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特開2023-519629,10,11,12-テトラヒドロ-8H-[1,4]ジアゼピノ[5’,6’:4,5]チエノ[3,2-F]キノリン-8-オン化合物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023051962
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】9,10,11,12-テトラヒドロ-8H-[1,4]ジアゼピノ[5’,6’:4,5]チエノ[3,2-F]キノリン-8-オン化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/14 20060101AFI20230404BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 5/16 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C07D495/14 CSP
A61K31/551 ZNA
A61P37/06
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P5/00
A61P9/00
A61P1/04
A61P25/02
A61P17/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P1/18
A61P9/10 101
A61P19/06
A61P13/12
A61P1/16
A61P17/00
A61P3/10
A61P27/02
A61P11/00
A61P7/00
A61P25/00
A61P15/08
A61P21/04
A61P27/16
A61P27/14
A61P11/06
A61P7/06
A61P5/16
A61P13/10
A61P25/04
A61P29/02
A61P31/00
A61P1/02
A61P19/04
A61P35/00
A61P31/14
A61P17/02
A61P15/00
A61P3/04
A61P35/02
A61P9/10
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022200392
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2019550659の分割
【原出願日】2018-03-15
(31)【優先権主張番号】62/472,027
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】517092569
【氏名又は名称】セルジーン シーエーアール エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マロナ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・エル・ルチェルマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】MK2キナーゼ阻害剤を提供する。
【解決手段】下式I-82で表される化合物を提供する。

I-82および医薬的に許容し得る担体、アジュバンドまたはビヒクルを含む、医薬的に許容し得る組成物を、MK2介在性疾患または障害の治療に用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
環Aは、フェニル、1~3個の窒素を有する5~6員単環式ヘテロアリール環または8~14員架橋もしくは縮合二環式ヘテロ芳香族環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する)であり;
Tは、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(S)-、-Si(R)-、-P(R)-、-P(O)-から選択される2価の基であるか、または2価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよい;
各Rは、独立して、水素であるか、または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であるか:または
同一窒素上の2つのR基は、窒素と一緒になって、3~7員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素または硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する)を形成しており;
は、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり;
は、Rまたは-(CH)であり;
pは、0、1、2または3であり;
は、CN、-NO、ハロゲン、-OR、-SR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-C(O)R、-N(R)C(O)R、-SON(R)または-N(R)SOであり;
は、ハロゲン、-CN、-SR、-S(O)R、-SO、-OSO、-OC(O)Rまたは-OP(O)ORであり;
各Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族または所望により置換されていてもよいフェニルから独立して選択され;
は、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyであり;
各Rは、独立して、水素、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
各Rは、独立して、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
各mおよびnは、独立して、0~4であり;および
各Cyは、独立して、所望により置換されていてもよい環であり、これらは3~9員飽和または部分不飽和の単環式炭素環、3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、フェニル、5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式炭素環または6~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
Tが、-N(R)-、-O-または-S-である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Tが、-NH-または-O-である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が、R、-CHORまたは-CHN(R)である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が、メチル、-CHOCHまたは-CHNHである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
環Aが、フェニルであり、Rが、-CN、-NO、ハロゲン、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cyまたは-C(O)-Cyから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
環Aが、1~3個の窒素を有する6員ヘテロアリール環である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、式II、III、IV、VまたはVI:
【化2】
のいずれかである、請求項7記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
が、ハロゲンである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、-SRまたは-SOである、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
が、Rであり、ここでRが水素である、請求項7記載の化合物。
【請求項12】
が、Rであり、ここでRが、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、請求項7記載の化合物。
【請求項13】
が、-OR、-(CH)N(R)または-(CH)ORである、請求項7記載の化合物。
【請求項14】
が、-OCHOCHCH、-O(CH)OCH、-O(CH)N(CH)および-OCHから選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
が、ハロゲン、-CN、NO、-C(O)N(R)または-C(O)ORである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
が、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-OR、-O-Cy、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-O-(CH)-Cyである、請求項7記載の化合物。
【請求項17】
請求項1記載の化合物、および医薬的に許容し得る担体、アジュバンドまたはビヒクルを含む、医薬的に許容し得る組成物。
【請求項18】
生物学的試料を、請求項1記載の化合物と接触させる工程を特徴とする、生物学的試料中のMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を阻害する方法。
【請求項19】
請求項17記載の組成物を患者に投与する工程を特徴とする、該患者におけるMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を阻害する方法。
【請求項20】
請求項17記載の組成物を治療が必要な患者に投与する工程を特徴とする、該患者におけるMK2介在性疾患または障害の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2017年3月16日に出願された米国仮出願第62/472,027号の優先権を主張し、この全体が本明細書において参考として援用される。
【技術分野】
【0002】
(本発明の技術分野)
本発明は、MK2キナーゼの阻害剤として有用な化合物に関する。本発明は、本発明の化合物を含む医薬的に許容される組成物、および様々な障害の治療における前記組成物の使用方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
近年、疾患に関連する酵素および他の生体分子の構造に関するより良い理解によって、新規治療剤の探求が大きく促進されている。広範囲な研究の対象になっている酵素の1つの重要なクラスは、プロテインキナーゼである。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内における様々なシグナル伝達プロセスの制御に関与する構造的に関連がある酵素の大きなファミリーを構成する。プロテインキナーゼは、それらの構造および触媒機能の保存を理由に、共通する先祖遺伝子から進化したと考えられる。ほぼ全てのキナーゼは、類似する250~300アミノ酸の触媒ドメインを含有する。キナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質-チロシン、タンパク質-セリン/スレオニン、脂質など)に依って、ファミリーに分類され得る。
【0005】
分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ―活性化プロテインキナーゼ2(MAPKAPK2またはMK2)は、複数のp38MAPK依存性細胞応答を媒介する。MK2は、多くの急性および慢性炎症性疾患、例えば関節リウマチおよび炎症性腸疾患に関与するサイトカイン類(例えば、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン6(IL-6)およびインターフェロンγ(IFNγ))産生の重要な細胞内調節因子である。MK2は、非刺激細胞の核内に存在し、刺激により細胞質に移行し、ツベリンおよびHSP27をリン酸化および活性化する。MK2は、心不全、脳虚血損傷、ストレス耐性の調節およびTNF-αの産生にも関与する(Deak et al., EMBO. 17:4426-4441 (1998);Shi et al., Biol. Chem. 383:1519-1536 (2002);Staklatvala., Curr. Opin. Pharmacol. 4:372-377 (2004), and Shiroto et al., J. Mol. Cardiol. 38:93-97 (2005)を参照されたい)。
【0006】
多くの疾患は、上記プロテインキナーゼ介在性事象によって起こる異常な細胞応答に関連する。これらの疾患としては、限定するものではないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝疾患、神経系疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病ならびにホルモン関連疾患が挙げられる。従って、治療剤として有用なプロテインキナーゼ阻害剤を見出すことが依然として必要とされている。
【0007】
(発明の概要)
本発明の化合物およびその医薬的に許容される組成物は、MK2の阻害剤として有効であることが今回判った。このような化合物は、
一般式I:
【化1】

