(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051876
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】包材及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
B65D 30/10 20060101AFI20230404BHJP
B32B 3/26 20060101ALI20230404BHJP
B65D 81/03 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B65D30/10 Z
B32B3/26 A
B65D81/03 200
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157587
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】110136461
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】522387582
【氏名又は名称】千釜事業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】黄 宣富
【テーマコード(参考)】
3E064
3E066
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA21
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3E064BC20
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3E066NA60
4F100AR00B
4F100AR00E
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4F100GB15
4F100JK11B
4F100JK11E
4F100JL14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表面にプレス痕がなくて側辺にプレス縁がない包材、及び前記包材の製作方法を提供する。
【解決手段】包材は、基層110及び緩衝層120を含み、前記基層は、第一側縁112及び第二側縁114を有し、前記緩衝層は、第三側縁122及び第四側縁124を有し、前記緩衝層が前記基層の上に重ね合わせられ、且つ前記基層の前記第一側縁と前記緩衝層の前記第三側縁とが密着され、前記基層の前記第二側縁と前記緩衝層の前記第四側縁とが密着されている。包材の製作方法は、基層を用意するステップと、緩衝層を前記基層の上に重ね合わせるステップと、ホットカット器具を使用して、重ね合わせられた前記基層及び前記緩衝層を裁断して、前記基層と前記緩衝層との裁断箇所が熱を受けて融熔して互いに密着されるようにするステップとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材であって、
第一側縁及び第二側縁を有する基層と、
前記基層上に重ね合わせられ、且つ、第三側縁及び第四側縁を有する緩衝層とを含み、
前記基層の前記第一側縁と前記緩衝層の前記第三側縁とが密着されて第一密着線が形成され、前記基層の前記第二側縁と前記緩衝層の前記第四側縁とが密着されて第二密着線が形成されている、包材。
【請求項2】
前記基層の前記第一側縁と前記第二側縁との距離、前記緩衝層の前記第三側縁と前記第四側縁との距離、及び、前記第一密着線と前記第二密着線との距離は、実質的に等しい、請求項1に記載の包材。
【請求項3】
前記基層は、前記緩衝層に向く第一表面を有し、前記第一表面に第一結合領域が備えられており、前記緩衝層は、前記基層に向く第二表面を有し、前記第二表面に第二結合領域が備えられており、前記第一結合領域と前記第二結合領域とが結合され、前記第一結合領域の面積は、前記基層の前記第一表面の面積よりも小さく、且つ、前記第二結合領域の面積は、前記緩衝層の前記第二表面の面積よりも小さい、請求項1に記載の包材。
【請求項4】
前記基層の第一結合領域及び前記緩衝層の前記第二結合領域の少なくとも一方に設けられた接着剤を更に含み、前記基層の前記第一結合領域と前記緩衝層の前記第二結合領域とは、前記接着剤を介して結合されている、請求項3に記載の包材。
【請求項5】
前記基層は、折り線、第一端縁及び第二端縁を有し、前記折り線、前記第一端縁及び前記第二端縁は、何れも前記第一側縁及び前記第二側縁に接続され、
前記緩衝層は、第三端縁及び第四端縁を有し、前記第三端縁及び前記第四端縁は、何れも前記第三側縁及び前記第四側縁に接続され、
