(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051904
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセス
(51)【国際特許分類】
B22F 9/08 20060101AFI20230404BHJP
C22C 13/00 20060101ALN20230404BHJP
C22C 12/00 20060101ALN20230404BHJP
C22C 28/00 20060101ALN20230404BHJP
B23K 35/26 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
B22F9/08 A
C22C13/00
C22C12/00
C22C28/00 B
B23K35/26 310A
B23K35/26 310C
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022189250
(22)【出願日】2022-11-28
(62)【分割の表示】P 2021030056の分割
【原出願日】2017-05-05
(31)【優先権主張番号】62/378,734
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519063680
【氏名又は名称】5エヌ プラス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サン-ローラン,シルバン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シージュウ
(72)【発明者】
【氏名】リ,フゥイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスおよび装置を提供する。
【解決手段】50℃~500℃の融点を有する、金属粉末、Se粉末、Te粉末、又は合金粉末を製造するためのアトマイズプロセスであって、供給管210を通して低融点金属または合金の溶融物を提供すること、溶融物を供給管の中心軸に対して10°~90°の分流角で分流させてアトマイズチャンバのアトマイズゾーン230中への分流溶融物を得ること、ならびに少なくとも1つのアトマイズガスストリームを300m/sを超える速度でかつアトマイズする金属または合金の単位体積あたり少なくとも1つのアトマイズガスストリームの体積の比で提供することを含む、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスが提供される。プロセスはアトマイズチャンバ内にて、水の存在下で実施できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスであって、
供給管を通して前記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;
前記溶融物を前記供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて分流溶融物を得ること;
前記分流溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびに
少なくとも1つのアトマイズガスストリームを前記アトマイズエリアに提供すること
を含み、
前記アトマイズプロセスは前記アトマイズプロセスのために使用されるアトマイズチャンバ内にて水の存在下で実施される、プロセス。
【請求項2】
低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスであって、
供給管を通して前記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;
前記溶融物をダイバータを通してアトマイズエリアに送達させること;
少なくとも1つのアトマイズガスストリームを前記アトマイズエリアに提供すること;
前記アトマイズプロセスのために使用されるアトマイズチャンバに水を送達させること
を含み、
前記アトマイズエリアに送達される前に、前記溶融物は前記ダイバータ中で前記供給管の中心軸に対してある分流角で分流される、プロセス。
【請求項3】
低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスであって、
供給管を通して前記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;
前記溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびに
前記アトマイズエリアに、少なくとも300m/sの平均ガス速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること
を含み、
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記低融点金属の比はアトマイズする金属の1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって20ミクロン未満の平均粒子直径および約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末の分布を提供する、プロセス。
【請求項4】
低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスであって、
供給管を通して前記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;
任意で前記溶融物を前記供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて任意で分流された溶融物を得ること;
前記任意で分流された溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびに
前記アトマイズエリアに、少なくとも300m/sの速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること
を含み、
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記低融点金属の比はアトマイズする金属の1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズの分布を提供する、プロセス。
【請求項5】
前記分流角(90-β)は約30~約70°である、請求項1、2または4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記分流角は約10~約90°である、請求項1、2または4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アトマイズガスと前記溶融物の間で形成される角度は約10~約90°である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記アトマイズガスと前記溶融物の間で形成される角度は約40~約90°である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスは低融点金属を提供することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記低融点金属は約150℃~約500℃の融点を有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記低融点金属の比はアトマイズする金属の1cm3あたり約10000~約20000cm3のガスである、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記低融点金属の比はアトマイズする金属の1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスである、請求項8~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記低融点金属はZn、In、Sn、Pb、Se、Te、およびBiから選択される元素である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記プロセスは低融点合金を提供することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記低融点合金は約75℃~約500℃の液相線を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記低融点合金は約100℃~約300℃の液相線を有する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
アトマイズガス対前記低融点合金の比は金属の1cm3あたり約10000~約20000cm3のガスである、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
