(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051901
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】現場付加製造を使用する輸送構造物のロボット組み立て
(51)【国際特許分類】
B23P 21/00 20060101AFI20230404BHJP
B22F 12/86 20210101ALI20230404BHJP
B22F 12/88 20210101ALI20230404BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20230404BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230404BHJP
B22F 10/73 20210101ALN20230404BHJP
B22F 10/66 20210101ALN20230404BHJP
B22F 9/08 20060101ALN20230404BHJP
B22F 10/64 20210101ALN20230404BHJP
【FI】
B23P21/00 303A
B23P21/00 307F
B22F12/86
B22F12/88
B22F12/90
B33Y80/00
B22F10/73
B22F10/66
B22F9/08 A
B22F10/64
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187283
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2019564897の分割
【原出願日】2018-05-23
(31)【優先権主張番号】15/604,037
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516093851
【氏名又は名称】ダイバージェント テクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Divergent Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】19601 Hamilton Avenue,Los Angeles,California 90502 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ツィンガー ケヴィン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】テンホウテン ブロック ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】オコネル デイヴィッド チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】グンナー ジョン ポール
(72)【発明者】
【氏名】バックネル ジョン ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ハマデ アレックス ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】テンホウテン デイヴィッド ブライアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輸送構造物の構成要素またはその一部の柔軟な現場付加製造のための手法を提供する。
【解決手段】輸送構造物の自動組み立てシステムは、輸送構造物を組み立てるための複数の自動コンストラクタ6200を含む。組み立てシステムは、粉末製造から再生利用まで完全に垂直的に統合された製造工程に広がる。複数の自動コンストラクタ6200のうちの少なくとも一部が、制御システムの誘導の下で自動化された方法でステーション6100間を移動することができる。複数の自動コンストラクタ6200のうちの第1の自動コンストラクタ6200が、構成要素の少なくとも一部をプリントし、その構成要素を複数の自動コンストラクタ6200のうちの第2の自動コンストラクタ6200に移動し輸送構造物の組み立て中に取り付ける、3-Dプリンタを含む。自動コンストラクタ6200は、機械学習を可能にするためにセンサーを利用して多種多様な作業を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送構造物のための自動組み立てシステムであって、
前記輸送構造物を製造して組み立てるための複数の自動コンストラクタを備えており、前記複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタが、構成要素の少なくとも一部をプリントし、前記構成要素を、前記複数の自動コンストラクタのうちの第2の自動コンストラクタに移動して、前記輸送構造物の前記組み立て中に取り付けるために、3次元(3-D)プリンタを備えている、自動組み立てシステム。
【請求項2】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも一部が、制御システムの誘導の下で、自動化された方法で複数のステーション間を移動するように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項3】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも一部は、前記複数の自動コンストラクタのうちの前記少なくとも一部の各々が1つまたは複数の機械学習機能を適応的にそれぞれ実行できるように構成されている1つまたは複数のセンサーを備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の機械学習機能が、プリントの移動パターンを最適化することと、プリント・ヘッドの運動制御を可能にすることと、材料の開発、構造最適化のためにオンザフライでプリントすることと、車両組み立てのための工具を自動的に受け取ることとのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項3に記載の自動組み立てシステム。
【請求項5】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタが、前記構成要素を前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタに移動するように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項6】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタが、前記構成要素を前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから移動して、前記構成要素を取り付けるように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項7】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタへの前記構成要素の前記移動を含めて、前記輸送構造物の前記組み立て中に前記自動コンストラクタを制御するためのコントローラをさらに備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項8】
前記輸送構造物の前記組み立て中に前記輸送構造物を複数のステーション間で移動するために、前記複数のステーションおよび自動輸送システムをさらに備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項9】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも1つが、前記輸送構造物の前記組み立て中に前記複数のステーションのうちの2つ以上の間を移動するように構成されている、請求項8に記載の自動組み立てシステム。
【請求項10】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタが、前記輸送構造物の前記組み立て中に複数のステーションのうちの2つ以上の間を移動するように構成されている、請求項5に記載の自動組み立てシステム。
【請求項11】
前記複数の自動コンストラクタのうちの第3の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタが、前記輸送構造物の前記組み立て中に使用するために構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項12】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記少なくとも1つが、前記ロボット・アームを別のロボット・アームと自動的に交換するように構成されている、請求項11に記載の自動組み立てシステム。
【請求項13】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記少なくとも1つが、前記ロボットのエフェクタを別のロボットのエフェクタと自動的に交換するように構成されている、請求項11に記載の自動組み立てシステム。
【請求項14】
前記3-Dプリンタが、構成要素の第1の部分を前記構成要素のプリントされない第2の部分にプリントすることによって前記構成要素の少なくとも一部をプリントするように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項15】
前記3-Dプリンタが、構成要素を別の構造に相互接続するように構成された相互接続をプリントすることによって前記構成要素の少なくとも一部をプリントするように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項16】
自動化された方法で金属材料を溶解し、粉末を微粒化するように構成された現場自動リサイクラーをさらに備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項17】
前記構成要素が前記構成要素を一意に識別するラベルを備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項18】
複数の自動コンストラクタによる輸送構造物の自動組み立てのための方法であって、前記複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタが3次元(3-D)プリンタを備えており、前記方法が、
前記3-Dプリンタによって前記輸送構造物の構成要素の少なくとも一部をプリントするステップと、
前記構成要素を前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから前記複数の自動コンストラクタのうちの第2の自動コンストラクタに自動的に移動するステップと、
前記輸送構造物の前記組み立て中に前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタによって前記構成要素を自動的に取り付けるステップとを含んでいる、方法。
【請求項19】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも一部が、中央制御システムの誘導の下で、自動化された方法で複数のステーション間を移動するように構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも一部は、前記複数の自動コンストラクタの前記一部の各々が1つまたは複数の機械学習機能を適応的に実行できるように構成されている1つまたは複数のセンサーを備えている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の機械学習機能が、プリントの移動パターンを最適化することと、プリント・ヘッドの運動制御を可能にすることと、材料の開発、構造最適化のためにオンザフライでプリントすることと、車両組み立てのための工具を自動的に受け取ることとのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタによって前記構成要素が前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタに移動される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタによって前記構成要素が前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタに移動される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタへの前記構成要素の前記移動を含めて、前記輸送構造物の前記組み立て中に前記自動コンストラクタを制御するステップをさらに備えている、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記輸送構造物の前記組み立て中に前記輸送構造物を複数のステーション間で自動的に移動するステップをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記輸送構造物の前記組み立て中に前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも1つを複数のステーションのうちの2つ以上の間で自動的に移動するステップをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記輸送構造物の前記組み立て中に前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタを2つ以上のステーション間で自動的に移動するステップをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の自動コンストラクタのうちの第3の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記方法が、前記輸送構造物の前記組み立て中に前記ロボットのエフェクタ使用するステップをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記ロボット・アームを別のロボットのエフェクタと自動的に交換するステップをさらに含んでいる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ロボットのエフェクタを別のロボットのエフェクタと自動的に交換するステップをさらに含んでいる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
構成要素の少なくとも一部を前記プリントするステップが、前記3-Dプリンタによって前記構成要素の第1の部分を前記構成要素のプリントされない第2の部分にプリントするステップを含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
構成要素の少なくとも一部を前記プリントするステップが、前記構成要素を別の構造に相互接続するように構成された相互接続をプリントするステップを含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
金属を再生利用して金属粉末を製造するステップと、前記再生利用された金属粉末を前記3-Dプリンタに自動的に提供するステップとをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
前記構成要素を一意に識別するために、ラベルを前記構成要素に貼り付けるステップをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2017年5月24日に出願した「ROBOTIC ASSEMBLY OF TRANSPORT STRUCTURES USING ON-SITE ADDITIVE MANUFACTURING」と題する米国非仮出願第15/604,037号の優先権を主張するものであり、この米国非仮出願は本出願の譲受人に譲渡されており、これによって参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれている。
【0002】
本開示は、一般に、製造に関連しており、より詳細には、3-Dプリンティングを使用して車両、航空機、ボート、およびその他の輸送構造物を製造するための柔軟な自動組み立て技術に関連している。
【背景技術】
【0003】
従来の製造施設は、製品を大量に製造するために、著しく柔軟性のない工場インフラストラクチャを含んでいることがある。例えば、工場は、効率的な大量生産を実現するために、組み立てライン上で動作する固定されたロボット組み立てシステムを使用することがある。柔軟性のない工場インフラストラクチャは、多くの場合、製造システムを、車両、オートバイ、ボート、航空機などの輸送構造物の少数のモデルのみを製造することに制限し、その場合でも輸送構造物の各モデルを製造するのが高価であることがある。工場が、1つまたは複数の不採算モデルを製造するように永続的または長期的に構成された場合、その工場は、工場および工作機械の償却費用のために経営難に直面し、赤字経営に陥ることがある。より詳細には、その場合、工場に柔軟性がないこと、工場のリソースを不採算製品の製造から新しい製品またはより商業的に成功した既存の製品の製造に変更する前に、工作機械を償却する必要性、およびその他の制約のため、工場は十分に活用されないことがある。
【0004】
さらに、輸送構造物の構成要素または構成要素の一部の3次元(3-D:three-dimensional)プリンティングのために、付加製造(AM:additive manufacturing)技術が望ましいことがある場合、そのような工場は、従来、AM機能を外注するか、またはAM機能が社内にある場合は、AMが、輸送構造物の組み立てラインから離れた専用の場所で実施される。したがって、それらの工場は、状況の変化に対応するようにAM能力を変更するための柔軟性が、あったとしても乏しい。
【発明の概要】
【0005】
以下では、輸送構造物の構成要素の3-Dプリンティングのためのシステムおよび方法の複数の態様がより詳細に説明される。
【0006】
輸送構造物のための自動組み立てシステムの1つの態様は、輸送構造物を組み立てるための複数の自動コンストラクタを含んでおり、複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタは、構成要素の少なくとも一部をプリントし、この構成要素を、複数の自動コンストラクタのうちの第2の自動コンストラクタに移動して、輸送構造物の組み立て中に取り付けるために、3次元(3-D)プリンタを含んでいる。
【0007】
複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタが3次元(3-D)プリンタを備えている、複数の自動コンストラクタによる輸送構造物の自動組み立てのための方法の1つの態様は、3-Dプリンタによって輸送構造物の構成要素の少なくとも一部をプリントすることと、この構成要素を複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタから複数の自動コンストラクタのうちの第2の自動コンストラクタに自動的に移動することと、輸送構造物の組み立て中に、複数の自動コンストラクタのうちの第2の自動コンストラクタによって、この構成要素を自動的に取り付けることとを含む。
【0008】
輸送構造物の構成要素の3-Dプリンティングのためのシステムおよび方法のその他の態様が、単に例として複数の実施形態が示されて説明される以下の詳細な説明から、当業者にとって容易に明らかになるということが、理解されるであろう。当業者によって理解されるであろうように、本明細書に記載された輸送構造物を製造するための設備および方法は、すべて本発明から逸脱せずに、他の異なる実施形態であることが可能であり、その複数の詳細は、さまざまな他の点において変更することが可能である。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に、制限ではなく例示であると見なされる。
【0009】
ここで、輸送構造物の柔軟なモジュール式のロボット製造のさまざまな態様が、以下の添付の図面において、限定ではなく例として詳細な説明において提示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】複数のロボット組み立てステーションおよび複数の自動コンストラクタを備えている車両製造施設を示す図である。
【
図1B】車両製造施設の制御システムを概略的に示す図である。
【
図3】車両部品製造システムの代替の線形構成を示す図である。
【
図6】組み立てシステム制御システムの概略図である。
【
図7】ロボット自動化システムの例を示す図である。
【
図8】構造化された部分組み立て品の例を示す図である。
【
図10】センサーが統合されたロボット自動化システムの例を示す図である。
【
図11】一体型ラベル付きの部品の例を示す図である。
【
図13】3-Dプリントされた一体型ラベル付きの構成要素のライフ・サイクル・フロー図である。
【
図14A】境界マークを提供する識別マトリックスの例を示す図である。
【
図14B】分離されたマトリックス内の識別マトリックスから抽出された幾何学的メタデータの例を示す図である。
【
図14C】構成部品上の識別マトリックスから抽出された幾何学的メタデータの例を示す図である。
【
図14D】識別マトリックスのロール角およびピッチ角での変形を示す図である。
【
図15A】長方形の一体型部品を第1の姿勢で示す図である。
【
図15B】長方形の一体型部品を第2の姿勢で示す図である。
【
図16】6つの構成部品で構成されている組み立て品の例を示す図である。
【
図17】空間的に分散された2つのマトリックスを含む付加製造された構成要素を示す図である。
【
図18】空間的に分散された3つのマトリックスを含む配置を示す図である。
【
図19A】自動コンストラクタによる輸送構造物の自動組み立てのための例示的な方法のフロー図の第1の部分を示す図である。
【
図19B】自動コンストラクタによる輸送構造物の自動組み立てのための例示的な方法のフロー図の第2の部分を示す図である。
【
図20】複数の自動コンストラクタによる輸送構造物の自動組み立てのための例示的な方法のフロー図であり、複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタが3次元(3-D)プリンタを備えている。
【
図21】例示的な自動レーザー切断工程を示す図である。
【
図22】節(node)または突き出し(extrusion)を含むパネルの組み立てのための例示的な自動工程を示す図である。
【
図23】組み立てステーションで実行されている例示的なレーザー切断工程を示す図である。
【
図24】組み立てステーションで実行されている接着剤の塗布のための例示的な工程を示す図である。
【
図25】突き出しを節に接着して組み立てるために協調している複数の自動コンストラクタによって実行される例示的な工程を示す図である。
【
図26】車両のサスペンションをシャーシに組み立てるために複数の自動コンストラクタによって実行される例示的な工程を示す図である。
【
図27】シャーシの上に車体を降ろす工程において複数の自動コンストラクタによって実行される例示的な工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して下記で示される詳細な説明は、輸送構造物の構成要素の3-Dプリンティングのさまざまな実施形態例の説明を提供するよう意図されており、本発明が実践されることがある実施形態のみを表すよう意図されていない。本開示全体を通じて使用される「例示的」という用語は、「例、事例、または実例としての役割を果たす」ということを意味しており、必ずしも、本開示において提示される他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、本発明の範囲を当業者に完全に伝える徹底的かつ完全な開示を提供する目的で、特定の詳細を含んでいる。しかし、本発明は、それらの特定の詳細なしで実践されてよい。場合によっては、周知の構造および構成要素が、ブロック図の形態で示されるか、または本開示全体を通じて提示されるさまざまな概念を曖昧にするのを防ぐために、全体的に省略されることがある。
【0012】
柔軟なモジュール式のロボット車両製造施設、システム、および方法に対する必要性が存在する。本明細書において提供される施設、システム、および方法は、柔軟なモジュール式の輸送構造物の製造および組み立てを可能にする。施設、システム、および方法は、1つまたは複数の車両製造工程のセットを実行するための複数の可変ロボット組み立てステーション、および1つまたは複数の車両製造工程を実行するための自動コンストラクタなどの複数の可変ロボットを含んでよい。車両の製造および組み立てにおける柔軟性は、(1)ロボット組み立てステーションの位置および/またはエリアの可変性、(2)各工程間の使いやすい自動化された再構成を伴う1つまたは複数の車両製造工程を実行するための、自動コンストラクタなどのロボットの能力、ならびに(3)3-Dプリンティングまたはその他の技術を使用した、コネクタおよび相互接続材料を含む車両部品のカスタマイズにおいて提供され得る。自動工程は、部品の構築および組み立て、組み立て中および部品の耐用期間の間の部品の追跡、さまざまな種類の車両のMACおよび柔軟な構築を可能にする。
【0013】
多くの場合、例示の目的で、車両製造および関連する施設が参照されるが、本開示において説明される技術が、ボート、航空機、ヘリコプター、オートバイ、列車、バスなどを含むが、これらに限定されない、他の種類の輸送構造物に同様に適用可能であり、適しているということが、理解されるであろう。
【0014】
本明細書では、輸送構造物の製造および組み立てのための柔軟なモジュール式の車両製造施設、システム、および方法が提供される。本明細書において提供される製造施設、システム、および方法は、設計に固有でなくてよく、多種多様な車両および需要に対応することが可能であってよい。施設は、1つまたは複数のロボット組み立てステーションを備えてよい。各ロボット組み立てステーションは、自動コンストラクタを含む1つまたは複数のロボットを備えてよい。車両製造工程のセットは、各ロボット組み立てステーションにおいて実行されてよい。施設は、3-Dプリントされた部品および民生(COTS:commercial off-the-shelf)部品の組み合わせを使用してよい。車両の製造および組み立てにおける柔軟性は、(1)ロボット組み立てステーションの位置および/またはエリアの可変性、(2)各工程間の使いやすい自動化された再構成を伴う1つまたは複数の車両製造工程を実行するための、自動コンストラクタなどのロボットの能力、ならびに/あるいは(3)3-Dプリンティングを使用した、コネクタおよび相互接続材料を含む組み立てを容易にするための現場プリンティング(in-place printing)において提供され得る。
【0015】