前記基層及び前記緩衝層は、前記基層の前記折り線に沿って共同で折り畳まれることで、前記基層によって外袋が構成され、前記緩衝層によって内袋が構成され、前記内袋内に収納スペースが形成されており、前記内袋が前記外袋内に設けられている、請求項1に記載の包材。
【請求項6】
前記基層は、前記緩衝層に向く第一表面を有し、前記第一表面には、前記基層の前記第一端縁と前記折り線との間に設けられた第一結合領域が備えられており、
前記緩衝層は、前記基層に向く第二表面を有し、前記第二表面に第二結合領域が備えられており、前記第一結合領域は、前記第二結合領域に結合するために使用され、
前記基層の一部、前記緩衝層の一部、前記第一密着線、前記第二密着線、及び、前記第一結合領域と前記第二結合領域との結合箇所によって、共同で第一収容スペースが定義されている、請求項5に記載の包材。
【請求項7】
前記基層の前記第一表面には、前記基層の前記第二端縁と前記折り線との間に設けられた第三結合領域が更に備えられており、
前記緩衝層の前記第二表面に第四結合領域が更に備えられており、前記第三結合領域は、前記第四結合領域に結合するために使用され、
前記基層の別の一部、前記緩衝層の別の一部、前記第一密着線、前記第二密着線、及び、前記第三結合領域と前記第四結合領域との結合箇所によって、共同で第二収容スペースが定義され、
前記基層の更に別の一部、前記緩衝層の更に別の一部、前記第一密着線、前記第二密着線、前記第一結合領域と前記第二結合領域との結合箇所、及び、前記第三結合領域と前記第四結合領域との結合箇所によって、共同で中間層スペースが定義されている、請求項6に記載の包材。
【請求項8】
前記第一結合領域の面積は、前記基層の前記第一表面の面積よりも小さく、前記第二結合領域の面積は、前記緩衝層の前記第二表面の面積よりも小さい、請求項6に記載の包材。
【請求項9】
前記基層の前記第一端縁と前記第二端縁とが揃わずに折り蓋が形成されており、前記折り蓋は、前記外袋の外袋開口を封口するためのものである、請求項5に記載の包材。
【請求項10】
前記基層は、別の接着剤、及び離型紙を更に含み、前記別の接着剤が前記折り蓋上に設けられ、前記離型紙が前記別の接着剤上に設けられ、前記離型紙が取り外された後、前記別の接着剤は、前記外袋開口を封口するために使用される、請求項9に記載の包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包材に関し、特に、表面にプレス痕がなく、側面にプレス縁がない包材及びその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1には、従来包材を用いて製作された破壊袋10が示されており、当該破壊袋10は、2層構造を有し、その外層12が不透明なプラスチック材質とされる一方で、内層14が緩衝機能を持つ材質(例えば気泡紙)とされ、且つ、袋口の折り蓋16に接着剤162が設けられ、その上に離型紙18が覆われている。離型紙18を剥がして折り蓋16を折り返せば、接着剤162の作用により、破壊袋10の袋口を閉じることが可能であるのに対して、破壊袋が封口されると、袋体を破壊しない限り、内容物を取り出すことができない(これは、「破壊袋」という名前の由来である)。
【0003】
物品を破壊袋10内に入れてから、折り蓋16で袋口を閉じれば、不透明な外層12は、内容物が外部から見えないことを確保可能である一方で、緩衝性の内層14は、基本的な保護を提供可能であり、且つ、破壊袋10は、破壊なく再び開くことができないという特性を有し、内容物のすり替え又は覗き見がされていないことを更に保証可能とされている。これらの利点に基づいて、一般大衆が荷物を送る際、破壊袋は、非常に一般的な包装用品の選択肢となっている。
【0004】
しかしながら、破壊袋を製作するための従来包材は、通常、ホットプレス工法を通じて、不透明なプラスチック材質と、緩衝機能を持つ別の材質とを粘着させ、2つの材質がホットプレスにより結合された後に両材質を共に折り畳み、次に側辺にて縁止めのために再びホットプレス工法を使用して圧着させることで、外層12と内層14とからなる2層構造を有する破壊袋10を完成させるようにしている。破壊袋10の外層12は、熱を受けて溶融されると収縮してしまうことで、内層14と緊密に貼着され、その表面に内層14のテクスチャ又は表面模様が浮き出る。
図1から見られるように、この例における内層14は、気泡紙製であり、気泡紙は行をなすように並べられた複数のバルーンを有するため、外層12にも、対応するプレス痕が現れて、凹凸のある表面が形成される。そうなると、外層12の表面に印刷された文字やパターンの演出効果が破壊されるだけでなく、その上で筆記することに不利である。また、破壊袋10の側辺もホットプレス工法で縁止めされているため、破壊袋10の側辺は、平らに押し潰された帯状エッジ10Aを有することになり、破壊袋10内の利用可能な収容スペースが必然的に減少される。