アトマイズガス対前記低融点合金の比は金属の1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスである、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記低融点合金はCu、Sb、Zn、In、Mg、Sn、Pb、Ag、Se、Te、Ga、およびBiから選択される少なくとも1つの元素を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記アトマイズガスストリームは約300m/s~約700m/sの速度を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記アトマイズガスストリームは約450m/s~約600m/sの速度を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記アトマイズガスストリームは超音速を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記アトマイズガスは前記アトマイズヘッドに対して非垂直に配向される少なくとも1つのガス入口を通してアトマイズヘッドに送達され、前記ガス入口はガス出口の前に前記アトマイズヘッドにおいて旋回運動を提供する、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記アトマイズヘッドへの少なくとも2つのガス入口は前記供給管の中心軸に対してオフセットされ、前記アトマイズエリアにおいて前記中心軸周りに動的回転効果を生成する、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
よって約2.0以下の幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布を提供する、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
よって約1.5~約1.8の幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布を提供する、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記アトマイズチャンバは約0~約20%の酸素を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記水は前記水の酸化還元電位を低減するために少なくとも1つの添加物を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記水の酸化還元電位は前記アトマイゼーション前に低減されている、請求項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記アトマイズチャンバにおいて使用される前記水の温度は前記アトマイズプロセスにおける粉末酸化を低減するように低下される、請求項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記低融点金属の前記溶融物は少なくとも1つの溶融物分流チャネルを通して分流されかつ前記分流角は前記供給管の中心軸と前記少なくとも1つの溶融物分流チャネルの間で形成される、請求項1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記合金溶融物は少なくとも2つの溶融物分流チャネルを通して分流されかつ前記分流角は前記供給管の中心軸と前記少なくとも2つの溶融物分流チャネルの間で形成される、請求項1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
少なくとも1つの水の噴流は前記アトマイズチャンバ中に噴霧される、請求項1~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記少なくとも1つの水の噴流は前記アトマイズチャンバの少なくとも1つの壁上に噴霧される、請求項33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
よって約20μm未満の平均粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
よって約10μm未満の平均粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
よって約3μm~約20μmの平均粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
よって前記粉末の少なくとも約70%が約25μm未満の平均粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
よって前記粉末の少なくとも約80%が約25μm未満の平均粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
よって前記粉末の少なくとも約85%が約25μm未満の粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項41】
よって前記粉末の少なくとも約70%が約1μm~約15μmの粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
よって前記粉末の少なくとも約75%が約1μm~約15μmの平均粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
よって前記粉末の少なくとも約80%が約1μm~約15μmの粒子サイズを有する粉末を提供する、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項44】
前記生成される粉末は粉末酸化を回避するために真空乾燥される、請求項1~43のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項45】
前記生成される粉末は乾燥段階の前にほとんどの水を除去するために有機溶媒で洗浄される、請求項1~44のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項46】
低融点金属または合金粉末を製造するためのアトマイズ装置であって、
前記低融点金属または合金の溶融物を提供するための供給管;
前記溶融物を前記供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて分流溶融物を得るため、かつ前記分流溶融物を前記アトマイズ装置のアトマイズエリアに向かわせるための、前記供給管と流体連絡された、ダイバータ;
少なくとも1つのアトマイズガスストリームを前記アトマイズチャンバの内側に配置された前記アトマイズエリアに提供するための少なくとも1つのアトマイズガス注入器;ならびに
水を前記アトマイズ装置のアトマイズチャンバ内で提供するための少なくとも1つの水入口
を含む装置。
【請求項47】
前記ダイバータは溶融物分流導管を含み、前記分流導管は前記供給管の中心軸に対してある分流角で配向される、請求項46に記載のアトマイズ装置。
【請求項48】
前記ダイバータは少なくとも2つの溶融物分流導管を含み、前記少なくとも2つの溶融物分流導管の各々は前記供給管の中心軸に対してある分流角で配向される、請求項46に記載のアトマイズ装置。
【請求項49】
少なくとも1つのガス入口をさらに含み、前記少なくとも1つのガス入口は前記アトマイズヘッドにおける旋回運動ならびに前記アトマイズエリアおよび前記アトマイズチャンバにおける動的回転運動を提供するように前記アトマイズヘッドに対し非垂直である、請求項46~48のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【請求項50】
少なくとも1つの非垂直ガス入口は前記アトマイズヘッドにおいて円形流を生成し前記アトマイズエリアおよび前記アトマイズチャンバにおけるガスの動的回転運動をもたらす、請求項46~48のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【請求項51】
少なくとも2つのガス入口は前記アトマイズヘッドに対し非垂直であり前記アトマイズヘッドにおける旋回効果ならびに前記アトマイズエリアおよび前記アトマイズチャンバにおける動的回転効果を生成する、請求項46~48のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【請求項52】
前記少なくとも1つの水入口は前記アトマイズチャンバの内側に配置される、請求項46~48のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【請求項53】
前記少なくとも1つの水入口は前記粉末を冷却するための水を提供するのに好適である、請求項46~52のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【請求項54】
前記少なくとも1つの水入口は前記粉末を前記ふるい分け/乾燥エリアに輸送するための水を提供するのに好適である、請求項46~52のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【請求項55】
