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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051875
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】点眼容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A61J1/05 313F
A61J1/05 313B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157466
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2021160893
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000199175
【氏名又は名称】千寿製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】藤本 高志
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047BB12
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB26
4C047CC24
4C047DD04
4C047DD22
4C047GG23
(57)【要約】
【課題】点眼の正確性が高められる点眼容器を提供する。
【解決手段】点眼容器は、口部を有し、薬液を収容可能である容器本体と、前記口部に取り付けられるノズルと、を備え、前記ノズルは、前記薬液が通過する通路、および、前記通路を通過した前記薬液が吐出される吐出口を有するノズル本体と、前記ノズル本体から張り出す鍔部と、を含み、前記鍔部は、内郭から外郭に向けて凹む鍔凹部を有し、前記ノズル本体は、前記鍔凹部に挿入される目印部を有し、前記鍔部のうちの少なくとも前記目印部の周囲の色は、前記目印部の色と異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有し、薬液を収容可能である容器本体と、
前記口部に取り付けられるノズルと、を備え、
前記ノズルは、
前記薬液が通過する通路、および、前記通路を通過した前記薬液が吐出される吐出口を有するノズル本体と、
前記ノズル本体から張り出す鍔部と、を含み、
前記鍔部は、内郭から外郭に向けて凹む鍔凹部を有し、
前記ノズル本体は、前記鍔凹部に挿入される目印部を有し、
前記鍔部のうちの少なくとも前記目印部の周囲の色は、前記目印部の色と異なる
点眼容器。
【請求項2】
前記ノズル本体は、外郭から内郭に向けて凹む複数のノズル凹部を有し、
前記目印部は、前記複数のノズル凹部の間に形成される
請求項1に記載の点眼容器。
【請求項3】
前記目印部は、前記ノズル本体の下方に向かうにつれて、外側に張り出している
請求項1または2に記載の点眼容器。
【請求項4】
前記ノズル本体は、
前記口部に挿入される基部と、
前記目印部が形成される先細部と、
前記基部と前記先細部とを連結し、前記基部および前記先細部よりも縮径された連結部と、を含み、
前記鍔部は、前記連結部から張り出している
請求項1または2に記載の点眼容器。
【請求項5】
前記目印部の表面は、着色されていない、または、白色に着色されている
請求項1または2に記載の点眼容器。
【請求項6】
前記ノズル本体および前記鍔部の一方に対する他方の回転を規制する回転規制部を有する
請求項1または2に記載の点眼容器。
【請求項7】
口部を有し、薬液を収容可能である容器本体と、
前記口部に取り付けられるノズルと、を備え、
前記ノズルは、
前記薬液が通過する通路、および、前記通路を通過した前記薬液が吐出される吐出口を有するノズル本体と、
前記ノズル本体から張り出す鍔部と、を含み、
前記鍔部の色は、前記ノズル本体の色と異なり、
前記ノズル本体および前記鍔部の一方に対する他方の回転を規制する回転規制部を有する、点眼容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点眼容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによる点眼の正確性を高めるように構成される点眼容器が知られている。特許文献1は、そのような点眼容器の一例を開示している。この点眼容器は、口部を有し、薬液を収容する容器本体と、口部に取り付けられるノズルと、を備える。ノズルは、薬液が通過する通路、および、通路を通過した薬液が吐出される吐出口を有するノズル本体と、ノズル本体から張り出す鍔部と、を含む。鍔部には、複数のマークが表示されている。複数のマークの全てを視認できるようにノズルの先端が目に向けられることによって、吐出口が目の真上に位置する状態が形成される。