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、表面にプレス痕がなくて側辺にプレス縁がない包材、及び前記包材の製作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、包材であって、第一側縁及び第二側縁を有する基層と、前記基層上に重ね合わせられ、且つ、第三側縁及び第四側縁を有する緩衝層とを含み、前記基層の前記第一側縁と前記緩衝層の前記第三側縁とが密着されて第一密着線が形成され、前記基層の前記第二側縁と前記緩衝層の前記第四側縁とが密着されて第二密着線が形成されている。
【0007】
一実施例において、前記基層の前記第一側縁と前記第二側縁との距離、前記緩衝層の前記第三側縁と前記第四側縁との距離、及び、前記第一密着線と前記第二密着線との距離は、実質的に等しい。
【0008】
一実施例において、前記基層は、前記緩衝層に向く第一表面を有し、前記第一表面に第一結合領域が備えられており、前記緩衝層は、前記基層に向く第二表面を有し、前記第二表面に第二結合領域が備えられており、前記第一結合領域と前記第二結合領域とが結合され、前記第一結合領域の面積は、前記基層の前記第一表面の面積よりも小さく、且つ、前記第二結合領域の面積は、前記緩衝層の前記第二表面の面積よりも小さい。
【0009】
一実施例において、前記包材は、前記基層の第一結合領域及び前記緩衝層の前記第二結合領域の少なくとも一方に設けられた接着剤を更に含み、前記基層の前記第一結合領域と前記緩衝層の前記第二結合領域とは、前記接着剤を介して結合されている。
【0010】
一実施例において、前記基層は、折り線、第一端縁及び第二端縁を有し、前記折り線、前記第一端縁及び前記第二端縁は、何れも前記第一側縁及び前記第二側縁に接続され、前記緩衝層は、第三端縁及び第四端縁を有し、前記第三端縁及び前記第四端縁は、何れも前記第三側縁及び前記第四側縁に接続され、前記基層及び前記緩衝層は、前記基層の前記折り線に沿って共同で折り畳まれることで、前記基層によって外袋が構成され、前記緩衝層によって内袋が構成され、前記内袋内に収納スペースが形成されており、前記内袋が前記外袋内に設けられている。
【0011】
一実施例において、前記基層は、前記緩衝層に向く第一表面を有し、前記第一表面には、前記基層の前記第一端縁と前記折り線との間に設けられた第一結合領域が備えられており、前記緩衝層は、前記基層に向く第二表面を有し、前記第二表面に第二結合領域が備えられており、前記第一結合領域は、前記第二結合領域に結合するために使用され、前記基層の一部、前記緩衝層の一部、前記第一密着線、前記第二密着線、及び、前記第一結合領域と前記第二結合領域との結合箇所によって、共同で第一収容スペースが定義されている。
【0012】
一実施例において、前記基層の前記第一表面には、前記基層の前記第二端縁と前記折り線との間に設けられた第三結合領域が更に備えられており、前記緩衝層の前記第二表面に第四結合領域が更に備えられており、前記第三結合領域は、前記第四結合領域に結合するために使用され、前記基層の別の一部、前記緩衝層の別の一部、前記第一密着線、前記第二密着線、及び、前記第三結合領域と前記第四結合領域との結合箇所によって、共同で第二収容スペースが定義され、前記基層の更に別の一部、前記緩衝層の更に別の一部、前記第一密着線、前記第二密着線、前記第一結合領域と前記第二結合領域との結合箇所、及び、前記第三結合領域と前記第四結合領域との結合箇所によって、共同で中間層スペースが定義されている。
【0013】
一実施例において、前記基層の前記第一表面に第五結合領域が更に備えられ、前記緩衝層の前記第二表面に第六結合領域が更に備えられており、前記第五結合領域は、前記第六結合領域に結合するために使用され、前記中間層スペースは、第一中間層サブスペース及び第二中間層サブスペースを含み、前記第一中間層サブスペースと前記第二中間層サブスペースとは、前記第五結合領域と前記第六結合領域との結合箇所を境界として仕切られている。
【0014】
一実施例において、前記第一結合領域の面積は、前記基層の前記第一表面の面積よりも小さく、前記第二結合領域の面積は、前記緩衝層の前記第二表面の面積よりも小さい。
【0015】
一実施例において、前記基層の前記第一端縁と前記第二端縁とが揃わずに折り蓋が形成されており、前記折り蓋は、前記外袋の外袋開口を封口するためのものである。
【0016】
一実施例において、前記基層は、別の接着剤、及び離型紙を更に含み、前記別の接着剤が前記折り蓋上に設けられ、前記離型紙が前記別の接着剤上に設けられ、前記離型紙が取り外された後、前記別の接着剤は、前記外袋開口を封口するために使用される。