前記少なくとも1つの水入口は前記粉末の選別/ふるい分けを促進するための水を提供するのに好適である、請求項46~52のいずれか一項に記載のアトマイズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年8月24日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第62/378,734号の優先権の恩典を主張する。この文書はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、電子産業、金属射出成形、溶射、溶射溶接、3Dプリンティングにおける適用のための金属微粉末の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年の間に、電子装置および部品のサイズは著しく低減された。これは、そのような装置の内部部品およびメタライゼーションの寸法に直接的影響を有する。はんだペーストが、電子装置内部の異なる部品間または層間の点接触のために広く使用される。これらのペーストは、適正な溶融および他の部品への接着を確保するために、金属粉末およびフラックスから構成される。はんだ用ペースト中の金属成分は、一般に「低融点合金」または「低融点金属」の形態であり、そのような金属粉末のサイズ分布は点接触のサイズに依存する。より小さい電子装置および部品はより小さい接触を必要とし、このため、より小さなサイズ分布を有する金属粉末を有するはんだペーストに対する高まる需要が見られる。主に20ミクロン未満、さらには10ミクロン未満の粒子サイズ分布が要求される、または要請されることは珍しくない。
【0004】
金属射出成形、溶射、溶射溶接、3Dプリンティングおよび他多数などの、金属微粉末について複数の他の用途がある。
【0005】
従来の技術(アトマイゼーション、遠心崩壊、水アトマイズ法…)は微粉末を生成できるが、粒子サイズ標準偏差および粒子の球形状は低融点合金から到達することは困難である。このため、しばしば、これらの技術からの規定されたサイズ画分での生成粉末の回収が低くなる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は低融点を有する金属粉末のための新規生成プロセスを記載する。このプロセスは粒子直径についての標準偏差が小さい球状微粉末を生成する。
【0007】
第1の態様では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスが提供される。少なくとも1つの実施形態では、プロセスは下記を含み得る:供給管を通して前記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;前記溶融物を供給管の中心軸に対して分流角(ダイバート角、diverting angle)で分流(divert)させて分流溶融物を得ること;分流溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびに、少なくとも1つのアトマイズガスストリームをアトマイズエリアに提供すること。
【0008】
アトマイズプロセスは、上記アトマイズプロセスのために使用されるアトマイズチャンバ内にて、水の存在下で実施され得る。
【0009】
第2の態様では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスが提供される。プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;上記溶融物をダイバータを通してアトマイズエリアに送達させること;少なくとも1つのアトマイズガスストリームをアトマイズエリアに提供すること;ならびに上記アトマイズプロセスのために使用されるアトマイズチャンバに水を送達させること、を含み得る。そのようなプロセスでは、アトマイズエリアに送達される前に、溶融物はダイバータ中で供給管の中心軸に対してある分流角で分流され得る。
【0010】
第3の態様では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスが提供される。プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの平均ガス速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供することであって、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって20ミクロン未満の平均粒子直径および約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末の分布をもたらす、少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含み得る。
【0011】
第4の態様では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスが提供される。プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;任意で上記溶融物を供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて任意で分流された溶融物を得ること;任意で分流された溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供することであって、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって、約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズの分布をもたらす、少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含み得る。
【0012】
本明細書で記載される様々な実施形態をよりよく理解するために、および、これらの様々な実施形態がどのように実行され得るかをより明確に示すために、例として、少なくとも1つの実施形態例を示す添付の図面に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】少なくとも1つの実施形態による、アトマイズプロセスに関与する工程を示すブロック図である。
【
図2】少なくとも1つの実施形態による、アトマイズエリアに溶融物を提供するための分流チャネルを有する供給管を有する、アトマイズノズルの概略側面図を示す。
【
図3】少なくとも1つの実施形態による、ガス入口上での接線ガス入射を示すアトマイズチャンバの斜視図を示す。
【
図4A】実施例1で得られた粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、タイプ5粉末(15-25μm)を示す。
【
図4B】実施例1で得られた粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、タイプ7粉末(1-11μm)を示す。
【
図5A】実施例3で得られた粉末のSEM写真であり、タイプ5粉末(15-25μm)を示す。
【
図5B】実施例3で得られた粉末のSEM写真であり、タイプ6粉末(5-15μm)を示す。
【
図6】実施例4で得られた粉末(7-25μm)のSEM写真を示す。
【
図7A】実施例5で得られた粉末のSEM写真であり、+25μm粉末を示す。
【
図7B】実施例5で得られた粉末のSEM写真であり、-25μm/+10μm粉末を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記実施例は非制限的様式で提供される。
【0015】
「低融点金属」という表現は、本明細書では、約50℃~約500℃の融点温度を有する金属を指す。
【0016】
「低融点合金」という表現は、本明細書では、約50℃~約500℃の液相線温度を有する合金を指す。
【0017】
金属微粉末の生成では、生成物品質に影響を与え得るいくつかのパラメータが存在する。粉末を特徴付けるために使用されるパラメータのいくつかとしては、平均サイズ分布、サイズ分布の標準偏差、予め規定されたサイズを超える/それ未満のより粗い粒子およびより微細な粒子の割合、粉末の真球度、金属不純物のレベルおよび酸素レベルが挙げられる。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、分流角(90-β)は約30~約70°であってよい。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、分流角は約10~約90°であってよい。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスと溶融物の間で形成される角度は約10~約90°であってよい。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスと溶融物の間で形成される角度は約40~約90°であってよい。
【0022】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスは低融点金属を提供することを含み得る。