製造施設における柔軟性および設計に固有でない能力の向上は、大きな経済的利点を提供することができる。例えば、従来の製造システムは、製品を大量に製造するために、著しく柔軟性のない工場インフラストラクチャを構築することがある。自動車製造の場合、車両を組み立てるために、ある規模の工場が使用されることがある。しかし、スタンピング施設を含んでいないより小規模の工場およびスタンピング工場を含んでいない塗装工場でさえ、構築し、設備を備え付け、維持するために、数億ドルの費用がかかることがある。多くの場合、結果として得られる工場は、少数の車両モデルおよび/または車両タイプしかサポートすることができず、それらの車両モデルおよび/または車両タイプの各々を製造するための費用は、1億ドルを優に超えることがある。特定の車両のみを構築できる柔軟性のない大規模な工場が利益を上げるには、特定の車両が、工場の能力のかなりの部分を利用しなければならない。工場が、1つまたは複数の不採算車両を製造するように柔軟性を持たずに構成された場合、この工場は、特定のモデルの工作機械、治具の更新、および従来の車体構造を組み立てるためのプログラミング(例えば、固定されたスポット溶接ロボット)に関連する費用のために、1つまたは複数の不採算車両を、別の車両モデルに置き換えないことがある。工作機械の償却を完了する前に不採算モデルを置き換えることは、金銭的な重荷である可能性がある。
【0016】
したがって、さまざまな実施形態例では、施設は、前述し、下でさらに説明される、ロボット組み立てステーションの位置および/またはエリアの可変性、各工程間の使いやすい自動化された再構成を伴う1つまたは複数の車両製造工程を実行するための、自動コンストラクタなどのロボットの能力、ならびに/あるいは3-Dプリンティングを使用した、コネクタおよび相互接続材料を含む車両部品のカスタマイズなどの柔軟性を提供するために、設計に固有でない特徴を備えることができる。従来の大量生産工場と異なり、柔軟な施設は、さまざまな車両を製造するように必要に応じて自分自身を再構成する機械学習が有効化されたロボットを含む、自動システムなどを介して、設備の一新(retooling)または再プログラミングのためのダウンタイムを生じずに、簡便に再構成することができる。さらに、3-Dプリンタをロボット・デバイス上で支えることができ、一部の実施形態例では、ロボット・デバイスが、必要に応じて異なる組み立てステーションに移動して、異なる部品または構成要素を、動的に、実質的にリアルタイムに3-Dプリントすることができる。プリントされた部品は、支えているロボット・デバイスによって、または任意の数の自動コンストラクタのうちの1つによって、さらに操作されるか、または移動されてよい。例えば、ロボットは、3-Dプリントされた部品を組み立てステーションで受け取り、この部品を輸送構造物に配置するか、またはプリントされた部品を、組み立ておよび構成要素との統合のために、別の構成要素に挿入してよい。
【0017】
図1Aは、複数のロボット組み立てステーションおよび複数の自動コンストラクタを備えている車両製造施設を示している。車両製造施設1000は、1つまたは複数のロボット組み立てステーション、例えば、第1のロボット組み立てステーション1010a、第2のロボット組み立てステーション1010b、第3のロボット組み立てステーション1010c、第4のロボット組み立てステーション1010dなどを備えてよい。ロボット組み立てステーションは、1つまたは複数の車両製造工程のセットが発生する指定された位置で、指定されたエリアを含んでよい。
【0018】
車両製造工程は、多くの工程の中でも特に、部品、構成要素、ならびに/あるいは車両の部品または構成要素の組み立て品の、製造、プリント、塗装、組み立て、分解、切断、曲げ、スタンピング、形成、工作機械による製造、加工、処理、溶解、加熱、冷却、洗浄、再生利用(recycling)、廃棄、塗装、検査、撮像、および/または試験などの、車両の製造に関わる任意の工程を含んでよい。1つまたは複数の種類の車両製造工程が、車両の製造および/または分解中のさまざまな段階で発生してよい。
【0019】
例えば、車両の組み立ては、車両を置く(put)ステップを含んでよいが、車両部品を分解する分解ステップは、中古車が再生利用される場合に望ましいことがある。分解は、異なる形状を有するシャーシを形成するために、シャーシまたは立体骨組が分解される場合にも、発生することがある。
【0020】
付加製造された部品は、3-Dプリントされ、それによって特定の用途にカスタマイズされてよいが、付加製造された部品は、用途に応じて、例えば、はめ合いにおける不一致に対応するため、または許容誤差を調整するために、塗装、切断、曲げ、またはその他の操作などの追加のステップをさらに受けてよい。加えて、組み立てプラントで製造されたCOTS部品またはカスタム部品は、塗装、切断、曲げ、スタンピングなどを含めて、上記のステップのいずれかを含んでよい。部品間の1つまたは複数のインターフェイスが、熱処理を受けてよく、下位構成要素が、接着または熱溶融を必要とすることがある。再生利用工程の間に、粉末への原子化および付加製造デバイスによる最終的な使用のために、溶解が、材料からの金属の抽出に使用されてよい。
【0021】
商用の輸送構造物に仕上げるために、部品が、その他の方法で洗浄、撮像、検査、および試験されてよい。
【0022】
前述のステップの各々は、1つまたは複数のステーションで、複数の自動コンストラクタのうちの1つまたは複数によって、全体的または部分的に実行されてよい。一部の実施形態例では、各ステーションは、上記の作業のうちの1つを専用で実行するための指定されたエリアを含み、自動コンストラクタが、必要に応じてステーションに移動するか、またはその他の方法でステーションに存在する。例えば、部品の検査を任された自動コンストラクタは、ステーションに移動して検査を実行できる。自動コンストラクタは、部品が1つまたは複数の仕様を満たしていることを保証するために、組み立てられている部品の許容誤差をオンザフライ(on the fly)で検査することができる。ある部品が仕様の範囲内でない場合、自動コンストラクタは、この情報を中央コントローラまたは別の自動コンストラクタに伝達することができ、仕様の範囲に収まるようにこの部品を修正するか、または使用可能な改善策を介して問題を修正できない場合、もしくは問題が本質的に重大である場合、この部品を進行中の組み立てから除去することができる。
【0023】
場合によっては、車両製造工程は、他の車両製造工程から独立していてよい。例えば、車両製造工程は、実行されているか、または実行された他のプロセスに関わらず、独立して発生してよい。
【0024】
他の例では、車両製造工程は、他の車両製造工程に依存していてよい。例えば、2つ以上の車両製造工程(例えば、加熱および洗浄)が同時に発生してよい。別の例では、2つ以上の車両製造工程(例えば、加熱後の冷却)が、順次、連続して実行されてよい。工程は、特定の順序で発生してよく(例えば、ステップBの前にステップAが発生する)、または順序に関係なく、順次、発生してよい(例えば、ステップBの前のステップAまたはステップAの前のステップBが、両方ともあり得る)。場合によっては、2つ以上の車両製造工程が、特定の時間枠内で発生してよい。この時間枠は、既定の期間であってよい。
【0025】
1つまたは複数の車両製造工程が、1つのセットにグループ化されてよい。場合によっては、車両は、1つまたは複数の車両製造工程のうちの1つまたは複数のセットの適用を受けることによって、部分的または完全に組み立てられ得る。例えば、車両は、特定の順序で1つまたは複数の車両製造工程のうちの1つまたは複数のセットの適用を受けることによって、部分的または完全に組み立てられ得る。任意選択的に、車両は、順序に関係なく部分的または完全に組み立てられ得る。代替または追加として、車両は、特定の順序で1つまたは複数の車両製造工程のうちの1つまたは複数のセットの適用を受けることによって、意図的に、部分的または完全に分解され得る。任意選択的に、車両は、順序に関係なく部分的または完全に分解され得る。
【0026】
1つまたは複数の車両製造工程のセットが、各ロボット組み立てステーションにおいて実行されてよい。各ロボット組み立てステーションは、1つまたは複数の車両製造工程の異なるセットを実行してよい。例えば、1つまたは複数の製造工程がステーション間で同じである(例えば、第1の工程のセットが同じ工程を第2の工程のセットと共有している)場合でも、ステーション間で異なる1つまたは複数の追加の製造工程が存在してよい。代替として、2つ以上のロボット組み立てステーションが、1つまたは複数の車両製造工程の同じセットを実行してよい。場合によっては、単一の車両製造工程が、1つのロボット組み立てステーションにおいて実行されてよい。任意選択的に、複数の車両製造工程が、単一のロボット組み立てステーションにおいて実行されてよい。場合によっては、単一の車両製造工程(例えば、溶解)が、2つ以上のロボット組み立てステーションにわたって実行されてよい。
【0027】
車両製造施設1000は、単一の建物または複数の建物を含んでよい。車両製造施設は、1つまたは複数の追加の特徴を実行するために使用される建物に統合されてよい。車両製造施設は、1つまたは複数の工場、プラント、倉庫、ハンガー、または任意のその他の種類の構造物であるか、あるいはそれらを含んでよい。車両製造施設は、1つまたは複数の構造物を含んでいる敷地であるか、またはそのような敷地を含んでよい。車両製造施設は、1つまたは複数の屋根および/または1つまたは複数の壁を備えてよい。任意選択的に、車両製造施設は、屋根および/または壁を必要とせずに、戸外に存在してよい。車両製造施設またはそれに含まれる構造物は、1つまたは複数の垂直レベル(例えば、階)を備えてよく、各レベルは地表面、地表面の上、または地表面の下に存在してよい。車両製造施設は、(例えば、仕切りも部屋もない)開放レイアウトを有してよく、あるいは1つまたは複数の部屋または仕切りを備えてよい。本明細書における施設の説明は、本明細書に記載された構造物またはレイアウトの任意の組み合わせに適用されてよい。
【0028】
車両製造施設1000は、施設内で車両製造工程の1つまたは複数のセットを実行するために必要な数または望ましい数のロボット組み立てステーションを備えてよい。本明細書におけるロボット組み立てステーションの説明は、組み立て工程および/または分解工程を含んでよい、本明細書に記載された工程のいずれかを実行するステーションに適用されてよい。車両製造施設は、任意の数のロボット組み立てステーションを備えてよい。場合によっては、施設の制限された容積および空間に対応するために、ステーションの数が増やされるか、または減らされてよい。ステーションは、本明細書に記載された任意の種類の施設の構造物またはレイアウトにわたって分散されてよい。例えば、ステーションは、同じ建物内にすべて存在してよく、または複数の建物にわたって分散されてよい。ステーションは、1つまたは複数の建物を含んでいる敷地内または土地内に存在してよい。ステーションは、他の機能または活動に割り当てられた任意の追加エリアを有していることがある建物の一部に含まれてよい。
【0029】
ステーションは、施設のエリアを包含してよい。複数のステーションのエリアは、重複していても重複していなくてもよい。2つ以上のステーションが、互いに隣接していてよい。ステーションは、固定されたサイズ、位置、および/または形状を有してよい。場合によっては、ステーションの境界は、仕切り、壁、境界、地理上のフェンス、区分、またはその他の物体などの物理的実体によって強制されてよい。場合によっては、ステーションの境界は、図画(例えば、線)、ラベル、照明(例えば、明るさ、色、照明の種類など)、またはマーキングの任意のその他の形態などの、可視マーカーによって示されてよい。代替として、ステーションの境界は、物理的マーカーおよび/または可視マーカーによって明示的に分割されなくてよい。代替として、ステーションは、サイズ(例えば、増加または減少)、位置、形状、または任意のその他の特徴において変化してよい。そのような変化は、時間と共に発生してよい。そのような変化は、新しい需要または変化する需要に応答して提供されてよい。例えば、需要の増加に応答して、ロボット組み立てステーションのサイズが増加してよい。さらに、増加した需要を満たすように、1つまたは複数のロボット組み立てステーションの機能が変更されてよい。同様に、需要の減少に応答して、ロボット組み立てセルのサイズが減少してよい。減少した需要に応答して、1つまたは複数のロボット組み立てステーションの機能が変更されてよい。ステーションは、作業エリアを含んでも含まなくてもよい。作業エリアは、車両、車両部品、および/または車両組み立て品が作業のために配置されてよいプラットフォームまたはエリアを含んでよい。例えば、進行中の組み立て品が、ステーション・エリア内の作業エリアに配置されてよい。作業エリアは、固定されているか、または移動中であってよい。例えば、作業エリアは、自律的組み立てプラットフォームであってよい。別の例では、作業エリアは、コンベヤー・ベルトまたはその他の移動プラットフォームであってよい。作業エリアは、ステーションの構成物および/またはステーションの機能(例えば、ステーションによって実行される工程のセット)における変化などに応答して、サイズ、位置、形状、またはその他の特徴において変化してよい。ステーションの作業エリアは、ステーションに特有であってよい(例えば、別のステーションと重複しない)。作業エリアは、一部の実施形態例では、ステーションの構成物(例えば、ステーションに関連付けられたロボット)のみにアクセス可能であってよい。ステーションは、サブステーション(例えば、アーム交換ステーション、供給ステーションなど)および経路(例えば、ロボットの移動経路、車両部品または車両組み立て品の輸送経路など)などのその他のエリアを含んでよい。
【0030】
各ロボット組み立てステーションは、1つまたは複数の車両製造工程のセットを実行するように構成された、自動コンストラクタ1020などの1つまたは複数のロボットを備えてよい。自動コンストラクタは、ロボット、ロボット・デバイス、自動機械、自動デバイス、自動装置、自動車用工具、または製造機器と呼ばれてよい。自動コンストラクタは、組み立てステップまたは分解ステップを実行してよい。自動コンストラクタは、本明細書の他の場所に記載されたいずれかの製造工程を、単独で、または1つまたは複数の追加の自動コンストラクタと組み合わせて、実行してよい。例えば、自動コンストラクタは、1つまたは複数の車両製造工程のセットを実行することに関する命令を受信するように構成されてよく、その後、受信された命令を実行するようにさらに構成されてよい。自動コンストラクタは、1つまたは複数の車両製造工程を実行するように事前にプログラムされた命令を含んでよい。代替または追加として、自動コンストラクタは、1つまたは複数の車両製造工程を実行するためのリアルタイムの命令を受信してよい。
【0031】
自動コンストラクタは、車両製造工程のセット内の単一の車両製造工程(例えば、曲げ)を実行できてよい。例えば、ロボット組み立てステーション内で、第1の自動コンストラクタが曲げ工程を実行してよく、第2の自動コンストラクタが切断工程を実行してよい。代替として自動コンストラクタは、車両製造工程のセット内の2つ以上の車両製造工程(例えば、曲げ、切断など)を実行できてよい。例えば、ロボット組み立てステーション内で、第1の自動コンストラクタが曲げ車両製造工程および切断車両製造工程の両方を実行してよく、第2の自動コンストラクタが加熱車両製造工程および接着剤注入車両製造工程の両方を実行してよい。単一の自動コンストラクタが単一の製造工程を実行してよく、単一の自動コンストラクタが複数の製造工程を実行してよく、複数の自動コンストラクタが単一の製造工程を集合的に実行してよく、または複数の自動コンストラクタが複数の製造工程を集合的に実行してよい。
【0032】
場合によっては、自動コンストラクタは、異なる機能を実行するように再構成することができてよい。異なる機能が、自動コンストラクタが実行するように指示されている1つまたは複数の車両製造工程に関連付けられてよい。再構成は、ハードウェアの再構成またはソフトウェアの再構成であってよい。例えば、自動コンストラクタは、異なる機能を実行するために必要な異なる工具を備えている異なるロボットのエフェクタ間で交換することができてよい。別の例では、自動コンストラクタは、異なる命令を実行するなどのために、再プログラムすることができてよい。1つの実施形態例では、自動コンストラクタは、新しい作業または異なる作業、あるいは既存の作業の変形または改良を、機械学習を通じて学習する。機械学習は、機械学習プロセスを実行するアルゴリズムが、自動コンストラクタ内に存在する、メモリまたはその他の記憶媒体に結合された1つまたは複数のプロセッサなどの処理システムに含まれるという意味では、自律的であることができる。他の実施形態では、自動コンストラクタ内の処理システムは、1つまたは複数の他のロボット、自動コンストラクタ、中央制御システム、または制御設備と通信して、機械学習機能を実行し、優先順位を付ける。他の実施形態例では、機械学習は、特定の作業に関して独立していることができ、協調的であることができる。ロボットは、前の構築時に部品を作成しておくことによって、新しい製品の類似する部品において意図された結果を伴って、工程を実施することができる。ロボットのこの活動は、機械学習を含んでよい。
【0033】
機械学習は、輸送構造物の製造との関連において、多数の用途を含むことができる。自動コンストラクタは、例えば、前に格納されたデータに基づいて予測を行うことができるようにするため、または前の経験に基づいて決定を行うことができるようにするために、アルゴリズムを使用してプログラムされてよい。この目的で、機械学習は、静的プログラムの使用からの逸脱またはより一般的には、静的プログラムの使用への追加を表し、静的プログラムの使用において、自動コンストラクタは、その他の方法で作業を改善するか、または作業をより効率的にすることがある動的な変化を伴わずに、1つまたは複数の作業を実行するようにプログラムされる。
【0034】
機械学習の1つ例は、1つまたは複数のロボットのアームまたはエフェクタを使用して、3-Dプリンティング機能を組み込んでいる自動コンストラクタから特定の構成要素を取り出した後に、その構成要素を輸送構造物に取り付けるものであることがある作業を有している自動コンストラクタを含んでよい。この構成要素は、例として、変速装置部品、ギア・ケース、熱交換器、パワートレインなど、またはこれらのいずれかの下位構成要素を含んでよい。取り付けられる特定の構成要素に応じて、自動コンストラクタは、(例えば、静的プログラムを介して決定されたステップによって最初に方向付けられることによって)構成要素を取り付ける最初の経験を獲得した後に、それ自身をさらに効率的に動員する1つまたは複数の方法を学習し、車両内の最適な配置を得るための構成要素の位置または角度を決めてよい。
【0035】
機械学習のそれらの例および類似する例は、自動コンストラクタが作業する環境および施設を考慮することに役立つことがある。
【0036】
車両への構成要素の締め付けも行われる場合、自動コンストラクタは、機械学習アルゴリズムを介して、構成要素を最も良く固定するか、または最も素早く固定する特定の順序で、他の締め具のねじを添付するなどの、構成要素を締め付けるための最適な方法をリアルタイムに習得してよい。
【0037】
別の例として、機械学習は、1つまたは複数のエフェクタを使用してCOTS部品を特定の方法で変更する目的を有する自動コンストラクタを含んでもよい。そのたびごとに、自動コンストラクタは、既定の仕様を使用してCOTS部品を変更し、同じ最終結果を達成してよいが、自動コンストラクタは、機械学習を採用し、特定の順序で工具を使用することを学習すること、または異なるサイズの工具を使用して、進行中の経験を通じて変更工程を最適化することを学習することなどによって、経験を通じて、変更を実行するための最も速く、最も効率的、かつ最も効果的な手法を決定することができる。
【0038】
ロボットなどの自動コンストラクタのクラスタまたはグループは、連携して、組み立てライン上でより速い結果を達成すること、AM作業をより生産的な方法で分散することによって付加製造を最適化すること、または異なるロボットを異なる機能に使用することを実行するように、(例えば、アルゴリズムのさまざまな組み合わせを使用して)構成されてもよい。例えば、1つまたは複数の3-Dプリンティング・ロボットによる学習経験を通じて、3-Dロボットのグループの各3-Dロボットが異なる構成要素(例えば、ギア・ケース、クランク軸、アクセル・ペダル、サスペンションなど)の異なる下位構成要素に対して作業するのではなく、3-Dプリンティング・ロボットのグループがステーションでギア・ケースの異なる各下位構成要素をそれぞれプリントすることの方が効率的かつ高速であるということ、またはその逆のことが決定されてよい。
【0039】
自動コンストラクタ間の機械学習は、リアルタイムに観察された条件のセットに応じて、任意の数の異なる優先度を動的に決定するために使用されてもよい。ロボットは、あるときには特定の作業が他の作業よりも注意を必要とし、他のときには、それと反対のことが当てはまることがあるということを認識してよい。例えば、自動コンストラクタのグループは、機械学習を通じて、特定のステーションがボトルネックになったこと(または、自動コンストラクタの予測に基づいて、ボトルネックになること)を認識してよい。この認識に基づいて、ボトルネックを解決するために、さらに多くの自動コンストラクタが、挙動を変更し、問題となっているステーションに一時的に移動してよい。
【0040】
別の例として、機械学習は、新しい全く異なる作業を学習する1つまたは複数の自動コンストラクタと同程度に基礎的であることがある。溶接するように最初にプログラムされたロボットが、その後、接着剤を塗布することを学習してよい。3-Dプリンタを含んでいる自動コンストラクタは、その後、それ自身を車両に近接するエリアに配置するか、またはそのエリアの方向に向けることを学習してよく、その3-Dプリンタがプリントする部品は、部品のより高速な配置のために、別の自動コンストラクタに容易に渡すことができる。
【0041】
別の実施形態例では、さまざまなロボット組み立てステーションに配置された自動コンストラクタは、他の自動コンストラクタとの衝突、あるいは組み立てステーションで近くの自動コンストラクタと連携して作業しているか、または独立して作業している従業員を含む、任意のその他の障害物との衝突を回避するために、自己学習技術を動的に採用することができる。
【0042】
機械学習の使用に関するその他の例を以下に示す。
【0043】
付加製造工程においてスライスするための機械学習。前述したように、本開示の態様では、自動コンストラクタは、付加製造工程を実行する能力を使用して構成されてよい。製造工程に加えて、スライスは、3-Dプリントされる部品のコンピュータ支援設計(CAD:computer aided design)ファイルが、部品をプリントする命令をプリンタに提供するために切断(または「スライス」)されるステップを指す。それらの命令は、プリント・ヘッド/デフレクタがプリントを実行するための移動パターンを提供する、Gコードを含んでよい。多くの場合、それらの移動パターンは、非効率的であるため、プリントの速度が遅くなる。機械学習アルゴリズムは、効率的な移動パターンをプリント・ヘッド/デポジターに提供するように、スライス・プログラムに構築され得る。前述のアルゴリズムは、プリント・ヘッド/デポジターによって選択される経路を最適化し、より高速で高品質な構築を実現する。
【0044】
プリント・ヘッドの運動制御のための機械学習。機械学習は、プリント・ヘッドが最適化された経路および速度で移動できるようにしてもよい。位置AからBに単純に移動する代わりに、機械学習アルゴリズムは、最も高速かつ最も効率的な経路を決定できる。この最適化プロセスは、単純な形状を有する領域をプリントしている間に、プリント・ヘッドを加速し、方向の変化を考慮して減速することができる。機械学習は、より極端な移動を可能にするようにGコードの経路を最適化することによって、より柔軟性のある運動制御ファームウェアを提供することができる。
【0045】
材料の開発のための機械学習。部品を正確にプリントするため、および/または部品の上にオンザフライでプリントするために、機械学習が使用されてよい。例えば、軽量の部品が必要な場合、機械学習は、アルミニウムを使用してプリントするように、自動コンストラクタを導くことができる。強度の高い構成要素が必要な状況では、コンストラクタは鋼鉄を使用してプリントすることができる。さらに、機械学習は、必要に応じて合金混合物を正確に決定することができ、それによって、荷重およびその他の考慮事項(環境要因、密度、車両上の位置など)に基づいて、合金の開発を推進する。
【0046】
構造最適化のための機械学習。プリント工程の間に、機械学習アルゴリズムは、構造補強が必要な領域内で充填構造を自動的に生成できる。さらに、これらのアルゴリズムは、構築段階を観察することによって領域内の構造を「予測する」ように構成することができ、プリントするように自動コンストラクタに指示することができる。車両が製造される前に、さまざまな荷重ケースが指定されて、規定書の一部になり、それによって、必要な量の構造物を正確にプリントするために参照するデータベースを機械学習アルゴリズムに提供する。機械学習は、CAD設計段階自体に統合されてよく、アルゴリズムが可能性のある構造を予測して、自動的に含める。このアルゴリズムは、インターネット検索バーの自動補完アルゴリズムに類似している。
【0047】
車両組み立て中の機械学習。他の実施形態例では、機械学習アルゴリズムは、自動コンストラクタが、必要に応じて、必要なときに必要な工具を取得できるようにすることができる。例えば、ナットまたはボルトが規定のトルクで締め付けられる必要がある組み立て工程の間に、コンストラクタは状況を識別し、トルク・レンチ付きのエフェクタを自動的に伸ばすことができる。機械学習は、それらのコンストラクタが、組み立て段階に基づいて自分自身を自動的に再配置できるようにもし、それによって、プラントのレイアウトを最適化する。工具および部品は、ジャスト・イン・タイムで供給される。
【0048】
要するに、問題となっている構成および実施形態に応じて、本開示に適用できることがある機械学習プロセスの多種多様な用途が存在する可能性がある。機械学習を促進するためのそのようなアルゴリズムの設計が、(自動コンストラクタ自体またはその後、自動コンストラクタに送信される中央制御場所などの、ソースに関わらず)本開示を熟読した当業者の理解の範囲内にあってよいということが、理解されるであろう。適用できる可能性のある機械学習アルゴリズムの一般的な非網羅的な例は、決定木学習アルゴリズム、線形回帰およびロジスティック回帰、分類器、ならびにサポート・ベクター・マシン・アルゴリズムなどを含んでよい。前述のアルゴリズムなどのさらに一般的なアルゴリズムから、より複雑なアルゴリズムまたはアルゴリズムのグループが、論理、経験、および予測を運動および動作と組み合わせる当業者によって、開発され得る。
【0049】
アルゴリズムに加えて、自動コンストラクタは、機械学習プロセスに関連するデータを収集するため、およびその他の機能を実行するために、複数の機械学習センサーを採用してよい。例えば、自動コンストラクタは、機械学習の適用において使用されてよいさまざまな種類のデータを収集するように構成された、低電力センサー・ノードを備えてよい。収集されたデータは、さらに処理するため、および/または他の自動コンストラクタにルーティングするために、例えば無線接続を介して、自動コンストラクタ内の処理システムまたは中央制御施設に送信されてよい。センサーとしては、例えば、光センサー、温度を検出するための熱センサー、電荷または電圧の存在を検出するためのセンサー、音響センサー、自動コンストラクタの近くの化学物質(車両、近くの部品、環境、またはその他のものにとって有害である可能性のある化学物質を含む)の検出のためのセンサーなどが挙げられる。センサーは、無線電気信号またはメッセージを受信するための、RFセンサー、無線センサー、およびその他の電気センサーを含むこともできる。
【0050】
