無機物を含む複合キャッピング層であってよい。
【0194】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、炭素環化合物、ヘテロ環化合物、アミノ基含有化合物、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。前述の炭素環化合物、ヘテロ環化合物及びアミノ基含有化合物は、選択的に、O、N、S、Se、Si、F、Cl、Br、I又はそれらの任意組み合わせを含む置換基で置換されうる。一実施形態によれば、前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、アミノ基含有化合物を含むものであってよい。
【0195】
例えば、前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、前記化学式201で表された化合物、前記化学式202で表された化合物、又はそれらの任意組み合わせを含むものであってよい。
【0196】
[製造方法]
前記正孔輸送領域に含まれた各層、発光層及び電子輸送領域に含まれた各層は、それぞれ、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法、インクジェットプリンティング法、レーザプリンティング法、レーザ熱転写(LITI:laser induced thermal imaging)法のような多様な方法を利用し、所定領域に形成されてよい。
【0197】
真空蒸着法により、前記正孔輸送領域に含まれた各層、発光層、及び電子輸送領域に含まれた各層をそれぞれ形成する場合、蒸着条件は、例えば、約100~約500℃の蒸着温度、約10-8~約10-3torrの真空度、及び約0.001~約10nm/secの蒸着速度の範囲内において、形成する層に含まれる材料、及び形成する層の構造を考慮して選択されてよい。
【0198】
スピンコーティング法により、前記正孔輸送領域に含まれた各層、発光層、及び電子輸送領域に含まれた各層をそれぞれ形成する場合、コーティング条件は、例えば、約2,000rpm~約5,000rpmのコーティング速度、及び約80℃~200℃の熱処理温度の範囲内において、形成する層に含まれる材料、及び形成する層の構造を考慮して選択されてよい。
【0199】
[用語の定義]
本明細書において、C3-C60炭素環基は、環形成原子として炭素だけによってなるC3-C60環式基を意味し、C1-C60ヘテロ環基は、炭素以外に、環形成原子としてヘテロ原子をさらに含むC1-C60環式基を意味する。前記C3-C60炭素環基及びC1-C60ヘテロ環基それぞれは、1個の環によってなる単環基、又は2以上の環が互いに縮合されている多環基であってよい。例えば、前記C1-C60ヘテロ環基の環形成原子数は、3~61個であってよい。
【0200】
本明細書において、該環式基は、前記C3-C60炭素環基及び前記C1-C60ヘテロ環基いずれもを含む。
【0201】
本明細書において、π電子過剰C3-C60環式基は、環形成部分として*-N=*’を含んでいないC3-C60環式基を意味し、π電子欠乏性含窒素C1-C60環式基は、環形成部分として*-N=*’を含むC1-C60ヘテロ環基を意味する。
【0202】
例えば、前記C3-C60炭素環基は、i)グループT1、又はii)2以上のグループT1が互いに縮合された縮合環基(例えば、シクロペンタジエニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ベンゼン基、ペンタレニル基、ナフチル基、アズレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ヘプタレニル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ヘキサセニル基、ペンタセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、オバレニル基、インデニル基、フルオニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾフルオニル基、インデノフェナントレニル基又はインデノアントラセニル基)でもあり、
前記C1-C60ヘテロ環基は、i)グループT2、ii)2以上のグループT2が互いに縮合された縮合環基、又はiii)1以上のグループT2と、1以上のグループT1とが互いに縮合された縮合環基(例えば、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、ナフトインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、ナフトイソインドリル基、ベンゾシロリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、インデノカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ベンゾシロロカルバゾリル基、ベンゾインドロカルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾナフトシロリル基、ベンゾフロジベンゾフラニル基、ベンゾフロジベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノジベンゾチオフェニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾキノリニル基、ベンゾイソキノリニル基、キノキサリニル基、ベンゾキノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾキナゾリニル基、フェナントロリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジル基、イミダゾトリアジニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリダジニル基、アザカルバゾリル基、アザフルオレニル基、アザジベンゾシロリル基、アザジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾフラニル基など)でもあり、