【0023】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属は、約150℃~約500℃の融点を有し得る。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比は、アトマイズする金属1cm3あたり約10000~約20000cm3のガスであってよい。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比は、アトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであってよい。
【0026】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属は、Zn、In、Sn、Pb、Se、Te、およびBiから選択される元素であってよい。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスは低融点合金を提供することを含み得る。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、低融点合金は約75℃~約500℃の液相線を有し得る。
【0029】
少なくとも1つの実施形態では、低融点合金は約100℃~約300℃の液相線を有し得る。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガス対低融点合金の比は金属1cm3あたり約10000~約20000cm3のガスであってよい。
【0031】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガス対低融点合金の比は、金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであってよい。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、低融点合金(low meting alloy)は、Cu、Sb、Zn、In、Mg、Sn、Pb、Ag、Se、Te、Ga、およびBiから選択される少なくとも1つの元素を含んでよい。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスストリームは約300m/s~約700m/sの速度を有し得る。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスストリームは約450m/s~約600m/sの速度を有し得る。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスストリームは超音速を有し得る。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスは、アトマイズヘッドに対して非垂直に配向された少なくとも1つのガス入口を通してアトマイズヘッドに送達されてよく、ガス入口は、ガスが出ていく前にアトマイズヘッドにおいて旋回運動を提供する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも2つのガス注入器は供給管の中心軸に対してオフセットされてよく、アトマイズエリアにおいて中心軸周りに動的回転効果を生成する。
【0038】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスはよって、約1.8以下の幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布を提供し得る。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスはよって、約1.5~約1.8の幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布を提供し得る。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズチャンバは約0~約20%の酸素を含み得る。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、水は水の酸化還元電位を低減するために少なくとも1つの添加物を含み得る。
【0042】
少なくとも1つの実施形態では、水の酸化還元電位はアトマイゼーション前に低減されている。
【0043】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズチャンバにおいて使用される水の温度はアトマイズプロセスにおける粉末酸化を低減するように低下される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスはよって、約3ミクロン~約20ミクロンの直径の粉末平均粒子サイズを提供し得る。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、上記低融点金属の溶融物は少なくとも1つの溶融物分流チャネルを通して分流され得、分流角が供給管の中心軸と少なくとも1つの溶融物分流チャネルの間で形成され得る。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、合金溶融物は少なくとも2つの溶融物分流チャネルを通して分流され得、分流角が供給管の中心軸と少なくとも2つの溶融物分流チャネルの間で形成され得る。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水の噴流がアトマイズチャンバ中に噴霧され得る。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水の噴流がアトマイズチャンバの少なくとも1つの壁上に噴霧され得る。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスはよって、約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有する粉末を提供し得る。
【0050】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスはよって、約10ミクロン未満の平均粒子サイズを有する粉末を提供し得る。
【0051】
少なくとも1つの実施形態では、生成された粉末は粉末酸化を回避するために真空乾燥され得る。
【0052】
少なくとも1つの実施形態では、生成された粉末は乾燥段階の前にほとんどの水を除去するために、有機溶媒で洗浄され得る。
【0053】
第5の態様では、低融点金属または合金粉末を製造するためのアトマイズ装置が提供される。装置は下記を含み得る:上記低融点金属または合金の溶融物を提供するための供給管;溶融物を供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて分流溶融物を得るための、かつ分流溶融物をアトマイズ装置のアトマイズエリアに向かわせるための、上記供給管と流体連絡されたダイバータ;アトマイズチャンバの内側に配置されたアトマイズエリアに少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供するための少なくとも1つのアトマイズガス注入器;ならびに、上記アトマイズ装置のアトマイズチャンバ内で水を提供するための少なくとも1つの水入口。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、ダイバータは溶融物分流導管を含んでよく、分流導管は供給管の中心軸に対してある分流角で配向される。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、ダイバータは、少なくとも2つの溶融物分流導管を含んでよく、少なくとも2つの溶融物分流導管の各々は供給管の中心軸に対してある分流角で配向される。
【0056】
少なくとも1つの実施形態では、装置は、少なくとも1つのガス入口を含んでよく、少なくとも1つのガス入口はアトマイズヘッドにおける旋回運動ならびにアトマイズエリアおよびアトマイズチャンバにおける動的回転運動を提供するようにアトマイズヘッドに対し非垂直である。
【0057】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの非垂直ガス入口はアトマイズヘッド中で円形流を生成でき、アトマイズエリアおよびアトマイズチャンバにおけるガスの動的回転運動をもたらす。
【0058】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも2つのガス入口はアトマイズヘッドに対し非垂直であってよく、アトマイズヘッドにおける旋回効果ならびにアトマイズエリアおよびアトマイズチャンバにおける動的回転効果を生成する。
【0059】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口は、アトマイズチャンバの内側に配置され得る。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口は上記粉末を冷却するための水を提供するのに好適であり得る。