自動コンストラクタは、ロボット組み立てステーションとの間、およびロボット組み立てステーション内で移動するように構成されてよい。ロボット組み立てステーションは、ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の車両製造工程のセットを実行するために必要なだけの数の自動コンストラクタを備えてよい。例えば、実施形態に応じて、ロボット組み立てステーションは、1~1000個程度またはそれ以上の自動コンストラクタを備えてよい。他の実施形態では、各ロボット組み立てステーションは、任意の数の自動コンストラクタを含んでよい。例えば、各ロボット組み立てステーションは、同じ数または同じ種類の自動コンストラクタを含んでも含まなくてもよい。各ロボット・ステーション内の自動コンストラクタの数および/または種類は、他のロボット・ステーションとは無関係に選択されてよい。自動コンストラクタは、1つまたは複数のロボット組み立てステーションに関連付けられてよい。例えば、自動コンストラクタは、第1のロボット組み立てステーション1010aのみに関連付けられてよい。別の例では、自動コンストラクタは、第1のロボット組み立てステーション1010aおよび第2のロボット組み立てステーション1010bの両方に関連付けられてよい。場合によっては、自動コンストラクタは、自動コンストラクタがロボット組み立てステーションのエリア内にあるとき、および/または自動コンストラクタがロボット組み立てステーションに関連付けられた製造工程を実行しているときに、1つまたは複数のロボット組み立てステーションに関連付けられ得る。例えば、ロボット組み立てステーションがシャーシの部分の組み立てに関連付けられている場合、自動コンストラクタは、シャーシの部分の組み立てを支援してよい。自動コンストラクタの関連付けは、要求に基づいて変化してよい。例えば、第1のロボット組み立てステーションにおいて、自動コンストラクタのより大きい必要性が存在する場合、自動コンストラクタが、第1のロボット組み立てステーションに関連付けられてよい。第2のロボット組み立てステーションにおいて必要性が増加し、第1のロボット組み立てステーションにおいて必要性が減少した場合、自動コンストラクタが第2の組み立てステーションに関連付けられてよい。自動コンストラクタは、一度に1つのステーションのみに関連付けられてよい。代替として、自動コンストラクタは、一度に複数のステーションに関連付けられてよい。場合によっては、自動コンストラクタは、特定の時点で、どのステーションにも関連付けられなくてよい。例えば、1つまたは複数の「余分な」自動コンストラクタが、ロボット組み立てステーションに関連付けられるまで、アイドル状態であるか、または待機していてよい。例えば、自動コンストラクタ1020は、例えば制御システムまたは別の自動コンストラクタ1020から、ロボット組み立てステーションに動員されて割り当てられた作業を実行するという命令が提供されるまで、アイドル状態であってよい。
【0051】
場合によっては、自動コンストラクタは、必要に応じて製造施設のさまざまな領域を横断してよい。例えば、
図1Aに示されているように、自動コンストラクタ1020は、第1のロボット組み立てステーション1010aから第2のロボット組み立てステーション1010bに移動してよい。自動コンストラクタは、第1のロボット組み立てステーション内にある間に、第1のロボット組み立てステーションに関連付けられた製造工程を実行してよい。自動コンストラクタは、第2のロボット組み立てステーションに移動したときに、第2のロボット組み立てステーションに関連付けられた製造工程を実行してよい。場合によっては、自動コンストラクタ1020は、ロボット組み立てステーション1010bから離れてよい。この動作は、このロボット組み立てステーションで自動コンストラクタがもはや必要ではないとき、または異なる場所での必要性の方が大きい場合に、発生してよい。場合によっては、自動コンストラクタ1020は、ロボット組み立てステーション1010cに入ってよい。この動作は、自動コンストラクタがこのロボット組み立てステーションで必要であるときに発生してよい。自動コンストラクタは、ロボット組み立てステーション1010d内で移動してよい。
【0052】
場合によっては、ロボット組み立てステーションの指定されたエリアおよび/または指定された位置が、1つまたは複数の車両製造工程のセットを実行する組み立てステーション内の1つまたは複数の自動コンストラクタの各位置および移動と共に変化してよい。例えば、第1のロボット組み立てステーション1010aに関連付けられた1つまたは複数の自動コンストラクタが第2のロボット組み立てステーション1010bの位置に移動し、第2のロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の自動コンストラクタが第4のロボット組み立てステーション1010dの位置に移動する場合、第1のロボット組み立てステーションの位置が第2のロボット組み立てステーションの最初の位置に変更されてよく、第2のロボット組み立てステーションの位置が第4のロボット組み立てステーションの最初の位置に変更されてよい。2つ以上のロボット組み立てステーションが同じ指定された位置を共有してよい。2つ以上のロボット組み立てステーションが、指定されたエリア内で部分的または完全に重複してよい。他の例では、組み立てステーションの指定されたエリアおよび/または指定された位置は、1つまたは複数の車両製造工程のセットの対象である車両の構成要素または構成要素の組み立て品の各サイズおよび/または位置と共に変化してよい。
【0053】
車両製造施設は、組み立て工程中に車両あるいはその他の輸送構造物または輸送構造物の一部を複数の位置(例えば、ロボット組み立てステーションなど)に輸送できる車両輸送システムを備えてよい。例えば、輸送システムは、コンベヤー・ベルトなどの移動プラットフォームを含むことができる。場合によっては、車両または部品を輸送するために、構台が使用されてよい。代替または追加として、輸送システムは、部分的または完全に組み立てられた車両または組み立て工程の適用を受けるその他の輸送構造物あるいは車両部品を輸送するようにプログラムされた、1つまたは複数のロボット(例えば、移動補給車)を備えることができる。代替または追加として、輸送システムは、例えば、車両または車両部品を施設内の複数の位置に輸送するという命令を受けた施設の従業員による肉体労働を含むことができる。例えば、車両輸送システムは、コンベヤー・ベルト、ロボット、および/または肉体労働の組み合わせであってよい(例えば、従業員が、位置Aでチューブを移動補給車に供給し、移動補給車がチューブを位置Aから位置Bのコンベヤー・ベルトに輸送し、コンベヤー・ベルトがチューブを位置Bから施設内の複数の他の位置に輸送する)。輸送システムは、車両または車両部品を、同じロボット組み立てステーション内の異なる位置に、異なるロボット組み立てステーションの間で、および/またはロボット組み立てステーションと別の位置の間で、輸送してよい。
【0054】
場合によっては、車両組み立て工程中に、複数の種類の輸送構造物(例えば、第1の航空機、第2の航空機、第1のオートバイ、第2のオートバイ、第1の自動車モデル、第2の自動車モデル、第1のボート・モデル、第2のボート・モデル、第1のバス・モデル、第2のバス・モデルなど)が、車両輸送システムを介して、1つまたは複数のロボット組み立てステーションに輸送され得る。代替または追加として、複数の種類の車両の構成要素(例えば、車輪、チューブ、エンジンなど)または車両の構成要素の組み立て品が、車両輸送システムを介して、1つまたは複数のロボット組み立てステーションに輸送され得る。施設は、複数の車両の組み立ておよび/または分解を同時に行ってよい。
【0055】
施設は、輸送構造物の複数の種類またはモデルの組み立ておよび/または分解を同時に行ってよい。例えば、車両の場合、第1の車両モデルが施設内のさまざまなロボット組み立てステーションを横断してよく、各ステーションは、組み立ての異なる段階で、施設内の異なる位置に配置される。同時に、並行して、第2の車両モデルが、組み立ての異なる段階で、施設内のさまざまな異なるロボット組み立てステーションを横断していてよい。第1および第2の車両モデルは、同じロボット組み立てステーションおよび/または異なるロボット組み立てステーションを横断してよい。任意選択的に、第1および第2の車両モデルは、同時に、または異なる時間に、同じロボット組み立てステーションを横断してよい。施設は、任意の数の車両または車両モデルの組み立ておよび/または分解に同時に対応してよい。同時に組み立ておよび/または分解が実行されている車両モデル(例えば、設計)における違いは、大幅に異なる(例えば、ボート、自動車、およびバスを同時に構築する)か、またはわずかに異なって(例えば、同じ自動車のブランドの3つの異なるシリーズのモデルを構築し、各シリーズが同じ車体設計を含んでいる)よい。
【0056】
1つまたは複数のロボット組み立てステーションは、異なる車両モデルの組み立ておよび/または分解に対応するように再構成されてよい。場合によっては、輸送構造物のさまざまなモデルは、複数のバッチ(batch)に分けての組み立ておよび/または分解が行われ得る。例えば、1つまたは複数のロボット組み立てステーションが、第1の車両モデルを組み立てるように構成されてよい。第1の車両モデルの第1のバッチを組み立てた後に、1つまたは複数のロボット組み立てステーションが、第2の車両モデルの第2のバッチを組み立てるように再構成されてよい。代替または追加として、ロボット組み立てステーションは、必要に応じて再構成してよい(例えば、第1の車両モデルのうちの1つを構築するように構成され、次に、第2の車両モデルのうちの1つを構築するよう再構成され、その後、第3の車両モデルのうちの1つを構築するように再構成され、再び、第1の車両モデルのうちの1つを構築するように再構成されるなど)。したがって、異なる車両のモデルまたは種類が順次組み立てられる場合、ロボット組み立てステーションは、必要に応じて再構成されてよい。前述したように、異なる車両モデルは、大きい複数のバッチに分けて到着してよく、または各車両が異なるモデルであることができるように、個別に扱われてよく、あるいはこれらの中間であってよい。同じ車両のモデルまたは種類のシリーズ内の車両の数は、需要に基づいて変化してよい。例えば、同じ種類の1000台の車両の大きいバッチが、ロボット組み立てステーションを使用して構築されてよく、次に、別の種類の複数の車両がロボット組み立てステーションを使用して構築されてよく(ロボット組み立てステーションが、任意選択的に、異なる車両の種類に対応するように再構成される必要があることがある)、その後、別の種類の百台くらいの車両の中規模のバッチがロボット組み立てステーションを使用して構築されてよい(ロボット組み立てステーションが、任意選択的に、第3の車両の種類に対応するように再び再構成される必要があることがある)。
【0057】
1つまたは複数の自動コンストラクタの各機能および/または移動は、制御システムによって制御されてよい。
図1Bは、車両製造施設の制御システムを概略的に示している。制御システム1500は、制御サーバ1505を備えてよい。サーバは、この用語が本明細書において使用されるとき、通常、ネットワーク接続を経由してサービス(例えば、命令の送信および受信)またはリソース(例えば、データ)を提供するコンピュータのことを指してよい。サーバは、車両製造施設の管理者(例えば、プラント・マネージャ)によって提供または管理されてよい。場合によっては、サーバは、Webサーバ、エンタープライズ・サーバ、または任意のその他の種類のコンピュータ・サーバを含んでよく、コンピューティング・デバイス(例えば、ロボット、自動コンストラクタ、3-Dプリンタなど)から要求(例えば、HTTPまたはデータ送信を開始できるその他のプロトコル)を受け取り、コンピューティング・デバイスに要求されたデータを提供するようにプログラムされ得る。加えて、サーバは、無料放送施設、ケーブル放送施設、衛星放送施設、およびその他の放送施設などの、データを配布するための放送施設であることができる。サーバは、データ・ネットワーク(例えば、クラウド・コンピューティング・ネットワーク)内のサーバであってもよい。本明細書では、サーバの説明は、本明細書の他の場所で説明されているステップのいずれかを個別に、または集合的に実行することができる1つまたは複数のサーバまたはその他のデバイスに適用されてよい。代替または追加として、システムは、クラウド・コンピューティング・インフラストラクチャまたはピアツーピア構成を使用して実装されてよい。一部の実施形態例では、サーバは、組み立て施設内にローカルに存在してよく、または組み立て施設の敷地または建物に存在するか、または組み立て施設にネットワークで接続された1つまたは複数の専用の場所に存在してよい。
【0058】
制御サーバ1505は、1つまたは複数のプロセッサ、プロセッサによって実行されるソフトウェア命令を格納する1つまたは複数のメモリ・デバイス、およびデータなどの、既知の計算構成要素を備えてよい。サーバは、1つまたは複数のプロセッサおよびプログラム命令を格納するための少なくとも1つのメモリを含むことができる。1つまたは複数のプロセッサは、単一のマイクロプロセッサもしくは複数のマイクロプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate arrays)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processors)、またはこれらの任意の適切な組み合わせ、あるいは命令の特定のセットを実行できるその他の構成要素であることができる。コンピュータ可読命令は、フレキシブル・ディスク、ハード・ディスク、CD-ROM(compact disk-read only memory:コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ)、MO(magneto-optical:光磁気)、DVD-ROM(digital versatile disk-read only memory:デジタル多用途ディスク読み取り専用メモリ)、DVD RAM(digital versatile disk-random access memory:デジタル多用途ディスク・ランダム・アクセス・メモリ)、または半導体メモリなどの、有形の非一時的コンピュータ可読媒体に格納され得る。代替として、本明細書で開示された方法は、例えば、ASIC(application specific integrated circuits:特定用途向け集積回路)、専用コンピュータ、または汎用コンピュータなどの、ハードウェア構成要素またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装され得る。
図1Bは、制御サーバを単一のデバイス1505として示しているが、一部の実施形態では、複数のデバイス(例えば、コンピュータ)が制御サーバに関連する機能を実装してよい。1つまたは複数のプロセッサは、クラウド・ストレージに加えて、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)の実装に不可欠であることのある格納能力を含むが、これに限定されない、将来実装される、任意の将来のメモリまたは格納能力、をさらに使用することができてよい。
【0059】
ネットワーク1515は、さまざまな構成要素(例えば、1つまたは複数の自動コンストラクタ1520a~x、その他の複数のロボット、3-Dプリンタ、その他の機械、センサーなど)と制御システム1500の間の通信を接続および/または提供するように構成されてよい。例えば、ネットワークは、インターネット、イントラネット、エクストラネット、無線ネットワーク、有線ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)、
図1Bのネットワーク・レイアウトの1つまたは複数の構成要素間の通信を提供する任意のその他の種類のネットワーク、またはこれらのネットワークの任意の組み合わせとして実装されてよい。一部の実施形態では、ネットワークは、セル・ネットワークおよび/またはページャ・ネットワーク、衛星、ライセンスされた無線、あるいはライセンスされた無線とライセンスされていない無線の組み合わせを使用して実装されてよい。ネットワークは、無線、有線(例えば、イーサネット(登録商標))、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0060】
制御システム1500は、命令を格納する1つまたは複数のコンピュータとして実装されてよく、これらの命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、命令を生成して1つまたは複数の自動コンストラクタ1520a~xに送信し、データ要求および/または命令要求を1つまたは複数の自動コンストラクタから受信することができる。施設1000は、1つまたは複数の制御システムを備えてよく、各制御システムが、制御システム1500と実質的に並列に、かつ/または連動して、動作する。場合によっては、制御サーバは、1つまたは複数の制御システムが実装されたコンピュータを備えてよい。代替として、1つまたは複数の制御システムが別々のコンピュータ上に実装されてよい。制御サーバは、1つまたは複数の制御システムにアクセスして制御システムを実行し、開示された実施形態と一致する1つまたは複数の工程を実行してよい。特定の構成では、1つまたは複数の制御システムが、制御サーバによってアクセスできるメモリ(例えば、制御サーバにとってローカルなメモリ、またはネットワークなどの通信リンクを経由してアクセスできるリモート・メモリ)に格納されたソフトウェアを含んでよい。したがって、特定の態様では、1つまたは複数の制御システムが、1つまたは複数のコンピュータとして、制御サーバによってアクセスできるメモリ・デバイスに格納されたソフトウェアとして、またはこれらの組み合わせとして実装されてよい。例えば、1つの制御システムがコンピュータ・ハードウェアであってよく、別の制御システムが、制御サーバによって実行できるソフトウェアであってよい。
【0061】
1つまたは複数の制御システムは、制御を実現するための1つまたは複数のアルゴリズムを実行するソフトウェアを格納および/または実行することなどによって、車両製造施設1000のさまざまな構成要素を多種多様な方法で制御するために使用され得る。1つまたは複数のアルゴリズムを実行するための複数の制御システムが説明されたが、開示された実施形態と一致する単一の制御システムを使用してアルゴリズムの一部または全部が実行されてよいということに、注意するべきである。
【0062】
1つまたは複数の制御システムが、1つまたは複数のデータベース1510に接続または相互接続されてよい。1つまたは複数のデータベース1510は、データ(例えば、センサー・データ、部品製造データ、在庫データなど)を格納するように構成された1つまたは複数のメモリ・デバイスであってよい。さらに、一部の実施形態例では、1つまたは複数のデータベースが、ストレージ・デバイスを含むコンピュータ・システムとして実装されてよい。1つの態様では、1つまたは複数のデータベースが、開示された実施形態と一致する1つまたは複数の動作を実行するために、制御サーバ1505によって使用されてよい。特定の実施形態では、1つまたは複数のデータベースが、制御サーバと同一の場所に配置されてよく、かつ/またはネットワーク1515上の他の構成要素(例えば、自動コンストラクタ1520a~x)と同一の場所に配置されてよい。例えば、自動コンストラクタ1520は、制御サーバを通過しないで、センサー・データを1つまたは複数のデータベースに送信してよい。当業者は、開示された実施形態が1つまたは複数のデータベースの構成および/または配置に限定されないということを認識するであろう。
【0063】
制御システム1500は、1つまたは複数の自動コンストラクタ1520a~xが各組み立てステーションとの間で移動するための命令を生成するように構成されてよい。例えば、制御システムは、1つまたは複数の自動コンストラクタに対して、各組み立てステーションとの間で自律的に移動するように指示してよい。自動コンストラクタは、自律的な独立性の変化するレベルを有してよい。例えば、制御システムは、命令を提供せずに、自動コンストラクタがひとりでに移動できるようにしてよい。自動コンストラクタは、例えば、制御システムとの通信および/または他の自動コンストラクタとの通信などを介して、ひとりでに移動するようにプログラムされた、命令を有してよい。別の例では、自動コンストラクタは、ひとりでに移動している間に自動コンストラクタが従わなければならない、事前にプログラムされた条件またはパラメータを有してよい。場合によっては、制御システムは、事前にプログラムされた条件またはパラメータを再定義すること、学習能力(例えば、自律的に移動する能力)を更新すること、または新しい作業または異なる作業を割り当てることなどのために、定期的または継続的更新を自動コンストラクタ内のソフトウェアに提供してよい。代替または追加として、制御システムは、各組み立てステーションとの間で移動するためのより詳細な(例えば、段階的な)命令を、1つまたは複数の自動コンストラクタに提供してよい。例えば、制御システムは、特定の移動経路を自動コンストラクタに提供してよい。別の例では、制御システムは、目的の行き先を提供してよく、自動コンストラクタは、いずれかの経路に従って目的の行き先に到着するようにプログラムされてよい。自動コンストラクタは、経路の決定において、1つまたは複数のパラメータに従ってよく、または経路をオンザフライで自由に決定してよい。別の例では、制御システムは、目的の行き先と、許可された経路および許可されない経路、施設内の許可されたエリアおよび許可されないエリア、好ましい経路、好ましいエリア、および/または時間的制約などの、パラメータとを、提供してよい。自動コンストラクタは、提供されたパラメータの範囲内で、目的の行き先に到着してよい。命令は、自動コンストラクタ内で事前にプログラムされるか、またはリアルタイムの命令として提供され得る。自動コンストラクタは、経路に沿って移動するときに、任意選択的に、経路を事前に計画せずに自律的に動作してよい。コンストラクタは、経路をリアルタイムに生成してよい。
【0064】
自動コンストラクタは、例えば組み立てステーション間で自律的に移動する能力または効果を向上させるために、本開示において説明されているように、機械学習技術を採用してもよい。例えば、自動コンストラクタは、1つまたは複数のセンサーを使用して、固定された障害物または移動する障害物を認識してよく、将来の移動経路の開発において、または衝突を回避することにおいて、自動コンストラクタを支援することができる、それらの障害物のいずれかに関する情報またはパラメータを記録してよい。自動コンストラクタは、場合によっては、それのソフトウェアまたはハードウェアの能力、制御システム1500から事前に伝達された命令、またはその他の方法によって制御される、自動コンストラクタの自律性の程度などの要因に応じて、この機械学習によって得られた情報を制御システム1500に伝達してよい。
【0065】
場合によっては、制御システム1500は、ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の自動コンストラクタの移動を指示することなどによって、ロボット組み立てステーションの指定された位置および/または指定されたエリアを変更してよい。このようにして、ロボット組み立てステーションは、柔軟なモジュール式であってよく、車両製造施設1000は、施設の位置および/または施設のエリアの制限内で、各ロボット組み立てステーションの各位置および/またはエリアを変更することによって、容易に再構成されてよい。場合によっては、施設は、建物の1つまたは複数の部分を含んでよく、場合によっては、施設は、1つまたは複数の異なる建物を含んでよい。1つまたは複数のロボット組み立てステーションが、施設の位置および/またはエリアによる制約に従って、任意のレイアウトで分散されてよい。例えば、第1のロボット組み立てステーションが施設の第1の建物に配置されてよく、第2のロボット組み立てステーションが施設の第2の建物に配置されてよい。
【0066】
制御システム1500は、一部の実施形態例では、命令をリアルタイムに生成してよい。リアルタイムの活動の一部の例としては、1秒未満、10分の1秒未満、100分の1秒未満、または1ミリ秒未満の応答時間が挙げられる。前述したような、または下記でさらに説明されるような、1つまたは複数の自動コンストラクタを含んでいるロボットの各々は、これらの実施形態では、制御システムからの命令に、リアルタイムまたはほぼリアルタイムに、応答することができてよい。例えば、1つまたは複数の自動コンストラクタの移動を介して、ロボット組み立てステーションは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムに、位置および/またはエリアにおいて再構成され、大きさを変更されてよい。場合によっては、制御システムは、定期的な命令を生成してよい。定期的な命令は、スケジュールまたは規則的な間隔(例えば、10分ごと、1時間ごと、1日ごと、1週間ごとなど)などに従って、規則的であるか、または不規則であることができる。命令は、既定のスケジュールに従って提供されてよい。命令は、検出されたイベント(例えば、新しい輸送構造物の組み立てが開始された、原料供給が尽きた、1つまたは複数の機械の故障など)に応答して提供されてよい。
【0067】
制御システム1500は、1つまたは複数の自動コンストラクタが輸送構造物の製造工程を実行するための命令を生成するように、さらに構成されてよい。車両の場合、制御システム1500は、1つまたは複数の車両製造工程または1つまたは複数の車両製造工程の1つまたは複数のセットを実行するための命令を生成し、かつ/または1つまたは複数の自動コンストラクタに提供するように、構成されてよい。例えば、制御システム1500は、ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の車両製造工程のセットを全体で変更してよい。制御システムは、車両製造工程を実行することに関する詳細な命令を1つまたは複数の自動コンストラクタに提供してよい。例えば、制御システムは、車両部品の特定の寸法を、プリントするために3-Dプリンティング自動コンストラクタに提供してよい。以下ではさらに、1つまたは複数の車両製造工程を実行する1つまたは複数の自動コンストラクタについて、さらに詳細に説明する。
【0068】
図2は、輸送構造物の部品製造システムの概略図を示している。前述したように、詳細および概念が任意の適切な輸送構造物に適用されてよいが、
図2は、例示的な車両部品製造システムとの関連において示されている。車両製造施設2000は、施設の現場(on-site)で、または現場外(off-site)で製造された車両部品を使用してよい。一部の車両部品は、必要に応じて、最初に現場外で製造され、現場で変更されるか、またはその他の方法で処理されてよい。代替として、一部の車両部品は、最初に現場で製造され、現場外で変更されるか、または処理されてよい。場合によっては、現場部品製造は、3次元(3-D)プリンティングを含んでよい。場合によっては、現場外部品は、民生(COTS)部品を含んでよい。COTS部品は、3-Dプリントされてもよい。場合によっては、既存の部品(例えば、3-DプリントされたCOTSなど)が、3-Dプリンティングを介してカスタマイズされてよい。本明細書において使用されるとき、「部品」または「車両部品」という用語は、車両またはその他の輸送構造物において組み立てられる部品に加えて、組み立てられる部品と相互作用するか、または組み立てられる部品を操作することができる1つまたは複数の製造用工具のことを集合的に指してよい。
【0069】
