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特開2023-51893車両の遠隔較正及びテストのためのシステム並びにその方法
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  • 特開-車両の遠隔較正及びテストのためのシステム並びにその方法 図1
  • 特開-車両の遠隔較正及びテストのためのシステム並びにその方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051893
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】車両の遠隔較正及びテストのためのシステム並びにその方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20230404BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G01M17/007 J
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022158933
(22)【出願日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】202141044324
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(71)【出願人】
【識別番号】515022571
【氏名又は名称】ロバート ボッシュ エンジニアリング アンド ビジネス ソリューションズ プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch Engineering and Business Solutions Private Limited
【住所又は居所原語表記】123, Industrial Layout, Hosur Road, Koramangala, Bangalore - 560 095, India
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マジャンダー,クリシュナ,ゴパル
(72)【発明者】
【氏名】ファッタナイ,プレッティ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB17
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】 本開示は、車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)並びにその対応する方法(200)を提案する。
【解決手段】 車両は、複数のセンサと、少なくともデータ収集送信ユニット(DCTU(101))と、を備えている。システム(100)は、受信局(102)と、少なくとも1つの仮想現実局(103)と、を備えている。受信局(102)は、DCTU(101)と少なくとも1つの仮想現実局(103)との間に通信ゲートウェイを確立するように構成されている。仮想現実局(103)は、複数のアクチュエータ及び車両のデジタルツインに関する、DCTU(101)から受信されたデータをレンダリングすることによって、仮想車両体験を与えるように構成されている。仮想現実局(103)内での物理的体験及び記録された出力に基づいて、専門家は、車両の較正及びテストのために、受信局(102)を介してDCTU(101)に専門家のフィードバックを提供し得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)であって、前記車両は、複数のセンサ及び少なくともデータ収集送信ユニット(DCTU(101))を備え、前記DCTU(101)は、前記複数のセンサから実時間データを収集して前記システム(100)にそれを送信するように構成され、前記システム(100)は、
前記DCTU(101)と少なくとも1つの仮想現実局(103)との間に通信ゲートウェイを確立するように構成された受信局(102)と、
前記車両のデジタルツインを走行させることによって仮想的な車両体験を与えるように構成された少なくとも1つの仮想現実局(103)であって、前記仮想現実局(103)は、複数のアクチュエータ及び少なくとも送信機を更に備え、前記送信機は、車両の遠隔較正及びテストのために、前記受信局(102)にフィードバックを提供するように適合されている、少なくとも1つの仮想現実局(103)と、
を備えている、車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)。
【請求項2】
前記複数のセンサは、少なくとも前記車両からの実時間ビデオデータと共に、1つ又は複数の車両動作パラメータに関する実時間データを提供する、請求項1に記載の車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)。
【請求項3】
前記仮想現実局(103)は、前記車両の前記複数のアクチュエータ及び前記デジタルツインに前記DCTU(101)から受信されたデータをレンダリングする、請求項1に記載の車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)。
【請求項4】
車両の遠隔較正及びテストのための方法(200)であって、前記車両は、複数のセンサ及び少なくともデータ収集送信ユニット(DCTU(101))を備え、前記DCTU(101)は、前記複数のセンサ及びアクチュエータから実時間データを収集してそれを送信するように構成され、受信局(102)が、前記DCTU(101)と仮想現実局(103)との間に通信ゲートウェイを確立し、前記仮想現実局(103)は、複数のアクチュエータを備えて、前記車両のデジタルツインを走行させ、前記方法は、
前記DCTU(101)によって前記車両内の前記複数のセンサから実時間データを捕捉するステップ(201)と、
前記受信局(102)に捕捉されたデータを送信するステップ(202)と、
前記仮想現実局(103)内の前記デジタルツイン及び前記複数のアクチュエータに前記受信されたデータをレンダリングする(203)ステップと、