このため、点眼の正確性が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-5947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記点眼容器では、例えば、ユーザの手と鍔部とが接触した場合、手と鍔部に表示されるマークとが擦れて、マークが消えるおそれがある。そのような場合、点眼の正確性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、点眼の正確性が高められる点眼容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る点眼容器は、口部を有し、薬液を収容可能である容器本体と、前記口部に取り付けられるノズルと、を備え、前記ノズルは、前記薬液が通過する通路、および、前記通路を通過した前記薬液が吐出される吐出口を有するノズル本体と、前記ノズル本体から張り出す鍔部と、を含み、前記鍔部は、内郭から外郭に向けて凹む鍔凹部を有し、前記ノズル本体は、前記鍔凹部に挿入される目印部を有し、前記鍔部のうちの少なくとも前記目印部の周囲の色は、前記目印部の色と異なる。
【0007】
上記点眼容器によれば、点眼の際に目印となる目印部が構造物であるため、例えば、ユーザの手と目印部とが擦れた場合であっても、目印部が消えることがない。また、目印部は、ノズル本体から張り出す鍔部に形成される鍔凹部に挿入される形状であるため、鍔凹部に向けて張り出す形状である。このため、目印部は、ノズルの先端の吐出口が真下を向いている状態でのみユーザが視認できる目印として機能する。点眼する際には、ユーザは、鍔部の全体を視認できるように点眼容器を目の上で把持する。上記点眼容器によれば、鍔部の色と目印部の色とは異なるため、視認性が高められている。このため、ユーザは、目印部の全体を視認できるか否かによって、鍔部の全体が真下を向いているか否か、換言すれば、ノズルの先端の吐出口が真下を向いているか否かを容易に確認できる。このように、上記点眼容器によれば、斜め点眼による液だれが発生することを抑制できるため、点眼の正確性が高められる。
【0008】
本発明の第2観点に係る点眼容器は、第1観点に係る点眼容器であって、前記ノズル本体は、外郭から内郭に向けて凹む複数のノズル凹部を有し、前記目印部は、前記複数のノズル凹部の間に形成される。
上記点眼容器によれば、ノズル本体を縮径できるため、鍔部の面積が大きくなることを抑制しつつ、鍔部の広い範囲を着色できる。このため、鍔部および目印部の視認性が高められる。なお、ノズル凹部の数は、2以上であれば、任意に選択可能であり、例えば6つ形成できる。目印部の数は、ノズル凹部の数と一致することが好ましい。
【0009】
本発明の第3観点に係る点眼容器は、第1観点または第2観点に係る点眼容器であって、前記目印部は、前記ノズル本体の下方に向かうにつれて、外側に張り出している。
【0010】
上記点眼容器によれば、ユーザが目印部の全体を視認できるように、点眼容器を目の上に移動しようとした場合に、目印部の下端を容易に視認できる。このため、目印部の視認性が高められる。
【0011】
本発明の第4観点に係る点眼容器は、第1観点~第3観点のいずれか1つに係る点眼容器であって、前記ノズル本体は、前記口部に挿入される基部と、前記目印部が形成される先細部と、前記基部と前記先細部とを連結し、前記基部および前記先細部よりも縮径された連結部と、を含み、前記鍔部は、前記連結部から張り出している。
【0012】
上記点眼容器によれば、鍔部の一部が、基部と先端部とによって挟まれるため、鍔部に外力が作用した場合であっても、ノズル本体の高さ方向における鍔部の位置ずれが生じにくい。また、ノズル本体と鍔部とは、分離することはできないように成形可能であることが好ましい。
【0013】
本発明の第5観点に係る点眼容器は、第1観点~第4観点のいずれか1つに係る点眼容器であって、前記目印部の表面は、着色されていない、または、白色に着色されている。
【0014】
上記点眼容器によれば、鍔部の色は、ノズル本体または目印部の表面の色と異なっていればよいため、鍔部の色の選択の自由度が高められる。なお、特に限定するわけではないが、鍔部が着色される色は、青色であることが好ましい。鍔部が着色される色は、青色、緑色、紫色、または、橙色であってもよい。また、鍔部の色は、収容部に収容される薬液の用法および容量に応じて異なる色としてもよい。
【0015】
本発明の第6観点に係る点眼容器は、第1観点~第5観点のいずれか1つに係る点眼容器であって、前記ノズル本体および前記鍔部の一方に対する他方の回転を規制する回転規制部を有する。
【0016】
上記点眼容器によれば、仮にノズル本体と鍔部との接合状態が良好でなかったとしても、ノズル本体および鍔部の一方が他方に対して回転することが回転規制部によって規制される。
【0017】
本発明の第7観点に係る点眼容器は、口部を有し、薬液を収容可能である容器本体と、
前記口部に取り付けられるノズルと、を備え、前記ノズルは、前記薬液が通過する通路、および、前記通路を通過した前記薬液が吐出される吐出口を有するノズル本体と、前記ノズル本体から張り出す鍔部と、を含み、前記鍔部の色は、前記ノズル本体の色と異なり、前記ノズル本体および前記鍔部の一方に対する他方の回転を規制する回転規制部を有する。