【0017】
一実施例において、前記基層は、不透明材料製である。
【0018】
本発明は、包材の製作方法であって、基層を用意するステップAと、前記基層の上に重ね合わせられた緩衝層を用意するステップBと、ホットカット器具を使用して、前記基層及び前記緩衝層を裁断して、前記基層と前記緩衝層とによって裁断箇所にて第一密着線及び第二密着線が形成されるようにするステップであって、前記第一密着線と前記第二密着線との間の距離が実質的に前記基層の幅及び前記緩衝層の幅に等しくなるステップCとを含む、包材の製作方法を更に提供する。
【0019】
一実施例において、前記基層は、前記緩衝層に向く第一表面を有し、前記緩衝層は、前記基層に向く第二表面を有し、且つ、ステップBは、更に、接着剤を前記第一表面の第一結合領域及び前記第二表面の第二結合領域の少なくとも一方に付与して、前記第一結合領域と前記第二結合領域とが前記接着剤を介して互いに粘着されるようにする。
【0020】
一実施例において、前記第一結合領域の面積は、前記基層の前記第一表面の面積よりも小さく、且つ前記第二結合領域の面積は、前記緩衝層の前記第二表面の面積よりも小さい。
【0021】
一実施例において、ステップCは、重ね合わせられた前記基層及び前記緩衝層を前記基層の折り線に沿って折り畳み、前記ホットカット器具を使用して、折り畳まれた前記基層及び前記緩衝層を裁断して、前記基層によって外袋が構成され、且つ前記緩衝層によって内袋が構成されるようにするステップであって、前記内袋内に収納スペースが形成されており、前記内袋が前記外袋内に設けられているステップを更に含む。
【0022】
一実施例において、前記基層は、前記緩衝層に向く第一表面を有し、前記緩衝層は、前記基層に向く第二表面を有し、ステップBは、更に、前記第一表面の第一結合領域及び前記第二表面の第二結合領域の少なくとも一方に接着剤を付与して、前記第一結合領域と前記第二結合領域とが前記接着剤を介して互いに粘着されるようにし、前記第一結合領域は、前記基層の前記第一端縁と前記折り線との間に位置し、前記第二結合領域は、前記第一結合領域に対応している。
【0023】
一実施例において、ステップBは、更に、前記接着剤を前記第一表面の第三結合領域及び前記第二表面の第四結合領域の少なくとも一方に付与して、前記第三結合領域と前記第四結合領域とが前記接着剤を介して互いに粘着されるようにし、前記第三結合領域は、前記基層の前記第二端縁と前記折り線との間に設けられ、前記第四結合領域は、前記第三結合領域に対応している。
【0024】
一実施例において、ステップBは、更に、前記接着剤を前記第一表面の第五結合領域及び前記第二表面の第六結合領域の少なくとも一方に付与して、前記第五結合領域と前記第六結合領域とが前記接着剤を介して互いに粘着されるようにし、前記第五結合領域は、前記基層の前記折り線の箇所に設けられ、前記第六結合領域は、前記第五結合領域に対応している。
【0025】
一実施例において、前記第一結合領域の面積は、前記基層の前記第一表面の面積よりも小さく、前記第二結合領域の面積は、前記緩衝層の前記第二表面の面積よりも小さい。
【0026】
一実施例において、前記基層の寸法は、前記緩衝層の寸法よりも大きく、前記緩衝層が前記基層の上に重ね合わせられる場合、前記基層の一部は、前記緩衝層によって覆われない。
【0027】
一実施例において、前記方法は、前記基層における前記緩衝層によって覆われない前記一部上に別の接着剤を設けるとともに、前記別の接着剤上に離型紙を設けるステップを更に含む。
【0028】
一実施例において、前記基層は、不透明材料製である。
【発明の効果】
【0029】
本発明による前記包材は、平らな表面を有するため、その上に印刷された文字やパターンは、良好な演出効果を奏することができ、その上で筆記する必要がある場合でも、プレス痕によって干渉されることがない。また、前記包材の側辺に帯状エッジがないため、前記包材で製作された破壊袋は、利用可能な内部収容スペースを最大限に有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、従来包材で製作された破壊袋の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る包材を用いて製作された破壊袋の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す破壊袋を3-3線から見た断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す破壊袋を4-4線から見た断面図である。
【
図5】
図5は、
図3と似た断面図であり、破壊袋の別の作製方法を示すものである。
【
図6】