(式中、環A、T、R、R、RおよびRは、各々上記式Iに関して、本明細書の実施形態で規定および記載されるとおりである)またはその医薬的に許容される塩を有する。
【0008】
本発明の化合物およびその医薬的に許容される組成物は、プロテインキナーゼ介在性事象により生じる異常な細胞応答に関連する様々な疾患、障害または症状を治療するために有用である。このような疾患、障害または症状としては、本明細書に記載されるものが含まれる。
【0009】
本発明によって提供される化合物は、生物学的および病理学的現象におけるキナーゼの研究;このようなキナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究;ならびに、新たなキナーゼ阻害剤の比較評価にも有用である。
【0010】
(特定の実施形態の詳細な説明)
1.本発明の化合物の一般的な説明:
特定の実施形態では、本発明は、MK2の不可逆的阻害剤を提供する。いくつかの実施形態において、このような化合物としては、本明細書に記載される式の化合物またはその医薬的に許容される塩が挙げられ、各可変部は、本明細書において定義および記載されるとおりである。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明は、式I:
【化2】
[式中:
環Aは、フェニル、1~3個の窒素を有する5~6員単環式ヘテロアリール環または8~14員二環式ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する)であり;
Tは、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(S)-、-Si(R)-、-P(R)-、-P(O)-から選択される2価の基であるか、または二価の飽和の直鎖または分枝鎖の1~3員炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよい;
各Rは、独立して、水素であるか、または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であるか:または、同一窒素上の2つのR基が、窒素と一緒になって、3~7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素または硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する)を形成しており;
は、水素であるか、または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり;
は、-Rまたは-(CH)であり;
pは、0、1、2または3であり;
は、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-SR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-C(O)R、-N(R)C(O)R、-SON(R)または-N(R)SOであり;
は、ハロゲン、-CN、-SR、-S(O)R、-SO、-OSO、-OC(O)Rまたは-OP(O)ORであり;
各Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族または所望により置換されていてもよいフェニルから独立して選択される;
は、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyであり;
各Rは、独立して、水素、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
各Rは、独立して、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
mおよびnは、各々独立して、0~4であり;および
各Cyは、独立して、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式炭素環、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、フェニル、5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、7~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式炭素環または6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される、所望により置換されていてもよい環である]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0012】
2.化合物および定義:
本発明の化合物としては、上記に一般に記載されているものが挙げられ、本明細書に開示されるクラス、サブクラスおよび種によってさらに例示される。特に指示がない限り、本明細書で使用される以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edにしたがって特定される。加えて、有機化学の一般的原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito:1999, and “March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.:Smith, M.B. and March's, J., John Wiley & Sons, New York:2001(これらの全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0013】
本明細書で使用される「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、完全に飽和しているか、または1以上の不飽和単位を含有する直鎖(すなわち、非分枝鎖)もしくは分枝鎖の置換もしくは非置換炭化水素鎖、あるいは完全に飽和しているか、または1以上の不飽和単位を含有する単環式炭化水素もしくは二環式炭化水素であって、該分子の他の部分への1つの結合点を有する芳香族ではない単環式炭化水素または二環式炭化水素(本明細書では「炭素環」、「炭素環式」、「脂環式」または「シクロアルキル」とも称される)を意味する。別段の記載がない限り、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含有する。別の実施形態では、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに別の実施形態では、脂肪族基は、1~3個の脂肪族炭素原子を含有し、また別の実施形態では、脂肪族基は、1~2個の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの実施形態において、「炭素環式」(または「脂環式」もしくは「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)は、完全に飽和しているかまたは1つもしくはそれを超える不飽和単位を含有する単環式C-C炭化水素であって、該分子の他の部分への1つの結合点を有する芳香族ではない単環式C-C炭化水素を指す。適切な脂肪族基としては、限定されないが、直鎖または分枝鎖の置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル基およびそれらの組み合わせ、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルが挙げられる。
【0014】
本明細書で使用される「架橋二環式」という用語は、少なくとも1つの架橋を有する任意の飽和または部分不飽和二環系(すなわち、炭素環式または複素環式)を指す。IUPACによって定義されるように、「架橋」は、2つの橋頭を連結する複数原子の非分枝鎖または1個の原子もしくは原子価結合であり、「橋頭」とは、3個以上の骨格原子(水素以外)に結合している該環系の任意の骨格原子である。いくつかの実施形態において、架橋二環式基は、7~12個の環員と、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子とを有する。このような架橋二環式基は、当技術分野で周知であり、以下に記載されているものが挙げられ、各基は、任意の置換可能な炭素原子または窒素原子にて、該分子の他の部分と結合している。別段の記載がない限り、架橋二環式基は、脂肪族基について記載されている1以上の置換基で所望により置換されていてもよい。加えて、またはあるいは、架橋二環式基の任意の置換可能な窒素は、所望により置換されていてもよい。例示的な架橋二環式としては:
【化3】
が挙げられる。
【0015】
「低級アルキル」という用語は、C1-4直鎖または分枝鎖アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルである。
【0016】
「低級ハロアルキル」という用語は、1以上のハロゲン原子で置換されているC1-4直鎖または分枝鎖アルキル基を指す。
【0017】
「ヘテロ原子」という用語は、1以上の、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素(例えば、窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態;または、複素環の置換可能な窒素、例えばN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルなど)、NH(ピロリジニルなど)またはNR(N置換ピロリジニルなど)を含む)を意味する。
【0018】
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、部分が1つまたはそれを超える不飽和単位を有することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「二価C1-8(またはC1-6)飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素鎖」という用語は、本明細書で定義される直鎖または分枝鎖である二価アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン鎖を指す。
【0020】
「アルキレン」という用語は、二価アルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち-(CH)-(nは、正の整数、好ましくは1~6、1~4、1~3、1~2または2~3である)である。置換アルキレン鎖は、1以上のメチレン水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。適切な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されているものが挙げられる。
【0021】
「アルケニレン」という用語は、二価アルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、少なくとも1つの二重結合を含有するポリメチレン基であって、1以上の水素原子が置換基で置き換えられているポリメチレン基である。適切な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されているものが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される「シクロプロピレニル」という用語は、以下の構造:
【化4】
の二価シクロプロピル基を指す。
【0023】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0024】
単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」などのより大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計5~14個の環員を有する単環系または二環系であって、該系中の少なくとも1個の環は芳香族であり、該系中の各環は3~7個の環員を含有する単環系または二環系を指す。「アリール」という用語は、用語「アリール環」と互換的に使用され得る。本発明の特定の実施形態では、「アリール」は、芳香環系を指し、例示的な基としては、1以上の置換基を有し得るフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどが挙げられる。芳香環が1以上の非芳香環、例えばインダニル、フタリミジル、ナフチミジル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロナフチルと縮合している基も、本明細書で使用される場合に「アリール」という用語の範囲内に含まれる。
【0025】
単独でまたはより大きな部分、例えば「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロアリ-(heteroar-)」という用語は、5~10個の環原子、好ましくは5個、6個または9個の環原子を有する基であって、環配置中で共有された6個、10個または14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。例示的なヘテロアリール基としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルが挙げられる。本明細書で使用される「ヘテロアリール」および「ヘテロアリ-」という用語はまた、複素芳香環が1以上のアリール環、脂環式環またはヘテロシクリル環と縮合している基であって、該官能基または結合点が該複素芳香環上にある基も含む。例示的な基としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルおよびピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であり得る。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」または「複素芳香族」という用語(これらの用語はいずれも、所望により置換されている環を含む)と互換的に使用され得る。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されているアルキル基であって、該アルキルおよびヘテロアリール部分は、独立して所望により置換されていてもよいアルキル基を指す。
【0026】
本明細書で使用される「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「複素環基」および「複素環」という用語は互換的に使用され、安定な5~7員単環式または7~10員二環式複素環部分であって、飽和しているかまたは部分的に不飽和であり、炭素原子に加えて1以上の、好ましくは1~4個の上記で定義されるヘテロ原子を有する安定な5~7員単環式または7~10員二環式複素環部分を指す。複素環の環原子に関して使用される場合、「窒素」という用語は、置換されている窒素を含む。例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有する飽和または部分不飽和環において、該窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルなど)、NH(ピロリジニルなど)またはNR(N置換ピロリジニルなど)であり得る。
【0027】
複素環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子にてそのペンダント基に結合していてもよく、該環原子のいずれかは、所望により置換されていてもよい。このような飽和または部分不飽和複素環基の例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニルおよびキヌクリジニルが挙げられる。「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環基」、「複素環部分」および「複素環官能基」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヘテロシクリル環が1個以上のアリール環、ヘテロアリール環または脂環式環、例えばインドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロキノリニルと縮合している基であって、該官能基または結合点がヘテロシクリル環上にある基も含む。ヘテロシクリル基は、単環式または二環式であり得る。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルで置換されているアルキル基であって、該アルキルおよびヘテロシクリル部分が独立して所望により置換されていてもよいアルキル基を指す。
【0028】
本明細書で使用される「部分不飽和」という用語は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。「部分不飽和」という用語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書で定義されるアリールまたはヘテロアリール部分を含まないことを意図する。
【0029】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は「所望により置換されていてもよい」部分を含有し得る。一般に、「置換されている」という用語は、「所望により」という用語が前置きされているか否かに拘わらず、指定部分の1以上の水素が適切な置換基で置き換えられていることを意味する。「置換されている」は、構造から明白または暗黙の1個またはそれを超える水素に適用される(例えば、
【化5】
は、少なくとも
【化6】
を指し;
【化7】
は、少なくとも
【化8】
を指す)。別段の指示がない限り、「所望により置換されている」基は、該基の置換可能な各位置において適切な置換基を有し得、任意の所定の構造における複数の位置が、指定の基から選択される複数の置換基で置換されていてもよい場合、該置換基は、位置ごとに同じものであり得るか、または異なるものであってもよい。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な、または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書で使用される「安定な」という用語は、製造、検出ならびに特定の実施形態では回収、精製および本明細書に開示される1以上の目的のために使用できる条件におかれた場合に、実質的に変化しない化合物を指す。
【0030】
「所望により置換されていてもよい」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価置換基は独立して、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°;-O(CH)0-4、-O-(CH)0-4C(O)OR°;-(CH)0-4CH(OR°);-(CH)0-4SR°;-(CH)0-4Ph(これは、R°で置換されていてもよい);-(CH)0-4O(CH)0-1Ph(これは、R°で置換されていてもよい);-CH=CHPh(これは、R°で置換されていてもよい);-(CH)0-4O(CH)0-1-ピリジル(これは、R°で置換されていてもよい);-NO;-CN;-N;-(CH)0-4N(R°);-(CH)0-4N(R°)C(O)R°;-N(R°)C(S)R°;-(CH)0-4N(R°)C(O)NR°;-N(R°)C(S)NR°;-(CH)0-4N(R°)C(O)OR°;-N(R°)N(R°)C(O)R°;-N(R°)N(R°)C(O)NR°;-N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH)0-4C(O)R°;-C(S)R°;-(CH)0-4C(O)OR°;-(CH)0-4C(O)SR°;-(CH)0-4C(O)OSiR°;-(CH)0-4OC(O)R°;-OC(O)(CH)0-4SR°;-(CH)0-4SC(O)R°;-(CH)0-4C(O)NR°;-C(S)NR°;-C(S)SR°;-SC(S)SR°、-(CH)0-4OC(O)NR°;-C(O)N(OR°)R°;-C(O)C(O)R°;-C(O)CHC(O)R°;-C(NOR°)R°;-(CH)0-4SSR°;-(CH)0-4S(O)R°;-(CH)0-4S(O)OR°;-(CH)0-4OS(O)R°;-S(O)NR°;-(CH)0-4S(O)R°;-N(R°)S(O)NR°;-N(R°)S(O)R°;-N(OR°)R°;-C(NH)NR°;-P(O)R°;-P(O)R°;-OP(O)R°;-OP(O)(OR°);SiR°;-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)O-N(R°);または-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)O-N(R°)であり、各R°は、以下で定義されるように置換されていてもよく、独立して、水素、C1-6脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)または5~6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であるか、または上記定義にかかわらず、各々独立した2個のR°は、それらの介在原子と一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和もしくはアリールの単環もしくは二環を形成する(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)(これは、以下で定義されるように置換されていてもよい)。
【0031】
R°(または、各々独立した2個のR°がそれらの介在原子と一緒になって形成した環)上の適切な一価置換基は、独立して、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRであり、ここで各Rは、非置換であるか、または「ハロ」が前置きされる場合には1個以上のハロゲンでのみ置換されており、C1-4脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Phまたは5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)から独立して選択される。R°の飽和炭素原子上の適切な二価置換基としては、=Oおよび=Sを包含する。
【0032】
「所望により置換されていてもよい」基の飽和炭素原子上の適切な二価置換基としては、以下:=O(「オキソ」)、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、-O(C(R ))2-3O-または-S(C(R ))2-3S-が挙げられ、各々独立して、各Rは、水素、C1-6脂肪族(これは、以下で定義されるように置換されていてもよい)、または非置換5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を含有する)から選択される。「所望により置換されている」基の隣接する置換可能な炭素に結合している適切な二価置換基としては:-O(CR )2-3O-が挙げられ、各Rは、各々独立して、水素、C1-6脂肪族(これは、以下で定義されるように置換されていてもよい)、または非置換5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を含有する)から選択される。
【0033】
の脂肪族基上の適切な置換基としては、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR または-NOが挙げられ、各Rは非置換であるか、または「ハロ」が前置きされる場合には1個以上のハロゲンでのみ置換されており、独立して、C1-4脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Phまたは5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)である。
【0034】
「所望により置換されていてもよい」基の置換可能な窒素上の適切な置換基としては、-R、-NR 、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-S(O)、-S(O)NR 、-C(S)NR 、-C(NH)NR または-N(R)S(O)が挙げられ;各Rは独立して、水素、C1-6脂肪族(これは、以下で定義されるように置換されていてもよい)、非置換-OPh、または非置換5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であるか、または、上記定義にかかわらず、2つの各々独立したRは、それらの介在原子と一緒になって、非置換3~12員の飽和、部分不飽和もしくはアリール単環もしくは二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成する。
【0035】
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立して、ハロゲン、-R、-(ハロR)、-OH、-OR、-O(ハロR)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR、-NH、-NHR、-NR または-NOであり、ここで各Rは、非置換であるか、または「ハロ」が前置きされる場合には、1個以上のハロゲンでのみ置換されており、独立して、C1-4脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Ph、または5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)である。
【0036】
本明細書で使用される「医薬的に許容される塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトまたは下等動物の組織と接触させて使用するのに適切な塩であって、妥当なベネフィット/リスク比に相応する塩を指す。医薬的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19(これは、参照により本明細書に組み込まれる)には、医薬的に許容される塩が詳細に記載されている。本発明の化合物の医薬的に許容される塩としては、適切な無機酸および無機塩基ならびに有機酸および有機塩基から得られるものが挙げられる。医薬的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を用いて形成されたアミノ基の塩である。他の医薬的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0037】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩が挙げられる。さらなる医薬的に許容される塩としては、適切な場合には、ハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、サルフェート、ホスフェート、ナイトレート、低級アルキルスルホネートならびにアリールスルホネートなどの対イオンを使用して形成される、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンが挙げられる。
【0038】
特段の記載がない限り、本明細書で示される構造は、該構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座))形態;例えば、各不斉中心についてR型およびS型配置、Z型およびE型二重結合異性体ならびにZ型およびE型立体配座異性体を含むことも意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。特段の記載がない限り、本発明の化合物のすべての互変異性形態は、本発明の範囲内である。加えて、特段の記載がない限り、本明細書で示される構造はまた、1個以上の同位体濃縮原子の存在の点でのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、本構造を有する化合物であって、デューテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換、または13Cもしくは14C富化炭素による炭素の置換を含む化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本発明の治療剤として有用である。特定の実施形態では、提供される化合物の頭部基部分の環A(R)(R)は、1以上のデューテリウムを含む。
【0039】
本発明によって想定される置換基および可変部の組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすもののみである。本明細書で使用される「安定な」という用語は、製造できる程度に十分な安定性を有する化合物であって、本明細書に詳述される目的(例えば、対象への治療的投与もしくは予防的投与)に有用であるように十分な期間にわたり、該化合物の完全性を維持する化合物を指す。
【0040】
本明細書における可変部の任意の定義における化学基の列挙の記載は、その可変部が、列挙されている基の任意の単一の基または組み合わせであるという定義を含む。本明細書における可変部の実施形態の記載は、その実施形態が、任意の単一の実施形態、または任意の別の実施形態もしくはその一部との組み合わせであることを含む。
【0041】
本明細書で使用される「生物学的試料」という用語は、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙または他の体液またはそれらの抽出物を包含するが、これに限定するものではない。生物学的試料におけるプロテインキナーゼ、例えばMK2またはその突然変異体の活性の阻害は、当業者に公知の様々な目的に有用である。このような目的の例としては、輸血、臓器移植、生物標本の保存および生物学的アッセイが挙げられるが、これに限定するものではない。
【0042】
本明細書で使用される「MK2に関連する疾患または障害」または「MK2介在性疾患または障害」は、MK2またはその突然変異体が役割を果たすことが公知であるかまたは疑われるあらゆる疾患または他の有害症状を意味する。
【0043】
本明細書で使用される「対象」という用語は、哺乳動物を意味し、ヒトおよび動物対象、例えば家畜(例えば、ウマ、イヌ、ネコなど)を含む。「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用される。いくつかの実施形態において、「患者」または「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0044】
「医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクル」という用語は、非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルであって、それと共に製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用され得る医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。単一の剤形で組成物を生産するために担体材料と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、治療される宿主、特定の投与様式などに応じて変動する。好ましくは、提供される組成物は、0.01~約100mg/kg対象体重/日または約0.1mg/kg対象体重/日~約50mg/kg対象体重/日、好ましくは約1mg/kg対象体重/日~約25mg/kg対象体重/日の投与量の阻害剤を、これらの組成物を摂取する患者に投与して、所望の治療効果を得ることができるように製剤化される。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の特定の化合物にも依存する。
【0045】
本明細書で使用される「単位剤形」という表現は、治療すべき対象に適切な提供される化合物および/またはその組成物の物理的に別個の単位を指す。しかしながら、活性薬剤(すなわち、本発明の化合物および組成物)の総1日使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決定されると理解される。任意の特定の対象(すなわち、患者)または生物のための特定の有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;用いられる特定の活性薬剤の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、一般健康、性別および食事;用いられる特定の活性薬剤の投与時間、投与経路および排出速度;治療期間、ならびに医学分野において周知の要因を含めた様々な要因に依存する。
【0046】
本明細書で使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0047】
本明細書で使用される「治療有効量」は、所望の生物学的応答を引き起こす物質(例えば、治療剤、組成物および/または製剤)の量を意味する。いくつかの実施形態において、物質の治療有効量は、疾患、障害および/または症状を患っているか、または罹患し易い対象への投与レジメンの一環として投与した場合に、該疾患、障害および/または症状を治療し、診断し、予防しおよび/またはその発症を遅延させるために十分な量である。当業者によって理解されるように、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達すべき物質、標的細胞または組織などの要因に依存して変動し得る。例えば、疾患、障害および/または症状を治療するための製剤中の提供される化合物の有効量は、該疾患、障害および/または症状の1つまたはそれを超える症候または特徴を緩和し、改善し、軽減し、抑制し、予防し、その発症を遅延させ、その重症度を低減し、および/またはその発症を低減する量である。いくつかの実施形態において、「治療有効量」は、提供される化合物または提供される化合物を含有する組成物の少なくとも最小量であって、MK2介在性疾患または障害の1つ以上の症候を治療するために十分な最小量である。
【0048】
本明細書で使用される「治療」、「治療する」および「治療すること」という用語は、本明細書に記載される障害もしくは症状または該障害もしくは症状の1以上の症候を、部分的にまたは完全に緩和し、抑制し、その発症を遅延させ、予防し、改善し、および/または軽減することを指す。いくつかの実施形態において、治療は、1以上の症候が生じた後に行われ得る。いくつかの実施形態において、「治療すること」という用語は、疾患または障害の進行を、予防または停止することを含む。別の実施形態では、治療は、症候の非存在下で行われ得る。例えば、治療は、症候の発症前に、感受性個体に行われ得る(例えば、病歴を考慮して、および/または遺伝因子もしくは他の感受性因子を考慮して)。治療は、症候が解消した後に、例えば、それらの再発を予防または遅延させるためにも継続され得る。従って、いくつかの実施形態において、「治療すること」という用語は、疾患または障害の再燃または再発を予防することを含む。
【0049】
本明細書で使用される「阻害剤」という用語は、測定可能な親和性で標的プロテインキナーゼMK2に結合し、および/またはこれを阻害する化合物と定義される。特定の実施形態では、阻害剤は、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満または約10nM未満のIC50および/または結合定数を有する。
【0050】
本明細書で使用される「測定可能な親和性」および「測定可能に阻害する」という用語は、本発明の化合物または本発明の組成物およびMK2を含む試料と、前記化合物または前記組成物の非存在下でMK2を含む同等試料との間のMK2活性の測定可能な変化を意味する。
【0051】
本明細書で使用される「不可逆的」または「不可逆的阻害剤」という用語は、キナーゼに実質的に非可逆的に共有結合できる阻害剤(すなわち、化合物)を指す。即ち、可逆的阻害剤は、キナーゼに結合することができ(しかし一般には、共有結合を形成することができない)、かつキナーゼから解離され得るのに対して、不可逆的阻害剤は、一旦共有結合が形成されると、キナーゼに実質的に結合した状態であり続ける。不可逆的阻害剤は、通常、時間依存性を示し、そのため該阻害剤が酵素と接触している時間に従い、阻害の程度が増加する。特定の実施形態では、不可逆的阻害剤は、一旦共有結合の形成が生じると、キナーゼに実質的に結合した状態であり続け、該タンパク質の寿命よりも長い期間にわたって、結合した状態であり続ける。
【0052】
化合物が不可逆的阻害剤として作用するかを確認するための方法は、当業者には公知である。このような方法としては、キナーゼによる化合物の阻害プロファイルの酵素動態分析、阻害剤化合物の存在下において改変されるタンパク質薬物標的の質量分析の使用、「ウォッシュアウト」実験としても公知の不連続曝露実験、および酵素の共有結合的改変を示すための放射性標識阻害剤などの標識の使用、ならびに当業者に公知の他の方法が挙げられるが、これに限定するものではない。
【0053】
本明細書で使用される「薬剤耐性」という用語は、標的タンパク質および/または標的タンパク質のアミノ酸配列および/または別のタンパク質のアミノ酸配列をコードする野生型核酸配列の変化であって、標的タンパク質に対する阻害剤の阻害効果を減少させるかまたは無効化する変化を指す。いかなる特定の理論にも束縛されないが、本発明の特定の化合物(すなわち、不可逆的キナーゼ阻害剤である化合物)は、薬剤耐性形態のプロテインキナーゼの有効な阻害剤であり得ると考えられる。
【0054】
3.例示的な実施形態の説明:
本明細書に記載されるように、本発明は、MK2キナーゼの不可逆的阻害剤を提供する。いかなる特定の理論にも束縛されないが、本発明の化合物は、MK2キナーゼの結合ドメインにおける重要なシステイン残基に共有結合することができる部分を含むと考えられる。このような部分は、本明細書では「反応性部分」と称される。当業者であれば、MK2キナーゼおよびその突然変異体が、結合ドメインにおいてシステイン残基を有することは理解されよう。いかなる特定の理論にも束縛されないが、提供されるMK2阻害剤上に存在する反応性部分が目的のシステインに近接すると、反応性部分によるそのシステインの共有結合的改変が促進されると考えられる。
【0055】
目的のシステイン残基は、目的のシステインを含むMK2キナーゼのアミノ酸配列の部分を同定することによって説明され得る。従って、特定の実施形態では、MK2のCys140は、Cys140が以下のMK2のアミノ酸配列に含まれているシステインであることを特徴とする:
配列番号1:
【表1】
【0056】
明確にするために、略語によるアミノ酸配列にてCys140を以下に示す:
配列番号2:
【表2】
【0057】
配列番号1および2の両方において、システイン140は、下線付の太字で強調されている。
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、本願化合物が、MK2のCys140を共有結合にて改変することを特徴とする反応性部分を含む。
【0059】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、化合物がMK2の標的Cys140を共有結合により改変し、それにより、キナーゼを不可逆的に阻害することを特徴とする反応性部分を含む。
【0060】
従って、いくつかの実施形態において、提供されるMK2阻害剤化合物上に存在する反応性部分は、システイン残基に共有結合し、それにより、酵素を不可逆的に阻害することができる。いくつかの実施形態において、そのシステイン残基は、MK2のCys140である。当業者は、本明細書で定義される様々な反応性部分が、このような共有結合に適切であることを理解するであろう。かかる反応性部分としては、本明細書に記載されているもの、および以下に示されているものが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0061】
一態様によれば、本発明は、式I:
【化9】