車両組み立て施設を含む実施形態例では、車両部品が3-Dプリンティングを介して現場で製造されてよい。古い車両および輸送構造物、ならびに古い車両部品が、分解エリア2100内で分解するために、車両部品製造システムに入力されてよい。古い車両および古い車両部品は、このシステムに固有(例えば、同じ施設2000によって製造され、かつ/または組み立てられた)であるか、またはこのシステムとは無関係(例えば、異なる施設によって製造され、かつ/または組み立てられた)であってよい。古い車両および古い車両部品の分解された構成要素は、金属再生利用エリア2110内で再利用、再生利用、または廃棄されてよい。例えば、金属部品が再生利用されてよい。再生利用される金属部品およびその他のプリントの構造用支持材が、インゴット(ingot)を製造するために、金属再生利用エリア2110内の溶鉱炉に移動されてよい。車両および古い車両部品を含んでいる分解された古い輸送構造物以外のソースを含む任意のソースからの金属から、インゴットが製造され得る。再利用も再生利用もできないその他の分解された部品は、システムから廃棄されてよい。インゴットは、粉末製造るつぼ塔(powder production crucible tower)2120に供給されてよく、粉末製造るつぼ塔2120で、再生利用されるインゴットを金属粉末に変換するためのガス噴霧または別の適切な工程の適用を受けることなどによって、金属粉末に変換されてよい。粉末製造るつぼ塔から出力された金属粉末は、部品製造エリア2130内の1つまたは複数の3-Dプリンタに供給されてよく、下記で説明されている一部の実施形態では、出力された粉末は、組み立てライン上の1つまたは複数の3-Dプリンティング・ロボットに直接輸送されてよい。3-Dプリンタは、市販されている金属粉末などの、他のソースからの金属粉末を使用してよい。3-Dプリンタが、3-D物体をレンダリングするための原料物質として金属粉末を使用することに限定されないということ、およびプラスチック、複合材料、およびその他の材料が部品製造エリアに、かつ/または3-Dプリンティング・ロボットに直接、輸送され、1つまたは複数の構成要素またはその一部を3-Dプリントするための材料として使用されてよいということが、理解されるであろう。
【0070】
部品製造エリア2130は、1つまたは複数の3-Dプリンタに対して、車両部品を製造すること、またはCOTSまたはその他の部品を仕上げることを指示できる、企業資源計画(ERP:enterprise resource planning)システムを備えてよい。実施形態例では、ERPシステムは、施設2000が統合ソフトウェア・アプリケーションのシステムを使用して、多数の機能および製造工程を管理し、自動化できるようにする、ソフトウェアを含んでよい。例えば、ERPシステムは、1つまたは複数の3-Dプリンタに対して、必要な詳細または変更をプリントされる車両部品に組み込むように指示できる。ERPシステムは、顧客注文、製造目標、在庫記録、部品データベース、財務データ、および製造スケジュールなどの、大規模なデータおよび小規模なデータを利用することによって、製造工程などのコア・ビジネス・プロセスを自動化して統合するソフトウェアを含むことができる。場合によっては、
図1Bの制御システム1500は、ERPシステムをそれのソフトウェアに含んでいてよい。代替として、ERPシステムは、制御システムとは別のシステムであってよい。場合によっては、3-Dプリンタは、固定機械を備えてよい。代替または追加として、3-Dプリンタは、3-Dプリンティング・ロボットを備えてよい。3-Dプリンティング・ロボットは、移動することができてよく、移動するように構成されてよい。3-Dプリンティング・ロボットは、組み立てライン上で実行されてよい。場合によっては、3-Dプリンティング・ロボットは、1つまたは複数のロボット組み立てステーションに関連付けられた自動コンストラクタであってよい。
【0071】
図20は、ロボット組み立てステーションでの、構成要素の現場3-Dプリンティングのための例示的な方法の例示的なブロック図を示している。例示的な方法では、2001に示されているように、制御システムが、命令を3-Dプリンティング工程に関わる自動コンストラクタに提供するか、またはその他の方法でそのような自動コンストラクタと通信してよい。代替として、自動コンストラクタは、自律的方法または半自律的方法で動作する。
【0072】
一部の実施形態では、3-Dプリンティングに使用される材料は、ステップ2005に示され、上記で説明されたように、再生利用された金属から調達された粉末を含んでよい。他の実施形態例では、3-Dプリントされる材料は、プラスチックまたは複合材料を含んでよく、任意の適切なソースから取得されてよい。ステップ2010で、3-Dプリンタを含んでいる第1の自動コンストラクタが、構成要素またはその一部を3-Dプリントする。すなわち、一部の実施形態では、3-Dプリンタは、第1の自動インストラクタの不可欠な部分として構築される。他の実施形態では、個別の3-Dプリンタが、例えばプラットフォーム上で、自動コンストラクタによって、あるいは1つまたは複数のアームまたはエフェクタなどを使用することによって、支えられる。実施形態例では、第1の自動コンストラクタは、必要に応じて、自動化された方法で、例えば制御システムからのリアルタイムのコマンドに従って、異なるロボット組み立てステーションとの間で移動することができる。
【0073】
構成要素の一部の3-Dプリンティングは、ステップ2010で説明されているように、例えば、第1の自動コンストラクタが、構成要素の一部を、構成要素、例えばCOTS構成要素などのプリントされない第2の部分に3-Dプリントするということを意味してよい。代替として、第1の自動コンストラクタは、やはり3-Dプリンタを含んでいる別の自動コンストラクタと協力して作業してよく、各自動コンストラクタは、構成要素の3-Dプリントされる部分を提供してよい。別の例として、第1の自動コンストラクタは、構成要素の一部を、全体的または部分的に前に3-Dプリントされた構成要素の第2の部分に3-Dプリントしてよい。
【0074】
実施形態例では、ステップ2014に示されているように、第1の自動プリンタが、構成要素を別の構造物に相互接続するように構成された相互接続をプリントしてよい。
【0075】
その結果、ステップ2020で、構成要素が、自動化された方法で、3-Dプリンタを含んでいる第1の自動コンストラクタから第2の自動コンストラクタに移動されてよい。実施形態例では、第1の自動コンストラクタは、1つまたは複数のアームおよび/またはアームの先端部(distal end)にあるエフェクタを使用して、3-Dプリントされた構成要素(またはその一部)を第2の自動コンストラクタに移動し、第2の自動コンストラクタの機能は、取り付けのため構成要素を近くの位置に移動すること、および/または第1の自動コンストラクタを解放して他のプリント作業を実行できるようにすることである。別の実施形態例では、第2の自動コンストラクタは、ロボットのアームおよび/またはエフェクタを使用して3-Dプリントされた構成要素を握るか、またはその他の方法でかみ合わせ、構成要素を第1の自動コンストラクタから離す。他の実施形態では、2つ以上の自動コンストラクタが、この作業を実施するために使用されてよい。これらの工程の間に、ステップ2025に示されているように、第1または第2の自動コンストラクタのうちの1つまたは複数が、3-Dプリントされた構成要素を使用して必要な操作を実行するために必要なロボットのアームおよび/またはエフェクタを取得するために、ロボットのアームおよび/またはエフェクタを交換してよい。
【0076】
その結果、ステップ2030に示されているように、第2の自動コンストラクタは(単独で、または他の機械、ロボット、または自動コンストラクタに支援されて)、輸送構造物の組み立て中に、自動化された方法で構成要素を適切な位置に取り付ける。例えば、第2の自動コンストラクタは、それの能力を使用して、構成要素を、取り付けるために輸送構造物内に配置する。
【0077】
前述した部品製造工程および下記でさらに説明される工程は、1つまたは複数のロボット組み立てステーションにおいて明らかに実行されてよい。例えば、分解は、第1のロボット組み立てステーション(例えば、
図1のロボット組み立てステーション1010a)において発生してよく、インゴットへの分解された部品の溶解は、第2のロボット組み立てステーションにおいて発生してよく、金属粉末へのインゴットのガス噴霧は、第3のロボット組み立てステーションにおいて発生してよく、3-Dプリンティングは、第4のロボット組み立てステーションにおいて発生してよい。代替として、1つの工程(例えば、3-Dプリンティング)が、2つ以上のロボット組み立てステーション(例えば、3つのステーション)において発生してよい。代替として、2つ以上の工程(例えば、分解および溶解)が、同じロボット組み立てステーションにおいて発生してよい。
【0078】
3-Dプリントされた部品は、3-Dプリントされる部品が3-Dプリンティング・ロボットなどの1つまたは複数の3-Dプリンタによってプリントされている間に、同時に、組み立てライン上などの所定の場所で機械加工されてよい。代替として、3-Dプリントされた部品は、プリント後処理システムにおけるその後の自動段階で、プリント後処理が実行されてよい。プリント後処理システムは、3-Dプリントされた部品の自動化された反復可能な表面処理を実行するように構成され得る1つまたは複数のコンピュータ数値制御(CNC:computer numeric control)機械を備えてよい。例えば、CNC機械は、自動化された反復可能な表面処理を可能にするショットピーニング(shot-peening)用のヘッドを備えてよい。ショットピーニングは、発射された金属の流れを衝突させることによって、金属または複合材料を成形する工程である。3-Dプリントされた部品に対して、さらに塗装、切断、および/または曲げが行われてよい。例えば、システムは、塗装するための塗装機械、曲げるための曲げ機械、および切断するまたは切り取るための切断機械(例えば、レーザー、ウォータージェット)を備えてよい。プリント後処理システムは、処理中に部品を固定するために、処理されている3-Dプリントされた部品の基板またはその他の追加要素(例えば、取り付け位置)を保持して動かないようにするように構成されてよい。
【0079】
場合によっては、独立した機械加工ステップ(例えば、表面処理)の適用を受ける前に、3-Dプリントされた部品の粉末またはその他の不要な材料(例えば、粒子)が除去され得る。例えば、3-Dプリントされた部品は、粉末またはその他の不要な粒子を部品から除去するために、(例えば、別のロボット組み立てステーション内の)自動洗浄ステーションに移動され得る。自動洗浄ステーションは、振動システム、真空システム、振動システムと真空システムの組み合わせ、または材料をプリントされた部品から除去するためのその他の技術を備えてよい。プリント後処理システムは、3-Dプリントされた部品の熱処理用のオーブンをさらに備えてよい。場合によっては、加熱および洗浄は、プリントされた部品に対して同時に実行され得る。制御システム(例えば、主制御システム、ERPシステムなど)によって、プリントされた部品の必要な処理および仕上げ工程に関する情報を含んでいる、熱処理工程の熱プロファイルが決定され、制御されてよい。再び
図2を参照すると、プリントされた部品が加工された後に、プリントされた部品は、シャーシ構築ライン2300などの、さまざまなサブシステム構築ライン2400に移動され得る。
【0080】
部品製造用の3-Dプリンティング技術は、多くの方法で柔軟性を実現することができる。例えば、必要なときに、要求に応じて、異なる部品がプリントされてよい。これによって、有利に、部品を取得する(例えば、別のソースから出荷して配達する)時間を削減し、在庫スペース(例えば、後で使用される可能性のある部品の保管)を減らし、プリント中の正確さおよび精度の監視を増やすことができる。さらに、部品のカスタマイズにおける大きな自由度が存在し、この自由度は、3-Dプリンタが何をプリントできるかという増え続ける限界のみによって制限される。これによって、有利に、施設におけるインフラストラクチャの変更またはその他の長期間の変更を必要とせずに、さまざまな車両モデルの組み立てまたは分解に対応することができる。さらに、3-Dプリンタは、ロボット・デバイス上で支えられてよく、必要に応じて、異なる組み立てステーションへ移動可能であってよい。1つの実施形態例では、制御システム1500は、ロボット・デバイスに提供される、別の組み立てステーションまたは他の位置に自律的に移動するという命令を生成してよい。他の実施形態例では、3-Dプリンタは、1つまたは複数の追加の自動コンストラクタまたは移動補給車によって、あるいは1つまたは複数の追加の自動コンストラクタまたは移動補給車に支援されて、別の組み立てステーションに移動されてよい。
【0081】
別の態様では、車両製造施設2000は、民生(COTS)部品を使用してよい。COTS部品は、組み立てに使用するための標準COTS部品、および複雑な構造(例えば、シャーシ)の構築に使用するための構造COTS部品を含んでよい。COTS部品は、COTS製造サブシステム2800などにおいて、現場で製造されてよく、または現場外ソースから取得されてもよい。例えば、何らかの形態のカスタマイズを必要とするCOTS部品は、現場で製造されてよい。任意選択的に、既存のCOTS部品がカスタマイズされるか、あるいは3-Dプリンティング技術または標準的な機械加工技術を使用して変更されてよい。場合によっては、COTS部品は、標準COTS部品と構造COTS部品の両方であることができる。構造COTS部品は、受け取られたときに使用され得る。代替または追加として、構造COTS部品は、複雑な構造に使用するために(例えば、工作機械を使用して)適応されるか、またはカスタマイズされ得る。構造COTS部品は、各製造システムの大量生産(例えば、バルク)に基づいて低コストで取得され得る。特定の例外では、構造COTS部品は、工作機械をあまり、または全く必要としないことができ、工作機械の償却が少ないか、またはなしで、組み立て品または複雑な構造に組み込まれ得る。例えば、構造COTS部品は、炭素繊維、ガラス繊維、およびアルミニウムなどの材料を含んでいるハニカムまたはその他の構造のパネルを含んでよく、任意選択的に、発泡体コアを含んでもよい。構造COTS部品は、炭素繊維、アルミニウム、チタン、ガラス繊維、プラスチック、鋼鉄、およびこれらまたはその他材料の任意の組み合わせなどの材料を含むことができる、任意の断面を有することができるチューブを含んでもよい。構造COTS部品は、突き出しを含んでもよい。突き出しは、断面の変更または修正などのための小規模の工作機械を必要とすることがある。突き出しの金型が、その後の輸送構造物の製造のために保存され得る。場合によっては、作成されたか、または受け取られたすべての工具および治具のカタログを、部品製造システム・データベースに格納することができ、部品製造システム・データベースは、一部の実施形態では、データベース1510(
図1B)に含まれてよい。車両最適化システム(例えば、ERPシステム、制御システム)は、車両製造工程を調整して最適化するために、部品製造システム・データベースにアクセスすることができてよい。例えば、車両最適化システムは、冗長な購入または既存の工具(例えば、突き出しの金型)の製造を防いでよい。
【0082】
COTS部品は、任意選択的に、COTS部品および受け取りエリア2209で受け取られてよい。COTS部品が、エリア2200でシステムによって受け取られるか、または代替として、現場で(例えば、COTS製造エリア2800で)大量に製造された後に、それらのCOTS部品が、曲げエリア2210および/または切断エリア2220に移動され得る。COTS部品は、任意の順序で曲げるか、切断することができ、例えば、望ましい部品設計にとって効率的および/または実現可能である。例えば、COTS部品は、最初に曲げエリアに移動され、次に切断エリアに移動され得る。代替として、COTS部品は、最初に切断エリアに移動され、次に曲げエリアに移動され得る。代替として、COTS部品は、最初に切断エリアに移動され、次に曲げエリアに移動され、その後再び、切断エリアに移動され得る。場合によっては、切断エリアおよび曲げエリアは、それぞれロボット組み立てステーションを含むことができる。曲げエリアは、COTS部品を望ましい形状に曲げるように構成された自動曲げ機械を含んでよい。曲げは、複数の軸上で実行されてよい。切断エリアは、COTS部品を切り取るように構成されたレーザーおよびウォータージェット・システムを含んでよい。COTS部品は、3次元で切り取られ得る。端部以外の位置を含む、COTS部品の任意の位置が切り取られ得る。例えば、切断エリアで、一方の端に必要なフィレットを備える突き出しが、正しい長さに短縮されてよく、その中央部の断面の一部が、特定の設計においてせん断負荷がそれほど大きくない位置で、間隔を空けるため、および軽量化のために縮小されてよい。場合によっては、切り取りおよび/または曲げは、例えば車両の位置で曲げまたは切断を実行する必要がある場合に、組み立てライン上で実行されてよい。
【0083】
構造COTS部品に加えて、施設2000は、最終製品の組み立ての一部として使用され得る標準COTS部品を使用してもよい。標準COTS部品の例としては、変速装置、ステアリング・ラック、およびタイヤが挙げられる。構造COTS部品は、組み立てにおいて受け取られたときに使用され得る。例えば、タイヤなどの標準COTS部品は、購入され、変更されずに車両の車輪に直接取り付けられてよい。代替または追加として、標準COTS部品は、組み込まれる前に、適応されるか、または変更され得る。例えば、自動車変速装置の主要な一次製造業者(tier 1 manufacturer)によってCOTS部品および受け取りエリア2209に提供される変速装置の標準COTS部品を、レーザー切断エリア2220に移動することができ、レーザー切断エリア2220で、既存の取り付け位置が切断され、
図21、次に、部品製造エリア2130に移動され、部品製造エリア2130で、3-Dプリンティングが有効化されたロボットによって新しい取り付け位置がプリントされる。代替として、3-Dプリンティングが有効化されたロボット(例えば、3-Dプリンタを支えるか、またはその他の方法で3-Dプリンティング機能を有している自動コンストラクタ)は、組み立てライン上で新しい取り付け位置にプリントしてよい。一部の輸送構造物では、変速装置が、圧力を受ける部材であることがあるため、そのような変速装置が、標準COTS部品と構造COTS部品の両方であると見なされ得るということに注意することがある。場合によっては、有利に、工作機械のコストを抑えてタイヤの高速な製造を可能にするために、部品製造エリア2130またはCOTS製造エリア2800などにおいて、タイヤの工具がプリントされてよい。
【0084】
COTS部品が加工された後に(例えば、曲げ、切断、プリントなど)、それらのCOTS部品が、3-Dプリントされた部品と共に、シャーシ構築ライン2300を含むさまざまなサブシステム構築ライン2400(例えば、サスペンション、動力伝達装置、シャーシ、内装など)に移動され得る。例えば、シャーシ構築ラインは、乾燥状態での構築のための第1のステーション2310、接着のための第2のステーション2320、および構成要素の構築のための第3のステーション2330を含む、3つのロボット組み立てステーションを備えてよい。シャーシ構築ラインは、検査(例えば、走査)、接着剤注入、ボルト締め、構成要素の配置または設置、3-Dプリンティング、(例えば、カメラを介した)撮像、および(例えば、コンベヤーを介した)部品の移動などの機能を実行してよい。その他のサブシステム2400の各々は、1つまたは複数のロボット組み立てステーションを備えてよい。全体的組み立て2500の間に、サブシステムの各々において最終製品(例えば、車両のサスペンション、動力伝達装置、シャーシ、航空機胴体など)が組み立てられてよい。
【0085】
部品製造システムは、3-Dプリントされた構造部品、標準COTS部品、および構造COTS部品以外の、追加の独立した入力をさらに含んでよい。例えば、車体製造エリア2700で、システムが外部のカスタム車体パネルおよびその他の形成されたカスタム部材を製造してよい。車体パネルは、アルミニウム、炭素繊維、繊維強化プラスチック、またはプラスチックなどの材料を含んでよい。施設2000の現場での車体パネルおよびその他の形成されたカスタム部材の製造は、従来の鋼鉄の車体に使用される高価な工作機械およびスタンピングの資本設備を必要としないため、有利に、工作機械のコストを低減することができる。
【0086】
プラスチック、炭素、および/またはアルミニウムの車体の使用は、色の塗装ではなく、車体の包装を可能にし、塗装によって引き起こされる可能性のある施設2000の環境汚染を有利に低減することができる。車体パネルの包装は、車体パネル製造エリアで最後に実行され得る。
【0087】
車体製造エリア2700は、その他の形成されたカスタム車体部品を製造してもよい。例えば、車体製造エリアは、質量を低減するために炭素繊維から成り、車両の車体外部に一致するように、または車両の車体外部とインターフェイスをとるように形成された、薄型のカスタム・ルーフ・レール(low profile custom roof rail)を製造してよい。形成されたカスタム車体部品は、従来のレイアップ工程またはオートクレーブ(autoclave)工程を介して製造されてよい。代替として、形成されたカスタム車体部品は、3-Dプリントされた工具を使用して作成されてよく、資本支出費(capital expenditure costs)を有利に低減することができる。部品の作成に使用される工具に関連するコストは、大量の車両にわたる償却を必要としないことがある。例えば、低コストの3-Dプリントされた工具は、その工具を使用して作成された対応する部品(例えば、カスタム・ルーフ・レール)が、将来他の車両を施設2000で製造するために使用される場合に、または他の製品に役立つことが期待される場合に、再利用されてよい。代替として、システム(例えば、車両最適化システム、ERPシステム、制御システム)が、その工具が再利用される可能性が低いということを決定した場合、その工具は、エリア2100での分解および再生利用エリア2110での再生利用などを介して、再生利用され得る。
【0088】
3-Dプリントされた部品、標準COTS部品および構造COTS部品、車体部品、その他の工具、ならびに/または材料などのすべての製造の入力が、組み立てライン上の輸送システムを介して適切な位置に届けられた後に、車両の組み立てが開始してよい。組み立てラインは、コンベヤー・ベルト、構台型の配置、またはその他の形態を含んでよく、部品を、ラインの上方または下方へ、位置間で輸送してよく、各位置で工程が実行される。代替として組み立てラインは、固定作業エリアを含んでよく、その場合、すべての工程が実質的に同じ位置で実行される。例えば、前述したように、輸送システムは、部品を作業エリアに輸送するためのロボットまたは肉体労働を含んでよく、例えば、ロボットが作業エリアに対して相対的に移動できるようにすることによって、異なる工程が実行されてよい。組み立てラインは、全体的組み立て2500および車体の組み立て2600、2650が完了した後に、終了(2900)してよい。以下では、組み立てラインでの組み立ての方法をさらに詳細に説明する。
図2の部品製造システムに関してさまざまなシステムおよび工程(例えば、分解、溶解、粉末製造、レーザーおよび水による切断、CNCによる曲げ、洗浄ステーション、オーブンなど)が説明されたが、当業者は、航空機、ボート、オートバイ、スノーモービル、大量輸送の輸送構造物などの、さまざまな種類の輸送構造物の組み立て施設が、車両製造施設に関して前述したエリアとして、追加の、または異なる、エリア、システム、およびサブシステムを含んでよいということを認識してよい。さらに、車両製造施設が前述したさまざまなシステムおよび工程のすべてを含む必要がないということ、およびさまざまなシステムおよび工程が
図2に示されているように構成される必要がないということが、理解されるであろう。代替または追加として、車両製造施設は、説明されたさまざまなシステムおよび工程の変形を実装してよい。例えば、施設は、3-Dプリントされた部品を利用せずに、COTS部品のみを利用する、またはその逆など、工程のサンプルのみを含んでよい。例えば、前述したように、COTS部品が、曲げられる前に切り取られてよく、または切り取られる前に曲げられてよい。例えば、前述したように、3-Dプリントされる部品は、組み立てライン上でプリントされてよく、COTS部品上でプリントされてよい。
【0089】
図3は、部品製造システム3000の代替の例示的な構成を示している。前述したように、多くの種類の輸送構造物の組み立てが企図されてよいが、本開示の概念を不必要に曖昧にするのを防ぐために、
図3の例は、車両の部品製造システム3000を対象にする。
図3で、部品製造システムまたは施設3000は、車両サブシステム・エリア(例えば、
図2のサブシステム2400)によってセグメント化され得る。施設3000は、1つまたは複数の部品製造セグメントを含んでよい。例えば、施設は、3-Dプリントされた部品製造セグメント3100およびCOTS部品製造セグメント3200を含んでよい。
図3はさらに、組み立てライン内の複数のサブシステム3600を示しており、3-Dプリントされた部品とCOTS部品の両方に共通するさまざまな作業が実行されてよい。
【0090】
製造の柔軟性および効率を向上させるよう意図された実施形態例では、
図3の3-Dプリントされた部品製造セグメント3100およびCOTS部品製造セグメント3200が、1つまたは複数の種類の車両の組み立てを容易にするために、互いに連携して動作してよい。この連携は、少なくとも一部において、
図1Bを参照して説明された制御システム1500およびデータベース1510に加えて、ネットワーク1515(
図1B)を介して制御システム1500と通信してよい自動コンストラクタ1520a~xおよびロボット・デバイスを用いて実現されてよい。これらの自動コンストラクタおよびロボット・デバイスは、1つまたは複数のステーションまたは組み立てステーション間で自律的に移動してよく、かつ/または要求、可用性、およびその他の要因に基づいて、制御システム1510の指示でさまざまな作業を(リアルタイムに、またはその他の方法で)実行してよい。
【0091】
3-Dプリントされた部品製造セグメント3100では、再生利用される古い車両または古い車両部品が分解されて(3010)、再生利用可能な材料3110および使用不可能な材料3205を製造することができる。使用不可能な材料は、システムから廃棄され得る。再生利用可能な材料は、材料を溶鉱炉に移動することなどによって、インゴットに変換されてよい。分解された古い車両および古い車両部品以外のソースを含む任意のソースからの金属から、インゴットが製造され得る。粉末製造塔でのガス噴霧などによって、インゴットから粉末が製造され得る(3120)。粉末は、1つまたは複数の3-Dプリンタ3130に供給されてよい。3-Dプリントされた部品は、表面処理、洗浄、および/または熱処理などの工程を含む、プリント後処理3140を通過してよい。3-Dプリントされた部品3400は、第1の部品ハブの位置3101に貯蔵され、格納されてよい(3150)。第1の部品ハブの位置3101は、車両部品を望ましい組み立てラインの位置に移動できる、自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットをさらに備えてよい。例えば、3-Dプリントされた部品は、1つまたは複数の自動コンストラクタを介して、第1の部品ハブの位置3101から組み立てライン内のさまざまな位置に送り出され得る。場合によっては、サスペンション・サブシステムを構築するために必要な部品が、サスペンション部品製造エリア3160内で3-Dプリントされてよい。3-Dプリントされたサスペンション部品は、組み立てライン内のサスペンション・サブシステムの位置3070に直接移動されてよい。代替として、3-Dプリントされたサスペンション部品は、他の3-Dプリントされた部品と共に、第1の部品ハブの位置3101に移動されてよく、その後、それらの部品が、組み立てライン内のサスペンション・サブシステムの位置3070に送り出され得る。代替として、サスペンション部品がCOTS製品として取得されてよい。