図6は、本発明に係る包材の製作方法を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、前述した方法で本発明に係る包材の基層及び緩衝層を重ね合わせる模式図である。
【
図8】
図8は、前述した方法で本発明に係る包材の基層及び緩衝層を折り畳む模式図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る包材の基層及び緩衝層を折り畳んだ後にホットカットして、最終的に破壊袋の完成品を作り上げる模式図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す基層及び緩衝層をホットカットする模式図を10-10線から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明をより明確に説明可能にするために、好ましい実施例を掲げ、図面を参照して以下のように詳しく説明する。
【0032】
以下の実施例で言及される「実質的に等しい」又は「実質的に同等である」という用語は、ある要素/構造の寸法が別の要素/構造の寸法と等しいことを意味する。しかし、製造公差や他の要因により、前記要素/構造の寸法が前記別の要素/構造の寸法と完全に等しくならず、即ち前記要素/構造の寸法と、前記別の要素/構造の寸法との間には、製造/組立公差が許容可能であり、例えば前記製造/組立公差は、5mm以内であり得るが、何れも本発明の保護範囲内である。
【0033】
図2~
図4を参照すると、
図2は本発明の好ましい実施例に係る包材100を用いて製作された破壊袋20であり、
図3は
図2内の3-3線から見た断面図であり、
図4は
図2内の4-4線から見た断面図である。破壊袋20は、外袋22及び内袋24を含む2層構造を有し、内袋24は外袋22の内部に入れ子状に配置され、且つ、内袋24の内部には物品を収容するために使用可能な収納スペースS1が備えられている。破壊袋20の袋口は、外袋22によって形成された外袋開口222及び内袋24によって形成された内袋開口242に細分可能であり、外袋22には、内袋24の外に突出する折り蓋224が外袋開口222の箇所に設けられ、且つ、折り蓋224に第一接着剤226が付与され、その上は離型紙228で覆われている。離型紙228を剥がして折り蓋224を折り返せば、第一接着剤226によって折り蓋224と外袋22の他側の表面とを緊密に粘着可能となるので、外袋開口222及び内袋開口242が同時に閉じられ、つまり、破壊袋20の袋口を閉じるという効果が達成される。
【0034】
破壊袋20の外袋22は、本発明の好ましい実施例に係る包材100の基層110によって形成されるのに対して、内袋24は、包材100の緩衝層120によって形成され、基層110は、不透明材料製であり、緩衝層120は、緩衝性を持つ材質である。基層110は、第一側縁112及び第二側縁114を有し、緩衝層120は、第三側縁122及び第四側縁124を有し、第一側縁112と第三側縁122とが密着されて第一密着線L1が形成され、第二側縁114と第四側縁124とが密着されて第二密着線L2が形成されている。基層110の第一側縁112と第二側縁114とは、第一距離D1だけ空けられ、緩衝層120の第三側縁122と第四側縁124とは、第二距離D2だけ空けられ、第一密着線L1と第二密着線L2とは、第三距離D3だけ空けられている。第一距離D1、第二距離D2、及び第三距離D3は、何れも実質的に等しい。換言すれば、包材100(及び包材100で製作された破壊袋20)は、何れも前述した従来の破壊袋10のプレス縁10Aを有しないため、内袋24の内部の収納スペースS1は、最大限の使用スペースを提供可能である。
【0035】
本発明の好ましい実施例に係る包材100と、それによって製作された破壊袋20との間の関係を説明する。ここで、包材100の基層110は、第一端縁116、第二端縁118、及び折り線119を有し、且つ、緩衝層120は、第三端縁126及び第四端縁128を有し、第一端縁116及び第二端縁118は、何れも基層110の第一側縁112及び第二側縁114に接続され、同様に、第三端縁126及び第四端縁128は、何れも緩衝層120の第三側縁122及び第四側縁124に接続されているとする。基層110及び緩衝層120は、折り線119に沿って共同で折り畳まれることで、基層110によって外袋22が構成され、緩衝層120によって内袋24が構成され、且つ、第三端縁126及び第四端縁128によって、前述した内袋開口242が形成される。そして、基層110の第一端縁116と第二端縁118とが揃わないことで折り蓋224が形成され、折り蓋224は、基層110の折り返し線に沿って基層110に対して折り曲げ可能であり、基層110の前記折り返し線と第二端縁118とによって、前述した外袋開口222が形成されている。