[式中、
環Aは、フェニル、1~3個の窒素を有する5~6員単環式ヘテロアリール環または8~14員二環式ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する)であり;
Tは、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(S)-、-Si(R)-、-P(R)-、-P(O)-から選択される2価の基であるか、または二価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよい;
各Rが、独立して水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であるか:または、
同一窒素上の2つのR基は、窒素と一緒になって、3~7員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素または硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する)を形成しており;
は、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり;
は、-Rまたは-(CH)であり;
pは、0、1、2,または3であり;
は、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-SR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-C(O)R、-N(R)C(O)R、-SON(R)または-N(R)SOであり;
は、ハロゲン、-CN、-SR、-S(O)R、-SO、-OSO、-OC(O)Rまたは-OP(O)ORであり;
各Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族または所望により置換されていてもよいフェニルから独立して選択され;
は、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyであり;
各Rは、独立して、水素、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
各Rは、独立して、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
各mおよびnは、独立して、0~4であり;および
各Cyは、独立して、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式炭素環、3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、フェニル、5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式炭素環または6~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される所望により置換されていてもよい環である]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0062】
上記で一般的に定義され、全体を通して議論されているように、各R°は、独立して、水素、C1-6脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)または5~6員の飽和、部分不飽和またはアリール環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり;ここで、R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよく;あるいは、各々独立して、2個の各R°は、それらの介在原子と所望により一緒になって、3~12員飽和、部分不飽和またはアリール単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する)を形成していてもよい。いくつかのこのような実施形態では、各Rは、非置換であるか、または「ハロ」が前置きされる場合には1以上のハロゲンのみで置換されており、C1-4脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Phまたは5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環(窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する)から独立して選択される。
【0063】
上記で一般的に定義されているように、Tは、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(S)-、-Si(R)-、-P(R)-、-P(O)-から選択される二価の基、あるいは二価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよく、ここで各Rは、独立して、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、-N(R)-、-O-または-S-である。いくつかの実施形態において、Tは、-NH-である。別の実施形態では、Tは-O-である。別の実施態様では、Tは-S-である。いくつかの実施形態において、Tは-N(R)-であり、ここでRは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、-N(CH)-である。いくつかの実施形態において、Tは、-N(R)-であり、ここでRは、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定した通りであり、かつ本明細書に記載されたとおりである。いくつかの実施形態において、Tは、-N(R)-であり、ここでRは、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、-N(CHCHN(R°))-または-N(CHCHOR°)-であり、ここでR°は水素またはC1-6脂肪族である。特定の実施形態では、Tは、以下の表1に示されている化合物上に存在するT部分から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態において、Tは、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(S)-、-Si(R)-、-P(R)-、-P(O)-、二価の3~7員シクロアルキレンまたは二価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員炭化水素鎖から選択される2価の基であり、該炭化水素鎖は、ハロゲン、-R、デューテリウム、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよく、ここで各Rが、独立して水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、二価の3~7員シクロアルキレンまたは二価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、ハロゲン、-R、デューテリウム、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよく、ここで各Rは、独立して、水素であるか、または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、二価の3~7員シクロアルキレンである。いくつかの実施形態において、Tは、シクロプロピレンである。いくつかの実施形態において、Tは、1,1-シクロプロピレンである。いくつかの実施形態において、Tは、二価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、ハロゲン、-R、デューテリウム、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよく、ここで各Rは、独立して水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Tは、-CF-、-C(Me)-または-CD-である。
【0065】
上記で一般的に定義されているように、Rは、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
【0066】
上記で一般的に定義されているように、Rは、-Rまたは-(CH)であり、pは、0、1、2または3であり、Rは、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-SR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-C(O)R、-N(R)C(O)R、-SON(R)または-N(R)SOである。ある実施形態において、Rは、-R、-CHORまたは-CHN(R)である。
【0067】
いくつかの実施形態において、Rは、-Rであり、ここで-Rが、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHであり、ここでRは、-ORまたは-N(R)である。ある実施形態において、Rは、-CHOCHである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHNHである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHNHCHである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(CH)である。ある実施形態において、Rは、-CHOHである。ある実施形態において、Rは、以下の表1に示されている化合物上に存在するR部分から選択される。
【0068】
上記で一般に定義されているように、環Aは、フェニル、または1~3個の窒素を有する5~6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、フェニル、または1~3個の窒素を有する5~6員単環式ヘテロアリール環または8~14員二環式ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、環Aは、フェニルである。いくつかの実施形態において、環Aは、1~3個の窒素を有する5~6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~14員二環式ヘテロアリール環である。
【0069】
ある実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、電子求引基である。当業者は、Rの定義に包含される特定の部分が電子求引基であることを認識するであろう。そのため、いくつかの実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、-CN、-NO、ハロゲン、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cyまたは-C(O)-Cyから選択される。いくつかの実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、-CN、ハロゲン、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cyまたは-C(O)-Cyから選択される。ある実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyである。ある実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyである。ある実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、-CN、-NOまたはハロゲンから選択される。ある実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは-CNまたはハロゲンから選択される。
【0070】
いくつかの実施形態において、環Aは、フェニルであり、Rは、フェニル環のメタ位にあり、Rは、フェニル環のオルト位にある。いくつかの実施形態において、環Aは、
【化10】
(式中、Rは、上記および本明細書で定義されるとおりであり、Rは、電子求引基であり、波線は、Tとの環Aの結合点を示す)である。
【0071】
いくつかの実施形態において、環Aは、
【化11】
(式中、Rは、ハロゲンであり、Rは、-CNであり、波線は、Tとの環Aの結合点を示す)である。
【0072】
いくつかの実施形態において、環Aは、
【化12】

(式中、波線は、Tとの環Aの結合点を示す)である。
【0073】
いくつかの実施形態において、環Aは、1~3個の窒素を有する5~6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、1~3個の窒素を有する5員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、1~3個の窒素を有する6員ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、ピリジルである。いくつかの実施形態において、環Aは、ピリミジニルである。いくつかの実施形態において、環Aは、ピリダジニルである。いくつかの実施形態において、環Aは、ピラジニルである。いくつかの実施形態において、環Aは、トリアジニルである。
【0074】
いくつかの実施形態において、環Aは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~14員二環式ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する9~10員二環式ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される2~3個のヘテロ原子を有する9~10員二環式ヘテロアリール環である。いくつかの実施形態において、環Aは、
【化13】
から選択される。
【0075】
上記で一般的に定義されているように、Rは、ハロゲン、-CN、-SR、-S(O)R、-SO、-OSO、-OC(O)Rまたは-OP(O)ORであり、ここで各Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族または所望により置換されていてもよいフェニルから独立して選択される。当業者は、Rの定義によって包含される部分が脱離基であることを認識する。脱離基は、当技術分野で周知であり、例えば、"Advanced Organic Chemistry," Jerry March, 4th Ed., pp.351-357, John Wiley and Sons, N.Y.(1992)を参照されたい。いくつかの実施形態において、Rはハロゲンである。いくつかの実施形態において、Rはフルオロである。ある実施形態において、Rは、クロロである。いくつかの実施形態において、Rは-SRまたは-SOである。いくつかの実施形態において、Rは、-SRまたは-SOであり、Rは所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-SCHまたは-SOCHである。いくつかの実施形態において、Rは、以下の表1に示されている化合物上に存在するR部分から選択される。
【0076】
上記で一般的に定義されているように、Rは、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyであり、各mおよびnは、独立して、0、1、2、3または4であり、各Cyは、独立して、3~9員飽和または部分不飽和の炭素環または3~9員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、フェニル、5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式炭素環または7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される所望により置換されていてもよい環である。
【0077】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい3~9員飽和または部分不飽和の炭素環である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい3~7員飽和または部分不飽和の炭素環である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい3~7員飽和炭素環である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよいシクロプロピルまたはシクロヘキシル環である。
【0078】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい3~9員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい3~7員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい5~6員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。
【0079】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい4~6員飽和ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい4員飽和ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい5員飽和ヘテロ環(独立して窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい6員飽和ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。ある実施形態において、Cyは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される基で所望により置換されていてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい3~7員部分不飽和ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかのかかる実施態様において、Cyは、3,6-ジヒドロ-2H-ピラニルまたは1,2,3,6-テトラヒドロピリジニルである。
【0081】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよいフェニルである。
【0082】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよいピリジルである。
【0083】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式炭素環である。
【0084】
いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Cyは、所望により置換されていてもよい8員飽和架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかのかかる実施態様において、Cyは、(1R,5S)-3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル(即ち、下記構造を有する基
【化14】
)である。
【0085】
いくつかの実施形態において、Cyの置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°、-(CH)0-4N(R°)で所望により置換されていてもよく:ここで、
R°は、水素であるか、あるいはハロゲンまたは-(CH)0-2ORで所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり、
は、C1-4脂肪族であるか;または
各々独立したR°は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から選択される0~1個のヘテロ原子を有する3~6員環飽和環を形成している。
【0086】
いくつかの実施形態において、Cyの置換可能な窒素原子は、-(CH)0-4で所望により置換されていてもよく、ここでRは、水素またはC1-6脂肪族である。
【0087】
いくつかの実施形態において、Cyは、
【化15】
であり、ここで各R°は、C1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Cyは、
【化16】
であり、ここで各R°は、C1-6脂肪族であり、各々2つのR°は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から選択される0~1個のヘテロ原子を有する3~4員環飽和環を形成する。いくつかのかかる実施態様において、Cyは、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル(即ち、下記構造
【化17】
を有する部分)である。いくつかの実施形態において、Cyは、
【化18】

(ここで、各R°は、C1-6脂肪族であり、2つのR°は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から選択される0~1個のヘテロ原子を有する3~4員環飽和環を形成している)である。いくつかのかかる実施態様において、Cyは、3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル(即ち、下記構造を有する基
【化19】
)である。
【0088】
ある実施形態において、Cyは、
【化20】

から選択される。
【0089】
当業者は、Rの定義が電子求引基(例えば、-CN、-NO、ハロゲンなど)および可溶化基(例えば、-N(R)、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cy、-(CH)-Cyなど)を含むことを認識する。したがって、いくつかの実施形態において、Rは、電子求引基である。別の実施形態では、Rは、可溶化基である。
【0090】
いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyである。いくつかの実施形態において、Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-(CH)-O-Cy、-(CH)-Cy、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)0-4N(R°)で所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかのかかる実施態様において、R°は、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)0-4SOR°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4N(R°)で所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり、ここでR°は、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)0-4OR°である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)0-4SOR°である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)0-4N(R°)である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)1-4N(R°)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(R°)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(R°)、-CHOR°または-CHSOR°である。いくつかのかかる実施態様において、R°は、-CN、ハロゲンまたは-(CH)0-2ORで所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり、ここでRは、C1-4脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHOH、-CHOCH、-CHOCHF、-CHOCHCHF、-CHOCHCH、-CHOCDCD、-CHOCHCHF、-CHOCHCHCN、-CHOC(CH)、-CHSOCH、-CHNHC(CH)、-CHN(CH)C(CH)、-CHN(CH)CH(CH)、-CHN(CHCH(CH))、-CHN(CH)CHCHOCHまたは-CHN(CH)CHCHOCHCHである。
【0091】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)N(R)または-(CH)ORである。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)N(R)である。いくつかのかかる実施態様において、Rは、-CHN(R)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHNHC(CH)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(CH)C(CH)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(CH)CH(CH)である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(CHCH(CH))である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(CH)CHCHOCHである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHN(CH)CHCHOCHCHである。いくつかのかかる実施態様において、Rは、-CHORである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHOHである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHOCHである。いくつかの実施形態において、Rは-CHOCCHCHである。
【0092】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)-Cyであり、Cyは、上記に記載され、かつ本明細書に記載されるとおりである。
【0093】
いくつかの実施形態において、Rは、-CHCyであり、Cyは、所望により置換されていてもよい5~6員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。
【0094】
いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)-Cyであり、Cyは、所望により置換されていてもよい7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を含有する)である。
【0095】
いくつかの実施形態において、Rは、-Cyである。いくつかの実施形態において、Rは、-Cyであり、Cyは、所望により置換されていてもよい5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を含有する)である。いくつかの実施形態において、Rは-Cyであり、Cyは、所望により置換されていてもよい7~12員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である。いくつかの実施形態において、Rは-Cyであり、Cyは上記に記載され、かつ本明細書に記載される。
【0096】
いくつかの実施形態において、Rは、-CHOH、-CHOCHおよび-CHから選択される所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。
【0097】
いくつかの実施形態において、Rは-ORであり、Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-O(CH)OCH、-O(CH)N(CH)および-OCHから選択される。
【0098】
いくつかの実施形態において、Rは、-N(R)であり、ここでRは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは-N(CH)である。
【0099】
ある実施形態において、Rは、ハロゲン、-CN、NO、-C(O)N(R)または-C(O)ORである。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、-CNまたはNOである。いくつかの実施形態において、Rは、フルオロ、クロロまたはブロモである。ある実施形態において、Rは、-C(O)N(R)または-C(O)ORであり、ここで各Rは、上記に記載され、かつ本明細書に記載される通りである。ある実施形態において、Rは、-C(O)NH、-C(O)OCHCHおよび-OC(O)CHから選択される。ある実施形態において、Rは、-C(O)NH、-C(O)OCH、-C(O)OCHCHおよび-OC(O)CHから選択される。
【0100】
ある実施形態において、Rは、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-OR、-O-Cyまたは-O-(CH)-Cyであり、ここで各R、n、mおよび-Cyは、上記に記載され、かつ本明細書に記載される通りである。
【0101】
いくつかの実施形態において、Rは、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cyまたは-O-(CH)-Cyであり、ここで-Cyは、独立して、3~7員飽和または部分不飽和の炭素環から選択される所望により置換されていてもよい環である。いくつかの実施形態において、Rは、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cyまたは-O-(CH)-Cyであり、ここで各-Cyは、所望により置換されていてもよいシクロプロピル環である。
【0102】
いくつかの実施形態において、Rは、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cyまたは-O-(CH)-Cyであり、ここで各-Cyは、独立して、4~7員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される所望により置換されていてもよい環である。いくつかの実施形態において、Rは、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cyまたは-O-(CH)-Cyであり、ここで各-Cyは、独立して、オキセタニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される所望により置換されていてもよい環である。いくつかの実施形態において、Rは、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cyまたは-O-(CH)-Cyであり、ここで各-Cyは、独立して、オキセタニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択された所望により置換されていてもよい環である。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)-Cyまたは-(CH)0-4OR°で置換されたC1-6脂肪族である。いくつかの実施形態において、Rは、-CHCyまたは-CHOR°である。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定した通りであり、かつ本明細書に記載されたとおりである。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)-Cyまたは-(CH)ORである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHCyまたは-CHORである。いくつかの実施形態において、Rは、-(CH)-Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよいピペリジニルである。
【0103】
上記で一般的に定義されているように、mおよびn各々は、独立して、0~4である。いくつかの実施形態において、mは、1~2である。いくつかの実施形態において、mは、1である。いくつかの実施形態において、mは、2である。いくつかの実施形態において、nは、1~2である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。
【0104】
いくつかの実施形態において、Rは、以下の表1に示されている化合物上に存在するR3部分から選択される。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明は、式II、III、IV、VまたはVIのいずれか1つの化合物:
【化21】

