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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052063
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】二酸化炭素捕集装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20230404BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20230404BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20230404BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20230404BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20230404BHJP
   B05B 1/20 20060101ALI20230404BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20230404BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D53/18 150
B01D53/62
B01D53/78
B05B1/14 Z
B05B1/20 101
C01B32/50
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206996
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2019530058の分割
【原出願日】2017-12-01
(31)【優先権主張番号】62/428,907
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/541,484
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519196014
【氏名又は名称】エンビロ アンビエント コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー,サンジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ポール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】費用やエネルギ消費を抑えた、ガス流から二酸化炭素を効率的に捕集する方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素を含む第1の方向に流れるガスの流れを供給し、少なくとも90%が50ミクロン未満の液滴サイズを有する流体の液滴を前記ガス流れに噴霧する方法及びシステムであって、前記ガスは50~350°Fの温度で供給し、前記液滴は20ガロン/1000立方フィートの液滴密度及び65,000ft/min未満の速度で、前記第1の方向を中心とする、あるいはその反対の方向を中心とするパターンで噴霧する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを処理する方法であって、
二酸化炭素を含み、第1の方向に流れるガスの流れを供給し、
少なくとも90%が約50ミクロン未満の液滴サイズを有する流体の液滴を噴霧し、水を含み、実質的にアミンを含まない流体を分配する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記液滴の噴霧は、マッハ1未満の液滴速度で液滴を噴霧する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記液滴速度は、65,000ft/min未満である方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ガスは、約50°Fから約350°Fまでの範囲の温度で供給される方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ガスは、連続流で供給される方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体の分配は、湿りボリュームの生成を含む方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記湿りボリュームは、ガス1000立方フィート当たり流体20ガロンの流体液滴密度を有する方法。
【請求項8】
請求項6及び7のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ガスは、前記湿りボリュームにおいて約2秒未満の滞留時間を有する方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体の分配は、ガス1000立方フィート当たり20ガロン未満の割合での前記流体の分配を含む方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体は55°Fを超える温度で供給される方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体を60°Fを超える温度での供給を備える方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体を70°Fを超える温度での供給を備える方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体を80°Fを超える温度での供給を備える方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体は、実質的に水から成る方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の方向とは反対の方向をほぼ中心とするパターンで噴霧される前記液滴を噴霧する方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法であって、
前記液滴は、ほぼ前記第1の方向を中心とするパターンで噴霧される方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法であって、
前記液滴は、前記第1の方向に対して角度を付けられるパターンで噴霧される方法。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体の液滴の噴霧は、ノズルのアレイへの前記流体の供給を含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
ノズルのアレイへの前記流体の供給は、少なくとも700psiの流体圧力での前記流体の供給を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記ノズルは複数のヘッダ内に配置され、
前記ヘッダは、前記ガスの流動方向に対して直交して配置され、
前記複数のヘッダは前記ガスの前記流動方向を横切って延び、
前記ヘッダは、互いに少なくとも約8インチの間隔で離間され、また前記ノズルは、各ヘッダに沿って互いに少なくとも約12インチの間隔で離間される方法。
【請求項21】
請求項19及び20のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体圧力は、約700psiから約2,000psiまでの間である方法。
【請求項22】
請求項19乃至21のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ノズルのアレイは12個のヘッダを含む方法。
【請求項23】
請求項19乃至22のいずれか1項に記載の方法であって、
各ヘッダは、少なくとも14個のノズルを含む方法。
【請求項24】
請求項19乃至23のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ヘッダとノズルの構成は、
14個のノズルを有する第1ヘッダと、
22個のノズルを有する第2ヘッダと、
28個のノズルを有する第3ヘッダと、
32個のノズルを有する第4ヘッダと、
33個のノズルを有する第5ヘッダと、
32個のノズルを有する第6ヘッダと、
33個のノズルを有する第7ヘッダと、
33個のノズルを有する第8ヘッダと、
32個のノズルを有する第9ヘッダと、
28個のノズルを有する第10ヘッダと、
22個のノズルを有する第11ヘッダと、
14個のノズルを有する第12ヘッダと、
を含む方法。
【請求項25】
二酸化炭素を生成する方法であって、
請求項1乃至24のいずれか1項に記載の前記方法に従ってガスを処理し、
前記流体から二酸化炭素を収集する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記流体からの二酸化炭素の収集は、
第1の流体タンクの流体液滴を結合させ、
前記流体から気体の二酸化炭素をガス放出し、
前記気体の二酸化炭素を二酸化炭素容器に導く方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記ガス放出は、前記流体のかくはんを含む方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、
前記ガス放出は、前記流体の加熱を含む方法。
【請求項29】
煙道ガスから二酸化炭素を捕集するためのシステムであって、
第1の方向に沿って配向されるガスの導管と、
複数のヘッダに沿って配置されるとともに煙道ガス流に直交して配向され、実質的に水から成る流体を分配するように構成され、またその90%が約50ミクロン未満の大きさを有する液滴を供給するように構成される複数のノズルと、
を備えるシステム。
【請求項30】
請求項27に記載のシステムであって、
前記ノズルからマッハ1未満の液滴速度で前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、
前記液滴速度は、65,000ft/min未満であるシステム。
【請求項32】
請求項29乃至31のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ガスを約50°Fから約350°Fまでの範囲の温度で供給するように構成されるシステム。
【請求項33】
請求項29乃至32のいずれか1項に記載のシステムであって、
ガス1000立方フィート当たり流体20ガロンの液滴密度を有する湿りボリュームを供給するように構成されるシステム。
【請求項34】
請求項29乃至33のいずれか1項に記載のシステムであって、
煙道ガス流をさらに備えるシステム。
【請求項35】
請求項29乃至34のいずれか1項に記載のシステムであって、
湿りボリュームをさらに備えるシステム。
【請求項36】
請求項29乃至35のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記湿りボリュームは、ガス1000立方フィート当たり流体20ガロンの流体密度を有するシステム。
【請求項37】
請求項29乃至36のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記システムは、ガス1000立方フィート当たり流体20ガロン未満の割合で前記流体を分配するように構成されるシステム。
【請求項38】
請求項29乃至37のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記システムは、前記煙道ガスが前記湿りボリュームにおいて約2秒未満の滞留時間を有するように構成されるシステム。
【請求項39】
請求項29乃至38のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記流体を55°Fを超える温度で供給するように構成されるシステム。
【請求項40】
請求項29乃至39のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記流体を60°Fを超える温度で供給するように構成されるシステム。
【請求項41】
請求項29乃至40のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記流体を70°Fを超える温度で供給するように構成されるシステム。
【請求項42】
請求項29乃至41のいずれか1項に記載のシステムであって、
80°Fを超える温度で供給される前記流体を供給するように構成されるシステム。
【請求項43】
請求項29乃至42のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記流体は実質的にアミンを含まないシステム。
【請求項44】
請求項29乃至43のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記流体を分配するための単一の導管を含むシステム。
【請求項45】
請求項29乃至44のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記第1の方向と反対の方向に前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項46】
請求項29乃至45のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記第1の方向に前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項47】
請求項29乃至46のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記第1の方向に対して角度を有する方向に前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項48】