【0092】
COTS部品製造セグメント3200で、現場製造から、または現場外ソースからCOTS部品が受け取られた(3210)後に、COTS部品が、レーザーおよびウォータージェットなどによって、CNCによる曲げ3220および/または切断3230の適用を受けてよい。(例えば、曲げおよび切断によって)カスタマイズされたCOTS部品3500は、第2の部品ハブの位置3300に貯蔵され、格納されてよい(3240)。第2の部品ハブの位置3300は、部品を望ましい組み立てラインの位置に移動できる、自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットを備えてもよい。第1の部品ハブの位置での1つまたは複数のロボットおよび第2の部品ハブの位置での1つまたは複数のロボットは、機能的に同等であることができる。例えば、カスタマイズされたCOTS部品は、1つまたは複数の自動コンストラクタを介して、第2の部品ハブの位置から組み立てライン内のさまざまな位置に送り出され得る。
【0093】
場合によっては、動力伝達装置サブシステムを構築するために必要な部品が、動力伝達装置製造エリア3250内で製造されてよい。代替として、動力伝達装置サブシステムを構築するために必要な部品が、COTS部品として取得されてよい。動力伝達装置部品は、組み立てライン内の動力伝達装置サブシステムの位置3060に直接、または代替として、第1の部品ハブまたは第2の部品ハブを介して、移動されてよい。場合によっては、内装サブシステムの部品が、内装製造エリア3260内で製造され得る。代替として、内装部品がCOTS部品として取得されてよい。内装部品は、組み立てライン内の内装サブシステムの位置3080に直接、または代替として、第1の部品ハブまたは第2の部品ハブを介して、移動されてよい。場合によっては、車体パネルおよびガラスなどの車体包装部品が、車体包装部品製造エリア3270で製造されてよい。代替として、車体包装部品がCOTS部品として取得されてよい。車体包装部品は、組み立てライン内のガラス車体サブシステムの位置3090に直接、または代替として、第1の部品ハブの位置3101または第2の部品ハブの位置3300を介して、移動されてよい。
【0094】
部品の輸送先になることができる一部の他の組み立てラインの位置は、乾式取り付けの位置3040ならびに接着および硬化の位置3050を含む。
【0095】
異なる位置で異なるロボット組み立てステーションが、車両の組み立ておよび製造のさまざまな段階に使用されてよい。異なるステーションが、論理的進行に従う方法で、配置されてよい。例えば、前の段階を実行しているロボット組み立てステーションが、その後の段階を実行しているロボット組み立てステーションに隣接して配置されてよい。場合によっては、車両または車両部品は、ルートまたは経路に従うことができ、さまざまなステーションがルートまたは経路に沿って、または隣接して配置されてよい。例えば、ロボット組み立てステーションは、部品が実質的に直線または円形の経路に沿って移動するように、配置されてよい。場合によっては、各組み立てラインの位置は、ロボット組み立てステーションを備えてよい。組み立てライン内のさまざまな位置全体を通じて、1つまたは複数のロボット・アーム交換ステーション3020および1つまたは複数の移動式ロボット・アーム・トレイ3030が利用可能であってよい。場合によっては、ロボット・アーム交換ステーションは固定されていてよく、移動式ロボット・アーム・トレイは、自律的に、または自動コンストラクタなどの移動可能な別のロボットに支援されて(例えば、押されて)、移動することができてよい。以下では、ロボット・アーム交換ステーション3020および移動式ロボット・アーム・トレイ3030についてさらに詳細に説明する。
【0096】
図4は、追加の組み立て構成の例を示している。任意選択的に、追加の組み立て構成が少量生産の組み立てに使用されてよい。少量生産の組み立て構成4000は、7つ程度の少ないステーション4001~4007内の車両構造物の組み立てを含む、輸送構造物4100の完全な組み立てを可能にする。代替として、特定の車両の構成に応じて、7つ以下のステーションにおいて組み立てが完成され得る。前述した数より多いステーションにおいて、組み立てが完成され得る。場合によっては、各ステーションは、ロボット組み立てステーションに対応することができ、各ロボット組み立てステーションは、各ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の車両製造工程のセットを実行する1つまたは複数の自動コンストラクタ4120を備える。例えば、第1のステーションは、節組み立て4001に関する車両製造工程のセットを含むことができ、第2のステーションは、平板組み立て4002に関する車両製造工程のセットを含むことができ、第3のステーションは、接着剤硬化4003に関する車両製造工程のセットを含むことができ、第4のステーションは、エンジン・サスペンション構成要素4004の組み立てに関する車両製造工程のセットを含むことができ、第5のステーションは、内装組み立て4005に関する車両製造工程のセットを含むことができ、第6のステーションは、ドアおよびウィンドウ切り取り4006に関する車両製造工程のセットを含むことができ、第7のステーションは、車体パネル取り付けおよび包装4007に関する車両製造工程のセットを含むことができる。他の例では、製造の各段階はロボット組み立てステーションに対応することができ、各段階は1つまたは複数のサブステーションを含んでいる。例えば、第1のロボット組み立てステーションは、第1の段階において、節組み立て4001、平板組み立て4002、および接着剤硬化4003を含んでいるサブステーションを備えてよい。第2のロボット組み立てステーションは、第2の段階において、エンジン・サスペンション構成要素4004の組み立てなどのサブステーションを備えてよい。第3のロボット組み立てステーションは、第3の段階において、内装組み立て4005ならびにドアおよびウィンドウ切り取り4006を含んでいるサブステーションを備えてよい。第4の最後の組み立てステーションは、第4の段階において、車体パネル取り付けおよび包装4007などのサブステーションを備えてよい。
【0097】
各ステーションおよび/またはロボット組み立てステーションは、高レベルの動作4010、中レベルの動作4020、および低レベルの動作4030を含む、3つのレベルの動作を含んでよい。場合によっては、動作のレベルは、動作の実行を任された1つまたは複数の自動コンストラクタの関与の程度によって決定されてよい。代替または追加として、動作のレベルは、難しさの程度によって決定されてよい。代替または追加として、動作のレベルは、組み立てられている車両4100への介入(例えば、接触、操作、制御など)の程度によって決定されてよい。代替または追加として、動作のレベルは、自律的組み立てプラットフォーム4105への近接度によって決定されてよい。例えば、コンベヤー・ベルト4110を介した移動補給車4130から自律的組み立てプラットフォーム4105への部品および工具の輸送は、自動コンストラクタが、2つの位置間での部品または工具の輸送などの単純な作業を実行しさえすればよく、この作業が、自律的組み立てプラットフォームからの相対的に長い距離(例えば、コンベヤー・ベルトの末端)で実行されるため、低レベルの動作であることができる。例えば、コンベヤー・ベルト上の中間で部品または工具に対して実行される動作は、中レベルの動作であることができる。例えば、自律的組み立てプラットフォームで実行される動作は、高レベルの動作であることができる。
【0098】
必要な場合に、要求に応じて、異なる車両部品または車両工具が運ばれてよい。例えば、ロボット組み立てステーション間で、またはロボット組み立てステーション内で、あるいは別の位置から特定のロボット組み立てステーションへ、異なる車両部品および/または工具が輸送されてよい。移動補給車4130およびコンベヤー・ベルト4110は、ロボット組み立てステーションにおいて必要な部品および/または工具を、便利に、かつ効率的に、ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の自動コンストラクタが利用できるようにしてよい。例えば、移動補給車は、部品を自動コンストラクタに直接提供するために、自動コンストラクタに接近してよい。代替として、部品を移動補給車から直接受け取るために、自動コンストラクタが移動補給車に接近してよい。移動補給車は、中間のコンベヤー・ベルトを介して部品を提供してもよい。そのようなコンベヤー・ベルトは、移動補給車に支援されずに、部品をある位置から別の位置に移動してよい。コンベヤー・ベルトは、部品を取得するための自動コンストラクタの移動の必要性を最小限に抑えるか、または低減してよい。自律的組み立てプラットフォーム4105は、1つまたは複数の車両製造工程を支援することができる任意のプラットフォームであってよい。例えば、プラットフォーム4105は、プラットフォーム上で組み立てられている車両またはその他の輸送構造物のサイズおよび重量を支えるように構成され得る。プラットフォーム4105は、任意の形状(例えば、実質的に円形、角ばった形、多角形、自由な形状など)および任意の適切なエリアを含むことができる。場合によっては、自律的組み立てプラットフォーム4105は、施設4000の地上高度の地面(例えば、床)のエリアを単に含んでよい。他の例では、自律的組み立てプラットフォーム4105は、地上高度の上に持ち上げられてよい。プラットフォーム4105は、上または下に移動することができてよい。プラットフォーム4105は、横方向に移動すること、または回転することができてもできなくてもよい。自律的組み立てプラットフォーム4105は、地面と実質的に平行であってよい。自律的組み立てプラットフォーム4105は、車両の異なる部品にアクセスするために、1つまたは複数の自動コンストラクタ自体が不便な経路を横切って移動する(例えば、コンベヤー・ベルトの上、下を移動するか、またはコンベヤー・ベルトを通過する)必要なしに、プラットフォーム上の車両4100の異なる部品への1つまたは複数の自動コンストラクタのアクセスを可能にするように、時計回りまたは反時計回りに回転するように構成されてよい。自動コンストラクタは、地面を横断してプラットフォーム4105の周囲を移動することができてよい。
【0099】
組み立てラインは、1つまたは複数の品質管理センサー4140などを介して監視されてよい。1つまたは複数の品質管理センサー4140は、施設4000全体を通じて、ある程度の移動(例えば、回転、パン、傾斜など)の自由を伴って、または移動の自由なしで、ある位置で固定されてよい。代替または追加として、1つまたは複数の品質管理センサー4140が、自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットに含まれてよい。品質管理センサー4140は、組み立てられた製品を望ましい設計における要件と比較することなどによって、実質的にリアルタイムに、品質管理およびフィードバックを1つまたは複数の輸送構造物製造工程に提供してよい。品質管理センサー4140は、制御システム1500(
図1B)に通信によって結合され、センシング・データを制御システムに送信してよく、制御システムは、センシング・データに応答して、1つまたは複数のロボットが実行している1つまたは複数の動作を続行、停止、または変更するための命令を、システムの自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットに提供してよい。センサー4140は、カメラ、赤外線センサー、その他の視覚的検出器(例えば、スキャナーなど)、音声センサー(例えば、マイクロホン)、熱センサー、温度センサー、運動検出器、および/またはその他のセンサーを含むことができる。センサーは、組み立てステーション内の部品、ロボット、工具、または任意の個人の視覚的特性および非視覚的特性を検出することができる。センサーは、1つまたは複数のプロセッサに支援されて、1つまたは複数の画像を捕捉し、ビデオを捕捉し、部品の位置、状態、および向きを追跡し、かつ/または誤りを見つけてよい。センサーから取得されたデータは、メモリに格納され、かつ/または1つまたは複数のプロセッサに支援されて解析されてよい。加えて、センサーおよび1つまたは複数のプロセッサによって収集されたデータは、リモート・ユーザに伝達されてよい。
【0100】
図5は、付加製造組み立てシステムの概略図を示している。付加製造組み立てシステムは、コネクタ(例えば、節)およびコネクタを介して互いに接続できる相互接続材料を含む節構造を備えてよい。相互接続材料は、ハニカム・パネル、チューブ、および突き出しなどの、さまざまな標準化された構造材料を含んでよい。コネクタは、
図2の部品製造エリア2130などにおいて、3-Dプリントされてよい。代替として、コネクタは、COTS部品として取得され、実装に応じて、変更されるか、またはそのまま使用されてよい。相互接続構造材料は、
図2の部品製造エリア2130などにおいて、3-Dプリントされてよい。代替として、相互接続構造材料がCOTS部品として取得されてよい。場合によっては、コネクタおよび/または相互接続材料は、コネクタおよび/または相互接続材料の一部がCOTS部品に3-Dプリントされるなどの場合に、COTS部品を部分的に含み、3-Dプリントされた材料を部分的に含んでよい。代替として、プリントされない構造材料が施設内で製造されてよい。
【0101】
コネクタを介して相互接続材料を別の相互接続材料と共に組み立てるために、締め具(例えば、ねじ)および接着(例えば、接着剤)の使用を含むさまざまな接続技術が使用され得る。例えば、第1のチューブおよび第2のチューブが、締め具を使用して節にそれぞれ締め付けられてよく、その結果、節によって結合される。別の例では、第1のチューブおよび第2のチューブが、第1のチューブの結合部と節の間および第2のチューブの結合部と節の間に接着剤を注入して節にそれぞれ締め付けられてよく、その結果、節によって結合される。接続方法は、相互接続材料を一時的または永続的に節に接続してよい。3-Dプリンティングを利用することによって、使用可能な接続方法に大幅な柔軟性を追加できる。例えば、締め具、締め具を取り付けるための取り付け機能(例えば、特定の直径の穴)、および/または接着剤の導入のための流路をカスタム設計し、3-Dプリントすることができる。場合によっては、締め具、締め具を取り付けるための機能、および/または接着剤の導入のための流路を、コネクタまたは相互接続材料に3-Dプリントすることができる。柔軟な取り付け機能は、ロボット組み立てステーションが部品を素早く適応的に取り付けることができるようにする、ねじ、摩擦、鍵に基づく連結などを含むことができる。
【0102】
実施形態例では、付加製造システム5100は、ロボット組み立てシステムを実装してよい。ロボット組み立てシステムは、複雑な輸送構造物の製造速度を高めることができる。(
図1Aおよび1Bなどに関して)前述したように、輸送構造物製造施設は、複数のロボット組み立てステーション、ならびに各組み立てステーションに関連付けられた自動コンストラクタおよび移動補給車などの、複数のロボットを備えてよい。複数のロボットは、ロボット組み立てステーションの配置内で、組み立てステーションを通過する輸送構造物を共同で組み立て、その輸送構造物の品質管理を検証するように構成され得る。ロボット組み立てステーションは、3-Dプリントされた部品、COTS部品、および/またはプリントされずに施設で製造された部品を含む、車両またはその他の輸送構造物の部品の迅速な組み立てを可能にするように構成された、さまざまな特定の機能および/またはセンサーを備えることができる。
【0103】
ロボット組み立てシステムは、多くの点で柔軟であってよい。例えば、ロボット組み立てステーションは、ロボット組み立てシステムまたはその構成要素(例えば、ロボット)の取り付けまたは再プログラミングの大幅な調整を必要とせずに、新しい構造物および/または異なる構造物を調整して組み立てることができるように構成され得る。例えば、ロボット組み立てステーションの指定された位置および/または指定されたエリアが、リアルタイムに変更されてよい。自動車などの車両の組み立てを含む一部の実施形態例では、既存のロボットが、異なる車両製造工程を実行するように指示され得るように、複数のロボットが、異なる車両製造工程をそれぞれ実行することができ、異なる車両製造工程を実行するために、ロボットを異なるロボットに置き換える必要がない。
【0104】
ロボット組み立てステーションは、設計に固有でなくてよい。前述したように、異なる車両モデルが、同時に、または異なる時間に、1つまたは複数のロボット組み立てステーションを共有してよい。ロボット組み立てステーションは、例えば、車両のさまざまな異なるブランド、車両のさまざまな異なるモデル、車両のさまざまな異なるカテゴリ(例えば、トラック、トレーラー、バス、四輪駆動車など)、および/または輸送構造物のさまざまな異なるカテゴリ(例えば、ボート、航空機、オートバイなど)に使用される構造物を組み立ててよい。例えば、車両のさまざまな異なるブランド、モデル、および/またはカテゴリが、任意の順序でロボット組み立てステーションに提示されてよく、ロボット組み立てステーションは、ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の車両製造工程のセットの実行を継続してよい。同様に、ロボットは、設計に固有でなくてよい。同じロボットが、車両のさまざまな異なるブランド、モデル、および/またはカテゴリに対して、同じ車両製造工程(例えば、溶接)を実行してよい。場合によっては、異なるロボットが、さまざまな異なるブランド、モデル、および/またはカテゴリに対して、同じ工具を共用してよい。
【0105】
ロボット組み立てシステムは、付加製造工程を含んでよい。付加製造工程は、プリンティング機械(例えば、3-Dプリンティング・ロボット)および組み立て機械(例えば、さまざまな自動コンストラクタ)をロボット組み立てステーションに組み込むことなどによって、垂直的に統合されてよい。例えば少量または大量のプリントされない構造材料が、プラント内で製造されてもよい。例えば、1つまたは複数の自動コンストラクタ(例えば、炭素繊維織ロボット)によって、炭素繊維が特定の形状に織り込まれてよい。炭素繊維材料は、炭素繊維の個別のより糸の長さを変えることなどによって、望ましい3-D設計に成形されてよい。場合によっては、要求されたときに、プリントされない構造材料が製造されてよい。これによって、個別の部品の在庫を有利に減らすことができる。在庫は、プリントされない構造材料の要求に応じた製造のために、大量の原材料のストックを含んでよい。
【0106】
ロボット組み立てステーションでは、車両5010の部品を組み立てるために、複数のロボットが利用されてよい。例えば、移動支援車両などの一部のロボットは、輸送するために、3-Dプリントされた部品をプリンタから集め、炭素繊維チューブ、突き出し、および構造化されたパネルなどの標準COTS材料および構造COT材料を収集し、ロボットのアームをロボット・アーム交換センター5100から収集するように構成され得る。移動支援車両は、1つまたは複数の車両の構成要素を運ぶための移動支援車両5210および1つまたは複数のロボット・アームを運ぶための移動支援車両5200を含むことができる。例えば、移動支援車両5210は、締め具5140のトレイ、節5130のトレイ、および/またはCOTS突き出し5120のトレイを運んでよい。同じ移動支援車両が、2つ以上の種類の車両の構成要素を運んでよい。代替として、異なる移動支援車両が、異なる種類の車両の構成要素を運んでよい。場合によっては、移動支援車両は、1つまたは複数の種類の車両の構成要素または工具に固有であってよい。
【0107】
移動支援車両は、事前にプログラムされた命令および/または制御システム(
図1Bの制御システム1500または下記でさらに説明される
図6の制御システム6000など)からの命令などを介して、全体的または部分的に、自律的に移動してよい。場合によっては、移動支援車両は、制御システムが移動補給車の位置を追跡できるように、制御システムと通信する1つまたは複数のセンサー(例えば、カメラ、GPSなどの地理位置情報デバイスなど)を備えてよい。実施形態例では、制御システムは、追跡されている位置を使用して、命令を形成して送信してよい。移動補給車は、位置間を移動するために、転がること、回転すること、歩行すること、滑走すること、浮くこと、飛ぶこと、および/またはこれらの組み合わせを実行することを行ってよい。移動支援車両は、表面に沿って、かつ/または軌道に沿って、パラメータまたはパラメータのセット内で(例えば、横方向、垂直方向などに)自由に移動してよい。場合によっては、移動支援車両は、下にある表面(例えば、地面、ロープ、壁の側面、柱の側面など)に対して相対的に基部が移動するように、移動するよう構成されてよい。例えば、移動支援車両は、動く構成要素および動かない構成要素を含んでよい。車輪、ベルト、肢、翼、またはその他の部品(例えば、歯など)などの動く構成要素が、動かない構成要素に対して相対的に動き、動かない構成要素を下にある表面に対して相対的に動かしてよい。
【0108】
実施形態例では、自動コンストラクタなどの一部のロボットが、部品を取り付け、部品を組み立て、締め具および接着剤を車両部品に適用するように構成され得る。自動コンストラクタは、移動(例えば、回転、存在する場合は肢の回転など)の自由が制限されて、ある位置に固定されてよい。代替または追加として、自動コンストラクタは、前述したように、事前にプログラムされた命令および/または制御システム(
図1Bの制御システム1500または
図6の制御システム6000など)からの命令などを介して、自律的または半自律的に移動してよい。自動コンストラクタは、下にある表面の上を自由に横切ってよい。自動コンストラクタは、障害物または妨害物のない任意の横方向に、自由に移動してよい。自動コンストラクタは、コンストラクタの移動を制御するためのコマンドを生成できる、自動コンストラクタに内蔵された1つまたは複数のプロセッサを備えてよい。それらのコマンドは、自動コンストラクタに内蔵された1つまたは複数のセンサーによって収集されたデータに応答して、かつ/または基づいて、生成されてよい。
【0109】
実施形態例では、自動コンストラクタは、制御システムが自動コンストラクタの位置を追跡できるように、制御システムと通信する1つまたは複数のセンサー(例えば、カメラ、GPSなどの地理位置情報デバイス)を備えてよい。場合によっては、制御システムは、追跡されている位置を使用して、命令を形成して送信してよい。自動コンストラクタは、位置間を移動するために、転がること、回転すること、歩行すること、滑走すること、浮くこと、飛ぶこと、および/またはこれらの組み合わせを実行してよい。例えば、自動コンストラクタは、転がって自動コンストラクタを進ませることができる1つまたは複数の車輪を備えてよい。自動コンストラクタは、表面に沿って、かつ/または軌道に沿って、パラメータ内で(例えば、横方向、垂直方向などに)自由に移動してよい。場合によっては、自動コンストラクタは、下にある表面(例えば、地面)に対して相対的に基部が移動するように、移動するよう構成されてよい。例えば、自動コンストラクタは、少なくとも動く構成要素および動かない構成要素を備えてよい。車輪、ベルト、肢、翼、またはその他の部品(例えば、歯など)などの動く構成要素が、動かない構成要素に対して相対的に動き、動かない構成要素を下にある表面に対して相対的に動かしてよい。
【0110】
自動コンストラクタは、接着のための接着ロボット5330、治具を取り扱うための取り付けロボット5320、3-D部品をプリントするためまたは別の3-Dプリンタを支援するための3-Dプリンティング・ロボット5310、ボルト締めのためのボルト締めロボット5340、他のロボットのアームを交換するためのアーム交換ロボット5220、突き出しを作成するためおよび/または突き出しを取り付けるなどのための、突き出しを取り扱うための突き出しロボット5300、圧入ロボット(
図5には示されていない)、および溶接のための溶接ロボット(
図5には示されていない)などのロボットを含むことができる。3-Dプリンティング・ロボットは、3-Dプリンタを備えているロボットを含んでよい。3-Dプリンティング・ロボットは、他の自動コンストラクタと同様に、自律的または半自律的に移動してよい。移動式3-Dプリンティング・ロボットは、要求に応じて、組み立てラインまたはその他の作業エリア(例えば、プラットフォーム)に移動し、車両、車両部品、および/または車両の組み立て品に直接プリントしてよい。
【0111】
さまざまなその他のロボットが、切断(例えば、ウォータージェット、レーザー・カッターによる切断)、曲げ(例えば、CNC機械による曲げ)、およびフライス加工(例えば、インサートを受け取り、特定の形状への適合を可能にするためのパネルのフライス加工)などの機械的工程を実行できる。代替として、移動支援車両ロボットは、機械的工程を必要とする部品を他の機械に輸送してよい。
【0112】
自動コンストラクタは、1つまたは複数の工具に支援されて、または支援されずに、車両製造工程を実行するように構成されてよい。例えば、3-Dプリンティング・ロボットは、3-Dプリンタに支援されて3-Dプリンティング工程を実行するように構成されてよい。1つまたは複数のツール(例えば、3-Dプリンタ)は、自動コンストラクタの永続的な、または取り外し可能な一部であってよい。場合によっては、自動コンストラクタは、1つまたは複数のロボット・アーム5110を備えてよい。1つまたは複数のロボット・アームは、自動コンストラクタに永続的に取り付けられるか、または自動コンストラクタから取り外し可能であってよい。1つの例では、アームは、アームに添付することができる工具を含んでよく、アームは、必要に応じて工具を交換するために交換されてよい。別の例では、アームは、自動コンストラクタに添付されたままであってよいが、エンド・エフェクタなどの工具は、アームから交換されてよい。ロボット・アームは、さまざまな作業(例えば、シャーシの組み立て、バッテリーの組み立て、車体パネルの組み立て、塗装、人間の力仕事の支援、締め具の適用、接着剤の塗布、塗料の塗布、硬化のための構成要素の取り付けなど)を実行できる交換可能なエンド・エフェクタを備えてよい。場合によっては、エンド・エフェクタが交換可能であってよい。代替または追加として、エンド・エフェクタを備えているロボット・アームが交換可能であってよい。場合によっては、1つまたは複数の工具が、さまざまな固定された位置で使用可能にされてよい。例えば、交換可能なエンド・エフェクタを備えている1つまたは複数のアームが、さまざまな固定されたアーム交換エリア5100で使用可能にされてよく、ロボットが、アームを交換するためにアーム交換エリア5100を訪れてよい。代替として、交換可能なエンド・エフェクタを備えている1つまたは複数のアームなどの工具は、1つまたは複数のアームを他のロボットによってアクセスできるさまざまな位置に輸送するように構成された移動支援車両5200上で、使用可能にされてよい。場合によっては、1つまたは複数のアームを運ぶ移動支援車両は、アームを特定のロボットに届けてよい。使用可能なロボット・アームは、設計に固有でなくてよい。例えば、異なるロボットが異なる時点で同じアームを使用して、車両の異なるモデルおよび/またはカテゴリに対して車両製造工程を実行してよい。場合によっては、ロボット・アームは、任意の自動コンストラクタがそのロボット・アームを使用できるように、任意の自動コンストラクタと互換性があってよい。他の例では、ロボット・アームは、特定の種類の自動コンストラクタがそのロボット・アームを使用できるように、特定の種類の自動コンストラクタのみと互換性があってよい。