(式中、R、T、RおよびRは、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。)
またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明は、式VII、VIII、IX、X、XIまたはXII:
【化22】
(式中、R、T、R、Rおよび-Cyの各々は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである)
のいずれか一つの化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、式XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXIまたはXXII:
【化23】

【化24】
(式中、各R、T、R、R、R°および-Cyは、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである)
いずれか一つの化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明は、式XXVまたはXXVI:
【化25】

いずれか一つの化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0109】
ある実施形態において、本発明は、式I~VIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式VII~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式II、IIIまたはIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式II、IIIまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式II、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式III、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式III、IVまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式III、VまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式VII、VIII、IX、X、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式VII、VIII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式VII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式VIII、X、XIまたはXIIIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式XXまたはXXIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式XVIIまたはXVIIIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、式XXVまたはXXVIのいずれか一つの化合物を提供する。
【0110】
ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式I~XXVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式I~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式I~VIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式VII~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式II、IIIまたはIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式II、IIIまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式II、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式III、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式III、IVまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式III、VまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式VII、VIII、IX、X、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式VII、VIII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式VII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-である、式VIII、X、XIまたはXIIIのいずれか一つの化合物を提供する。
【0111】
ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式I~XXVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式I~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式I~VIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式VII~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式II、IIIまたはIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式II、IIIまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式II、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式III、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式III、IVまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式III、VまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式VII、VIII、IX、X、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式VII、VIII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式VII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-NH-である、式VIII、X、XIまたはXIIIのいずれか一つの化合物を提供する。
【0112】
ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式I~XXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式I~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式I~VIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式VII~XIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式II、IIIまたはIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式II、IIIまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式II、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式III、IVまたはVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式III、IVまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式III、VまたはVIのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式VII、VIII、IX、X、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式VII、VIII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式VII、IX、XII、XIIIまたはXIVのいずれか一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがクロロまたはフルオロである、式VIII、X、XIまたはXIIIのいずれか一つの化合物を提供する。
【0113】
ある実施形態において、本発明は、Rがハロゲンである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rがハロゲンである、式IまたはIIIの化合物を提供する。
【0114】
ある実施形態において、本発明は、Tが-O-であり、Rがハロゲンである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-であり、Rがハロゲンであり、Rが-CHCyである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Tが-O-であり、Rがハロゲンであり、Rが-(CH)Cy、-(CH)OCy、あるいは-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施形態において、R°は、上記に規定した通りであり、かつ本明細書に記載されたとおりである。
【0115】
ある実施形態において、本発明は、Tが-O-であり、Rがハロゲンであり、かつRが、-(CH)Cy、-(CH)OCy、-(CH)N(R)または-(CH)ORである、式Iの化合物を提供する。
【0116】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cy、-(CH)OCy、あるいは-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°により置換されているC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyまたは-(CH)OCyである、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°で置換されたC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°により置換されているC1-6脂肪族であり、R°が、水素、C1-6脂肪族または5~6員の飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり、R°が、ハロゲン、-CNまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RがC1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであるか、あるいは-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであるか、または-(CH)0-4OR°により置換されているC1-6脂肪族であり、R°が、水素、C1-6脂肪族または5~6員飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり、ここでR°は、ハロゲン、-CNまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyである、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)により置換されているC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)で置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°は、水素、C1-6脂肪族または5~6員の飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり、ここでR°は、-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族であって、R°が、水素、C1-6脂肪族あるいは5~6員飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり、R°が、ハロゲン、-CNまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RがC1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cy、-(CH)OCy、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族であり、ここで各R°は、独立して、水素、C1-6脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)または5~6員の飽和、部分不飽和もしくはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり;およびR°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、RはC1-4脂肪族である。
【0117】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cy、-(CH)OCy、-(CH)N(R)または-(CH)ORである、式Iの一つの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyまたは-(CH)OCyである、式Iの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)N(R)または-(CH)ORである、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyまたは-(CH)ORである、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyである、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyである、式Iの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)N(R)である、式Iの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)ORである、式Iの一つの化合物を提供する。実施態様において、本発明は、Rが、-(CH)Cy、-(CH)OCy、-(CH)N(R)または-(CH)ORであり、各Rが、独立して、水素またはC1-6脂肪族であり、前記脂肪族または前記Cyは、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°;-O(CH)0-4R°、-O-(CH)0-4C(O)OR°;-(CH)0-4CH(OR°);-(CH)0-4SR°;-(CH)0-4Ph(これはR°で置換されていてもよい);-(CH)0-4O(CH)0-1Ph(これはR°で置換されていてもよい);-CH=CHPh(これはR°で置換されていてもよい);-(CH)0-4O(CH)0-1-ピリジル(これはR°で置換されていてもよい);-NO;-CN;-N;-(CH)0-4N(R°);-(CH)0-4N(R°)C(O)R°;-N(R°)C(S)R°;-(CH)0-4N(R°)C(O)NR°;-N(R°)C(S)NR°;-(CH)0-4N(R°)C(O)OR°;-N(R°)N(R°)C(O)R°;-N(R°)N(R°)C(O)NR°;-N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH)0-4C(O)R°;-C(S)R°;-(CH)0-4C(O)OR°;-(CH)0-4C(O)SR°;-(CH)0-4C(O)OSiR°;-(CH)0-4OC(O)R°;-OC(O)(CH)0-4SR°;-(CH)0-4SC(O)R°;-(CH)0-4C(O)NR°;-C(S)NR°;-C(S)SR°;-SC(S)SR°、-(CH)0-4OC(O)NR°;-C(O)N(OR°)R°;-C(O)C(O)R°;-C(O)CHC(O)R°;-C(NOR°)R°;-(CH)0-4SSR°;-(CH)0-4S(O)R°;-(CH)0-4S(O)OR°;-(CH)0-4OS(O)R°;-S(O)NR°;-(CH)0-4S(O)R°;-N(R°)S(O)NR°;-N(R°)S(O)R°;-N(OR°)R°;-C(NH)NR°;-P(O)R°;-P(O)R°;-OP(O)R°;-OP(O)(OR°);SiR°;-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)O-N(R°);または-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)O-N(R°)で置換されていてもよく、ここで各R°は、独立して、水素、C1-6脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)または5~6員飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり;およびR°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、RはC1-4脂肪族である。
【0118】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい7~12員の飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり:Cy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°により所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族であり、ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族であり、RはC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する);または7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは所望により置換されていてもよい7~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されるとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり:Cy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、かつCy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよい)であり、RはC1-4脂肪族であり、RはC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、7~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、前記環は、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHCyであり、ここでCyは、7~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、R°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよい)であり、ここでRはC1-4脂肪族であり、RはC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。
【0119】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい6~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)Cyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である)であり、ここでRはC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよい6~12員飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である)であり、RはC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立して存在するR°は、所望によりそれらの介在原子(複数個も含む)と一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリール単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成していてもよい。ある実施形態において、本発明は、式Iの化合物であり、ここでRは-CHCyであり、ここでCyは、6~12員の飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHCyであり、ここでCyは、6~12員の飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である)であり、RはC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。
【0120】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または、7~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、7~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyが、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式IまたはIIIの化合物を提供する:ここでCy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、R°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である)であり、RはC1-6脂肪族である。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数も含む)と共に一緒になって、3~12員飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり:ここでCy上の置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cy上の置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である)であり、ここでRはC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい。
【0121】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であるか;または6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCyの置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cyの置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく;ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である)であり、RはC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環が、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、3~9員の飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCyの置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、かつCyの置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、Rは、C1-4脂肪族である)であり、RはC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成してもよい、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここで前記環は、オキソ、ハロゲン;-(CH)0-4R°;-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定した通りであり、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)OCyであり、ここでCyは、6~12員の飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり、ここでCyの置換可能な炭素原子は、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよく、Cyの置換可能な窒素原子は、-Rで所望により置換されていてもよく、ここでR°は、水素またはC1-6脂肪族(ハロゲンまたは-(CH)0-2ORにより所望により置換されていてもよく、Rは、C1-4脂肪族である)であり、RはC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る式Iの化合物を提供する。
【0122】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°は水素またはC1-6脂肪族であり、各々R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRで置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、RがC1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4OR°で置換されているC1-6脂肪族であり、R°が水素である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4OR°により置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°はC1-6脂肪族であり、各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、RはC1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。
【0123】
ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)ORであり、ここでRは水素である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6アルキルである、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6アルキルであり、ここでR°は、C1-6脂肪族または5~6員の飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり、R°は-(CH)0-2で所望により置換されていてもよく、RはC1-4脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているエチルである、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°は、独立して、水素またはC1-6脂肪族であり、ここで各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)ORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°、-(CH)0-4N(R°)または-(CH)0-4S(O)R°により置換されているエチルであり、ここでR°は、C1-6脂肪族または5~6員の飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり、ここでR°は、-(CH)0-2で所望により置換されていてもよく、ここでRはC1-4脂肪族である、式Iの化合物を提供する。
【0124】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)により置換されているC1-6脂肪族であり、各R°は、独立して、水素またはC1-6脂肪族であり、各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、C1-4脂肪族である。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)により置換されているC1-6脂肪族であり、ここで各R°は水素である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)0-4N(R°)により置換されているC1-6脂肪族であり、ここで各R°は、C1-6脂肪族であり、ここで各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR)、-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、C1-4脂肪族である。
【0125】
ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、ここで各Rは、独立して、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)N(R)であり、ここで各Rが水素である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、各Rが、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、Rが、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、ここで各Rは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6アルキルである、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、ここで各Rは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で所望により置換されていてもよいC1-6アルキルであり、R°はC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、ここで各Rは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているエチルである、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)N(R)であり、ここで各Rは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているエチルであり、ここでR°はC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-(CH)N(R)であり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族であり、R°はC1-6脂肪族であり、ここで各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR)、-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、C1-4脂肪族である、式Iの化合物を提供する。
【0126】
ある実施形態において、本発明は、Rが-CHN(R°)であり、各R°は、独立して、水素、C1-6脂肪族、-CHPh、-O(CH)0-1Ph、-CH-(5~6員ヘテロアリール環)または5~6員の飽和、部分不飽和またはアリールの環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)であり;ここでR°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR)、-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、RはC1-4脂肪族である。
【0127】
ある実施形態において、本発明は、Rが-CHN(R)である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHN(R)であり、ここで各Rは、独立して、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHN(R)であり、ここで各Rは、独立して、水素であるか、またはオキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHN(R)であり、各Rは、独立して、水素であるか、またはオキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり、R°はC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHN(R)であり、ここで各Rが、独立して水素であるか、またはオキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHN(R)であり、ここで各Rが、独立して、水素であるか、またはオキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり、ここでR°はC1-6脂肪族であるか、または同一窒素上の2つのR基は、窒素と一緒になって、3~7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素または硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する)を形成している式Iの化合物を提供する。
【0128】
ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHOR°で置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°は水素またはC1-6脂肪族であり、各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、C1-4脂肪族である。ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHOR°により置換されているC1-6脂肪族であり、R°が水素である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが、-CHOR°により置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°はC1-6脂肪族であり、各R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式IまたはIIIの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、C1-4脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。
【0129】
ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRは、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRが水素である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRが、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRが、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族であり、ここでR°はC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6アルキルである、式Iの化合物を提供する。いくつかの実施形態において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6アルキルであり、ここでR°はC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているエチルである、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、R°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである。いくつかの実施形態において、Rが-CHORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているエチルであり、R°はC1-6脂肪族である、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-CHORであり、ここでRは、オキソ、ハロゲン、-CN、-(CH)0-4R°、-(CH)0-4OR°または-(CH)0-4S(O)R°で置換されているC1-6脂肪族であり、ここで各R°は、独立して、水素またはC1-6脂肪族であり、R°は、ハロゲン、-(CH)0-2、-(ハロR)、-(CH)0-2OH、-(CH)0-2OR、-(CH)0-2CH(OR);-O(ハロR)、-CN、-N、-(CH)0-2C(O)R、-(CH)0-2C(O)OH、-(CH)0-2C(O)OR、-(CH)0-2SR、-(CH)0-2SH、-(CH)0-2NH、-(CH)0-2NHR、-(CH)0-2NR 、-NO、-SiR 、-OSiR 、-C(O)SR、-(C1-4直鎖または分枝鎖アルキレン)C(O)ORまたは-SSRにより置換されていてもよい、式Iの化合物を提供する。いくつかのかかる実施態様において、Rは、C1-4脂肪族である。
【0130】
ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよいピペリジニルである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいピペリジニルであり、ここでR°は、上記に規定され、かつ本明細書に記載されたとおりである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいピペリジニルであり、ここで各R°は、独立して、C1-6脂肪族であり、ここで2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよいオキセタニルである、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいオキセタニルであり、ここでR°はC1-6脂肪族である、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいオキセタニルであり、R°はC1-6脂肪族であって、2つの各々独立したR°が、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る、式IまたはIIIの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいオキセタニルであり、各R°はC1-6脂肪族であって、ここで2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る、式IまたはIIIの化合物を提供する。
【0131】
ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyが、所望により置換されていてもよいピペリジニルである、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)Cyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいピペリジニルであり、ここで各R°はC1-6脂肪族であり、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、所望により置換されていてもよいオキセタニルである、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいオキセタニルであり、ここで各R°はC1-6脂肪族であり、2つの各々独立したR°は、所望により、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る、式Iの化合物を提供する。ある実施形態において、本発明は、Rが-(CH)OCyであり、ここでCyは、オキソ、ハロゲン、-(CH)0-4R°または-(CH)0-4OR°で所望により置換されていてもよいオキセタニルであり、ここで各R°はC1-6脂肪族であり、2つの各々独立したR°は、それらの介在原子(複数個も含む)と共に一緒になって、3~12員の飽和、部分不飽和またはアリールの単環または二環(窒素、酸素または硫黄から独立して選択された0~4個のヘテロ原子を有する)を形成し得る、式Iの化合物を提供する。
【0132】
ある実施形態において、本発明は、以下の表1に記述された化合物から選択される式Iの化合物を提供する:
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】
【表12】