請求項29乃至47のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、アレイにおいて、
前記煙道ガス流内の、3個のヘッダを含む第1分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、2個のヘッダを含む第2分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、2個のヘッダを含む第3分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、2個のヘッダを含む第4分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、3個のヘッダを含む第5分配ゾーン、
を有して構成されるシステム。
【請求項49】
請求項48に記載のシステムであって、
前記第1分配ゾーンは、
14個のノズルを有し、各ノズルが約12インチ離間している第1ヘッダと、
22個のノズルを有し、各ノズルが約14インチ離間している第2ヘッダと、
28個のノズルを有し、各ノズルが約13.5インチ離間している第3ヘッダと、
を含むシステム。
【請求項50】
請求項48及び49のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第1分配ゾーンの前記ヘッダは、約3.25フィート離間しているシステム。
【請求項51】
請求項48乃至50のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第2分配ゾーンは、32個のノズルを有し、各ノズルが約13インチ離間している第1ヘッダと、33個のノズルを有し、各ノズルが約13.5インチ離間している第2ヘッダとを含むシステム。
【請求項52】
請求項48乃至51のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第2分配ゾーンの前記ヘッダは、約3フィート離間しているシステム。
【請求項53】
請求項48乃至52のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第3分配ゾーンは、32個のノズルを有し、各ノズルが約14インチ離間している第1ヘッダと、33個のノズルを有し、各ノズルが約14インチ離間している第2ヘッダとを含むシステム。
【請求項54】
請求項48乃至53のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第3分配ゾーンの前記ヘッダは、約3フィート離間しているシステム。
【請求項55】
請求項48乃至54のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第4分配ゾーンは、33個のノズルを有し、各ノズルが約13インチ離間している第1ヘッダと、32個のノズルを有し、各ノズルが約13インチ離間している第2ヘッダとを含むシステム。
【請求項56】
請求項48乃至55のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第4分配ゾーンの前記ヘッダは、約3フィート離間しているシステム。
【請求項57】
請求項48乃至56のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第5分配ゾーンは、28個のノズルを有し、各ノズルが約13.5インチ離間している第1ヘッダと、22個のノズルを有し、各ノズルが約14インチ離間している第2ヘッダと、14個のノズルを有し、各ノズルが約12インチ離間している第3ヘッダとを含むシステム。
【請求項58】
請求項48乃至57のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第5分配ゾーンの前記ヘッダは、約3.25フィート離間しているシステム。
【請求項59】
請求項48乃至58のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第1分配ゾーンの前記3個のヘッダは、互いに流体連通しているシステム。
【請求項60】
請求項48乃至59のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第2分配ゾーンの前記2個のヘッダは、互いに流体連通しているシステム。
【請求項61】
請求項48乃至60のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第3分配ゾーンの前記2個のヘッダは、互いに流体連通しているシステム。
【請求項62】
請求項48乃至61のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第4分配ゾーンの前記2個のヘッダは、互いに流体連通しているシステム。
【請求項63】
請求項48乃至62のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第5分配ゾーンの前記3個のヘッダは、互いに流体連通しているシステム。
【請求項64】
請求項48乃至63のいずれか1項に記載のシステムであって、
ヘッダに沿った各ノズルが、前記ヘッダに対して同じ角度に配向しているシステム。
【請求項65】
請求項48乃至64のいずれか1項に記載のシステムであって、
少なくとも1つのノズルは、前記流体を分配するための複数のオリフィスを含む多面ノズルであるシステム。
【請求項66】
請求項65に記載のシステムであって、
クモ状の前記ノズルは中心軸を有し、少なくとも1つのオリフィスは前記中心軸に対してある角度をなして配置されるシステム。
【請求項67】
請求項66に記載のシステムであって、
少なくとも1つのオリフィスは、前記中心軸に対して45度の角度で配置されるシステム。
【請求項68】
請求項65に記載のシステムであって、
少なくとも1つのオリフィスは、100ミクロンを超える直径を有するシステム。
【請求項69】
請求項65に記載のシステムであって、
少なくとも1つのオリフィスは、80ミクロンを超える直径を有するシステム。
【請求項70】
請求項29乃至69のいずれか1項に記載のシステムであって、
複数のヘッダと複数のノズルは、共通の給水導管と流体連通しているシステム。
【請求項71】
請求項29乃至69のいずれか1項に記載のシステムであって、
各ヘッダは別個の給水導管を有するシステム。
【請求項72】
請求項29乃至71のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記複数のヘッダは、約2インチ未満の直径を有するシステム。
【請求項73】
請求項29乃至72のいずれか1項に記載のシステムであって、
少なくとも1つのヘッダは、非線形形状で構成されるシステム。
【請求項74】
請求項29乃至73のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ヘッダは、ヘッダ間が均一の間隔を有するアレイで構成されるシステム。
【請求項75】
請求項29乃至74のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記ヘッダは、ヘッダ間が不均一の間隔を有するアレイで構成されるシステム。
【請求項76】
請求項29乃至75のいずれか1項に記載のシステムであって、
第1ヘッダの前記ノズルは、ノズル間が均一な間隔で構成されるシステム。
【請求項77】
請求項29乃至76のいずれか1項に記載のシステムであって、
第1ヘッダの前記ノズルは、ノズル間が不均一な間隔で構成されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2016年12月1日付米国仮特許出願第62/428,907及び2016年8月4日付米国仮特許出願第62/541,484の利益を主張する。前記の米国仮特許出願のそれぞれの内容は、その全体が引用により本明細書に全面的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO)は重大な温室効果ガスであり、大気と海洋における濃度の増大がそれぞれ地球温暖化と海洋の酸性化を引き起こしている。COは、発電所、産業プロセス、及び自動車の排ガスを含む様々な発生源により生成される。COの捕集と隔離技術により、特定の発生源からのCO放出を大幅に低減することができる。捕集されたCOは、化学産業(例えば、尿素、メタノール、及び金属炭酸塩用)、炭酸飲料の先駆物質として、また携帯用圧力ツール(例えば、溶接やエアガン)の圧縮ガスとしての用途を含め、多くの用途がある。現在のCOの捕集及び隔離方法には、一定の限界と欠点がある。例えば、アミノ系技術は補助負荷が大きく費用がかかる。WO2015/024014号はCOの捕集方法とシステムを開示する。記載された方法とシステムは、排ガスをアミン溶液に接触させる工程を含む。さらに、前記方法とシステムは、効率的にCOを捕集するために、高速度(例えば、マッハ1)の水滴を使用して高エネルギ衝突でCOを吸収する(WO2015/024014号、段落[00121]、[00159]、及び[00161])。マッハ1近くの水滴速度に対して必要な高圧と圧縮空気は高いエネルギ消費と特殊機械に関連する。CO捕集の別の方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ガス流から二酸化炭素を捕集するための方法とシステムを提供する。実施形態によっては、前記方法とシステムはガス流から汚染物質も低減する。
一態様において、本明細書に提供されるガスを処理する方法は、
二酸化炭素を含み、第1の方向に流れるガス流を供給し、
マッハ1未満の速度で、少なくとも90%が約50ミクロン未満の液滴サイズを有する流体の液滴を噴霧し、水を含み、実質的にアミンを含まない流体を分配する。
別の態様において、本明細書に提供される二酸化炭素を生成する方法は、
本明細書に記載の方法に従ってガスを処理し、
前記流体から二酸化炭素を収集する。
さらに別の態様において、本明細書に提供される、煙道ガスから二酸化炭素を捕集するためのシステムは、
第1の方向に沿って配向されるガス導管と、
複数のヘッダに沿って配置されるとともに煙道ガス流に直交して配向され、実質的に水から成る流体を分配するように構成され、またその90%が約50ミクロン未満の大きさを有する液滴を供給するように構成される複数のノズルと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】汚染物質を捕集することができる本開示のシステムに関する例示の配置を示す。
図1B】汚染物質を捕集することができる本開示のシステムに関する例示の配置を示す。
図1C】汚染物質を捕集することができる本開示のシステムに関する例示の配置を示す。
図1D】汚染物質を捕集することができる本開示のシステムに関する例示の配置を示す。
図2A】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2B】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2C】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2D】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2E】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2F】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2G】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2H】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2I】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図2J】汚染物質を捕集することができる本開示の別の例示の配置を示す。
図3A】COガスを回収できる本開示のシステムに関する例示の配置の複数のヘッダとノズルを描写する煙道ガス流の内部ビューを示す。
図3B】COガスを回収できる本開示のシステムに関する例示の配置のヘッダとノズルの構成を示す。
図4】本開示のシステムに関するCOガスを回収できる例示のノズルを示す。
図5】本開示のシステムに関するCOガスを回収できる例示のノズルを示す。
図6】本開示のシステムに関するCOガスを回収できる例示のノズルを示す。
図7】本開示のシステムに関するノズルの液滴サイズのグラフ表示を示す。
図8】本開示のシステムに関する例示のCO捕集容器と噴霧アレイのグラフ表示を示す。
図9】小さい水滴による揮発性化合物の吸着と吸収の略図を示す。
図10】水中のCOの平衡溶解に対する温度の効果を示す。
図11】HCOとHCO の平衡形成に対する温度の効果を示す。
図12】COの平衡表面吸着に対する液滴サイズの効果を示す。
図13】第2モデルで使用される水滴の概略図を示す。
図14】基本ケースの設定と液滴速度の範囲を用いて得られる液滴中心での[COと[HCOの予測動的挙動を示す。
図15】基本ケースの設定と界面内の耐フラクション性の値の範囲を用いて得られる液滴中心での[COと[HCOの予測動的挙動を示す。
図16】基本ケースの設定と液滴サイズの値の範囲を用いて得られる液滴中心での[COと[HCOの予測動的挙動を示す。
図17】基本ケースの設定と温度の値の範囲を用いて得られる液滴中心での[COと[HCOの予測動的挙動を示す。