【0113】
1つの例では、ロボット組み立てステーションは、1つまたは複数のロボット・アームを備えている1つまたは複数の自動コンストラクタを使用することによって、さまざまな角度から節への複数のチューブの挿入を同時に調整し、ボルト締めされた二次的特徴を導入し、その後、3-Dプリントされた流路を介して接着剤を注入することができる。その後、取り付けロボットが、外部の治具を適用して、硬化中の適切な位置を与えることができる。
【0114】
図6は、組み立てシステム制御システム6000の概略図を示している。場合によっては、組み立てシステム制御システム6000および組み立てシステム制御システムの動作は、
図1Bの制御システム1500および
図1Bの制御システム1500の動作に対応してよい。制御システム6000は、1つまたは複数のプロセッサ、プロセッサによって実行されるソフトウェア命令を格納する1つまたは複数のメモリ・デバイス、およびデータなどの、既知の計算構成要素を備えてよい。1つまたは複数のプロセッサは、命令の特定のセットを実行できる単一のマイクロプロセッサもしくは複数のマイクロプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはデジタル信号プロセッサ(DSP)、あるいはこれらの構成要素の何らかの組み合わせであることができる。コンピュータ可読命令は、フレキシブル・ディスク、ハード・ディスク、CD-ROM(コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ)、MO(光磁気)、DVD-ROM(デジタル多用途ディスク読み取り専用メモリ)、DVD RAM(デジタル多用途ディスク・ランダム・アクセス・メモリ)、または半導体メモリなどの、有形の非一時的コンピュータ可読媒体に格納され得る。一部の実施形態例では、制御システムは、例えば、モノのインターネット(IoT)にとって極めて重要であることのある、クラウド・ストレージ、任意の将来のストレージ技術を使用してよい。代替として、本明細書で開示された方法は、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、専用コンピュータ、または汎用コンピュータなどの、ハードウェア構成要素またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせにおいて実装され得る。
【0115】
ネットワーク6010は、さまざまな構成要素(例えば、1つまたは複数の自動コンストラクタ6200、1つまたは複数の移動補給車6300など)と制御システム6000の間の通信を接続および/または提供するように構成されてよい。例えば、ネットワークは、インターネット、イントラネット、エクストラネット、無線ネットワーク、有線ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、
図6のネットワーク・レイアウトの1つまたは複数の構成要素間の通信を提供する任意のその他の種類のネットワーク、またはこれらのネットワークの任意の組み合わせとして実装されてよい。一部の実施形態では、ネットワークは、セル・ネットワークおよび/またはページャ・ネットワーク、衛星、ライセンスされた無線、あるいはライセンスされた無線とライセンスされていない無線の組み合わせを使用して実装されてよい。ネットワークは、無線、有線(例えば、イーサネット)、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0116】
制御システム6000は、命令を格納する1つまたは複数のコンピュータとして実装されてよく、これらの命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、命令を生成して、組み立てシステム内の1つまたは複数の自動コンストラクタ6200、1つまたは複数の移動補給車6300、その他のロボット、および/または機械に送信することができる。制御システムは、データ要求および/または命令要求を、組み立てシステム内の1つまたは複数の自動コンストラクタ、移動補給車、その他のロボット、および/または機械からさらに受信できる。
図6は単一の制御システム6000を示しているが、一部の実施形態では、車両製造施設が1つまたは複数の制御システムを備えてよく、それらの各制御システムは、制御システム6000と実質的に並列に、かつ/またはネットワーク6010などを介して制御システム6000と連動して動作する。代替または追加として、制御システム6000は、施設内の異なる位置にわたって分散されてよい。例えば、車両製造施設は、主制御システムおよびERPシステムを備えてよく、ERPシステムは主制御システムの一部として組み込まれてよい。場合によっては、単一のコンピュータが1つまたは複数の制御システムを実装してよい。代替として、1つまたは複数の制御システムが別々のコンピュータ上に実装されてよい。特定の構成では、1つまたは複数の制御システムが、その他の制御システムによってアクセスできるメモリ(例えば、その他の制御システムにとってローカルなメモリ、またはネットワークなどの通信リンクを経由してアクセスできるリモート・メモリ)に格納されたソフトウェアであってよい。一部の構成では、例えば、1つの制御システムがコンピュータ・ハードウェアであってよく、別の制御システム(例えば、3-Dプリンタに指示するERPシステム)が、別の制御システムによって実行できるソフトウェアであってよい。
【0117】
1つまたは複数の制御システム6000は、制御を実現するための1つまたは複数のアルゴリズムを実行するソフトウェアを格納および/または実行することなどによって、車両製造施設のさまざまな構成要素を多種多様な方法で制御するために使用され得る。1つまたは複数のアルゴリズムを実行するための複数の制御システムが説明されたが、開示された実施形態と一致する単一の制御システムを使用してアルゴリズムの一部または全部が実行されてよいということに、注意するべきである。
【0118】
場合によっては、1つまたは複数の制御システムが、
図1Bのデータベース1510などの1つまたは複数のデータベースに接続または相互接続されてよい。1つまたは複数のデータベースは、データ(例えば、センサー・データ、部品製造データ、在庫データなど)を格納するように構成された1つまたは複数のメモリ・デバイスであってよい。一部の実施形態例では、1つまたは複数のデータベースが、ストレージ・デバイスを含むコンピュータ・システムとして実装されてもよい。1つの態様では、1つまたは複数のデータベースが、開示された実施形態と一致する1つまたは複数の動作を実行するために、制御システム6000によって使用されてよい。特定の実施形態例では、1つまたは複数のデータベースが、制御システムと同一の場所に配置されてよく、かつ/またはネットワーク6010であってもなくてもよいネットワーク上の他の構成要素(例えば、自動コンストラクタ6200)と同一の場所に配置されてよい。例えば、自動コンストラクタ6200は、制御システムを通過しないで、センサー・データを1つまたは複数のデータベースに送信してよい。1つまたは複数のデータベースの1つまたは複数のその他の構成および/または配置も可能であるということが、理解されるであろう。
【0119】
制御システム6000は、ネットワーク6010などを介して、複数のユーザと通信してよい。例えば、第1のユーザ6020aおよび第2のユーザ6020bなどの1人または複数のユーザが、制御システムと通信してよい。ユーザ(例えば、車両製造施設の管理者、工場長など)は、車両製造工程(例えば、ロボットの活動、製造の効率、品質管理など)を監視すること、および/または命令を車両製造施設のさまざまな構成要素(例えば、ロボット、機械など)に提供することなどのために、システムに参加してよい。通信は、例えばユーザから制御システムへ(例えば、コマンド、命令など)、または制御システムからユーザへ(例えば、警告、通知、コマンド、命令など)、一方向であってよい。代替として、通信は、ユーザと制御システムの間の双方向であってよい。場合によっては、ユーザは、システムの他のユーザと通信してよい。ユーザは、施設に関連付けられてよく、施設の管理者、施設の従業員、施設によって製造されている車両モデルまたはその他の輸送構造物の設計者、および施設の顧客または潜在顧客などの、個人または実体を含むことができる。ユーザによってコマンド・システムに提供される命令は、リアルタイムの(例えば、車両の製造に従う)命令または規則的な間隔もしくは不規則な間隔(例えば、組み立てまたは設計の開始、重要な段階での定期的な検査など)での定期的な命令であってよい。場合によっては、命令は、組み立ての開始もしくは停止を命令するか、またはその他の方法で既存のプロトコルを開始するなどのために、高レベルであってよく、その後、制御システムは、ユーザ・コマンドを自律的または半自律的に実行してよい。場合によっては、命令は、ロボットの個別の経路を制御する、車両部品の移動経路を制御する、およびスケジュールを制御するなどのように、さらに詳細であってよい。
【0120】
ユーザは、インターフェイスを備えることができるユーザ・デバイス6030a、6030bに支援されて、システムと通信してよい。例えば、第1のユーザは、インターフェイスを備えている第1のユーザ・デバイスに支援されてシステムと通信してよく、第2のユーザは、インターフェイスを備えている第2のユーザ・デバイスに支援されてシステムと通信してよく、第nのユーザは、インターフェイスを備えている第nのユーザ・デバイスに支援されてシステムと通信してよい、などとなる。
【0121】
ユーザ・デバイス6030a、6030bは、モバイル・デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ポケットベル、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA:personal digital assistant))、コンピュータ(例えば、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、サーバ)、またはウェアラブル・デバイス(例えば、スマートウォッチ)であってよい。ユーザ・デバイスは、任意のその他のメディア・コンテンツ・プレイヤー、例えば、セットトップボックス、テレビ、ビデオ・ゲーム・システム、またはデータを提供または描画できる任意の電子デバイスを含むこともできる。ユーザ・デバイスは、任意選択的に携帯型であってよい。ユーザ・デバイスは、ハンドヘルドであってよい。ユーザ・デバイスは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、電気通信ネットワーク、データ・ネットワーク、または任意のその他の種類のネットワークなどの、ネットワークに接続できるネットワーク・デバイスであってよい。
【0122】
ユーザ・デバイスは、1つまたは複数のステップを実行するためのコード、論理、または命令を含んでいる非一時的コンピュータ可読媒体を備えることができるメモリ・ストレージ・ユニットを備えてよい。ユーザ・デバイスは、例えば非一時的コンピュータ可読媒体に従って、1つまたは複数のステップを実行できる1つまたは複数のプロセッサを備えてよい。ユーザ・デバイスは、例えば、開示された実施形態と一致する1つまたは複数の動作を実行するように構成された1つまたは複数のコンピューティング・デバイスであってよい。ユーザ・デバイスは、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスを表示するディスプレイを備えてよい。ユーザ・デバイスは、対話型ユーザ・デバイスを介して入力を受け取ることができてよい。そのような対話型ユーザ・デバイスの例としては、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、タッチパッド、ジョイスティック、トラックボール、カメラ、マイクロホン、モーション・センサー、熱センサー、慣性センサー、または任意のその他の種類の対話型ユーザ・デバイスが挙げられる。ユーザ・デバイスは、1つまたは複数の認証システムによって提供されたソフトウェアまたはアプリケーションを実行できてよい。例えば、ユーザ(例えば、施設の管理者、工場長など)は、1つまたは複数のロボットまたは機械に転送するために、ユーザ・デバイスを介して命令を制御システムに入力してよい。別の例では、ユーザは、車両製造工程の再最適化、またはソフトウェアの更新などのために、制御システムを再プログラムしてよい。別の例では、ユーザは、安全性の考慮などのために、車両製造施設内で動作しているすべてのロボットおよび/または機械の動作を停止できる緊急停止コマンドを送信することを選択できてよい。
【0123】
制御システム6000は、1つまたは複数の自動コンストラクタ6200および/または1つまたは複数の移動補給車6300が各組み立てステーションとの間で移動するための命令を生成するように構成されてよい。例えば、制御システムは、1つまたは複数の自動コンストラクタに対して、各組み立てステーションとの間で自律的に移動するように指示してよい。代替または追加として、制御システムは、各組み立てステーションとの間で移動するためのより詳細な(例えば、段階的な)命令を、1つまたは複数の自動コンストラクタに提供してよい。場合によっては、制御システムは、ロボット組み立てステーションに関連付けられた1つまたは複数の自動コンストラクタの移動を指示することなどによって、ロボット組み立てステーション6100、6120の指定された位置および/または指定されたエリアを変更してよい。代替または追加として、ロボットは、制御システムが無効にしてもしなくてもよい事前にプログラムされた命令を含んでよい。この態様では、ロボット組み立てステーションは、柔軟なモジュール式であってよく、製造施設は、施設の位置および/または施設のエリアの制限内で、各ロボット組み立てステーションの各位置および/またはエリアを変更することによって、容易に再構成されてよい。場合によっては、制御システムは、同じロボット組み立てステーション内の他の構成要素と連携して、命令を構成要素(例えば、移動補給車6300)に提供してよい。例えば、制御システム6000は、あらゆる動作を停止して第2のロボット組み立てステーション6120に移動するという命令を、第1のロボット組み立てステーション6100に関連付けられたすべてのロボットに提供してよい。
【0124】
実施形態例では、制御システム6000は、命令をリアルタイムに生成してよい。リアルタイムは、1秒未満、10分の1秒未満、100分の1秒未満、または1ミリ秒未満の応答時間を含むことができる。実装に応じて、前述したような、または下記でさらに説明されるような、1つまたは複数のロボット6200、6300の各々は、制御システムからの命令に、リアルタイムに応答することができてよい。例えば、1つまたは複数の自動コンストラクタの移動を介して、ロボット組み立てステーションは、位置および/またはエリアにおいてリアルタイムに再構成され、大きさを変更されてよい。
【0125】
制御システム6000は、1つまたは複数の自動コンストラクタ6200が、車両またはその他の輸送構造物の1つまたは複数の製造工程、あるいは1つまたは複数の製造工程の1つまたは複数のセットを実行するための命令を生成するように、さらに構成されてよい。制御システムは、製造工程を実行することに関する詳細な命令を1つまたは複数の自動コンストラクタに提供してよい。例えば、制御システム(ERPシステムを介した制御システムなど)は、車両部品の特定の寸法を、プリントするために3-Dプリンティング自動コンストラクタに提供してよい。
【0126】
別の例では、ロボットは、ロボット内で事前にプログラムされた命令および/または制御システム(
図1Bの制御システム1500および/または
図6の制御システム6000など)から受信された命令および/または機械学習を通じてロボットによって学習された命令の制限内で、ロボット組み立てステーションとの間、およびロボット組み立てステーション内で自由に移動してよい。ロボットは、3-Dプリントされた部品を受け取って後処理し、それらの3-Dプリントされた部品を、複雑な構造(例えば、シャーシ)に組み込むためにロボット組み立てステーションに届けることができてよい。異なるロボット組み立てステーションが、効率などのために、1つまたは複数の組み立てラインの隣または周囲に配置されてよく、これによって、工程が実施されるときに、材料が異なるロボット組み立てステーションを通過できるようにしてよい。
【0127】
図7は、ロボット自動化システムの例を示している。ロボット自動化システム7000は、1つまたは複数の自動コンストラクタ7200、1つまたは複数の輸送構造物の部品7300、7400を輸送するためのコンベヤー・ベルト7500、センサー7600、および1つまたは複数の工具7100を備えてよい。代替として、システムは、コンベヤー・ベルトの代わりに、その他の移動プラットフォーム、移動式ロボット、および/または肉体労働などの輸送システムを備えてよい。ロボット自動化システムは、製造、試験、在庫、事前の使用、再生利用、または廃棄処理などの、製造施設内で実行されるさまざまな工程を支援してよい。ロボット自動化システムによって実行される工程は、処理されている輸送構造物の部品のライフ・サイクルの段階に適切であるように、建設的、保護的、または分解的であってよい。
【0128】
1つまたは複数の自動コンストラクタ7200および/または1つまたは複数の工具7100は、非常に大きい部品、永続的に取り付けられた部品、または格納された部品に移動できるように、移動式であってよい。代替または追加として、コンベヤー・ベルト7500は、1つまたは複数の自動コンストラクタおよび/または1つまたは複数の工具を、1つまたは複数の部品7300、7400に向かって運んでよい。代替または追加として、1つまたは複数の部品が、1つまたは複数の自動コンストラクタおよび/または1つまたは複数の工具に向かって運ばれてよい。自動コンストラクタおよび工具が移動されるかどうか、および/または車両部品が移動されるかどうかは、経済的および機械的効率の検討事項であってよい。例えば、2つのうちのより小さく、かつ/またはより軽い方を、2つのうちのより大きく、かつ/またはより重い方に向かって移動することは、より経済的および機械的に効率的であることがある。場合によっては、処理される1つまたは複数の車両部品が、(例えば、組み立て、取り付けを介して)移動するのに不便な大きい部品の一部である場合、それらの1つまたは複数の車両部品が、1つまたは複数の分解自動コンストラクタによって、取り付けられた状態から最初に外されて分解されてよい。1つまたは複数の自動コンストラクタおよび1つまたは複数の車両部品が、他の自動コンストラクタの届く範囲内に運ばれた後に、1つまたは複数の自動コンストラクタが、指示された工程を実行してよい。1つの例では、自動コンストラクタは、摩耗または損傷した車両部品の交換品を構築するために、付加製造機械または3-Dプリンティング機械を任意選択的に備える。1つまたは複数の自動コンストラクタは、使用可能な工具を介して、ロボットのエフェクタを交換してよい。代替として、1つまたは複数の自動コンストラクタが、異なるエフェクタを有するロボット・アームを交換してよい。
【0129】
センサー7600は、制御システムに通信によって結合されてよく、さらに制御システムが、1つまたは複数の自動コンストラクタに通信によって結合される。代替として、センサーは、1つまたは複数の自動コンストラクタおよび/または1つまたは複数の工具と直接通信してよい。場合によっては、センサーは、カメラなどの撮像デバイスであってよい。場合によっては、センサーは、熱センサー、モーション・センサー、音声センサー(例えば、マイクロホン)などであってよい。センサーは、輸送構造物製造工程を監視してよい(例えば、品質管理チェックなど)。例えば、センサー7600は、1つまたは複数の車両部品が含まれているライフ・サイクルの段階を決定し、そのようなデータを制御システムに送信してよく、その後、制御システムは、1つまたは複数の自動コンストラクタに対して、特定のライフ・サイクルに適した工程を実行するように指示できる。センサー7600は、1つまたは複数の部品の摩耗および割れ目または損傷を検出し、制御システムを介して、1つまたは複数の自動コンストラクタに対して、付加製造または3-Dプリンティングを行って、摩耗または損傷した部品の交換品を構築するよう指示することなどを行ってもよい。1つの例では、センサーは、摩耗した部品を除去し、新しい部品を製造して、摩耗した部品が除去された位置に取り付けるために、パイプラインに沿った締め付けまたは密閉の検査に使用されてよい。
【0130】
図8は、構造化された部分組み立て品の例を示している。実施形態例では、ロボット組み立てステーションは、節8100a、8100b、アーク、およびチューブ8200などの既製の構成要素から成る構造物を組み立てるために使用されてよい。場合によっては、そのような組み立ては、他の構成要素(例えば、節、アーク、チューブなど)への複数の構成要素の調整された挿入(例えば、同時の挿入、特定の時間の挿入など)を必要とすることがある。そのような調整された挿入は、構造物の幾何学的結合を妨げることがある。場合によっては、部分組み立て構造物8300が、より大きい組み立て品8200に組み込まれてよい。
【0131】
実施形態例では、各部品、組み立て品、および/または部分組み立て構造物が、1つまたは複数のラベルを備えてよい。ラベルは、マトリックス8110a、8110b、および8310bなどの識別マトリックスを含んでよい。ラベルは、製造工程全体を通じて、および/または部品のライフ・サイクル全体を通じて、部品を検出して識別すること、部品の場所、位置、および/または向きを決定すること、誤りを検出すること、ならびに/あるいは部品を追跡して監視することに、使用されてよい。例えば、ラベルは、別の部品、組み立て品、および/または部分組み立て構造物に対する、部品、組み立て品、および/または部分組み立て構造物の正しい向きおよび位置を検証するために使用されてよい。ラベルは、組み立てライン上および/または自動コンストラクタ上に配置されることがある1つまたは複数のセンサー(例えば、カメラ)によって検出されてよい。ラベルを介した検証の後に、調整された力が複数の方向から加えられるシングルモーション・プレスイントゥプレイス動作(single-motion press-into-place action)などを介して、部品、組み立て品、および/または部分組み立て構造物が組み立てられてよい。この調整された力は、同時または特定の時間に加えられるように、プログラムされるか、または(例えば、リアルタイムに)指示されてよい。シングルモーション・プレスイントゥプレイス動作またはその他の挿入動作が、ロボット組み立てステーション内の1つまたは複数の自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットによって、実行されてよい。
【0132】
図9は、分解エリアの例を示している。分解エリアは、大きい部品に対して、逆の順序で組み立てラインの工程を実行して、柔軟な分解を実現することができる。古い輸送構造物または輸送構造物の部品は、分解するように構成された1つまたは複数の自動コンストラクタなどを介して分解されてよい。分解された構成要素は、それぞれの状態に応じて、再生利用されるか、修理されるか、または廃棄されてよい。分解された構成要素の状態は、例えば
図7のセンサー7600などのセンサーによって、検査され得る。代替として、分解された構成要素を検査するために、1つまたは複数のセンサーが分解自動コンストラクタなどのロボット上に配置されてよい。一部の実施形態では、分解された部品のライフ・サイクルの段階を識別する識別マトリックス(
図8のマトリックス8110a、8110b、8310bなど)などを介して、分解された部品の状態が、分解された部品に組み込まれてよい。制御システムが、部品が再生利用されるのか、修理されるのか、または廃棄されるのかを決定するための命令を提供してよく、あるいは1つまたは複数のロボットが、それらを決定するように事前にプログラムされてよい。例えば、ガラス車体9100からのガラス、サスペンション・サブシステム9200から選ばれたサスペンション部品、内装サブシステム9300から選ばれた内装部品、およびその他のサブシステム9400からの炭素材料が、再生利用可能であると決定され、インゴットに変換するために溶鉱炉に送られてよい。選ばれた車体部品、車輪、タイヤ、およびエンジンなどのその他の構成要素が、修理可能であると決定され、保管エリアに輸送され得る。場合によっては、1つまたは複数のサブシステムから分解された節が、再生利用可能であると決定され、溶鉱炉に輸送されてよい。場合によっては、節は、溶鉱炉に輸送される前に、サスペンション部品に接続されてよい。
【0133】
場合によっては、
図5の付加製造システムは、複数のセンサーをさらに備えてよい。複数のセンサーは、ロボット組み立てステーション内で組み立てられている複雑な構造のシステムの適切な組み立ておよび品質管理を保証することができる。1つまたは複数のセンサーが、ロボット組み立てステーション内に取り付けられてよい。代替または追加として、1つまたは複数のセンサーが、ロボット組み立てステーションに関連付けられた自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットに配置されてよい。代替または追加として、1つまたは複数のセンサーが、システムによって製造されている構造製品に統合されてよい。1つまたは複数の統合されたセンサーは、組み立て工程中の重要なフィードバック、および製品のライフ・サイクルを超えた製品に関する継続的情報を提供してよい。適切な位置および許容誤差の積み重ねを支援するために、1つまたは複数のセンサーが配置されてよい。1つまたは複数のセンサーは、製品の仕様の適切な性能または不適切な性能をさらに検出してよい。
【0134】
場合によっては、3-Dプリントされた部品および/または構造物は、1つまたは複数のセンサーを受け取り、かつ/または組み込むように、構成され得る。組み込まれた1つまたは複数のセンサーは、3-Dプリントされた部品および構造物ならびに/または最終製品と共に移動してよい。組み込まれた1つまたは複数のセンサーを介して、プリントされた部品および構造物ならびに/または最終製品を追跡することによって、制御システムは、製品品質を監視してよい。1つの例では、応力センサーが、特定の走行条件で応力センサーを統合した車両のねじり性能を追跡して監視してよい。例えば、製造時に、期待される応力が測定され、その後、車両が後で類似する動作を実行するときに測定される経験的応力値と関連付けられ得る。そのような監視は、故障および製造物責任の損害の可能性を早期に警告することができ、その後、危険性がある領域内の構成要素の強度を高めるために、フィードバックを製造施設に提供することができる。他の例では、システムは、周波数応答測定値および/または音響測定値を統合されたセンサーから取得して、類似する解析を実行してよい。
【0135】