【0061】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口は、上記粉末をふるい分け/乾燥エリアに輸送するための水を提供するのに好適であり得る。
【0062】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口は、上記粉末の選別/ふるい分けを促進するための水を提供するのに好適であり得る。
【0063】
記載されるプロセスは公知の概念、アトマイゼーションに基づくが、いくつかの特定の改善を有する。これらの改善は、アトマイズヘッド動作パラメータ、アトマイズチャンバ構成および最終生成物梱包前の粉末の後処理の手段(回収、ふるい分けおよび乾燥)に対する変更を含む。プロセスは高度生成物品質および高いプロセス性能に到達するように設計される。
【0064】
図1は、少なくとも1つの実施形態による、アトマイズプロセスに関与する装置および工程のブロック
図100を示す。
図1は溶融炉102、アトマイズノズル200、アトマイズチャンバ108、粉末回収システム112およびふるい分けシステム114を示す。
【0065】
このプロセスを用いて生成されるほとんどの低融点合金および/または低融点金属は酸化に敏感であり、よって、アトマイズガスは、便宜的に不活性ガスであり得る。系は一般に、アトマイズチャンバ108中で21%よりずっと低い酸素レベルにて不活性に近い条件で維持され得る。運転費を抑えるために、このガスはプロセスにおいて精製/リサイクルされ得る。
【0066】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズ製造プロセスはアトマイズノズル200により実施され得、そこでアトマイズガスは、本明細書で記載される特定の条件で金属流と交わる。
図1では、アトマイズノズル200の概略側面図も示され、そこでは溶融金属は、アトマイズゾーンでアトマイズガスと接触し得る。
【0067】
金属は微粉末で固化されるとすぐに、ふるい分けされ、梱包される。
【0068】
図1を参照して、いくらかの水がサイドノズル120および122を通してアトマイズチャンバ108に添加されて粉末の回収を助け、かつ粉末および水の液体混合物をふるい分けエリア114に届け得るる。これらの水添加サイドノズル120および122は、粉末の冷却を助け、かつアトマイズチャンバ壁上での粒子の接着/変形を回避するためにアトマイズチャンバ壁に向かって配向されてよく、またはアトマイズエリア内に配置されてよい。水もまた、粉末回収およびふるい分けを容易にするために添加できる。生成された粉末はその後、ふるい分けされ、乾燥され得る。液体流からの粉末の大半の回収後、粉末の大半はフィルタープレス116中に移行して、水リサイクル/廃棄の前に懸濁液中の残りの粉末全てを回収する。
【0069】
最適化製造プロセス中に生成される粉末のサイズ分布は、アトマイズガスが金属に命中する速度に影響され得る。この関連で、アトマイズガスのより高い速度は、粉末のより低いサイズ分布をもたらす。アトマイズノズル200が適正に設計されていない場合、必要な条件で(アトマイズガスの速度および体積)アトマイズガスと交わる金属の量が少なくなり、生成される粉末のサイズおよび形状でより大きな変動が観察され得る。低融点金属/合金とアトマイズガスの間の密接な接触もまた重要である。
【0070】
図2は、アトマイズノズル200の概略側面図を示す。アトマイズノズル200は、溶融物をアトマイズエリア230において提供するために、分流チャネル216を有する供給管210を有する。
【0071】
図2で示されるように、本明細書で記載されるアトマイズノズルは、溶融炉102とアトマイズエリア230の間に配置される供給管210を含み、それはダイバータ216(本明細書では分流チャネル216とも呼ばれる)を備える。このダイバータ216の役割は、アトマイズゾーン230において金属とガスの間のより良好な接触を提供することである。
【0072】
金属は、γ=90-β+αで規定されるシヤー角(sheer angle)γでアトマイズガスストリームに衝突される。このアプローチはアトマイズプロセスを改善するための追加のパラメータを提供する:β角、ならびにダイバータチャネル216の直径および数。
【0073】
少なくとも1つの実施形態では、金属は、約20~約60°であるβ角でアトマイズエリア230において分流され得る。例えば、アトマイズガスはアトマイズエリア230に、約20~約35°のα角で提供され得る。
【0074】
例えば、シヤー角γが約90°、または少なくとも約60~約120°である場合、アトマイゼーションは、増強されたガスの金属への接触およびより高いシヤーエネルギー(sheer energy)により改善され得る。
【0075】
溶融物分流角もまた、本明細書で90-βとして規定される。
【0076】
供給管210に対してアトマイズガスが提供され得るα角もまた、他の制限を有し得る。例えば、角αが60°を超えると、アトマイズチャンバ壁上でのアトマイズガスのほとんど直接の投射は、より大きなアトマイズチャンバ直径を必要とする可能性がある。
【0077】
例えば、α角は約20~約45°という低さであってよい。
【0078】
例えば、α角は約20~約45°より低くてよい。
【0079】
少なくとも1つの実施形態では、α角は約0~約90°;約10~約50;約15~約50;約20~約50であってよい。
【0080】
少なくとも1つの実施形態では、α角は約20~約45°であってよく、ここで、2αは約40°~約90°であってよい。少なくとも1つの実施形態では、α角は約20~約40;約30~約45であってよい。
【0081】
金属/合金にアトマイズガスが命中するとすぐに、小粒子が形成される。それらの粒子間の衝突はサテライト(多くの粒子が共に連結される)を生成する可能性があり、非球形金属粒子を生成する可能性もあり、それらのどちらも回避する、および/または低減もしくは防止する必要がある。これは、αおよびβ角、ならびに平均アトマイズガス速度および分散因子を変更することにより部分的に行われ得る。
【0082】
固化前の衝突を回避するために、アトマイズガス中の粒子の密度は、適切な範囲で制御される必要がある。例えば、1立方センチメートル(cc)の金属が、1M3のアトマイズガス中10ミクロン直径の球状粒子でアトマイズされる場合、プルーム中の粒子の密度は190万/M3である。金属1立方センチメートルあたり5M3のガスの使用はこの密度を5倍低減させるであろう。そのため、金属体積あたりのガス体積の最適範囲は、衝突を回避するため、また、金属を小滴に粉砕するシヤーエネルギーを提供するために重要であり、また、小滴を迅速に固化させるための適正な熱交換メカニズムを提供する。金属/合金1立方センチメートルあたり5000~30000cm3のアトマイズガスの使用が、低融点金属/合金の微粉末(20ミクロン未満)の生成のために適切であると見出された。
【0083】
速度および分散が、アトマイズ結果(微粉度ならびにサテライトおよびアトマイズされていない金属/合金の回避)に影響する重要な因子として本明細書で記載される。
【0084】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズ装置150はガス供給管軸212に対して非垂直の、少なくとも1つのアトマイズガス入口214を含んでよく、アトマイズヘッド222におけるアトマイズガスストリーム240の回転運動をもたらす。以下で記載される極端な実施形態例では、ガス入口214はアトマイズヘッドに接線方向に入る。
【0085】
図3は、少なくとも1つの実施形態による、接線ガス入口311および314を示すアトマイズチャンバ300の斜視図を示す。この設計は、中心軸312周りの動的回転において非対称のアトマイズプルームを可能にする。アトマイズガス入口のこの配置は、供給管中心軸312に対して垂直なガス入口を有するアトマイザと比べて、改善された粒子サイズ分布をもたらし得る。
【0086】
典型的には、多くの低融点金属/合金は固化させるのが困難である。これは、放射線およびより高い対流冷却が重要な役割を果たし得る高温合金/金属のアトマイゼーションと比べて、対流による低温での熱伝達が悪いためであり得る。いくつかの粒子がアトマイズチャンバ108の壁に触れ依然として一部溶融している、またはそれらの融点に近い場合、それらは著しく変形されてフレークタイプ形態に達し、凝集し、非球状粒子またはサテライト(いくつかの粒子が一緒に連結される)を形成する可能性がある。これらの現象を低減するために、記載されるアトマイズ技術は、冷却媒体として水を使用できる。水はアトマイズチャンバ壁の方向に注入されて、生成された粉末を運搬する水フィルムを提供し得る。水のフィルムは、金属粉末または金属滴が十分な温度で冷却されて付着粒子、サテライトおよび/または変形粒子を低減または回避することを確実にできる。水は、場合によっては、制御されたレベルの表面酸化を提供でき、これは、また、最終生成物中で許容されるレベルの酸素を有する自由流動性粉末を有するように寄与できる。
【0087】
