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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051896
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】パネルユニット及び布団篭
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/08 20060101AFI20230404BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20230404BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
E02D29/02 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022160206
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】390019323
【氏名又は名称】小岩金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】坂本 茂
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正喜
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
2D118
【Fターム(参考)】
2D044DB43
2D048AA72
2D118AA05
2D118BA01
2D118BA05
2D118CA02
2D118CA07
2D118DA01
2D118DA03
2D118FA06
2D118FB03
2D118FB19
2D118GA53
2D118GA55
(57)【要約】
【課題】折り畳み構造からなる搬送が容易なパネルユニットと組み立てが容易なボトムレス構造の布団篭を提供する。
【解決手段】本発明のパネルユニット1は、側面網11と底面網12を断面略L字形状に連結してなる本体パネル10であって、各底面網12を対向する向きに配置した2枚の本体パネル10と、2枚の本体パネル10の間に架け渡した中枠20と、本体パネル10と中枠20を連結した複数の連結材30と、を備え、連結材30が側面網11の縦線材11aと、中枠20の縦枠材20aと、を回動可能に保持することで、2枚の本体パネル10を、2枚の側面網11が近接するように折り畳み可能に構成したことを特徴とする。本発明の布団篭Aは、パネルユニット1と、パネルユニット1の端部における2枚の側面網11間に連結する端面網A1と、を備え、底部に、パネルユニット1の底面網12と端面網A1に囲まれた開口Hを構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布団篭の一部を構成するパネルユニットであって、
側面網と底面網を断面略L字形状に連結してなる本体パネルであって、各前記底面網を対向する向きに配置した2枚の本体パネルと、
前記2枚の本体パネルの間に架け渡した中枠と、
前記本体パネルと前記中枠を連結した複数の連結材と、を備え、
前記連結材が前記側面網の縦線材と、前記中枠の縦枠材と、を回動可能に保持することで、前記2枚の本体パネルを、2枚の前記側面網が近接するように折り畳み可能に構成したことを特徴とする、
パネルユニット。
【請求項2】
前記底面網を、前記側面網に対して折り畳み可能に構成したことを特徴とする、請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項3】
前記底面網の幅が、前記パネルユニットを折り畳んだ状態において対向する前記本体パネルに干渉しない幅であることを特徴とする、請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項4】
前記中枠が、幅方向に並列した2枚の分割枠からなり、前記2枚の分割枠を相互に折り畳み可能に連結したことを特徴とする、請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項5】
前記連結材が、金属製コイルであることを特徴とする、請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパネルユニットと、
前記パネルユニットの端部における2枚の側面網間に連結する端面網と、を備え、
底部に、前記パネルユニットの底面網と前記端面網に囲まれた開口を構成したことを特徴とする、
布団篭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルユニット及び布団篭に関し、特に折り畳み構造からなる搬送が容易なパネルユニットと、組み立てが容易なボトムレス構造の布団篭に関する。
【背景技術】
【0002】
布団篭は、斜面の土留めや海岸や河川の護岸などの土木用途に用いる篭体である。布団篭は、金網を函状に組み立ててなり、内部に中詰材を充填して使用する。
布団篭にかかる従来技術として、特許文献1には、対向する2枚の側面網と底面網を一体化した断面倒コの字形状のパネルユニットと、パネルユニットの端部を塞ぐ端面網を備えた布団籠が開示されている(図6A図6H)。