図18】基本ケースの設定と界面分配係数の値の範囲を用いて得られる予測全CO除去量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ガス流から汚染物質を低減するための方法とシステムをここに開示する。実施形態によっては、前記方法とシステムはガス流から二酸化炭素を捕集する。本明細書中に記載のCO除去は、より大きい補助負荷、大きな設置面積を有し、また費用がよりかかるアミン系技術に比較すると、非常に効率的である。本明細書中に記載のCO除去は、排水流中の大量のCOガスを捕集する。さらに、その他のCO捕集は、液体対ガスの比率が大きい。本明細書中に記載の方法とシステムに関する液体対ガスの比率は、煙道ガス1000ACFM当たり噴霧水10gpm未満である。これらの細かい液滴を使用する方法とシステムはエネルギを効率的に利用する。本システムのノズル配置は、表面積の損失を伴う液滴の衝突や凝集を防止する。液滴の大きな表面積により、CO捕集の効率を高めることができる。水滴の速度はマッハ1未満であり、それによりエネルギ消費を低減し、特殊機械の使用を避ける。
定義
【0006】
便宜上、本明細書、例、及び添付の請求項で使用する特定の用語をここに集めた。
【0007】
本明細書において、冠詞「a」及び「an」は、当該冠詞の文法上の対象物の1つ又は2以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「an element」は、1つの要素又は2以上の要素を意味する。
【0008】
本明細書において、明細書及び請求項において使用される語句「and/or(及び/又は)」は、そのように結合した要素、すなわち、ある場合には連言的に存在し、他の場合には選言的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解されたい。「and/or」を用いて記載される複数の要素は、同じように、すなわちそのように結合される「1以上」の要素と解釈するものとする。「and/or」節によって具体的に特定される要素以外のその他の要素は、具体的に特定される要素に関連するか否かを問わず、選択的に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「A and/or B」への参照は、「comprising(備える)」等のオープンエンドの言葉と組み合わせて使用される場合、一実施形態ではAのみ(B以外の要素を選択的に含んで)を指し、別の実施形態ではBのみ(A以外の要素を選択的に含んで)を指し、さらに別の実施形態ではAとBの両方(その他の要素を選択的に含んで)を指す等の場合がある。
【0009】
本明細書において、明細書及び請求項において使用されるように、「or(又は)」は、上記で定義したように、「and/or」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リスト内で項目を分離する場合、「or」又は「and/or」は、包含的であるとして、すなわち、多くの又はリストの要素のうち、少なくとも1つを含むだけでなく、2以上を含むこと、また選択的に、付加的なリストに挙げられていない項目も含むと解釈されるものとする。「only one of(のうちの1つのみ)」又は「exactly one of(のうちのちょうど1つ)」、又は請求項で使用される場合の、「consisting of(から成る)」等の、これに反して明確に示される用語のみ(only)は、多くの又はリストの要素のうちちょうど1つの要素を含むことを指す。通例では、本明細書で使用されるように、用語「or」は、「either(いずれか一方の)」、「one of(いずれか1つ)」、「only one of(のうちの1つのみ)」、又は「exactly one of(いずれか1つだけ)」等の排他性用語に続く場合、排他的な選択肢を示す(すなわち、どちらか一方であって両方ではない)としてのみ解釈されるものとする。「consisting essentially of(実質的に成る)」は、請求項で使用される場合、特許法の分野で用いられるそれの通常の意味を有するものとする。
【0010】
本明細書において、明細書及び請求項において使用されるように、語句「at least one」は、1以上の要素のリストに関連して、要素のリスト中の任意の1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するものと理解されるものとするが、要素のリスト内に具体的に挙げられる全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含まない、また要素のリストにおいて任意の要素の組み合わせを排除するものでもないと理解されるものとする。この定義によると、語句「at least one」が指す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定される要素に関連するか否かを問わず、選択的に存在することも可能にする。従って、非限定的な例として、「at least one of A and B」(又は、同等に、「at least one of A or B」、又は、同等に、「at least one of A and/or B」)は、一実施形態において、Bの存在なしで、2以上を選択的に含めて、少なくとも1つのAを指し(また、B以外の要素を選択的に含める)、別の実施形態では、Aの存在なしで、2以上を選択的に含めて、少なくとも1つのBを指し(また、A以外の要素を選択的に含める)、さらに別の実施形態では、2以上を選択的に含めて、少なくとも1つのA、及び2以上を選択的に含めて、少なくとも1つのBを指し得る(また、それ以外の要素を選択的に含める)。
【0011】
そうでないことが明確に示されていない限り、本明細書中で主張される2以上の工程又は作用を含むあらゆる方法において、当該方法の工程又は作用の順序は、当該方法の工程又は作用が列挙される順序に必ずしも限定されないことも理解されたい。
【0012】
請求項において、上記の本明細書においても同様に、「comprising」、「including」、「carrying」、「having」、「containing」、「involving」、「holding」、「composed of」等の全ての移行句は、オープンエンドであると理解されるべきである、すなわち、「含むがこれに限定されない」意味と理解されるべきである。移行句「consisting of」と「consisting essentially of」のみが、米国特許庁の特許審査処理手順マニュアル、セクション2111.03に記載されるように、それぞれクローズの又は半ばクローズの移行句であるものとする。
【0013】
本開示の目的のために、化学元素は、元素の周期表、CASバージョン、化学と物理のハンドブック、第67版、1986年‐1987年、表紙裏に従って特定される。
【0014】
本明細書中で使用されるように用語「NOx」は、一酸化窒素(NO)、酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(NO)、及び五酸化二窒素(N)等のその他の窒素の高級酸化物を含む、窒素酸化物の汚染物質を指す。窒素酸化物は、自動車の排気、石炭、オイル、ディーゼル燃料、及び天然ガスの燃焼(例えば、発電所から)、又は産業プロセス(例えば、溶接、電気メッキ、エッチング、及びダイナマイトの爆破)から、大気中に放出される。
【0015】
本明細書中で使用されるように用語「SOx」は、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、硫酸ミスト(HSO)、及び硫酸塩を含む、硫黄酸化物の汚染物質を指す。大半のSOx汚染物質は、硫黄を含む燃料(例えば、瀝青炭及び残留燃料油)の燃焼からSOの形態をとる。
【0016】
本明細書中で使用されるように用語「アミン(amine)」は、-NH及びそれの置換誘導体を指し、水素の1つ又は両方は、アルキル、ハロアルキル、フルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フルオロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、カルボシクリルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、スルホニル、及び上記で定義されたスルフィニル基から成る基から選択される置換基によって個別に置換されるか、又は両水素は、共にアルキレン基によって置換される(窒素を含む環を形成する)。代表例にはメチルアミノ、アセチルアミノ、及びジメチルアミノが挙げられるが、これに限定されない。
【0017】
本明細書中で使用されるように用語「ノズル」は、流体の流れ(例えば、液体又はガス)が密閉室又はパイプに出入りする場合にその方向又は特性(例えば、速度)を制御する装置を指す。ノズルは、流体を分配するための少なくとも1つのオリフィスを有する。ノズルは、パイプ又はホースの端部において円筒形、円形又は円錐形の噴出口であり得る。
【0018】
本明細書中で使用されるように用語「ヘッダ」は、1以上のノズルが搭載されるアッセンブリを指す。ヘッダ上のノズルの数は、タンクの直径、体積流量、煙道ガス温度、捕集されるCOの量、及び存在する他のヘッダの数に依存して変わり得る。例えば、各ヘッダは、少なくとも1個、14個、22個、28個、32個、又は33個のノズルを含み得る。本明細書に開示されるヘッダにおいて、ノズルは互いに一定の間隔で離間され得る。
【0019】
本明細書中で使用されるように用語「アレイ」は、多数のヘッダを含むアッセンブリを指す。アレイのヘッダは、互いから様々な間隔で離間され得る。
【0020】
本明細書中で使用されるように用語「マッハ」は、周囲の媒体中の音の速度に対する液滴の速度の比率を指す。例えば、マッハ1は、音の速度(標準海面条件及び59°Fで、340.29m/s又は67,519.7 ft/min)を示す。マッハ1で表される速度は、例えば、温度に依存するために、一定ではない。
【0021】
本明細書中で使用されるように用語「平方インチ当たりの重量ポンド」(psi)は、1平方インチの面積に印加される1重量ポンドの力から生じる圧力を指す。
本開示の方法
【0022】
一態様において、本明細書中に提供されるガスを処理する方法は、
二酸化炭素を含み、第1の方向に流れるガス流を供給し、
少なくとも90%が約50ミクロン未満の液滴サイズを有する流体の液滴を噴霧し、水を含み、実質的にアミンを含まない流体を分配する。
【0023】
本明細書中に記載の方法の他の実施形態において、ガス流は、二酸化炭素及び少なくとも1つの汚染物質、すなわち、HCl、HF、重金属(水銀を含む)、NOx、SOx、又は微粒子を含む。
【0024】
亜音速で液滴を分配すると、ノズルのオリフィスでの差圧が、WO2015/024014に記載されるシステムより小さい点で有利である。その結果、ノズルにかかる力が減少し、より様々なノズルの取り付け方法が可能になる。さらに、ノズルを出る液滴は、超音速システムによって遭遇するような圧力、温度、及びエントロピーの急激な変化にさらされることはない。
【0025】
本明細書中に記載の方法の特定の実施形態において、液滴の噴霧は、マッハ1未満の液滴速度での液滴の噴霧を含む。別の実施形態において、液滴の相対速度は、マッハ1未満、マッハ0.9未満、マッハ0.8未満、マッハ0.7未満、マッハ0.6未満、マッハ0.5未満、マッハ0.4未満、マッハ0.3未満、マッハ0.2未満、又はマッハ0.1未満である。さらに別の実施形態において、液滴の相対速度はマッハ0.5未満である。
【0026】
特定の実施形態において、液滴の噴霧は、65,000ft/min未満の液滴速度での液滴の噴霧を含む。他の実施形態において、液滴速度は、60,000ft/min未満である。その他の実施形態において、液滴速度は、50,000ft/min未満、40,000ft/min未満、30,000ft/min未満、20,000ft/min未満、10,000ft/min未満、又は5,000ft/min未満である。
【0027】
本明細書中に記載の方法の別の実施形態において、ガスは、約50°Fから約350°Fまでの範囲の温度で供給される。一実施形態において、ガスは55°Fを超える温度で供給される。別の実施形態において、ガスは60°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、ガスは70°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、ガスは80°Fを超える温度で供給される。特定の実施形態において、ガスは、約100°F、約110°F、約120°F、約130°F、約135°F、約140°F、約150°F、約160°F、又は約170°Fの温度で供給される。
【0028】
本明細書中に記載の方法のさらに別の実施形態において、ガスは連続流で供給される。
【0029】
本明細書中に記載の方法のさらに別の実施形態において、流体の分配は、湿りボリュームの生成を含む。湿りボリュームは、もしあれば、次のガス処理段階まで広がり得る、又はノズルから一定の距離だけ広がり得る。湿りボリュームは、噴霧の方向及びガス流の方向にノズルから広がり得る。湿りボリュームは、ノズルの上流からノズルの下流まで広がり得る、そして湿りボリュームの範囲はガス流の流量、流体の流量、及び液滴の速度に依存し得る。湿りボリュームは、アプリケーションに依拠して、総炭素捕集量又は炭素捕集効率を最適化するために、これらのパラメータ及び当業者にとって明らかなその他のパラメータに基づいて調整され得る。
【0030】