前記デジタルツイン及び前記複数のアクチュエータの挙動を記録するステップ(204)と、
前記車両の較正及びテストのために、前記受信局(102)を介して前記DCTU(101)にフィードバックを提供するステップ(205)と、
を含む、車両の遠隔較正及びテストのための方法(200)。
【請求項5】
前記複数のセンサは、前記車両からの実時間ビデオデータと共に、1つ又は複数の車両動作パラメータに関する実時間データを提供する、請求項4に記載の車両の遠隔較正及びテストのための方法(200)。
【請求項6】
フィードバックが、前記記録された挙動及び前記捕捉された実時間データを分析することによって、前記DCTU(101)に提供される、請求項4に記載の車両の遠隔較正及びテストのための方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の遠隔較正及びテストのためのシステム、並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両についてのテストトラックでの較正テスト及び製品展示が、車両製造ライフサイクルにおけるコストのかかる要素のうちの1つであり、高いリードタイムを伴うOEMのために時間を消費することもあり得る。このことは、世界中の専門家のチームが、例えば、冬季テストトラックのような単一の場所に移動することを必要とする。世界中の技術的専門知識の物理的存在を遠隔で必要とする事業をより短い時間で実行し、遂行する必要がある。デジタルツインと共に仮想現実(VR)技術は、任意の天候条件の下で、任意の場所において、自動車を遠隔でテストすることを可能にする。完全没入型シミュレーションが、ユーザに完全な視聴覚を伴う現実的な体験を与える。没入型技術は、より低いコスト及び短縮された時間で高い安全性レベルを確実にするのに役立ち得る。
【0003】
ドライバ体験向上のための拡張現実サービスが、シースルーディスプレイ、フロントガラスプロジェクタ、又は様々な装着物の形式であることにより、それらの周囲の環境及び状態に関するより多くの情報をドライバに与える。これらが使用されることにより、メンテナンスプロセス中に、様々な機械の実時間温度を常時監視してオーバーレイし、振動データを収集して分析し、車両の動作についての問題を検出して識別する。したがって、世界的に多様化された開発チーム及びOEMについて、技術者の専門知識と共に、使用仮想現実(VR)、テレメトリ及びシミュレーションを統合することにより、テスト及び較正動作を高速化し、それによって時間を短縮する必要がある。
【0004】
「Virtual reality teleoperated remote control vehicle」と題された米国特許出願第6108031A号は、遠隔制御局にいるヒトのオペレータによって遠隔制御されている操縦可能な自動車両を開示しており、オペレータは、車両周辺のシーンについての3次元の現実的な視覚表現を提供されることにより、車両によって直ちに遭遇される環境内に出現する物体及び別の特徴を考慮に入れながら、オペレータがより正確な車両の制御を訓練することを可能にする。車両は、両眼視シーン用の2台の車両カメラを搭載しており、見られたシーンは、オペレータによって装着された仮想現実ヘッドセットの一部を形成する、シーンが2つの表示画面上で再生される遠隔制御局にRF通信リンクによって送信され、オペレータの別々の眼によって別々に見られることにより、2台のカメラによって見られたシーンの3次元及び現実的な印象を生成する。しかしながら、上記特許出願は、単に2次的な運転体験を再現するために車両周辺のシーンの視覚的表現に依存しているに過ぎず、それは、較正及びテストに必要な完全な体験を与えるための別の車両動作パラメータを無視している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態が、以下の添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)構成を示す図である。
図2】車両の遠隔較正及びテストのための方法ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、車両の遠隔較正及びテストのためのシステム構成を示す。車両は、当業者に共通に知られた別の構成要素の中に、複数のセンサと、少なくともデータ収集送信ユニット(DCTU(101))と、を備えている。DCTU(101)は、複数のセンサから実時間データを収集して、システム(100)にそれを送信するように構成されている。複数のセンサは、車両からの実時間ビデオデータと共に、1つ又は複数の車両動作パラメータに関する実時間データを提供する。関連する実時間データには、車輪速センサデータ、エンジントルク、エンジンRPM、車速、ヨーレートセンサデータ、制動要求及び介入、制動操作等が含まれるが、これらに限定されない。フィールドからの周囲の実時間画像又はライブビデオデータが、360度ビデオ録画カメラによって捕捉される。DCTU(101)は、データロガー及び送信機として機能する電子ハードウェアの一部である。本発明の一実施形態では、DCTU(101)は、CANベースのアプリケーションを使用し、データの送信のために、WiFi/GSMのような無線通信チャネルのうちの1つ又は複数の既知のモードが使用される。
【0008】
システム(100)は、受信局(102)と、少なくとも1つの仮想現実局(103)と、を備えている。受信局(102)は、DCTU(101)と少なくとも1つの仮想現実局(103)との間に通信ゲートウェイを確立するように構成されている。受信局(102)は、クラウドベースのプロセッサ又はハードウェアプロセッサのいずれかであり得て、該プロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理ユニット、ステートマシン、論理回路、及び/又は、1つ以上の車両の1つ以上のDCTU(101)と、対応する1つ以上の仮想現実局との間に通信ゲートウェイを確立することが可能である通信モジュールと共に、動作命令に基づく信号で動作する任意のコンポーネントの機能として実装されてもよい。異なる仮想現実局(103a、103、103b)は、異なるステークホルダ、例えば、機能開発チーム、OEM自身等によって動作させられてもよい。
【0009】