【0018】
上記点眼容器によれば、仮にノズル本体と鍔部との接合状態が良好でなかったとしても、ノズル本体および鍔部の一方が他方に対して回転することが回転規制部によって規制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に関する点眼容器によれば、点眼の正確性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の点眼容器の正面図。
図2図1のノズルの斜視図。
図3図2のノズルの分解斜視図。
図4図2のD4-D4線に沿う断面図。
図5図2のノズルの平面図。
図6】変形例の点眼容器が備えるノズルの部分正面図。
図7】別の変形例の点眼容器が備えるノズルの部分正面図。
図8】さらに別の変形例の点眼容器が備えるノズルの部分正面図。
図9】さらに別の変形例の点眼容器が備えるノズルの部分正面図。
図10図9の中央断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る点眼容器について説明する。
【0022】
<1.点眼容器の全体構成>
図1は、本実施形態の点眼容器10の正面図である。点眼容器10は、容器本体20と、ノズル30とを備える。点眼容器10は、使用されないときは、ノズル30を覆うようにキャップ(図示略)が容器本体20に取り付けられて保管される。
【0023】
<2.容器本体の構成>
容器本体20は、薬液100(点眼液)を収容する収容空間21Aを有する収容部21、および、収容部21と繋がる口部22を含む。容器本体20は、例えば、収容部21と口部22とが、一体的に形成されている。容器本体20を構成する材料は、ユーザの指によって内方に押圧されたときに変形可能な弾性を有する樹脂材料によって構成される。容器本体20を構成する好ましい樹脂材料は、例えば、ポリエチレン(高密度、低密度等)、ポリプロピレン(プロピレン-エチレン共重合体を含む)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマー(スチレン系等)、環状オレフィン、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体である。容器本体20を構成するより好ましい樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(高密度、低密度等)、ポリプロピレン(プロピレン-エチレン共重合体を含む)、または、熱可塑性エラストマー(スチレン系等)である。
【0024】
収容部21の形状は、薬液100を収容可能な形状であれば、任意に選択可能である。本地実施形態では、収容部21の形状は、正面視および背面視において台形の中空形状である。
【0025】
口部22は、ノズル30が取り付けられる。口部22の形状は、ノズル30を取付可能な形状であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、口部22は、一方の端部に開口22Aを有する円筒状である。口部22の外径は、収容部21の最小の幅よりも小さい。口部22の外周面には、キャップの雌ねじと噛み合う雄ねじ22Bが形成されている。
<3.ノズルの構成>
【0026】
ノズル30は、ユーザによって収容部21が内方に押圧されたときに、先端の吐出口41Aから一定量の薬液100をユーザの目に向かって吐出する。ユーザの顔が上を向いた状態で、ノズル30の吐出口41Aとユーザの目とが対向する場合、薬液100がユーザの目に正確に点眼される。一方、ユーザの顔が上を向いた状態で、ノズル30の吐出口41Aがユーザの目に対して傾いている場合、吐出口41Aから吐出された薬液100がユーザの目に正確に点眼されず、いわゆる液だれが発生するおそれがある。本実施形態の点眼容器10は、液だれが発生することを抑制することによって、点眼の正確性が高められるように、ノズル30に工夫が施されている。
【0027】
図2は、ノズル30の斜視図である。図3は、ノズル30の分解斜視図である。図4は、図2のD4-D4線に沿う断面図である。図5は、ノズル30の平面図である。ノズル30を構成する材料は、任意に選択可能である。本実施形態では、ノズル30を構成するは、低密度ポリエチレンである。ノズル30を構成する好ましい材料は、成形のしやすさ、および、気密性を確保しやすい等の点から、ポリエチレン(高密度、低密度等)、ポリプロピレン(プロピレン-エチレン共重合体を含む)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマー(スチレン系等)、環状オレフィン、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体である。ノズル30を構成するより好ましい材料は、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン(高密度、低密度等)、または、ポリプロピレン(プロピレン-エチレン共重合体を含む)である。ノズル30を構成する特に好ましい材料は、低密度ポリエチレンである。