実施形態によっては、湿りボリュームは、ガス1000立方フィート当たり流体15ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体12ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体11ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体10ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体9ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体8ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体7ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体6ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体5ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体4ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体3ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体2ガロン、又はガス1000立方フィート当たり流体1ガロンの流体液滴密度を有する。他の実施形態において、湿りボリュームはガス1000立方フィート当たり流体10ガロンの流体液滴密度を有する。
【0031】
特定の実施形態において、ガスの湿りボリュームでの滞留時間は、約10秒未満、約8秒未満、約6秒未満、約5秒未満、約4秒未満、約3秒未満、約2秒未満、約1秒未満、又は約0.5秒未満である。別の実施形態において、ガスの湿りボリュームでの滞留時間は、約2秒未満である。上述したように、ガスの滞留時間は、本明細書中に記載のその他のパラメータと共に、システムの性能を最適化するために変えることができる。
【0032】
本明細書中に記載の方法の別の実施形態において、湿りボリュームは、ガス1000立方フィート当たり流体15ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体12ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体11ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体10ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体9ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体8ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体7ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体6ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体5ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体4ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体3ガロンの流体密度、ガス1000立方フィート当たり流体2ガロンの流体密度、又はガス1000立方フィート当たり流体1ガロンの流体密度を有する。その他の実施形態において、湿りボリュームはガス1000立方フィート当たり流体10ガロンの流体密度を有する。上述したように、湿りボリュームの流体密度は、本明細書中に記載のその他のパラメータと共に、システムの性能を最適化するために変えることができる。
【0033】
本明細書中に記載の方法の実施形態によっては、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり20ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は2.67:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり15ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は2.01:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり10ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は1.33:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり5ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は0.67:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり2ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は0.267:1000である。その他の実施形態において、液体対ガスの比率は、1:1000、9:10,000、8:10,000、7:10,000、6:10,000、5:10,000、4:10,000、3:10,000、2:10,000、又は1:10,000である。
【0034】
本明細書中に記載の方法の1つの利点は、流体は、周囲温度で、すなわち、貯蔵タンクの位置での温度から人工的に加熱又は冷却しないで供給できることである。本明細書中に記載の方法の実施形態によっては、流体は、約32°Fから約212°Fまでの範囲の温度で供給される。一実施形態において、流体は、50°Fを超える温度で供給される。一実施形態において、流体は、55°Fを超える温度で供給される。別の実施形態において、流体は、60°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、流体は、70°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、流体は、80°Fを超える温度で供給される。
【0035】
本明細書中に記載の方法の特定の実施形態において、流体は、実質的にアミンを含まない。本明細書中に記載の方法のその他の実施形態において、流体は実質的に水から成る。
【0036】
本明細書中に記載の方法の特定の実施形態において、方法は、液滴の噴霧を含み、液滴は、第1の方向と反対の方向をほぼ中心としたパターンで噴霧される。さらに別の実施形態において、液滴は、第1の方向をほぼ中心としたパターンで噴霧される。その他の実施形態において、液滴は、第1の方向に対して角度を付けられたパターンで噴霧される。付加的に、又は代わりに、液滴は複数の方向に同時に噴霧され、ガス流の方向に沿って分配される異なる量の液滴の勾配又はゾーンを設けることができる。噴霧パターンは、円錐、四角錐、又は当技術分野で周知の任意の他の噴霧パターンであってもよい。
【0037】
本明細書中に記載の方法の特定の実施形態において、流体の液滴を噴霧する工程は、ノズルのアレイへの流体の供給を含む。別の実施形態において、ノズルのアレイへの流体の供給は、少なくとも700psiの流体圧力での流体の供給を含む。さらなる実施形態において、圧力は約700psiから約2、000psiまでの間である。実施形態によっては、流体圧力は、約1,000psiから約2,000psiまでの間である。別の実施形態において、流体圧力は、約1,500psiから約2,000psiまでの間である。
【0038】
本明細書中に記載の方法の別の実施形態において、ノズルは、複数のヘッダ内に配置される。ヘッダは、ガスの流動方向に直交して配置され、複数のヘッダはガスの流動方向を横切って延びる。ヘッダは、互いに少なくとも約8インチの間隔で離間され、またノズルは、それのそれぞれのヘッダに沿って、互いに少なくとも約12インチの間隔で離間される。
【0039】
本明細書中に記載の方法の他の実施形態において、ノズルのアレイは、1個から20個の間のヘッダを含む。別の実施形態において、ノズルのアレイは、5個のヘッダ、6個のヘッダ、7個のヘッダ、8個のヘッダ、9個のヘッダ、10個のヘッダ、11個のヘッダ、12個のヘッダ、13個のヘッダ、14個のヘッダ、15個のヘッダ、又は16個のヘッダを含む。別の実施形態において、ノズルのアレイは、12個のヘッダを含む。
【0040】
本明細書中に記載の方法の別の実施形態において、各ヘッダは、少なくとも10個のノズル、少なくとも14個のノズル、少なくとも18個のノズル、少なくとも22個のノズル、少なくとも26個のノズル、又は少なくとも30個のノズルを含む。実施形態によっては、各ヘッダは、少なくとも14個のノズルを含む。さらに別の実施形態において、各ヘッダは、12個のノズル、14個のノズル、16個のノズル、18個のノズル、20個のノズル、22個のノズル、24個のノズル、26個のノズル、28個のノズル、30個のノズル、32個のノズル、33個のノズル、34個のノズル、又は35個のノズルを含む。さらに別の実施形態において、各ヘッダは、14個のノズル、22個のノズル、28個のノズル、32個のノズル、又は33個のノズルを含む。
【0041】
特定の実施形態において、ヘッダとノズルの構成は、
14個のノズルを有する第1ヘッダ、
22個のノズルを有する第2ヘッダ、
28個のノズルを有する第3ヘッダ、
32個のノズルを有する第4ヘッダ、
33個のノズルを有する第5ヘッダ、
32個のノズルを有する第6ヘッダ、
33個のノズルを有する第7ヘッダ、
33個のノズルを有する第8ヘッダ、
32個のノズルを有する第9ヘッダ、
28個のノズルを有する第10ヘッダ、
22個のノズルを有する第11ヘッダ、及び
14個のノズルを有する第12ヘッダを含む。
【0042】
一実施形態において、ヘッダとノズルの構成は、図3Aに示すとおりである。別の態様において、本明細書中に提供される二酸化炭素を生成する方法は、
本明細書中に記載の方法に従ってガスを処理し、
流体から二酸化炭素を収集する。
【0043】
別の実施形態において、排水はタンクに捕集される。理論に縛られることなく、表面積効果によって、本方法によって用いられるミクロンサイズの液滴は、バルク飽和濃度より高い濃度でCOを収集すると考えられている。従って、排水がバルク相で収集された場合、COは自然発生的に泡となって排水から出る。実施形態によっては、排水からのCOの放出を促進させるために、当業者に周知の方法が使用されるかもしれない。例えば、タンク中の水はかくはんされるか又は加熱され得る。実施形態によっては、COは、大気圧下で、すなわち、ポンプによって積極的に操作されていない排水タンクの圧力の下で水から漏れ出る。実施形態によっては、COは、周囲温度の下で水から漏れ出る、すなわち、積極的な加熱又は冷却構成要素が排水タンクに関連付けられて存在していない。
【0044】
実施形態によっては、排水タンクは、排水からCOの放出を促進する過剰な核形成部位を含む。
【0045】
実施形態によっては、排水を通してガスが泡立てられてもよい。実施形態によっては、ガスはCOであってもよい。他の実施形態において、ガスはCO以外であってもよい。排水をかくはんするためにCOを用いると、かくはんと付加的な表面積が得られる。さらに、排水中のCOは、平衡(飽和)濃度を超える濃度にあるので、COを泡立たせても排水中のCOの濃度は増加しない。代わりに、かくはんによって排水中からCOの放出を促進し、COに対して付加的な表面積を与えて過飽和の排水から漏れ出させる効果が得られる。本質的に、排水を通してCOを泡立たせることにより、付加的な核形成部位が得られる。排水をかくはんするためにCOの泡を用いるもう1つの利点は、収集されるガスはなお純粋なCOであるということである。
【0046】
排水は、必要に応じて又は所望どおり、多数の流体タンクを通じて送ることができる。例えば、排水は第1の流体タンクに収集され、次に第2の流体タンクに送られる。実施形態によっては、COは第1のタンクの排水から受動的に放出され(すなわち、放出を促進するためのかくはん又はその他の手段なしで)、第2のタンクの排水から積極的に放出される(例えば、かくはんにより促進されて)。実施形態によっては、排水は、第1及び第2タンク両方の排水から積極的に放出される。必要に応じて、付加的なタンクを追加してもよい。実施形態によっては、複数のタンクシステムが並列で使用される。例えば、2つの並列のタンクシステムがあって、それぞれは、第1の受動的放出のタンクと第2の積極的放出のタンクとから構成される。
【0047】
実施形態によっては、流体からの二酸化炭素の収集は、
気密の第1流体タンクの流体液滴を結合させ、
流体から気体の二酸化炭素をガス放出し、
気体の二酸化炭素を二酸化炭素容器に導く。
【0048】
二酸化炭素容器は、任意の適切な容器であってもよい。二酸化炭素は、浄化、圧縮されて二酸化炭素容器に収容されてもよい。実施形態によっては、収集される二酸化炭素は工業的用途に対して十分純粋であり、さらなる浄化は行われない。実施形態によっては、二酸化炭素中の唯一の不純物は水蒸気であり、二酸化炭素は、二酸化炭素容器に収集される前に水蒸気を除去するためのシステムを通過させられる。水蒸気を除去するための多くのシステムは当業者に周知であり、任意の適切なシステムを使用することができる。
【0049】
COのガス放出の後、排水はCO捕集システムを通して再利用され得る。任意に、排水は再利用される前に浄化されてもよい。浄化には、例えば、ろ過及び/又は逆浸透が含まれ得る。
本開示のシステム
【0050】
本開示の一態様は、煙道ガスから二酸化炭素を捕集するためのシステムである。特定の実施形態において、当該システムは排水流中の大量のCOガスを収集する。実施形態によっては、煙道ガスの速度は減速される。他の実施形態において、水噴霧の流れは増大される。別の実施形態において、排水は、最小限のかくはんによりCOを水から分離させるタンクに捕集される。実施形態によっては、当該システムは濃縮COとしてCOを捕集する。例えば、煙道ガス流中のCOの80%は当該システムによって捕集することができ、少なくとも純度85%である。好適な実施形態において、回収されたCOは、純度90%を超える又は純度95%を超える。さらに別の実施形態において、濃縮COにより、当該システムの大きさの低減が可能になる。さらに別の実施形態において、濃縮COは、圧縮する必要なしに、別の工程に直接パイプで送ることができる。別の実施形態において、当該システムは図2に示すように配置される。
【0051】