【表13】

【表14】

【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】

【表22】
【表23】
【表24】
【0133】
いくつかの実施形態において、本発明は、表1に記述された化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0134】
4.使用、製剤化および投与
医薬的に許容される組成物
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルとを含む組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明の組成物中の化合物の量は、それが、生物学的試料または患者においてMK2またはその突然変異体を測定可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。特定の実施形態では、本発明の組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、患者への経口投与のために製剤化される。
【0135】
本発明の方法によれば、化合物および組成物は、本明細書で示される障害(すなわち、MK2介在性疾患または障害)を治療し、またはその重症度を軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与される。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢および一般状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに応じて、対象ごとに変動する。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易性および投与量の均一性のために、単位剤形で製剤化される。
【0136】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸的に、経鼻的に、口腔的に、膣内的に、腹腔内的に、嚢内的に、または埋め込み型リザーバーを介して投与され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、経口的に、腹腔内的にまたは静脈内的に投与される。
【0137】
本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技術にしたがって製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール溶液であり得る。用い得る許容され得るビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用される。
【0138】
この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の滅菌固定油が使用され得る。オリーブ油またはヒマシ油などの天然の医薬的に許容される油(特に、それらのポリオキシエチル化されたもの)のように、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液は、カルボキシメチルセルロース、またはエマルジョンおよび懸濁液を含む医薬的に許容される剤形の調製において通常使用される同様の分散剤などの長鎖アルコール希釈剤または分散剤も含有し得る。Tween、Spanなどのその他の通常使用される界面活性剤、および医薬的に許容される固体、液体または他の剤形の製造において通常使用されるその他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増進剤もまた、製剤化のために使用され得る。
【0139】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルタに通してろ過することによって、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。
【0140】
本発明の化合物の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射による化合物の吸収を遅らせることが多くの場合に望ましい。これは、難水溶性の結晶質または非晶質の液体懸濁液を使用することによって達成され得る。このため、化合物の吸収速度は、その溶解速度(今度はこれが、結晶サイズまたは結晶形態に依存し得る)に依存する。あるいは、非経口投与された化合物形態の吸収の遅延は、該化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で、化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。化合物とポリマーとの比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を取り込むことによって調製される。
【0141】
いくつかの実施形態において、提供される医薬的に許容される組成物は、経口投与のために製剤化される。このような製剤は、食物と共にまたは食物なしで投与され得る。いくつかの実施形態において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食物なしで投与される。別の実施形態では、本発明の医薬的に許容される組成物は、食物と共に投与される。本発明の医薬的に許容される組成物は、限定されないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含む任意の経口的に許容され得る剤形で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、通常使用される担体としては、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も典型的に追加される。カプセル形態の経口投与の場合、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口使用に必要である場合、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と混合する。所望により、特定の甘味剤、香味剤または着色剤もまた、追加され得る。
【0142】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤もしくは担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/またはa)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなど、c)保湿剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなど、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、ならびに/または、i)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0143】
同様の種類の固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、ソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。固体剤形の錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒剤は、腸溶コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。それらは、乳白剤を場合により含有し得、活性成分のみを放出するか、または場合により徐々に腸管の特定部分において優先的に活性成分を放出する組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み型組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様の種類の固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、ソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。
【0144】
活性化合物はまた、1つまたはそれを超える上記賦形剤と共にマイクロカプセル化され得る。固体剤形の錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒剤は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えばスクロース、ラクトースまたはデンプンと混合され得る。このような剤形はまた、通常の慣行のように、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば錠剤化用滑沢剤および他の錠剤化用助剤、例えばステアリン酸マグネシウムや微結晶性セルロースを含み得る。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。それらは、乳白剤を所望により含有してもよく、活性成分のみを放出するか、または場合により徐々に腸管の特定部分において優先的に活性成分を放出する組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み型組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0145】
経口投与のための液体剤形としては、限定されないが、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で通常使用される不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーンオイル、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物などを含有し得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤ならびに芳香剤などのアジュバントを含み得る。
【0146】
あるいは、本発明の医薬的に許容される組成物は、直腸投与のための坐薬の形態で投与され得る。これらは、薬剤と、室温では固体であるが直腸温度では液体である適切な非刺激性賦形剤であって、従って、直腸内で溶融して薬物を放出するであろう適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製され得る。このような材料としては、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0147】
直腸投与または経膣投与のための組成物は、好ましくは坐薬であり、本発明の化合物と、周囲温度では固体であるが体温では液体である適切な非刺激性賦形剤または担体であって、したがって直腸または膣腔内で溶融して活性化合物を放出する適切な非刺激性賦形剤または担体(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬用ワックス)とを混合することによって調製され得る。
【0148】
本発明の医薬的に許容される組成物はまた、特に、治療の標的が、局所適用によって容易にアクセス可能な領域または器官(眼、皮膚または下部腸管の疾患を含む)を含む場合には、局所投与され得る。これらの各領域または器官について、適切な局所製剤が容易に調製される。
【0149】
下部腸管のための局所適用は、直腸坐薬製剤(上記を参照のこと)または適切な浣腸製剤で行われ得る。局所経皮パッチも使用され得る。
【0150】
局所適用の場合、提供される医薬的に許容される組成物は、1つまたはそれを超える担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する適切な軟膏で製剤化され得る。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、限定されないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が挙げられる。あるいは、提供される医薬的に許容される組成物は、1つまたはそれを超える医薬的に許容される担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する適切なローションまたはクリームで製剤化され得る。適切な担体としては、限定されないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0151】
眼科使用の場合、提供される医薬的に許容される組成物は、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤の有無にかかわらず、等張性pH調整滅菌食塩水中で微粉化懸濁液として、または好ましくは等張性pH調整滅菌食塩水中で溶液として製剤化され得る。あるいは、眼科使用の場合、医薬的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏で製剤化され得る。
【0152】
本発明の医薬的に許容される組成物はまた、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、医薬製剤分野で周知の技術にしたがって調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の慣用的な可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水中で溶液として調製され得る。
【0153】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧剤、吸入剤またはパッチを含む。活性成分は、無菌条件下で、医薬的に許容される担体、および必要な場合には任意の必要な保存剤または緩衝剤と混合される。眼科製剤、点耳剤および点眼剤もまた企図され、本発明の範囲内である。加えて、本発明は、身体への化合物の制御放出を提供するという追加の利点を有する経皮パッチの使用を企図する。このような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散することによって作製され得る。吸収促進剤もまた、皮膚を通過する化合物のフラックスを増加させるために使用され得る。速度は、速度制御膜を提供することによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散することによって制御され得る。
【0154】
化合物および医薬的に許容される組成物の使用
本明細書に記載される化合物および組成物は、一般に、1つまたはそれを超える酵素のキナーゼ活性を阻害するために有用である。本明細書に記載される化合物および組成物によって阻害されるキナーゼであって、本明細書に記載される方法が有用であるキナーゼの例としては、MK2またはその突然変異体が挙げられる。
【0155】
本発明において利用される化合物の、MK2キナーゼまたはその突然変異体の阻害剤としての活性は、インビトロで、インビボで、または細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、活性化MK2キナーゼまたはその突然変異体のリン酸化活性および/もしくはその後の機能的結果またはATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。別のインビトロアッセイは、試験化合物がMK2に結合する能力を定量する。阻害剤の結合は、結合前に試験化合物を放射性標識し、該試験化合物/MK2複合体を単離し、結合した放射性標識の量を決定することによって測定され得る。あるいは、阻害剤の結合は、公知の放射性リガンドに結合したMK2キナーゼと共に試験化合物をインキュベートする競合実験を行うことによって決定され得る。MK2またはその突然変異体の阻害剤として本発明において利用される化合物をアッセイするための詳細な条件は、以下の実施例に示されている。
【0156】
一実施形態によれば、本発明は、生物学的試料におけるプロテインキナーゼの活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させる工程を含む方法に関する。
【0157】
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的試料におけるMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させる工程を含む方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、生物学的試料におけるMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を不可逆的に阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させる工程を含む方法に関する。
【0158】
別の実施形態によれば、本発明は、患者におけるMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を阻害する方法であって、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を前記患者に投与する工程を含む方法に関する。特定の実施形態によれば、本発明は、患者におけるMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を不可逆的に阻害する方法であって、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を前記患者に投与する工程を含む方法に関する。別の実施形態では、本発明は、MK2介在性疾患または障害の治療を必要とする患者におけるMK2介在性疾患または障害を治療するための方法であって、本発明の化合物またはその医薬的に許容される組成物を前記患者に投与する工程を含む方法を提供する。このような障害は、本明細書に詳細に記載されている。
【0159】
MK2キナーゼ
MAPキナーゼ-活性化プロテインキナーゼ2(“MK2”)は、MAPKAPK2遺伝子によりコードされているヒトの酵素である。Ser/Thrプロテインキナーゼファミリーおよび2つの異なるアイソフォームをコードしている転写バリアントのファミリーをコードしているMAPKAPK2遺伝子が見いだされた。MK2は、p38MAPキナーゼにより直接的なリン酸化を通して制御される。
【0160】
MK2は、N末端のプロリンリッチドメイン、触媒ドメイン、自己阻害ドメインおよびC末端核外搬出シグナル(NES)および核局在性シグナル(NLS)からなるマルチドメインタンパク質である。ヒトMK2の2つのアイソマーは特徴分析されている。1つのアイソフォームは、400個のアミノ酸から構成されており、もう一方は、C末端NLSが欠失しているスプライスバリアントであると考えられる370残基である。
【0161】
MK2は、例えばストレス応答および炎症応答、核排出、遺伝子発現制御および細胞増殖を含む多くの細胞プロセスに関連があることが知られている。実際に、MK2は、腫瘍壊死ファクターα(TNFα)の生合成、炎症性疾患、例えば、関節リウマチ関節炎および炎症性腸疾患において過剰産生される転写後のメカニズムにより制御する(Natesan et al., J. Med. Chem. 2012, 55, 2035-2047を参照されたい)。
【0162】
Hsp27のリン酸化の阻害は、p38キナーゼ-MK2-Hsp27シグナル伝達複合体の形成を阻害することにより起こる。Hsp27のリン酸化は、細胞外刺激に対する応答において生じる複合体のシグナル伝達カスケードの最後から二番目に起こる事象である(Zheng et al., The Journal of Biological Chemistry, vol。281, no. 48, 37215-37226, December 1, 2006を参照されたい)。Hsp27は、通常、オリゴマーとして存在しており、多くの細胞機能、例えば、細胞死受容体-媒介性アポトーシスの阻害、分子シャペロンとして作用することによる変性タンパク質の適切な再構成の促進および細胞骨格の制御における役割を果たす。MK2の存在は、p38キナーゼ-MK2-Hsp27シグナル伝達複合体の形成にとって必要な条件である(Zheng et al., The Journal of Biological Chemistry, vol. 281, no. 48, 37215-37226, December 1, 2006を参照されたい)。
【0163】
証拠から、多くのシグナル伝達タンパク質は、多量体を形成することが示唆されている(Zheng et al., The Journal of Biological Chemistry, vol.281, no.48, 37215-37226, December 1, 2006を参照されたい)。かかる複合体は、Hsp27/Akt(セリン/スレオニンキナーゼ)ダイマーであって、細胞の細胞質中で形成する。別の複合体は、MK2およびp38との間で形成される(Ben-Levy et al., Current Biology 1998, 8:1049-1057;Natesan et al., J. Med. Chem. 2012, 55, 2035-2047;Zheng et al., The Journal of Biological Chemistry, vol.281, no.48, 37215-37226, December 1, 2006を参照されたい)。
【0164】
非刺激条件では、不活性p38および非リン酸化MK2が、細胞の核においてかかるダイマーを形成する。活性化により、p38は、MK2をリン酸化し、これによりMK2の自己阻害剤ドメインの立体構造変化を誘導し、かつ基質結合のために活性部位を暴露する。MK2は一旦リン酸化されると、p38-MK2ダイマーは、細胞質へと移動され、そこでそれはHsp27-Aktダイマーと共に四量体を形成する(Zheng et al., The Journal of Biological Chemistry, vol.281, no.48, 37215-37226, December 1, 2006を参照されたい)。次いで、Hsp27がMK2によりリン酸化されると、前記四量体が分解されて、p-Hsp27モノマーとダイマーが放出される。MK2の阻害がHsp27のリン酸化を阻害することから、理論に縛られることを望まないが、MK2の阻害により、p38-MK2-Akt-Hsp27四量体複合体の分解を防止し、これにより下方効果を変えると考えられている。四量体複合体の分解を阻害することにより、四量体複合体の量が増加する。さらに、細胞質と核の間との間でのp38およびMK2の平衡が、細胞質へとシフトされる。
【0165】
興味深いことに、活性部位突然変異体であるAsp207Alaは依然として細胞質に輸送されるので、MK2/p38複合体の輸送は、触媒的に活性なMK2を必要としない。p38による残基T222、S272およびT334におけるヒトMK2のリン酸化は、自己阻害ドメインのコンホメーション変化を誘導して、基質結合の活性部位を露出させることによって、酵素を活性化すると考えられる。マウスMK2における2つの自己阻害ドメイン残基W332AおよびK326Eの突然変異は、基礎活性の増加を実証し、自己阻害ドメインのC末端欠失は、酵素を構成的に活性にして、MK2活性の阻害におけるこのドメインの役割についてのさらなる証拠を提供する。
【0166】
MK2に関連する疾患または障害であって、本発明の化合物によって治療される疾患または障害としては、自己免疫障害、慢性炎症性障害、急性炎症性障害、自己炎症性障害、線維性障害、代謝障害、新生物または心血管もしくは脳血管障害が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、MK2介在性疾患または障害の治療を必要とする患者におけるMK2介在性疾患または障害を治療するための方法であって、治療有効量の提供される化合物またはその組成物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。このようなMK2介在性疾患または障害としては、限定されないが、本明細書に記載されるものが挙げられる。
【0167】
いくつかの実施形態において、MK2介在性疾患または障害は、自己免疫障害、慢性および/もしくは急性炎症性障害ならびに/または自己炎症性障害である。例示的な自己免疫および/または炎症性および/または自己炎症性障害としては、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎またはクローン病)、多発性硬化症、乾癬、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群、家族性寒冷自己炎症症候群、新生児発症性多系統炎症性疾患、TNF受容体関連周期性症候群(Synderome)、急性および慢性膵炎、アテローム性動脈硬化症、痛風、強直性脊椎炎、線維性障害(例えば、肝線維症または特発性肺線維症)、腎症、サルコイドーシス、強皮症、過敏症、糖尿病(例えば、1型真性糖尿病または2型真性糖尿病)、糖尿病性網膜症、スティル病、血管炎、サルコイドーシス、肺炎症、急性呼吸窮迫症候群、湿潤および乾式加齢性黄斑変性、自己免疫溶血性症候群、自己免疫性および炎症性肝炎、自己免疫性神経障害、自己免疫性卵巣不全、自己免疫性精巣炎、自己免疫性血小板減少症、シリコーンインプラント関連自己免疫疾患、シェーグレン症候群、家族性地中海熱、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群(例えば、側頭動脈炎、高安動脈炎および巨細胞性動脈炎、ベーチェット病またはウェゲナー肉芽腫症)、白斑、自己免疫疾患の二次血液学的兆候(例えば、貧血)、薬物誘発性自己免疫、橋本甲状腺炎、下垂体炎、特発性血小板減少性紫斑病、金属誘発性自己免疫、重症筋無力症、天疱瘡、自己免疫性難聴(例えば、メニエール病)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、HW関連自己免疫症候群、ギラン・バレー病、アディソン病、抗リン脂質症候群、喘息、アトピー性皮膚炎、セリアック病、クッシング症候群、皮膚筋炎、特発性副腎萎縮症(idiopathic adrenal adrenal atrophy)、特発性血小板減少症、川崎症候群、ランバート・イートン症候群、悪性貧血、花粉症、結節性多発動脈炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、レイノー症候群、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、シュミット症候群、甲状腺機能亢進症、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、外毒素誘発性毒性ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、糸球体腎炎、腹膜炎、間質性膀胱炎、高酸素誘発性炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管炎、移植片対宿主反応(例えば、移植片対宿主病)、同種移植片拒絶(例えば、急性同種移植片拒絶または慢性同種移植片拒絶)、早期移植拒絶(例えば、急性同種移植片拒絶)、再灌流傷害、疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛または線維筋痛)、慢性感染症、髄膜炎、脳炎、心筋炎、歯肉炎、手術後外傷、組織損傷、外傷性脳損傷、全腸炎、副鼻腔炎、ブドウ膜炎、眼炎症、視神経炎、胃潰瘍、食道炎、腹膜炎、歯周炎、皮膚筋炎、胃炎、筋炎、多発筋痛、肺炎ならびに気管支炎が挙げられる。
【0168】
いくつかの実施形態において、MK2介在性疾患または障害は、線維性障害である。例示的な線維性障害としては、全身性硬化症/強皮症、ループス腎炎、結合組織疾患、創傷治癒、外科的瘢痕、脊髄損傷、CNS瘢痕、急性肺傷害、肺線維症(例えば、特発性肺線維症または嚢胞性線維症)、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、急性肺傷害、薬物誘発性肺傷害、糸球体腎炎、慢性腎臓病(例えば、糖尿病性腎症)、高血圧誘発性腎症、消化管または胃腸線維症、腎線維症、肝臓または胆道線維症、肝線維症(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎、C型肝炎または肝細胞癌腫)、肝硬変(例えば、原発性胆汁性肝硬変または脂肪肝疾患による肝硬変(例えば、アルコール性および非アルコール性脂肪症による肝硬変))、放射線誘発性線維症(例えば、頭頸部、胃腸または肺)、原発性硬化性胆管炎、再狭窄、心筋線維症(例えば、心内膜心筋線維症または心房線維症)、眼瘢痕、線維性硬化症、線維性癌、子宮筋腫、線維腫、線維腺腫、線維肉腫、移植動脈症、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症および腎性全身性線維症が挙げられる。
【0169】
いくつかの実施形態において、MK2介在性疾患または障害は、代謝障害である。例示的な代謝障害としては、肥満症、ステロイド耐性、耐糖能異常およびメタボリックシンドロームが挙げられる。
【0170】
いくつかの実施形態において、MK2介在性疾患または障害は、新生物である。例示的な新生物としては、癌が挙げられる。いくつかの実施形態において、例示的な新生物としては、血管新生障害、多発性骨髄腫、白血病(例えば、急性リンパ球性白血病、急性および慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病または前骨髄球性白血病)、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、マスト細胞腫瘍、ホジキン病または非ホジキン病)、骨髄異形成症候群、線維肉腫、横紋筋肉腫;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫、メラノーマ、セミノーマ、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderma pigmentosum)、角化棘細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌、カポジ肉腫、メラノーマ、奇形腫、横紋筋肉腫、転移および骨障害、ならびに骨、口/咽頭、食道、喉頭、胃、腸、結腸、直腸、肺(例えば、非小細胞肺癌または小細胞肺癌)、肝臓、膵臓、神経、脳(例えば、神経膠腫および多形神経膠芽細胞腫)、頭頸部、喉、卵巣、子宮、前立腺、精巣、膀胱、腎臓、乳房、胆嚢、子宮頚部、甲状腺、前立腺ならびに皮膚の癌が挙げられる。
【0171】
いくつかの実施形態において、MK2介在性障害は、心血管または脳血管障害である。例示的な心血管障害としては、アテローム性動脈硬化症、アテローム性冠動脈の再狭窄、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、心臓同種移植片血管症および卒中が挙げられる。例示的な脳血管疾患としては、炎症またはアポトーシス成分を伴う中枢神経系障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、神経虚血および末梢神経障害が挙げられる。
【実施例0172】
【表25】

