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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005196
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20230111BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J2/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106962
(22)【出願日】2021-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】矢田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】小口 達也
(72)【発明者】
【氏名】千葉 雅史
(72)【発明者】
【氏名】高村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲寛
【テーマコード(参考)】
2C058
2C065
【Fターム(参考)】
2C058AB06
2C058AB11
2C058AC06
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA07
2C058LA41
2C058LB17
2C058LB24
2C058LB41
2C065AA01
2C065AB01
2C065CZ09
(57)【要約】
【課題】容易に可動刃を清掃できるプリンタを提供する。
【解決手段】本開示の一態様によるプリンタは、プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃とにより切断するプリンタであって、前記可動刃の長手方向の両端部に設けられたラック又は前記可動刃を押し出して前記可動刃の刃部を露出させる押出部品を有し、前記押出部品は、前記刃部が露出している状態で位置が固定されるよう構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃とにより切断するプリンタであって、
前記可動刃の長手方向の両端部に設けられたラック又は前記可動刃を押し出して前記可動刃の刃部を露出させる押出部品を有し、
前記押出部品は、前記刃部が露出している状態で位置が固定されるよう構成される、
プリンタ。
【請求項2】
前記可動刃を有する可動刃ユニットが配置された筐体と、
前記筐体の内面に回転可能に設けられる操作レバーを有し、
前記押出部品は、前記操作レバーの回転を受けて前記ラックを押し出すよう構成される、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記操作レバーは平坦面を備え、
前記操作レバーの回転により前記押出部品が押し出され、前記平坦面が前記筐体の内面に接することで位置が固定される、
請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記可動刃を有する可動刃ユニットが配置された筐体と、
前記記録紙を支持し、着脱可能に設けられた給紙軸と、
を有し、
前記押出部品は、取り外した前記給紙軸を前記筐体に嵌め込むことで前記ラックを押し出すよう構成される、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記可動刃は、傾斜面を備えた凸部を有し、
前記押出部品は、前記凸部の傾斜面に係合する傾斜面を備えた押圧部を有し、
前記押出部品は、前記可動刃を有する可動刃ユニットが配置された筐体の内面に設けられたガイドレールに沿って前記可動刃の長手方向に移動することで、前記可動刃を押し出すよう構成される、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記可動刃を有する可動刃ユニットが配置された筐体を有し、
前記押出部品は、前記筐体の内面において、前記可動刃の長手方向を回転軸として回転可能に配置された平板状の押圧部を備え、
前記押出部品の持ち上げ動作を受けて前記可動刃を押し出すよう構成される、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記回転軸における端部外周面には平坦部が設けられ、前記押出部品の持ち上げ動作に伴い前記平坦部が前記筐体の内面に接することで位置が固定される、
請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記押出部品は回転可能に設けられた押圧部を有し、前記押圧部の回転を受けて前記可動刃を押し出すよう構成される、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記可動刃を有する可動刃ユニットが配置された筐体を有し、