また、特許文献2には、断面略L字形の本体パネルを組み合わせてなる、ボトムレス構造の布団篭が開示されている。
ボトムレス構造の布団篭を用いて擁壁や護岸などの土木構造物を構築する場合、擁壁などの連続方向に沿って本体パネルを向かい合わせに並列し、本体パネル間を補強材で連結し、最端部を端面網で塞いで内部に砕石などの中詰材を投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-173925号公報
【特許文献2】特開2018-178368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の断面倒コの字形状のパネルユニットからなる布団篭は、側面網と底面網が一体構造であるため、金網の使用量が多く、材料コストが高いという問題点がある。特に設計が大断面になるほど材料コストが嵩む。
また、設計上要求される断面幅に応じて、複数のサイズの布団篭を製造する必要があるため、製品管理が煩雑である。
これに対し、特許文献2のボトムレス構造の布団篭は、底網を備えないため、材料の使用量が大幅に少なく、材料コストが安い。また、布団篭の断面幅に対して本体網の使用量が一定であるため、有底の布団籠に対し、大断面になるほど材料単価が安くなる。
一方で、組み立ての際には、2枚の本体パネルを別々に搬送しなければならないため設置に時間がかかると共に、2枚の本体パネルを補強材に連結するための手間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決するためのパネルユニット及び布団篭を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパネルユニットは、側面網と底面網を断面略L字形状に連結してなる本体パネルであって、各底面網を対向する向きに配置した2枚の本体パネルと、2枚の本体パネルの間に架け渡した中枠と、本体パネルと中枠を連結した複数の連結材と、を備え、連結材が側面網の縦線材と、中枠の縦枠材と、を回動可能に保持することで、2枚の本体パネルを、2枚の側面網が近接するように折り畳み可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明のパネルユニットは、底面網を、側面網に対して折り畳み可能に構成してもよい。
【0008】
本発明のパネルユニットは、底面網の幅が、パネルユニットを折り畳んだ状態において対向する本体パネルに干渉しない幅であってもよい。
【0009】
本発明のパネルユニットは、中枠が、幅方向に並列した2枚の分割枠からなり、2枚の分割枠を相互に折り畳み可能に連結してもよい。
【0010】
本発明のパネルユニットは、連結材が、金属製コイルであってもよい。
【0011】
本発明の布団篭は、パネルユニットと、パネルユニットの端部における2枚の側面網間に連結する端面網と、を備え、底部に、パネルユニットの底面網と端面網に囲まれた開口を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパネルユニット及び布団篭は、上述した構造により次の効果の内少なくとも1つを備える。
<1>底面に開口を有するボトムレス構造であるため、材料コストが安価である。
<2>単一規格の本体パネルに断面幅に応じた端面網を組み合わせることで、様々な断面幅に対応できる。このため、部材の規格を少数にできるため、製品管理が容易である。
<3>2枚の本体パネルを折り畳み自在に連結した一体構造であるため、折り畳んだ状態で搬送し、設置場所で展開するだけで組み立てられる。このため、搬送が容易で、組み立ての作業効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る布団篭の説明図
図2】本発明に係るパネルユニットの説明図
図3A】パネルユニットの折り畳み方法の説明図(1)
図3B】パネルユニットの折り畳み方法の説明図(2)
図3C】パネルユニットの折り畳み方法の説明図(3)
図4】実施例2の説明図
図5】実施例3の説明図
図6A】従来技術の説明図(1)
図6B】従来技術の説明図(2)
図6C】従来技術の説明図(3)
図6D】従来技術の説明図(4)
図6E】従来技術の説明図(5)
図6F】従来技術の説明図(6)
図6G】従来技術の説明図(7)
図6H】従来技術の説明図(8)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明のパネルユニット及び布団篭について詳細に説明する。なお、本願発明において、布団篭、パネルユニット、及び各部材の「長さ」とは、図1における布団篭の長手方向の寸法を、「幅」とは、図1における布団篭の幅方向の寸法を、それぞれ意味する。
【実施例0015】
[布団篭]
<1>全体の構成(図1
本発明の布団篭Aは、容易に組み立て可能なボトムレス構造の布団篭である。
布団篭Aは、パネルユニット1と、パネルユニット1の端部に連結する端面網A1と、を少なくとも備え、底面にパネルユニット1と端面網A1に囲まれた開口Hを構成する。
図1では、1つのパネルユニット1と2枚の端面網A1とからなる最小単位の布団篭Aを示すが、パネルユニット1の数はこれに限らず、複数のパネルユニット1を長さ方向に連結することによって、布団篭Aの長さを延長することができる。