【0028】
ノズル30は、ノズル本体40および鍔部80を有する。本実施形態では、ノズル30は、金型にインサートされたノズル本体40に対して鍔部80を射出成形することによって製造される。ノズル30は、ノズル本体40と鍔部80とを2色成形することによって製造されてもよい。ノズル30は、ノズル本体40と鍔部80とを3Dプリンターによって製造してもよく、他の方法で製造してもよい。別の例では、ノズル本体40と鍔部80とは、別体で構成され、これらが接合されてもよい。本実施形態、および、別の例において、ノズル本体40と鍔部80とは、分離することはできない。ノズル本体40の内部には、薬液100が通過する通路41(図4参照)が形成されている。通路41の一方の端部には、薬液100をユーザの目に吐出する吐出口41Aが形成されている。通路41の他方の端部には、通路41に流れる薬液100が通過する入口41Bが形成されている。
【0029】
<3―1.ノズル本体の構成>
図3に示されるように、ノズル本体40は、基部50、先細部60、および、連結部70に区分される。基部50は、概ね全体が、容器本体20の口部22(図1参照)に挿入される。基部50は、例えば、円柱形状である。基部50の表面には、口部22の内周面と接触する気密リング51が形成されている。なお、基部50の表面には、口部22の内周面に形成されている雌ねじまたは雄ねじと噛み合う、雄ねじまたは雌ねじが形成されてよい。
【0030】
先細部60は、基部50から離れるにつれて先細りの円錐に類似する形状である。先細部60の先端には、吐出口41Aが形成されている。先細部60は、外郭から内郭に向けて凹むノズル凹部61を有する。ノズル凹部61は、ノズル本体40の高さ方向において、先細部60の概ね中央から吐出口41Aと反対側の端部にまで形成されている。先細部60に形成されるノズル凹部61の数は、2以上であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、図5に示されるように、先細部60は、6つのノズル凹部61を有する。6つのノズル凹部61は、先細部60の周方向に沿って一定の間隔で形成されている。
【0031】
6つのノズル凹部61のうちの先細部60の周方向において隣り合うノズル凹部61の間には、点眼の際にユーザの目印となる目印部62が形成されている。目印部62は、ノズル30の先端の吐出口41Aが真下を向いている状態でのみユーザが視認できる目印として機能する。目印部62は、鍔部80に形成される鍔凹部81に挿入される形状であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、目印部62は、ノズル凹部61よりも先細部60の径方向の外側に張り出している。先細部60が有する目印部62の数は、ノズル凹部61の数と一致する。本実施形態では、先細部60は、6つの目印部62を有する。本実施形態では、ノズル凹部61の深さは、吐出口41Aから連結部70に向かうにつれて、換言すれば、ノズル本体40の下方に向かうにつれて深い。このため、目印部62は、ノズル本体40の下方に向かうにつれて、先細部60の径方向の外側に張り出している。
【0032】
目印部62の色は、鍔部80のうちの目印部62の周囲の色と異なる色であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、目印部62の色は、ノズル本体40を構成する樹脂材料の色である白色である。すなわち、本実施形態では、目印部62の表面は、着色されていない。ノズル本体40を構成する樹脂材料の色は、白色以外の色であってもよい。目印部62の表面が着色されていなくても、目印部62がノズル本体40を構成する樹脂材料の色を発色している場合、目印部62が着色されている場合に該当する。目印部62の表面は、例えば、白色または他の色で着色されていてもよい。
【0033】
連結部70は、基部50と先細部60とを連結する。連結部70は、円柱に類似する形状である。連結部70は、基部50および先細部60よりも縮径されている。連結部70の周囲には、鍔部80が配置される。
【0034】
<3―2.鍔部の構成>
鍔部80は、連結部70の外周面から、基部50および先細部60よりも径方向の外側に張り出している。鍔部80は、一部が基部50の上面と先細部60の下面とによって挟まれている。鍔部80は、中央に孔80Aが形成された円盤に類似する形状である。鍔部80は、内郭から外郭に向けて凹む鍔凹部81を有する。鍔凹部81は、目印部62の下側の端部を含む所定部分が挿入される。鍔部80に形成されている鍔凹部81の数は、目印部62の数と同じである。すなわち、本実施形態では、鍔部80には、6つの鍔凹部81が形成されている。鍔部80の外周には、外郭から内郭に向けて凹む外周凹部82が形成されている。外周凹部82は、インサートされたノズル本体40に対して鍔部80を射出成形するときの樹脂材料を金型に注入するノズルが位置する部分に形成されている。