前記押出部品は位置固定のための窪みを有し、前記筐体の内面に設けられた突起に係合して位置が固定される、
請求項5又は8に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、ATM(Automated Teller Machine)、チケット発券機、キオスク端末等の用途に幅広く用いられている。プリンタには、プリントヘッドにより記録紙に印字等を行ない、カッタで記録紙を切断するものがある。
【0003】
プリンタには、プリンタの本体と、本体に回転可能に支持された蓋を有し、蓋を開くことにより本体にロール状の記録紙を設置できるものがある。この場合、例えば、サーマルヘッドは本体に、プラテンローラは蓋に設置されており、蓋を閉じることにより、記録紙はサーマルヘッドとプラテンローラとの間に挟まれ、記録紙にサーマルヘッドによる印字がなされる。
【0004】
このようなプリンタに設けられているカッタには、可動刃と固定刃を有し、可動刃を固定刃に向けて移動させることで、可動刃と固定刃との間の記録紙を切断するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-237555号公報
【特許文献2】特開2006-312321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カッタは、記録紙の切断を繰り返しているうちに汚れる場合がある。この状態では記録紙を切断できないため、定期的にカッタを清掃することが必要となる。しかしながら、カッタを構成している可動刃を清掃することは容易ではなく、可動刃を回転させる駆動ギヤを指等で回して可動刃を露出させた後、駆動ギヤを指等で押さえ続けることで可動刃が露出した状態を保持しながら、可動刃の清掃が行われている。
【0007】
このため、容易に可動刃を清掃できるプリンタが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によるプリンタは、プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃とにより切断するプリンタであって、前記可動刃の長手方向の両端部に設けられたラック又は前記可動刃を押し出して前記可動刃の刃部を露出させる押出部品を有し、前記押出部品は、前記刃部が露出している状態で位置が固定されるよう構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に可動刃を清掃できるプリンタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のプリンタの断面図
図2】蓋が開いている状態のプリンタの斜視図
図3】蓋が閉じている状態のプリンタの斜視図
図4】第1形態の押出機構の平面図(1)
図5】第1形態の押出機構の平面図(2)
図6】第1形態の押出機構の平面図(3)
図7】第1形態の押出機構の斜視図(1)
図8】第1形態の押出機構の斜視図(2)
図9】第1形態の押出機構の断面図(1)
図10】第1形態の押出機構の断面図(2)
図11】第1形態の可動刃の平面図
図12】第2形態の押出機構の平面図(1)
図13】第2形態の押出機構の平面図(2)
図14】第2形態の押出機構の斜視図
図15】第3形態の押出機構の平面図(1)
図16】第3形態の押出機構の平面図(2)
図17】第3形態の押出機構の斜視図(1)
図18】第3形態の押出機構の斜視図(2)
図19】第3形態の可動刃の平面図
図20】第4形態の押出機構の平面図(1)
図21】第4形態の押出機構の平面図(2)
図22】第4形態の押出機構の斜視図(1)
図23】第4形態の押出機構の斜視図(2)
図24A】第4形態の押出機構の断面図(1)
図24B】第4形態の押出機構の断面図(2)
図25A】第4形態の押出機構の断面図(3)
図25B】第4形態の押出機構の断面図(4)
図26】第4形態の可動刃の平面図
図27】第5形態の押出機構の平面図(1)
図28】第5形態の押出機構の平面図(2)
図29】第5形態の押出機構の断面図(1)
図30】第5形態の押出機構の断面図(2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
以下に示す図において、X軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合、X軸に沿うX方向は本実施形態のプリンタが有する可動刃の長手方向を示す。Y軸に沿うY方向は可動刃の面に沿った短手方向を示す。Z軸に沿うZ方向はX軸及びY軸の両方に直交する方向を示す。
【0013】