例えば、アトマイズチャンバ中での(壁上、アトマイズチャンバの上方部、またはアトマイズチャンバの底で)水の添加は、材料分類もまた改善し得る。静電力が微粒子間で増強されるため、乾式ふるい分けが使用される場合、粒子を分離することは時として困難である。いくつかの低融点合金/金属粉末は多くの理由で共に凝集する傾向がある。例えば、粒子の焼結または付着およびまた、以上で言及されるように、静電的な理由による。凝集の正確な理由は生成される全ての低融点/合金について完全にはわかっていないが、いくつかの合金では湿式ふるい分けシステムが好都合である。
【0088】
このプロセスでの水の使用は直感に反し得る。なぜなら、いくつかの合金元素/金属は理論的には、水の存在下で酸化する可能性があるからである。例えば、スズなどのいくつかの元素は、水中の溶存酸素がないと、水を還元さえする可能性がある。例えば、低酸素レベルがアトマイズチャンバ中で維持される場合、生成される粉末の酸化は許容されるレベル内であり得る。アトマイズチャンバの雰囲気中の酸素の制御に加えて、プロセスで使用される水の酸化還元電位および温度(アトマイズチャンバおよびふるい分けのため)が制御され得、酸化の低減された動力学をもたらす。
【0089】
低融点金属/合金製のいくらかの金属粉末は、最終生成物中で自由流動性を維持するために、制御された酸化を必要とする可能性がある。例えば、純粋スズが非常に低いレベルの酸素(100ppm以下)を用いて微粉末で生成される場合、生成物はふるい分けおよび乾燥後に、互いにに付着する可能性がある。プロセスにおける合理的に低い温度でおよび制御された酸化還元電位での水の存在はこのレベルの酸化を提供する傾向がある。任意で、制御されたレベルの酸化を可能にするために酸素過酸化物または他の湿式精錬酸化剤が添加されてよい。あるいは、粉末の制御された酸化を可能にするために、粉末が制御された温度で所定の期間の間(ステアリングありまたはなしで)水中に放置されてよい。
【0090】
制御された酸化はいくつかの生成物について有益であるが、過度に高いレベルは一般に有害であり得る。任意で、入ってくる水の酸化還元を低下させて、酸化を制限してもよい。これは、アトマイズプロセスにおいて使用される水(チャンバまたはふるい分けシステムにおいて)に添加物を添加して最終生成物中の酸素のレベルを低減させることにより実施できる。添加物は、エタノール、メタノール、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸などの、有機添加物または無機還元剤のような還元剤であってよい。水中の酸化還元電位はまた、多様な他の手段により低減でき、限定はされないが、入ってくる水を処理するための電気化学システム、温度の低減、反応性金属粉末を有するフィルタが挙げられる。
【0091】
少なくとも1つの実施形態では、入ってくる水中の溶存酸素を、生成物中での酸化を制限するように制御できる。少なくとも1つの実施形態では、粉末上の金属フィルムは、弱酸(HCl、有機酸、など)による溶解により還元され得る。これらは水中に添加されて粉末表面で形成される酸化フィルムを還元し得る。
【0092】
プロセスの最終生成工程の1つは粉末を乾燥させることである。この工程は、大気中、真空下または不活性ガス中で実施できる。真空により、乾燥プロセスがより低い温度で動作でき、よって水による酸化の可能性を低減する。任意で、乾燥段階の前に、水は、その中で水が溶解できる有機溶媒を使用して粉末から追い出されてよい。例えばエタノールおよびメタノール。水が除去された後、いくらかの残留有機液体を含む粉末は、乾燥されて、低レベルの酸素を有する最終生成物を生成できる。
【0093】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;上記溶融物を供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて分流溶融物を得ること;分流溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびに、少なくとも1つのアトマイズガスストリームをアトマイズエリアに提供すること、を含み得る。上記アトマイズプロセスは、上記アトマイズプロセスのために使用されるアトマイズチャンバ内にて、水の存在下で実施される。
【0094】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;上記溶融物をダイバータを通してアトマイズエリアに送達させること;少なくとも1つのアトマイズガスストリームをアトマイズエリアに提供すること;上記アトマイズプロセスのために使用されるアトマイズチャンバに水を送達させること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアに送達される前に、溶融物は供給管の中心軸に対してある分流角でダイバータ中で分流される。
【0095】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの平均ガス速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比は、アトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって、20ミクロン未満の平均粒子直径および約1.8より低い幾何標準偏差を有する粉末の分布を提供する。少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの平均ガス速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって、20ミクロン未満の平均粒子直径および約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末の分布を提供する。
【0096】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの平均ガス速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって、20ミクロン未満の平均粒子直径および約1.8より低い幾何標準偏差を有する粉末の分布を提供する。少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびに少なくとも300m/sの平均ガス速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームをアトマイズエリアに提供すること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって20ミクロン未満の平均粒子直径および約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末の分布を提供する。
【0097】
低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;任意で上記溶融物を供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて任意で分流された溶融物を得ること;任意で分流された溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって、約1.8より低い幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布を提供する。低融点金属または合金粉末アトマイズ製造プロセスは、供給管を通して上記低融点金属または合金の溶融物を提供すること;任意で上記溶融物を供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて任意で分流された溶融物を得ること;任意で分流された溶融物をアトマイズエリアに向かわせること;ならびにアトマイズエリアに、少なくとも300m/sの速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供すること、を含んでよく、ここで、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比はアトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであり、よって、約2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズの分布を提供する。
【0098】
例えば、分流角(90-β)は約30~約70°であってよい。
【0099】
例えば、分流角は約10~約90°であってよい。
【0100】
例えば、アトマイズガスと溶融物の間で形成される角度は約10~約90°であってよい。例えば、アトマイズガスと溶融物の間で形成される角度は約40~約90°であってよい。
【0101】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスはまた、低融点金属を提供することを含み得る。
【0102】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属は、約150℃~約500℃の融点を有し得る。