前記π電子過剰C3-C60環式基は、i)グループT1、ii)2以上のグループT1が互いに縮合された縮合環基、iii)グループT3、iv)2以上のグループT3が互いに縮合された縮合環基、又はv)1以上のグループT3と、1以上のグループT1とが互いに縮合された縮合環基(例えば、前記C3-C60炭素環基、1H-ピロリル基、シロリル基、ボロール基、2H-ピロリル基、3H-ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、ナフトインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、ナフトイソインドリル基、ベンゾシロリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、インデノカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ベンゾシロロカルバゾリル基、ベンゾインドロカルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾナフトシロリル基、ベンゾフロジベンゾフラニル基、ベンゾフロジベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノジベンゾチオフェニル基など)でもあり、
前記π電子欠乏性含窒素C1-C60 環式基は、i)グループT4、ii)2以上のグループT4が互いに縮合された縮合環基、iii)1以上のグループT4と、1以上のグループT1とが互いに縮合された縮合環基、iv)1以上のグループT4と、1以上のグループT3とが互いに縮合された縮合環基、又はv)1以上のグループT4、1以上のグループT1、及び1以上のグループT3が互いに縮合された縮合環基(例えば、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾキノリニル基、ベンゾイソキノリニル基、キノキサリニル基、ベンゾキノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾキナゾリニル基、フェナントロリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジル基、イミダゾトリアジニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリダジニル基、アザカルバゾリル基、アザフルオレニル基、アザジベンゾシロリル基、アザジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾフラニル基など)でもあり、
前記グループT1は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプテニル基、アダマンチル基、ノルボルニル(又は、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)基、ノルボルニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、又はベンゼン基であり、
前記グループT2は、フラニル基、チオフェニル基、1H-ピロリル基、シロリル基、ボロール基、2H-ピロリル基、3H-ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、アザシロリル基、アザボロール基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ジヒドロピロリル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピリジニル基、ジヒドロピリジニル基、ヘキサヒドロピリミジル基、テトラヒドロピリミジル基、ジヒドロピリミジル基、ピペラジニル基、テトラヒドロピラジニル基、ジヒドロピラジニル基、テトラヒドロピリダジニル基又はジヒドロピリダジニル基であり、
前記グループT3は、フラニル基、チオフェニル基、1H-ピロリル基、シロリル基又はボロール基であり、
前記グループT4は、2H-ピロリル基、3H-ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、アザシロリル基、アザボロール基、ピリジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基又はテトラジニル基であってよい。
【0203】
本明細書において、環式基、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、π電子過剰C3-C60環式基又はπ電子欠乏性含窒素C1-C60環式基という用語は、当該用語が使用された化学式の構造により、任意の環式基に縮合されている基、一価基又は多価基(例えば、二価基、三価基、四価基)であってよい。例えば「ベンゼン基」は、ベンゾ基、フェニル基、フェニレン基などであってよいが、それは、「ベンゼン基」が含まれた化学式の構造により、当業者が容易に理解することができるであろう。
【0204】
一価C3-C60炭素環基及び一価C1-C60ヘテロ環基の例は、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基(non-aromatic condensed polycyclic group)及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基(non-aromatic condensed heteropolycyclic group)を含むものでもあり、二価C3-C60炭素環基及び二価C1-C60ヘテロ環基の例は、C3-C10シクロアルキレン基、C1-C10ヘテロシクロアルキレン基、C3-C10シクロアルケニレン基、C1-C10ヘテロシクロアルケニレン基、C6-C60アリーレン基、C1-C60ヘテロアリーレン基、二価非芳香族縮合多環基及び二価非芳香族ヘテロ縮合多環基を含むものであってよい。
【0205】
本明細書において、C1-C60アルキル基は、一価のC1-C60の線状又は分枝状の脂肪族炭化水素基を意味し、その具体例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基などが含まれる。本明細書において、C1-C60アルキレン基は、前記C1-C60アルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0206】
本明細書において、C2-C60アルケニル基は、C2-C60アルキル基の中間又は末端に、1以上の炭素・炭素二重結合を含む一価炭化水素基を意味し、その具体例には、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基などが含まれる。本明細書において、C2-C60アルケニレン基は、前記C2-C60アルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