【0173】
実施例1
本発明の化合物は、2016年3月24日に公開された(“'463出願”)WO2016/044463に詳述した方法を用いて製造され得るが、その全てを引用することにより本明細書に組み込まれる。例えば、本発明の化合物を、ラセミ形体で製造して、エナンチオマーを分離した。
【0174】
あるいは、本発明の化合物、特に、'463出願に記述された方法を用いて製造して表1に記述した化合物を製造した。例えば、化合物I-1~I-8、I-11、I-15、I-32、I-33およびI-36~I-51を、'463出願に記述した方法に従って中間体S1-12から製造した。中間体S1-12を、'463出願に記述した方法と類似している方法を用いてスキーム1Aまたはスキーム1Bに従って製造できる:
【化26】

【化27】
【0175】
化合物I-17、I-22およびI-30を、'463出願に記述した方法に従って中間体INT-1から製造し得る。中間体INT-1を、'463出願に記述した方法に類似している方法を用いて、スキーム2に従って製造し得る。
【化28】
【0176】
化合物I-52、I-53、I-55~I-58、I-62~I-65、I-68、I-71およびI-75~I-135を、'463出願に記述した方法に従って中間体INT-6から製造し得る。中間体INT-6を、'463出願に記述した方法に類似している方法を用いて、スキーム3に従って製造し得る:
スキーム3
【化29】
【0177】
化合物I-9、I-10、I-12、I-13、I-23、I-34、I-59、I-60、I-61、I-66、I-67、I-69、I-70、I-73およびI-74を、'463出願に記述した方法に従って中間体INT-5から製造し得る。中間体INT-5を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いて、スキーム4に従って製造し得る:
スキーム4
【化30】
【0178】
化合物I-14、I-16、I-18~I-21、I-24、I-25、I-27およびI-29を、'463出願に記述した方法に従って、中間体INT-3から製造し得る。中間体INT-3を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いてスキーム5に従って製造し得る:
【化31】
【0179】
化合物I-54およびI-72を、'463出願に記述した方法に従って、中間体INT-7から製造し得る。中間体INT-7を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いてスキーム6に従って製造し得る:
スキーム6
【化32】
【0180】
化合物I-26を、'463出願に記述した方法に従って、中間体S8-5から製造し得る。中間体S8-5を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いてスキーム7に従って製造し得る:
スキーム7
【化33】
【0181】
化合物I-28を、'463出願に記述した方法に従って、中間体INT-47から製造し得る。中間体INT-47を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いて、スキーム8に従って製造し得る:
スキーム8
【化34】
【0182】
化合物I-31を、'463出願に記述した方法に従って、中間体INT-48から製造し得る。中間体INT-48を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いてスキーム9に従って製造し得る:
スキーム9
【化35】
【0183】
化合物I-35を、'463出願に記述した方法に従って中間体INT-50から製造し得る。中間体INT-50を、'463出願に記述した方法と同様の方法を用いてスキーム10に従って製造し得る:
【化36】
【0184】
実施例2:(S)-3-((2-クロロ-5-(エトキシメチル)ピリミジン-4-イル)オキシ)-10-メチル-9,10,11,12-テトラヒドロ-8H-[1,4]ジアゼピノ[5',6':4,5]チエノ[3,2-f]キノリン-8-オン
【化37】
【0185】
工程1:(S)-メチル 1-((2-アミノプロピル)アミノ)-7-ヒドロキシチエノ[3,2-f]キノリン-2-カルボキシレートベンゼンスルホネートの製造
【化38】
【0186】
メチル 1-アミノ-7-(ベンジルオキシ)チエノ[3,2-f]キノリン-2-カルボキシレート(100g,274mmol)、(S)-tert-ブチル 4-メチル-1,2,3-オキサチアゾリジン-3-カルボキシレート2,2-ジオキシド(73.0g,302mmol)/無水NMP(400ml,4127mmol)の僅かな褐色の混合物を、30分間、周囲温度で攪拌して、次いで混合物を-15℃~-20℃に冷却した。次いで、リチウム tert-ブトキシド(27.4g,343mmol)/無水THF(135ml)の濁った混合溶液を、前記反応混合物を、-10℃以下に保ちながら90分間かけて加えた。この反応を、更に1時間-10℃に維持して、次いで10分かけて酢酸(19.6ml,343mmol)でクエンチした後に、30分間かけて20~25℃に温めた。混合物を、2-MeTHF(1000ml)および2.5%LiCl水溶液(500ml)に分配した。水相を、2-MeTHF(100ml)で逆抽出した。有機相を合わせて、5%LiCl水溶液(500ml)で2回、水(500ml)で1回洗った。バッチを還流加熱して、大気圧下においてバッチ容量が~500mlに低下するまで、アセトニトリル(1200ml)を加えながら~85℃で一定容量にて蒸留した。追加のアセトニトリル(200ml)を加えて、全バッチ容量を~700mlとした。バッチを、60~65℃に冷却して、ベンゼンスルホン酸(82g,494mmol)/MeOH(200ml)の溶液を、30分かけて滴加した。追加のMeOH(100ml)を、次いでリンスとして滴加して、全バッチ容量を~1000mlとした。反応溶液を、少なくとも16時間65~70℃で保持して、次いで2時間かけて20~25℃に冷却して、1時間保持して、次いで濾過した。黄色フィルターケーキを、次いで3:2 MeCN/MeOH(200ml)で二回洗った。次いで、最終の湿性ケーキを、真空オーブン内において12~16時間窒素の穏やかな気流を用いて40℃で乾燥させて、黄色固体(115.8g,86%収率)を得た;mp283~285℃;HPLC:Waters Ascentis Express C-18 HPLC column,10cm X 4.6μm,1mL/min,234nm,グラジエント100% 10分間で0.1%HPO~100%CHCN、次いで100%CHCNで5分間保持):t=3.65min(99.4%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.25 (d, J=6.33 Hz, 3 H) 3.02 - 3.19 (m, 1 H) 3.22 - 3.44 (m, 2 H) 3.90 (s, 3 H) 6.25 (t, J=6.97 Hz, 1 H) 6.71 (d, J=9.90 Hz, 1 H) 7.25 - 7.40 (m, 3 H) 7.51 - 7.66 (m, 3 H) 7.85 (br s, 3 H) 8.10 (d, J=8.80 Hz, 1 H) 8.69 (d, J=9.90 Hz, 1 H) 12.15 (s, 1 H)。13C NMR (DMSO-d6) δ 16.90, 47.28, 52.63, 52.85, 114.71, 114.95, 118.15, 122.45, 125.91, 126.29, 128.09, 128.58, 128.86, 134.24, 136.05, 138.54, 148.71, 151.46, 161.61, 164.53.LC/MS m/e+ = 332.分析.C2223としての計算値:C, 53.98;H, 4.74;N, 8.58;S, 13.10. 実測値:C, 53.97;H, 4.92;N, 8.52;S, 12.96.
【0187】
工程2:(S)-3-ヒドロキシ-10-メチル-9,10,11,12-テトラヒドロ-8H-[1,4]ジアゼピノ[5',6':4,5]チエノ[3,2-f]キノリン-8-オンの製造
【化39】
【0188】
(S)-メチル 1-((2-アミノプロピル)アミノ)-7-ヒドロキシチエノ[3,2-f]キノリン-2-カルボキシレートベンゼンスルホネート(110.3g,225mmol)/メタノール(2200ml,225mmol)の攪拌した黄色のスラリーに、周囲温度で窒素下にて、2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(“DBU”,158ml,1127mmol)を、5分かけてゆっくりと滴加して、温度を35℃以下に維持しながら早い速度で攪拌した(300~400rpm)。混合物を、ベンゼンスルホネートがHPLCにて2%未満の面積となるまで、24~36時間還流加熱した(65~70℃)。もし条件を満たさない場合には、18~24時間更に加熱した。バッチを、1時間かけて20~30℃に冷却して、濾過した。このケーキを、MeOH(550ml)で洗い、脱溶媒を行った。湿性ケーキを、清浄な反応容器に移して、MeCN(2200ml)、MeOH(550ml)および2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(33ml)を入れた。混合物を、ベンゼンスルホネートが、HPLCにて0.5%未満の面積となるまで18~24時間還流加熱した(65~70℃)。このバッチを、20~30℃に冷却して、濾過した。このケーキを、水(550ml)、MeOH:MeCN(1:1v/v,550vol)で洗い、脱溶媒を行い、真空下において、45~55℃で18~24時間乾燥させて、黄色の固体(62.6g,93%収率)を得た;HPLC:Waters Ascentis Express C-18 HPLC column,10cm X 4.6μm,1mL/min,254nm,10分間の間に100%でグラジエント 0.1%HPO~100%CHCN、次いで100%CHCNで5分間保持):t=2.87分(98.9%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.16 (d, J=6.79 Hz, 3 H) 3.33 (s, 3 H) 3.38 (br d, J=4.68 Hz, 2 H) 3.56 (br dd, J=6.60, 3.48 Hz, 1 H) 6.60 (d, J=9.90 Hz, 1 H) 6.86 (t, J=5.41 Hz, 1 H) 7.43 (d, J=8.71 Hz, 1 H) 7.93 (d, J=8.80 Hz, 1 H) 8.08 (d, J=4.22 Hz, 1 H) 8.80 (d, J=10.00 Hz, 1 H) 12.05 (s, 1 H);13C NMR (DMSO-d6) δ 19.11, 48.50, 52.39, 115.08, 116.57, 121.35, 125.90, 128.02, 134.45, 135.97, 138.41, 143.91, 161.42, 164.50。LC/MS m/e+ = 300.分析.C1513Sとしての計算値:C, 60.19;H, 4.38;N, 14.04;S, 10.71.実測値:C, 59.60;H, 4.07;N, 13.69;S, 10.38.
【0189】
工程3:(S)-3-((2-クロロ-5-(エトキシメチル)ピリミジン-4-イル)オキシ)-10-メチル-9,10,11,12-テトラヒドロ-8H-[1,4]ジアゼピノ[5',6':4,5]チエノ[3,2-f]キノリン-8-オンの製造
【化40】
【0190】
DMSO(150ml,2114mmol)およびTHF(150ml,1831mmol)中の(S)-3-ヒドロキシ-10-メチル-9,10,11,12-テトラヒドロ-8H-[1,4]ジアゼピノ[5',6':4,5]チエノ[3,2-f]キノリン-8-オン(30g,100mmol)、2,4-ジクロロ-5-(エトキシメチル)ピリミジン(24.90g,120mmol)および炭酸カリウム(325メッシュ)(16.96g,120mmol)の黄色スラリー混合物を、周囲温度で5~10分攪拌して、その後十分に攪拌しながら(350~400rpm)40~45℃で少なくとも16時間加熱した。黄色/褐色のスラリー混合物を、次いで20~25℃に冷却して、9gのCelite(15mLのTHFを用いて事前に吸湿させた)上で濾過した。黄色の濾液(~400ml)を、視覚上清潔なジャケット付きフラスコにTHF(240mL)と共に戻し入れて、30分にわたり40~45℃に加熱した。混合物に、10wt% NaCl水溶液(150mL)を入れて、5分間攪拌すると、相分離した。底部の水相を除いて、THF(150mL)および10wt%NaCl水溶液(150mL)を入れて、40~45℃で5分間攪拌した。水相を再度除去した。次いで、THF(90mL)および10wt%NaCl水溶液(50mL)を入れて、40~45℃でバッチ温度を維持した(低温により、生成物が結晶化する)。水相を除去して、残っている有機部分を、大気圧下にて65~70℃で、~300mlまで蒸留した。このバッチを、200mgの生成物を用いて種晶化して、得られる混合物を1時間静置した。次いで、バッチを、一定のバッチ容量を維持するために十分な速度でイソプロパノール(600ml)を添加しながら蒸留した。このスラリーを、4時間かけて70℃~22℃に冷却して、22℃で16時間保持して、濾過して、IPA(3x30mL)で洗い、40~45℃の真空オーブンで12~16時間乾燥させて、黄色固体(41.1g,87%収率)を得た;HPLC:Waters Ascentis Express C-18 HPLC column, 10cm x 4.6μm, 1mL/min, 234nm, グラジエント100%、10分以内で0.1% HPOから100%CHCN、次いで5分間100% CHCNで維持した):t=6.40分(99.0%).1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.13 - 1.27 (m, 6 H) 3.42 - 3.54 (m, 2 H) 3.57 - 3.70 (m, 3 H) 4.66 (s, 2 H) 7.18 (br t, J=5.18 Hz, 1 H) 7.64 (d, J=9.08 Hz, 1 H) 7.87 (d, J=8.89 Hz, 1 H) 8.12 - 8.23 (m, 2 H) 8.72 (s, 1 H) 9.37 (d, J=9.17 Hz, 1 H);13C NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ ppm 15.47, 19.12, 48.46, 52.39, 64.02, 66.28, 114.87, 115.10, 119.60, 124.30, 126.49, 126.75, 127.7, 135.77, 139.30, 145.00, 145.84, 156.32, 158.02, 160.48, 164.52, 167.37. LC/MS m/e+ = 470. 分析. C2220SClとしての計算値:C, 56.23;H, 4.29;N, 14.90;S, 6.82;Cl, 7.54.実測値:C, 55.87;H, 4.33;N, 14.61;S, 6.60.
【0191】
生物学的実施例
MK2の選択的阻害剤として提供される化合物の生物学的活性を測定するために使用したインビトロアッセイを下記に記載する。
【0192】
実施例3
化合物の効力評価のための分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ-活性化プロテインキナーゼ2 Omnia(登録商標)アッセイ:
以下のプロトコールには、p38α活性化分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ―活性化プロテインキナーゼ2(MAPKAP-K2またはMK2)酵素に対する化合物の効力を測定するために至適化された連続的に読み取るキナーゼアッセイが記載されている。このアッセイの更なる詳細は、Life Technologies, Carlsbad, CAによる以下のウェブサイト:URL:http://tools.lifetechnologies.com/content/sfs/manuals/omnia_kinase_assay_man.pdfに記載されている。
【0193】
使用した[試薬]:
[MK-2]=0.4nM,
[ATP]=10μM および
[ST3-Sox]=10μM(ATPapp=10μM)
【0194】
要約すれば、1Xキナーゼ反応緩衝液[20mM Tris, pH7.5, 5mM MgCl, 1mM EGTA, 5mM β-グリセロリン酸塩, 5% グリセロール(10X ストック, KB001A)および0.2mM DTT(DS00lA)からなる]中で、MK2(PV3317, Life Technologies製)、1.13X ATP(AS00lA)およびSox結合ペプチド基質であるS/T3-Sox(KZN1031)の10Xストック溶液を調製した。Corning(#3574)384ウェル白色非結合表面マイクロタイタープレート(Corning, NY)中で、酵素溶液(5μL)を、DMSO(5μL)に、またはDMSO中で調製した試験化合物の連続希物にそれぞれ加えた。45μLのATP-ペプチド基質S/T3-Soxミックスを添加してキナーゼ反応を開始し、室温でBioTek(Winooski,VT)のSynergy H4プレートリーダーによって、λex360/λem485にて、120分間にわたり71秒毎にモニタリングした。
【0195】
酵素不含の対照ウェルからのバックグラウンドシグナルを全ての反応進行曲線から差し引いた。正味の反応進行曲線の最初の線形部分を、線形方程式にしたがってフィッティングして、各化合物濃度における傾きおよび阻害率(%阻害)を得た。反応の最初の2時間の間に得られた正味の反応進行曲線もまた、上昇単一指数方程式(式1)にしたがってフィッティングして、各化合物濃度におけるkobs値を得た。%阻害と阻害剤濃度を対比したプロットを、用量反応方程式(式2)にしたがってフィッティングして、IC50およびヒル勾配値を得て、kobsと阻害剤濃度を対比したプロットを、方程式3(式3)にしたがってフィッティングして、GraphPad PRISMソフトウェア(Version 6.00;GraphPad San Diego, CA)を使用して見掛けのkinact/K値を得た。
【数1】
(方程式1)
式中、Fは、プレートリーダーからの蛍光強度であり、Vは、計測機器の値と生成物濃度の間の関係を反映する定数であり、tは時間であり、eはオイラー定数であり、kobsは、観察された不活性化速度定数である。
【数2】