【0035】
平面視において、鍔部80のうちの少なくとも目印部62の周囲の色は、目印部62の色と異なる。本実施形態では、鍔部80は、表面の全体が、目印部62と異なる色で着色されている。本実施形態では、鍔部80が着色される色は、青色である。鍔部80が着色される色は、緑色、紫色または橙色であってもよい。また、鍔部80の色は、収容部21に収容される薬液100の用法および容量に応じて異なる色としてもよい。
【0036】
<4.平面視におけるノズルの寸法>
図5を参照して、平面視におけるノズル30の好ましい寸法について説明する。
平面視における鍔部80の最大外径LAは、ノズル30の大型化の抑制と、ユーザによる視認のしやすさとの関係に基づいて決められることが好ましい。最大外径LAは、例えば、鍔部80のうちの外周凹部82が形成されている部分以外の外径である。最大外径LAの最大値の一例は、15mmである。最大外径LAが15mm以下である場合、ノズル30の大型化が抑制されるため、一般的なサイズのキャップおよび容器本体20を使用できる。最大外径LAの最小値の一例は、6mmである。最大外径LAが、6mm以上である場合、鍔部80の面積が広いため、例えば、平面視において、鍔部80の概ね全体が着色されている場合、ユーザが、点眼のときに鍔部80を視認しやすい。最大外径LAの好ましい範囲は、6mm以上15mm以下である。最大外径LAのより好ましい範囲は、8mm以上13mm以下である。特に好ましい最大外径LAは、10mmである。
【0037】
ノズル本体40の最小外径LBは、平面視における鍔部80の面積とノズル本体40の強度との関係に基づいて決められることが好ましい。最小外径LBは、例えば、平面視において、ノズル本体40のうちの吐出口41Aを介して対向する2つのノズル凹部61の間の長さである。最小外径LBの最大値の一例は、6mmである。最小外径LBが6mm以下である場合、平面視における鍔部80の面積が広いため、例えば、平面視において、鍔部80の概ね全体が着色されている場合、ユーザが、点眼のときに鍔部80を視認しやすい。最小外径LBの最小値の一例は、3mmである。最小外径LBが、3mm以上である場合、ノズル本体40の強度が高い。最小外径LBの好ましい範囲は、3mm以上6mm以下である。最小外径LBのより好ましい範囲は、4mm以上6mm以下である。特に好ましい最小外径LBは、6mmである。
【0038】
平面視におけるノズル本体40の最大外径LCは、ノズル30の大型化の抑制と、ユーザによる視認のしやすさとの関係に基づいて決められることが好ましい。最大外径LCは、例えば、平面視において、ノズル本体40のうちの吐出口41Aを介して対向する2つの目印部62の間の長さである。最大外径LCの最大値の一例は、8mmである。最大外径LCが8mm以下である場合、ノズル30の大型化が抑制されるため、一般的なサイズのキャップおよび容器本体20を使用できる。最大外径LCの最小値の一例は、4mmである。最大外径LCが、4mm以上である場合、ユーザが、点眼のときに目印部62を視認しやすい。最大外径LCの好ましい範囲は、4mm以上8mm以下である。最大外径LCのより好ましい範囲は、6mm以上8mm以下である。特に好ましい最大外径LCは、8mmである。
【0039】
<5.点眼容器の作用>
ユーザは、目印部62および鍔部80の全体を視認できるように、点眼容器10を目の上で把持することによって、ノズル30の先端の吐出口41Aが真下を向いていることを確認できる。この状態でユーザは、容器本体20の収容部21を内方に押圧することによって、薬液100が吐出口41Aから一定量吐出される。
【0040】
<6.点眼容器の効果>
本実施形態の点眼容器10によれば、以下の効果が得られる。
【0041】
<6-1>
点眼容器10は、点眼の際に目印となる目印部62が構造物であるため、例えば、ユーザの手と目印部62とが擦れた場合であっても、目印部62が消えることがない。点眼する際には、ユーザは、鍔部80の全体を視認できるように点眼容器10を目の上で把持する。点眼容器10によれば、鍔部80の色と目印部62の色とは異なるため、視認性が高められている。このため、ユーザは、目印部62の全体を視認できるか否かによって、鍔部80の全体が真下を向いているか否か、換言すれば、ノズル30の先端の吐出口41Aが真下を向いているか否かを容易に確認できる。このように、点眼容器10によれば、斜め点眼による液だれが発生することを抑制できるため、点眼の正確性が高められる。
【0042】
<6-2>
目印部62が複数のノズル凹部61の間に形成されるため、ノズル本体40を縮径できる。鍔部80の面積が大きくなることを抑制しつつ、鍔部80の表面の広い範囲を着色できる。このため、目印部62の視認性が高められる。
【0043】
<6-3>
目印部62は、ノズル本体40の下方に向かうにつれて、外側に張り出しているため、ユーザが目印部62の全体を視認できるように、点眼容器10を目の上に移動しようとした場合に、目印部62の下端を容易に視認できる。このため、目印部62の視認性が高められる。