X方向で矢印が向いている方向を+X方向/側、+X方向の反対方向を-X方向/側と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向/側、+Y方向の反対方向を-Y方向/側と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向/側、+Z方向の反対方向を-Z方向/側と表記する。
【0014】
〔プリンタ〕
図1図3を参照し、本実施形態のプリンタの一例について説明する。図1は、本実施形態のプリンタの断面図である。図2は、蓋が開いている状態のプリンタの斜視図であり、図3は、蓋が閉じている状態のプリンタの斜視図である。
【0015】
本実施形態のプリンタは、クラムシェルタイプのプリンタであり、本体10と蓋20とを有する。本体10には、ロール状の記録紙Pを設置するための空間を有する記録紙ホルダ11が形成されている。蓋20は、筐体の一例である。蓋20は、一方の端部20aにおいて、本体10に開閉可能な状態で接続されている。蓋20は、端部20aの近傍に設けられている回転軸21により本体10に接続されており、回転軸21を中心に回転させることで蓋20を開閉できる。
【0016】
本実施形態においては、記録紙ホルダ11の内側にロール状の記録紙Pを支持する給紙軸12を設置して、図3に示されるように蓋20を閉じる。これにより、記録紙Pに印字が可能な状態となる。なお、図1は給紙軸12に記録紙Pが支持されている状態を示し、図2は給紙軸12に記録紙Pが支持されていない状態を示す。
【0017】
本実施形態において、本体10にはプリントヘッドとなるサーマルヘッド30が設置されており、蓋20にはプラテンローラ40が設置されている。本体10には固定刃51を含む固定刃ユニット50が取り付けられており、蓋20には可動刃61を含む可動刃ユニット60が着脱可能に取り付けられている。本体10には、記録紙Pを搬送するためにプラテンローラ40を回転させる搬送用のモータ52、及び可動刃61を駆動させる可動刃用のモータ53が設置されている。なお、プラテンローラ40及び可動刃61は、蓋20の他方の端部20bの近傍に設置されている。
【0018】
本実施形態では、蓋20を閉じることにより、サーマルヘッド30とプラテンローラ40との間に記録紙Pが挟まれ、固定刃51と可動刃61との間に記録紙Pが挟まれる。このように蓋20を閉じることにより、固定刃51と可動刃61とが所定の位置に配置されてカッタが形成され、記録紙Pへの印字及び切断が可能な状態となる。なお、本体10の外側には、本実施形態のプリンタを制御するための制御基板13が設置されている。
【0019】
〔押出機構〕
(第1形態)
図4図11を参照し、本実施形態の押出機構の第1形態について説明する。図4は、可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの平面図であり、図5は、可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの平面図である。図6は、ガイド溝を説明する平面図である。図7は、可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの斜視図であり、図8は、可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの斜視図である。図9は、可動刃の刃部が露出していない状態におけるガイド溝を含むプリンタの、図4における4A-4A断面図である。図10は、可動刃の刃部が露出している状態における押圧部を含むプリンタの、図5における5A-5A断面図である。図11は、ラックに取り付けられた可動刃の平面図である。
【0020】
可動刃ユニット60は、可動刃61、ラック62、ピニオン63、ギヤ列64、フレーム65、プラテンローラ40を有する。
【0021】
可動刃61は、金属等の材料により形成されている。可動刃61は、V字状に形成された刃部61aと、刃部61aの反対側に位置する先端部61bと、を有する(図11)。可動刃61の長手方向の両端部には、各々ラック62が取り付けられている(図11)。
【0022】
ラック62は、ピニオン63に接続されている。また、ピニオン63は、ギヤ列64に接続されている。ギヤ列64は複数のギヤを含み、蓋20が閉じている状態でモータ53側のギヤなどに接続される。ピニオン63は、ギヤ列64の回転に連動してラック62をY方向に移動させる。フレーム65は、ピニオン63、ギヤ列64を軸支する。
【0023】
蓋20が閉じた状態では、モータ53の回転がギヤ列64を介してピニオン63に伝達されてピニオン63が回転する。そして、この回転がラック62に伝達されて、可動刃61がラック62と一体となってY方向に直線運動する。これにより、可動刃61を+Y方向に移動させて記録紙Pを切断できる。一方、蓋20を開けることにより、モータ53側のギヤとギヤ列64との接続が解除される。可動刃61は不図示のばねなどの弾性体によって-Y方向に付勢されており、モータ53側のギヤとギヤ列64との接続が解除されることで、ばねの付勢力によって可動刃61が可動刃ユニット60に収容され、刃部61aが露出しない状態となる。