図10は、センサーが統合されたロボット自動化システムの例を示している。システム10000は、第1の部品10300を輸送する第1のコンベヤー・ベルト10100であって、第1の部品が第1のセンサー10800によって監視される、第1のコンベヤー・ベルト10100と、第2の部品10400を輸送する第2のコンベヤー・ベルト10200であって、第2の部品が第2のセンサー10900によって監視される、第2のコンベヤー・ベルト10200と、部分組み立て構造物10600と、第3の部品10500と、1つまたは複数の自動コンストラクタ10700とを備えてよい。例えば、第1および第2のセンサーは、組み立てステーション内に存在する1つまたは複数の自動コンストラクタのアームおよび1つまたは複数の個人(例えば、人間のオペレータ)の両方のアームの位置を追跡することができる頭上の3-Dセンサー(例えば、KinectまたはLIDAR)を含んでよい。これらのセンサーは、可能性のある移動経路を予測し、人間とロボットの衝突を未然に防止するように構成されてよい。代替または追加として、1つまたは複数の個人が1つまたは複数の自動コンストラクタの付近にいるということが決定された場合に、組み立てステーションのオペレータは、制御システムを介して命令を提供することなどによって、ロボットの動きの範囲および/または速度の範囲を手動で制限してよい。このシステムは、有利に、人間を安全に保護することができ、人間がステーションから安全に離れている場合に、生産のスループットを最大化することができる。場合によっては、センサーは、拡張現実または仮想現実を重ね合わせられたヘッドセットを装着している個人を追跡してよい。場合によっては、組み立て順序および構成要素の配置の仮想現実または拡張現実の重ね合わせを、ヘッドセットを介して個人に提供することができ、それらの重ね合わせは、組み立てに参加している個人を支援するためおよび/または個人をトレーニングするために、組み立て順序の現在の構成および組み立てステーション内の構成要素の配置と一致する。
【0136】
場合によっては、第1および第2のセンサーは、組み立て順序の画像または画像のシーケンスを捕捉すること、文書化すること、
図1Bの1つまたは複数のデータベース1510などに格納すること、送信すること、および/または制御システムと共有することができる、ビデオ・カメラおよびデータ・ロガーを備えてよい。代替として、画像または画像のシーケンスは、捕捉され、文書化され、格納され、送信され、かつ/または他の製造施設の制御システムなどの他の制御システムと直接共有されてよい。場合によっては、製造工程全体を文書化するデータベースが作成され得る。製造工程全体のデータベースは、エンドツーエンドの製造工程の完全な財務、効率、および/または環境の解析の性能を可能にすることができる。
【0137】
場合によっては、ロボット自動化システムは、個人(例えば、工場労働者など)と、車両、製品、および/または組み立てられている構造物との間の電動式の相互作用を支援してよい。例えば、システムは、材料を取り扱うためのロボットおよび外骨格のようなつり上げ装置および把持装置などの、自動および/または半自動の機構および機器を備えてよい。
【0138】
他の実施形態例では、自動コンストラクタなどの1つまたは複数のロボットは、作業をオンザフライで動的に学習するために、機械に基づく学習アルゴリズム(または一連のアルゴリズム)を含んでよい。これらの実施形態では、そのようなロボットは、ロボットのセンサーを介した観察および/または直接の経験に基づいて、スポット溶接などの作業または作業に関する詳細を学習してよい。例えば、自動コンストラクタによって実行されている特定の作業の過程で、誤りが発生した場合、自動コンストラクタの機械に基づく学習能力が、誤りの原因および考えられる解決方法または可能性のある解決方法の識別を可能にしてよい。別の実施形態例では、機械に基づく学習アルゴリズムが、ロボット自体に組み込まれ、機械学習アルゴリズムを制御する制御システムからの設定、有効化などの命令によって、リアルタイム(またはほぼリアルタイム)に、定期的に、またはその他の方法で調整される。
【0139】
実施形態例では、自動コンストラクタは、機械に基づく学習を使用して衝突を回避する。多数のロボットがさまざまな行き先との間で移動していることがあり、人間がロボット間に散在している製造施設内では、事故による機器に対する損害を防ぐか、または少なくとも最小限に抑えるため、あるいはけがを防ぐために、追加の予防手段を適所に用意することが重要になることがある。1つのそのような予防手段は、自動コンストラクタなどのロボットが、他の機械の移動を監視すること、そのような移動の種類およびパターンを学習すること、および他の機械の速度、加速度、回転能力などの移動に関連する他のパラメータを監視することを実行できるようにするための、機械に基づく学習の使用を含んでよい。自己学習アルゴリズムによる移動パターンの監視は、機械が、他の機械のパターンのこの認識ならびに速度および移動に関連するデータおよびその他のパラメータの記録によって、施設内を安全に移動する能力を継続的に改善できるようにすることができる。
【0140】
したがって、場合によっては、1つまたは複数のロボットが、機械に基づいて学習することができてよい。機械に基づく学習は、ロボットが、部分的または全体的に、自律的に動作できるようにしてよい。例えば、ロボットは、過去の動作から、未来の動作を決定して実行することができてよい。機械に基づく学習は、ロボットが、自動的(例えば、独立して、事前にプログラムされた命令なしで)または半自動的に(例えば、ロボットを組み立てステーションに割り当てるなどの最小限の命令を使用して)、正しい支持材(例えば、構造用パネル、接着剤、その他の節、その他の構成要素または構造物など)を使用して特定の部品(例えば、チューブ、節など)を望ましい位置に組み立て、完成した製品を供給することができるようにしてよい。別の例では、機械に基づく学習は、ロボットが、目的の行き先に自律的に移動する、または目的の行き先を決定することができるようにしてよい。機械に基づく学習は、自動コンストラクタまたは移動補給デバイスなどのロボットごとに異なってよい。代替または追加として、機械に基づく学習は、学習が組み立てステーションに関連付けられたすべてのロボットに配布されるように、組み立てステーションのレベルで発生してよい。代替または追加として、機械に基づく学習は、学習が制御システムに接続されたすべての構成要素に配布されるように、制御システムのレベルであってよい。例えば、制御システムのレベルでの機械に基づく学習は、ユーザの命令なしで、またはユーザの命令を最小限に抑えて、車両製造施設の異なる構成要素を調整する制御システムの能力を、改善することができる。
【0141】
図19A~Bは、実施形態例に従って、輸送構造物の自動組み立てのための方法のフロー図を示している。最初に
図19Aを参照すると、ステップ1910で、第1のロボット組み立てステーションの第1の自動コンストラクタによって、輸送構造物の第1の部分が組み立てられる。この説明の目的で、輸送構造物の「第1の」部分、「第1の」自動コンストラクタ、および「第1の」ステーションが説明されているが、輸送構造物の2つ以上の部分、2つ以上の自動コンストラクタ、および/または2つ以上のステーションが代替的または追加的に使用されてよいということが理解されるであろう。ステップ1920で、第2のロボット組み立てステーションの第2の自動コンストラクタによって、輸送構造物の第2の部分が組み立てられる。
【0142】
上記のステップと同時に、または上記のステップの後に、例えば、構築時間の効率を最大化するため、組み立てシステムを再構成するため、または本開示において説明されたその他の理由のために、複数の柔軟で構成可能な動作が行われてよい。例えば、ステップ1930で、組み立て中に、第1または第2の自動コンストラクタが、自動化された方法で、第1のステーションと第2のステーションの間を移動してよい。別の例として、ステップ1940で、輸送構造物自体またはそれの部品が、組み立てられているときに、自動化された方法、例えばコンベヤー・ベルトを介して、ロボット組み立てステーション間を移動してよい。
【0143】
図19Bを参照すると、ステップ1950で、第1または第2の自動コンストラクタが、異なる機能を実行するように再プログラムされてよい。上記のステップと同様に、このプロセスは、組み立て前、組み立て中、または組み立て後に発生してよく、異なるモデルの輸送構造物または全く異なる種類の輸送構造物の組み立て間で発生してもよい。ステップ1960で、リアルタイムに、または事前にプログラムされた命令のセットの結果として、ロボット組み立てステーションのうちの1つまたは複数が別の位置に移動されてよい。例えば、ステップ1970で、輸送構造物の組み立てに関連して、または輸送構造物の組み立ての一部として使用される構成要素または部品が、ロボット組み立てステーションで輸送構造物の組み立てに使用するために、自動化された方法でロボット組み立てステーション間を輸送されてよい。
【0144】
ステップ1980で、上記で詳細に説明したように、自動化された輸送構造物が、新しい作業を学習し、機械に基づく学習手法の結果として、それらの動作を変更してよい。本明細書およびステップ1990において開示されているように、これらのステップのいずれかは、自動コンストラクタのうちの1つまたは複数に直接的また間接的に命令を提供する制御システムを含んでよく、これらの命令が、リアルタイムに、事前にプログラムされた命令のセットの一部として、または定期的に提供される更新として、送信されてよい。
【0145】
別の実施形態例では、システムは、構築工程への顧客の参加を受け入れてよい。企業、小規模のチーム、および/または個人などの顧客は、Webベースの設計および最適化ソリューションを使用して、望ましい輸送構造物の必要な構造を高度の柔軟性で設計し、可変ロボット組み立てステーション、可変自動コンストラクタ、および3-Dプリンティング技術を介して施設が利用できる工具および限界を使用して、前述の設計を製造し、組み立てることができる。
【0146】
例えば、組み立てステーションは、プログラマーではない人および技術者以外の個人がアクセスできる抽象的かつ/または高レベルの言語を使用するようにプログラムされ、構成され得る。そのようにアクセス可能であることにより、企業、小規模のチーム、および個人を含む最終顧客は、技術者またはその他の専門家に支援されずに、1つまたは複数のロボット組み立てステーションに対して、顧客自身のカスタマイズされた輸送構造物を任意の量で組み立てるように指示することが可能になる。例えば、最終顧客は、最終顧客自身のカスタマイズされた車両を製造して組み立てるためのロボットの動きおよび順序を指示して誘導することが許可され、それらを実行することができてよい。例えば、最終顧客は、ユーザ6020a、6020bとして、ネットワーク6010を介して制御システム6000と通信してよい。代替または追加として、最終顧客は、クラウドまたはサーバ(
図1Bの制御サーバ1505など)を介して制御システムと通信してよい。例えば、最終顧客は、ロボットの動きおよび順序を誘導して車両またはその他の構造物を製造し、かつ/または組み立てるために、ユーザ・インターフェイスを備えているユーザ・デバイス(例えば、ユーザ・デバイス6030a、6030bなど)を使用してユーザ入力(例えば、命令)を提供することができる。
【0147】
場合によっては、最終顧客は、制御サーバによって提供されるWebインターフェイスまたは仮想現実インターフェイスを介して、ユーザ入力を提供してよい。1つの例では、センサーが統合されたロボット自動化システムは、個人の仮想現実ヘッドセットなどを介して、個人の移動、動き、および/または凝視の方向を追跡して記録し、最終顧客がユーザ・デバイスの選択として使用できる最終顧客の仮想現実ヘッドセットを介して、そのようなデータを最終顧客に提供してよい。最終顧客は、最終顧客による購入および/または組み立ての経験中に、仮想現実または拡張現実を体験することができる。最終顧客が自分自身の構築に参加する場合、最終顧客は、構築イベントへの参加に関連する何らかの承認要件を満たしてよい。
【0148】
場合によっては、製造施設は、インテリジェントなビデオ会議またはその他のメッセージ交換を行うことができるように構成されてよい。例えば、施設は、音声またはその他のコマンドを介して、施設全体または施設の外部との迅速な電子通信を可能にするために、統合されたインテリジェントなビデオ会議および/またはメッセージ交換システムを備えてよい。インテリジェントなビデオ会議および/またはその他のメッセージ交換システムは、最終顧客が、顧客の車両の構築中にリアルタイムに施設の従業員(例えば、オペレータ、作業者など)と通信することを可能にしてよく、最終顧客が望む場合に、構築工程の間の監視および工程内の介入をなくすことができる。
【0149】
場合によっては、センサーが統合されたロボット自動化システムは、製造および組み立て工程を通じて、特定の顧客の車両の写真および/またはビデオを撮影してよい。システムは、製造および組み立て工程の重要な各ステップで、試験結果および検査の測定結果をさらに収集してよい。施設によって製造されたすべての車両に関して、特定の車両の製造および組み立て工程の完全なデータベースおよび履歴が生成され得る。このデータベースが、顧客に提供されてよい。代替または追加として、このデータベース内の情報が、研究および開発などのために解析されてよい。
【0150】
少量生産施設で、または芸術的手法もしくはある程度の即興が望ましい作業(例えば、塗装、デザイン)において、遠く離れた顧客またはオペレータが、インターネットを経由したWebインターフェイスまたは仮想現実インターフェイスを介して、前述した方法などによって、製造および組み立て工程にアクセスし、構造物の組み立て工程を支援するための命令(例えば、ロボットの動きの誘導など)を提供してよい。
【0151】
場合によっては、製造施設は、付加製造された部品の識別システムをさらに備えてよい。この識別システムは、複雑な構造物の繰り返される組み立てを正確に可能にしてよい。部品および部品に関連付けられた情報の正確な識別には、安全、製造、組み立て、配布、物流、不正行為、妥当性確認、販売、保守、修理、保管、取り扱い、再生利用、および廃棄などに関するさまざまな作業において、有益な適用が存在することがある。
【0152】
識別システムは、上記に簡単に説明したように、識別マトリックスなどのラベルを含んでよい。ラベルは、車両部品または構造物に、ラベルまたはステッカーとして接着されるか、エッチングされるか、プリントされるか、あるいはその他の方法で取り付けられてよい。
図11は、一体型ラベル11200付きの部品11100の例11000を示している。例えば、ラベル11200は、部品11100の表面上の任意の位置に統合され得る。
【0153】
図12は、ラベルの例を示している。ラベル12000は、識別マトリックスなどの、機械可読な任意の種類の図形証印であってよい。ラベルは、エンコードされていてもいなくてもよい、記述データを含んでよい。記述データは、シンボル形式、データ文字エンコーディング方法、容量、寸法の特徴、誤り訂正ルール、エンコーディング・アルゴリズムおよびデコーディング・アルゴリズム、ユーザ選択可能な適用パラメータ、および情報の特有の単位などのデータを含んでよい。
【0154】
ラベル12000は、
図1Bの制御システム1500などの制御システムによってアクセスできる
図1Bの1つまたは複数のデータベース1505などの、別のデータベースに格納できる特有の情報に関連付けられてよい。例えば、ロボットおよび/または制御システムは、ラベルを読み取るときに、そのラベルに関して1つまたは複数のデータベースと通信して検索して、そのラベルに関連付けられた特有の情報を検出してよい。
【0155】
1つの例では、識別マトリックスなどのラベルは、それらのラベルが一部になる部品およびサブシステムを単に識別してよい。どの部品がどのサブシステムに必要かなどの情報を含むことができる、組み立てに関する必要な情報のカタログが、1つまたは複数のデータベースに格納されてよい。別の例では、ラベルは、最終製品の要件情報を単に識別してよい。最終製品の要件情報に基づいて、ロボット(例えば、自動コンストラクタ)は、機械学習を通じて、最終製品の要件情報に従って1つまたは複数の車両製造工程を実行してよい。別の例では、部品上のラベルは、関係情報など部品または部品の組み立てに関する詳細な情報(例えば、別の部品または別の組み立て品と相対的な、ある部品の位置および場所)を提供してよい。関係情報は、部品または別の組み立て品(例えば、部分組み立て品)が組み込まれる特定の組み立て品を開示してよい。関係情報を含む詳細な情報は、制御システムおよび/または1つまたは複数のロボットが、ラベルに関連付けられた詳細な情報を見つけることができるように、ラベルを読み取る制御システムおよび/または1つまたは複数のロボットによってアクセスできる1つまたは複数のデータベースに格納されてよい。
【0156】
場合によっては、部品上のラベルは、握り位置の情報を提供してよい。例えば、部品のラベルは、その部品に関して、握るように特に指定された取っ手またはねじ穴、あるいは吸着カップに適合することがある平坦で滑らかな表面が存在するということを、開示してよい。1つまたは複数の握り位置の各位置は、ラベルの位置と相対的な座標を使用して記述されてよい。そのような情報は、ロボット(例えば、自動コンストラクタ)が、部品を握るときに、適切な把持部の接近経路および握り角度を決定することにおいて、役立つことがある。
【0157】
図13は、3-Dプリントされた一体型ラベル付きの構成要素のライフ・サイクル13000のフロー図を示している。例えば、3-Dプリントされた構成要素13400は、自動車サブシステムの構成要素、航空機または空調機器の部品、あるいは産業用、軍用、商用、または消費者用のその他の有用な物体であってよい。第1のステップ13100で、構成要素が指定され得る。構成要素の仕様において、構成要素に特有の部品識別番号または名前に加えて、サイズおよび機能などの構成要素の要件が識別され得る。構成要素の仕様が、その後のステップで使用するために集められてよい。第2のステップ13200で、ラベルを作成することができ、このラベルは、構成要素に関する記述データに関連付けられる。この記述データは、制御システムがアクセスできる1つまたは複数のデータベースに格納されてよい。この記述データは、ラベルにおいてエンコードされてもされなくてもよい。エンコードされる場合、ラベルは、標準(例えば、ISO/IEC18004規格)または非標準のアルゴリズムを使用してエンコードされてよい。ラベルは、機械可読であってよい。
【0158】
次のステップ13300で、構成要素が、コンピュータ上などで(例えば、コンピュータ支援設計(CAD:computer aided design)ソフトウェアを使用して)設計され、かつ/またはあらかじめ設計された部品または標準部品のライブラリから選択され得る。部品の3次元モデルまたは設計の形態が定義され得る。構成要素の前に作成されたラベルが、構成要素の3次元モデルまたは設計に統合されてよい。構成要素は、複数のラベルを含んでよい。一体型ラベル付きの部品の記述的コンピュータ3-Dデータ・モデル13400が生成され得る。3-Dデータ・モデルは、転送可能なデジタル形式(例えば、STEP、STP、SLDPRT、EPRTなど)で、コンピュータ化された記述子ファイルとして格納されてよい。記述子ファイルは、部品番号、物理的寸法、形状、色、材料の仕様、重量、幾何公差、ならびに/またはその他の文字記述および記号記述を含む、データおよびメタデータのさまざまな項目を含んでよい。ファイルを保存するプロセスにおいて、部品の幾何学的外形および基本的な記述のみを残して、一部のデータ項目がファイルから任意選択的に省略または削除されてよい。ファイルのデータまたはメタデータの削除または抽出は、製造、物理的処理、および/または公開のためのファイルから、無関係な大量のデータを除去し、メモリ空間を任意選択的に節約するために、実行されてよい。ラベルは、無条件に残り、構成要素のモデルに永続的に組み込まれてよく、何らかの機能の喪失を含む、ある程度の望ましくない副作用のリスクを伴わずに、容易に除去できなくてよい。
【0159】
次のステップ13500で、付加製造機械または部分的もしくは完全に自動化された施設が、構成要素の3-Dモデル・データを物理的構成要素13410にレンダリングしてよい。例えば、付加製造機械または施設は、選択的レーザー溶融または選択的レーザー焼結などの3-Dプリンティング技術を備えてよい。例えば、プロセスは、3-Dプリンタ(例えば、Stratasys J75)または類似の工具を使用してよい。物理的構成要素は、プラスチック、ステンレス鋼、マルエージング鋼、コバルト、クロム、インコネル、アルミニウム、金、チタン、またはその他の材料を含む、さまざまな材料から形成されてよい。構成要素は、1種類の材料(例えば、プラスチック)から製造されてよい。代替として、構成要素は、2つ以上の材料の複合材から製造されてよい。
【0160】
レンダリングされた物理的構成要素13410は、組み込まれたラベルを含んでいる構成要素の3-Dモデル・データに1対1に対応してよい。例えば、ラベルは、構成要素が3-Dプリントされるのと同時に、構成要素上で物理的に形成されてよい(例えば、エッチングされる、プリントされる、など)。ラベルにおいてエンコードされた記述データは、例えば、部品番号、リビジョン・コード、および特有のシリアル番号を含んでよい。構成要素の3-Dモデル・データ上のラベルとの、物理的構成要素上のラベルの特有の対応関係は、構成要素の3-Dモデル・データ上のラベルが、構成要素のライフ・サイクル全体を通じて、信頼できる参照点として機能できるようにしてよい。例えば、構成要素の正しさ、発生源、および履歴を保証するために、構成要素のライフ・サイクルの各ステップで、構成要素の同一性およびリビジョン・レベルが容易に検証可能である。識別システムは、安全なサプライチェーンの衛生状態および偽造品対策の高い信頼性を有利に提供することができ、それによって、構成要素および/または構成要素から製造される最終製品の性能および信頼性を改善できる。
【0161】
識別システムは、ライフ・サイクルのさまざまな段階を通じて構成要素を追跡して監視するために使用されてよい。具体的には、識別システムは、組み立て、販売、物流、およびリビジョン管理作業13600などの、構成制御および製造組み立て工程に使用されてよい。例えば、ラベルは、発注元の顧客の注文番号または顧客によって定義された注文コードに関連付けられてよい。注文に固有の仕様および材料を重視する顧客は、このラベルを使用して、偽造品または低品質の汎用部品からのサプライチェーンの汚染を排除し、サプライチェーンの下流での誤解のリスクを防ぐことができる。場合によっては、識別システムは、構成管理ならびに耐用年数および信頼性予測のプリフライト・チェック13700に使用されてよい。例えば、特有のラベルでそれぞれ識別される複数の付加製造された構成要素を含んでいる組み立て品は、相対的に短い時間(例えば、1秒未満)で棚卸しされ、ある1つの観点から同時に妥当性を確認され得る。これによって、有利に棚卸しの時間を減らすと同時に、ハードウェア構成要素の包括的な在庫記録の精度を向上させることができる。在庫記録は、容易に追跡可能、検証可能であり、かつ信頼できる。
【0162】
場合によっては、保守、故障、鑑識、修理、再利用、および交換の製造工程13800を追跡および検証することなどによって、構成要素のライフ・サイクルが監視され得る。この記録は、信頼性予測を推進し、規定の間隔(例えば、移動したマイル数、使用時間、応力の履歴)で予防保守をトリガーすることができる。構成要素の交換が迅速になり、必要な場合に正確に指定され得る。構成要素と3-Dデータ・モデルの両方の改ざん防止識別マークによって信頼性が増して、構成要素のライフ・サイクルが正確に追跡され得る。識別システムによって提供される全体的信頼性は、個別の構成要素ごとに商品の製造元の情報(例えば、設計、材料、用途、ライフ・サイクル)を検証できるため、1つまたは複数の二次チャネルおよび流通市場を通じて販売される中古品(例えば、修理された商品)の価値を有利に増やすことができる。
【0163】
場合によっては、識別システムは、寿命を過ぎた製品の廃棄、保険、再利用、スクラップ、再生利用、および環境の工程を含む、寿命を過ぎた製品の工程13900に関する構成要素の追跡および検証を可能にしてよい。例えば、ある構成要素が予測された寿命に達して、廃止された後に、その構成要素は、まだ残っていることがある追加の耐用年数または余分な耐用年数を推定する試験を受けることができる。構成要素は、安全マージンを維持するなどのために、ある程度の追加の耐用年数を残して廃棄されることがあり、過剰な寿命が残っている構成要素を廃棄することは、無駄であることがある。ある程度の追加の有用な耐用年数を有していることが検出された構成要素は、例えば、安全があまり重視されない適用、または構成要素の故障の影響を相対的に受けにくい適用において、再利用され得る。このような再利用には、流通市場(例えば、中古部品の市場)において、および長い走行距離の履歴を有する長寿命の車両の保険査定額に関して、経済的価値があることがある。残りの耐用年数を追跡する能力は、資本集約的産業用および軍用の長い耐用年数を有する機器およびプラットフォームの場合に、特に役立ち、価値がある。廃棄および再生利用の場合、特に、環境適合性、金属回収、およびその他の再利用の適用には、正確で具体的な材料および化学的性質の記録が必要になるため、組み込みのラベルは、製造記録への検証可能な信頼できるリンクを提供することができる。
【0164】
場合によっては、表面にラベルを含んでいる構成部品の位置を特定するために、ラベルの幾何学的メタデータが使用され得る。
【0165】
識別マトリックスなどのデータ・マトリックス・ラベルは、データ・マトリックス・ラベルの境界などに、データ・マトリックス・ラベルの正確な読み取りを支援できる1つまたは複数の登録マークまたは位置合わせマークを含んでよい。
図14Aは、境界マークを提供する識別マトリックスの例を示している。例えば、識別マトリックス14000は、第1のコーナー・マーク14100、第2のコーナー・マーク14200、第3のコーナー・マーク14300、およびデータ・エリア14400を含んでよい。場合によっては、センサー(例えば、カメラ、スキャナー、その他の撮像デバイスなど)が識別マトリックスを識別マトリックスとして検出し、データ・エリアを識別できるように、これら3つのコーナー・マークは、データ・エリアの輪郭を描き、データ・エリアを揃えてよい。代替または追加として、コーナー・マークは、データ・エリアに関する非記号的情報またはメタデータを伝達してよい。具体的には、コーナー・マークの各々、または代替として、コーナー・マークのうちの2つまたは3つの組み合わせが、識別マトリックスを含んでいる部品の姿勢および位置を、作業場と相対的な部品のX、Y、Z、ならびにピッチ、ロール、およびヨーを含む6つの次元で伝達する、位置および/または向きの基準を提供してよい。
【0166】
例えば、識別マトリックスを有効な識別マトリックスとして識別することと、撮像デバイスがデータ・エリア14400を読み取ってデコードする前に、撮像デバイス(カメラ)に対する識別マトリックスの幾何学的位置および画角を定義することとの両方のために、コーナー・マーク14100、14200、および14300が使用され得る。加えて、コーナー・マークは、エンコード済みデータを含んでいるデータ・エリアの境界を識別してもよい。
【0167】
識別マトリックスは、撮像デバイスなどのセンサーによって読み取られ得る。撮像デバイスは、1つまたは複数のプロセッサと、識別マトリックスの読み取り、暗号解読、デコード、および/またはその他の処理(例えば、形状の決定)を実行するために、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令を含んでいるメモリとを備えてよい。代替として、別のコンピューティング・デバイスが、識別マトリックスの読み取り、暗号解読、デコード、および/またはその他の処理を実行してよい。例えば、識別マトリックス内のデータは、組み込みの巡回冗長コードを使用してデコードされて検証されてよい。撮像デバイスおよび/または別のコンピューティング・デバイスの1つまたは複数のプロセッサは、コーナー・マークの幾何学的位置および向きを抽出して特定してよい。