【0036】
本発明の好ましい実施例に係る包材100の基層110と緩衝層120とは、側辺が密着されて第一密着線L1及び第二密着線L2が形成されることで結合されているだけでなく、両者の間には、基層110と緩衝層120との粘着を更に補助可能な第二接着剤130が付与されている。具体的に、基層110における緩衝層120に向く表面は、第一表面115として定義され、緩衝層120における基層110に向く表面は、第二表面125として定義され、第一表面115に第一結合領域115Aが備えられ、第二表面125に第二結合領域125Aが備えられ、第二接着剤130が第一結合領域115A及び第二結合領域125Aの少なくとも一方に設けられることで、第一結合領域115Aと第二結合領域125Aとが第二接着剤130を介して結合され、基層110と緩衝層120とを粘着させるという目的が達成される。第一結合領域115Aは、基層110の第一端縁116と折り線119との間に位置し、第二結合領域125Aは、緩衝層120における第一結合領域115Aに対応する箇所に位置する。このような設計により、基層110と緩衝層120との間に第一収容スペースS3が備えられ、第一収容スペースS3は、基層110の一部、緩衝層120の一部、第一密着線L1、第二密着線L2、及び、第一結合領域115Aと第二結合領域125Aとの結合箇によって規定される。第一収容スペースS3は、紙葉のような薄いものを便利に入れるために使用可能であり、必要に応じて容易に取り出すこともできる。
【0037】
そして、第一結合領域115Aの面積は、基層110の第一表面115の面積よりも小さく、且つ、第二結合領域125Aの面積も、緩衝層120の第二表面125の面積よりも小さい。したがって、本発明の好ましい実施例に係る包材100では、破壊袋20が製作された場合、内袋24と外袋22とは完全に粘着されるわけではない。
【0038】
また、
図3に示すように、本発明の好ましい実施例に係る包材100で破壊袋20が製作された後、破壊袋20における折り蓋224を有しない側には、第一表面115に第三結合領域115Bが対応して設けられるとともに、第二表面125に第四結合領域125Bが設けられていてもよい。詳述すれば、第三結合領域115Bは、基層110の第二端縁118と折り線119との間に設けられ、第四結合領域125Bは、第三結合領域115Bに対応する箇所に設けられ、且つ、第二接着剤130も第三結合領域115B及び第四結合領域125Bの少なくとも一方に付与されることで、第三結合領域115Bと第四結合領域125Bとは、同様に第二接着剤130を介して粘着されている。このような設計により、破壊袋20の外袋22と内袋24との間に第二収容スペースS4が備えられることになり、第二収容スペースS4は、基層110の別の一部、緩衝層120の別の一部、第一密着線L1、第二密着線L2、及び、第三結合領域115Bと第四結合領域125Bとの結合箇によって規定される。しかも、基層110の更に別の一部、緩衝層120の更に別の一部、第一密着線L1、第二密着線L2、第一結合領域115Aと第二結合領域125Aとの結合箇所、及び、第三結合領域115Bと第四結合領域125Bとの結合箇によって中間層スペースS2が規定される。
【0039】
中間層スペースS2は、例えば名刺、チラシやQRコード等の識別情報(不図示)を収容するために使用可能である。理解できることに、このような使用シーンでは、基層110は、人間の目やスキャナによる前記識別情報の読み取りが妨げられないように、当然、不透明な材質で製作されるべきではない。基層110が本実施例で説明したように不透明材質製であれば、前記識別情報は、RFIDタグとされてもよい(これに限定されない)。この場合、前記識別情報が基層100によって遮蔽されても、センサによる読み取りが可能である。前述した中間層スペースS2が第一密着線L1、第二密着線L2、第一結合領域115Aと第二結合領域125Aとの結合箇所、及び、第三結合領域115Bと第四結合領域125Bとの結合箇によって閉じられることになるため、前記中間層スペースS2の内部に置かれている前記識別情報は、非意図的に抜け落ちてしまう恐れがなくなる。
【0040】
図5を参照すると、