排水タンクは、多くの方法で構成され得る。実施形態によっては、当該システムは1つの排水タンクを含み、それはさらにかくはん装置を含み得る。実施形態によっては、当該システムは沈殿タンク、アグラベイタタンク、及び貯蔵タンクを含む。これらの実施形態において、アグラベイタタンクはかくはん装置を含む。沈殿タンクは、存在する場合、排水中に同様に捕集されている可能性のある望ましくない粒子をかくはん前に沈殿させる。実施形態によっては、当該システムは、多数のパラレルアームの排水タンクを含み、各アームは流体移動のための双方向導管としての機能を果たす。各アームは1つのタンクを含み得る、又は付加的に沈殿タンク、アグラベイタタンク及び貯蔵タンクを含み得る。実施形態によっては、複数のパラレルアームがあり、それぞれは沈殿タンクとアグラベイタタンクを含む、また当該システムは、1以上の貯蔵タンクをさらに含む。本明細書中に記載のいずれの構成においても、アームとタンクは、閉鎖メカニズム(例えば、バルブ)と流体連結されて、必要に応じて、流体移動を選択的に開放、閉鎖することができる。多数のパラレルアームを使用することにより、排水流がアーム間で切り替えられ、各アームの各タンクの排水が、当該システムによって究極的に再利用される前に、完全にガス放出する十分な時間を可能にする。
【0052】
上述の実施形態において、かくはん装置は、排水に溶解しているCOが気相に放出される速度を増加させることに適した任意のメカニズムであってもよい。いくつかのそのような種類のかくはん装置は本明細書に記載されている。例えば、かくはん器、泡だて器等の機械的かくはん装置、又はガス気泡のための付加的な核形成部位の発生源であってもよい。
【0053】
本明細書中に記載の排水タンクのいくつかはCO収集システムに連結される。好適な実施形態において、これらのタンクは、当該システムが作動している場合、タンク中の唯一のガスはCOであるようにさもなければ密閉されている。密閉されているので、周囲の空気がタンクに侵入してCOを希薄化することが防止される。好適には、上記の沈殿タンク及びアグラベイタタンクは、CO収集システムを含む。しかしながら、全体のシステムの必要性に依存して、一方又は他方はCO収集システムを欠く場合がある。さらに、1つの収集システムが多数のタンク全体に及ぶ場合がある。これらの実施形態において、ガスマニホールドは、各排水タンクから収集システムにCOを送る。実施形態によっては、収集システムは乾燥機及びコンプレッサを含み、また工業用に対して十分な純度のCOを製造するよう構成されている。
【0054】
他の実施形態において、煙道ガスの特性とあらゆる上流の処理の性質に依存して、当該システムは少なくとも1つの汚染物質、すなわち、HCl、HF、重金属(水銀を含む)、NOx、SOx又は微粒子も捕集し、低減する。別の実施形態において、当該システムは、HCl、HF、SO、SO、水銀、及び微粒子を低減する。さらに別の実施形態において、当該システムは、開示された凝縮プロセスの性質により、粒子状物質を低減する。特定の実施形態において、排水はこれらの汚染物質を除去するために処理される。
【0055】
別の実施形態において、当該システムは、1つのユニット内で、煙道ガスから二酸化炭素と少なくとも1つの汚染物質の両方を捕集する。別の実施形態において、当該システムは、煙道ガスから二酸化炭素を捕集するためのユニットと少なくとも1つの汚染物質を捕集するための別個のユニットを含む。実施形態によっては、少なくとも1つの汚染物質を捕集するためのユニットは、図1の配置を有する。他の実施形態において、少なくとも1つの汚染物質を捕集するためのユニットは、図2のカーボンフィルターを含む。
【0056】
実施形態によっては、当該システムは、煙道ガス流に過酸化水素を導入することによってSOを除去する。別の実施形態において、当該システムのリアクターモジュールは、SOを硫酸に転換する。実施形態によっては、煙道ガスは水を吸収するので、その温度は断熱冷却によって低下する、そしてこの酸露点を下回る温度の低下は、硫酸及びその他の酸がガス流から凝縮することを可能にする。実施形態によっては、当該システムで使用される専用ノズルによって、細かい霧状の液滴が生成されて効率が高まる。
【0057】
特定の実施形態において、ノズルは、当該システム内部の断面全体で一様な分布を提供するように配置される。ノズルは、排ガスが容器に流入する地点からある範囲の距離に配置することができる。実施形態によっては、ノズルは、排ガスの流入地点から約4フィート乃至5フィートに配置することができる。実施形態によっては、ノズルは、ノズルの第2のサブセットと異なる間隔で(排ガスの流入地点から)離間するノズルの第1のサブセットと互い違いの関係又は離間した関係で構成され得る。
【0058】
別の態様において、本開示は、煙道ガスから二酸化炭素を捕集するためのシステムを提供する。当該システムは、
第1の方向に沿って配向されるガスの導管と、
複数のヘッダに沿って配置されるとともに前記煙道ガス流に直交して配向され、実質的に水から成る流体を分配するように構成され、またその90%が約50ミクロン未満の大きさを有する液滴を供給するように構成される複数のノズルと、
を備える。
【0059】
小さいサイズの液滴は、より大きい液滴よりも効率の良いCOの捕集が可能になるので望ましい。理論に縛られることなく、小さい液滴(例えば、約100ミクロン未満、好適には約50ミクロン未満の直径を有する)の体積当たりの表面積が大きいほど、ヘンリーの法則に従って、液滴は、バルク相において可能な濃度より大きな濃度でCOを吸収することが可能になると考えられている。液滴の表面は、CO又は炭酸が集まるのに好ましい環境を提供することが可能である。
【0060】
実施形態によっては、当該システムは、液滴を供給するように構成され、液滴の90%は約100ミクロン未満、約80ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、又は約10ミクロン未満の大きさを有する。実施形態によっては、当該システムは、液滴を供給するように構成され、液滴の90%は約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、又は約1ミクロン未満の大きさを有する。
【0061】
別の実施形態において、ヘンリーの法則に基づいて予測されるものと比較した流体液滴によって収集されるCOの量の比率は1より大きい。さらに別の実施形態において、前記比率は、1から10の間、1から20の間、1から50の間、又は1から100の間である。さらに別の実施形態において、前記比率は、約1.25、約1.5、約1.75、約2、約2.25、約2.5、約2.75、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.25、約4.5、約4.75、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約50、約75、又は約100である。
【0062】
実施形態によっては、流体液滴によって収集されるCOの量は30gCO/kgHOより大きい。実施形態によっては、流体液滴によって収集されるCOの量は、50gCO/kgHO、100gCO/kgHO、150gCO/kgHO、200gCO/kgHO、225gCO/kgHO、又は250gCO/kgHOより大きい。実施形態によっては、流体液滴によって収集されるCOの量は、30gCO/kgHOから300gCO/kgHOの間である。実施形態によっては、流体液滴によって収集されるCOの量は、50gCO/kgHOから300gCO/kgHOの間、100gCO/kgHOから300gCO/kgHOの間、150gCO/kgHOから300gCO/kgHOの間、200gCO/kgHOから300gCO/kgHOの間、又は250gCO/kgHOからと300gCO/kgHOの間である。
【0063】
亜音速での液滴の分配は、ノズルのオリフィスでの差圧がWO2015/024014に記載されるシステムより小さい点で有利である。その結果、ノズルにかかる力が低減し、ノズルのより多様な取り付け方法を可能にする。さらに、ノズルを出る液滴は、超音速システムによって遭遇するような圧力、温度及びエントロピーの急激な変化にさらされない。これにより、液滴特性に対するより良い制御が可能になる。
【0064】
本明細書中に記載のシステムの特定の実施形態において、当該システムは、ノズルから液滴をマッハ1未満の液滴速度で噴霧するように構成される。別の実施形態において、液滴の相対速度はマッハ1未満、マッハ0.9未満、マッハ0.8未満、マッハ0.7未満、マッハ0.6未満、マッハ0.5未満、マッハ0.4未満、マッハ0.3未満、マッハ0.2未満、又はマッハ0.1未満である。さらに別の実施形態において、液滴の相対速度はマッハ0.5未満である。
【0065】
特定の実施形態において、液滴速度は、65,000ft/min未満である。他の実施形態において、液滴速度は、60,000ft/min未満である。他の実施形態において、液滴速度は、50,000ft/min未満、40,000ft/min未満、30,000ft/min未満、20,000ft/min未満、10,000ft/min未満、又は5,000ft/min未満である。
【0066】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、当該システムは、ガスを約50°Fから約350°Fまでの範囲の温度で供給するように構成される。一実施形態において、ガスは、55°Fを超える温度で供給される。別の実施形態において、ガスは60°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、ガスは70°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、ガスは80°Fを超える温度で供給される。特定の実施形態において、ガスは、約100°F、約110°F、約120°F、約130°F、約135°F、約140°F、約150°F、約160°F、又は約170°Fの温度で供給される。
【0067】
本明細書中に記載のシステムのさらに別の実施形態において、当該システムは、さらに、湿りボリュームを含む又は提供するように構成される。湿りボリュームは、もしあれば、次のガス処理段階まで延び得る、又はノズルから一定の距離だけ延び得る。湿りボリュームは、ノズルから、噴霧方向及びガス流の方向に延び得る。湿りボリュームは、ノズルの上流からノズルの下流まで延び得る、そして湿りボリュームの範囲は、ガス流の速度、流体流の速度、及び液滴速度に依存し得る。湿りボリュームはこれらのパラメータ及び当業者にとって明らかなその他のパラメータに基づいて調整され、アプリケーションに依存して、全炭素捕集量又は炭素捕集効率が最適化され得る。
【0068】
実施形態によっては、当該システムは、ガス1000立方フィート当たり流体15ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体12ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体11ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体10ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体9ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体8ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体7ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体6ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体5ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体4ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体3ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体2ガロン、又はガス1000立方フィート当たり流体1ガロンの液滴密度を有する湿りボリュームを含む又は提供するように構成される。他の実施形態において、湿りボリュームはガス1000立方フィート当たり流体10ガロンの流体液滴密度を有する。
【0069】
本明細書中に記載のシステムの特定の実施形態において、当該システムは、煙道ガス流をさらに含む。
【0070】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、湿りボリュームは、ガス1000立方フィート当たり流体15ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体12ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体11ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体10ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体9ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体8ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体7ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体6ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体5ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体4ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体3ガロン、ガス1000立方フィート当たり流体2ガロン、又はガス1000立方フィート当たり流体1ガロンの流体密度を有する。他の実施形態において、湿りボリュームは、ガス1000立方フィート当たり流体10ガロンの流体密度を有する。