図14Bおよび
図14Cは、識別マトリックスから抽出された幾何学的メタデータの例を示している。
図14Bは分離されたマトリックスを示しており、
図14Cは構成部品の表面上の同じマトリックスを示している。例えば、マトリックス14000の幾何学的メタデータは、基準XYZ座標のコーナー位置14500および基準方位ベクトル14600を含むことができる。
【0168】
マトリックス14000のXY(例えば、X、Y軸)位置は、マトリックスを読み取るセンサーによって最初に識別され、センサーに参照される座標フレームワーク(例えば、XY座標)に計算され得る。例えば、XY座標は、マトリックスを読み取るセンサーのカメラの座標として最初に識別され得る。次に、周知の幾何学的変換を使用して、カメラの座標が作業場の3次元XYZ座標に変換され得る。
【0169】
XYZ座標は、3つの軸(例えば、X、Y、Z軸)の座標点を含んでよい。基準XYZ座標のコーナー位置は、3次元空間内のマトリックスの位置の3次元座標を含んでよい。識別マトリックスが、構成要素と相対的な固定された位置に配置されるように設計されてよいため、マトリックスの位置は、
図4の自律的組み立てプラットフォーム4105などで、作業空間内の構成要素の位置を特定するための高精度な基準コードとして参照され得る。それによって、マトリックスは、材料の取り扱い、仮想取り付け、および作業空間内の構成要素の知識を必要とするその他の適用に役立つ基準座標を提供できる。基準座標は、ロボットの把持、締め付け、掘削、フライス加工、表面処理、ならびにその他の製造工程および処理工程のために、例えば、1つまたは複数の自動コンストラクタおよび/または1つまたは複数の移動補給デバイスを誘導することに、使用され得る。
【0170】
別の態様では、マトリックス画像14000の向きは、
図14Cなどのマトリックス表面の2次元平面内で測定された角度を変換することによって、決定され得る。マトリックス画像およびカメラの世界の位置は、6次元(X-Y-Z、ピッチ-ロール-ヨー)で部品の位置および向きを決定するために十分である。
図14Dは、識別マトリックスのロール角およびピッチ角での変形を示している。方位ベクトル14600を基準として使用して、マトリックスのロール角14700が、方位ベクトル14600の周りの回転角として定義され得る。マトリックスのピッチ角14800は、ピッチ角に垂直なマトリックスの軸の周りの回転角として定義することができ、この軸は、マトリックスの平面内に存在する。マトリックスの単一のセンサーの視界を使用して、両方の角度が同時に測定され得る。例えば、マトリックスのロールおよびピッチの向きは、射影ひずみの測定によって抽出され得る。マトリックスが正確な長方形の形態で製造されていることを知ることができるため、完全な直線からの逸脱(deviation)が、環境の逸脱によって導入されているということが推測され得る。これらの逸脱は、周知のマシンビジョン画像解析およびパターン認識技術を使用して定量的に測定され得る。射影ひずみは、主に、構成部品の向きおよび姿勢角度における変形によって導入される可能性がある。
【0171】
図15Aおよび15Bは、6つのデータ・マトリックス(各図に3つ見えている)でラベル付けされた長方形の一体型部品14010を示しており、各マトリックスは、2つの異なる姿勢で、別々の面(facet)上にある。
図15Aは、長方形の一体型部品を第1の姿勢で示している。
図15Bは、長方形の一体型部品を第2の姿勢で示している。例えば、長方形の一体型部品は、特有のマトリックスを長方形の面の各々に埋め込むように付加製造(例えば、3-Dプリント)され得る。長方形の部品が平坦な表面上にある場合、マトリックスのうちの1つが上方を向く(例えば、
図15Aの面14011、
図15Bの面14012)。これによって、上から見たときに、部品の姿勢の素早い可視の識別が可能になる。
図15Aでは、面14011が上を向いており、第1のマトリックス14000aでラベル付けされている。面14012が前を向いており、第2のマトリックス14000bでラベル付けされており、面14013が右を向いており、第3のマトリックス14000cでラベル付けされている。他の3つの面は、第1の姿勢では見えない。各マトリックス14000a~c上で矢印は、マトリックスの基準方位を示している。長方形の部品の向きは、向きを決定することにおいて追加の情報が冗長になるように、マトリックスのうちのいずれか1つを見ることによって決定され得る。
図15Bでは、面14012が上を向いており、第2のマトリックス14000bでラベル付けされている。面14016が前を向いており、第4のマトリックス14000dでラベル付けされており、面14013が右を向いており、第3のマトリックス14000cでラベル付けされている。他の3つの面は、第2の姿勢では見えない。各マトリックス14000b~d上で矢印は、マトリックスの基準方位を示している。長方形の部品の向きは、向きを決定することにおいて追加の情報が冗長になるように、マトリックスのうちのいずれか1つを見ることによって決定され得る。2つの
図15Aおよび15Bの比較から、
図15Bが、上の方向に回転された
図15Aの同じ長方形の部品であるということが決定され得る。
【0172】
上の例に見られるように、観察者(例えば、撮像デバイス)が、長方形の部品の別の姿勢についての部分的知識を有している場合、いずれか1つの面を1回見ることから、長方形の部品14010の任意の幾何学的運動または回転が推測され、正確に計算され得る。このようにして、マトリックスは、姿勢に関わらず部品の位置および向きを識別できる基準コードとして、機能することができる。マトリックスが見えていて読み取ることが可能である限り、部品の他のどの部分も見る必要がない。上記の例は、6つの面および平坦な表面上の6つの自然な姿勢または静止位置を有する長方形の部品を説明している。6つより少ないか、または多い静止位置を有する部品には、面のうちの1つまたは複数に、可視のマトリックスで適切にラベル付けすることによって、対応することができる。すべての面にラベル付けする必要はない。マトリックスが見えている限り、部品は、位置および向きにおいて識別可能になることができる。例えば、1枚の紙を完全に区別するには、2つのマトリックスのみが必要であることがある。さらに多い面または複雑な形状を有する部品は、さらに多くのマトリックスを必要とすることがある。代替として、複雑な部品には、作業場で追加の撮像デバイス(例えば、カメラ)を使用することによって対応することができる。
【0173】
上記の例から、1つまたは複数の構成部品を識別するための方法が提供される。この方法は、1つまたは複数の部品の存在を検出することと、見えている部品の数を数えることと、見えている部品(例えば、シリアル番号)を分類することと、部品の位置を特定する(例えば、位置および/または向きを測定する)ことと、ある工程を目標として定める(例えば、接近経路および握り位置などを決定する)こととを含んでよい。例えば、自動コンストラクタなどのロボットを誘導して1つまたは複数の工程を実行するために、部品の位置および/または向きが使用されてよい。
【0174】
図16は、6つの構成部品で構成されている組み立て品16000の例を示している。6つの部品の各々は、含まれている特有の識別マトリックスと共に付加製造され得る。各部品上のマトリックス16001、16002、16003、16004、16005、および16006は、各部品の面上に製造され得る。構成部品が一緒に組み立てられるときに、6つのマトリックスはすべて、ほぼ同じ共通の方向を向くことができ、撮像デバイスによって、6つの個別のマトリックスすべてが、組み立て品の一方の側から、単一の照明光源を使用して、1回見ることなどで、読み取ることができるか、または写真で撮影できる。例えば、撮像デバイスによって、単一の照明光源を使用して1回見ることで、完全な構成の棚卸しが実行され、完了されてよい。場合によっては、6つの構成要素の他の面が、(例えば、他の観測角度から見える)類似するマトリックスを含んでよい。部品の複数の面それぞれが、異なる観測角度から見ることができる識別マトリックスを含むように、組み立て品および/または組み立て品の部品を設計することができ、その結果、組み立て品の完全な構成の棚卸しが、組み立て品の多くの側またはすべての側から実行できるようになる。
【0175】
場合によっては、マトリックスは、組み立て品または部分組み立て品の存在を識別するため、ならびにその位置および向きを特定するために使用され得る。この手法は、材料の取り扱い中およびシステムまたはサブシステムの組み立て中に有利に使用され得る。マトリックスのラベル付けのシステムは、より大きい自動化およびロボット・システムを可能にするための制御基盤として使用され得る。この識別システムは、製造、アップグレード、および修理などの1つまたは複数の工程中に、1つまたは複数の工程に関わる1つまたは複数の部品の識別、幾何学的マトリックス・データ、追跡、事前配置、および棚卸しを提供してよい。
【0176】
図17は、空間的に分散された2つのマトリックス17100および17200を含む付加製造された構成要素17000を示している。両方のマトリックスは、構成要素に永続的に添付されてよく、それらの位置は、互いに相対的に安定し得る。2つ以上のマトリックスが構成要素上で見える場合、構成要素上の各マトリックスのXYZ位置が(例えば、構成要素の3-Dモデルの設計から)知られているため、各マトリックスは幾何学的端点を含んでよく、明確に定義された線が、2つの幾何学的端点間に描かれてよい。空間内の線の位置は、高精度におよび高い正確さで識別され得る。
図18は、空間的に分散された3つのマトリックス18400、18500、および18600を含む配置を示している。完全な次元性および追加の精度を提供するために、第3のマトリックスが追加され得る。これら3つのマトリックスは、第1の線18100、第2の線18200、および第3の線18300という3つの線を定義して、3次元空間の平面内に三角形を形成している。システムは、三角形を含んでいる平面によって、3つのマトリックスを含んでいる構成要素の正確な位置および向きを識別してよい。
【0177】
この三角測量手法は、構成要素内の長さおよび/または角度の対応関係などの誤差の測定を通じて、追加の自己チェック能力を提供することができる。測定された(例えば、経験的な)マトリックスのXYZ位置とモデル化された(例えば、理論的な)マトリックスのXYZ位置の間の累積誤差が小さい場合、部品の位置および向きの精度および/または正確さが高いと見なすことができ、その逆も同様である。例えば、誤差推定値を生成するために、いずれか2つのマトリックス間の、各線の経験的および理論的長さが比較されてよい。場合によっては、理論的測定は、CADモデルに対して行われてよい。別の例では、前に開示された手法などを使用して、マトリックスごとに方位ベクトルが測定され得る。局所的変形および誤差を計算するために、いずれか2つのマトリックス間の、マトリックスのベクトルの対間の一致または不一致が使用されてよい。例えば、
図18では、3つのマトリックスが、すべて単一の平面内にあるように示されており、理論的には、3つのマトリックスの3つの方位ベクトルがすべて平行であるはずであるということを示唆している。しかし、実際の物理モデルから行われるマトリックスの測定は、平行でない方位ベクトルを生成する可能性がある。理論的測定と経験的測定の間の差異によって、物理的構成要素のコンピュータ・モデルからの物理的構成要素の変動を推定することができる。
【0178】
(例えば、コンピュータ・モデルの)理論的測定値からの(例えば、物理的構成要素の)経験的測定値のずれは、測定誤差、誤った較正、レンズ収差、数値計算誤差および変換誤差、環境誤差および/または系統的誤差、あるいはその他の影響(例えば、不正)を含む、複数の理由から生じる可能性がある。精密に製造されたモデルの構成要素が、センサー測定システムの信頼性の試験に使用されてよい。例えば、適切に較正されたシステムは、比較的狭い動作範囲に広がる誤差の特徴を示すことが期待され得る。比較的狭い範囲に含まれるランダムな誤差の挙動は、システムが適切に動作できることを示唆していることがある。別の例では、較正のドリフト、または誤った較正が、誤差の範囲を大幅に、検出できるほどに、増やすことがある。誤差の広がりにおける増加は、有用な早期警告およびシステム(例えば、センサー、3-Dプリンティング)の故障の指示を有利に提供することができる。例えば、取り付け位置が変更またはシフトされたセンサーは、非常に大きい誤差を導入する。
【0179】
場合によっては、精密に製造されたモデルの構成要素と比較した場合の、偽造された部品の誤差の形状の特徴によって、不正な部品または偽造された部品を検出することができる。例えば、偽造者によって行われた共通の誤りは、偽造された製品の両面に存在する離れた特徴に関する、低精度の幾何学的登録であることがある。例えば、
図15Aで、偽造された製品のマトリックス14000a~cの位置および向きは、複数の誤差の症状を含むことがある。それらの症状は、製造欠陥、環境または温度の変動または損傷、および不正な部品または偽造された部品の検出および診断に役立つことがある。
【0180】
場合によっては、偽造された製品を区別するために、サブテキスト・コーディングが使用され得る。固体物体上の複数のマトリックスが、偽造防止のための機構を提供することができ、不正な部品の迅速な検査および検出を可能にする。この機構は、非記号的かつ非デジタルであることができる。付加製造は、マトリックスの寸法において微細な調整を行うことを可能にすることができる。そのような1つの寸法は、平坦なプリントされる平面上のマトリックスのXY変位であり得る。例えば、
図15Aで、第1のマトリックス14000aの位置および向きが、長方形の部品の適合または機能に影響を与えずにプリントされる平面内で容易にずれることができる。このオフセットは、
図18に従って、刻み込まれた測定対象の三角形であって、この場合、マトリックス14000a~cによって形成される三角形であることができる三角形の、線の長さにおける攪乱を導入することができる。例えば、意図的に導入されたずれは、2つのマトリックス14000aと14000bの間の線の長さを意図的に長くすることができる。このずれを、部品のコンピュータ・モデルに記録し、製造された部品に反映することができる。偽造者が、導入されたずれを検出することも測定することもできないか、またはそれが困難であるということが分かるように、このずれに関する情報を隠すことができる。場合によっては、異なるずれを他の類似する部品に導入することができ、それによって、偽造者が、同様にマーク付けされた多数の部品を調べた後であっても、部品上の1つまたは複数のマトリックスを調査することによってずれに関して学習するのを、さらに困難にすることができる。しかし、特定のずれは、部品のルーティング構成スキャンなどの間に、システムに固有のセンサーには容易に明らかになることができ、検出され得る。
【0181】
この手法は、幾何学的メタデータ項目間でエンコードすることによって、同一性検証データを「隠す」ことができ、それによって幾何学的メタデータの知識を有するシステムに即時の検証を提供し、幾何学的データの知識を有していない不正なシステムに対する抵抗を提供する。この偽造防止機構は、不正な部品の検出を大幅に簡略化し、高速化することができ、許可されたユーザにとって安価であり得る。この偽造防止機構は、偽造者に対するコスト障壁および複雑さの障壁を構築することができ、それによって、本物の製造された製品および交換部品に関連する不正を防止する。
【0182】
図21は、例示的なレーザー切断工程を示している。この工程は、例えば、
図2のステップ2200のレーザー切断工程に関連して発生してよい。自動コンストラクタ2102および2104は、それぞれエフェクタ2100aおよび2100bを備えている。例示的なCOTS炭素繊維パネルが、COTS受け取りエリア2209またはCOTS製造エリア2800(
図2)からレーザー切断ステーション2200に提供される。自動コンストラクタ2102、2104は、パネル2106の切断に関する命令および仕様を受信してよく、その結果、パネルの切断を実行するためのエフェクタ2100aおよび2100bがまだ取り付けられていない場合は、それらを取り付けてよい。その結果、切断されたパネルが、さらに処理するために、シャーシ構築ライン2300(
図2)または別の適切な位置に提供されてよい。
【0183】
図22は、節または突き出しを含むパネルの組み立てのための例示的な自動工程を示している。この工程は、例えば、車体組み立てエリア、2600、2650(
図2)、全体的組み立て2500、または別の適切な位置で発生してよい。ここで、自動コンストラクタ2202、2204は、COTS炭素繊維パネル2206を操作して、節または突き出しを含むパネルの組み立ておよび/または取り付けを実行するために、エフェクタを自分自身で装着している。この図では、パネル2206の端部が突き出し2208を含んでいる。自動コンストラクタ2202、2204は、自律的機械学習プログラムまたは制御ステーションからの指示を使用して、連携してパネル2206を組み立て、突き出し2208を適切な位置に挿入する。
【0184】
図23は、
図21に類似する、組み立てステーションで実行されている例示的なレーザー切断工程を示している。
図23は、自動コンストラクタ2302、2304、2306、2308によって加工されている、組み立てライン上のパネル2310a、2310bを含んでよい。実施形態例では、パネル2310a、2310bが移動式組み立てライン上で輸送されており、パネル・セグメントが輸送されながら、レーザー切断工程が発生している。他の実施形態では、パネル2310a、2310bが、移動車両、自動コンストラクタ、手動、またはその他の手段によって、ステーションに到着してよい。
【0185】
図24は、組み立てステーションで実行されている接着剤の塗布のための例示的な工程を示している。
図24は、シャーシ構築ライン2300(
図2)で実行されてよい機能の例である。自動コンストラクタ2402、2404、2406、2408、および2412は、節を構築して他の部品を組み立てるために、接着剤をカーボン・シート2410に塗布している。自動コンストラクタ間の分業が含まれてよく、例えば、一部の自動コンストラクタがエフェクタを装着してカーボン・シートを移動するか、またはその他の方法でカーボン・シートを操作し、他の自動コンストラクタがエフェクタを装着して接着剤を塗布するようにする。他の実施形態では、カーボン・シートまたはその他の材料が、自動組み立てライン上を移動可能であってよい。1つの実施形態例では、工程全体が自動化されてよい。
【0186】
図25は、突き出しを節に接着して組み立てるために協調している複数の自動コンストラクタによって実行される例示的な工程を示している。節、節組み立て品、または節ネットワーク2516は、自動コンストラクタ2502、2508、2510、および2512が突き出しを節2516に当てているステーションに置かれている。例えば、自動コンストラクタ2512は、突き出し2520を節2516の部分2518に組み立てるためのエフェクタを装着している。次に、自動コンストラクタ2504、2506は、突き出しが組み立てられた後に、パネル2522またはその他の構成要素を順番に当ててよい。この工程は、シャーシ構築2300、全体的組み立て2500、またはその他の適切なエリアまたはステーション(
図2)の一部として発生してよい。
【0187】
図26は、車両のサスペンションをシャーシに組み立てるために複数の自動コンストラクタ2602、2604、2606、2608によって実行される例示的な工程を示している。この工程は、例えば、シャーシ構築ライン2300、全体的組み立て2500、車体組み立て2600、2650、または別の適切なエリア(
図2)において実行されてよい。
図26を参照すると、複数の自動コンストラクタが連携してサスペンション・システム(部分的に視界から隠されている)をシャーシ2620に組み立てているのが、理解され得る。
【0188】
図27は、シャーシ2704の上に車体2702を降ろす工程において複数の自動コンストラクタ2706、2708、2710によって実行される例示的な工程を示している。この工程は、例えば全体的組み立て2500(
図2)において発生してよい。この例では、自動コンストラクタ2706、2710は、車体2702を操作してシャーシ2704に挿入するために、工具またはエフェクタを備えている。実施形態に応じて、工程は部分的または全体的に自動化されてよい。
【0189】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載されたさまざまな態様を実践できるようにするために、提供されている。本開示全体を通じて提示されたこれらの実施形態例に対するさまざまな変更が、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書で開示された概念は、輸送構造物の構成要素の3-Dプリンティングのためのその他の技術に適用されてよい。したがって、特許請求の範囲は、本開示全体を通じて提示された実施形態例に限定されるよう意図されておらず、文言の特許請求の範囲と一致する全範囲に合致する。当業者にとって既知であるか、または後で既知になる、本開示全体を通じて説明された実施形態例の要素と構造的または機能的に同等のすべてのものが、特許請求の範囲に包含されるよう意図されている。さらに、本明細書で開示されたいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されているかどうかに関わらず、公衆に提供されるよう意図されていない。特許請求の要素は、「手段」という語句を使用してその要素が明示的に列挙されない限り、または方法のクレームの場合は、「~のステップ」という語句を使用してその要素が列挙されない限り、米国特許法第112条(f)または適用可能な管轄区域内の類似した法律の規定に従うと解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送構造物のための自動組み立てシステムであって、
前記輸送構造物を製造して組み立てるための複数の自動コンストラクタを備えており、前記複数の自動コンストラクタのうちの第1の自動コンストラクタが、構成要素の少なくとも一部をプリントし、前記構成要素を、前記複数の自動コンストラクタのうちの第2の自動コンストラクタに移動して、前記輸送構造物の前記組み立て中に取り付けるために、3次元(3-D)プリンタを備えている、自動組み立てシステム。
【請求項2】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも一部が、制御システムの誘導の下で、自動化された方法で複数のステーション間を移動するように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項3】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも一部は、前記複数の自動コンストラクタのうちの前記少なくとも一部の各々が1つまたは複数の機械学習機能を適応的にそれぞれ実行できるように構成されている1つまたは複数のセンサーを備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の機械学習機能が、プリントの移動パターンを最適化することと、プリント・ヘッドの運動制御を可能にすることと、材料の開発、構造最適化のためにオンザフライでプリントすることと、車両組み立てのための工具を自動的に受け取ることとのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項3に記載の自動組み立てシステム。
【請求項5】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタが、前記構成要素を前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタに移動するように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項6】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタが、前記構成要素を前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから移動して、前記構成要素を取り付けるように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項7】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタから前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第2の自動コンストラクタへの前記構成要素の前記移動を含めて、前記輸送構造物の前記組み立て中に前記自動コンストラクタを制御するためのコントローラをさらに備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項8】
前記輸送構造物の前記組み立て中に前記輸送構造物を複数のステーション間で移動するために、前記複数のステーションおよび自動輸送システムをさらに備えている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項9】
前記複数の自動コンストラクタのうちの少なくとも1つが、前記輸送構造物の前記組み立て中に前記複数のステーションのうちの2つ以上の間を移動するように構成されている、請求項8に記載の自動組み立てシステム。
【請求項10】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記第1の自動コンストラクタが、前記輸送構造物の前記組み立て中に複数のステーションのうちの2つ以上の間を移動するように構成されている、請求項5に記載の自動組み立てシステム。
【請求項11】
前記複数の自動コンストラクタのうちの第3の自動コンストラクタが、ロボット・アームの先端部にあるロボットのエフェクタと共に前記ロボット・アームを有する自動ロボット装置を備えており、前記ロボットのエフェクタが、前記輸送構造物の前記組み立て中に使用するために構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項12】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記少なくとも1つが、前記ロボット・アームを別のロボット・アームと自動的に交換するように構成されている、請求項11に記載の自動組み立てシステム。
【請求項13】
前記複数の自動コンストラクタのうちの前記少なくとも1つが、前記ロボットのエフェクタを別のロボットのエフェクタと自動的に交換するように構成されている、請求項11に記載の自動組み立てシステム。
【請求項14】
前記3-Dプリンタが、構成要素の第1の部分を前記構成要素のプリントされない第2の部分にプリントすることによって前記構成要素の少なくとも一部をプリントするように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【請求項15】
前記3-Dプリンタが、構成要素を別の構造に相互接続するように構成された相互接続をプリントすることによって前記構成要素の少なくとも一部をプリントするように構成されている、請求項1に記載の自動組み立てシステム。
【外国語明細書】