本明細書において、C2-C60アルキニル基は、C2-C60アルキル基の中間又は末端に、1以上の炭素-炭素三重結合を含む一価炭化水素基を意味し、その具体例には、エチニル基、プロピニル基などが含まれる。本明細書において、C2-C60アルキニレン基は、前記C2-C60アルキニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0207】
本明細書において、C1-C60アルコキシ基は、-OA101(ここで、A101は、前記C1-C60アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、その具体例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0208】
本明細書において、C3-C10シクロアルキル基は、C3-C10一価飽和炭化水素環式基を意味し、その具体例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボナニル基(又は、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基などが含まれる。本明細書において、C3-C10シクロアルキレン基は、前記C3-C10シクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0209】
本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルキル基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含む一価のC1-C10環式基を意味し、その具体例には、1,2,3,4-オキサトリアゾリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基などが含まれる。本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルキレン基は、前記C1-C10ヘテロシクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0210】
本明細書において、C3-C10シクロアルケニル基は、一価のC3-C10環式基であり、環内に少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するが、芳香族性(aromaticity)を有さない基を意味し、その具体例には、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などが含まれる。本明細書において、C3-C10シクロアルケニレン基は、前記C3-C10シクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0211】
本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含む一価のC1-C10環式基であり、環内に、少なくとも1つの二重結合を有する。前記C1-C10ヘテロシクロアルケニル基の具体例には、4,5-ジヒドロ-1,2,3,4-オキサトリアゾリル基、2,3-ジヒドロフラニル基、2,3-ジヒドロチオフェニル基などが含まれる。本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルケニレン基は、前記C1-C10ヘテロシクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0212】
本明細書において、C6-C60アリール基は、C6-C60炭素環芳香族系を有する一価基を意味し、C6-C60アリーレン基は、C6-C60炭素環芳香族系を有する二価基を意味する。前記C6-C60アリール基の具体例には、フェニル基、ペンタレニル基、ナフチル基、アズレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ヘプタレニル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ヘキサセニル基、ペンタセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、オバレニル基などが含まれる。前記C6-C60アリール基及びC6-C60アリーレン基が2以上の環を含む場合、前記2以上の環は、互いに縮合されうる。
【0213】
本明細書において、C1-C60ヘテロアリール基は、炭素原子以外に少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含み、C1-C60ヘテロ環芳香族系を有する一価基を意味し、C1-C60ヘテロアリーレン基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含み、C1-C60ヘテロ環芳香族系を有する二価基を意味する。前記C1-C60ヘテロアリール基の具体例には、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、ベンゾキノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾイソキノリニル基、キノキサリニル基、ベンゾキノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾキナゾリニル基、シンノリニル基、フェナントロリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基などが含まれる。前記C1-C60ヘテロアリール基及びC1-C60ヘテロアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに縮合されうる。
【0214】
本明細書において、一価非芳香族縮合多環基は、2以上の環が互いに縮合されており、環形成原子として炭素のみを含み、分子全体が非芳香族性(non-aromaticity)を有する一価基(例えば、炭素数8~60を有する)を意味する。前記一価非芳香族縮合多環基の具体例には、インデニル基、フルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、インデノフェナントレニル基、インデノアントラセニル基などが含まれる。本明細書において、二価非芳香族縮合多環基は、前記一価非芳香族縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0215】