図5は本願の別の好ましい実施例を示しており、基層110の第一表面115に第五結合領域115Cが更に設けられ、且つ、緩衝層120の第二表面125に第六結合領域125Cが対応して設けられており、第二接着剤130が同様に第五結合領域115C及び第六結合領域125Cの少なくとも一方に付与されることで、第五結合領域115Cと第六結合領域125Cとも第二接着剤130を介して結合されているといった点を除き、前の実施例と略同じ設計を有する。この実施例において、第五結合領域115Cは、折り線119に対応する箇所に設けられるが、本発明は、これに限定されるものではない。第五結合領域115Cは、第一表面115における折り線119とは別の箇所に設けられてもよいが、実際の状況に応じて決定される。中間層スペースS2は、第五結合領域115Cと第六結合領域125Cとの結合箇によって仕切られ、第一中間層サブスペースS2Aと第二中間層サブスペースS2Bとに区分される。これにより、第一中間層サブスペースS2Aと第二中間層サブスペースS2Bとは、別々の識別情報を収容するために使用可能となることで、破壊袋20は、より柔軟に利用することができる。
【0041】
本発明は、好ましい実施例に係る前述した包材100の製作方法を更に提供しており、そのステップについて、
図6を参照するとともに、
図7~
図10も参照されたい。先ず、ステップS01において、面積の大きな基層110を用意し、基層110は、基層バレル80から引き出され、平らに保たれるように材料整列ローラ群82の間を通過する。次に、ステップS02において、面積の大きな緩衝層120を基層110の上に重ね合わせ、緩衝層は、緩衝層バレル90から引き出され、同様に平らに保たれるように材料整列ローラ群92の間を通過する。材料整列ローラ群92を通過した緩衝層120は、転向ローラ94にて方向が変えられ、次に、基層110と同時に重ね合わせローラ群84の間を通過し、こうして、基層110と緩衝層120との重ね合わせが完成される。
【0042】
なお、基層110と緩衝層120との間に第二接着剤130が付与されて両者が互いに粘着され、第二接着剤130は、ディスペンスヘッド70によって供給され、基層110が重ね合わせローラ群84に進入する前にその上に塗布される。上記のように、本実施例の製作方法において、基層110の第一表面115は、緩衝層120に向くのに対して、緩衝層120の第二表面125は、基層110に向いており、第二接着剤130は、第一表面115の第一結合領域115A及び第二表面125の第二結合領域125Aの少なくとも一方に付与され、本実施例において、基層110におけるディスペンスヘッド70によって第二接着剤130が塗布された箇所は、第一結合領域115Aとなる。第一結合領域115Aの面積は、基層110の第一表面115の面積よりも小さく、且つ第二結合領域125Aの面積は、緩衝層120の第二表面125の面積よりも小さいため、基層110と緩衝層120とは、完全に粘着されるわけではなく、両者の間には、前述した中間層スペースS2が形成されてもよい。
【0043】
好ましくは、基層110は、不透明材料製であり、緩衝層120は、緩衝性を持つ材質であり、且つ基層110の寸法は、緩衝層120の寸法よりも大きいため、基層110の一部は、緩衝層120によって覆われないことになる(
図8参照)。後続の工程では、基層110における緩衝層120によって覆われない当該一部に第一接着剤226が設けられ、更に第一接着剤226上に離型紙228が設けられてもよい。
【0044】
次に、ステップS03において、ホットカット器具を使用して、重ね合わせられた基層110及び緩衝層120を裁断し、基層110と緩衝層120とは、ホットカット箇所にて熱を受けて溶融し、互いに密着されて1本の線が形成される。説明すべきなのは、包材100から破壊袋20を製作するために、ステップS03は、重ね合わせられた基層110及び緩衝層120を折り線119にそって折り畳むステップを更に含む。
図8に示すように、重ね合わせられた基層110及び緩衝層120は、三角形の折り畳み部材60を経ると、自然に折り畳まれ、更に別の材料整列ローラ群62により、折り畳まれた基層110及び緩衝層120を平らに保たれる可能であり、そして、圧迫ローラ64と協働すれば、折り畳まれた基層110と緩衝層120とは、よりフィットされて緊密に貼着される。
【0045】
図9及び
図10に示すように、前記ホットカット器具は、本実施例において、ホットカッタ50であり、本方法は、前記ホットカッタ50を使用して、重ね合わせられた基層110及び緩衝層120を裁断し、このような動作を2回すれば、上記のように破壊袋20に備えられている第一密着線L1及び第二密着線L2をそれぞれ形成できる。これにより、第一密着線L1と第二密着線L2との間の距離は、裁断された基層110の第一幅W1及び緩衝層120の第二幅W2と実質的に等しくなる。換言すれば、基層110及び緩衝層120の側辺は、従来包材10のプレス縁10Aを有せずに、第一密着線L1及び第二密着線L2によってシールされる。
【0046】
以上を纏めて、本発明は、ホットカッタ50によって形成された破壊袋20の第一密着線L1及び第二密着線L2の構造を利用して、第一密着線L1と第二密着線L2との間の距離を基層110の第一幅W1及び緩衝層120の第二幅W2と実質的に等しくしている。このように、本発明の破壊袋20の第一密着線L1及び第二密着線L2は、ホットプレスを利用して形成されたプレス縁(例えば