【0024】
第1形態の押出機構110は、押出部品111、操作レバー112、コイルばね113を含む。
【0025】
押出部品111は、ラック62を押し出すことにより、ラック62と一体で可動刃61を+Y方向に移動させ、刃部61aを露出させる。本実施形態において、押出部品111は、接触部111a、押圧部111b、ガイド部111cを含む。
【0026】
接触部111aは、X方向を長手方向、Y方向を厚さ方向、Z方向を短手方向とする矩形板状を有し、-Y側の面が操作レバー112と接触可能に構成される。
【0027】
押圧部111bは、接触部111aの+Y側の面から+Y方向に延在する矩形板状を有し、先端である+Y方側の端がラック62の-Y側の端部と接触可能に構成される。押圧部111bは、蓋20の内面に形成されたガイド溝22(図6)に案内される。
【0028】
ガイド部111cは、接触部111aの+Y側の面から+Y方向に延在する矩形板状を有し、蓋20の内面に形成されたガイド溝23(図6)に案内される。
【0029】
操作レバー112は、蓋20の内面にZ軸を回転軸として回転可能に設けられている。操作レバー112は、持手部112a、押圧部112bを含む。
【0030】
持手部112aは、押圧部112bの上部(+Z側)に設けられ、操作レバー112を手指又は掌(以下「手指等」という。)で掴む部分を構成する。持手部112aの形状は限定されないが、例えば端部が面取りされた矩形板状である。
【0031】
押圧部112bは、持手部112aと共に回転するよう構成され、持手部112aに対して-Z側に位置する。押圧部112bの形状は限定されないが、例えば持手部112aの長手方向と同じ方向を長手方向とし、持手部112aの短手方向を短手方向とする矩形板状である。押圧部112bは、押圧面112b1、円弧面112b2、平坦面112b3を含む。
【0032】
押圧面112b1は、図8において押圧部121bの+Y側端部に設けられている。持手部112aの先端(図8において+Y側端部)を-X側(図7に示される位置)から+Y側(図8に示される位置)に向けて右回りに回転させると、持手部112aと共に押圧部112bが右回りに回転して、押圧部112bの右回りの回転を受けて、接触部111aが押圧面112b1によって+Y方向に押し出される。これにより、押出部品111は、押圧部111b及びガイド部111cが各々ガイド溝22及びガイド溝23に案内されながら+Y方向に移動する。
【0033】
円弧面112b2は、図8において押圧部121bの-Y側端部の-X側に設けられている。
【0034】
平坦面112b3は、図8において押圧部121bの-Y側端部の+X側に設けられている。持手部112aの先端を-X側から+Y側に向けて右回りに回転させると、持手部112aが図7に示される位置から90°又は略90°回転した位置(図8に示される位置)で、平坦面112b3が蓋20の内面の凸部20tと接触し、操作レバー112の回転が制限される。
【0035】
コイルばね113は、+Y側端部がフレーム65に固定され、-Y側端部が接触部111aの+Y側に固定されている。コイルばね113は、押出部品111を-Y方向に付勢する。これにより、持手部112aの先端を+Y側から-X側に向けて左回りに回転させると、コイルばね113の付勢力により押出部品111が-Y方向に移動する。
【0036】
押出機構110においては、操作レバー112の右回りの回転を受けて押出部品111が+Y方向に移動すると、押圧部111bがラック62と接触し、ラック62を+Y方向に押し出す。これにより、ラック62と一体で可動刃61が+Y方向に移動し、刃部61aが露出する。また、操作レバー112を回転させた状態では、平坦面112b3が蓋20の内面の凸部20tと接触し、操作レバー112の回転が制限される。その結果、押出部品111の-Y方向への移動が制限され、押出部品111の位置が固定される。
【0037】
以上に説明したように、第1形態の押出機構110を有するプリンタによれば、操作レバー112の回転を受けて、押出部品111が+Y方向に移動する。そして、+Y方向に移動する押出部品111によりラック62が+Y方向に押し出され、刃部61aが露出する。そのため、ユーザ等は、手指等で可動刃61、ギヤ列64等に触れることなく、また、工具等を用いることなく、刃部61aを露出させることができる。また、操作レバー112を回転させた状態で押出部品111及びラック62が固定されるので、刃部61aを露出させた状態を保持できる。その結果、容易に可動刃61を清掃できる。
【0038】
(第2形態)