【0071】
本明細書中に記載の方法の実施形態によっては、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり20ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は2.67:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり15ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は2.01:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり10ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は1.33:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり5ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は0.67:1000である。別の実施形態において、液体対ガスの比率は、1000立方フィート当たり2ガロン未満、すなわち、液体:ガスの比率は0.267:1000である。他の実施形態において、液体対ガスの比率は、1:1000、9:10,000、8:10,000、7:10,000、6:10,000、5:10,000、4:10,000、3:10,000、2:10,000、又は1:10,000である。
【0072】
本明細書中に記載のシステムのさらなる実施形態において、当該システムは、ガス1000立方フィート当たり毎分15ガロン(gpm)未満、ガス1000ft当たり12gpm未満、ガス1000ft当たり10gpm未満、ガス1000ft当たり9gpm未満、ガス1000ft当たり8gpm未満、ガス1000ft当たり7gpm未満、ガス1000ft当たり6gpm未満、ガス1000ft当たり5gpm未満、ガス1000ft当たり4gpm未満、ガス1000ft当たり3gpm未満、ガス1000ft当たり2gpm未満、又はガス1000ft当たり1gpm未満の割合で流体を分配するように構成される。別の実施形態において、流体の分配は、ガス1000ft当たり10gpm未満の割合での流体の分配を含む。
【0073】
特定の実施形態において、当該システムは、煙道ガスが湿りボリューム中で約10秒未満、約8秒未満、約6秒未満、約5秒未満、約4秒未満、約3秒未満、約2秒未満、約1秒未満、又は約0.5秒未満の滞留時間を有するように構成される。別の実施形態において、ガスは、湿りボリューム中で約2秒未満の滞留時間を有する。
【0074】
本明細書中に記載のシステムのその他の実施形態において、当該システムは、約50°Fから350°Fまでの範囲の温度で流体を供給するように構成される。一実施形態において、流体は、55°Fを超える温度で供給される。別の実施形態において、流体は、60°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、流体は、70°Fを超える温度で供給される。さらに別の実施形態において、流体は、80°Fを超える温度で供給される。
【0075】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、流体は実質的に水から成る。本明細書中に記載のシステムのさらなる別の実施形態において、流体は実質的にアミンを含まない。
【0076】
本明細書中に記載のシステムのさらなる別の実施形態において、ノズルは流体を分配するための単一の導管を含む。
【0077】
本明細書中に記載のシステムのその他の実施形態において、ノズルは、第1の方向と反対の方向に液滴を噴霧するように構成される。別の実施形態において、ノズルは、第1の方向に液滴を噴霧するように構成される。実施形態によっては、ノズルは、第1の方向に対して角度を付けられた方向に液滴を噴霧するように構成される。噴霧パターンは、円錐、四角錐、又は当技術分野で周知の任意のその他の噴霧パターンでもよい。
【0078】
本明細書中に記載のシステムのその他の実施形態において、ノズルのアレイは、包含する1個から20個の間のヘッダを含む。別の実施形態において、ノズルのアレイは、5個のヘッダ、6個のヘッダ、7個のヘッダ、8個のヘッダ、9個のヘッダ、10個のヘッダ、11個のヘッダ、12個のヘッダ、13個のヘッダ、14個のヘッダ、15個のヘッダ、又は16個のヘッダを含む。別の実施形態において、ノズルのアレイは12個のヘッダを含む。
【0079】
さらに別の実施形態において、ノズルは、アレイにおいて、
3個のヘッダを含む煙道ガス流内の第1分配ゾーン、
2個のヘッダを含む煙道ガス流内の第2分配ゾーン、
2個のヘッダを含む煙道ガス流内の第3分配ゾーン、
2個のヘッダを含む煙道ガス流内の第4分配ゾーン、
3個のヘッダを含む煙道ガス流内の第5分配ゾーン、
を有するように構成される。
【0080】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、各ヘッダは、少なくとも10個のノズル、少なくとも14個のノズル、少なくとも18個のノズル、少なくとも22個のノズル、少なくとも26個のノズル、又は少なくとも30個のノズルを含む。実施形態によっては、各ヘッダは少なくとも14個のノズルを含む。さらに別の実施形態において、各ヘッダは、12個のノズル、14個のノズル、16個のノズル、18個のノズル、20個のノズル、22個のノズル、24個のノズル、26個のノズル、28個のノズル、30個のノズル、32個のノズル、33個のノズル、34個のノズル、又は35個のノズルを含む。さらに別の実施形態において、各ヘッダは、14個のノズル、22個のノズル、28個のノズル、32個のノズル、又は33個のノズルを含む。
【0081】
本明細書中に記載のシステムのその他の実施形態において、ヘッダ上の第1ノズルは、第2ノズルから、約10インチ、約11インチ、約12インチ、約13インチ、約13.5インチ、約14インチ、約14.5インチ、又は約15インチ離間している。別の実施形態において、ヘッダ上の第1ノズルは、第2ノズルから、約12インチ、約13インチ、約13.5インチ、又は約14インチ離間している。
【0082】
実施形態によっては、第1分配ゾーンは、
各ノズルが約12インチ離間している、14個のノズルを有する第1ヘッダ、
各ノズルが約14インチ離間している、22個のノズルを有する第2ヘッダ、及び
各ノズルが約13.5インチ離間している、28個のノズルを有する第3ヘッダ
を含む。
【0083】
本明細書中に記載のシステムのその他の実施形態において、第1ヘッダは、第2ヘッダから、約2.50フィート、約2.75フィート、約3フィート、約3.25フィート、約3.50フィート、約3.75フィート、又は約4フィート離間している。別の実施形態において、第1ヘッダは、第2ヘッダから、約3フィート又は約3.25フィート離間している。さらに別の実施形態において、第1分配ゾーンのヘッダは約3.25フィート離間している。
【0084】
さらに別の実施形態において、第2分配ゾーンは、
各ノズルが約13インチ離間している、32個のノズルを有する第1ヘッダ、
各ノズルが約13.5インチ離間している、33個のノズルを有する第2ヘッダ
を含む。
【0085】
さらに別の実施形態において、第2分配ゾーンのヘッダは約3フィート離間している。
【0086】
その他の実施形態において、第3分配ゾーンは、
各ノズルが約14インチ離間している、32個のノズルを有する第1ヘッダ、
各ノズルが約14インチ離間している、33個のノズルを有する第2ヘッダ
を含む。
【0087】
別の実施形態において、第3分配ゾーンのヘッダは約3フィート離間している。
【0088】
実施形態によっては、第4分配ゾーンは、
各ノズルが約13インチ離間している、33個のノズルを有する第1ヘッダ、
各ノズルが約13インチ離間している、32個のノズルを有する第2ヘッダ
を含む。
【0089】
さらなる実施形態において、第4分配ゾーンのヘッダは約3フィート離間している。
【0090】
特定の実施形態において、第5分配ゾーンは、
各ノズルが約13.5インチ離間している、28個のノズルを有する第1ヘッダ、
各ノズルが約14インチ離間している、22個のノズルを有する第2ヘッダ、及び
各ノズルが約12インチ離間している、14個のノズルを有する第3ヘッダ
を含む。
【0091】
その他の実施形態において、第5分配ゾーンのヘッダは約3.25フィート離間している。
【0092】
一実施形態において、当該システムのヘッダとノズルの構成は、図3Aに示す通りである。特定の実施形態において、当該システムのノズルを有するヘッダアッセンブリは、図3Bに示す通りである。
【0093】
別の実施形態において、第1分配ゾーンの3個のヘッダは、互いに流体連通している。
【0094】
さらに別の実施形態において、第2分配ゾーンの2個のヘッダは、互いに流体連通している。
【0095】
さらに別の実施形態において、第3分配ゾーンの2個のヘッダは、互いに流体連通している。
【0096】
さらなる実施形態において、第4分配ゾーンの2個のヘッダは、互いに流体連通している。
【0097】
実施形態によっては、第5分配ゾーンの3個のヘッダは、互いに流体連通している。
【0098】
本明細書中に記載のシステムのその他の実施形態において、ヘッダに沿った各ノズルは、ヘッダに対して同じ角度で配向される。
【0099】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、少なくとも1つのノズルは、流体を分配するための複数のオリフィスを備える多面ノズルである。さらに別の実施形態において、多面ノズルは中心軸を有し、少なくとも1つのオリフィスは中心軸に対して角度を持って配置される。さらに別の実施形態において、少なくとも1つのオリフィスは中心軸に対して45度の角度で配置される。
【0100】
さらに、当該システム内で使用されるノズルと本明細書中に開示される技術は、ヘッダから送出される流体を受け入れるための単一のボア又は導管で構成される。これは、液体を受け取るための第1のボア又は導管と次に液体を超音速に加速する加圧ガスを受け取るための第2の、直角の導管を必要とするWO2015/024014(米国特許第5,454,518に記載のノズル等)で開示されたノズルとは対照的である。逆に、また前に述べたように、本開示のノズルは、亜音速で流体を分配する。さらに、また上記で説明した利点に加えて、図4乃至図6に示されるように、本開示のノズルは、単一の流体供給を受け取るための単一のポート又は栓を必要とするのみであるため、先行技術のノズルと比較して大きな設計と設置の柔軟性がある。例えば、本明細書中に開示されたノズルは、液体と空気の別個の供給を必要とする先行技術より、必要な構成部品(単一の流体供給源)が少なく、従って必要な接続位置が少ない。さらに、本明細書中に記載のノズルは、先行技術において開示された高圧で供給される空気を必要としないので、コンプレッサ(加圧空気を供給するための)と別個のポンプ(液体を供給するための)の両方の存在を必要としない。
【0101】
その他の実施形態において、オリフィスは、約500ミクロンから約10ミクロンまでの直径を有する。実施形態によっては、オリフィスは、約500ミクロンから約100ミクロンまでの直径を有する。好適な実施形態において、オリフィスは、約200ミクロンから約150ミクロンまでの直径を有し、別の実施形態において、オリフィスは約250ミクロン、約200ミクロン、約175ミクロン、約150ミクロン、約140ミクロン、約130ミクロン、約120ミクロン、約110ミクロン、約100ミクロン、約90ミクロン、約80ミクロン、約70ミクロン、約60ミクロン、約50ミクロン、約25ミクロン、又は約10ミクロンの直径を有する。さらに別の実施形態において、少なくとも1つのオリフィスは100ミクロンを超える直径を有する。図7は、本開示に適用可能な直径、圧力及び流量の範囲のグラフ表示を示す。
【0102】
本明細書中に記載のシステムの実施形態によっては、複数のヘッダと複数のノズルは共通の給水導管と流体連通している。
【0103】
別の実施形態において、各ヘッダは、個別の給水導管を有する。
【0104】
本明細書中に記載のシステムの実施形態によっては、複数のヘッダは、約6インチ、約5インチ、約4インチ、約3インチ、約2.5インチ、約2.25インチ、約2インチ、約1.75インチ、約1.5インチ、約1.25インチ、約1インチ、約0.75インチ、約0.5インチ、又は約0.25インチの直径を有する。さらに別の実施形態において、複数のヘッダは約2インチ未満の直径を有する。
【0105】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、少なくとも1つのヘッダは非線形形状で構成されている。
【0106】
本明細書中に記載のシステムの別の実施形態において、ヘッダは、ヘッダ間が均一な間隔を有するアレイで構成される。さらに別の実施形態において、ヘッダは、ヘッダ間が不均一な間隔を有するアレイで構成される。
【0107】
本明細書中に記載のシステムのさらに別の実施形態において、第1ヘッダのノズルは、ノズル間が均一な間隔で構成される。さらなる実施形態において、第1ヘッダのノズルは、ノズル間が不均一な間隔で構成される。例えば、ノズル及び/又はヘッダは、ガス流の中心位置により多くの量の分配があるように構成され得る。換言すると、全面的に広がったガス流に対して、隣接するヘッダは、ガス流の中心部(そこでは、ガス流の速度が最大になる)で共により近く離間し、またガス流の外縁(そこでは、ガス流と煙道ガス用パイプ/ハウジングとの境界層の相互作用のため、ガス流の速度は最小になる)でより離れて離間する形状(例えば、湾曲形状、収束/発散形状等)に作られ得る。同様に、ノズルは、より多くの数のノズルがガス流の外縁よりガス流の中心部に配置される同様な仕方で配置され得る。