仮想現実局(103)は、車両のデジタルツインを走行させることによって、仮想的な車両体験を与えるように構成されている。仮想現実局(103)は、複数のアクチュエータと、少なくとも送信機と、を更に備えている。仮想現実局(103)は、複数のアクチュエータ及び車両のデジタルツインにDCTU(101)から受信されたデータをレンダリングする。アクチュエータは、DCTU(101)からの実時間捕捉データで中継されるデジタルツインに依存して作動させられる。デジタルツインは、エネルギ出力のような車両性能、温度、気象条件等の異なる態様を正確に反映するように設計された車両の仮想モデルである。送信機は、車両の遠隔較正及びテストのために受信局(102)にフィードバックを提供するように適合される。
【0010】
シミュレートされた環境を生成し、そして車両内に物理的に存在しているという完全没入体験を有するために、仮想現実局(103)は、車両デジタルツインモデルと、車両から捕捉された実時間データと、を用いる。例示的な一実施形態では、これは、振動、ブレーキシステム(100)等のようなフィールドからの実時間電子及びソフトウェアデータであり得る。仮想現実局(103)内での体験に基づいて、必要な制御信号は、停止中の自動車の物理的状態、運転及び操縦状態を満たすようにアクティブサスペンションシステム(100)、制動システム(100)を作動させるために生成されることになる。例示的な実施形態が、図面に示され、そして以下に説明されるけれども、本開示は、図面に示され、以下に説明された例示的な実施形態及び技術に限定されるべきでないことを最初に理解されたい。
【0011】
図2は、車両の遠隔較正及びテストのための方法ステップを示す。車両は、図1に従って説明されたように、複数のセンサと、少なくともデータ収集送信ユニット(DCTU(101))と、を備えている。DCTU(101)は、複数のセンサ及びアクチュエータから実時間データを収集して、システム(100)にそれを送信するように構成されている。システム(100)は、図1に従って説明されたように、DCTU(101)と少なくとも1つの仮想現実局(103)との間に通信ゲートウェイを確立するように構成された受信局(102)を備えている。
【0012】
方法ステップ201は、DCTU(101)によって、車両内の複数のセンサから実時間データを捕捉することを含む。実時間データを捕捉することは、車両からの実時間ビデオデータと共に、1つ又は複数の車両動作パラメータに関する複数のセンサからのデータを含む。例えば、本発明の例示的な一実施形態では、車輪速センサデータ、エンジントルク、エンジンRPM、車速、ヨーレートセンサデータ、制動要求及び介入、制動操作等が、DCTU(101)によって連続的に記録される。方法ステップ202は、1つ又は複数の既知の無線通信手段を介して受信局(102)に捕捉されたデータを送信することを含む。
【0013】
方法ステップ203は、仮想現実局(103)内のデジタルツイン及び複数のアクチュエータにわたって受信データをレンダリングすることを含む。受信局(102)は、DCTU(101)と少なくとも1つの仮想現実局(103)との間に通信ゲートウェイを確立する。したがって、捕捉されたデータが、受信局(102)によって連続的に受信され、そして仮想現実局(103)に中継される。仮想現実局(103)は、車両のデジタルツインに依存して、受信されたデータに基づいてアクチュエータを作動させる。このことは、仮想現実局(103)の技術者/専門家に仮想的な車両体験が提供されることを確実にするために行われる。物理的感覚が、アクチュエータシステム(100)によって可能にされることになる。体験に基づいて、専門家は、遠隔車両アプリケーション/較正テストを実行し得、そして更新されたソフトウェア/チューニングパラメータの形式でフィールドにフィードバックを送信する。
【0014】
方法ステップ204は、デジタルツイン及び複数のアクチュエータの挙動を記録することを含む。物理的体験だけでなく、統計上の及び数学上のパラメータに関する出力もまた、体験された力等のように記録される。方法ステップ205は、車両の較正及びテストのために、受信局(102)を介してDCTU(101)にフィードバックを提供することを含む。フィードバックは、デジタルツイン及び複数のアクチュエータについての記録された挙動を分析することによってDCTU(101)に提供される。例えば、おそらく、特定の車両についてのABS操作の較正は、車両ダイナミクス、スリップ率及び圧力率のような入力を必要とする。一般に、論理は、ベースソフトウェア内に組み込まれる。しかし、車両動特性及び顧客要求に基づいて、較正/アプリケーション技術者は、運転体験に基づいてスリップ率を圧力率に微調整する。これは、反復的な方法である。
【0015】
当業者であれば、これらの方法ステップが、単に目的を達成するための一連のステップを記述しているにすぎず、これらの方法論は、図1で説明したシステム(100)構成への修正によって実施されてもよいことを理解するであろう。このことは、仮想現実局(103)が、デジタルツインモデル及び実時間データからのビッグデータを使用する深層学習アルゴリズムに基づいて、車両パラメータ表示を示唆/予測することが可能である段階まで拡張され得る。
【0016】
車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)及びその方法を開発するためのこのアイデアは、車両のアプリケーション/較正テストのコストを効果的に低減する。更に、この手法を用いて、OEMのための移動時間を節約する変更の機敏で迅速な採用を行い得る。技術的解決策についてのこの状況は、アプリケーションに基づく全ての自動車部門に対して拡大縮小可能である。
【0017】
上記の詳細な説明において説明された実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定しないことを理解されたい。車両の遠隔較正及びテストのためのシステム(100)並びにその方法への修正が、想定されており、本発明の一部を形成する。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0018】
100 車両の遠隔較正及びテストのためのシステム
101 データ収集送信ユニット(DCTU)
102 受信局
103 仮想現実局
図1
図2
【外国語明細書】