図1に示す従来包材10のプレス縁10A)ではなく、ホットカッタ50によって形成された密着カット線になっており、同じ袋体サイズであれば、シール基層110及び緩衝層120の側辺をシールする構造の幅が更に節約されるため、破壊袋20の内部のスペースが増加される。
【0047】
なお、前述した第二接着剤130が付与された第一結合領域115Aの位置については、基層110及び緩衝層120が折り畳まれた後、第一結合領域115Aが基層110の第一端縁116と折り線119との間に丁度位置し、第二結合領域125Aが第一結合領域115Aに対応することになるように、適切に事前に調整されてもよい。これにより、破壊袋20の内袋24と外袋22との間に第一収容スペースS3が形成可能となる。
【0048】
さらに、上記のように、第二接着剤130は、基層110の第一表面115上の第三結合領域115B及び緩衝層120の第二表面125上の第四結合領域125Bの少なくとも一方に更に付与されて、第三結合領域115Bと前記第四結合領域125Bとが互いに結合されるようにしてもよい。第三結合領域115Bは、前記基層110の第二端縁118と折り線119との間に設けられ、第四結合領域125Bは、第三結合領域115Bに対応している。これにより、破壊袋20の内袋24と外袋22との間に第二収容スペースS4が形成可能となる。
【0049】
それに、前述した本発明の別の好ましい実施例に従って、第二接着剤130を第一表面115の第五結合領域115C及び第二表面125の第六結合領域125Cの少なくとも一方に付与して、第五結合領域115Cと第六結合領域125Cとが前記第二接着剤130を介して互いに粘着されるようにしてもよい。第五結合領域115Cは、基層110の折り線119の箇所に設けられ、第六結合領域125Cは、第五結合領域115Cに対応している。これにより、中間層スペースS2は、第一中間層サブスペースS2Aと第二中間層サブスペースS2Bとに仕切られることが可能となる。
【0050】
こうして、ステップS03で説明した前記ホットカット器具を動作させると、破壊袋20を製作可能となり、そのうち、基層110によって外袋22が構成され、基層110の第一端縁116と第二端縁118とによって外袋開口222が形成され、緩衝層120によって内袋24が構成され、且つ、緩衝層120の第三端縁126と第四端縁128とによって内袋開口242が形成される。このように、内袋24の内部に収納スペースS1が形成され、基層110における緩衝層120で覆われない前記一部によって折り蓋224が形成される。
【0051】
前述した方法で製作された包材100は、ホットプレス工法を介しないため、プレス痕のない平らな表面を有し、印刷又は筆記に適しており、また、包材100の側辺にプレス縁がないため、包材100で製作された破壊袋20が有する収納スペースS1は、最大限の利用可能なスペースを提供できる。
【0052】
上述したものは、本発明の好ましい可能な実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲を利用してなされた構造及び方法の同等バリエーションは、何れも本発明の特許範囲内に含まれるべきである
【符号の説明】
【0053】
[先行技術]
10 破壊袋
12 外層
14 内層
16 折り蓋
162 接着剤
18 離型紙
10A 帯状エッジ
[本発明]
100 包材
110 基層
112 第一側縁
114 第二側縁
115 第一表面
115A 第一結合領域
115B 第三結合領域
115C 第五結合領域
116 第一端縁
118 第二端縁
119 折り線
120 緩衝層
122 第三側縁
124 第四側縁
125 第二表面
125A 第二結合領域
125B 第四結合領域
125C 第六結合領域
126 第三端縁
128 第四端縁
130 第二接着剤
20 破壊袋
22 外袋
222 外袋開口
224 折り蓋
226 第一接着剤
228 離型紙
24 内袋
242 内袋開口
50 ホットカッタ
60 折り畳み部材
62 材料整列ローラ群
64 圧迫ローラ
70 ディスペンスヘッド
80 基層バレル
82 材料整列ローラ群
84 重ね合わせローラ群
90 緩衝層バレル
92 材料整列ローラ群
94 転向ローラ
S1 収納スペース
S2 中間層スペース
S2A 第一中間層サブスペース
S2B 第二中間層サブスペース
S3 第一収容スペース
S4 第二収容スペース
L1 第一密着線
L2 第二密着線
D1 第一距離
D2 第二距離
D3 第三距離
W1 第一幅
W2 第二幅
H ホットカット線
S01、S02、S03 ステップ