本明細書において、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、2以上の環が互いに縮合されており、環形成原子として、炭素原子外に、少なくとも1つのヘテロ原子をさらに含み、分子全体が非芳香族性を有する一価基(例えば、炭素数1~60を有する)を意味する。前記一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の具体例には、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、ナフトインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、ナフトイソインドリル基、ベンゾシロリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、アザカルバゾリル基、アザフルオレニル基、アザジベンゾシロリル基、アザジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾフラニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジニル基、イミダゾトリアジニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリダジニル基、インデノカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ベンゾシロロカルバゾリル基、ベンゾインドロカルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾナフトシロリル基、ベンゾフロジベンゾフラニル基、ベンゾフロジベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノジベンゾチオフェニル基などが含まれる。本明細書において、二価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、前記一価非芳香族ヘテロ縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0216】
本明細書において、C6-C60アリールオキシ基は、-OA102(ここで、A102は、C6-C60アリール基である)を示し、C6-C60アリールチオ基は、-SA103(ここで、A103は、C6-C60アリール基である)を示す。
【0217】
本明細書において、C7-C60アリールアルキル基は、-A104A105(ここで、A104は、C1-C54アルキレン基であり、A105は、C6-C59アリール基である)を示し、本明細書において、C2-C60ヘテロアリールアルキル基は、-A106A107(ここで、A106は、C1-C59アルキレン基であり、A107は、C1-C59ヘテロアリール基である)を示す。
【0218】
本明細書において、「R10a」は、
重水素(-D)、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基又はニトロ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C7-C60アリールアルキル基、C2-C60ヘテロアリールアルキル基、-Si(Q11)(Q12)(Q13)、-N(Q11)(Q12)、-B(Q11)(Q12)、-C(=O)(Q11)、-S(=O)2(Q11)、-P(=O)(Q11)(Q12)、又はそれらの任意組み合わせで置換もしくは非置換の、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基又はC1-C60アルコキシ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C7-C60アリールアルキル基、C2-C60ヘテロアリールアルキル基、-Si(Q21)(Q22)(Q23)、-N(Q21)(Q22)、-B(Q21)(Q22)、-C(=O)(Q21)、-S(=O)2(Q21)、-P(=O)(Q21)(Q22)、又はそれらの任意組み合わせで置換もしくは非置換の、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C7-C60アリールアルキル基、C2-C60ヘテロアリールアルキル基;あるいは
-Si(Q31)(Q32)(Q33)、-N(Q31)(Q32)、-B(Q31)(Q32)、-C(=O)(Q31)、-S(=O)2(Q31)又は-P(=O)(Q31)(Q32);であってよい。
【0219】
本明細書において、Q1~Q3、Q11~Q13、Q21~Q23、及びQ31~Q33は、互いに独立して、水素;重水素;-F;-Cl;-Br;-I;ヒドロキシル基;シアノ基;ニトロ基;C1-C60アルキル基;C2-C60アルケニル基;C2-C60アルキニル基;C1-C60アルコキシ基;又は重水素、-F、シアノ基、C1-C60アルキル基、C1-C60アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、又はそれらの任意組み合わせで置換もしくは非置換の、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C7-C60アリールアルキル基又はC2-C60ヘテロアリールアルキル基;であってよい。
本明細書において、ヘテロ原子は、炭素原子を除いた任意の原子を意味する。前記ヘテロ原子の例は、O、S、N、P、Si、B、Ge、Se、又はそれらの任意組み合わせを含む。
【0220】
本明細書において、第3列遷移金属(third-row transition metal)は、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)又は金(Au)などを含む。
【0221】
本明細書において、「Ph」はフェニル基を意味し、「Me」はメチル基を意味し、「Et」はエチル基を意味し、「ter-Bu」又は「But」は、tert-ブチル基を意味し、「OMe」はメトキシ基を意味する。
【0222】
本明細書において、「ビフェニル基」は、「フェニル基で置換されたフェニル基」を意味する。前記「ビフェニル基」は、置換基が「C6-C60アリール基」である「置換されたフェニル基」に属する。
【0223】
本明細書において、「ターフェニル基」は、「ビフェニル基で置換されたフェニル基」を意味する。前記「ターフェニル基」は、置換基が、「C6-C60アリール基で置換されたC6-C60アリール基」である「置換されたフェニル基」に属する。