(方程式2)
式中、%Inhibition(%阻害)は、阻害率であり、IC50は、最大半量阻害濃度であり、[I]は阻害剤濃度であり、nはヒル勾配である。
【数3】
(方程式3)
式中、kobsは、観察された不活性化速度定数であり、kinactは、見掛けの不活性化速度定数であり、Kは、見掛けの阻害定数であり、[I]は阻害剤濃度である。IC50(すなわち、試験化合物が基質ペプチドのリン酸化を50%阻害する濃度)を示すこのアッセイの結果は、ナノモル単位で報告されている。試験化合物の効力の結果は、表Aにおいて「MK2 IC50」という表題の欄に示されている。
【0196】
実施例4
MK2の共有結合的改変のレベルを検出するための質量分析アッセイ
質量分析アッセイにおいて、本発明の化合物I-82をアッセイして、MK2タンパク質を共有結合的に改変するそれらの能力を測定した。このアッセイの手順は、以下のとおりである。インタクトなMK2タンパク質(Invitrogen, Cat. No.PR5320A)を、タンパク質に対して10倍過剰の試験化合物と共に室温で60分間インキュベートした。得られた混合物のアリコート(各6μL)を0.2%トリフルオロ酢酸(TFA, 10μL)で希釈してから、脱着マトリックスとしてシナピン酸(10mg/mlの0.1%TFA:アセトニトリル50:50溶液、v/v)を使用して、MALDIターゲット上にmicro C4 ZipTipで直接処理した。対照試料中の標的タンパク質の質量重心を、化合物と共にインキュベートした標的タンパク質の質量重心と比較した。未処理タンパク質と比較した標的化タンパク質の質量重心におけるシフトを、化合物の分子量で割った。この数値は、インキュベーション1時間後の、改変タンパク質(試験化合物に共有結合した全標的タンパク質の割合の尺度)の%に対応する。このアッセイの結果を、表Aの「質量変更」の欄に示した。
【0197】
磁気ビーズ質量分析アッセイにおいて、化合物I-82をアッセイして、MK2タンパク質を共有結合にて改変するそれらの能力を測定した。このアッセイの手順は、以下のとおりである。MK2タンパク質(Invitrogen,Cat. No.PR5320A)を、タンパク質に対して10倍過剰の試験化合物と共に室温で60分間インキュベートした。3μLの磁気Ni-NTAビーズを、6μLの試料アリコートに加えて溶出し、0.2%トリフルオロ酢酸(TFA, 2μL)で溶出し、脱着マトリックスとしてシナピン酸(0.1%TFA中で10mg/ml:アセトニトリル50:50溶液, v/v)を使用して、MALDIターゲット上に直接スポットした。対照試料中の標的タンパク質の質量重心を、化合物と共にインキュベートした標的タンパク質の質量中心と比較した。未処理タンパク質と比較した処理タンパク質の質量重心のシフトを、化合物の分子量で割った。この数字は、1時間のインキュベーション後の改変タンパク質の割合(試験化合物に共有結合した全標的タンパク質の割合の尺度)に対応する。このアッセイの結果は、表Aの「質量変更」という欄に報告されている。
【0198】
実施例5
MK2細胞アッセイ-MSD ELISA(Thp1)による全量およびリン-Hsp27(セリン78)の検出
【0199】
'463出願に詳述された方法に従って、Thp-1ヒト急性単球性白血病細胞において、本発明の化合物をアッセイして、MK2活性の阻害を測定した。
【0200】
具体的には、Thp-1細胞を、RPMI/10% FBS(ウシ胎児血清)/0.05mM 2-メルカプトエタノールを含有する培養培地中で成長させた。アッセイの72時間前に、8x10 細胞/ウェルを、10ng/mLホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)と一緒に96ウェル平底プレートにプレーティングした。アッセイのために必要となるまで、37℃のインキュベーター内で細胞を培養した。化合物希釈物を調製している間に、細胞プレート培地を、アッセイ直前に培養培地と交換した。
【0201】
試験化合物のストック溶液(1mM DMSO溶液)を調製した。3000nMの開始濃度のために、0.9μlの試験化合物を300μlの細胞培地に加えた。0.15nMの最終濃度まで、細胞アッセイ培地中で、3倍の連続希釈(1:3)を行った。細胞プレートの培地を捨てた後に、100μlの化合物含有培地を加えた。得られた調製物を37℃で1時間インキュベートした。
【0202】
試験化合物を含有する細胞アッセイ培地を除去し、細胞アッセイ培地で細胞を1回洗った。50ng/mL LPS(リポ多糖)を含有する細胞アッセイ培地を、各ウェルに加えて、45分間インキュベートした。LPSのインキュベーション後、細胞を、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で1回洗い、60μlの細胞抽出緩衝液(Invitrogen #FNN0011)+プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を用いて溶解させた。その後、次の分析まで、プレートを-80℃で保存した。
【0203】
MULTI-SPOT Phospho(Ser78)/Total HSP27 ELISAアッセイキットは、Meso Scale Delivery(MSD;カタログ#K15128D)から購入した。MSDは、リン光体-HSP27(Ser78)および全HSP27の捕捉抗体でプレコーティングされたプレートを提供する。プレコーティングされたMSDプレートを、150μL/ウェルの3%BSA MSD洗浄緩衝液でブロッキングした。調製物をシェーカー上に室温で1時間置いた。一方、ELISAプレートをブロッキングして、-80℃で保存した細胞アッセイプレートを、4℃で1時間シェーカー上に置いて解凍した。ブロッキングしたMSDプレートをプレートウォッシャーで洗浄し、わずかに残留する洗浄溶液をタッピングして除去した後、細胞アッセイプレートから30μlの溶解物を添加した。調製物をカバーして、室温で1時間インキュベートした。溶解物を除去し、プレートをプレートウォッシャーで3回洗い、わずかに残留する洗浄緩衝液をタッピングして除去し、1%BSA/MSD洗浄緩衝液で作製した25μl/ウェルの検出抗体(キットに付属している電気化学発光化合物MSDスルホタグ標識に結合した抗全HSP27)にて置き換えた。シェーカー上で、プレートを室温で1時間インキュベートした後、3回洗った。わずかに残留する洗浄緩衝液をタッピングして除去した。150μl/ウェルの1×MSDリード緩衝液(キットに付属している4×リード緩衝液)を添加して、分析用のMSD SECTOR(登録商標)Imagerによって、プレートを分析した。SECTOR(登録商標)Imagerは、放出光の強度を測定して、試料中に存在するリン酸化されたHSP27(Ser78)および全HSP27の定量的測定を提供する。試料中のリンタンパク質の相対%は、各ウェルで測定した全HSP27シグナル強度でリン-HSP27シグナル強度を割ることによって計算される。Graph Pad Prismソフトウェアを使用して曲線適合分析を行い、DMSO処理対照(100%のシグナル強度にセットした)に対して正規化したLPS誘導性p-HSP27/全HSP27シグナル比の阻害反応に基づくEC50を作成した。EC50(すなわち、試験化合物がHsp27のリン酸化を50%阻害する濃度)を示すこのアッセイの結果は、ナノモル単位で示されている。このアッセイの結果は、表Aの「pHSP27シグナリングEC50」という欄に報告されている。
【0204】
表Aは、様々なアッセイにおける選択化合物のデータを示す。「A」と示されている活性を有する化合物は、100nMのEC50/IC50を提供した;「B」と示されている活性を有する化合物は、101-~500nMのEC50/IC50を提供した;「C」と示されている活性を有する化合物は、501~999nMのEC50/IC50を提供した;「D」と示されている活性を有する化合物は、1000nMのEC50/IC50を提供した;「E」と示されている活性を有する化合物は、70%の質量変更を提供した;「F」と示されている活性を有する化合物は、31~69%の質量変更を提供した;「G」と示されている活性を有する化合物は、30%の質量変更を提供した。
表A
【表26】
【0205】
我々は本発明のいくつかの実施態様を記載しているが、本明細書の基本的な実施例を変更して、本願化合物および方法を用いるその他の実施態様を提供し得ることは明らかであろう。従って、例として示されている特定の実施態様よりもむしろ添付のクレームにより規定されるべきであることは理解されよう。
【0206】
例示的な実施形態
1.式I:
【化41】
[式中、
環Aは、フェニル、1~3個の窒素を有する5~6員単環式ヘテロアリール環または8~14員架橋もしくは縮合二環式ヘテロ芳香族環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する)であり;
Tは、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(S)-、-Si(R)-、-P(R)-、-P(O)-から選択される2価の基であるか、または2価の飽和直鎖または分枝鎖1~3員の炭化水素鎖であり、ここで該炭化水素鎖は、オキソまたは-ORで所望により置換されていてもよい;
各Rは、独立して、水素であるか、または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であるか:または
同一窒素上の2つのR基は、窒素と一緒になって、3~7員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素または硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する)を形成しており;
は、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族であり;
は、Rまたは-(CH)であり;
pは、0、1、2または3であり;
は、CN、-NO、ハロゲン、-OR、-SR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-C(O)R、-N(R)C(O)R、-SON(R)または-N(R)SOであり;
は、ハロゲン、-CN、-SR、-S(O)R、-SO、-OSO、-OC(O)Rまたは-OP(O)ORであり;
各Rは、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族または所望により置換されていてもよいフェニルから独立して選択される;
が、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、-CN、-NO、ハロゲン、-OR、-N(R)、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-O-Cy、-O-(CH)-Cy、-(CH)-O-Cy、-(CH)N(R)、-(CH)OR、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-(CH)-Cyであり;
各Rは、独立して、水素、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する) であり;
各Rは、独立して、-OR、C1-6脂肪族、フェニルまたは5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)であり;
各mおよびnは、独立して、0~4であり;および
各Cyは、独立して、所望により置換されていてもよい環であり、この環は、3~9員飽和または部分不飽和の単環式炭素環、3~9員飽和または部分不飽和の単環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、フェニル、5~6員ヘテロアリール環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)、7~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式炭素環または6~12員飽和または部分不飽和の縮合または架橋二環式ヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。