布団篭Aは、底面に開口Hを有する実質的なボトムレス構造であるため、材料コストが安く、軽量で搬送が容易である。
【0016】
<2>パネルユニット(図2
本発明のパネルユニット1は、布団篭A用のユニットである。
パネルユニット1は、底面網12を内向きに配置した2枚の本体パネル10と、2枚の本体パネル10の間に架け渡した複数の中枠20と、本体パネル10と中枠20を連結する複数の連結材30と、を少なくとも備える。
本例では2枚の本体パネル10、3枚の中枠20、及び6本の連結材30の組み合わせについて説明する。1つのパネルユニット1における中枠20と連結材30の部材の数はこれに限らず、例えば中枠20は1つであってもよい。
パネルユニット1は、2枚の本体パネル10を、近接するように折り畳み可能な構造に特徴を有する。
【0017】
<2.1>本体パネル
本体パネル10は、パネルユニット1の側面を構成する金網パネルである。
本体パネル10は、側面網11と底面網12を備えた側面視略L型の金網からなる。
本例では本体パネル10として、高さ500mm×長さ2,000mm×底面幅100mmの溶接金網を採用する。底面網12の幅(100mm)を、折り畳んだ状態のパネルユニット1の厚み(約110mm)より小さく設定することで、折り畳む際に底面網12が対向する側面網11に干渉しないため、最小の厚みとすることができる。
本例では本体パネル10の素材として、亜鉛-10%アルミ合金めっき鉄線を採用する。ただしこれに限らず、亜鉛めっき鉄線等であってもよい。
【0018】
<2.2>中枠
中枠20は、布団篭Aの補強機能と、パネルユニット1の折り畳み機能を兼備する部材である。
中枠20は、線材を布団篭Aの断面形状に対応する枠状に組んでなる。
本例では中枠20として、布団篭Aの高さ(500mm)に対応する長さの複数の縦枠材20aと、布団篭Aの幅(1,000mm)に対応する長さの複数の横枠材20bと、を組んでなる金属枠を採用する。
中枠20は、対向する2枚の本体パネル10の側面網11の間に配置し、連結材30によって、中枠20の両側を本体パネル10の側面網11に連結する。
中枠20によって、対向する本体パネル10を連結することで、中詰材の側圧による側面網11の孕み出しや変形を防止することができる。
【0019】
<2.3>連結材
連結材30は、本体パネル10と中枠20を連結するための手段である。
本例では連結材30として、金網の素線に巻き付ける金属製コイルを採用する。
金属製コイルを、本体パネル10の縦線材11aと、中枠20の縦枠材20aに巻き付け、コイルの上端部と下端部を潰すことで、本体パネル10と中枠20を回動可能に連結する。
ただし連結材30は連結コイルに限らず、金属製リングや結束帯等であってもよい。要は本体パネル10と中枠20を回動可能に連結できる構造であればよい。
【0020】
<3>端面網
端面網A1は、布団篭Aの端面を構成する金網パネルである。
端面網A1は、本体パネル10と高さが等しい。
本例では端面網A1として、高さ500mm×幅1,000mmの溶接金網を採用する。
本例では端面網A1の素材として、亜鉛-10%アルミ合金めっき鉄線を採用する。ただしこれに限らず、亜鉛めっき鉄線等であってもよい。
端面網A1は、連結コイル等の連結材によって本体パネル10の端部に連結する。
【0021】
<4>折り畳み方法
パネルユニット1を地盤に展開した状態から、片側の本体パネル10を両手で掴み、反対側の本体パネル10に近接させるように、斜め方向から折り畳む(図3A図3B)。
折り畳みによってパネルユニット1は平坦な板状体の束となり、作業員が本体パネル10の両面に指をかけることで、1人で容易に搬送可能となる(図3C)。
【実施例0022】
[底面網が折り畳み可能な構造の実施例]
本例では本体パネル10の底面網12を折り畳み可能な構造とする。
詳細には、側面網11と底面網12を別部材とし、金属製コイルを介して、底面網12の側辺を側面網11の下辺に回動可能に連結する(図4)。
本例の場合、底面網12を側面網11の外側へ折り畳んでおくことで、パネルユニット1全体の折り畳み時に、底面網12同士が干渉しないため、底面網12の幅を確保しつつ、パネルユニット1を平坦に折り畳むことが可能となる。
【実施例0023】
[中枠が折り畳み可能な構造の実施例]
本例では中枠20を折り畳み可能な構造とする。
詳細には、中枠20を、2枚の分割枠21の組み合わせから構成し、2枚の分割枠21を幅方向に並列する(図5)。
2枚の分割枠21は、隣接する縦枠材20a同士を金属コイルで回動可能に連結する。これによって、パネルユニット1を、平面視略M字状に折り畳むことが可能となる。
実施例1の場合、パネルユニット1を折り畳むことで、全体の幅が小さくなる半面、折り畳んだ状態の長さは展開時より長くなる。
これに対し、本例では中枠20を略M字状に折り畳むことができるため、パネルユニット1を展開時と同じ長さで折り畳むことができる。これによって、搬送を更に容易にすると共に、保管するための空間も小さくすることできる。
【符号の説明】
【0024】
1 パネルユニット
10 本体パネル
11 側面網
11a 縦線材
11b 横線材
12 底面網
20 中枠
20a 縦枠材
20b 横枠材
21 分割枠
30 連結材
A 布団篭
A1 端面網
H 開口
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H