【0103】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比は、アトマイズする金属1cm3あたり約10000~約20000cm3のガスであってよい。少なくとも1つの実施形態では、アトマイズエリアにおけるアトマイズガス対低融点金属の比は、アトマイズする金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであってよい。
【0104】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属は、Zn、In、Sn、Pb、Se、Te、およびBiから選択される元素であってよい。
【0105】
少なくとも1つの実施形態では、プロセスは、低融点合金を提供することを含み得る。
【0106】
少なくとも1つの実施形態では、低融点合金は約75℃~約500℃の液相線を有し得る。
【0107】
少なくとも1つの実施形態では、低融点合金は約100℃~約300℃の液相線を有し得る。
【0108】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガス対低融点合金の比は、金属1cm3あたり約10000~約20000cm3のガスであってよい。
【0109】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガス対低融点合金の比は、金属1cm3あたり約5000~約30000cm3のガスであってよい。
【0110】
少なくとも1つの実施形態では、低融点合金は、Cu、Sb、Zn、In、Mg、Sn、Pb、Ag、Se、Te、Ga、およびBiから選択される少なくとも1つの元素を含み得る。
【0111】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスストリームは約300m/s~約700m/sの速度を有し得る。少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスストリームは約450m/s~約600m/sの速度を有し得る。少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスストリームは超音速を有し得る。
【0112】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズガスはアトマイズヘッドに、金属供給管軸312に対して非垂直に配向された少なくとも1つのガス入口314、311を通して送達されてよく、ガス出口の前にアトマイズヘッド222中でアトマイズガスストリーム240の旋回運動を提供する。
【0113】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも2つのガス入口311、314は、供給管310の中心軸312に対して接線であってよい。この配置はアトマイズチャンバ108内のアトマイズプルームの中心軸312周りに動的回転効果を生成できる。
【0114】
少なくとも1つの実施形態では、幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布は約2.0以下であってよい。少なくとも1つの実施形態では、幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布は約1.5~約2.0であってよい。
【0115】
少なくとも1つの実施形態では、幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布は約1.8以下であってよい。少なくとも1つの実施形態では、幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布は約1.5~約1.8であってよい。
【0116】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズチャンバ108は、約0~約20%の酸素を含んでよい。
【0117】
少なくとも1つの実施形態では、水は、水の酸化還元電位を制御するために、少なくとも1つの添加物を含んでよい。添加物の例としては、エタノール、メタノール、酢酸、HCl、H2O2が挙げられるが、それらに限定されない。
【0118】
少なくとも1つの実施形態では、粉末平均粒子サイズは約3ミクロン~約20ミクロンの直径であってよい。
【0119】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属の溶融物は少なくとも1つの溶融物分流チャネルを通して分流され得、分流角は供給管の中心軸と少なくとも1つの溶融物分流チャネルの間で形成される。
【0120】
少なくとも1つの実施形態では、合金溶融物は少なくとも2つの溶融物分流チャネル(ダイバータ)216を通して分流され得、分流角(90°-β)が供給管210の中心軸212と少なくとも2つの溶融物分流チャネル216の間で形成され得る。
【0121】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水の噴流がアトマイズチャンバ108中に噴霧される。
【0122】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水の噴流がアトマイズチャンバ108の少なくとも1つの壁上に噴霧される。
【0123】
少なくとも1つの実施形態では、粉末は、約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有し得る。少なくとも1つの実施形態では、粉末は、約10ミクロン未満の平均粒子サイズを有し得る。
【0124】
少なくとも1つの実施形態では、生成された粉末は粉末酸化を回避するために真空中で乾燥され得る。
【0125】
少なくとも1つの実施形態では、生成された粉末は乾燥段階の前に、ほとんどの水を除去するために、有機溶媒で洗浄され得る。例えば、有機溶媒はエタノールまたはメタノールであってよい。
【0126】
少なくとも1つの実施形態では、低融点金属または合金粉末を製造するためのアトマイズ装置150は、上記低融点金属または合金の溶融物を提供するための供給管210;溶融物を供給管210の中心軸に対してある分流角で分流させて分流溶融物を得るための、および分流溶融物をアトマイズ装置150のアトマイズエリア230に向かわせるための、上記供給管210と流体連絡された、ダイバータ216;少なくとも1つのアトマイズガスストリーム240をアトマイズチャンバ108内に配置されたアトマイズエリアに提供するための少なくとも1つのアトマイズガス注入器214;ならびに、上記アトマイズ装置150のアトマイズチャンバ108内に水を提供するための少なくとも1つの水入口122を含む。
【0127】
少なくとも1つの実施形態では、ダイバータ216は溶融物分流導管218を有してよく、分流導管218は供給管210の中心軸212に対してある分流角で配向される。
【0128】
少なくとも1つの実施形態では、ダイバータ216は少なくとも2つの溶融物分流導管218を有してよく、少なくとも2つの溶融物分流導管218の各々は供給管210の中心軸212に対してある分流角で配向される。
【0129】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズ装置150は少なくとも1つのガス入口214(または311、314)を有し得る。アトマイズ装置300の例示的な実施形態の少なくとも1つのガス入口311、314は接線、または少なくともアトマイズヘッド310に対し非垂直であってよく、アトマイズヘッド222におけるアトマイズガスストリーム240の旋回運動、およびアトマイズチャンバ108におけるアトマイズプルームの動的回転運動を提供する。
【0130】
少なくとも1つの実施形態では、アトマイズマニホールド310に対して非垂直の少なくとも1つのガス入口(例えば311、314)は、アトマイズヘッド222におけるアトマイズガスストリーム240の旋回運動を生成でき、アトマイズチャンバ108におけるアトマイズプルームの動的回転運動をもたらす。
【0131】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも2つのガス入口214はアトマイズヘッド222に対し非垂直であってよく、アトマイズヘッド222における旋回効果、ならびにアトマイズエリア230およびアトマイズチャンバ108における動的回転効果を生成する。
【0132】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口(例えば、
図1における122または120)は、アトマイズチャンバ108の内側に配置され得る。
【0133】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口(例えば、
図1の122または120)は上記粉末を冷却するための水を提供するのに好適であり得る。
【0134】
例えば、少なくとも1つの水入口(例えば
図1の122または120)は、上記粉末をふるい分け/乾燥エリアまで輸送するための水を提供するのに好適であり得る。
【0135】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの水入口は粉末の選別/ふるい分けを促進するための水を提供するのに好適であり得る。