【0224】
置換基の定義において、最大炭素数は、例示的なものである。例えば、C1-C60アルキル基において、最大炭素数60は例示的なものであり、アルキル基に係る定義は、C1-C20アルキル基にも同等に適用される。他の場合も同一である。
本明細書において*及び*’は、他の定義がない限り、当該化学式において、隣接する原子との結合サイトを意味する。
【0225】
以下において、実施例を挙げ、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の作製及び評価結果について説明する。
【0226】
[インク組成物製造]
[インク組成物1(比較例1)]
光開始剤0.1重量%、散乱体TiO2(100~200nm)10重量%、モノマー(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(hexanediol diacrylate))100重量%、分散剤(-[CH2-CH(COONa)-]m/分子量:500~15,000)2重量%を混合し、インク組成物を製造した。
【0227】
[インク組成物2(実施例1:低屈折率を誘導するモノマー)]
光開始剤0.1重量%、散乱体TiO2(100~200nm)10重量%、化合物100のモノマー100重量%、分散剤(-[CH2-CH(COONa)-]m/分子量:500~15,000)2重量%を混合し、インク組成物を製造した。
【0228】
【0229】
[インク組成物3(実施例2:低屈折率を誘導する分散材)]
光開始剤0.1重量%、散乱体TiO2(100~200nm)10重量%、モノマー(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)100重量%、分散剤(-[C(Si(CH3)3)H-CH(COONa)-]n/分子量:800~30,000)2重量%を混合し、インク組成物を製造した。
【0230】
[インク組成物4(実施例3:低屈折率粒子を含む)]
光開始剤0.1重量%、散乱体TiO2(100~200nm)10重量%、化合物100のモノマー100重量%、分散剤(-[CH2-CH(COONa)-]m/分子量:500~15,000)2重量%、SiO2粒子(屈折率:1.5/70~150nm)5重量%、ステアリン酸3重量%(酸価:6mgKOH/g)を混合し、インク組成物を製造した。
【0231】
[比較例2]
図1に示されている通りであり、まず、
図2Aに図示されているように、第1基板110上に発光素子120を形成し、薄膜封止層130で覆った。前記発光素子において、中間層に含まれる発光層は、青色発光層を共通層として形成した。
【0232】
次に、第2基板210には、
図2Bのように、フォトリソグラフィ工程を介し、ブラックマットリックス250とカラーフィルタ層220R,220G,220Bとを、各発光素子120と対応する位置にそれぞれ形成した。
【0233】
次に、
図2Cのように、カラーフィルタ層220R,220G,220B上と、ブラックマットリックス250上とに、前記屈折率1.2の低屈折率層260を形成させた後、無機キャッピング層270を形成させた。
【0234】
次に、
図2Dのように、バンク組成物を、各画素間のカラーフィルタ層220R,220G,220B間の位置ごとに残るようにパターニングした。
【0235】
その後、
図2Eのように、赤色画素と緑色画素とに、量子ドット層230R,230Gをインクジェット工程で形成し、青色画素は、比較例1のインク組成物で、散乱層230Wを形成した。
【0236】
次に、
図2Fのように、第1基板110と第2基板210との間に充填材300を塗り、2枚の基板110,210を組み合わせ、発光素子120、量子ドット層230R,230G及びカラーフィルタ層220R,220G,220Bが具備されたディスプレイ装置を完成した。
【0237】
[実施例4]
散乱層230Wを形成させるとき、比較例1のインク組成物の代わりに、実施例1のインク組成物を使用したことを除いては、比較例2と同一に、ディスプレイ装置を製造した。
【0238】
[実施例5]
散乱層230Wを形成させるとき、比較例1のインク組成物の代わりに、実施例2のインク組成物を使用したことを除いては、比較例2と同一に、ディスプレイ装置を製造した。
【0239】
[実施例6]
散乱層230Wを形成させるとき、比較例1のインク組成物の代わりに、実施例3のインク組成物を使用したことを除いては、比較例2と同一に、ディスプレイ装置を製造した。
【0240】
比較例2、実施例4~6のディスプレイ装置の散乱層230Wの屈折率を、表1に示す
【0241】
【0242】
比較例2、実施例4~6のディスプレイ装置の視野角を測定し、該結果を
図4に示した(
図4の緑色画素は、比較例2、実施例4~6がいずれも同等である)。
図4のy軸は、正規化された(normalized)輝度を示し、x軸は、視野角を示す(0°が正面である)。
【0243】
図4を参照すれば、実施例4のディスプレイ装置の青色画素の視野角が、比較例1のディスプレイ装置の青色画素の視野角よりもすぐれているということが分かる。それは、散乱層230Wの屈折率、及び低屈折率層260の屈折率の差が大きくなく、低屈折率層260との境界において入射角が大きい場合にも、全反射が減り、前面に放出される光が多くなったためである(無機キャッピング層270は、厚みが非常に薄いので(例えば、約400nm)光の進行に影響をほとんど及ばさない)。
【0244】
一方、実施例6のディスプレイ装置の青色画素の視野角が、実施例4のディスプレイ装置の青色画素の視野角よりすぐれているということが分かるが、それは、ステアリン酸により、散乱体及び/又はSiO2粒子の表面がコーティングされた後、バンク壁面をコーティングしたためである。散乱体及び/又はSiO2粒子によって壁面がコーティングされたバンクは、散乱された光を反射させたり全反射させたりすることにより、バンクに吸収される光が減り、結果として、抽出される光が多くなり、散乱角度も増大するためである。
【0245】
前述の実施例を参照して説明したが、それらは、例示的なことに過ぎず、当該分野において当業者であるならば、それらから多様な変形、及び実施例の変形が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるものである。
【符号の説明】
【0246】
110 第1基板
120 発光素子
130 薄膜封止層
300 充填材
210 第2基板
220R,220G,220B:カラーフィルタ層
230R,G230 量子ドット層
230W 散乱層
240 バンク
250 ブラックマットリックス