【0108】
CO捕集の反応メカニズム研究
本開示のシステムによって形成されるCO捕集のための1つの可能性のあるメカニズムは、水滴内のCOの溶解である。水中のCOの溶解度はヘンリーの法則により支配される。
ヘンリーの法則は、最大2mol%の液相のCOの濃度に対して有効である。温度の関数としてのヘンリーの法則の係数の相関関係を明らかにするために実験が行われてきた。ヘンリーの法則は、液相[COのCOのモル濃度と気相[COのCOのモル濃度の間の平衡関係を説明するための気液分配係数KVLを計算するために使用することができる。
水中の溶存COは、HOと反応してHCOとそのイオンを形成し得る。pH<7のシステムに対して、次の反応スキームが適用される。
【0109】
COがミクロンサイズの水滴に捕集され得る別の方法は、液滴の外表面での吸着による。図9で概略的に示されるように、揮発性種は、液滴の外表面で吸着し、次に液滴中心に向かって拡散し得る。平衡状態で吸着され得る揮発性種Sの量は、界面‐液体分配係数KILを用いて様々な種に対して研究されてきた。
ここで、
は、純粋なS蒸気とその純成分蒸気圧(
)で平衡状態になる液相中の種Sの仮想濃度である。純成分蒸気圧(
)を得るために、気液分配係数を用いることができる。

)は、アントワーヌ方程式から得られる。
【0110】
小さい水滴によるCOの捕集のための別の可能性のあるメカニズムは、いくつかの酸性種が気液界面のすぐ内側に集まる性向である。いくつかのX線の光電子分光法による研究により、カルボン酸は、バルク水中の濃度に比較して界面近傍の非常に薄い層中で高い濃度で現れることが分かっている。また、表面の吸収部位の利用可能性が比較的高いため、酸の濃度がバルク水滴で低い場合、カルボン酸分子が界面で優先的に吸収する高い性向があることをいくつかの研究が指摘している。カルボン酸のイオンへの平衡解離は、界面近傍でバルク水中とはかなり異なる場合があるという事実により状況はさらに複雑である。しかしながら、この現象が、多くの点でカルボン酸とかなり異なるHCOに当てはまるかどうかは分かっていない。
【0111】
いくつかのその他の可能性のあるメカニズムが小さい水滴によるCO除去の向上に貢献する可能性がある。すなわち、i)HCOの形成をもたらす気相反応、ii)気液界面でHCOを形成する表面反応、iii)液滴界面の液体側での溶解CO分子の集合である。単一の水分子とのCOの反応は、n=2、3、又は4であるサイズnの気相の水クラスターとのCOの反応に比べはるかに好まれない。
これは水がHCOの形成に対して触媒効果を有するからである。水クラスターは、CO(HO)n錯体と同様に、水素結合を介して気相中に生じることが知られている。このようにして生じる水和HCOは、C‐3プロセスで水滴の外表面に吸着し、CO除去率と平衡吸着の向上をもたらし得る。CO除去を向上し得る別の最近提案された現象は、振動励起された気相のCO分子が水滴の表面と衝突し、そこで反応してHCO(及びそのイオン)を形成する場合に生じる。さらに、HCOは、バルク液体中よりも界面でより早く解離し、それが状況をさらに複雑にすると示唆する研究者もいる。さらに、水相内で、溶存COは、疎水性溶質として振舞うことが可能であり、そのため、他の疎水性溶質のように、水滴表面近傍の液相中に集まる傾向がある。最終的に、HCOはモノカルボン酸でもジカルボン酸でもないので、水相中でカルボン酸と同じように振舞うことはできず、カルボン酸より水/蒸気界面で集まる性向を多かれ少なかれ有し得る。要約すると、COと水表面との間の相互作用に関する複雑なメカニズムは、依然として、よく分かっていない。最近のレビュー記事において、Taifanらは、「COの流体相への取り込みの実際のメカニズムは分かりにくいままである。特に、空気/水界面はこのプロセスの根本的役割を果たす。」と結論付けた。結果的に、小さい水滴を介したCO捕集中のこれらの様々な現象の潜在的重要性をより良く理解するために、さらなる実験的研究が必要とされている。
【0112】
小さい水滴によるCO捕集は、平衡プロセスというより動的プロセスであるため、CO捕集をモデル化する場合、関連する物質と熱の移動現象を説明することが重要である。熱と物質の移動は気相内、液相内及び気液界面で研究されてきた。気相から液相への移動に関して、ヌッセルト数Nu及びシャーウッド数Shを予測するために多くの相関関係が明らかにされてきた。例えば、RanzとMarshallの相関関係、すなわち、
は、気化しない液滴又は気泡への又はそれからの熱と物質の移動に関する様々な研究に広く利用されてきた。方程式10aと方程式10bは、液滴直径d、熱伝導率kを用いて気相中の種Sの対流熱伝達率hと対流物質移動係数kmS、VLを計算するため、及び
に対する適切な表現を用いて種Sの気相拡散係数Dを計算するために使用することができる。低いレイノルズ数を有するシステムに対して、代替相関関係が推奨される。
ここで、Re≦1に対して、f(Re)=1及びRe≦400に対して、f(Re)=Re0.077である。AbramzonとSirignanoは、NuとShに対して補正係数を導入した、それは蒸発液滴を含む熱と物質の移動に対して気相中のStefan流(化学種の蒸発、吸収、及び/又は吸着により引き起こされる流れ)の影響を考慮に入れるものである。その結果、それらは、COの吸収中に液滴から大幅な水の蒸発がある状況において、熱の移動と水塊移動を予測するために有用であり得る。私たちの知る限りでは、小さい水滴によるCOの吸着又は吸収中に蒸気側の熱又は物質移動係数を判定するための実験的研究は行われてきていない。
【0113】
下記は、ミクロンサイズの水滴によるCOの吸着/吸収を検討し説明するための予備的な数学モデルである。最初に、i)水滴内部のCOの溶解、ii)溶存COのHCOへの転換、iii)液滴表面上のCOの吸着、及びiv)液滴表面近傍のHCO分子の集合によってミクロンサイズの水滴により捕集されるCOの量を判定するために、平衡計算を行う。次に、動的モデルを導出、使用して物質移動と反応速度についての理解を深める。
【0114】
予備的平衡計算
本計算において、液滴は、表1に示される組成を有する希薄煙道ガスで平衡状態にあると想定する。水中のCOの溶解度は、ヘンリーの法則(方程式1)によって支配され、ヘンリーの法則の定数H(単位はPa)に関する温度依存式は表2に示す。
表1:希薄煙道ガスの組成
表2:モデルのパラメータを計算するための代数方程式
【0115】
図10に示されるように、バルク液体水に吸収され得るCOの量は、温度が上昇するにつれ減少する。例えば、吸収されたCOの平衡量は25°Cにおいて水1kg当たりCO0.06gであり、それは100°Cの平衡量の3倍大きい。これらの量はHCOとそのイオン転換されるCOを考慮していないし、液滴表面でのCOとHCOの吸着/吸収も考慮していない。
【0116】
反応3乃至5によりCOとHOからのHCOとそのイオンの形成を考える。反応5から生成される
の濃度は無視することができる、というのは[HCO
に比べて小さいからである。表2は、反応3に関する順方向及び逆方向の速度定数(すなわち、kとk-1)及び反応11に関する平衡定数Kに対するアレニウスの式を示す。本メカニズムにより捕集されるCOの付加的平衡量は、温度の関数として、図11にプロットされている。HCOとHCO に転換される液滴内のCOの量は、溶存COの濃度がより高い低温でより高くなる。
【0117】
表2のkとk-1に関する式は、6.6°Cから42.8°Cまでの温度範囲における実験結果から得られたことに留意されたい。従って、図11に示される結果を得るためには外挿が必要であった。
【0118】
3番目に提案されたメカニズムは、水滴表面へのCOの吸着である。25°Cで水滴の表面に吸着されるCOの平衡量の概算(単位はgCO/kgHO)を得るために、方程式2、8、7及び6が連続して使用された、その中で[CO、[CO及び
は、表1の組成、ヘンリーの法則、理想気体の法則及びアントワーヌの数式を用いて得られた。方程式6から計算された[COは(約4・10-9mol/m)、次に、使用水1kg当たり吸着されるCOの平衡質量を計算するために使用することができる。図12は、様々な液滴直径を用いて得られた水1kg当たり吸着されるCOの結果としての予測質量を示す。吸着されるCOの量は、単位体積当たりの表面積の増加によって、液滴サイズが減少するに従って大幅に増大する(例えば、平衡状態で直径2μmの液滴により吸着されるCOの量は、直径50μmの液滴により吸着されるCOの量より25倍大きい)ことが分かる。
【0119】
図12の結果は、方程式7の相関関係に依存し、COより揮発性がはるかに低い比較的に高分子量の種に対する実験から得られたことに留意されたい。その結果、方程式7は、小さい水滴の表面に吸着されるCOの量を大幅に過小又は過大予測する場合がある。図12は、また、液滴の外表面に吸着される可能性のある全ての気体状のHCOも無視している。
【0120】
COを捕集するための4番目に提案されたメカニズムは、水滴表面のすぐ内側のHCOとそのイオンの付加的な吸収である。様々なカルボン酸の平衡濃度は、X線の光電子分光法を用いて水溶液の表面近傍で測定されてきた。残念ながら、液体水表面でのHCOに関する同様な研究はされてきていない。従って、水滴表面のすぐ内側の付加的なHCOとHCO の平衡量について、信頼性がある推定ができない。
【0121】
要約すれば、C‐3プロセスにおいて小さい水滴により捕集されるCOの量は、上記で提案されたメカニズムを用いた平衡計算によって直ちに説明することはできない。これらのメカニズムによるCOの吸着/吸収プロセスのダイナミックスをより良く理解するために、次のセクションにおいて、物質の移動を考慮に入れた数学モデルを展開して示す。
【0122】
動的モデルの計算
次の理論的研究において、半径Rの球状の水滴が煙道ガスに囲まれている単純な場合を検討する。水滴は、4つの提案されたメカニズム、すなわち、i)水中へのCOの溶解、ii)COのHCO及びそのイオンへの転換、iii)水滴表面へのCOの吸着、及びiv)液滴表面のすぐ内側のHCOの集合により煙道ガスからCOを捕集する。提案されたCOの捕集メカニズムを考慮する数学モデルは、下記の表3に列挙される前提に基づいて展開された。モデル方程式に現れるパラメータを計算するために必要な代数方程式は、表2に示す。
表3:モデル展開において用いられる前提
図13は、本モデルにおいて考慮された3つの領域を示す(すなわち、液滴内のバルク液体領域、気液界面領域、及びバルク蒸気領域)。気液界面は、種が集まり得る別個の領域として扱われるので、以下で定義される分数fmIを用いて、本モデルにおいて界面内の物質移動抵抗も考慮される。
煙道ガスとバルク液体表面との間の物質移動に対する総抵抗を2つの部分に分解すると、次式が得られる。
【0123】
本モデルに対して導出される偏微分方程式(PDEs)は表4に示され、rは水滴内の半径方向位置、[HCO3、Tは、液相中のHCOの全濃度である(すなわち、
)。方程式4.1は、液滴中のバルク液体内のCOの物質収支である。方程式4.1の右辺に関して、第1項は液滴内のCOの拡散を表す。第2項と第3項は、それぞれ、溶存COの形成と消費を説明する。初期において、水滴内のCOの濃度は、方程式4.1aに示されるように、極めて低いと想定される。方程式4.1を解くために、境界条件も必要になる。COの濃度は、方程式4.1bにより示されるように、中心において液滴内で最小の値となる。方程式4.1cは、バルク液体領域の表面でのCOの物質収支であり、その中で
は、界面領域と平衡状態にあるバルク液体領域中のCOの仮想濃度である。
表4:単一の水滴におけるCOの吸着/吸収プロセスに対するモデル方程式
同様に、液滴内の[HCO3、Tの拡散と反応を説明するために、方程式4.2に[HCO3、Tに対するPDEが示される。初期において、方程式4.2aに示されるように、[HCO3、Tはゼロと想定される。境界条件(4.2c)において、
は、界面領域と平衡状態にあるバルク液体領域のHCO3、Tの仮想濃度であり、
は、界面とバルク液体領域の表面との間のHCO3、Tの物質移動係数である。
【0124】
常微分方程式(ODE)4.3は、液滴表面に吸着する(また界面の液相で吸収する)COの物質収支である。蓄積するCO量はバルク蒸気から界面領域へのCOの物質移動速度及び界面からバルク液体表面への物質移動速度に依存する。同様に、ODE4.4は、界面領域内のHCOの(及びそのイオン)の物質収支である。界面での化学反応は無視していることに留意されたい(前提3.7)。
【0125】
表4に提示されるモデルは、数値的に解かれた。表5に示す設定を使用して感度解析を行い、以下の調整可能なパラメータ、i)煙道ガスに対する水滴の速度(u)、ii)界面内の物質移動抵抗の比(fmI)、iii)水滴の半径(R)、iv)温度(T)、v)界面と液体間のCO分配係数(
)、及びvi)界面と液体間のHCO分配係数(
)の影響を調査した。対流物質移動係数
に影響するので、水滴の速度を検討した。

の値は実験的に決定されていないことに留意されたい。従って、基本ケースシミュレーション(表5)に対して使用される値は、揮発性有機化合物とカルボニル酸に焦点を当てた他の研究に基づいている。表5の下限値と上限値は本シミュレーション研究で考慮された値の範囲を示す。
表5:モデルシミュレーションのための設定
【0126】
図14は、水滴の速度を調整し、その他のパラメータを表5のそれらの基本ケース値に固定した場合に得られたシミュレーション結果を示す。液滴内の濃度の動的挙動おける顕著な差異は予測されない、というのは、R=2.5μmの液滴の物質移動に対する主要な抵抗は、気相や界面よりもむしろ液滴内部にあるからである。[HCO3、Tは、~0.1秒後に液滴中心で0.02mol/mの平衡値に達し、反応ダイナミックスは物質移動ダイナミックスよりかなり遅いことを示していることに留意されたい。図15は、界面内の比抵抗が調整されている場合の同様な結果を示す。
【0127】