2.Tが、-N(R)-、-O-または-S-である、実施形態1記載の化合物。

3.Tが、-NH-または-O-である、実施形態2記載の化合物。

4.Tが、-NH-である、実施形態3記載の化合物。

5.Rが、R、-CHORまたは-CHN(R)である、実施形態1記載の化合物。

6.Rが、メチル、-CHOCHまたは-CHNHである、実施形態1記載の化合物。

7.Rが、メチルである、実施形態6記載の化合物。

8.環Aが、フェニルであり、Rが、-CN、-NO、ハロゲン、-C(O)N(R)、-C(O)OR、-Cy、-C(O)N(R)-Cyまたは-C(O)-Cyから選択される、実施形態1記載の化合物。

9.環Aが、フェニルであり、Rが、-CN、-NOまたはハロゲンから選択される、実施形態8記載の化合物。

10.環Aが、フェニルであり、Rが、-CNまたはハロゲンから選択される、実施形態9記載の化合物。

11.環Aが、1~3個の窒素を有する6員ヘテロアリール環である、実施形態1記載の化合物。

12.環Aが、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルまたはトリアジニルである、実施形態11記載の化合物。

13.前記化合物が、式II、III、IV、VまたはVI:
【化42】
のいずれか一つである、実施形態12記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。

14.Rが、ハロゲンである、実施形態1記載の化合物。

15.Rが、フルオロまたはクロロである、実施形態14記載の化合物。

16.Rが、-SRまたは-SOである、実施形態1記載の化合物。

17.Rが、-SCHまたは-SOCHである、実施形態14記載の化合物。

18.Rが、Rであり、Rが、水素である、実施形態11記載の化合物。

19.Rが、Rであり、Rが、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族である、実施形態11記載の化合物。

20.Rが、-CHOH、-CHOCHおよび-CHから選択される、実施形態19記載の化合物。

21.Rが、-OR、-(CH)N(R)または-(CH)ORである、実施形態11記載の化合物。

22.Rが、-OCHOCHCH、-O(CH)OCH、-O(CH)N(CH)および-OCHから選択される、実施形態21記載の化合物。

23.Rが、ハロゲン、-CN、NO、-C(O)N(R)または-C(O)ORである、実施形態1記載の化合物。

24.Rが、ハロゲン、-CNまたはNOである、実施形態23記載の化合物。

25.Rが、-C(O)N(R)または-C(O)ORである、実施形態23記載の化合物。

26.Rが、-C(O)NH、-C(O)OCHCHおよび-OC(O)CHから選択される、実施形態25記載の化合物。

27.Rが、-Cy、-(CH)-Cy、-C(O)N(R)-Cy、-C(O)-Cy、-OR、-O-Cy、-N(R)-Cy、-N(R)-(CH)-Cy、-(CH)-N(R)-Cyまたは-O-(CH)-Cyである、実施形態11記載の化合物。

28.各-Cyは、独立して、3~7員飽和または部分不飽和の炭素環から選択される、所望により置換されていてもよい環である、実施形態27記載の化合物。

29.各-Cyは、独立して、4~7員飽和または部分不飽和のヘテロ環(窒素、酸素および硫黄から独立して選択された1~3個のヘテロ原子を有する)から選択される所望により置換されていてもよい環であり、実施形態27記載の化合物。

30.各-Cyは、独立して、オキセタニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される、所望により置換されていてもよい環である、実施形態29記載の化合物。

31.実施形態1記載の化合物、および医薬的に許容し得る担体、アジュバンドまたはビヒクルを含む、医薬的に許容し得る組成物。

32.生物学的試料と実施形態1記載の化合物を接触させる工程を特徴とする、生物学的試料中のMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を阻害する方法。

33.実施形態31記載の組成物を患者に投与する工程を特徴とする、患者におけるMK2キナーゼまたはその突然変異体の活性を阻害する方法。

34.MK2キナーゼまたはその突然変異体の活性が不可逆的に阻害される、実施形態33記載の方法。

35.MK2キナーゼまたはその突然変異体の活性が、MK2のCys140を共有結合的に改変することにより、不可逆的に阻害される、実施形態34記載の方法。

36.実施形態31記載の組成物を、治療が必要な患者に投与する工程を特徴とする、該患者においてMK2介在性疾患または障害を治療する方法。

37.MK2介在性疾患または障害が、自己免疫疾患、慢性または急性の炎症性疾患、自己炎症疾患、線維性疾患、代謝性疾患、異常増殖または心血管または脳血管性障害である、実施形態36記載の方法。

38.MK2介在性疾患または障害が、自己免疫疾患、慢性または急性炎症性疾患または自己炎症性疾患である、実施形態37記載の方法。

39.自己免疫性疾患、慢性または急性炎症性疾患および/または自己炎症性疾患が、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎またはクローン病、多発性硬化症、乾癬、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群、家族性寒冷自己炎症症候群、新生児発症性多系統炎症性疾患、TNF受容体関連周期性症候群、急性および慢性膵炎、アテローム性動脈硬化症、痛風、強直性脊椎炎、線維性障害、肝線維症または特発性肺線維症、腎症、サルコイドーシス、強皮症、過敏症、糖尿病、I型真性糖尿病またはII型真性糖尿病、糖尿病性網膜症、スティル病、血管炎、サルコイドーシス、肺炎症、急性呼吸窮迫症候群、湿潤および乾式加齢性黄斑変性、自己免疫溶血性症候群、自己免疫性および炎症性肝炎、自己免疫性神経障害、自己免疫性卵巣不全、自己免疫性精巣炎、自己免疫性血小板減少症、シリコーンインプラント関連自己免疫疾患、シェーグレン症候群、家族性地中海熱、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、側頭動脈炎、高安動脈炎および巨細胞性動脈炎、ベーチェット病またはウェゲナー肉芽腫症、白斑、自己免疫疾患の二次血液学的兆候、貧血、薬物誘発性自己免疫、橋本甲状腺炎、下垂体炎、特発性血小板減少性紫斑病、金属誘発性自己免疫、重症筋無力症、天疱瘡、自己免疫性難聴、メニエール病、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、HW関連自己免疫症候群、ギラン・バレー病、アディソン病、抗リン脂質症候群、喘息、アトピー性皮膚炎、セリアック病、クッシング症候群、皮膚筋炎、特発性副腎萎縮症(idiopathic adrenal adrenal atrophy)、特発性血小板減少症、川崎症候群、ランバート・イートン症候群、悪性貧血、花粉症、結節性多発動脈炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、レイノー症候群、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、シュミット症候群、甲状腺機能亢進症、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、外毒素誘発性毒性ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、糸球体腎炎、腹膜炎、間質性膀胱炎、高酸素誘発性炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管炎、移植片対宿主反応、移植片対宿主病、同種移植片拒絶、急性同種移植片拒絶または慢性同種移植片拒絶、早期移植拒絶、急性同種移植片拒絶、再灌流傷害、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛または線維筋痛、慢性感染症、髄膜炎、脳炎、心筋炎、歯肉炎、手術後外傷、組織損傷、外傷性脳損傷、全腸炎、副鼻腔炎、ブドウ膜炎、眼炎症、視神経炎、胃潰瘍、食道炎、腹膜炎、歯周炎、皮膚筋炎、胃炎、筋炎、多発筋痛、肺炎ならびに気管支炎からなる群から選択される、実施形態38記載の方法。

40.MK2介在性疾患または障害が、繊維性疾患である、実施形態37記載の方法。

41.繊維性疾患が、全身性硬化症/強皮症、ループス腎炎、結合組織疾患、創傷治癒、外科的瘢痕、脊髄損傷、CNS瘢痕、急性肺傷害、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、急性肺傷害、薬物誘発性肺傷害、糸球体腎炎、慢性腎臓病、糖尿病性腎症、高血圧誘発性腎症、消化管または胃腸線維症、腎線維症、肝臓または胆道線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎、C型肝炎、肝細胞癌腫、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、脂肪肝疾患による肝硬変、アルコール性脂肪肝疾患による肝硬変、非アルコール性脂肪症/非アルコール性脂肪肝疾患による肝硬変、放射線誘発性線維症、頭頸部線維症、胃腸線維症、肺線維症、原発性硬化性胆管炎、再狭窄、心筋線維症、心内膜心筋線維症または心房線維症、眼瘢痕、線維性硬化症、線維性癌、子宮筋腫、線維腫、線維腺腫、線維肉腫、移植動脈症、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症および腎性全身性線維症からなる群から選択される、実施形態40記載の方法。

42.MK2介在性疾患または障害が、代謝性疾患である、実施形態37記載の方法。

43.代謝性疾患が、肥満症、ステロイド耐性、グルコース不耐性および代謝性シンドロームからなる群から選択される、実施形態42記載の方法。

44.MK2介在性疾患または障害が異常増殖である、実施形態37記載の方法。

45.異常増殖が、血管形成疾患、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、急性および慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、前骨髄球性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、マスト細胞腫瘍、ホジキン病、非ホジキン病、骨髄異形性症候群、線維肉腫、横紋筋肉腫、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、シュワン腫、メラノーマ、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌、カポジ肉腫、メラノーマ、奇形腫、横紋筋肉腫、転移および骨障害、骨、口/咽頭、食道、喉頭、胃、腸、結腸、直腸、肺、肝臓、膵臓、神経、脳、頭頸部、喉、卵巣、子宮、前立腺、精巣、膀胱、腎臓、乳房、胆嚢、子宮頚部、甲状腺、前立腺および皮膚の癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、神経膠腫ならびに多形神経膠芽細胞腫からなる群から選択される、実施形態44記載の方法。

46.MK2介在性疾患または障害が、心血管または脳血管性障害である、実施形態37記載の方法。

47.心血管または脳血管性障害が、アテローム性動脈硬化症、アテローム硬化型冠動脈の再狭窄、急性冠症候群、心筋の梗塞、心臓同種移植脈管障害、脳卒中、炎症またはアポトーシス成分による中枢神経系障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄傷害、神経性虚血および末梢神経障害からなる群から選択される、実施形態46記載の方法。
【配列表】
2023051962000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物が、下式:
【化1】
I-82の化合物である、化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、および医薬的に許容し得る担体、アジュバンドまたはビヒクルを含む、医薬的に許容し得る組成物。
【請求項3】
治療が必要な患者におけるMK2介在性疾患または障害の治療に用いるための、請求項記載の組成物であって、該MK2介在性疾患または障害が、自己免疫性疾患、慢性または急性の炎症性疾患、自己炎症性疾患、線維性疾患、代謝性疾患、異常増殖、心血管性障害または脳血管性障害である、請求項記載の組成物。
【請求項4】
(i)該MK2介在性疾患または障害が、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、乾癬、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群、家族性寒冷自己炎症症候群、新生児発症性多系統炎症性疾患、TNF受容体関連周期性症候群、急性および慢性膵炎、アテローム性動脈硬化症、痛風、強直性脊椎炎、線維性障害、肝線維症または特発性肺線維症、腎症、サルコイドーシス、強皮症、過敏症、糖尿病、I型真性糖尿病、II型真性糖尿病、糖尿病性網膜症、スティル病、血管炎、サルコイドーシス、肺炎症、急性呼吸窮迫症候群、湿潤および乾式加齢性黄斑変性、自己免疫溶血性症候群、自己免疫性および炎症性肝炎、自己免疫性神経障害、自己免疫性卵巣不全、自己免疫性精巣炎、自己免疫性血小板減少症、シリコーンインプラント関連自己免疫疾患、シェーグレン症候群、家族性地中海熱、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、側頭動脈炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、ベーチェット病またはウェゲナー肉芽腫症、白斑、自己免疫疾患の二次血液学的兆候、貧血、薬物誘発性自己免疫、橋本甲状腺炎、下垂体炎、特発性血小板減少性紫斑病、金属誘発性自己免疫症、重症筋無力症、天疱瘡、自己免疫性難聴、メニエール病、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、HW関連自己免疫症候群、ギラン・バレー症候群、アディソン病、抗リン脂質症候群、喘息、アトピー性皮膚炎、セリアック病、クッシング症候群、皮膚筋炎、特発性副腎萎縮症(idiopathic adrenal adrenal atrophy)、特発性血小板減少症、川崎症候群、ランバート・イートン症候群、悪性貧血、花粉症、結節性多発動脈炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、レイノー症候群、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、シュミット症候群、甲状腺機能亢進症、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、外毒素誘発性毒性ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、糸球体腎炎、腹膜炎、間質性膀胱炎、高酸素誘発性炎症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管炎、移植片対宿主反応、移植片対宿主病、同種移植片拒絶、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植片拒絶、早期移植拒絶、急性同種移植片拒絶、再灌流傷害、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、線維筋痛、慢性感染症、髄膜炎、脳炎、心筋炎、歯肉炎、手術後外傷、組織損傷、外傷性脳損傷、全腸炎、副鼻腔炎、ブドウ膜炎、眼炎症、視神経炎、胃潰瘍、食道炎、腹膜炎、歯周炎、皮膚筋炎、胃炎、筋炎、多発筋痛、肺炎ならびに気管支炎からなる群から選択される、自己免疫性疾患、慢性炎症性疾患、急性炎症性疾患または自己炎症性疾患であるか;
(ii)該MK2介在性疾患または障害が、全身性硬化症/強皮症、ループス腎炎、結合組織疾患、創傷治癒、外科的瘢痕、脊髄損傷、CNS瘢痕、急性肺傷害、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、急性肺傷害、薬物誘発性肺傷害、糸球体腎炎、慢性腎臓病、糖尿病性腎症、高血圧誘発性腎症、消化管または胃腸線維症、腎線維症、肝臓または胆道線維症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎、C型肝炎、肝細胞癌腫、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、脂肪肝疾患による肝硬変、アルコール性脂肪肝疾患による肝硬変、非アルコール性脂肪症/非アルコール性脂肪肝疾患による肝硬変、放射線誘発性線維症、頭頸部線維症、胃腸線維症、肺線維症、原発性硬化性胆管炎、再狭窄、心筋線維症、心内膜心筋線維症、心房線維症、眼瘢痕、線維性硬化症、線維性癌、子宮筋腫、線維腫、線維腺腫、線維肉腫、移植動脈症、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性巨大線維症および腎性全身性線維症からなる群から選択される、繊維性疾患であるか;
(iii)該MK2介在性疾患または障害が、肥満症、ステロイド耐性、グルコース不耐性および代謝性シンドロームからなる群から選択される、代謝性疾患であるか;
(iv)該MK2介在性疾患または障害が、血管形成疾患、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、急性および慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、前骨髄球性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、マスト細胞腫瘍、ホジキン病、非ホジキン病、骨髄異形性症候群、線維肉腫、横紋筋肉腫、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、シュワン腫、メラノーマ、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌、カポジ肉腫、メラノーマ、奇形腫、横紋筋肉腫、転移および骨障害、骨、口/咽頭、食道、喉頭、胃、腸、結腸、直腸、肺、肝臓、膵臓、神経、脳、頭頸部、喉、卵巣、子宮、前立腺、精巣、膀胱、腎臓、乳房、胆嚢、子宮頚部、甲状腺、前立腺および皮膚の癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、神経膠腫ならびに多形神経膠芽細胞腫からなる群から選択される、異常増殖であるか;または
(v)該MK2介在性疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、アテローム硬化型冠動脈の再狭窄、急性冠症候群、心筋梗塞、心臓同種移植脈管障害、脳卒中、炎症またはアポトーシス成分による中枢神経系障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄傷害、神経性虚血および末梢神経障害からなる群から選択される、心血管性障害または脳血管性障害である、請求項記載の組成物。
【外国語明細書】