図12図14を参照し、本実施形態の押出機構の第2形態について説明する。図12は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの平面図であり、図13は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの平面図である。図14は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの斜視図である。
【0039】
第2形態の押出機構120は、押出部品121、給紙軸12、コイルばね123を含む。給紙軸12は、図2に示すように記録紙ホルダ11の内側に設置されていたものであり、押出部品121を操作するにあたって予め記録紙ホルダ11から取り外したものである。可動刃61の清掃は記録紙Pが消費されたタイミングで実施されることが多いため、可動刃61の清掃にあたり給紙軸12を取り外すことに支障はない。
【0040】
押出部品121は、ラック62を押し出すことにより、ラック62と一体で可動刃61を+Y方向に移動させ、刃部61aを露出させる。本実施形態において、押出部品121は、保持部121a、押圧部121b、ガイド部121cを含む。保持部121aは、保持部121aと蓋20の内面に形成されたリブ20cとの間に給紙軸12が嵌め込まれると、給紙軸12により押圧されて+Y方向に移動する。押圧部121bは、ラック62を押圧するものであり、保持部121aの+Y側の面から+Y方向に延在する矩形板状を有し、先端(+Y側の端)がラック62の-Y方の端部と接触可能に構成される。押圧部121bは、押圧部111bと同様に、蓋20の内面に形成されたガイド溝(図示せず)に案内される。ガイド部121cは、保持部121aの+Y側の面から+Y方向に延在する矩形板状を有し、ガイド部111cと同様に、蓋20の内面に形成されたガイド溝(図示せず)に案内される。
【0041】
押出機構120において、保持部121aとリブ20cとの間に給紙軸12が嵌め込まれると、給紙軸12により押圧された押出部品121が+Y方向に移動する。これにより、ラック62が+Y方向に押し出され、ラック62と一体で可動刃61が+Y方向に移動する。また、保持部121aとリブ20cとの間に給紙軸12が嵌め込まれた状態では、押出部品121の-Y方向への移動が制限され、押出部品121の位置が固定される。
【0042】
以上に説明したように、第2形態の押出機構120を有するプリンタによれば、保持部121aとリブ20cとの間に給紙軸12が嵌め込まれることにより、押出部品121が+Y方向に移動する。そして、+Y方向に移動する押出部品121によりラック62が+Y方向に押し出され、刃部61aが露出する。そのため、ユーザ等は、手指等で可動刃61、ギヤ列64等に触れることなく、また、工具等を用いることなく、刃部61aを露出させることができる。また、保持部121aとリブ20cとの間に給紙軸12が嵌め込まれた状態では押出部品111及びラック62が固定されるので、刃部61aを露出させた状態を保持できる。その結果、容易に可動刃61を清掃できる。
【0043】
(第3形態)
図15図19を参照し、本実施形態の押出機構の第3形態について説明する。図15は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの平面図であり、図16は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの平面図である。図17は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの斜視図であり、図18は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの斜視図である。図19は、可動刃の平面図である。
【0044】
第3形態では、可動刃61は、V字状に形成された刃部61aと、刃部61aの反対側に位置する先端部61bと、先端部61bから-Y方向に突出する凸部61cと、を有する(図19)。凸部61cは、-X側から+X側にかけて-Y側に傾斜する傾斜面を備える。
【0045】
第3形態の押出機構130は、押出部品131、ガイドレール132を含む。
【0046】
押出部品131は、+X方向に移動することで可動刃61を押し出すよう構成される。本実施形態において、押出部品131は、持手部131a、押圧部131b、ガイド部131cを含む。
【0047】
持手部131aは、ガイド部131cの上部(+Z側)に設けられ、押出部品131をX方向に移動させるために手指等で掴むことができるように構成される。
【0048】
押圧部131bは、ガイド部131cの+Y側に設けられている。押圧部131bは、-X側から+X側にかけて-Y側に傾斜し、凸部61cの傾斜面に係合する傾斜面を備える。
【0049】