【0136】
実施例
実施例1:Sn-3%Ag-0.5%Cu(SAC305)
この例示的な試験では、Sn-3%Ag-0.5%Cu(SAC305)のアトマイゼーションを、20kgのバッチサイズを有する大きなアトマイザ中で、本明細書で記載されるアトマイズ製造プロセスおよびアトマイズ装置を用いて実施した。
【0137】
表1Aは実施例1の試験のアトマイズ条件を示す。
【表1】
【0138】
得られた粒子サイズ分布が表1Bに示される。1~25μmの粒子のレベルは極めて高い(80%)ことが注目される。
【表2】
【0139】
図4Aおよび4Bは実施例1で得られた粉末のSEM写真を示す。
【0140】
Malvern Morphology機器で決定される形態を測定した。粉末粒子の真円度は約0.983であった(真円度は完全球形では1である)。
【0141】
実施例2:Sn-58%Bi(SnBi)
実施例2の試験では、Sn-58%Bi(SnBi)のアトマイゼーションを、約20Kgのバッチサイズを有するより大規模なアトマイザにおいて、本明細書で記載されるアトマイズ製造プロセスおよびアトマイズ装置を用いて実施した。
【表3】
【表4】
【0142】
表2Bは観察された粒子サイズ分布を示す。1~25μmの粒子のレベルが極めて高い(90%)ことに注意すべきである。
【0143】
図5Aおよび5Bは、実施例2で得られた粉末のSEM写真を示す。
【0144】
Malvern Morphology機器で決定される形態もまた、測定した。粉末粒子の真円度は約0.98であった。
【0145】
実施例3:InSn(Sn-50%In)
実施例3の試験では、InSn(Sn-50%In)のアトマイゼーションを、約24Kgのバッチサイズを有するより大規模なアトマイザにおいて本明細書で記載されるアトマイズ製造プロセスおよびアトマイズ装置を用いて実施した。
【表5】
【0146】
【0147】
Malvern Morphology機器で決定される形態もまた、測定した。粉末粒子の真円度は約0.936であった。
【0148】
実施例4:純粋Bi
実施例4の試験では、Biのアトマイゼーションを、約16Kgのバッチサイズを有するより大規模なアトマイザにおいて、本明細書で記載されるアトマイズ製造プロセスおよびアトマイズ装置を用いて実施した。
【表6】
【表7】
【0149】
表5Bは観察された粒子サイズ分布を示す。粉末の86%は25ミクロン未満であったことに注意すべきである。
【0150】
図7Aおよび7Bは実施例4で得られた粉末のSEM写真を示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
50℃~500℃の融点を有する、金属粉末、Se粉末、Te粉末、又は合金粉末を製造するためのアトマイズプロセスであって、
供給管を介して、前記50℃~500℃の融点を有する、金属、Se、Te、又は合金の溶融物を提供することと、
任意で前記溶融物を前記供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて任意で分流された溶融物を得ることであって、前記溶融物は、少なくとも2つの溶融物分流チャネルを通して分流され、前記分流角は、前記供給管の中心軸と前記少なくとも2つの溶融物分流チャネルの間で形成されており、前記分流角は、10°~90°であることと、
前記任意で分流された溶融物をアトマイズエリアに向かわせることと、
前記アトマイズエリアに、少なくとも300m/sの速度を有する少なくとも1つのアトマイズガスストリームを提供することと、
を含み、
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記低融点金属の比はアトマイズする金属の1cm3あたり5000~30000cm3のガスであり、よって2.0より低い幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズの分布を提供する、
プロセス。
【請求項2】
前記分流角(90-β)は、30°~70°である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アトマイズガスと前記溶融物との間で形成される角度は、40°~90°である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記プロセスは、前記50℃~500℃の融点を有する金属を提供することを含む、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記金属は、150℃~500℃の融点を有する、
請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記金属の比は、アトマイズされた金属の1cm3あたり10000~20000cm3のガスである、
請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記アトマイズエリアにおける前記アトマイズガス対前記金属の比は、アトマイズされた金属の1cm3あたり5000~30000cm3のガスである、
請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記金属は、Zn、In、Sn、Pb、及びBiを有するグループから選択される1つの元素である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスは、前記50℃~500℃の融点を有する合金を提供することを含む、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記合金は、100℃~300℃の液相線温度を有する、
請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記合金は、Cu、Sb、Zn、In、Mg、Sn、Pb、Ag、Se、Te、Ga、及びBiを有するグループから選ばれる少なくとも1つの元素を含む、
請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アトマイズガスストリームは、300m/s~700m/sの速度を有する、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記アトマイズガスストリームは、超音速を有する、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記アトマイズガスは、アトマイズヘッドに対して非垂直に配向された、少なくとも1つのガス入口を介して前記アトマイズヘッドに送達され、前記ガス入口は、ガス出口よりも前に、前記アトマイズヘッドにおいて旋回運動を提供する、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記プロセスによって、1.5~1.8の幾何標準偏差を有する粉末粒子サイズ分布が提供される、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記アトマイズチャンバは、0~20%の酸素を含む、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの水の噴流は、前記アトマイズチャンバ中に噴霧される、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセスによって、粉末が提供され、
前記粉末の少なくとも80%は、25μm未満の平均粒子サイズを有する、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記プロセスによって、粉末が提供され、
前記粉末の少なくとも75%は、1μm~15μmの平均粒子サイズを有する、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
50℃~500℃の融点を有する、金属粉末、Se粉末、Te粉末、又は合金粉末を製造するためのアトマイズ装置であって、
前記50℃~500℃の融点を有する、金属、Se、Te、又は合金の溶融物を提供するための供給管と、
前記溶融物を前記供給管の中心軸に対してある分流角で分流させて分流溶融物を得るため、かつ前記分流溶融物を前記アトマイズ装置のアトマイズエリアに向かわせるための、前記供給管と流体連絡された、ダイバータであって、前記ダイバータは、少なくとも2つの溶融物分流チャネルを有し、前記分流角は、前記供給管の中心軸と前記少なくとも2つの溶融物分流チャネルの間で形成されており、前記分流角は、10°~90°である、ダイバータと、
少なくとも1つのアトマイズガスストリームを前記アトマイズチャンバの内側に配置された前記アトマイズエリアに提供するための、少なくとも1つのアトマイズガス注入器と、
水を前記アトマイズ装置のアトマイズチャンバ内で提供するための、少なくとも1つの水入口と、
を含む、
装置。
【請求項21】
少なくとも1つの非垂直ガス入口は、前記アトマイズヘッドにおいて、円形流を生成し、
前記円形流は、前記アトマイズエリア及び前記アトマイズチャンバにおいて、ガスの動的回転運動をもたらす、
請求項20に記載のアトマイズ装置。
【外国語明細書】