【0044】
<6-4>
鍔部80の一部が、基部50と先細部60とによって挟まれるため、鍔部80に外力が作用した場合であっても、ノズル本体40の高さ方向における鍔部80の位置ずれが生じにくい。
【0045】
<6-5>
目印部62の色は、ノズル本体を構成する樹脂材料の色である白色であるため、鍔部80の色の選択の自由度が高められる。
【0046】
<7.変形例>
上記実施形態は本発明に関する点眼容器が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する点眼容器は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の幾つかの例を示す。以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り、組み合わせることもできる。
【0047】
<7-1>
上記実施形態において、ノズル30の形状は、任意に変更可能である。例えば、図6に示されるように、ノズル30は、ノズル本体40の高さ方向において、鍔部80と繋がる円環部90を備えていてもよい。円環部90を着色する色は、鍔部80の色と同じ色であってもよく、異なる色であってもよい。図6に示される例では、円環部90を着色する色は、鍔部80の色と同じ色である。
【0048】
また、図7または図8に示されるように、先細部60の少なく一部を鍔部80の色と同じ色で着色してもよい。図7に示される例では、目印部62の概ね全体が鍔部80と同じ色に着色される。図8に示される例では、ノズル本体40の高さ方向において、目印部62の概ね半分が鍔部80と同じ色に着色される。
【0049】
<7-2>
上記実施形態において、図9および図10に示されるように、ノズル30は、ノズル本体40および鍔部80の一方に対する他方の回転を規制する回転規制部110を有していてもよい。回転規制部110は、鍔部80から下方に延びる鍔壁部111、および、ノズル本体40に形成される本体壁部112を含む。
【0050】
鍔壁部111は、ノズル本体40の内部に形成される。ノズル本体40が透明または半透明な材料によって構成される場合、鍔壁部111は、ノズル本体40の外部から視認可能である。鍔壁部111は、鍔部80の下面から下方に延びる。鍔壁部111の鍔部80の下面からの長さは、ノズル本体40および鍔部80の一方に対する他方の回転が規制される程度に鍔壁部111と本体壁部112とが接触できる長さであれば、任意に選択可能である。鍔壁部111は、鍔部80の周方向に沿って所定間隔で形成される。鍔壁部111の数は、任意に選択可能である。本変形例では、鍔部80に形成される鍔壁部111の数は、6つである。本変形例では、鍔壁部111は、鍔部80の周方向に沿って等間隔で形成される。ノズル30が3つ以上の鍔壁部111を有する場合、鍔部80の周方向において隣り合う鍔壁部111の間隔は異なっていてもよい。
【0051】
本体壁部112は、周方向において隣り合う鍔壁部111の間に形成される。周方向において隣り合う鍔壁部111と、本体壁部112とは接触する。このため、ノズル本体40および鍔部80の一方に対する他方の回転が規制される。
【0052】
<7-3>
上記実施形態では、先細部60の周方向において、隣り合うノズル凹部61の間に目印部62が形成されたが、目印部62の具体的な構成は、これに限定されない。例えば、変形例の点眼容器10では、ノズル凹部61を省略してもよい。この変形例の点眼容器10では、目印部62は、先細部60の表面から突出する突起として構成される。
【0053】
<7-4>
上記実施形態では、鍔部80は、表面が、目印部62と異なる色で着色されていたが、鍔部80がノズル本体40を構成する樹脂材料と異なる色の樹脂材料で構成される場合、鍔部80の表面は、着色されていなくてもよい。
【0054】
<7-5>
上記実施形態では、目印部62は、ノズル本体40の下方に向かうにつれて、外側に張り出していた。しかし、目印部62は、ノズル本体40の上方に向かうにつれて外側に張り出していてもよく、ノズル本体40の高さ方向において張出量が一定であってもよい。
【0055】
<7-6>
上記実施形態では、鍔部80の外周には、外郭から内郭に向けて凹む外周凹部82が形成されていたが、外周凹部82を省略することもできる。また、インサートされたノズル本体40に対して鍔部80を射出成形するときの樹脂材料を金型に注入するノズルの位置によっては、鍔部80の表面に凹部が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 :点眼容器
20 :容器本体
22 :口部
30 :ノズル
40 :ノズル本体
41 :通路
41A:吐出口
50 :基部
60 :先細部
61 :ノズル凹部
62 :目印部
70 :連結部
80 :鍔部
81 :鍔凹部
100:薬液
110:回転規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10