ガイド部131cは、蓋20の内面にX方向に沿って形成されたガイドレール132に案内される部分を構成する。ガイド部131cには、蓋20の内面に形成されたリブ20dに設けられた突起20e,20fと係合する窪み131dが形成されている。ガイド部131cは、-X側端部に位置する状態では、突起20eと窪み131dが係合して位置が固定される。一方、ガイド部131cは、+X側端部に位置する状態では、突起20fと窪み131dが係合して位置が固定される。
【0050】
ガイドレール132は、リブ20dに取り付けられ、X方向に延在する。ガイドレール132は、ガイド部131cのX方向への移動を案内する。
【0051】
押出機構130においては、持手部131aの+X方向への移動を受けて押出部品131が+X方向に移動すると、押圧部131bが凸部61cと接触して押圧し、可動刃61を+Y方向に押し出す。これにより、刃部61aが露出する。また、押出部品131を右端に移動させた状態では、突起20fと窪み131dが係合して押出部品131の位置が固定される。
【0052】
以上に説明したように、第3形態の押出機構130を有するプリンタによれば、押出部品131の+X方向への移動を受けて、可動刃61が+Y方向に押し出されることにより、刃部61aが露出する。そのため、ユーザ等は、手指等で可動刃61、ギヤ列64等に触れることなく、また、工具等を用いることなく、刃部61aを露出させることができる。また、押出部品131を右端に移動させた状態では、突起20fと窪み131dが係合して押出部品131の位置が固定されるので、刃部61aを露出させた状態を保持できる。その結果、容易に可動刃61を清掃できる。
【0053】
(第4形態)
図20図26を参照し、本実施形態の押出機構の第4形態について説明する。図20は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの平面図であり、図21は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの平面図である。図22は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの斜視図であり、図23は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの斜視図である。図24A及び図24Bは可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの断面図であり、図24A図20における20A-20A断面図であり、図24(b)は図20における20B-20B断面図である。図25A及び図25Bは可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの断面図であり、図25A図21における21A-21A断面図であり、図25B図21における21B-21B断面図である。図26は可動刃の平面図である。
【0054】
第4形態では、可動刃61は、V字状に形成された刃部61aと、刃部61aの反対側に位置する先端部61bと、先端部61bから-Y方向に突出する凸部61dとを有する(図26)。凸部61dの形状は、例えば可動刃61の長手方向の中央部分において-Y側に突出する矩形板状である。
【0055】
第4形態の押出機構140は、押出部品141を含む。
【0056】
押出部品141は、X軸を回転軸として回転することで可動刃61を押し出すよう構成される。本実施形態において、押出部品141は、持手部141a、押圧部141b、軸部141cを含む。
【0057】
持手部141aは、押出部品141を手指等で掴む部分を構成する。持手部141aの形状は限定されないが、例えばL字形状であり、図25A及び図25BにおいてX方向を長手方向、Z方向を短手方向とする矩形板の-Z側端部から-Y側に屈曲して押圧部141bの一方の端部に接続されている。
【0058】
押圧部141bは、平板状であり、一方の端部(図25A及び図25Bにおいて+Z側端部)の一方の側(図25A及び図25Bにおいて-Y側)に持手部141aを設け、他方の端部(図25A及び図25Bにおいて-Z側端部)に軸部141cが接続されている。押圧部141bは、可動刃61の凸部61dに接触して可動刃61を+Y方向に押し出す。
【0059】
軸部141cは、X方向に延びる棒状部であり、X軸を回転軸として回転可能に構成されている。軸部141cは、長手方向の両端部の外周部分に平坦部141d~141gを有する多角形上に形成されており、カムとして作用する。軸部141cは、持ち上げ動作をしていない時は平坦部141fが蓋20の内面と接触し、平坦部141gがフレーム65と接触して回転が固定される。
【0060】
押出機構140においては、持手部141aの蓋20からの持ち上げ動作を受けて押圧部141bが軸部141cを回転中心として回転し、押圧部141bが凸部61cと接触して可動刃61を+Y方向に押し出す。これにより、可動刃61が+Y方向に移動し刃部61aが露出する。また、持手部141aが持ち上げられた状態では、平坦部141dが蓋20の内面と接触し、平坦部141eがフレーム65とに接触し、押出部品141の回転が制限され、可動刃61の位置が固定される。