図16は、小さい液滴が大きな液滴よりもずっと速くCOを吸収するという、[CO吸収及び[HCO3、T形成のダイナミックスに対する液滴サイズの重要な影響を示し、液滴サイズが二酸化炭素捕集プロセスに対して重要な影響を有することを示唆している。長いシミュレーション時間で予測される平衡濃度は、予想通り、全ての液滴サイズで同じであることに留意されたい。
【0128】
図17は、25°C、62.5°C、及び100°Cの温度を用いて得られたシミュレーション結果を比較しており、表2の方程式2.1、2.2乃至2.4、2.11、及び2.12で示されるように、ヘンリーの法則の定数、運動速度定数及び拡散係数に対する温度の影響を説明する。ヘンリーの法則の定数は温度が上昇するにつれて大きくなり、それにより液滴内に溶解されるCOの平衡濃度が低くなる結果となる。温度が上昇すると物質移動係数、拡散係数及び反応速度は大きくなるため、CO捕集のダイナミックスはより高い温度で速くなる。
【0129】
本感度研究において、

は両方とも大きな範囲にわたって調整される、というのは妥当な値が分かっていないからである。図18は、両界面分配係数が全CO除去量に対して重要な影響を有することを示す。図18のy軸で示されるように、

が大きくなるにつれて、予測CO除去量に対するそれらの影響はより大きくなる。例えば、他のパラメータが基本ケース値に固定されている場合で、
が1・10-3mと大きい場合、半径2.5μmの水滴を用いた予測平衡CO除去量は、~35gCO/kgHOである。同様に、
が1・10-2mに設定され、また他のパラメータが表5の基本ケース値に設定されている場合、予測CO除去量は、~10gCO/kgHOである。図18は、水滴のサイズが減少するにつれ、

の影響が著しく大きくなることも示す。これらのシミュレーション結果及び感度解析結果は、界面分配係数(すなわち、

)のうちの1つが1・10-3mから1・10-2mまでの範囲にある場合、及び/又はプロセスの平均液滴サイズがR=2.5μmよりかなり小さい場合、液滴表面でのCO及び/又はHCOの吸着/吸収が、観測されてきた高いレベルのCO除去を説明し得ることを示す。係数の値と慎重な測定から得られた平均液滴サイズは、モデリング努力への大きな助けとなるとともに、提案されたこれらの表面現象に関する大きさが現実的かどうかを確認する助けとなるであろう。温度の効果、水蒸気と液滴の合体を説明する数学モデルは、また、CO除去プロセスの明確な全体像も提供することができる。
【0130】
要約すると、上記の考察は、i)水へのCOの溶解、ii)COのHCO及びそのイオンへの転換、iii)水滴表面へのCOの吸着及び、iv)液滴表面のすぐ内側へのHCOの集合を含む、ミクロンサイズの水滴でCOを捕集するためのいくつかのメカニズムの動的モデルを説明する。シミュレーションによると、また一定の液滴サイズを前提とすると、水滴速度と液滴界面での物質移動抵抗は、COの吸着/吸収プロセスに対して顕著な効果を有しない。その一方で、CO除去量は、温度が低下するにつれ、また水滴サイズが小さくなるにつれて増加する。界面分配係数(

)は非常に重要であることが示された。残念ながら、

に関する実験値は文献で利用できない。
【0131】
注記
【0132】
本開示の説明は、以下の例を参照することによってより明確に理解できるであろう、またその例は例示目的のためにのみ本明細書に含まれており、限定することを意図しない。
【0133】

例1:25MW石炭火力発電所下流と同等の煙道ガスからCOを捕集するための、既存の排ガス制御装置のシステム
【0134】
図3Aに示されるように、システムは、ノズルアレイのグリッドが容器の内部に設置された282,000ガロンの容器で構築されている。ノズルは、直径0.012インチのオリフィスを有する。ヘッダは、図3A及び図3Bに示されるように配置されている。各ノズルの水流は、1から1.5gpmまでの割合である。ノズルはCOを除去するために流体の液滴を煙道ガス流中に噴霧する。液滴速度は31,716ft/minである。本システムでは、煙道ガス温度は135°Fである。煙道ガスは、323,140lb/hrの割合で容器に流入する。湿りボリュームは煙道ガス1000立方フィート当たり流体4ガロンの流体液滴密度を有する。噴霧スキッドは、2,000psiの適切な水圧を確保するために4つの25%高圧ポンプを有する。
【0135】
液滴速度の計算
システムは、図3乃至図6に示されるようなノズルレイアウトで構築されている。当該システムは、水で2000psiに加圧されている。多面ノズルを使用して、各ノズルを通る流れは以下の特性を有する。
*温度に対して補正されている
【0136】
排水は容器の底から収集されて繊維強化ポリマーで作られた沈殿タンクに送られる。沈殿タンクは16時間の排水量を保管する容量を有する。排水が沈殿タンクに流入する場合、一部のCOは分離し、収集用のタンクの最上部に設けられた排出口を通って流出する。排水は、流体が混合されて残留COが捕集されるようにするアグラベイタタンクに送られる。排水は混合器を備え得る貯蔵タンクに送られる。混合器は、全ての付加的COが、確実に排水から分離して換気システムに流入するようにする。当該システムは、1台の沈殿タンク、1台のアグラベイタタンク及び1台の貯蔵タンクを有する。これらのタンクは、それぞれ、314,000ガロン、75,000ガロン、及び222,000ガロンの容量を有する。
【0137】
貯蔵タンクから、水は、COを捕集するために、当該システムへ再注入するために処理される逆浸透システムに送られる。当該システムは、一定の水質要件を満たす場合、市水も使用することができる。
【0138】
例2:250MWの石炭火力発電所からの煙道ガスからCOを捕集するための大規模なモジュールシステム
【0139】
システムは、4台の並列のCO捕集容器で構築される(図2)。各560,000ガロン容器は、図3Aに示されるような、容器内部に設置されたノズルアレイのレイアウト(噴霧アレイ)を有する。ノズルは、直径0.0125インチのオリフィスを有する。ヘッダは図3Aに示されるように配置されている。水流は、各CO捕集容器に対して767gpmの割合である。ノズルは、COを除去するために流体の液滴を煙道ガス流中に噴霧する。液滴速度は31,716ft/minである。煙道ガスの温度は、当該システムが少なくとも一つの汚染物質も捕集又は低減する場合、当該システムでは135°Fである。煙道ガスは、各容器に661,996lb/hrの割合で流入する。湿りボリュームは、煙道ガス1000立方フィート当たり流体4ガロンの流体液滴密度を有する。当該システムは1,500psiの適切な水圧に加圧される。
【0140】
液滴速度の計算
多面ノズルを使用して、各ノズルを通る流れは以下の特性を有する。
【0141】
排水は容器の底から収集されて繊維強化ポリマーで作られた沈殿タンクに送られる。排水が沈殿タンクに1,413gpmの割合で流入する場合、一部のCOは分離し、収集用のタンクの最上部に設けられた排出口を通って流出する。排水は、流体が混合されて残留COが捕集されるようにするアグラベイタタンクに1,354gpmの割合で送られる。排水は1,274gpmの割合で貯蔵タンクに送られる。混合器は、全ての付加的COが、確実に排水から分離して換気システムに流入するようにする。当該システムは、各CO捕集容器に対して1セットの沈殿タンク、アグラベイタタンク及び貯蔵タンクを有する。
【0142】
貯蔵タンクから、水は、COを捕集するために、当該システムへ再注入するために処理される逆浸透システムに送られる。当該システムは、一定の水質要件を満たす場合、市水も使用することができる。
【0143】
当該システムは、平均1,157gpmの水を使用する。全体として、当該システムは約349,451lb/hrのCO回収率を有する。
【0144】
参照による組み込み
上記の説明で言及された全ての米国特許並びに米国及びPCT公開特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
同等物
明確な理解の目的のために説明と例によりかなり詳しく二酸化炭素を捕集するための方法とシステムを十分に説明したので、方法とシステムの範囲又は全ての具体的な実施形態に影響を及ぼすことなく、条件、化学式及びその他のパラメータの広範な及び同等の範囲内で、方法とシステムを修正又は変更することにより同じことが行われ得ること、並びにそのような修正又は変更は、添付の請求項の範囲内に含まれるように意図されていることは、当業者には明白であろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを処理する方法であって、
二酸化炭素を含み、第1の方向に流れるガスの流れを供給し、
二酸化炭素を含むガスの流れを、炭素捕集容器であって、それらの間に内部ボリュームを画定する少なくとも1つの側壁を有する第1及び第2の端部、を含む炭素捕集容器内で受け取り、
水から構成され、少なくとも90%が5マイクロメートル未満の液滴サイズを有する流体の液滴を、マッハ1未満の液滴速度で複数のノズルから噴霧し、水から構成され、アミンを含まない流体を前記炭素捕集容器内で分配し、
アミンを含まない流体が前記炭素捕集容器の内部かつ前記ガスが流入する点の近傍で前記ガスの流れと接触することで、前記ガスの流れから二酸化炭素を捕集する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記流体の分配は、ガス28317リットル当たり流体22.7304リットル以下の液滴密度を有する湿りボリュームの生成を含む方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法であって、
前記ガスは、前記湿りボリュームにおいて10秒未満の滞留時間を有する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
ガス28317リットル当たり流体75.7082リットル未満の比率で前記流体を分配することを含む方法。
【請求項5】
二酸化炭素を生成する方法であって、
請求項1に記載の前記方法に従ってガスを処理し、
前記流体から二酸化炭素を収集する方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、
前記流体からの二酸化炭素の収集は、
第1の流体タンクの流体液滴を結合させ、
前記流体から気体の二酸化炭素をガス放出し、
前記気体の二酸化炭素を二酸化炭素容器に導く方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記ガス放出は、前記流体のかくはんを含む方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、
前記ガス放出は、前記流体の加熱を含む方法。
【請求項9】
煙道ガスから二酸化炭素を捕集するためのシステムであって、
第1の方向に沿って配向されるガスの導管と、
複数のヘッダに沿って配置され、水から成る流体を分配するように構成され、またその90%が5マイクロメートル未満の大きさを有する液滴を供給するように構成される複数のノズルと、
を備えるシステム。
【請求項10】
請求項に記載のシステムであって、
前記ノズルからマッハ1未満の液滴速度で前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項11】
請求項に記載のシステムであって、
ガス28317リットル当たり流体22.7304リットルの液滴密度を有する湿りボリュームを供給するように構成されるシステム。
【請求項12】
請求項に記載のシステムであって、
煙道ガス流をさらに備えるシステム。
【請求項13】
請求項に記載のシステムであって、
前記流体はアミンを含まないシステム。
【請求項14】
請求項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記流体を分配するための単一の導管を含むシステム。
【請求項15】
請求項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記第1の方向と反対の方向に前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項16】
請求項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記第1の方向に前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項17】
請求項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、前記第1の方向に対して角度を有する方向に前記液滴を噴霧するように構成されるシステム。
【請求項18】
請求項に記載のシステムであって、
前記ノズルは、アレイにおいて、
前記煙道ガス流内の、3個のヘッダを含む第1分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、2個のヘッダを含む第2分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、2個のヘッダを含む第3分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、2個のヘッダを含む第4分配ゾーン、
前記煙道ガス流内の、3個のヘッダを含む第5分配ゾーン、
を有して構成されるシステム。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数のノズルのうち少なくとも1つのノズルは、中心軸及び該中心軸に対して角度を有するように配置され開口を有する方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記複数のノズルは共通の給水導管と流体連通している方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記ノズルは、前記ガスの流れの中心位置により多くの量の分配があるように構成される方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、
前記液滴の少なくとも90%は5から35マイクロメートルの液滴サイズを有する方法。