【0061】
以上に説明したように、第4形態の押出機構140を有するプリンタによれば、持手部141aの持ち上げ動作を受けて、押圧部151bが回転する。そして、回転する押圧部151bにより可動刃61が+Y方向に押し出され、刃部61aが露出する。そのため、ユーザ等は、手指等で可動刃61、ギヤ列64等に触れることなく、また、工具等を用いることなく、刃部61aを露出させることができる。また、持手部141aを持ち上げた状態では可動刃61が固定されるので、刃部61aを露出させた状態を保持できる。その結果、容易に可動刃61を清掃できる。
【0062】
(第5形態)
図27図30を参照し、本実施形態の押出機構の第5形態について説明する。図27は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの平面図であり、図28は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの平面図である。図29は可動刃の刃部が露出していない状態のプリンタの、図27における27A-27A断面図である。図30は可動刃の刃部が露出している状態のプリンタの、図28における28A-28A断面図である。
【0063】
第5形態の押出機構150は、押出部品151を含む。
【0064】
押出部品151は、Z軸を回転軸として回転することで可動刃61を押し出すよう構成される。本実施形態の押出部品151は、持手部151a、押圧部151bを含む。
【0065】
持手部151aは、蓋20の内面に回転可能に設けられ、押出部品151を手指等で掴む部分を構成する。
【0066】
押圧部151bは、蓋20の内面に、持手部151aと共に回転可能に設けられている。押圧部151bの-Z側には、蓋20の内面に形成された突起20gと係合する窪み151cが形成されている。持手部151aが回転する前の位置にある状態で、突起20gと窪み151cが係合して押出部品151の位置が固定される。押圧部151bの形状は限定されないが、例えば持手部151aの短手方向を長手方向とし、持手部151aの長手方向を短手方向とする矩形板状である。押圧部151bは、押圧面151b1、円弧面151b2、平坦面151b3を含む。
【0067】
押圧面151b1は、図28において押圧部151bの+Y側端部に設けられている。持手部151aの先端(図28において-Y側端部)を-Y側(図27に示される位置)から-X側(図28に示される位置)に向けて右回りに回転させると、持手部151aと共に押圧部151bが右回りに回転して、押圧部151bの右回りの回転を受けて、可動刃61の先端部61bが押圧面151b1によって+Y方向に押し出される。
【0068】
円弧面151b2は、図28において押圧部151bの-Y側端部の-X側に設けられている。
【0069】
平坦面151b3は、図28において押圧部151bの-Y側端部の+X側に設けられている。持手部151aの先端を-Y側から-X側に向けて右回りに回転させると、押圧部151bが図27に示される位置から90°又は略90°回転した位置(図28に示される位置)で、平坦面151b3が蓋20の内面の凸部20uと接触し、押出部品151の回転が制限される。
【0070】
押出機構150においては、持手部151aの回転を受けて押圧部151bが回転すると、押圧部151bが可動刃61の先端部61bと接触し、可動刃61を+Y方向に押し出す。これにより、可動刃61が+Y方向に移動して刃部61aが露出する。また、持手部151aを回転させた状態では、平坦面151b3が蓋20の内面の凸部20uと接触し、押出部品151の回転が制限される。その結果、可動刃61の-Y方向への移動が制限され、可動刃61の位置が固定される。
【0071】
以上に説明したように、第5形態の押出機構150を有するプリンタによれば、持手部151aの回転を受けて、押圧部151bが回転する。そして、回転する押圧部151bにより可動刃61が+Y方向に押し出され、刃部61aが露出する。そのため、ユーザ等は、手指等で可動刃61、ギヤ列64等に触れることなく、また、工具等を用いることなく、刃部61aを露出させることができる。また、持手部151aを回転させた状態で可動刃61が固定されるので、刃部61aを露出させた状態を保持できる。その結果、容易に可動刃61を清掃できる。
【0072】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
51 固定刃、61 可動刃、62 ラック、111 押出部品、P 記録紙
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